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- 2008/08/31 10:49「謎の男」(8)
- 「もうすぐ美佐子ちゃんは大学受験をするんだよね。あなたにお願いしたいことがあるんだけど」「えっ、なんでしょうか」「あなたが一生懸命になって幼い頃から実の娘として育ててきたプライドは痛いほど分かっています。どうかこれからの大学進学に必要な学費を、この私に払わせてもらえないでしょうか、是非ともお願いいたします」「……さん、顔をどうか上げてください。本当ならきっぱりお断りするのですが、私はあなたのこと... [続きを読む]
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- 2008/07/31 02:22「謎の男」(7)
- 素敵な『奇跡』という神様からの贈り物が…… 俺は春の晴天の休日に駅前の桜並木のトンネルを通り抜けて、いつものお気に入りの喫茶店に入店した。 そして、いつも決まって俺はコーヒーブラックとケーキを一つ注文する。 鞄から取り出したNewsweekの見出しを読みながら、熱いコーヒーで口を潤した。 カランコロンと何気ないドアの開く音が店内に響き渡り、俺は何気なくふっと目線を横に流した。 次の瞬間、俺の顎がぴたっ... [続きを読む]
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- 2008/07/18 22:42「謎の男」(6)
- このまま人生を終わりたくないという気持ちもあった。また、俺の仲間達がこんな俺の事を支え応援してくれた。そんな仲間達の支えや持ち前の音楽的才能をフルに発揮して俺は必死に働いた。 気が付けば大手音響機器メーカーに成長し、いつの間にか俺は社長になっていた。 今から15年前、俺の会社に三浦がいつも通り、突然、姿を現し面会を迫った。受付に「幸子の旦那」と伝えておいてくれ、と忙しく面会を要求した。その当時... [続きを読む]
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- 2008/07/17 02:01「謎の男」(5)
- その後も三浦は幸子に会っては復縁を迫った。幸子も全部隠さず三浦に言い寄られてきていることを包み隠さず話してくれた。そして、三浦は二人が出演しているコンサート会場に足を運んで以来、幸子の目の前から姿を消した。当然、三浦は幸子のことを諦めた、と俺は思っていた。 電車接触の事故の後、俺は懸命にリハビリをした。それから、間もなく左腕の義手の手術も成功した。 幸子は俺の事を忘れずに待ってくれているはず、... [続きを読む]
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- 2008/07/16 18:19「謎の男」(4)
- それから半年が過ぎようとしていた頃、幸子と出会ってからある男の存在が気になっていた。その男は幸子と同じ高校の吹奏楽部で1年間付き合っていたらしい。その男の名は三浦 泰三という名だ。二人は違う大学に進学した。そして、遠距離恋愛は上手く行かず恋は終わったらしい。三浦は大学を半年で辞めて学生友達と共に小さい会社を起業した。不動産関係の事業だった。俺が三浦を始めて知ったのは今から二年前位だった。三浦は... [続きを読む]
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- 2008/07/14 02:10「謎の男」(3)
- 俺は夏の終わり頃から引越しのアルバイトをしていた。もちろん、彼女に婚約指輪を渡すために…… 最近、日曜日はほとんど彼女とはデートをしなかった。 ピアノの個人レッスンがあると嘘をついて、地道に貯めたお金で小さいダイヤの指輪を買う事が出来たのだった。 12月24日、人生を変えたその日が訪れる。『よし、今日、指輪を幸子に渡して、それから、一緒に婚姻届に署名しよう!押印は大学を卒業してから、もうこんな... [続きを読む]
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- 2008/07/11 23:53「謎の男」(2)
- ―――あれは12月頃だったかな――― 俺は小さい頃からピアノの椅子に座っていた記憶しかないほど、親はとにかくあの手この手でピアノを弾かせた。その甲斐もあって、小学生の部全国コンクール優勝など、あらゆる賞状と盾が部屋に飾ってあった。周囲の大人達から将来は日本を代表するピアニストになれるとよく言われたものだ。 それから、俺は有名な音大に進み、ある女性と激しい恋におちた。その女性こそ立花幸子さんだった... [続きを読む]
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- 2008/07/10 23:10「謎の男」(1)
- カウンター越しに頬杖をしながらティラミスを食べている男が一人座っていた。 そこに一人の女性がその男の横に座った。「あのーこのお店よく来るんですか」「ああ」「では、甘いものが好きなんですか?」「君の瞳にはかなわないよ」「……」「本当の男らしさはあなたを危険な出来事から守れる男」「あのー」「ふーどうしたのかな、もしかして……」「顎に何か付いていますけど」「……」 男は無言で顎の辺りを手で拭った。「... [続きを読む]
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- 2008/07/07 20:51僕の日記帳(2)
