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- 2008/11/15 11:49(無題)
- 黒鳥の囁き / 中井英夫 「鏡のなかへの旅」「空き瓶ブルース」「死者の誘い」「炎色反応」「黒鳥の囁き」 ・・・いたたまれない。 壮麗で背徳的で、深い闇のような幻想の世界・・・というのではない。闇の色をした幻想の底の物語であることは間違いないのだが、何というか、もっとこう・・・しょぼくれた・・・情けなさ、やるせなさを、どうしようもなく感じさせる。 底なしに広がり、誰彼となく飲み込んでいく夢幻ではなく [続きを読む]
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- 2008/11/12 19:16歌舞伎百年百話 : 上村以和於
- 歌舞伎百年百話 / 上村以和於 團菊の死を起点として以降の歌舞伎百年を眺めていく 〜 一年毎にトピックを立て、その年の社会での出来事と歌舞伎界の動きをリンクさせながら語るというスタイルで書かれた本書。「いまある歌舞伎が、なぜ、どういう風にして、いまある姿と形で、いま私たちの前にあるのか、そのことをはっきりさせたい」という著者の言葉に背中を押された。 昭和の初頭までのことは、「未知のおはなし」とし... [続きを読む]
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- 2008/11/08 22:29孤島の鬼 : 江戸川乱歩
- 江戸川乱歩全集第4巻 孤島の鬼 / 江戸川乱歩 不可能殺人、美しい善玉と醜怪な悪玉、暗号、鬼の棲む島、地下洞窟での宝探し、悲しい恋情と煮えたぎる悪意。 乱歩お得意の猟奇と人外の美が、旺盛なサービス精神でたっぷり盛り込まれた長編。次から次へと色々なお楽しみ要素が投入されるのだけど、乱歩作品に時々感じられる描写の過剰さはなくて、純粋にストーリーを追って先へ先へと読み進んでいける。 そして、読後感を決定... [続きを読む]
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- 2008/11/05 21:45夢見る少年の昼と夜 : 福永武彦
- 夢みる少年の昼と夜 / 福永武彦 11の短編。静かに、じっと、夢を、記憶を、空想を、心にあるヴィジョンを見つめ続ける少年、娘、男、女。 「夢見る」「空想に耽る」・・・そんな生易しいものではない。ひたすら自分の内に目を凝らし、自ら遊ぶ、または囚われている幻想の世界を、もう一つの冷たい目が見続けている。自らを凝視する目は、ついにもう一人の自分を生み出して・・・。 何人とも共有することができない、自ら... [続きを読む]
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- 2008/11/01 20:53風流江戸雀 : 杉浦日向子
- 風流江戸雀 / 杉浦日向子 頭と最期に江戸川柳を配して、日向子さんが点描する泰平の江戸の風景。 かい巻を被って火鉢を抱えてたり、裾を端折って春雨の中を走ったり、浴衣の袖をまくって団扇を使ったり、一人所帯の長屋に転がって“ぷー”と屁をひってみたり。暑い日、寒い日、温い日の人々の暮らしが、ほんの数コマの中に微笑ましく描かれる。 ちっちゃな波風を立てながらも、だいたい幸せ。わびしい、やるせない時もある... [続きを読む]
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- 2008/10/29 20:27倒立する塔の殺人 : 皆川博子
- 倒立する塔の殺人 / 皆川博子 「倒立」・・・その言葉だけで、墜落するような感覚と、ただならぬものを見るだろうという予感に圧倒される。 戦時中のミッションスクール。 図書館の本の中にまぎれて、 ひっそり置かれた美しいノート。 蔓薔薇模様の囲みの中には、 タイトルだけが記されている。 『倒立する塔の殺人』。 少女たちの手で書き継がれる小説。少女の手から手へと託されるノート。「倒立」の感覚に満ちた小... [続きを読む]
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- 2008/10/25 20:53みずうみ : いしいしんじ
