エルロマニコ さん プロフィール

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エルロマニコさん: スペイン・ロマネスク美術随想
ハンドル名エルロマニコ さん
ブログタイトルスペイン・ロマネスク美術随想
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/elromanicoes
サイト紹介文このキリスト教美術は心の乾いた時代に安らぎとなり、また自らの人生を省みるための心の糧となるでしょう。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供24回 / 365日(平均0.5回/週) - 参加 2008/04/25 08:20

エルロマニコ さんのブログ記事

  • 自然を離れんとする芸術
  • 今回のタイトルは『漱石全集―第十六巻・評論他』岩波、1995年版から拝借したものです。 この十数年間に亘り、私がスペインのロマネスク美術の研究を始めて以来、一つのテーマとして「ロマネスク美術と自然」の問題を俎上に挙げたことがありますが、それは夏目漱石(1867年2月9日[慶応3年1月5日] - 1916年[大正5年12月9日])のいわゆる美学的観点との類似性に偶々気付いたからです。 少々長いですが漱石の文章の一端をご [続きを読む]
  • ケンタウロス−理想の怪物
  • ケンタウロス(ブルゴスのMoradillode Sedano教会のアーキボルト)〈JesusHerrero Marcos『Bestiario románico enEspaña』 (イスパニアにおけるロマネスクの動物寓話集)より〉   前のブログに引き続いて、象徴的話題に触れましょう。  このケンタウロスという想像上の動物は、西暦前7世紀頃から出現したものらしい。 頭と上半身が人間、さらなる胴体と脚は馬で、人間の知性と馬の怪力、速度、抵抗力などを兼ね [続きを読む]
  • 両生類−蛙 (Batracios-ranas)
  • ヨハネ黙示録16章の場面(ベアト)『Bestiario romanico en España』より  これからの二回は象徴的命題について記述します: 成城から現在の新宿に移リ住んでから20年が経ちました。この間蛇や蛙にも出会ったことがありません。「蛙」と云う懐かしい一面滑稽な生き物は、あの西欧中世時代には一体どう思われていたのでしょうか。蛙の発生の地はエジプトだと云うのが定説のようです。元々蛙は光を生み出す存在だとされ、一 [続きを読む]
  • 仮象の賞味(3)―世俗と信仰
  •  組紐文、Sta.María de l’Estany修道院回廊柱頭   (『イスパニア・ロマネスク美術』より) このデザインには、様々な解釈がありうるでしょう。   私の解釈ですが、象徴的仮象とでも言いますか、このSanta María de l’Estany修道院回廊の柱頭の一つ「組紐文」の彫り物は、単なるデザインと云う見方もありますが、私は「世俗と信仰」と云う二つの概念の絡み合った仮象と見做しています。 弁証法的に考えれ [続きを読む]
  • 仮象の賞味(2)―ピカソの遊び
  •   『Picasoo-Románico』(MNACより) 今回は仮象に関する第二回目の話題です。 一度前に触れたことがありますが、私は昨年11月にマドリッドを訪れた時にReina Sofía美術館ショップで、「Picasso-Románico展」の冊子(203頁)を購入しました。 ここに挙げた二つの絵は同冊子に掲載されていて、ピカソがロマネスク絵画から影響を受けたことが良く解る箇所です。この右の絵は1900年頃の彼の作品で、描かれ [続きを読む]
  • 仮象の賞味(1)−美の存在
  • 『川端康成自選集 豪華版』(集英社刊、1968年)装丁*ノーベル文学賞受賞記念として刊行され、東山魁夷「竹林」の下絵が使われた。  これから三回に亘って、諸々の場面で仮象的な妙味に触れてみましょう: 何年か前に古書市で『東山魁夷画文集』1巻〜10巻、別冊一巻を求め、今日まで数巻だけ読んだだけで残りは積読になっています。今朝ふと目が文集にとまり、第9巻、ドイツ旅行記の一つに「第一夜、白い聖夜」―“オーバー・ [続きを読む]
  • ロマネスクに於ける悪魔
  • Árbol de vida y de la muerta.Arpías pareadas. 本年6月に京都大学名誉教授の高橋義人著『悪魔の神話学』と云う本が岩波書店より刊行されました。 キリスト教と悪魔の問題demonologyを徹底的に論じておられます(しかしキリスト教正統派から見れば、この本の主張は一部異端と云えるかもしれません)。キリスト教の根幹には所謂善悪二元論(天使と悪魔)的概念が内在し、悪魔は普遍的に信じられていますが、果たして [続きを読む]
