息吹 南山義民喜四郎伝
拍手が、鳴りやまなかった。観客の誰もが、力いっぱいに手をたたいた。老若男女、誰もが泣いていた。出演者たちも皆が大きな瞳からこぼれる涙を拭いもせずに観客に手を振り続けた。南会津に住む小学校3年生から高校3年生までの子供たちだ。12月5日、南会津町の御蔵入交流館で『息吹南山義民喜四郎伝』の初演が行われた。奥会津で喜四郎のことを知る者は、現在はとても少ない。でも300年前、この地が五万五千石の幕府直轄地、南山御蔵入領と呼ばれた頃の命をかけた百姓一揆の物語だ。南山御蔵入領とは、南会津全域と大沼郡全域、柳津町の一部であり、会津田島に代官所があった。当時の代官、山田八郎兵衛は、百姓から一年ごとに地租の率を上げたり、小穀割といった現在の消費税にあたる仕組みを考えて私服を肥やながら無慈悲な取り立てを行っていた。困り果てた百姓達...息吹南山義民喜四郎伝
2010/12/07 14:52