- みずうみ / いしいしんじ 満ちては引き、満ちては引き・・・繰り返す、繋がっている、停滞と胎動、死の沈黙と生の息吹、残酷な破壊と逞しく輝く創生。 何処とも知れないみずうみのある村に タクシー運転手の男の体に ニューヨークのアパートに ラ・アバナのホテルに カンクンの地下洞窟に 松本で暮らす夫婦のもとに “コポリ・コポリ”と満ちては溢れていく透明な水。溢れる水は、出口の開いた場所に雑多なガラクタと... [続きを読む]
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- 2008/10/22 20:40ムジカ・マキーナ : 高野史緒
- ムジカ・マキーナ / 高野史緒 理想の音楽とは? または、音楽の理想とは? 19世紀ヨーロッパを舞台に、荘厳とチープが、悪趣味と神聖が、どろどろのホラーと軽薄な笑いが混ざり合う物語。 自分の中で鳴り響く理想の音楽、音楽の理想を、究極の形でこの世に出現させる。狂おしい欲求に突き動かされ暗躍する者ども。 ウィーンに忽然と現れた《プレジャー・ドーム》。色とりどりの照明が煌き、フロアでは陶酔と狂乱の舞踊... [続きを読む]
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- 2008/10/18 20:58求愛瞳孔反射 : 穂村弘
- 求愛瞳孔反射 / 穂村弘恋とは眩しくて、そして生々しい現象だな。それが求愛ともなれば、もう… あ、恥ずかしい☆その人を見つめるキラキラした眼差しは、ちょっと角度を変えれギラギラした視線にフワフワした夢見心地は、どろどろした欲望に早変わりその人への一途な想いは、端からみるとちょっとキモい思い込みだったり…そんな瞳孔もひらきがちなあれこれに、愛という名のサーモンピンクのリボンをかけて☆FC2 Blog Ranking... [続きを読む]
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- 2008/10/15 20:10クレィドゥ・ザ・スカイ : 森博嗣
- クレィドゥ・ザ・スカイ / 森博嗣 シリーズの中で、一番忌々しくも、一番清々しくて、綺麗だと思ったのが、「スカイ・クロラ」のカンナミ・ユーヒチだった。理解されることを拒絶し、最小の抵抗・摩擦の中で軽々と空へと飛び上がっていったカンナミ・・・地上の重さをすべて捨てたかのようなその姿は、どうしようもない大きな欠落を感じさせたけれど、確かに泣きたくなるほど綺麗だった。 それに比べて、クサナギやクリタは... [続きを読む]
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- 2008/10/11 20:22マラケシュ心中 : 中山可穂
- マラケシュ心中 / 中山可穂 気鋭の女流歌人・緒川絢彦の、恩師の若く美しい妻・小川泉への宿命的な恋と漂白の旅。 ぼろぼろになりながら恋しい人を求めて、求めて、求めて・・・。中山可穂の小説を読むといつもその切実さにボロボロと泣けてしまうのだけど、やはり今回も・・・桜の樹の下で、絢彦が泉への恋を胸に秘めながら、おずおずと静かな会話を交わすシーンで堪らず涙がこぼれた。 しかし、その後の絢彦は、これまで... [続きを読む]
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- 2008/10/08 20:11高瀬川 : 平野啓一郎
- 高瀬川 / 平野啓一郎 実験的ともいえる短編4編を収録。私は「清水」と「追憶」が好きだ。 「清水」 境界が曖昧に溶けていく記憶と現実の間。記憶の中の現実の切れ間に閃く、肉体が感受する光、音、映像。 浮遊するように、幻のように、心の世界へと沈んでいきながら、外界と感応する肉体へと繋がる糸を手放さない 〜 私が存在する境界。「高瀬川」 男女の性的な交わりが延々と描写される。肉体的な感覚を拠り所にし... [続きを読む]
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- 2008/10/04 20:56むかしのはなし : 三浦しをん
