のら さん

のらさん: その線の向こう側
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プロフィール

ハンドル名のら さん
ブログタイトルその線の向こう側
サイト紹介文想像小説です。
自由文その線の向こう側の世界でのお話。
参加カテゴリー
更新頻度情報提供26回 / 44日(平均4.1回/週) - 参加 2008/08/08 18:05

のら さんのブログ記事

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  • 2008/08/09 15:04赤い薬
  • 私はその場に朝子を残し、海へ入る。ザブザブと、海の中へ進む。波が、私を引き寄せる。深みへと、私を引き寄せる。私は波に、身をまかせる。私の体は倒れる。スっと海に飲み込まれるように、静かに沈んでいく。ゆらゆらと、私は漂う。海と雨と、私の涙は混ざり合う。私の体も、キサと同じようになったらいい。私は海面に顔を出す。海の中で、息ができない。私には、なにもできない。雨は次第に強くなる。私は声をあげて泣く。空を... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 海面
  • 2008/08/08 22:59
  • 涙は止まらない。雨は降り続ける。夜子が部屋を出て行く。私はひとりになる。私は窓辺に立ち、雨を降らせる空の顔を見ている。下を見ると、朝子が見える。私は部屋を出て、エレベーターに乗る。1階下がったところでエレベーターは止まり、以前の同乗者が乗り込む。エレベーターが動き出す。私は斜め下の空間を見ている。これ、朝子様に。・・・朝子様。私は小さな盆栽のような物を受け取る。小さいが、立派な木が葉を茂らせる。鉢... [続きを読む]
  • 2008/08/08 14:22悲しい雨
  • 私もシャワーを浴びてくる。私はキサから目を逸らし、そそくさと部屋を出る。キサは部屋でひとり、ベッドに腰掛ける。海でサキコにあの姿を見せたのは、知ってほしかったから。あるとき急に見てしまったなら、きっと僕は嫌われてしまう。しかしそれは、意味のないことだったようだね。僕が先に目覚めていたならと、とても悔しい気持ちでいるよ。キサはひとり、うな垂れる。悲しい涙が、頬に水分を与える。部屋に戻ると、夜子が眠っ... [続きを読む]
  • 2008/08/07 14:47目覚めのキサ
  • 喉が渇き、冷蔵庫の冷たい水を飲む。キサが目覚める。私は言う。おはよう。キサは私を見、すぐに目を逸らし下を向く。髪で顔を隠している。そのまま急いでバスルームへ入っていく。シャワーの音が聞こえる。私は窓の外を見る。青い太陽が光っている。海は静かに、そこにある。私の心は乱れている。やあ、おはよう。バスルームのドアが開き、キサが笑顔を見せている。美しいキサ。私はなにも言えずただ、微笑む。可哀想なキサ。キサ... [続きを読む]
  • 2008/08/06 14:41キサ
  • 私たちは浜辺へ打ち上げられる。手をつないだままホテルへ戻り、エスカレーターに乗る。ひとりの同乗者が、びしょぬれの私たちをチラチラと見る。私たちのひとつ下の階でエレベーターを降りる。私はほっとする。僕はキサ。私、サキコ。私たちは微笑みあう。出会う運命だったんだねと、思う。キサの部屋に入り、キサはやかんをテーブルに置く。ふたりでベッドに倒れこみ、手をつないだまま眠る。深く、深く眠る。時は過ぎていく。過... [続きを読む]
  • 2008/08/04 16:22漂う
  • 私の腕に、脚に、肩に、首に。私の顔に、貼り付く。闇が、貼りついて離れない。息苦しく、私は細く細く、息をする。そのまま時は過ぎていく。1分なのか、1日なのかも分からない時間が過ぎていく。しかしどれだけ経っても、闇は貼りついたまま。私はどこにいるのだろう。もう、あの砂浜にはいないのか。自分が寝ているのか、起きているのかも分からない。私はずっと、そこにいる。そのうち私は体が浮き上がるのを感じる。途端に手... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 砂浜
  • 2008/08/03 17:09夜が来た
  • ただ、闇が見える。私は闇を、見ている。波の音が、聞こえる。砂の流れる音を聞いている。時間は、過ぎていく。ゆっくりと、時には速く。ずっと耳を澄ましていると、普段より遠くの音が聞こえる気がする。いつも聞いている音の向こう側を、私は聞いている。海水が、私の腰の高さまで達している。肌を、ひんやりとした空気が触る。水の温度が、少しずつ下がっていく。ずっとずっと、私はただ、座っている。気配を感じる。私の周りに... [続きを読む]
  • 2008/07/31 17:10
  • 私は立ち上がる。無理だと分かりつつも、歩き出そうとしてみる。私の足が、熱い壁にぶつかる。反射的に足を引っこめる。手を伸ばしてみる。反射的に、手を引っこめる。私の周りには、壁ができている。トリの作った熱い壁。見えない青い炎でできた壁。私は、再び座る。さっきと同じ態勢で。脚を腕でかかえる。私は、うなだれる。また、私の予言を忘れていましたね。隣に隣子が座っている。円の外の世界に、隣子は座っている。そうで... [続きを読む]