  • 「醜」を考える
  • 写真:「麻痺した容貌」 Iglesia SantosJusto y Pastor (?ROMÁNICO“ No.4より)  ロマネスク美術の研究において、「美」と同様に「醜」の問題も考えざるを得ません、それほどこの美術には「美の反対概念としての醜」が重要な役割をもっています。  醜の問題を真っ当に取り上げた学者で、ローゼンクランツ(Karl Rosencranz 1805-79)という人がいますが、彼は『醜の美学』と題する書を著わしています。  もともとこ [続きを読む]
  • ロマネスク修道院の装飾(3)―板絵の制作と装飾
  • (写真)Tavérnolesの祭壇飾り          12世紀後半、テンペル画の板絵、118x218cm、Sant Serni de Tavérnoles(Alt Urgell) (『 El Esplendor delRomanico』より) 今回はやや専門的になりますが,所謂「装飾」を云々する場合、技巧の分野も知っておくべきだと思うので、様々な資料から少しばかり詳細に纏めてみました。専門用語で日本語の訳が不明な場合もあったので、その時は原文の [続きを読む]
  • ロマネスク修道院の装飾(2) ―引き算の美学
  • サンタ・マリア・デ・バルブエナ修道院回廊 (José Ángel García『Monasterios deCistercienses en la España medieval』より)NHK総合の「ブラタモリ」は毎回楽しく観ています。4/21 (土)19:30〜では京都の奥東山にある日本最古の凝縮された四畳半の造形が魅力的な、銀閣寺(東求堂)を訪ねる趣向でした。その中で和尚さん曰く「ここは引き算の美学です」、つまりすべての贅を削ぎ落した建造物( [続きを読む]
  • ロマネスク修道院の装飾(1)―ベネディクト派とシトー派
  • Abadía de Viaceli, Cantabria(『Monasterios cistercienses en la España medieval(イスパニア中世のシトー派修道院)』より) P8 Santa María de Sandoval(León)(『Monasterioscistercienses en la España medieval(イスパニア中世のシトー派修道院)』 より) p.52 これから4回に亘ってロマネスク(就中修道院)の装飾について、とくに体系的ではありませんが私の基本的な考えを [続きを読む]
  • コラージュと輪郭
  •  マティス 「ブルー・ヌードⅡ」(日経新聞2018年4月20日より) 1952年制作、116.2x88.9cm(ポンピドーセンター蔵)  前回に引き続き、今回は「コラージュ作品の輪郭」と「ロマネスクの縁取りの意味」について一文を呈したいと思います。 ロマネスクにおける「輪郭」のもつ意味について、相当以前のブログで触れたことがありますが、今回はフランスのフォービズム(野獣派)の旗手と云われた20世紀初頭の画家マチスのコラージュ [続きを読む]
  • コラージュのようなロマネスク
  • 祭壇前飾りSan Martiñode Montoñedo (Lugo)12世紀 (『Guiadel Romanico』より) 私が好んで眺めるいつもの日経新聞文化欄の「十選」に、4が8日付で「コラージュの挑戦―十選」(日本女子大・河本真理教授による)(1)が掲載されました。 [コラージュ]とは元々≪糊で貼り付ける≫と云う意味で、異質な要素を引用し組み合わせる技法です。この技法は美術だけでなく文学、服飾、音楽、演劇、建築など様々な分野に適応 [続きを読む]
  • 踏み絵
  • “ROMANICO No.11” 表紙よりIgelesia de San Lorenzo de Uncastillo, Aragon(崇高なものに遭遇した時に取る姿勢)    お彼岸明けの日に、連れ合いの両親のお墓参りで浅草まで出かけました。下町の情緒豊かなお寺界隈の風情と五分咲きのさくらをバスの中から楽しみながら墓参りを済ませ、いつものように帰り際に幾ばくかのお布施をしたら、お寺さんから「親鸞仏教センター通信」2018.03第64号と云う小冊子をいただきました。 [続きを読む]
  • 奇を衒うのか
  • Iglesia de Santa María de Uncastillo (“ROMÁNICO número 13” より)  「奇を衒(てら)う」という表現は、<変わったことをひけらかす>という意味で、小説の世界では一部の作者が基本と考えている手法の一つらしい(第154回芥川賞1916年、選評で奥泉光氏が自称されています。)、つまり普通私たちが使うオーソドックスなリアリズムという言葉の反対の意味をもっているようです。定めしイスパニア語で、 [続きを読む]