- むかしのはなし / 三浦しをん 5人の女を転がすホスト。最期の時が近づく中、自分に一番何も求めなかった女にメールで託す物語。(かぐや姫) 飼い犬の散歩をしながら住宅地を眺めるうちに、空き巣の技術を身につけた男。(花咲か爺) あたしはあの人につくられた。恋をして、追いかけても追いかけても縮まらないあの人とあたしの距離。ただ、会いたい。会いたい。会いたい。(天女の羽衣) 世界の終わりを前に、愛する女... [続きを読む]
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- 2008/10/01 21:45謎の母 : 久世光彦
- 謎の母 / 久世光彦 黒いインバネスを羽織り、だらしなく涎で汚れた口で悪態をつき、卑屈に詫び、酒で濁った目で女にからみつきながら、少女・さくらには大切な「約束」ということを口にした小説家・朽木糺。 嘘つきで薄汚い小説家が抱く真実に、十五歳の女学生である少女は撃たれる。少女には小説家が、世の中への恥じらいに身をよじる幼子に見え、少女は小説家の「母」になる。 朽木とこの世での「信義」を分かち合い、朽... [続きを読む]
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- 2008/09/27 20:21くっすん大黒 : 町田康
- くっすん大黒 / 町田康 面白い!って言うのはひねりがなさ過ぎるなぁ。 軽妙な? 違う・・・ 珍妙な? ん〜何かそんな感じ? 町田氏独特の語り口、その迫力・押しの強さにぐんぐん持っていかれて読みきっちゃう感じ。 「くっすん大黒」「河原のアパラ」・・・いずれの主人公もいつのまにやら定職を離れ、何をしようというのでもなく、毎日酒を飲んでぐだぐだな生活をする男。だからと言って性格破綻した、または破滅に... [続きを読む]
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- 2008/09/24 21:30星のひと : 水森サトリ
- 星のひと / 水森サトリ ある日、ある時、ある町の、ある家族の家に、屋根を突き破って落ちてきた一つの隕石。隕石落下事件の周辺で、一瞬交差する人の想い。 「本当の自分」の生きる場所を探してあがく女子中学生(「ルナ」)。生まれることを望まれなかった息子、愛しているわけじゃない妻を守りきろうと、優しさの限りを尽くして頑張る男(「夏空オリオン」)。自分の心を偽らず、真っ直ぐに生きていこうとするく少年・ ... [続きを読む]
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- 2008/09/20 19:50雪屋のロッスさん : いしいしんじ
- 雪屋のロッスさん / いしいしんじ ひとりひとりがそれぞれの生を営む小さな宇宙。自分だけの喜びを、自分だけの温もりを、自分だけの悲しみを、自分だけの答えを抱いて。 苦い現実、残酷な出来事にさらされながらも、何にも傷つけられない、何にも侵されない硬質な小宇宙。 きれいに閉じて、それぞれに完結する小宇宙。一見、私には関わりの無い物語。しかし、私の周りにも確かにふるふると震える小さな宇宙があるの ... [続きを読む]
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- 2008/09/17 20:46無意味なものと不気味なもの : 春日武彦
- 無意味なものと不気味なもの / 春日武彦 読後に何ともおさまりの悪い、落ち着かない思いが残る書物がある。読者にそのような感覚を与えることを意図して書かれたものもあるが、著者の意図しないところで、また作品の本質とはずれたところで、割り切れない気持ち悪さ・正体不明の違和感を醸してしまう作品・・・そういう作品・書物に出会ったことのある方は多いと思う。そして後者の方が読者にとっては、よりぼんやりとした不 ... [続きを読む]
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- 2008/09/13 21:51ハル、ハル、ハル : 古川日出男
- ハル、ハル、ハル / 古川日出男 『この物語はきみが読んできた全部の物語の続編だ。』 「物語」が終わった後だって、「物語」が始まる前にだって、主人公は生きている。物語には「続編」がある。もちろんその「続編」にも同様に・・・。 人は物語を生きているわけじゃない。ただ、生きているだけだ。 世界が変わる瞬間。「自分を中心に世界が回っている」と、力強く、または回る世界の中心で自らも目を回しながら宣 [続きを読む]