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  • 予言
  • 2008/07/31 15:04トリの眼
  • スキップしてスキップして。老婆の朝子が言う。私はまだ砂浜に座り、赤い肌の男を想う。ねえ、スキップしてよ。スキップスキップ。私は朝子に言う。ごめん朝子。今、そういう気分じゃないの。ごめんね。朝子が言う。スキップー。老婆が、スキップをねだる。私の肩を揺らしながら、スキップをねだる。私はだんだんと腹が立ち始め、朝子を無視する。それでも朝子はねだる。スキップしてスキップして。私は朝子をドンと押す。今はスキ... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 砂浜
  • 2008/07/24 23:22苦悩
  • 隣子が去った後、海岸に赤い肌の美しい男が現れる。腕にはやかんをかけている。美しい男は、海からやってきた。海の中から、最初は頭が出て、そのあと顔が出た。そして肩がでて、そのあと腰が出た。ズブズブと、歩み寄ってくる。腕にかけたやかんは、水でいっぱいになっている。歩くたびに少し、水がこぼれる。待っていてくれてありがとう。美しい男が言う。私は黙って美しい男を見る。美しい時は短いものだよ。それを引き延ばそう... [続きを読む]
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  • 海岸
  • 2008/07/24 22:28ふたつ目の予言
  • 私の予言を、忘れましたか?隣子は言う。やかんが危険だと。私は言う。隣子は少し小さな声で言う。語る貝殻は、投げるとやかんと同じになります。私が、やかんにしてしまったのだ。そして、隣子に助けられた。助けてくれて、ありがとう。隣子は小さく頷く。足に、隣子が捕んだ跡がついている。隣子の手を見ると、赤くなっている。次の予言をください。隣子は私の目を見て言う。もうひとつの、やかんにも気をつけて。私は思い出す。... [続きを読む]
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  • 予言
  • 2008/07/24 22:12溶けない私
  • 溶ける溶ける強い日差しの、その力強さに溶ける。なにもかも、溶けていく。残るものは何?それは私。私は強い。何にも、負けはしない。どこへ行っても、それは私を追ってくる。隠れる場所などない。ただひたすらに、逃げる。逃げることを、やめたらどうなるだろう。私は立ち止まる。日差しは降り注ぐ。私めがけて、降り注ぐ。私はわざと上を向いて、全身でそれを受け止める。それを、自分の力にしていく。そして目の前に、扉が現れ... [続きを読む]
  • 2008/07/22 18:22物語る貝殻3
  • 私は聞きました。ゴーという雨の音の後ろ側に、バサバサという音を。ずっとしていたのか、今初めてした音なのかはわかりません。でも次第にそのバサバサという音が、大きくなっていることに気付きました。私は走りました。夢中で山を駆け下りました。バサバサという音が、後ろから着いてきていることは分かっていました。でも、走るしかありませんでした。後ろを振り向く勇気など、持ち合わせていませんでした。私は木にぶつかり倒... [続きを読む]
  • 2008/07/16 12:56物語る貝殻2
  • 私は、貧弱なこどもでした。よく食べるのですが、体はいつもガリガリだったのです。こどもの頃から私は、こどもが嫌いでした。他のこどもと遊んでいても、頭のどこかでは関係のないことを考えていました。ちょっとしたことで騒ぎ、ちょっとしたことで泣き、ちょっとしたことで腹を立て、ちょっとしたことで・・・。とにかく、こどもっぽいことが嫌いなこどもでした。自分では、他のこどもと違うと思っていました。自分は大人である... [続きを読む]
  • 2008/07/16 12:17物語る貝殻
  • 美しい男が去り、私はその後ろ姿を見ている。キーボードの上で、フロントマンピアニストの髪がふわりとする。私はその髪を持ち上げる。髪の下から、あの長い長い指が出ている。不意に、その指が私の手を掴む。握手している形になる。フロントマンピアニストの髪がなびき、私は雷の音を聞く。長い長い指が私の手を離し、髪を羽のようにして浮き上がる。フロントカウンターの上に着地し、長い長い指がホテルの外を指す。私はフロント... [続きを読む]
  • 2008/07/14 16:09フロント
  • 私はフロントマンピアニストを探す。あの、ドロドロのブクブクはもう、見当たらない。跡形もない。ただ、フロントのパソコンのキーボードには、フロントマンピアニストの髪が、束になって覆いかぶさっている。私はフロントから出られない。見えない壁がある。私はフロントに立ち続ける。朝子がホテルに帰ってくる。「モスと言ったのに。」そう言い、朝子は立ち去る。エレベーターから隣子が歩いてくる。「このことは、あえて予言し... [続きを読む]
  • 2008/07/14 14:12小屋
