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かすみ じゅん
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2018/04/07

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  • As the flower pieces fall

    ちるはら ふっと顕れる眼前に ひらちら 宙で瞬くように翻し するいら 浮き廻り漂いそっと 紛れ込む 斑点模様の絨毯なか 零れ静かに 降りてゆく花片達 傍えだけの桜並樹 柵に沿い林道の半ば 踏み留まり眺め その儚く麗しい姿を 辺りに立ち込める 甘い香りと 幻景が誘う束の間 夢...

  • Buried in waves of noise

    漸く訪れた春に 咽び泣く空の下 物憂げに満ちない桜も 艶やかな滴を 弾けそうな無数の蕾に 抱えてはまた零す 灰霧に滲む森 薄暗さ纏う並木道 悲雨に打たれるまま 虚ろな足を運び どこかで逸れた 追憶の欠片にすがる 取り戻せるものは 何にもありはしないけど 気を落とす両肩に ま...

  • Even if it's covered in darkness

    閑散とする街並みに 聳える唯一の旅宿 橙の灯りを落とした 取っ散らかった一室 真白な部屋が真っ黒な 陰で気味悪く染まる 明るみ始めたばかり 狭いひとつ窓を見詰め その優しい空の向こう 飛び立ちたいと淡く望み そうまた 行き止まりのない 苦悩の坂道を転げ落ちる 静寂に囚われた...

  • The fate of dropout

    ああな、まるで 魂を切り売りして 生き延びているみたいだ 誰のどんな役に 立っているとも知れず 俺は自分自身を綴る この減点方式の評価社会 どうにも遣る瀬なく 覆しようも無い real に打ちのめされる度 有りっ丈の思いを 腹から湧きだす渾身の力で 破格の紙切れに注ぎ込む ...

  • 問いかけるのさ自分自身に

    立て続けに起こる 職場での不測の事態 careless mistake やってらんねえな くだらない記憶夢に 柔頬をつねられ 起き抜けの重い瞼擦る めちゃんこ寒い未明 引っ込んだ空きっ腹で 齧り付く菓子パン 淹れたて熱々の緑茶 パンチの効いた渋みで覚醒 分かってんだよ 俺の...

  • 倒れる度に這い上がれ

    何ーにも plan通りに 運びゃしない そんな塩っぺえ時が 歩む背中に積もる日々 後味の悪い昼間の 気疲れ癒そと Free Tube ずらり並ぶお勧め動画 たらたら眺めても 毎晩お約束の タイトルばっか pick up うんざりし過ぎ click して観る気もしねえ 重い溜...

  • It's not that I don't like it, but

    noiseに占拠された すかすか髑髏の頭ん中 今、俺はいねぇな 草臥れてもないのに 何の考えも湧きゃあしない 高台にどっしりと鎮座する 洋城のような完璧なビル群 その周りに配置された 振動する金属boxの臓器 格子状に登り繋ぐ 亜鉛色の夥しい組鉄骨 血管みたく枝分け走る 重...

  • change yourself

    まるで世紀末のよう 有り得ねえ年明け 地震に火災に殺傷事件 とうの昔に 過ぎ去った筈なのにさ 世界の最期が 近付いてそな嫌な予感 どこまで走って 逃げてゆこうが実際 地球は丸いんだ また同じ居場所に 舞い戻って来るかな だからって 何もしない訳にも 行かねえだろうから いよ...

  • take action

    そりゃ仕方がねえよ 不遇な生い立ち呪っても どうにもなりゃしねえ その場限りの鬱憤晴らし 気分はすっきりだけど 現状が覆る訳でもねえ 塞ぎ込んでも荒れても ぶつくさ文句たれても 不満だらけの時間が 悪夢じみた辛い記憶を 過去に残して進んでく ああ、そうだよな 分かるぜ 言い...

  • little snow is back again

    虚無に支配された 覇気のない胸にぽっかり 口開けた洞穴は深く だんまりを決め込む 寒風に色褪せた景色は 静かに乾き だだっ広い峠路の外れに 留まって佇むばかり 表情をなくした顔で 半分気持ちは笑ったまま 誰の為の何ものでもない 上っ面のしがない自分 振り返り見詰めている だ...

  • 振り返り物思う淡き吐息と

    高く木立の向こう 鈍曇の切れ目に 覗く陽 絡む内の網枝を照らし 麓に急き走る北風が 見渡す情景に染まりゆく 森の樹々を騒がせる 家々で犇めくばかり 人影少ない寡黙な狭道 潜り抜け登った辺地 散る葉ら宙に踊り そしてふらり落ち かさり鳴って舞い転び 路壁の隅へ打ち留まり また...

  • when to stand up ━想い描く彼方に辿り着けるまで━

    いつから孤独に 慣れてしまったんだろう 記憶すら霞んで 信頼できる友たち 遠く何処へ 繋がりを断って久しい 振りかえり 気がつけば 長い長い歳月が過ぎ去った 一体どこに 向かって進んでいるのか、 今俺は寒空のなか 矛盾が入り乱れる 思考を頭に抱えたまま 枯れ藪に包まれた道程...

  • 想い出は葉屑のように

    待っているのかも知れない あの日からずっと 遠く夕陽が照らす 東の暮れ空を見詰めながら 待っているのかも知れない 記憶の中でずっと 薄闇に染まる峠の池畔 冷たい風吹くベンチに佇み 震える手の平を擦りながら 待っているのかも知れない 何もかも無茶苦茶に ぶち壊してしまいたい衝...

