ファミリーバイアス
偏向というのは実に恐ろしいもので、渦中にいる人物はその歪みにさえ気付いていないのだ。では、どうやってその歪みを認識するかというと、外側にいる他者から顔をひっぱたかれるしかない。今回私の頬をはたいたのは、幸福な家庭、もしくは、そんな家庭に憧れを持った私自身だった。 西加奈子の本に出てくるような家庭が現実にあることを知った。放任主義だが,子どもにはしっかり理解のある両親,一緒に買い物に行くほど仲の良い兄弟,料理の上手な母親。話を書けば聞くほどはっきりとした輪郭が形作られ,「理想の家庭」は私の中でよりリアリティを増した。純粋に良い家庭に育てられていると感じた。良い育ち方をしていると感じた。だからこそ…
2021/06/12 23:22