エルロマニコ さん プロフィール

  •  
エルロマニコさん: スペイン・ロマネスク美術随想
ハンドル名エルロマニコ さん
ブログタイトルスペイン・ロマネスク美術随想
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/elromanicoes
サイト紹介文このキリスト教美術は心の乾いた時代に安らぎとなり、また自らの人生を省みるための心の糧となるでしょう。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供24回 / 365日(平均0.5回/週) - 参加 2008/04/25 08:20

エルロマニコ さんのブログ記事

  • 「醜」を考える
  • 写真:「麻痺した容貌」 Iglesia SantosJusto y Pastor (?ROMÁNICO“ No.4より)  ロマネスク美術の研究において、「美」と同様に「醜」の問題も考えざるを得ません、それほどこの美術には「美の反対概念としての醜」が重要な役割をもっています。  醜の問題を真っ当に取り上げた学者で、ローゼンクランツ(Karl Rosencranz 1805-79)という人がいますが、彼は『醜の美学』と題する書を著わしています。  もともとこ [続きを読む]
  • ロマネスク修道院の装飾(3)―板絵の制作と装飾
  • (写真)Tavérnolesの祭壇飾り          12世紀後半、テンペル画の板絵、118x218cm、Sant Serni de Tavérnoles(Alt Urgell) (『 El Esplendor delRomanico』より) 今回はやや専門的になりますが,所謂「装飾」を云々する場合、技巧の分野も知っておくべきだと思うので、様々な資料から少しばかり詳細に纏めてみました。専門用語で日本語の訳が不明な場合もあったので、その時は原文の [続きを読む]
  • ロマネスク修道院の装飾(2) ―引き算の美学
  • サンタ・マリア・デ・バルブエナ修道院回廊 (José Ángel García『Monasterios deCistercienses en la España medieval』より)NHK総合の「ブラタモリ」は毎回楽しく観ています。4/21 (土)19:30〜では京都の奥東山にある日本最古の凝縮された四畳半の造形が魅力的な、銀閣寺(東求堂)を訪ねる趣向でした。その中で和尚さん曰く「ここは引き算の美学です」、つまりすべての贅を削ぎ落した建造物( [続きを読む]
  • ロマネスク修道院の装飾(1)―ベネディクト派とシトー派
  • Abadía de Viaceli, Cantabria(『Monasterios cistercienses en la España medieval(イスパニア中世のシトー派修道院)』より) P8 Santa María de Sandoval(León)(『Monasterioscistercienses en la España medieval(イスパニア中世のシトー派修道院)』 より) p.52 これから4回に亘ってロマネスク(就中修道院)の装飾について、とくに体系的ではありませんが私の基本的な考えを [続きを読む]
  • コラージュと輪郭
  •  マティス 「ブルー・ヌードⅡ」(日経新聞2018年4月20日より) 1952年制作、116.2x88.9cm(ポンピドーセンター蔵)  前回に引き続き、今回は「コラージュ作品の輪郭」と「ロマネスクの縁取りの意味」について一文を呈したいと思います。 ロマネスクにおける「輪郭」のもつ意味について、相当以前のブログで触れたことがありますが、今回はフランスのフォービズム(野獣派)の旗手と云われた20世紀初頭の画家マチスのコラージュ [続きを読む]
  • コラージュのようなロマネスク
  • 祭壇前飾りSan Martiñode Montoñedo (Lugo)12世紀 (『Guiadel Romanico』より) 私が好んで眺めるいつもの日経新聞文化欄の「十選」に、4が8日付で「コラージュの挑戦―十選」(日本女子大・河本真理教授による)(1)が掲載されました。 [コラージュ]とは元々≪糊で貼り付ける≫と云う意味で、異質な要素を引用し組み合わせる技法です。この技法は美術だけでなく文学、服飾、音楽、演劇、建築など様々な分野に適応 [続きを読む]
  • 踏み絵
  • “ROMANICO No.11” 表紙よりIgelesia de San Lorenzo de Uncastillo, Aragon(崇高なものに遭遇した時に取る姿勢)    お彼岸明けの日に、連れ合いの両親のお墓参りで浅草まで出かけました。下町の情緒豊かなお寺界隈の風情と五分咲きのさくらをバスの中から楽しみながら墓参りを済ませ、いつものように帰り際に幾ばくかのお布施をしたら、お寺さんから「親鸞仏教センター通信」2018.03第64号と云う小冊子をいただきました。 [続きを読む]