  • 名無し草 ─At the foot of the usual road─

    西空へ夜はぐれ星残し 明るみ始めた 仄暗い早朝の幹線道で 排煙の苦臭いトラック 疎らな車達がすっ飛ばす 俺は俺でいつものよう 気忙しく心拍数を上げ 原チャを唸らせて 小賢しく、ぶっ飛ばす 山裾のバイパスを潜る 脇道へと左折する 道なりに進んでいけば 痩せ川の橋路に繋がる 高...

  • おでんの種が芽吹く季節に

    きっと 逃避願望なんだろうな 冷んやりとする山気 狭い登坂路に被さる木陰 久々のんびりとした ブロッコリー型の雑林 入口付近に届き集まる 極めて密やかな囀り 何気に胸撫で下ろし 兎にも角にも落ち着く 山裾のありふれた場所 無心でゆるり と歩みながら 寒気に移ろう樹々や落ち葉...

  • 完熟放心 ─Rakugo language─

    ゴォンロゴロゥリリー グヮォンダウダララー 二日間もお休みもらいの 薄暗い部屋に日がな一日 ぐでぇっと寝そべり お前何してんのかって? 捻ってんのさぁ スッカラカンな頭ん中で なんかわかんないけど、 いいアイデア湧いて 出て来ねえかなって 気張ってもいるんだぜ う゛~ん ブ...

  • angel of literature ─液晶パネルの向こう側に─

    君のなかに俺からは 早朝の湖を臨むみたく 取り乱すものが微塵も見えない 透明なそよ風にそっと 送られてくるような手紙 受け取るだけだからかな 一体どこにいるんだい? とても柔らかに澄んだ 仄か柑橘の香りが浮かぶ 目映いほどに真っ白で Gも二の足を踏み 後退るような崇高潔癖な...

  • 線香花火 ─Summer Fling─

    曇りがちな日々に移ろう 猛暑を脱した 乾いた晴天 緑の高台 吹き下ろす風は踊りながら 煩わしい作業着の 皺くちゃな長袖シャツん中を 心地よく潜るんだ 別に変わったこと何か 全然ありゃしねえけど ただ煮え滾る真夏の監獄から 漸く抜け出せた感が すっきりとくっきりと頭上に だだ...

  • しがなき俺の卑屈な気持ち

    どっかに開いた針先程の 小穴から空気の抜けていく 萎んだ浮き輪に掴まって 自棄くそでバタつき 疲れて足着きゃ浅瀬に独り 遠い海原はまるで蜃気楼 一向に近づく気配なし おぅ、見詰める両の目は 涙の滲む虚しさの双眼鏡 俺ぁここ数年 無我夢中って程じゃないけど 懸命にぼちぼちとぼ...

  • With my dizzy head ー抜け出してクラつく頭でー

    膨れた熱を孕んだ空気 だらしなく脱力した 昼間の部屋を記憶に浮かべ 寡黙さだけが躰を素通り 浅い溜息が唇から漏れ 静かこめかみに意識は滲む 僅かばかり開けといた 少々破れた障子戸と 格子柄カーテン越しの窓から 涼風の仄かな柔かさが 瞳を閉じた横顔に触れる その感覚は寄る辺な...

  • what is the new policy ー何が新しい政策なんだ?ー

    ゲリラ的豪雨はstrike 怪しげな鈍雲集うなか 虎視眈々、俺達の動きを 見詰めつつ付け狙い 気が緩んだ隙を突き 意気なし猛烈な水傾れ 一気に打ち撒ける まるで国家包みの陰謀説 とんでもなく厄介で 狡猾な強か者だが この蒸し暑い季節には 嬉しいサプライズ 災害も恐いが案外 ...

  • overflow ━蒸熱地獄で激情噴火━

    七夕祭りの幟が 河原の土手道にずらり並ぶ 当日にはムレムレの 人混みで溢れてごった返し 打ち上げ花火なんかドンパン 沢山あがっちゃって 綺麗だねそうだね愉しいね 皆んな笑顔で頷き合い 酷朱夏の檻サウナで 茹であがったど頭に 超絶濃辛チリソース 打っ掛けられたみたく ドギツい...

  • 灼熱の残響 ーmy dear summer sunー

    必然唖然暑さのお釣 すかすかの心空 何処に行っちまったい 何事も省みない 天をも貫く勢いで吼えたてる 猛烈な激情 超然不屈の魂 今ではもう 抜け殻以上の脱ぎ捨て殻 残り滓以下の絞りカス 冷茶の飲み過ぎで たぷついた腹もついでに 掻っ浚ってくれよ ああ、 頗る気怠い蒸し風呂...

  • 悶々退治 ーagony exterminationー

    全くラチがあかねぇ 鬱屈の出所も行方知れず 得体の知れない  虚無に喘ぐ腹の内 俺は、 短い割り箸の先っぽで コッテリべとつく 黄金の水飴の塊に 運悪く捕まっちまった小羽虫 二進も三進もいかず 居たたまれない自分に 中途半端な青の一時が 白々しく注ぐ明け方 やわ風すら凪いだ...

  • 最底辺から大空へ飛びだす俺感

    腰低く優しさせびり 他人の親切 ちょいと拝借 貰うだけ貰って知らん振り 雷型に血走る 黄ばんだギョロ眼で 銭金の嫉妬 不幸をほのめかすように 嫌味を浴びせ高笑い なんか悪い女の霊に 夜な夜な精気を 吸い取られているような 年々痩せ細っていく 老いゆく躰が 皆は気がかりなだけ...

