東北自動車道の側道から見える古墳がある。その名も“鶴ヶ塚古墳”(埼玉県加須市町屋新田)。墳頂には稲荷神社をはじめとする社が鎮座していて、「稲荷塚」とも呼ばれている。築造年代は不明で、かつて墳丘から靫形埴輪の下半部が出土したという。周囲は見渡す限りの水田である。かつては、鶴ヶ塚古墳以外の塚もあったのだろうが、その面影はどこにもない。鶴ヶ塚古墳にしろ、だいぶ変形しているようだ。神社が鎮座しているから唯一生き残ったのだろう。陸の孤島と呼ぶにふさわしい。いまだから言えることだが、子どもの夜泣きがひどいとき、鶴ヶ塚古墳まで足を延ばしていた。近所というわけではない。車を使わなければ行けない距離である。田園地帯だからかなり暗い。子どもがすぐに泣き止むような場所でもなかった。それなのに、引かれるように鶴ヶ塚古墳へ向かった...夜泣きに向かうは鶴ヶ塚古墳?