八下田 さん プロフィール

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八下田さん: エイトアンダーフィールド
ハンドル名八下田 さん
ブログタイトルエイトアンダーフィールド
ブログURLhttps://ameblo.jp/8-under/
サイト紹介文公園にたむろする不思議な二人組が、人間の生きたり死んだりを見送る話、書いてます。
自由文公園にたむろする不思議な二人組が、人間の生きたり死んだりを見送る話、書いてます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供27回 / 305日(平均0.6回/週) - 参加 2007/02/20 14:27

八下田 さんのブログ記事

  • 子犬のワルツ 7
  • しろたんは既にロック付きのドアの前にいて「あけてーあけてー」と言わんばかりにドアをコツコツ叩いていた。母親は脇目でそれを困惑した表情で見つつ、首から下げたカード式のキーを自動ドアの取っ手部分にかざすと、微かな電子音を上げドアが開らく。しろたんは待ち構えていたかのように、するり開いたドアの向こう側に行き、合間の部屋のソファーに深く腰掛け眠っっていた人物の前で止まった。母親が遅れてその部屋に入り、し [続きを読む]
  • 子犬のワルツ 6
  • 「よし、会わせてやろう。ユキトのおかあさんもおとうさんも、一緒に散歩するぞ」「えっ!?できるの!?で、でも、どうやって?」「とにかく、おかあさんとおとうさんを、公園まで連れていくか……ソレ、で」腰をかがめ、視線をユキトが抱っこしていたしろたんにわざとらしくジロリと見据える。「んーしろたん??」ユキトは抱えていたしろたんを不思議そうに二度三度横に振り、シロを仰ぐ。「しろたんを、こうしてみろ」腕を大袈 [続きを読む]
  • 子犬のワルツ 5
  • 「ユキト、あれは何?」「……え、あれ?あれは、しろたんだよ」指さした先は、元にいた病室。冷たく重い濃霧がいつの間にか病室の白い壁に吸い込まれ、何食わぬ顔して小児集中治療室に戻っていた。「……しろたん?」「しろたん」こくりと頷き、袖口で涙をふく。ユキトは鼻をすんとすすったのを最後に泣くのを止めていた。もっと泣くかと思った。「さっきいっしょにみたでしょ?おとーさんがボクに買ってくれた、あかちゃんのこ [続きを読む]
  • 子犬のワルツ 4
  • クロの奴なら、こんな時にのらりくらりと禁じ手使ってでも仕事こなすだろうに。だが、奴は別件でいない。なす術もなく、無意味に胸のポケットからストップウオッチを取り出す。ストップウオッチの画面は命のカウントダウンを淡々と刻んでいる。あと数分で、ユキトを送り出さなければ、ちょっとした惨事が待っている。それだけは避けたい、が。この子の歴史は、殆どがベッドの上だ。例え過去の夢を見せても、さほど楽しいものではな [続きを読む]
  • 子犬のワルツ 3
  • 白い無機質の壁には、若干その光景とは不釣り合いだが、色紙で出来たクマやちょうちょ、アニメキャラクターが貼られている。数々の医療機器から伸びるコードやカテーテルに繋がれた、少し体の小さな人々。その一つ、ユキトの母親は、その傍にずっと寄り添っていた入室時に被るキャップとマスクの下の顔には、深く刻まれた疲れた皺と、乾いた涙の跡。「ユキト、そろそろ向こう側へ行く時間、でも条件がある」いつの間にか母親の隣に [続きを読む]
  • そろそろ再開します
  • 話の途中で急にお休みしてすみません。ぱたりと忙しくなり、今、久しぶりにパソコン開けました。まだまだ忙しい日々ではございますが、体力のある時に少しでもアップできればと思います。もっと体力と時間が欲しいです。泣。 [続きを読む]
  • 五十辺公園物語・子犬のワルツ 2
  • 「ユキト。このブランコが終わったら、一回戻るか?」「えーなんでー?」「お父さんとお母さんに、挨拶」「……なんの?」けろっとした顔が、少しだけ曇った。「お別れ」「……やーだあ。もっとあそぶー!!」ふいと、ユキトと呼ばれた男の子は、再びフルパワーでブランコを漕ぎ始めた。この子の心残りは明白なのに、向き合おうとしない。向き合えないまま死を迎える事を避ける。それが「ワタシの仕事」そこは、いつもの広い公園。 [続きを読む]
  • 五十辺公園物語・子犬のワルツ 1
  • prologueあれは、桜の季節だった。シロは思った。神は何故、厄介な仕事をあえてワタシに毎度押し付けるのか。「ねえーしろたんー!こんどはこれー!!」「……わかった」その子供は、ちいさな男の子。まだ3歳位だろうか?その男の子は、既にこの派手な色の曲がりくねった巨大滑り台を16回登っては滑りを繰り返している。そしてそれら全ての遊びに、律儀に後ろから付き沿う。それも、仕事の一環だから。しかしながら、何度も何度 [続きを読む]