  • 桜樹の根元に埋めてくれ

    気力も尽きそな だらしなく緩んだ躰で 心も闇の中 人気のない 繁華街の路地裏を 仕事で ほっつき歩いてんだ ぽつぽつ 頼りないネオンの 薄光んなか すっとまた一片が てぃらら、ぴぃらら と 漂い踊りながら 時に前髪を掠め 胸元辺りの 少し先を横切り 不意を突き 足許に 不...

  • Very bad, late-night complaints

    ふっ飛んでしまえば 地球なんて 不謹慎なことを考えてしまう この、忙しい時期に ろくでもねぇな こん畜生め 夜更けの闇に囚われて 長閑な風と 月明かりの寂静 断崖絶壁に弛み立ち 有り得やしない ぶち当たる先の見えない フリーフォール ひと思いにこのまま ダイブしてやりてぇ ...

  • 降り剥がす 激雨は愚図つく心を

    毛布に包まる 枕元の闇に ノイズの洪水 突然、怒涛の如く傾れこみ 浅い眠りを打ち砕く 瞬く薄目から じわり次第 その高鳴る音嵐に 瞼は完全に剥かれ 快晴続きの 好記録 二週間余り 地に足つかず夢心地 突発的豪雨に破られた ほのぼのした 暖かな早春の日々が 一区切り ...

  • 茫然自失に抱かれる夜に

    雑樹山に囲まれた 隠れ里 細く縫い走る県道 暗に目醒めた猛獣たち 地の奥底で 唸り声を上げ 次々と アスファルトに 這い出し その重く分厚い響きは とっぷり闇色に暮れる 野放図の静寂に 頑強な釣鐘を 打ち鳴らすよう轟く 遠くから徐々に 近づき 頭蓋に潜り 電動ハンマで穿るよ...

  • ただ愉しげに 雨鳴りだけは

    外気に晒された 柔肌を 引き裂くよう 辛い痛みを浴びせては 酷しい寒さは また 何も告げず退いて 霧に霞む昼下り 隣で しれっと 丸めた背中向け 寝そべる 不機嫌に口を噤む 恋人のような 垂れ籠める天上と 窓越しの宙空に揺れ散る 細やかな 惑い雨のなかに いつかしら 胸に焼...

  • 吐き出せず 奮い起てず 泣き言は胸に堪えながら

    氷点下の激波が 山間部を襲う ぴりり骨まで麻痺る 指先を振っては 擦り合わせ 無駄踏みを繰り返し じんじんと 冷たさののたくる 足裏を宥めた そんな馴染めない 苛酷な日々が 続く、容赦なしに 陽漏れさえ 覗かぬ未明を へべれけの 轍も硬直する、 険しい道筋 スローペースで長...

  • dropping memories (滴る追憶)

    白黒縞の 小鳥が 無邪気な鳴き声を 砕石塗れの トラックヤードに転がして 番で 戯れ合う 帆布小屋の 短い桁幕へ 初陽に溶かされた霜が 光る雫を 拵えて ゆっくり落ちる その僅かな間、 こんなことを思った 音信不通になった 知性溢れる 気を病んだ か弱いあの人は...

  • looking back

    薄い残照が 緩やかな稜線を縁どる 遠退く夕空 冬の通り雨 ばさばさ と、短く降り弾け そして途絶え 七色を超えて 高角度の 巨大な虹が昇る (これは予兆なのか (偶然の悪戯なのか 色濃い印象が 脳裏に焼き付いたまま 場は見送られ 星屑の瞬きだす 夜の帷に橙の 焔の...

  • like me

    毎晩のように 浅い眠りの中 がなり立てて来やがる ねちっこい 過去の記憶を突っぱねて 明けない夜 を蹴り上げる 今日も 継ぎ接ぎだらけ 車検何か切れっ放しの おんぼろな身体で 下らない言葉 腹から捻りだし 書き散らしながら まるで公害噴火 このどうでもいい 頓珍漢な世界のな...

  • ささやかな幸せ

    今日も自分なり 頑張ったけど お帰り、なんて 誰も言ってはくれない 脱け殻になった 独り身の俺だけ いいさ、いいのさ ずっこけてばかり 出来損ないのポンコツで 誰に必要とされることも 誰に慕われる必要もない 勝手気儘 気持ち投げ遣り気味に 暮らすのさ 寝床にぶっ倒れ 溜...

  • stupid me

    廃れ切った 簾みたいな 隙間だらけの心のなか 空っ風が吹き抜ける 昨日の記憶にも 一昨日の記憶にも ダサい俺しか 見えては来ない スッ転がった気分で 天空を見上げたら ほんのりと 青みがかるだけの 無駄にだだっ広い 胸中の虚しさにそっくりで 「何か馬鹿みたいだ」 そんなこと...

  • 霧寂の過る繊細さと甘さ 折にそこに生けるものの激しい情動と

    何処へと 吸い寄せられるよう すうらりと流れる 朝霧に梳かれ艶剥け 弛い色鉛筆の スケッチにも似た かすれた風景のなか 暗色で身を包んだ 自分が佇む 顔前には 節くれ立つ梢がそそと 横疎らに伸びだし その腹と赤緑の 錆ゆく尖った葉先へ まるい雫を携え そっと光らせる 濡れた...