  • 奇を衒うのか
  • Iglesia de Santa María de Uncastillo (“ROMÁNICO número 13” より)  「奇を衒(てら)う」という表現は、<変わったことをひけらかす>という意味で、小説の世界では一部の作者が基本と考えている手法の一つらしい(第154回芥川賞1916年、選評で奥泉光氏が自称されています。)、つまり普通私たちが使うオーソドックスなリアリズムという言葉の反対の意味をもっているようです。定めしイスパニア語で、 [続きを読む]
  • 渦巻くロマネスクの形
  •   La Ermitade Sta.Ma.de Iguácel由来、聖域の鉄格子(Museo Diocesano de Jaca 蔵) 日本人彫刻家、植松奎二氏は2007年に日経新聞文化欄に「渦巻くかたち十選」という題でコラムを連載されました。そこに取り上げられた様々な渦巻く形について海外の作家たちの十作品から発散される渦巻(螺旋の形)の意味を私なりに纏めますと;     無限の象徴(優雅な曲線、宇宙の神秘的な法則)      三本線をわきに描く(抽 [続きを読む]
  • ロマネスクとピカソ
  • 国立カタルーニャ美術館 ロマネスクブース  2017年11月に約三週間の欧州旅行(イスパニアとパリ)の一つの収穫として、マドリードのソフィア王妃芸術センター(ゲルニカ展示)を見学した帰りに、ショップで『Picasso―Románico』MNAC/Musée National Picasso, Paris共編、Endesa/Abertis社刊(204頁)を購入したことです。 周知のことですが、ピカソはロマネスク美術の影響を受けていて、ここに挙げた作品のようにそ [続きを読む]
  • ロマネスクと色彩
  • 梁状板絵 「Viga de la Pasíon」(12〜13世紀、MNAC蔵)(EL ESPLENDOR DEL ROMÁNICOより)前回はロマネスクの一つの背景である「音」の例題として「グレゴリオ聖歌」の話題に及びました。今回は「色」と云う命題を取り上げてみました: 私はイスパニア・ロマネスク美術の虜になってからこの十数年間、イスパニア・ロマネスク絵画(壁画、板絵、写本)はなんと地域差があり、多彩な色を用いるのだろうと驚いてきま [続きを読む]
  • 祈りの背景―グレゴリア聖歌
  • 木彫 聖母マリアErill la Vall 12世紀 MNAC蔵 ロマネスクを取り巻く背景の一つ「祈りの背景」としての「音」の命題です。 「グレゴリア聖歌」は、暗闇で聞くと瞑想を誘うと云われます。何といってもロマネスク美術に最もふさわしい音楽は、グレゴリオ聖歌ではないでしょうか。その音階はさまよい、宗教心をより深め、神秘的で聖堂の典礼とも最もよく合うように思えます。その旋律は現世とあの世の間を遊曳し、死に際しても、最 [続きを読む]
  • 無原罪の御宿り
  • フランシスコ・デ・スルバラン 「無原罪の御宿り」 今日は12月25日イエス降誕のクリスマス。折角の良き日なので、ちょっとロマネスクの話題から横道に逸れて、イエスの母マリアの生誕に関わる話を下記しましょう:− イスパニア語でよく出てくるInmaculada Concepcionという言葉はこの「無原罪の御宿り」を意味します。使徒時代から信じられ、西欧中世時代に様々な経緯を経て論証されてきて、現在もカトリック教会では信じられ [続きを読む]
  • ロマネスク美術の歴史
  • 「イスパニア・ロマネスク美術の歴史」について、私の知る限り最初ではないかという本が昨年(2016年)に出版され、この度たまたま見つけたのでこの度購入してきました。 その大凡の内容について項目だけ列記し参考に供しましょう:−著者・書名 CarlosJavier Taranilla de la Varga      『Breve Historia delROMÁNICO』   (カルロス・ハビエル・タラ二―リャ・デラ・バルガ    『概説・ロマネスク美術の [続きを読む]
  • イスパニア・ロマネスク大聖堂
  • 写真:レイダ大聖堂内11月に三週間余りスペイン北東部を旅してきました。昨年からイベリア航空の直行便が再開し、懐かしさも手伝ってマドリードまでひとっ飛びしようと、それでも活動開始までマドリードに3泊、なにも用事を入れずカラダを休める時間も組み入れました。しかし、80代というものはそんな生易しいものではなく、それはそれは大変な時間を送ることになるのですが、まあなんとか医者の世話にも [続きを読む]