  • ざっくりと仕上がりました。
  • どうしても気に入らなかったので、かなりテコ入れして、ようやく今ざっくりですが仕上がりました。あとは校正やら何やらしてからのアップになります。時間が思ったよりかかりました。なんというか。実は目と鼻から汁を垂れ流しながら打ち込んでいました。ばっちいですね。今回はちょっと辛かった。ほんと。何やっているんでしょうね、自分。自分の脳内で生み出したキャラにかなり泣かされました。読者の方には、多分そうでもないか [続きを読む]
  • ミルキー、終わりました。次、がんばります。
  • こんにちは。相変わらずエア挨拶です。画面の向こう側に誰かいるのだろうか?この作品を読んでくれているのだろうか?もうそれだけです。まあ、それでも、読者がいてもいなくても、書き続けますが。ちょっと虚しいだけですハイ。実はこのお話達のいる公園は、実在します。場所だけお話の舞台に借りております。もう暫く行っていないので、暖かくなったらちょっと行ってみますが色々間違っていそう。フィクションだし、まあその辺ゆ [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 終
  • Epilogue通夜の席で、お局上司は寮母と話をした。それは、昔話。遠い遠い、昔話。「あの子は、ミルキーが大好きでしたよね、それは何故なら……」「こんにちは、ナナミちゃん」「……だぁれ?」たどたどしく聞き返したのは、細くて幼い、あの死んでしまった女性の面影がある、ちいさな子供。そして、挨拶をした女性。あの枯れ野原で泣きながら猫を探す中年女性が、まるで数十年若返った風貌をしていた。少しだけ、ナナミと言われた [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 8
  • そして、また辺りは静寂の黒に包まれた公園の光景が繰り広げられた。闇の中に、ひらひら舞う、白に限りなく近いピンクの花びら。逝ってしまった女性の指先に摘ままれた時の温度を失いながら地に落ちた。「んー、今回は割とあっさりだったなー」地に落ちた花びらを再びクロがつまみ、ふうっと再び宙に放つ。「ワタシの方は面倒だった」それを横目で見ていた無表情のシロは、若干疲れた口調で答えた。「まあ、おねえさんはアッサリだ [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 7
  • 「よいしょっと」男が私の脇に手をそっと沿え、まるで猫を持ち上げるかのようにヒョイと抱えた。「……あれ?」苦しかった息も、激痛が走っていた全身も、何もなく、まるで何もない普通の体。「隣だよー、本体は」「……本当」隣ではいつの間にか慌しく医者が駆けつけ、口に機材を突っ込んで蘇生を試みているようだった。ベッドには新しい赤い血の痕。「午後7時4分。死因、胃潰瘍による出血ショック。ご愁傷様でした。まあ〜、癌 [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 6
  • 入院から一ヶ月半。そういえばミルキーは見つかったのだろうか?お局上司に連絡を取ろうにも、スマホは解約したし、誰にも見舞いには来てほしくないと言ってしまった手前、会社に電話はあまりしたくない。ああ、我儘かもしれないけど、どうなったかくらい、教えて欲しいな。それとも……教えられない何かがあったのだろうか。頭を軽く振る。ミルキー。誰かに飼われていればいいな。一番辛い想像は、今の私には酷なので、しない。ぱ [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 5
  • 「やー、ミルキーちゃんってかわいいにゃんこだねー!俺の相方の白いやつとは正反対!」「あれ?ここは……」気が付くと、またあの黒のくたびれたスーツの男がベンチに座っていた。でも、そこはいつもの日向ぼっこしている公園でなく、ミルキーとはぐれたアパート近くの草むらだった。こんな所にはベンチなかったのに。「ねーねー、ちょっとだけ、あのおばさんのその後、見てみないかい?」「……?」言っている意味がよくわからな [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 4
  • 「ミルキー……どう、しよう」頭が真っ白になる。とにかく、探そう。どうしよう。「……ナナミ、さん?」不意に後ろから、知っている女性の声がした。「……あ、課長」何故か、そこにはお局上司がコートを片手に立っていた。「ナナミさん、そんな所でどうしたのですか?」「……えと、猫が、逃げてしまいまして」「猫?猫とは?」お局上司は相変わらず平坦に、表情一つ変えずに答えた。今は、お局上司の相手をしている暇などないの [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 3