  • Another fall

    広く続くばかりの空で 斑に伸べる 鈍色の群雲達に 強い陽熱の 遮られた緩い早朝 そこから漏れだす か弱げな優しい光が 池面に流れる 淡い蒸気霧と静けさ 美しく包み照らし 山中に開けた 見晴らしのよい場景を クリアに浮きぼる 長息をひとつ放し 何げに俯く視線 足許に吹き溜まる...

  • 諸々のタスクは無常に至れり

    純愛映画かなんかで 感傷に浸り 瞳を潤ませる刻も割けず ただ、胸身に ひたすらになだれ込む 苦い重みをしょって 辛い登り坂道を もくもくと歩き続ける 先は東雲、帰りは暗闇 水鳥が不意つき 飛び去るように 過ぎゆく日々また日々 心太を食べ忘れ ビーチにもいかず 真っ黒に日焼け...

  • 寂れゆく風に心掬われ

    遠くを数える 眩い光を放つ ディスプレイの向こう側 雲行きの妖しい 黒ずんだ天上が広がる そう、遥か彼方にも 僕らは時々 もう過ぎ去った 記憶の零す残像を見る 嬉々と脳裡に思い描く 今はまだ細やか 朧げなビジョンも 薄っすらと くっきりと 視界の情景に浮かばせ 静けさのなか...

  • 卑しくも非情な血

    間違えない 俊敏で冷酷な爬虫類の 艶皮のよう鋭く 光り脈打つ 今、僕のなかに嘲笑う 穢れた血の色 入れ替えなくては 猛毒の混じる滑る液体を また輸血が必要だ 過去三度の 難手術で 継ぎ傷だらけの身体に 一刻も早く 色濃い熱帯びる人間の血 取り戻さねば 湿気にまみれた 苦る空...

  • 解け下る朱夏の熱

    透き通る飛沫 振り撒くように 降りては止む 翌朝の残雨 遠い景色を遮り 全方に 立ち込める 霧に呑まれた山林 白濁りのモザイクに 垣間見える 険しい木立の深く 絞り出すように 茹だる暑さ 名残惜しげに唄う 蛁蟟の叙情は 真っさらに 戻った胸へじわり沁む それに重なり 甲高く...

  • 御盆出勤消沈確定

    頭蓋のなかで 猟弾銃が撃ち放たれる 森木枝に休む鳥たちは 仰天し、 蒸した夕空へ 一斉に散り羽ばたいた 背中から 倒れ込んだのは何故か 六畳のマイルドな芝生 寸秒、皮膚呼吸まで静止 ぐうの音もでない ぼろ布に成り果てた 役たたずな生もの 灼熱に蕩けた脳味噌で 何とか直立し続...

  • 瞬く幻影の淵へ 彷徨いただ無心に 落ち委ねるままに

    完全な真夏の 熱い陽射しを 全身に浴びながら 火照る肌を潤すように すうっと靡く 絹帯のような 風が触れる、時に 側道を足早に 進む 人影 洗い晒しの 爽や香りを清しく退ける そのなかにはきっと 浮きつ流る 粒汗の匂いも 前面に背に 見渡す ストレートロード この道は遥か西...

  • 胸撫で晴らす梅雨の戻りに

    久方ぶり 夏夕刻の空に鈍く転がる 豪大な重低音 せなせな と寂しげに下る蜩の声は 次第 仄明る 薄帷の向こうで 人気ない通りに 浮かび始めた 細かな雨脚の響くなか 遅れ拍子で 地面に打ち弾ける 甲高い雨垂れに また一瞬 手品のように隠されては か弱く零れ 暮れ泥む 今日の外...

  • 時として飛躍し過ぎた内在的思想は昇華へ至らず

    峠脇路の下り端 上目に眺む折 斑模様に流れる 汚れ雲間から照す丸陽 山型に落ちた 木陰に留まり しおらかに戦ぐ 枝葉の涼を 無意識に嗅ぎ過ごす と不意に颯爽 圧倒的な勢いで吹きつける 突風が緩い眠気を揺すり その直後 多次元宇宙の あらゆる処 梱包緩衝材の空気玉 一粒を両手...

  • バリ暑に逆上せる心はエスケイプ

    あら不思議 こんなことまで 出来ますよ的な プロバカンダ どっぷり浸って 豊かな生活 夢に見る 日に十件は来るPR広告 悪質な迷惑メール 全て削除するを クリックします 放送終了後三十分 今ならなんと 半額の割引価格 で特別ご奉仕 送料無料 分割手数料無料 ...

  • このままふらっと

    薄れだす藍の帷 せせこまし住宅街 涼らと 風だけ吹き通す 目醒めたままの くしゃくしゃ頭 後ろに反らして 細く開けた屋根間に高く 快夏青天 きらりと重なり 珠には も少し遠くに行けよ 何て語りかける 草臥れ尽くして 眠るだけ 日々ゆく躰は重いけど まだまだ ちょいと もうひ...

  • 鎮む熱り 途の鳴り頻る その声を無尽に浴び

    未だ 梅雨も降りださぬまま 夜闇、 深く静まる 紺色の刻は瞬きもせず 満開に晴れ渡り もう 昇りもせず 暮れもしない火輪 明日に目醒めた半球で 今頃きっと 厳めしく睨みを利かし 輝いていることだろう 茹だる暑さに涼し風   アンバランスな毎日 ...

  • 解き放される瞬間は ありふれた道程のなかに

    生温い空気が 淀み、籠り始めた 穴蔵から 飛びだし走り出す 剰りにも爽やかな 鮮緑の情景 目一杯 吸い込みながら 追い越してゆく いつもの寄り道 いつもと違い 広々と 開き、満ち満ちて 光り揺蕩う 貯水池の畔 からりと乾いた 快晴の眩さ 初夏の昼下がり 典雅に 団扇から生ま...

