エルロマニコ さん プロフィール

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エルロマニコさん: スペイン・ロマネスク美術随想
ハンドル名エルロマニコ さん
ブログタイトルスペイン・ロマネスク美術随想
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/elromanicoes
サイト紹介文このキリスト教美術は心の乾いた時代に安らぎとなり、また自らの人生を省みるための心の糧となるでしょう。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供35回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2008/04/25 08:20

エルロマニコ さんのブログ記事

  • ロマネスク時代の金具
  •  私はロマネスク美術の研究に励んで十数年経ちましたが、一貫して誰かがロマネスク時代の鉄細工の研究をやってくれたらいいのになあと思っていました。 この度雑誌『Románico―revista de arte de amigos del románico』6月号の巻頭記事に≪Herrajesen el Románico≫(邦訳:ロマネスク美術における金具)という小文とともに聖堂の扉口と思われる四枚の写真が掲載されました。  執筆者は四氏でM.Rota Serra [続きを読む]
  • 洗礼者ヨハネの斬首
  • 写真:死刑執行人による斬首―San Miguel de Estella(Navarra)扉口迫石   (『Codex Aqvilarensis』2008より)  ここに載せた情景はナバラ州のサンティアゴ巡礼路に位置するEstella市の有名なサン・ミゲール教会の正面扉口アーチの迫石の一つに彫られた「洗礼者ヨハネの斬首」で、ダビデ王の娘サロメの求めに応じて王が彼の首を斬るよう指示し、ヨハネが執行人のモスリムによって正に斬首されようとしている情景です。    [続きを読む]
  • 仮想の妙 Magia Virtual
  • 岸田劉生「二人麗子像」2007.03.27日経 日本語になっている“バーチャル”という語は本来光学用語の「仮の」とか「虚の」意味らしい。美術(絵画や彫刻)の世界でこの概念が儘出てきます。  日経新聞の「日本美術のアバンギャルド十選」に、岸田劉生の油絵「二人麗子図」に関する一文が掲載されていて、彼の数ある麗子像の中でもこの絵は変わっています。  つまり一つの人格がかりそめに二人の姿として現れているのです。 こう [続きを読む]
  • 芥川龍之介のことども
  •  たまにはロマネスク美術の枠組みから離れて、没後90年目に当たる今年に、芥川龍之介のことに触れてみたいと思います。  私は芥川の天才的で一刀両断的な叡智に溢れた文章が好きで、今から丁度20年ほど前に全集まで買い込んだほどです。  先頃、岩波文庫から石割透編『芥川追想』が刊行されました。 この本は彼の先輩、友人、知人や身内たち同時代人48人の回想を編集したもので、私のような芥川の能力に傾倒している者にと [続きを読む]
  • クレー:ロマネスクの匂い
  • 写真1:「R荘Villa R」p.60、油絵、26.5x22.0?、1919スイスで刊行されたフランス語の本『KLEE, Etude Biographique et Critique』(Nello Ponente著、伊語からAlbert Skiraが仏語に翻訳したもの)を古書店でたまたま見つけて買ってきました。 パウル・クレーPaul Klee(1879-1940)の絵はなぜこんなに魅力があるのかと考え込み、いつまでも眺めながら時間の経つのを忘れています。彼はスイス生まれで、生涯の大部分をドイツで [続きを読む]
  • 美しいということ
  • 写真 :GERの聖母、12世紀、木彫32.5x20.5x14.5cm,MNAC蔵   (『El Románico el las colecciones del MNAC』より) 2017年8月初頭に、AREJホームページに岩越和紀様の素晴らしいイスパニア・ロマネスク紀行が掲載され、その節私は「醜を考える」と題し一文を共載させていただきましたので、今回は掲題の醜の反対概念である「美しい」ということについてこの場で取り上げておきましょう: 古今東西を問わず、「美」の概 [続きを読む]