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- 2008/09/10 20:16青空の卵 : 坂木司
- 青空の卵 / 坂木司 ひきこもり探偵が謎を解く! 一時期本屋の平積みでやたらと目に付いたこのシリーズ。どんな知的ゲームが展開されるかと期待したけど、ミステリとしては完全に期待ハズレ。謎の設定自体無理やり感があるし、謎解きの過程を楽しむってタイプの話でもない(論理的に謎を解くっていうより、直感がたまたま当たってるだけって気がする)。 という訳で、早々にミステリとして読むのはやめた。そうすると、も ... [続きを読む]
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- 2008/09/06 21:06写楽 : 大竹直子・皆川博子
- 写楽 /大竹直子 画 ・ 皆川博子 作 謎の浮世絵師・東洲斎写楽の正体を、役者に憧れ続けた稲荷町あがりの男として描いたドラマ。皆川博子のシナリオによる同名映画(’95公開)とのタイアップでの漫画版。 歌麿、鉄蔵(後の北斎)、京伝、蔦重、団十郎に後の鶴屋南北、十返舎一九、馬琴・・・錚々たるキャラクター総出演!という感じで賑々しい。 濃いめの良い男たちが次々と画面を彩り、かすかに胸焼けを覚えるほど ... [続きを読む]
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- 2008/09/03 20:19マンガに人生を学んで何が悪い? : 夏目房之介
- マンガに人生を学んで何が悪い? / 夏目房之介 60〜70年代に、それ自身の「思春期」といえる時代を経て人生を語りうる媒体になった日本のマンガ。 作者と読者の間の共感意識を生む事になった60〜70年代の漫画の変化、そこから育っていく「読者・作者共同体」(幻想であるとしても)・・・著者が実体験として感じているこれらのことを、私は実感として理解することができないし、やはりここでも語られる「24年組」の少女 ... [続きを読む]
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- 2008/08/30 19:01イナイ×イナイ : 森博嗣
- イナイ×イナイ / 森博嗣 S&Mシリーズ最初の2作しか読んだことないのに、Vシリーズ、Gシリーズは手に取ったことすらないのに・・・何か、たまたま目の前にあったので読んでみた。 旧家の広大なお屋敷、当主の死、美貌の双子、地下牢に閉じ込めらていると噂される行方不明の長男、口のきけない下男、秘密の通路・・・まるっきり横溝な道具立て。密室での凄惨な事件に、学校サボリがちの芸大生と、仕事できそうなおネエさん ... [続きを読む]
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- 2008/08/27 22:19スカイ・クロラ
- 「スカイ・クロラ」 監督:押井守 視覚的なイメージにあふれた森博嗣の小説を、実際に目に見える映像にすることの功罪、それぞれにあったと思う。 キルドレは、具体的な姿を持ったことで、随分とその性質が変わっているような気がする。キルドレ…大人にならず、永遠に子供のまま戦闘機に乗り空を飛び、殺しあいを続ける運命。小説での彼らは、自我を少しずつ手放して、どんどん軽く研ぎ澄まされていく存在で、そこからは善 [続きを読む]
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- 2008/08/23 21:20僕たちは池を食べた : 春日武彦
- 僕たちは池を食べた / 春日武彦 糾える縄のような人間の存在。 精神科医の奇想、悪意も秘めた思考・嗜好。 いつ何時全く異なる様相を呈するかわからない精神を抱えた、人間の不安定さ。 一つ一つの事象は至って日常的で生活感をも漂わせるものなのに、見る側、見られる側、何かを感受するもの、何かを発するもの〜精神科医と患者とされる人物が接触したところに現れる、少し日常的でない何か。 人の心を知るのは ... [続きを読む]
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