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祈るように 歌うように https://k-tanpopo.seesaa.net/

想ったこと、感じたことをシンプルな言葉で綴りたい。祈りのような、歌のような、そんな詩のブログです。

北野 つづみ
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住所
北海道
出身
北海道
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2006/04/28

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  • しあわせ

    もしかして なくしたというのは錯覚で どこかに 入っているんじゃないかと思って ポケットをひっくりかえしてみるけれど もしかして もっていたというのは錯覚で どこかで 見ただけなんじゃないかと思って カタログをめくってみたりもするけれど もしかして あるというのは錯覚で どこにもないんじゃないかと思って 泣いてみたりもするけれど 朝 鏡をのぞいたら そこにあったりする しあわせ

  • 貝殻

    砂浜に打ち捨てられた 無数の墓標 その面に 生の記憶を刻んだまま 亡骸の在り処を探して 波打ち際を 行きつ戻りつする 潮は引き 汐は満ち 星は近くなり また遠くなった 波に清められ 風に砕かれて 一粒の砂になったとき ようやく 自らの物語を きしきしと囁きはじめる 束縛から解かれて 砂浜でふと拾い上げた一つの墓標 その姿は わたしに とてもよく似ていた

  • 母親たちは戦争に反対する

    子どものいる暮らしは 賑やかで慌ただしい暮らし うれしいこともあれば悲しいこともある 山坂の多い毎日を たくさんの荷を背負って越えていくのは大変だから 絶えず忘れてゆくことが わたしたちには必要なのです 水に流すという言葉もあります 過去を水に流す 河川が多く水の豊かなこの国らしい言葉です 色とりどりのプラカードが街なかで揺れています クリスマスまでには忘れるだろうとだれかが云います そうか…

  • 壁を越えて

    あきらめを友としないで 目の前に立ちはだかる壁は 越えられないほど高くはないから むしろ流れる小川のよう あなたならきっと飛び越えられる なみだを伴侶としないで 踏み切る足元が ぬかるむから 雨で向こう岸が遠くなるまえに 急いで飛び越えてしまうのよ 空に高く伸びた鉄塔の天辺には 白い三日月が引っ掛かり 救難信号を出している ランドセルを背負った 子どもたちが横断歩道を駆けてゆく 信号はい…

  • 美しい言葉で

    汚い言葉しか覚えてこなかったと、昔を振り返る。 昭和二十年、終戦当時十一歳の少女だった母。 旧満州国で、中国の同じ年頃の子どもたちを からかい、馬鹿にする言葉ばかり覚え、口にしていた。 それを恥じも 疑いもしなかったと。 明るい真昼の、夏の青空の下で、 積み上げた材木のなかに隠れた。 隙間から聞こえる怒声と、悲鳴と、なにか 柔らかな物体が壊れる音。 怖ろしさで声も出せなかったことを 小さな胸の…

  • ☆みつめる

    雪の、白い結晶の、その針の先の 静かに溶けて、透明な水になるところを 放たれた、白い吐息の、その熱の 空に拡がって、消えてなくなる瞬間を みつめる びーだま がらすだま すいしょうたい 無機質のような有機質は、光は光のまま 影は影のまま すべてを透過させ、名づけることもしないのに 冬のさなか 風に吹かれても、梢に残っている一枚の枯葉に 生きることの意味を問い 天からまっすぐ、この手のひら…

  • ★線香花火

    さあ 夏休みももうすぐ終わり 宿題は全部済ませた 都合の良いことに 今夜は風がない 花火セットを片手に 子どもたちがはしゃぐ ろうそくを持って庭に出て 勢いよく火の噴き出す 手持ち花火を わあわあきゃあきゃあ 賑やかに終わらせると 最後に残るのはやはり 線香花火 頼りなげなこよりの先に 火をつけると 牡丹 松葉 柳 散り菊 植物の名まえの火花が 順番に手元を明るくしていく 繊細で儚い感じが…