  • 煉獄にいる修道士たち
  • Iglesia de Fuente-Urbel私はロマネスク美術に親しむようになってからずっと、聖堂の外壁や柱頭に浮かぶ「首」に非常に惹かれるものを感じ、自分でも不思議に思っていました。その理由を自分なりに胸奥深く探ってみると、どうやらこれらの首は死の世界に彷徨い、煉獄にいて天国に行く日を待ち望んでいるのではないかと思うようになりました。 現代の自然科学から言えばNonsenseと云えるかもしれませんが、私はこの世のすぐ裏側に [続きを読む]
  • 建築造形の妙―ル・コルビジェ
  •  写真: 日経新聞(H.16年10月4日)より  ロマネスク時代(11−12世紀)のキリスト教聖堂建築は、時代的要請に基づき、祈りと瞑想を重視するために、聖堂内部は「暗さ」(薄暗さというより暗闇)を必要条件にしていたと云えます。 その為当時は、外光を直接遮断する手法を善しとし、窓の空隙の面積を極端に小さくしました。鍵穴のように丸形の小さい穴にしたり、細く長くしたりしたのです。 所変われば品変わるで、拙著『神の [続きを読む]
  • ロマネスクの色
  •   グアダラハラのベレーニャ・デ・ソルベ教会扉口―「四季の労働」 掲題「ロマネスクの色」は、イスパニアの“Amigos del Románico”(ロマネスク友の会)の機関誌ROMANICO No.20 (2015) にElena Aranda女史が寄稿された論考の表題“El Color del Románico(ロマネスクの色)”です。 凡そ色彩というものは、視覚的印象形成に欠くことのできない重要な情報の一つです。色はまた、人間の五感や感情を刺激し、臨場 [続きを読む]
  • シャガールとロマネスク
  • 「平和」 原画:マルク・シャガール、タピストリー制作:イヴェット・コキール=プランス(展覧会パンフレットより) この四月末、箱根の小涌園に「天悠」という名前のホテルが新築され、各部屋に温泉付き風呂が付帯しているとの触れ込みに惹かれ、一泊で雨模様の霧深い箱根の山に行ってきました。 ホテルの印象はさておき、ちょうどその時仙石原でポーラ美術館開館15周年記念展として「ピカソとシャガール展」(愛と平 [続きを読む]
  • エロスとロマネスク
  • モロー「オイディプスとスフィンクス」(日経新聞2004年7月20日より)一般に「エロス」というと、世紀末それも19世紀末の西欧絵画の一つの奔流が浮かびます。そうです、世紀末という言葉は何となく退廃的な響きを持っています。おそらくそれは千年という時代の区切りが、この世の終わりというキリスト教的な終末感を人々にもたらし、混然とした不安な雰囲気が漂うからでしょうね。 2000年の一月にイスパニアの地でロマネスク [続きを読む]
  • 縁取りの妙
  • 板絵「イエスの捕縛」12世紀 Museo Dioceasano-SOLSONA(絵葉書より) 「ベロニカ」ルオー (絵葉書より)   私は絵描きではないので、間違っていたらご容赦いただきたいのですが、一般的に云って油絵とか壁画や板絵など、絵画に表出されている人物像の縁取りには、どうやら特別の意味合いがあるようです。  ちょっと無理筋かもしれませんが、この場では私の目に留まった代表例から「人体の縁取り」を四つほど [続きを読む]
  • 詩魂とロマネスク
  • 写真:・Miñon, 聖堂外壁持ち送り、「楽師たち」 (『Vida y Muerte en el Monasterio Románico』 より)        写真:川上澄生「初夏の風」 (日経新聞2015.02.16) 今回は「詩心」という想いを拡散してみたくなりました。 「詩魂」とは詩をつくる心とか詩情に彷徨うことを云うのかもしれません。 数年前に栃木県鹿沼市にある川上澄生美術館に足利市の親友で美術収集家の田部井勝弘・版 [続きを読む]
  • キリスト教と殉教−その意味とロマネスク的表現
  • 写真:GUÍAVISUAL D’ART ROMÁNICO DEL MNAC より 初期キリスト教時代から「殉教」即ち信仰を貫いて死を受容することが、キリスト教にとってどのような価値をもち、あるいはどのような意味があるのか、ということについて正当な知識を得たいと以前から思っていました。 殉教者は西欧の中世時代には、信仰を全うした人として貴ばれ、聖人の位を受けるほど最高の義人であると考えられていました。  キリスト [続きを読む]