  • 論理的推考で計る 自身喪失の距離

    冷やりと 透き通る 瑠璃色と思しき ビー玉が 空っぽの頭蓋のなかを 不可思議な速度で 転げつつ 回っている その 遠心力と微揺動が 宙空に薄ら 映し出されるのを 熊の縫いぐるみのように 眺めている 上がり目の 角度は依然 曖昧に游いでいて ここぞとばかり 振り下ろす 虫取網...

  • 心放され 舞い進み 澄んだ薄明を渡るとき

    触れられはしない けど、時折 ひっそりと 浸ることのできる 曇りのない 清らかな 透明感 例えば、 白み始めたばかり 人気少ない早朝の 街場景に 湿らかに充ちる 冷たい静寂のなかに ちょっぴり 嫌味のない程度 スパイスが 振り掛けられる 硝子コップに注がれた 炭...

  • 描けぬ毎次 刻の却き 眺め過ぐ夜長の後ろで

    変則で命中 深夜勤務 通い途上に立ち寄る 近く藪沼が隠れた 傾き気味の広い路側帯  細く 伸び掲ぐ外灯の 白明かりに 擦られ 薄く照らし出される 乱れた種々 雑木類の形 輪郭 涼やかで無色な匂い を呼吸する 足元の先に 絡む迷い草 小さな獣達だけが 入り込めるほどの 隙間を...

  • 潰え逸れた 破れ心に さざめきの落つ

    扱き下ろす 罵り言葉 悪戯書きの消えない 開かずの廃倉庫 打ちっぱなしの コンクリート壁を 虚ろに 見詰めている 子どぶ鼠逹が 真闇を塞ぐ 茶錆びた鉄格子 から 薄明る外界へ 駿足で駆け降りる 尖った斜模様に湿り込む 残影 嵐めく 荒れ風、乱れ雨 微水片が ばらばら 飛び散...

  • 虚脱した身心へ 無慈悲にも 度重ね上塗らる

    まだ星月達の 煌々と覗いた 早朝の闇から 西陽の厳つい夕刻 まで 仕方のない精一杯 無気力になるまで 納得のうえ 目の眩むような忙しさ を 食い扶持目当てに 働いただけ 沸点を越えた 脳味噌に 消火液を 満遍なく浴びせかける 最善の選択 冷たい室陰に 滑り込む 薄窓帷で...

  • 淡き桜は開け 明暗の時を 澄み空に深く刻み

    さらり 舞い踊り、 はらり 降りゆく 幾千の花びら その 芳しい匂いのなか 滑るように 潜りながら 通りすぎる 目映さの裏 俯いた世間 何気に捲る 春の日々 いつの間にか 青い葉の新たに生まれた 細い銀の枝に 柔か花の満ちる 並木の記憶を 思い浮かべて その樹の...

  • 慵刻に見ゆ 顛末は遠く 微笑を浮かべ翻り

    淡青に澄み渡る 微塵の重さも 感じさせない 剰りの目映さ 手狭な室内の影に 見開いた瞳が 鮮明に捉え 映し出す あの 燃え尽きない空に 一握り程のはぐれ雲が それは南方位へと 強く圧し浚う 素早い、七色の風に 打たれ 散り 解けるように変化する 軟らかに 姿を変えてゆく...

  • ぱらり 春の色齣

    あの日は どうして 冬退け風が コンクリートの丘にまで しゅしゅしゅしゅ しゅしゅら と吹き踊り あれやもこれやも 散らかし放題 眼下に敷かれた 電子基盤そっくりな 都市街並みの遊園地 戯れて跳んで はしゃいで、滑る ひゃららいら 捲る日、田舎を ぶーらりら 長閑に目覚め...

  • どれだけ辛くとも 季節は 新たな頁を捲り続ける

    もう一人の 自分が 前頭葉の付近で 無意識に呟く 頼みもしないのに 巡る 暖かな春は 厄介な荷物を 引っ提げてやって来た と 疫病に蝕まれた この混沌とする世の中に またも 繰り返す、戦禍の報道 誰しもが望む 明日の平和を 踏みにじるように 毎度の帰宅ラッシュ ...

  • 綿ジャケ内の重ね着も共に越冬す

    春めいて来た というのかな、こんな時 しぶい眼を瞬かせる 朝一番 鼻先を擽る 毛布の暗闇のなか いつもの芋虫スタイル 今日は寒さで 身体が震えない 二度寝三度寝、繰り返し のんびりと床上に転ぶ 満足のゆく快眠に ぱっちりと冴えた瞳 近く電線に留まる雀も スローテンポ 気持ち...

  • 低感情レベル養成気圧配置

    深い眠りから 目覚めかけた 季節の境 狂った方位磁針のように 惑う空は 粉雪を乱舞させて ほんの近場まで 急ぎの買い出し 躰に食らいつく酷風 痛いほど鋭利に 表皮を切りつける 半透明な 買い物ビニル 二袋 一杯に詰め込まれた 一週間分の食糧を 僅か十分にも満たない距離 乾...

  • quarter rest

    散々 降って また、ちらり と 暗宙に踊り始めた 今年の雪はいつまで続く 真っ黒に 塗り潰された夜更け 週末の街灯が 透き通る光で照らしだす スローモーション ふわり優しく 何度目の幻想 数え忘れ 眺めている 空高く、 闇の向こう 飛びたって 自在に羽ばたいている 幾億の ...