- 8月13日(日) 今日は弟の大樹とお父さんと一緒に、近くの山を登りに行きました。ぼくの弟の大樹はぼくより年が二つ下です。来年、小学一年生になります。ぼくはこれから、もっとお兄ちゃんらしくしたいです。ぼくの弟はまだ甘えん坊ですぐに泣きます。歩いて疲れた時や、お父さんやお母さんに怒られた時とかすぐに泣きます。それを見ていると、ぼくも泣きたい時に泣けなくなります。いつも、お兄ちゃんなんだから、とお父さ... [続きを読む]
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- 2008/07/06 20:21僕の日記帳(1)
- 8月10日(木) ぼくは友達のみんなからまーくんと呼ばれています。みなさんよろしくお願いします。今は夏休みで、今度、お婆ちゃんとお爺ちゃんが住んでいる田舎に行くことになりました。とても楽しみです。早くお婆ちゃんとお爺ちゃんに会いたいな。今日はこれでおしまいです。8月11日(金) お母さんとお父さんと弟の大樹と一緒にキャンピングカーに乗って田舎に行きました。行く途中で大樹とお父さんとで川遊びをしま... [続きを読む]
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- 2008/07/05 19:26コンビニ戦争(3)期間限定
- ある町のコンビニでのお話。 いつものように三がつく倍数でアホになっている加藤 治の姿があった。「いち、にー、さー↑ん、よん、ご↑……あれっ、ん?ご?」「おめーは掛け算もでけへんのかい!」「ちょっとしたギャグやん!」「顔が真剣やったちゅーの」「まきどん、もっと、もっと、いじめて、そして、強く抱き絞めて」「あのなぁ……ニシキヘビにでも抱き締めてもらい」「まきどん、オモロー」 そこに店長が呆れ顔で現... [続きを読む]
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- 2008/07/05 18:47コンビニ戦争(2){お笑い系}期間限定
- ある町のコンビニでのお話。 いつものように、店の前を掃除す加藤 治の姿があった。K「まったく、最近の餓鬼めー、ちゃんとゴミ箱に入れろちゅーねん」 加藤の声が聞こえたのか、少し離れてカップ麺を食べている中学生が加藤の顔を睨みつけてきた。中「おい、おじさん、何か言ったか? おい!」K「今日は何の日ふっふっふ〜」中「はあ〜」K「おもいっきりテレビも知らんのかい! でもなぁ〜今はリニューアルしておもいッき... [続きを読む]
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- 2008/07/05 14:00コンビニ戦争(1){お笑い系}期間限定
- ある町のコンビニでのお話。 いつものように、品出しする加藤 治の姿があった。K「めんどくせーな!おにぎり一つ食べたいな」 隣にいた奥田 真紀が目を細めながら、M「食えばー早速、店長に言って首にして貰うから」K「まきどん、もっと、もっと、いじめて」M「はあ、キショいんだけど、それにまきどんのどんって、黄桜の呑『どん』かよ」K「もっと、もっと……ふ、古いツッコミありがとう」M「しっ、しっ、あっち行け」K「... [続きを読む]
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- 2008/07/04 21:02足音
- 「コツコツ」と何処からともなく足音が近づいてくる。(ハイヒールの音なのか?それとも――) 静寂した夜間の病院に響く足音がある個室部屋に近づいてくる。(おかしい、こんな夜中に訪問者がいるはずがない) 男の額から冷や汗が滲んでくる。 ベットの上で膠着して手の震えが止まらない。(くそっ、ナースコールをしないといけないのに、なぜ動かないんだ) 男は必死に歯を食いしばり伸びきった腕を曲げようとしても動か... [続きを読む]
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- 2008/07/03 18:08犬の思い出 『僕と翔太』のあとがき
- はじめまして、青井 空といいます。『僕と翔太』は2年前に書きました。昔、田舎に雑種の愛犬がいました。多分、当時、小学生3〜4年だったと思います。親しかった愛犬は安らかに天国に旅立ちました。夏休みに田舎に遊びに行った頃のことでした。その晩、いつもの様子とは違っていました。苦しそうな鳴き声が一晩中響いて、ほとんど寝られなかった記憶があります。翌日、今まで聞こえていた声、楽しげな姿はなくなっていました... [続きを読む]
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- 2008/07/03 18:07僕と翔太(10)最終話
- それから、月日が流れ翼は恵にプロポーズをした。「君と人生最後まで一緒に暮らしたい。だから、結婚して下さい」「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」 そして、二年ほど月日が過ぎた頃、二人の間に待望の赤ちゃんが誕生した。その後、まもなく、ショウタは安らかに天国へ旅立った。 翼はショウタの声が聞けなくなって死にたいほど悲しかったが、涙はなかった。 時々昔を思い出しては涙することもあるが、翼の心の中... [続きを読む]
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- 2008/07/02 21:00僕と翔太(9)
- そして、まもなく翼は男性の従業員に抱き抱えられながら救急車で運ばれた。その車中で、「自分はもう大丈夫です。ですから、ショウタを優先的に病院へ連れて行ってあげて下さい! お願いします」「お客様もう大丈夫だから。本当に心配しなくてもいいのよ。だって、女将さんが隣町の獣医さんのいる病院に連れて行ったんですから」 付き添いの仲居さんが言った。「そうですか……ありがとうございます。ありがとうございます」... [続きを読む]