  • 石工の印Signos Lapidarios
  • 写真:Cantero、『ROMANICONo.10』より写真:Xavier Musquera『Ocultismo Medieval』より 今回はちょっと変わった話題で、石のロマネスク宗教建造物に往々にして密やかに残された、石工たちの印(サイン)について少し思う所を述べてみたいと思います:  私は70歳代前半に集中して、イスパニアの地でかなり多くのロマネスク大聖堂(大聖堂はイスパニア全土で25ある)を含む多くの教会や修道院を訪ねました。 実際にこう言った石の [続きを読む]
  • 石工の印Signos Lapidarios
  • 写真:Cantero、『ROMANICONo.10』より写真:Xavier Musquera『Ocultismo Medieval』より 今回はちょっと変わった話題で、石のロマネスク宗教建造物に往々にして密やかに残された、石工たちの印(サイン)について少し思う所を述べてみたいと思います:  私は70歳代前半に集中して、イスパニアの地でかなり多くのロマネスク大聖堂(大聖堂はイスパニア全土で25ある)を含む多くの教会や修道院を訪ねました。 実際にこう言った石の [続きを読む]
  • ロマネスクのアンティノミア
  • 写真 : Santo Domingo de Silos   「アンティノミアantinomia(西)」という語は、二つの相対立する命題が「定立」と「反定立」として同等の権利をもって主張される事態であると解されています。 つまりふつう我々がよく知っている「二律背反」のことです。  古くはギリシャ時代末期の歴史家プルタルコス(『英雄伝』の著者)が使った言葉だということですが、この概念は法律間の矛盾対立や文学のみならず聖書にも用 [続きを読む]
  • ロマネスクのアンティノミア
  • 写真 : Santo Domingo de Silos   「アンティノミアantinomia(西)」という語は、二つの相対立する命題が「定立」と「反定立」として同等の権利をもって主張される事態であると解されています。 つまりふつう我々がよく知っている「二律背反」のことです。  古くはギリシャ時代末期の歴史家プルタルコス(『英雄伝』の著者)が使った言葉だということですが、この概念は法律間の矛盾対立や文学のみならず聖書にも用 [続きを読む]
  • 稚拙さと逆遠近法
  • 秋山泰計「バス停」(日経新聞2017.01.20)El Panteón de Reyes毎日の日経新聞がこのところ楽しみでした。その文化欄に掲載される、ひとまとめ10回の絵がいずれも魅力的だったからです。詩人・小池昌代氏の鋭い解説が付された「絵の中のわたし」と題した十選がそれで、各回の絵の選択と的を射た論評でした。 [続きを読む]
  • 稚拙さと逆遠近法
  • 秋山泰計「バス停」(日経新聞2017.01.20)El Panteón de Reyes毎日の日経新聞がこのところ楽しみでした。その文化欄に掲載される、ひとまとめ10回の絵がいずれも魅力的だったからです。詩人・小池昌代氏の鋭い解説が付された「絵の中のわたし」と題した十選がそれで、各回の絵の選択と的を射た論評でした。 [続きを読む]
  • ナビ派Les Nabisの手法
  • ピエール・ボナール「黄昏(クロッケーの試合)」(Partnerより)あまり聞きなれないフランスの画家たちの「ナビ派」 という表題で、三菱一号館美術館学芸員の杉山菜穂子氏が、雑誌「Partner」2017年1‐2月号に一文を寄せておられます。その内容に、ロマネスク美術を研究している私は瞠目させられました。 この小雑誌は以前から内容的に面白く、私は気に入っていました。今回取り上げられた「ナビ派」は、19世紀末頃フ [続きを読む]
  • ナビ派Les Nabisの手法
  • ピエール・ボナール「黄昏(クロッケーの試合)」(Partnerより)あまり聞きなれないフランスの画家たちの「ナビ派」 という表題で、三菱一号館美術館学芸員の杉山菜穂子氏が、雑誌「Partner」2017年1‐2月号に一文を寄せておられます。その内容に、ロマネスク美術を研究している私は瞠目させられました。 この小雑誌は以前から内容的に面白く、私は気に入っていました。今回取り上げられた「ナビ派」は、19世紀末頃フ [続きを読む]