  • ホテルを出ると、また知らない景色が広がる。私は辺りを走り回り、片目の白猫を探す。遠くの空に、モヤモヤと白いものがある。私はそこへ向かって走る。どこまで走っても、白いモヤモヤには辿り着かない。片目の白猫は、見つからない。私は大きな木の影に座り、体を休める。頭上に気配を感じ見上げると、朝子がいる。細い枝に、座っている。「朝子、また少し成長したね。」そういうと、朝子はだまって頷く。「私、片目の白猫を探し... [続きを読む]
  • 2008/07/12 16:45予言者 隣子
  • 私は夜子に頭を下げ、「ありがとうございました。」と言う。部屋を出た私は、隣人の部屋を訪ねる。ドアが開き、長い隣人が出てくる。部屋の奥には、朝子の姿がみえる。さっきより、少し大人っぽくなっている。「来ましたね。」隣人が言う。私は言う。「夜子が見せてくれました。」隣人は2度頷き、言う。「私は隣子と申します。あの方にお仕えしております。そして、予言をしております。」私は隣子がまた少し、長くなっていること... [続きを読む]
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  • 予言
  • 2008/07/12 14:44夜子
  • 私は目を開け、夜子を見る。夜子は私をまっすぐに見つめている。夜子の頭は禿げあがっているが、なにやら光を帯びている。見ていると、赤くて白くて細い細い髪がもわもわと生えてくる。夜子の目は光っている。夜子の髪はゆらゆらと四方八方へと広がる。天井や、壁につき、床につく。そのうち部屋全体に広がっていく。私の周りにも広がっている。夜子の光る目だけが、見える。そのうち髪は、私の体を包む。感触はやわらかく、しかし... [続きを読む]
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  • 天井
  • 2008/07/10 00:44隣人
  • 私は雲を放し、ホテルへ戻る。道の真ん中に、片目の白猫が長く伸びて寝転がる。「ありがとうございました。」私は片目の白猫にお辞儀をする。片目の白猫は、小さく頷く。フロントは空だった。私はエレベーターに乗り、部屋へ向かう。エレベーターは、フワフワと上昇していく。部屋に入ろうとすると、隣の部屋のドアが開く。長い女が出てくる。「こんにちわ。」すると長い女は私に言った。「朝子なら、こっちの部屋にいるわよ。」朝... [続きを読む]
  • 2008/07/09 21:30海を渡って
  • 私は海に近付き、その水に触れてみる。指が、海面に触る。海面を、指が伝う。見せかけの海だ。私は見せかけの海に足をつける。私は、海面に立っている。見せかけの海の中を、小さな、人の嫌うタイプのものがたくさん飛び交う。私は、歩き始める。足の裏に、絹のような感触がする。長い距離を歩き、途中そこに座り、また歩く。小型船が私の横を通り過ぎる。船員たちが、目と口をまんまるに開けている。私は船員たちに手を振る。ふと... [続きを読む]
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  • 海面
  • 2008/07/08 16:59片目の白猫
  • ずっと、眠っていた。目が覚めると、空はすぐ近くまできていた。私はそれを確かめるために外に出ることにした。エレベーターにはたくさんのキャンディーが落ちていて、私はそれを2つ拾い1つを口に入れた。その味は、どことなく夜の黒い海を思わせる。フロントの前を通ると、フロントマンピアニストは全身に美しい模様を浮かべている最中だった。その美しさを、私はひととき立ち止まり眺めていた。外へ出ると、来たときとは違う風... [続きを読む]
  • 2008/07/04 22:47部屋
  • 私はバッグを置き、ベッドに寝転ぶ。一気に疲れが押し寄せ、夢の中へ入っていく。夢の中ではさっきのピアニストがガラスのグランドピアノを弾き、そのまわりを兵隊が一列に並び行進する。ピアニストの指には電気が流れ、次第に力が強くなっている。そのうちに鍵盤が次々と音をたてて壊れていく。壊れゆくガラスの音さえも、美しいメロディを奏でる。ピアニストの体は膨れ上がり、兵隊たちを押しつぶす。兵隊たちは風船のように、パ... [続きを読む]
  • 2008/07/01 14:29ホテル
  • 私は、はっとした。このホテルはなんて、なんて宇宙規模なのだろう。まちがいなく、宇宙規模なホテルだ。ここに住みたい。いや、ここで毎日働きたい。しかしフロントに目をやった私は、それが叶わぬ夢だと悟った。私なんかではとても無理なのだ。チェックインしよう。私は素直に宿泊希望者に戻った。「あの、予約をしていないのですが泊まれますか。」大きくてグニャグニャのフロントマンは、エレガントに微笑む。「少々お待ち下さ... [続きを読む]
  • 2008/06/30 15:06決まっていたこと
  • 周りは何もないところだが、運良く1軒のホテルを見付けた。その場所に似合わず、近代的な建物。出来立てのような、真新しいホテルだ。私は足を踏み入れる。そういう風に、決まっていたのかもしれない。私が生まれてたときに、いや、生まれる前から、全てが決まっていた。出会いも別れも、なにもかも。... [続きを読む]
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