|
- 2008/08/30 21:57赤いマニキュア <後編>
- そうやって、爪を伸ばしていることがごく当たり前に感じるようになって、あらためて自分の爪を観察すると、なかなかキレイな形をしていることに気づく。適度に厚みがあり、細くてピンクの部分が縦長で、指先を軽く包むような形をしていた。キレイな指先だね、と言われることも多くなった。そうなると、今まで隠そうとしていた反動か、より目立つように人目につくようにしたいという衝動にかられるように なり、自分では ... [続きを読む]
|
- 2008/08/20 22:50赤いマニキュア <前編>
- 私には爪を噛む癖があった。小学校に上がる前からあったと思う。20年以上まわりから注意され続けたけど直らなかった。学校の先生からも怒られた。私の爪を見て汚らしい、とののしった小学校の担任のゆがんだ表情と冷たい視線は今でも鮮明に思い出せる。 常に私の爪がどんな風だったかというと、まず極限に短く、表面のつるつるした面は剥ぎ取られ爪の繊維がむき出しになってがさがさしている。つめ周辺の皮はめくれ、薄 ... [続きを読む]
|
- 2008/08/12 20:50島の家<後編>
- 彼女は結局帰ってはこなかった。僕は猫に餌をやり、一人で夕食をすまし、一人で布団に入った。一ヶ月以上ここでこれと同じ生活を続けてきたのに、昨日一晩の出来事があっただけで、今の生活がひどく寂しいと感じるようになってしまった。 僕は彼女の肌の感触を思い出しつつ、ゆっくりと眠りについた。 次の日、昨日は来なかった川田のおじさんが、いつもより早い時間にやってきた。「今日は漁には出なかったんですか ... [続きを読む]
|
- 2008/08/11 19:58島の家 <前編>
- (注意)性的な表現が含まれていますので御了承ください。 僕がこの新しい家に慣れることはそう難しくはなかった。 一戸建ての平屋ではあるが、六畳の和室と六畳のキッチン、あと風呂とトイレというシンプルなものだった。築年数は30年くらいらしいが、手入れが行き届いていてとてもそんな古い建物には見えない。水まわりもとても清潔だった。 和室の道路側に大きな窓があり、玄関代わりにそこから出入りして ... [続きを読む]
|
- 2008/08/08 23:03凍りつく目 <後編>
- 私の前のソファーに、リアーナがゆったりと座っている。きれいな形のふくらはぎが目に付いた。 私の知っている頃の彼女とは随分と印象が違った。洋服やヘアスタイルのせいかもしれない。 彼女はうっすらと笑みをうかべる。「美由紀さん、おひさしぶりね。元気にしてた」 眩しそうな目をしていった。「ええ、それなりに」 私はリアーナを見た。「あなたのことがとても気がかりだったの」 その言葉に私は彼女から目を ... [続きを読む]
|
|
|
- 2008/08/08 22:37凍りつく目 (前編)
- 私は今日、昔の男に会おうとしている。 三年前の冬、彼から別れを告げられた私は彼を憎み、自分を責めた。 自分の未来に希望が持てず、多くの無意味な時間を過ごしたが、その記憶はほとんど残っていない。 幸いにも、惨めで、不幸で、救いようの無い記憶は、強制的に部分的に削除されていた。 だから私は男に会いにいける。 私はシャワーを浴び、丁寧に体を洗う。洋服は前日から選んで用意している。下着はブランド ... [続きを読む]
|
- 2008/08/05 19:31やわらかな手のひら <後編>
- 美沙は迷っていた。 さっきから美沙の視線は時計と係長のデスクをいったりきたりしていた。 時計は九時を十五分過ぎたところだった。 美沙は誰も居ない向かいのデスクに視線を移すと決心したかのように口を開いた。「小野田係長」 思ったより大きな声が出てしまって美沙は次の言葉にためらった。「なんだ、町田」 小野田のほうも一瞬驚いたような表情をみせてから美沙の呼びかけに応えた。「森田さんが出社していま ... [続きを読む]
|
- 2008/08/03 23:56やわらかな手のひら <前編>
- 僕の朝は早い。 東の空が白み始める頃僕は目覚める。 ゆっくりと両方の羽を伸ばし、足を伸ばす。くちばしを使って丁寧に羽根を繕う。頭はまだぼんやりしている。僕は眠いのを我慢して朝ごはんのシードをついばみ、新鮮な水を飲む。おや、なんだか今日の水はいつもと違う味がする。まずい。そういえばえさ入れの中に殻がたくさん残っていて中身の入ったシードを見つけるのに苦労した。きっと真奈が昨日キレイにするのを忘れた ... [続きを読む]
|
- 2008/08/03 18:38はじめに
- オリジナル小説を紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。 ... [続きを読む]
|