  • 渦巻くロマネスクの形
  •   La Ermitade Sta.Ma.de Iguácel由来、聖域の鉄格子(Museo Diocesano de Jaca 蔵) 日本人彫刻家、植松奎二氏は2007年に日経新聞文化欄に「渦巻くかたち十選」という題でコラムを連載されました。そこに取り上げられた様々な渦巻く形について海外の作家たちの十作品から発散される渦巻(螺旋の形)の意味を私なりに纏めますと;     無限の象徴(優雅な曲線、宇宙の神秘的な法則)      三本線をわきに描く(抽 [続きを読む]
  • ロマネスクとピカソ
  • 国立カタルーニャ美術館 ロマネスクブース  2017年11月に約三週間の欧州旅行(イスパニアとパリ)の一つの収穫として、マドリードのソフィア王妃芸術センター(ゲルニカ展示)を見学した帰りに、ショップで『Picasso―Románico』MNAC/Musée National Picasso, Paris共編、Endesa/Abertis社刊(204頁)を購入したことです。 周知のことですが、ピカソはロマネスク美術の影響を受けていて、ここに挙げた作品のようにそ [続きを読む]
  • ロマネスクと色彩
  • 梁状板絵 「Viga de la Pasíon」(12〜13世紀、MNAC蔵)(EL ESPLENDOR DEL ROMÁNICOより)前回はロマネスクの一つの背景である「音」の例題として「グレゴリオ聖歌」の話題に及びました。今回は「色」と云う命題を取り上げてみました: 私はイスパニア・ロマネスク美術の虜になってからこの十数年間、イスパニア・ロマネスク絵画(壁画、板絵、写本)はなんと地域差があり、多彩な色を用いるのだろうと驚いてきま [続きを読む]
  • 祈りの背景―グレゴリア聖歌
  • 木彫 聖母マリアErill la Vall 12世紀 MNAC蔵 ロマネスクを取り巻く背景の一つ「祈りの背景」としての「音」の命題です。 「グレゴリア聖歌」は、暗闇で聞くと瞑想を誘うと云われます。何といってもロマネスク美術に最もふさわしい音楽は、グレゴリオ聖歌ではないでしょうか。その音階はさまよい、宗教心をより深め、神秘的で聖堂の典礼とも最もよく合うように思えます。その旋律は現世とあの世の間を遊曳し、死に際しても、最 [続きを読む]
  • 無原罪の御宿り
  • フランシスコ・デ・スルバラン 「無原罪の御宿り」 今日は12月25日イエス降誕のクリスマス。折角の良き日なので、ちょっとロマネスクの話題から横道に逸れて、イエスの母マリアの生誕に関わる話を下記しましょう:− イスパニア語でよく出てくるInmaculada Concepcionという言葉はこの「無原罪の御宿り」を意味します。使徒時代から信じられ、西欧中世時代に様々な経緯を経て論証されてきて、現在もカトリック教会では信じられ [続きを読む]
  • ロマネスク美術の歴史
  • 「イスパニア・ロマネスク美術の歴史」について、私の知る限り最初ではないかという本が昨年(2016年)に出版され、この度たまたま見つけたのでこの度購入してきました。 その大凡の内容について項目だけ列記し参考に供しましょう:−著者・書名 CarlosJavier Taranilla de la Varga      『Breve Historia delROMÁNICO』   (カルロス・ハビエル・タラ二―リャ・デラ・バルガ    『概説・ロマネスク美術の [続きを読む]
  • イスパニア・ロマネスク大聖堂
  • 写真:レイダ大聖堂内11月に三週間余りスペイン北東部を旅してきました。昨年からイベリア航空の直行便が再開し、懐かしさも手伝ってマドリードまでひとっ飛びしようと、それでも活動開始までマドリードに3泊、なにも用事を入れずカラダを休める時間も組み入れました。しかし、80代というものはそんな生易しいものではなく、それはそれは大変な時間を送ることになるのですが、まあなんとか医者の世話にも [続きを読む]
  • ロマネスク時代の金具
  •  私はロマネスク美術の研究に励んで十数年経ちましたが、一貫して誰かがロマネスク時代の鉄細工の研究をやってくれたらいいのになあと思っていました。 この度雑誌『Románico―revista de arte de amigos del románico』6月号の巻頭記事に≪Herrajesen el Románico≫(邦訳:ロマネスク美術における金具)という小文とともに聖堂の扉口と思われる四枚の写真が掲載されました。  執筆者は四氏でM.Rota Serra [続きを読む]