みはる さん プロフィール

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みはるさん: およそ文学とは言い難いけれど。
ハンドル名みはる さん
ブログタイトルおよそ文学とは言い難いけれど。
ブログURLhttp://mhrmkb0451.blog.shinobi.jp/
サイト紹介文大阪が舞台のミステリー×青春×恋愛小説です。よろしければお立ち寄り下さい。あと、福山雅治さんの話も。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供12回 / 365日(平均0.2回/週) - 参加 2007/02/28 18:52

みはる さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 〜 終章 後 〜
  •  京都のホテルを出て、大阪に戻って来たのは夕方の五時を回った頃だった。陽がすっかり落ちてクリスマスイルミネーションの美しい街を一人でのんびり歩き、グランフロント大阪でイタリアワインを買って帰路についた。 御堂筋線を降りると駅前のビストロに寄り、夕食がてら酒を飲んだ。和洋両方の一品料理と美味い蕎麦を出すユニークな店で、自分で料理をする上でも参考になる最近のお気に入りだ。  白和えと刺身、だし巻き卵、 [続きを読む]
  • 〜 終章 前 〜
  • 終章 明日へ 昼の三時を過ぎる頃になって、ようやく芹沢宛てのプレゼントは届かなくなった。 刑事課のデスクで、芹沢はこれで今日いくつ目か分からないダンボールの箱詰めを作っていた。「――芹沢巡査部長」 声をかけられて顔を上げた。確かよその課の新人捜査員だった。しかしまだ芹沢の認識にはっきりとは定着していなかった。「えっと――」「武内です。武内衛、九月に西天満署生活安全課勤務を拝命されました。階級は巡査 [続きを読む]
  • 〜 第五章 5(後) 〜
  •  互いに誤解を抱いたままの林淑恵と中大路の母との“交渉”は、芹沢と二宮の登場によって実現することなく終わる。淑恵と久保は車でその場を去り、走って逃げた藤村とのちに合流して琵琶湖畔へ向かった。そして中大路を連れて山科の事務所へ移動するのだが、その際、中大路が抵抗をして久保の手下に痛めつけられ、頭に怪我を負う。料亭跡の裏庭に落ちていた血痕は中大路のものだった。 山科に移動したのち、久保は再度 [続きを読む]
  • 〜 第五章 5(前) 〜
  •         5  藤村の言葉は、その場の全員を黙らせた。みんな、ひどい言葉だとも、重い言葉だとも思わなかったが、身勝手だとも思えなかった。それは真澄も同じだった。「――五日前の夜、僕が真澄さんの前から姿を消した顛末はそんなところです」  中大路は言って何杯目かの紅茶を飲んだ。「その後のことは、だいたいはみなさんも把握いただいているかと」  林淑恵はその翌日の夜、最終の新幹線で神戸に着いた。その足 [続きを読む]
  • 〜 第五章 4(後) 〜
  • 「――芹沢さんは、皮肉屋さんなんですね」  中大路が苦笑いして言った。 「すいません、俺まで話の腰を折っちまった」  芹沢は顔をしかめ、バツが悪そうに首の後ろに手をやった。「どうぞ続けてください」「――五日前の夜、結婚式の打ち合わせを終えてマンションに帰ってきたとき、僕は通りの向かい側の少し離れたところに一台の車が停まっているのに気づきました。車に見覚えはありませんでしたが、それが連中なのではないか [続きを読む]
  • 〜 第五章 4(中) 〜
  •  九時を回り、部屋には少しずつ冷気が染みてきていた。麗子はオイルヒーターの設定温度を上げ、さりげなく真澄のそばに移動させた。 「――同窓会のあと、いろいろと悩みました。ビジネスとしてはどう考えても受け入れられない要求だと分かっていても、彼女に対するその――贖罪の気持ちが拭えず、また力になってあげたいという自惚れもあって、どうにかできないものかと――それで、本業の仕事を津田さんに任せて、慶福堂のこと [続きを読む]
  • 〜 第五章 4(前) 〜
  •          4  新横浜で新幹線を降り、在来線の乗り換え口に向かっていると、胸ポケットの電話が鳴った。 表示を見て少し動揺し、立ち止まって電話に出た。「――はい」《お疲れ様》「お疲れ様です」 《もう着いた?》「はい。ちょうど今」二宮は答えた。「今から横浜線に乗り換えるところです」 《乗り換えずに、改札を出たところで待ってて。すぐに迎えに行くから》 「え?」二宮はあたりを見回した。「警部、新横に来 [続きを読む]
  • 〜 第五章 3(後) 〜
  •  結局、中大路との心の溝は埋まらないまま、やがて失意の淑恵は帰国した。それっきりだった。付き合って九年目のことだった。 その後、中大路は商社を辞め、父親の経営する会社を引き継いだ。淑恵がどうしているかは分からないまま、つい最近まで過ごしてきたという。「――三ヶ月ちょっと前……夏の終わりでした。大学のゼミの同窓会の案内が届きました。海外赴任をきっかけにずっと参加できず、帰ってきてからもな [続きを読む]
  • 〜 第五章 3(中) 〜