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- 2008/07/01 06:00僕と翔太(8)
- そして、翼はショウタの元へ夢中で斜面を駆け降りた。 一歩間違えれば、翼自身も死ぬかもしれないが、恐怖よりも勇気が上回り打ち勝ったのだ。「大丈夫かショウタ、もう二度と離さない、たとえ、どんなことがあっても」 あの日の初めて出会った頃のように、ショウタの体が震えていた。そして、翼はショウタを強く、強く抱きしめた。あの時から変わらぬ愛を込め…… 翼は身体が冷たくなっているショウタを何とかして優しく抱... [続きを読む]
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- 2008/06/29 10:24僕と翔太(7)
- そして、しだいに雨は収まり夜も明けようとしていた。「ショウタ、俺はもう二度と、かけがえのないものを失いたくはない、すまなかった、今頃になって気づいたよ、かけがえのないものと真剣に向き合わなければ、本当にかけがえのないものを失ってしまうことを……だから、神様、どうかショウタの命だけでも助けて下さい! どうかどうかお願いします! この自分の命を引き換えにしても……」 大粒の涙で目も開けられなくなり... [続きを読む]
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- 2008/06/29 08:24僕と翔太(6)
- 「いい湯だな、そうだ、明日はショウタを自由に、行きたいところに行かせてあげよう」 翼は肩までゆっくりと湯船に浸かり、先程までの酒酔いを醒まし部屋に戻った。「ショウタ、いいお湯だった、えっ、ショウタ、ショウタ何処に行ったんだ」 今、さっきまでいたはずのショウタが忽然(こつぜん)と姿を消したのだ。 翼は居ても立っても要られなくなり、急いで部屋を飛び出した。 顔色を悪くしながら、挙動不審のようにきょろ... [続きを読む]
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- 2008/06/28 02:50僕と翔太(5)
- しかし、翼はまだ前の彼女のことを引きずっていた。その為か、いつもより多くお酒を飲んでいた。「何でだよ、ひっく、ひっく」 そんな姿を見ていたショウタは、翼を励まそうと思って、昼に持って帰ったタンポポを咥えて来た。「何だそんなもの要らないよ」 と叫び、手の甲で銜えていたタンポポとショウタの顔を叩いてしまった。「キャン!」 その瞬間、ショウタの体が部屋の隅まで吹っ飛んだ。「ショウター! 大丈夫か?」... [続きを読む]
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- 2008/06/26 21:34僕と翔太(4)
- 翼は雨の降り頻る中を傘も差さずに、ただアスファルトに響く雨音に背を向け、ゆっくりと歩き始めた。翼の顔は、目は、雨で濡れていて、涙を流しているのか、流していないのか翼にも分からなかった。 しかし、そんな状態の翼にも帰る家があった。ぼんやりとした視界の中で明るい声が聞こえてきた。そこへ導かれるように一歩ずつ、一歩ずつ…… びしょ濡れの冷たい身体で……そのまま布団を頭から被り涙を必死に抑えていた。そ... [続きを読む]
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- 2008/06/25 20:50僕と翔太(3)
- 最近、翼に新しい彼女が出来た。そのため、日曜日は必ず彼女とデートするようになっていたが、ショウタは寂しくはなかった。いや、全く寂しくないといえば嘘になるが、決まって翼は、ショウタの好きな食べ物を買って来てくれた。それに加え、今日あった彼女との話を、楽しそうに頭を撫でながらしゃべることが、ショウタにとって、とても嬉しかった。 そんな翼だったが、ちょっとした喧嘩が原因で、彼女との仲がぎくしゃくして... [続きを読む]
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- 2008/06/25 01:11僕と翔太(2)
- 「ごめんね、翔太、うっ、ぐっ」 涙で霞(かす)む視界の中、声を振り絞りながら大きい声で、「僕は佐藤 翼です」 と言った。 翼は両手で胸を押さえながら、何度も「僕は翼です」と言った。「君をこれから、ショウタって呼んでもいいかな」 雨の寒さで震えるショウタを抱き上げて、「君がショウタだよ」と何度も何度もくり返し耳元で囁(ささや)いた。「こんなに震えて、かわいそうに……よし! これから、僕と一緒に暮ら... [続きを読む]
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- 2008/06/24 23:59僕と翔太(1)
- 何ともなく、ただ、ぼんやりと雨の中を歩いていた。 そこに今にも倒れそうなほど、衰弱している一匹の子犬に出会った。「こんな所で歩いていたら、車に轢(ひ)かれるぞ」 その瞬間、衝撃的な悲しい思い出が走馬灯(そうまとう)のように蘇った。「お兄ちゃん、これあげる」 弟はブロックの一欠片を小さい手でぎゅっと握っていた。「ありがとう、翔太(しょうた)はいつもやさしいね」 翔太はいつでもお兄ちゃんの傍にくっ... [続きを読む]
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