  • 染みつき 拭い去れず 黙夜を嫉む

    うっすらと黄ばみ 埃を被った デジタル式カメラ 液晶画像は繰られる 一年前 から すらりと進め 二年、三年前 彩る季節は廻り 四年前 その ひと齣に眼を留めた この秋の頃 一体 どんな風に暮らして と 遡る、風景写真のなか 透き通る せせらぎに 艶々と 飛沫に濡れる 石...

  • 吐息のくゆる その苟且を 追い擦るように

    夜空を充たしながら 漂流していく 暗い雲塊を 腹の底に抱え 噴き出し続けるように 留まらず 途切れもせず 疲れの欠片も見せない 重々しく、木霊する 機械獣の唸り 清潔に保たれた 近代工業施設 コンビナート設備から 飛びだして 入り組む迷路の中を 隅々まで潜り、通り抜け、 ...

  • 決然としない胸は内に秘めた己を放す

    最西の果てに 沈んで泥む 降り陽から逃れるように 残照に映え 紅緋に燃え盛る 鬼顔犬が、翔る 紛紛と ちぎれ火を 後に撒き散らしながら その姿は 天井を ぎざぎざ と ざっくり 斜めに遮蔽された 宵寄り空に 高く引かれる 頑強な 鉄骨庇の下 左左、左側へ 奥へ しいん と...

  • 愉しさの裏側にあるもの

    精も根も 尽き果ててしまったように 茫然と呟く 半年と数ヵ月 気兼ねのいらない 愉快な同僚であり 信を置く 頼もしい、人生の先輩だった あなたの後ろ姿 「何か良いことないですかねぇ」 どうしても 話すことが出来なかった それ...

  • 晴れやかな 残り夢に変えて

    すっぽり包まる 毛布のなか じわりと、返す吐息の 暗がりに咲いた 清み解ける場景 くっきりと 知らしめるよう 無調色の 真珠色に 瞬き震える 綺羅星の群れ そう、あれは 冷たく澄んだ 峠の外れ 高い頭上に開いた 艶めく 未詳のアンブレラ その遥か東向こう 寡黙に廻る 眩い...

  • 白む吐息へ 彩る窓辺は こころに悴む冬を跨いで

    遠北から遥々と 吹き抜ける 上衣を押さえて 爽風颯風 梢より 振り開け、そう 散るら ら るらら 煌びやかな歌声が 響き渡るような 大輪の色葉が 咲き乱れる 鮮やかな 眺望は 春の野原が靡くよう いずれは総て 羽ばたいてゆく 残された、万枝の巣に さよならを告げて あなた...

  • 濁りへ、ぽつり 徐に 揺り解ける水輪を 見詰めるように

    アスファルトを賑わし 戯れ始めた かさつく落ち葉に紛れて 諦め顔で、日々を 数えているようにも 罅割れの増す くたびれた道路で 毎日のように 常用車のタイヤに轢き飛ばされ 何度でも踏みつけられ 歪に折り畳まれた ちょっとやそっとの煽りでは 捲られやしない重みを 醸す 薄汚...

  • 純情炸裂 ➳ 悲哀の秋枯れ的壮年。

    オマケ程度に敷地を取り巻く 狭い庭の 薄汚れた コンクリートに踏み出し進んだ 軒外れ サンダル履きな足もとの 仄明かりに うちと隣家の屋根の 高くて細い 透きまの紺空を仰げば いまだ、遠く散り失せた恋に患う 夜更けの僕を嘲るよう 乱視で近眼な瞳に 輪郭のボヤけた 未完成な円...

  • セピア色の傍観

    百十円で捌かれる 中古本の 幸運にも書棚から引き抜か れた 最後の頁の 最後の一行に なりたがっている のかも知れない 僕は この間 幹線路と 脇道二カ所で タイヤに轢かれた、 血塗れの亀を見た 駅前は、相変わらず 人で込み合っ...

  • Autumun secret

    見渡せる場所も 定かじゃない 漆黒に占拠された 地平からの出口を ゆらり香らせるような ダークブルーの すべらかな背中に 夥しく突き立ち、抜け落ちた 鋭く尖った針先が 最初にみたもの それが か弱い点滅を繰り返す 小さな 無数の 星々だったなんて そんな噓。 解体工事で ...

  • 脳内紛乱illusion.

    朝の陽は、 漸く、 ん しかし また、厳めしく昂まり またしても 二度寝の タイミングを 取り逃がした 熟睡不足の 僕が だらしない 軟体動物のように這いつくばる 小部屋の か薄い 格子柄カーテンという名の ご安心フィルターに濾過されて やんわりと 目映い熱光を投げかけ...

  • 眠れぬ夜の小さな手紙

    撫で下ろす胸と 移ろう季節に 今晩は。 展望台から見おろす 粒揃いの 街明かりで 敷き詰められ、 伸びやかに拡がる 煌びやかな情景のように 秋虫たちの賑やかに奏ずる 繊細で美しい 音律は 溢れるほどに 躰をとり巻く 闇へと踊り舞い とても、とても 浮き立つよ...

  • 汚れはする 磨り減らない上履きと、 似て

    仲秋の 未 明、 薄い紫の夜空は ゆるやかに 集う 鈍雲の群れに酔いしれる 丸月を 描いて 弄ぶ その裏側から 屑星、たちの やわらかな微笑が 降り注ぐよう 暗い森を下り 住宅の 犇めく路地に 滑りだし 普く散りばめられた 求愛の瞬きは 今も 絶えまなく そば...