  •  鍋島特製のチキンカレーを堪能したあと、真澄が持参したケーキと紅茶を前に、中大路が今回の一件について告白をはじめた。「──林淑恵さんは大学の同級生で、一回生のときから付き合っていました」 中大路は言った。「ちょ、ちょっと待って」と麗子が制し、戸惑いがちに隣の真澄に振り返った。 それを見て中大路は言った。「彼女には昨日、だいたいのことは話しました。だから今日はもう、大きく衝撃を与えるようなことはない [続きを読む]
  • 〜 第五章 3(前) 〜
  •          3 七時半過ぎに三上邸を訪れると、インターホンには鍋島が応対に出た。「──自分で入ってきてくれ。鍵開いてるから」 忙しそうだな、カレーは期待できそうだと芹沢は少し嬉しくなって門扉を潜った。 ダイニングのドアを開けると、食欲をそそるカレーの香りが鼻先に広がった。「お、美味そうな匂い」芹沢は思わず笑顔になった。 鍋島はキッチンでサラダを作っていた。「手伝ってくれ。テーブルセッティング [続きを読む]
  • 〜 第五章 2(後)〜
  •  その日の夕方、芹沢は二宮とともに京都駅に向かうタクシーの中にいた。「──遠いところを迎えに来てもらってすいませんでした」 二宮が言った。「しかも、わざわざ送っていただくなんて」「遠いって、電車で四十分だぜ」 芹沢はギプス姿の二宮を眺めた。左肩から上腕にかけて固定されており、ジャケットもコートも腕は通せずに羽織っているだけだったので、なんとも動きにくそうだった。「怪我人がよその土地で一人じゃ大 [続きを読む]
  • 〜 第五章 2(中) 〜
  •  二人が刑事部屋に戻ると、またいくつかの紙包みを持った市原香代が芹沢のデスクのそばで不機嫌そうに立っていた。「──はぁ。また怒ってら」受付カウンターの前で立ち止まり、芹沢は顔をしかめた。「もう気にすんな。どうせ一過性のもんや」鍋島は言った。「けど、毎回ああやって渡されると気にもするぜ」「もうほっといてくれって言うたらどうや」「それが言えたら苦労しねえよ」 芹沢はそう言うとため息をつき、間仕切り [続きを読む]
  • 〜 第五章 2(前) 〜
  •                  2  朝になって鍋島が出勤すると、刑事課の受付カウンターのすぐ内側で芹沢がまた届いたクリスマスプレゼントの整理をしていた。「まだやってるんか」 鍋島が声をかけると、芹沢は顔を上げた。「おう、手伝ってくれよ」「断る。自分でやれ」鍋島は眉をひそめた。「また香代ちゃんに睨まれる」「課長命令なんだよ。とにかくさっさと運び出せって」「 [続きを読む]
  • 〜 第五章 1(後) 〜
  •  静寂に包まれた病室のベッドで、二宮は寝付けずにいた。 左肩の痛みは、薬が効いていて感じずに済んでいた。脳しんとうの方も 大丈夫だ。  精神的ダメージはあるかというと、それなりに打たれてはいたが、さほど深刻でもない。  夕方にこの病院に運び込まれて、診察と処置を受け、医者の説明を聞き、入院の手続きをして山下署に明日の欠勤連絡を入れた。課長に嫌味を言われたが、それも特になんとも思わず受け入れた。そして [続きを読む]
  • 〜 第五章 1(中) 〜
  •  その頃、鍋島は自室で萩原と話していた。《──それにしても思いきったな。おまえがいきなりスマホなんて》 「やめろ。会話が途切れるごとにそれ言うの」 《せやかて、おまえにケータイ持たせることは、俺らの長年の懸案事項 やったんやからな》萩原は楽しそうだった。《それがいきなり、自分から 持つって言い出したんやろ。麗子から聞いたとき、俺は本気で思たで。 こりゃ天変地異が起きるぞって》 「ケータイごときで、大げさ [続きを読む]
  • 〜 第五章 1(前) 〜
  • 第五章 五日目/十二月二十二日            1 マンションの自室に戻った芹沢は、リビングに入るなりソファに倒れ込んだ。 クッションに顔をうずめ、ジャケットも着たままで窮屈だったが、一度そうなると もう動けなかった。帰ってすぐに風呂の湯を入れ始めたので、溜まるまでの あいだはせめてこうしているのが精一杯で、なんならこのまま眠ってしまいたい くらい、それはもう、心底疲れ切っていた。 長い一日だっ [続きを読む]
  • 〜 第四章 5(後) 〜
  •  マンションの前まで来た芹沢は、すぐには事務所の入口には向かわず、北隣の建物との間に伸びる通路を入った。  幅1.5メートルほどのその通路の奥は、マンションの裏側に続いていて、裏はゴミ置き場と車一台分ほどの臨時駐車スペースとなっていた。ゴミ置き場のそばには鉄製の非常階段があった。芹沢は非常階段を数段登り、一階の事務所の上階部分に当たる、二階の窓を見上げた。同じ階の他の部屋とは明らかに違って、小さな [続きを読む]
  • 〜 第四章 5(中) 〜
  •  山科区は京都市の南東部に位置し、昔から京都と東国を結ぶ交通の要衝であった。 北は同じ京都市の左京区、西は東山区、南は伏見(ふしみ)区と接しているが、東側は滋賀県大津(おおつ)市と隣接しているため、大津との結びつきも強い。江戸時代には山科と大津市の追分(おいわけ)までが東海道の街道筋として一つの町を作り、多くの行き交う人々で賑わったという。忠臣蔵で知られる大石内蔵助(おおいしくらのすけ)が山科の西 [続きを読む]
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