  • ★五月

    五月だから鉢に花を植えた キンレンカとブルーサルビアと 白妙ギクを寄せ植えにした 隣の家の壊れた換気口に シジュウカラが出入りしている 五月だから 卵を抱いているのかもしれない 夕方から気温が低くなって 風も強くなり 雨も降り あまりの寒さにストーブを焚く 季節は進んでいるのかいないのか どっちつかずの五月 去年の秋につかまえた キアゲハの幼虫はまだ羽化しない いつがそのとき? 折りたたんで仕…

  • ★今日という日

    白根葵の蕾の色が 薄緑から紫に変わったこと つっぴいつっぴいと 朝の4時半に鳥に起こされること 桜が咲き始めたこと 梅も咲き始めたこと 蟻の巣も開店したこと 図書館へ行ったこと 買い物にも行ったこと 地場野菜の直売所が開いていて うれしかったこと あれもこれもと 野菜をいっぱい買ってしまったこと えんどう豆の入ったパンと さくらチョコレートのドーナッツを 買って食べたこと 午前中は晴れで洗濯…

  • ★春を待つ

    苦しい時に苦しいと言えないのって辛い 壊れてしまいそうな予感 余寒 今朝は雪がさらりと積もったよ せっかく地面が出ていたのに また白くなってしまった 春はまだかな 冬に逆戻り 光を掴もうとすると光は逃げてしまう 良いことのあとには悪いこと どこまでも幸せを追いかけようとする 固い意志 石 が 雪で 消えてしまいそうじゃない? 消えてしまいそうじゃない? 春はまだかな 小鳥が羽毛を膨らませ…

  • ★鳥打ち

    霧箱の中に迷い込んだ その鳥を撃ち落とそう 散弾銃で 一枚の羽根も散らさないで きれいに細胞核を撃ち抜こう あしたの方へと飛ぶ その鳥を撃ち落とそう 青空に乱射 心臓を一発で撃ち抜かないで やさしく風切羽根を切り裂こう ひこうき雲が一筋 猟犬たちは居眠り 枯れ草は風に鳴り 笛の音が低く響く 時間の向こう岸で待ち伏せる 鳥たちが 流星雨のように湖面に落ちてくる そのとき 猟犬たちは喜び勇ん…

  • ★この場所に

    眠たくてぐずっている、赤ん坊のよう。 隙間なくビルに囲まれた大通公園の、 低く狭い空を行ったり来たりしている 鳥の群れ。すでに陽は沈み薄暗がり、 音もなく降る雪。灰色の空はその色を さらに濃くしようとしているところだ。 ミュンヘンクリスマス市の賑やかさ。 明るさ。人いきれ。ほのかな微熱。浮 かれた気配。幸福感。それらのうえに、 いま、わたしたちはいる。 たくさんの問いのなかに生きて、一つ の…

  • ★名残

    まだ何か残っているのだろうか 空っぽにしたつもりだったのに それともただの名残だろうか 潮の香り かすかな湿り気 ひたひたと満ちてくるかもしれない 予感が震えるから まだ待っていようか、もう少し もう少し 遠く乾いた沖を眺めながら 2012.1.21

  • ★空を目指す

    垂直に抗う 重力に抗う 憧れのままに空を目指すものたちを わたしは美しいと思う 晩秋 裸になった木々の指先が その輪郭線が 空の薄まった青にくっきりと映える 露わになった天辺は木々の野心だ 家々の屋根の向こうに 高圧電線の鉄塔もすっくと立ち 青褪めた巨人のごとく空に逆らえば わたしもつま先立って両腕を伸ばす 人であることの重さを忘れ 空を目指す 2011.11.25

  • ★秋

    風に手を放す 木の葉が一斉に枝から離れ旅立つ 花のかわりに季節を色で染めて 紙吹雪のざわめく音を立て、旅立つ 秋は哀しい 指先は冷え、樹心は空洞になる けれども秋は 美しく、潔くもあるのだから 背筋をしゃんと伸ばし 真っ直ぐ進んでゆかねばならないのだ 風に舞う落ち葉から明日の囁き 夢を見よう くり返す風景は きっと永久に変わらない 2011.10.25

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