  • 紲,refrain

    あ っ 涙 が 今、 確 かに ぬくもりが 伝う ゆらり 微睡む 追憶の 明 滅 する 胸へ 悴む冬の、 消入る ような 哀しみに 射たれるのか それとも 綻ぶ春に 触れ添う ような 喜びを、 傍らに懐くのか そっと 零れた ...

  • 湿った夕の傍ら

    くるくる 回る 雨の歩道 先ゆく、 まあるい 蝙蝠傘も ひやり と 脹ら脛 触れ抜ける この小風も その香りも 街色を縁どり 仄明かり 漏らす あの 訝り面した 、濁り雲 も 肌寒い朝 眠気を 醒まそうと、欠伸し 捻る 蛇口の取っ手も テーブル...

  • 八月を濡らす空と羽のある蛙

    読んでいる 食んでいる 縁までちゃんと舐めている 粒々点々 画面にとことこ 映える文字 半分 つまらないけど 半分 ほっとするんだ ぺとぺと ぼとぼと ぱたぱたと、拾い続ける 高性能な鼓膜 はは 長雨のこと ぎゃたん、と 金属の擦れ打つ音 甲高く 網...

  • 夏の幻 ー流れ落ちて 離れゆく汗、と

    vamp,vamp ジルバを 踊ろう そよ風の残した 透き通る靴を履いて 晴れ渡る緑の丘を越え 天空への螺旋を 舞い昇るように 乾き朽ちて 潰れ 鋪道に割れた落ち葉は ばらり、と 儚き運命 その尊い生を 慎ましく知らせて 大地を這う熱波が...

  • アスファルトへ打ち上げられた 人魚みたいに

    そうなのか、本当に 重い衝撃を 突き抜けた動転 フォーカスされる 砕かれた空 刹那 崩れるように 墜ちてゆく視線 束の間の平穏から 投げ出されて 真っ黒が敷かれた底へ 錆びついた過去に 滲むような 脆い光の向こう いつまでも割れない アブクに塗れながら 八十年代のどぶ川で...

  • 暑き日々と 雫

    刹那と言う名の あともう少し 届きそうに、差しだす指先から逸れた 永遠を流れる夢が 綺羅びやかな万華鏡のように 細目の瞳へ咲く 午後 照りつける天球の 坂道から逃れ着く 小部屋の陰に 吹き出すよう 汗ばむ胸へ 籠る熱 薄く曇った窓硝子に透かされる 繰り返す朝陽に焼けた 高い...

  • わがままに沁みる only rain.

    つかの間に 輝き 燃えて 瞬くほどに 小さく 頼りなく揺れ惑い 潰える、哀しい炎 渇いた沙 吹き抜ける風が 掠うよう、崩れゆく 夢か幻か 後退りする 春のリズムに乗せた 緩む呼吸に合わせ ぽっかりと放れる 暗闇に丸く 呑み込まれて 優しく儚げなメロディが 突き刺すように注...

  • 湾岸の休日にヒタル

    甘く香る刻が 涼しい海風と なめらかに混ざり、流れる 穏やかな朝の浜辺に そぞろと 軽く落ち着き のどかな景色を眺めている 眼の前に横たわる 瞬く青に塗られた 楕円形の隅っこでね ほら、あそこ 瞳を振った斜め左 半ばほどの 河口へと繋ぐ 高い大橋を潜った向こう岸の港...

  • ダッセン挿話

    えっと それもどれも 差し迫っちゃって んで? 慌てちゃって 焦っちゃって 逸っちゃって そんでぇ 跳ね起きちゃって 走り回っちゃって くたびれちゃって ぱたーん と! 動けなくなっちゃって ごろり寝転んじゃって ぽかんとしてたら うとうとしちゃって あれれっ、て。 やり残...

  • 切っかけはいつも 不明瞭な恋 ーUnclear loveー

    冷たさの戻りが 決して急ぐことのない春へ 穏やかに 放された空色 淡く、敷かれ列なる 雲の帯を見上げて ひとつずつ 擦りながら行方を追うと 遠く、ゆったりと鳶が廻る 凪いだ気温のグラフラインのように なだらかな稜の 裏側へ 階を辿るように 降りてゆく姿 すると、いつかの ...

  • その一言が欲しい 僕はただ ーCurrnttly,delusion

    誰かしらの 盲点につけ入るあざとさを 切り落としたい。 死貝のように、半開きの唇から 立ち上る吐息は ふらふわ、すわら か弱く細く 繋ぎ昇って 天井に打ち当たり ぶわりと崩れ ゆっくりと弾けるよう もあら、むやり 靡いて進め 延べ張り 満たし 淀んで、揺れる ーーああ、ほ...

  • 想い出より擬ひ 佇む、その恋す桜へと

    吹き溢るように ふいに向けた視先の奥へ 逸れ樹は交じる 蒼暗く茂り 伝う、葉むらのなかに 俯くよう 物悲しさを纏う身姿は 岸辺から遠く 凪いだ池面に滑り 敷き張られた 山影の上に 柔らかな朱華の三日月 嫋やかに伸せて 暈し、潤ませる 捲る春に辿り着いた 黄沙で霞む 覚束ない...