  • 1人で入院の準備をする。何枚も何枚もタオルを畳み、この小さな家族を託す先はあるか、頭をめぐらせる。父は見たことすらない。私の母親は子供の頃一度会っただけで、今何処にいるか知らない。友人。施設の子たち。私を高校まで育ててくれた施設の寮母。だめだ、迷惑かけられない。みんなそれぞれの生活がある。タオルを畳む手がいつの間にか止まり、ぎゅっとタオルを握りしめた。すると、傍らに置いてあったスマホから着信を知ら [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 2
  • 秋のある日、早番で職場に着くと、通用門に段ボール箱が置かれていた。中を見ると、全身白くて鼻がピンク色をしていた子猫が隅に縮こまり震えていた。いつも機械的なお局上司に相談したら、愛護センターに連れて行くようにと、やはり機械的な指示されたが、私はそのまま動物愛護センターに行くふりをして、アパートに持ち帰ってしまった。ちいさな白い子猫は、真っ白でふわふわで、桜色の鼻と肉球。数時間前まで、もしかしたらお母 [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 ミルキー 1
  • 白くて清潔な室内には、淡々と心電図の音が響いていた。ここから見えるのは、白い天井と、カーテンを吊るすレール。簡易ベッドになるオレンジ色のソファー。窓。開かない窓の外は、今は空しか見えない。ああ、今日もいい天気。「ヒナタさん、注射の時間ですよ」担当医がノックして室内に入る。私は淡々と腕を投げ出し、その時を待つ。ゆっくりと、苦痛を除くための薬が腕を通し、体内に侵入してくる。ああ、今日も日向ぼっこ日和だ [続きを読む]
  • スプリンター終わりました、次、はじまります。
  • こんにちは。空気に向かってご挨拶です(白目)病院の傍の公園というか、実質病院が舞台なので、どうしても暗いお話が続きますが、次も暗いです。ちーん。おまけに分かりづらい主人公たちですみません。徐々に正体を曝せればと思っております。暗いお話だけだと自分がフギャーってなりそうですので、たまにギャグの回も入れようかと目下頭をひねっております。まあ、時間の空いた時にでも、スマホ片手に読んでいただければ幸いです [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 スプリンター 終
  • 泣き叫び、声の枯れ果てた中年の母親と、足のない、今、遺体になったばかりの少女のいる白く暗い部屋。そこには、慌しい動きがあった。「ナツミ!ナツミ!!ナツミ!!!」「……あ、か……ごほっ」先程、母親の背中を撫でていた看護師が動転して、小さく悲鳴をあげ一足先に戻ったドクターを呼びに足早にICU管理室へ駆けて行く。遺体だったはずの足を無くした少女の顔、目、心臓、血液、全てが動き出した。死を跳ね除け、必死に生 [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 スプリンター4
  • 「あと、1分51秒」白い子供は、再び無表情に戻りストップウオッチを読み上げる。「げげ、遊びすぎたかー、それじゃ、次」覚悟しておいてね、と小さく言い、黒い男がベッドに横たわった私にかけてあった、薄く白い医療用の生地を、おもむろに黒い男がバサリとひっぺ返した。「……!」「おじょうちゃんは、薄々わかっていたよね?」「……う」返事は、無理だった。裸で横たわっていた私の足。右は太もも半分からが包帯で団子のよ [続きを読む]
  • 五十辺公園物語 スプリンター 3
  • 「はーい遅かったねぇ〜」その扉の手前に、ひょろっとした背の高い若い男がニコニコしながら立っていた。こちらはまた、この白い子供とは対照的、というか、普通。黒髪を短めにカットして、普通の、少しくたびれた暗めのスーツを着ていた。色はよくわからない。黒かな?ネクタイも黒黒っぽい。そして、スーツの色とは対極に底なしに暢気で明るい口調である。「いまね、ちょっと仮に病室運ばれちゃったよ、おじょうちゃん」「……あ [続きを読む]
  • 五十辺公園物語・スプリンター 2
  • ねえ、ここは何処なの?わたし、どうしちゃったの? 街頭がついた公園は、ストレッチ設備目当ての会社帰りのサラリーマンがたまにやってくる程度で、基本的には静か。 ……だが。 ふわふわと地に足がつかない軽さで漂うというのは、この事なのだろうか?何か全てがおかしい。 だって、さっきまで部活から帰宅する前にコンビニに寄ってあんまん買ったまでは覚えている。そした [続きを読む]