  • ロマネスク時代の金具
  •  私はロマネスク美術の研究に励んで十数年経ちましたが、一貫して誰かがロマネスク時代の鉄細工の研究をやってくれたらいいのになあと思っていました。 この度雑誌『Románico―revista de arte de amigos del románico』6月号の巻頭記事に≪Herrajesen el Románico≫(邦訳:ロマネスク美術における金具)という小文とともに聖堂の扉口と思われる四枚の写真が掲載されました。  執筆者は四氏でM.Rota Serra [続きを読む]
  • 洗礼者ヨハネの斬首
  • 写真:死刑執行人による斬首―San Miguel de Estella(Navarra)扉口迫石   (『Codex Aqvilarensis』2008より)  ここに載せた情景はナバラ州のサンティアゴ巡礼路に位置するEstella市の有名なサン・ミゲール教会の正面扉口アーチの迫石の一つに彫られた「洗礼者ヨハネの斬首」で、ダビデ王の娘サロメの求めに応じて王が彼の首を斬るよう指示し、ヨハネが執行人のモスリムによって正に斬首されようとしている情景です。    [続きを読む]
  • 仮想の妙 Magia Virtual
  • 岸田劉生「二人麗子像」2007.03.27日経 日本語になっている“バーチャル”という語は本来光学用語の「仮の」とか「虚の」意味らしい。美術(絵画や彫刻)の世界でこの概念が儘出てきます。  日経新聞の「日本美術のアバンギャルド十選」に、岸田劉生の油絵「二人麗子図」に関する一文が掲載されていて、彼の数ある麗子像の中でもこの絵は変わっています。  つまり一つの人格がかりそめに二人の姿として現れているのです。 こう [続きを読む]
  • 芥川龍之介のことども
  •  たまにはロマネスク美術の枠組みから離れて、没後90年目に当たる今年に、芥川龍之介のことに触れてみたいと思います。  私は芥川の天才的で一刀両断的な叡智に溢れた文章が好きで、今から丁度20年ほど前に全集まで買い込んだほどです。  先頃、岩波文庫から石割透編『芥川追想』が刊行されました。 この本は彼の先輩、友人、知人や身内たち同時代人48人の回想を編集したもので、私のような芥川の能力に傾倒している者にと [続きを読む]
  • クレー:ロマネスクの匂い
  • 写真1:「R荘Villa R」p.60、油絵、26.5x22.0?、1919スイスで刊行されたフランス語の本『KLEE, Etude Biographique et Critique』(Nello Ponente著、伊語からAlbert Skiraが仏語に翻訳したもの)を古書店でたまたま見つけて買ってきました。 パウル・クレーPaul Klee(1879-1940)の絵はなぜこんなに魅力があるのかと考え込み、いつまでも眺めながら時間の経つのを忘れています。彼はスイス生まれで、生涯の大部分をドイツで [続きを読む]
  • 美しいということ
  • 写真 :GERの聖母、12世紀、木彫32.5x20.5x14.5cm,MNAC蔵   (『El Románico el las colecciones del MNAC』より) 2017年8月初頭に、AREJホームページに岩越和紀様の素晴らしいイスパニア・ロマネスク紀行が掲載され、その節私は「醜を考える」と題し一文を共載させていただきましたので、今回は掲題の醜の反対概念である「美しい」ということについてこの場で取り上げておきましょう: 古今東西を問わず、「美」の概 [続きを読む]
  • 煉獄にいる修道士たち
  • Iglesia de Fuente-Urbel私はロマネスク美術に親しむようになってからずっと、聖堂の外壁や柱頭に浮かぶ「首」に非常に惹かれるものを感じ、自分でも不思議に思っていました。その理由を自分なりに胸奥深く探ってみると、どうやらこれらの首は死の世界に彷徨い、煉獄にいて天国に行く日を待ち望んでいるのではないかと思うようになりました。 現代の自然科学から言えばNonsenseと云えるかもしれませんが、私はこの世のすぐ裏側に [続きを読む]
  • 建築造形の妙―ル・コルビジェ
  •  写真: 日経新聞(H.16年10月4日)より  ロマネスク時代(11−12世紀)のキリスト教聖堂建築は、時代的要請に基づき、祈りと瞑想を重視するために、聖堂内部は「暗さ」(薄暗さというより暗闇)を必要条件にしていたと云えます。 その為当時は、外光を直接遮断する手法を善しとし、窓の空隙の面積を極端に小さくしました。鍵穴のように丸形の小さい穴にしたり、細く長くしたりしたのです。 所変われば品変わるで、拙著『神の [続きを読む]