  • 凪ぐ春へ紡いで しめやかな雨は

    読み伏せた ぶ厚い私小説の裏表紙に しうと 安堵を吹きかける心は 溶け終わる季節に 何も、語ろうとはしない 悠宙へ委ねるままに どんな思いも足さず ただ、無為に漂う感覚だけが そっと頬に滑り 優しく瞼を置いた この果てなき場所に 時は揺蕩う 柔らかに刻み そして瞬くように...

  • 満ち溢る 薄紅のころへ想いかけて

    追うほどに 延べ進む 淡き青と見馴れた街の 止めどなく繋がる あの幸先の景色へ 僕らは いつになく上機嫌で 振り放つように賭し  飛び立つように駆け また廻り来る 未知の風に伸せて きっと 導を残し より遠く 悩みの尽きない、世界を誘うー 「素敵だね」って、そんな言葉 別に...

  • 騒めきの外れで ーただ、儘に添わす心の色を

    澄みやかに綴られる 軟らかに冷やり 滑らかでいて そして、しめやかに通す 山気の海を 漕ぎ進み うねる螺旋の帯 無暗に振り伸ばしたような 峠路、とつと逸れて 行き足と追い熱 途中へ置き残し 未だ、囀りの届かない 森なかを歩み降る 人影なき長い坂道に 葉なし並樹は ゆったり、...

  • 微睡みの夢路に雪はまた降り染む

    淡いセピアに 落ち着く彩色を滲ませ 息潜む、森の風景は眠るように とても柔らかで そして寂しげな陰を担い したためて じりじりと照りつける陽射しに 干上がりそうな、濁る水溜まりにも似た 剥きだしの砂底が 殺伐とはだく 荒地の姿を模す 郊外に見受ける公園の グラウンドほどの窪...

  • そぞろ辿れば郷の彩り

    細流の伝う その三千歩先で 微睡むように揺らぐ 鮮青な海を とめどない南の空に 暫し浮かべて ぴりりと横顔に滲みる 爽風の匂いと 冷たく淡に、過ぎる手触り そっと送る 静かな背へ 悴みほどけ正午前 なだらかな谷間 掬うように登る ゆったりと和みだし 綻ぶ軒並み うねうねと曲...

  • 冴え澄む冬日はまた 戻らずに翔る

    固いプルタブに 圧されて跳ね上がり 淡く香る ソーダ水の細かな気泡が 渇いた喉へとくとく運び転げ 愉快に弾けるように 冷たく吹き競う潮風は 艶めく深い エメラルドを想わせる 水面を乱し踊らせながら その漣を煌めかせて止まない 遠き過去に洗われた 戦渦の面影が入り混じる 弓な...

  • 浅し冬に薫るレモン

    暮れなずむ空陽がまた 目まぐるしくものんびりと駆けた 今日へお別れ 色濃く目映いオレンジに光る 背中まるめて ゆっくりと 西に高くはだかる山影に その向こう 谷懐を幾つも跨いだ 港湾から眺める島景にも しっとりと落ち着き始めたブルーへ 見送られるように じわりと隠れて そっ...

  • 憂い振れ奏づ夜色

    記憶に開かる 連写のフィルムには 刻々と移ろう半透明な彩葉が浮かび やわらかに流る風に 零れ舞う 孤独に泣き崩れるままに 彼方へ旅立った 儚い面影たちのように そっと 一片を拾い上げ 闇に塗られた虚空のしじまに放せば 胸に滴る涙の残響はくだけ 細かな泡粒になり ふわり揺れ昇...

  • 寄り立つよるべに幸せのカケラ

    澄み拡がり 明るさに満ちた 十一月の空を渡る 逸れ雲は 長閑なパントマイム 気まぐれに浮かべ漂う 森を辿る なだらかな曲がり路で 褪せた黒の毛皮を纏うスリムな旅猫 愛らしい撫で声 ひとつだけ残し 気品を湛えた足どりで 側溝の傍をしなやかに歩み 白やつれの増えた草むらの中へ ...

  • さやか季節の余白に浮かべて

    峠の森で 土砂崩れに抉られた爪痕が 乾き澄む空へ放される 秋づく景色を破ったまま 無残な姿をはだける 寸断された道路にも やさしい午後の陽差しは 柔らかな温もりを灯す 乱れ草からむ 雑樹の透き間に オリーブ色の池の水面は細やかに滲み やがて 幾重にも連なる さざ波を作り 煌...

  • シリウス ー霜月の夜空にー

    物言わぬ 深い森の開かれた隠しの底に 艶やかな黒を 滑らかに延ばす池の畔 闇道にぽつり 頭上で弱々しく 古い外灯は昼間の自分によく似て 頼りない微笑を浮かべているよう 辺りには 透き通る静けさがすべらかに流れ 独り 寒さに震える指を掌に握りながら 漏れだす息は目の前に 直ぐ...

  • PURASIOLITE

    -波打つノイズの海に やわらかに透き通る ピアノの音色を そっと乗せる 赤錆の滲む鉄骨の 複雑に組み込まれた 難解な立体パズル 整然と縦横に並び 歪曲しながら走り巡る 配管パイプの巧妙な迷路 積もる埃に汚された 剥きだしのコンクリートは 儚い役目を全うし終えた ...

  • 指先に灯す

    隣にいるのに 視線は変わらず 赤信号に静止する人型に向けられたまま まるで無関心を装う恋人のような 秋の街角 淋しさに痛む胸を擦る さすらい風が 冷たく幾度も吹き抜けて 輝きだす朝の空に 鱗になりきれない淡雲たちを 遠い南へ追いやってゆく 鳴りやまない喧騒は 交差点に溢れ ...

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