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ニューロサイエンスとマーケティングの間 https://kaz-ataka.hatenablog.com/

脳神経科学とマーケティングにまたがるエッセイ。鮮烈なブラジル旅行記に加えアメリカ横断記を連載中

人の知覚についてニューロサイエンティストそしてマーケターとして真剣に取り組んできた中で感じたこと、その両分野のつなぎになることを中心に紹介していきたいと思っています。またアメリカでの研究時代に行ったブラジルは僕の人生の根幹を揺るがすような体験記に加え、この夏の米国横断旅行のフォトエッセイを新しく載せています。

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2008/06/29

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  • お金とはなにか?

    1995年の春、金融領域におけるコンシューマーマーケティング*1の先駆け的なプロジェクト(僕のいた会社の慣習で以下「スタディ」と書く)があり*2、初めて大手銀行のお仕事をした。そこまでに、消費財分野において、次々と現れる強烈な競合ブランドの登場で相当厳しい状況にある歴史あるブランドを劇的にテコ入れする、市場のど真ん中を撃ち抜く商品を生み出す*3、などの取り組みを経て、かなりコテコテのマーケティングストラテジストになっていたため、マーケティング研究グループのリーダーのお一人*4と一緒に異種格闘技戦的に投下されたのだった。そのスタディのワーキングメンバーには僕以外は金融やオペレーションのプロが入っ…

  • 書評)『世界をつくった6つの革命の物語』

    1:1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW ちょっと驚くべきことに文庫となる本の解説文と帯を書いてもらえないかというお話があり、以前、新刊として読んでなかなかに感銘を受けたことがあった一冊であり(手元に初版がある)、もし可能であればで何ヶ月か前にお受けした。これまで友人、知人の本ばかりではあるが、帯文はずいぶんと書いてきたが、解説文を書くのは初めてであり、そういえば、若い頃は文庫は後ろの解説文から読んでいたな、、ということを思い出し、なんと荷の重いことと思ったが、条件付きではあるが、ぬるっと引き受けたのだった。とはいえ、案の定全く書く余力がないまま、締切の1…

  • 逆のスケーラビリティ

    Parco delle Madonie, Sicily, Italy (September 2023) 先日書いたエントリで触れた人類がグローバルに抱える大きな2つの課題のうちの一つ、「人口調整局面のしのぎ方」についてもう少し考察してみよう。まずは先般のエントリ*1から一部抜粋する。 この人口調整局面ではかなりの深刻な問題が大量に噴出する。それは例えば、会社がほしいと思った人の数が取れないということから始まり、僕が「風の谷検討」でよく見ている疎空間であれば、郵便局や役所のような基本機能すら人がいなくて維持できなくなるという問題でもある。もっと深刻には、道や橋梁だとか上下水道、食料供給の要である…

  • 時代が作った教師と学校は時代によって変わるのが当然だ

    連合艦隊旗艦「三笠」の羅針儀@宗像大社 The compass of the flagship Mikasa of the Allied Fleet @ Munakata Taisha Shrine, Munakata, Japan 1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW 今月の頭、武蔵野台地の南西*1にある東京学芸大学(学芸大)で、『個別最適な学びに関する公開シンポジウム 第二回』に登壇した。学芸大は師範学校を4つ束ねて作られたthe教員育成学校であり、東京高等師範を前身とする東京教育大が筑波大学に改組され、総合大学化したこともあり、今の日本の教育研究のセ…

  • web3と環境負荷とシン・コモンズ

    Munakata Taisha Shrine, Munakata, Japan 1.4/40 Summilux ASPH, LEICA M10-Pこの間、web3の世界的なメディアであるCoinDeskの日本版を運営するb.tokyo (N.Avenue) のYear End eventがあり、成田修造さん、川崎ひでとさんと登壇した*1。「Year End Party / CoinDesk JAPAN・btokyo」開催しました!Special Sessionでは、貴重なご登壇者の皆様のお話を聞きながら、時には笑いもあふれ、2023年の最後を飾る素晴らしい時間となりました。セッション後のパーテ…

  • 人類の抱える2大課題、、実魂電才(物魂電才2)

    出雲・稲佐の浜(令和5年 神在月) Inasa-no Hama (Inasa Beach) in Izumo, Japan during Kami Ari Zuki (The Month of the Gods' Presence) in 2023. 1.4/50 Summilux ASPH, LEICA M (Typ 240) もうかれこれ4~5か月前、旧知である新メディア"Pivot"の佐々木紀彦さんと竹下隆一郎さんから熱烈なご相談があり、9 quesitonsという番組に出たことがあった。70分1本勝負で一気に収録したが、そこで僕が言ったことの一つは「みんなAIの話ばかりをしすぎている。…

  • 生成AIを使えるかどうかはイシューではない

    Summilux 1.4/50 ASPH, Leica M10P @Chinkokuji Temple, Munakata, Japan 昨日のLLM(large language model 大規模言語モデル)議論の続きをもう少し書いてみようと思う。kaz-ataka.hatenablog.comDS協会のスキル定義委員会ではIPAと協働し、2年に一度、データサイエンティストのスキル標準を見直し、改訂版を発表している*1。今年は奇しくも改訂年だったのだが、この春、わずか数ヶ月前に華々しく登場したChatGPTを目の前にしつつ、生成AI領域においてデータ×AIプロフェッショナル(データサイエン…

  • The Fifth User Interface

    Izumo Ooyashiro, Izumo, Japan 1.4/50 Summilux ASPH, LEICA M (Typ 240) Before you know it, it is the end of the year. I have not been able to update my blog for half a year *1 Besides, I have been thinking about it quite a lot lately whenever people ask me about it in various settings. I think it wou…

  • 第五のUI

    Izumo Ooyashiro, Izumo, Japan 1.4/50 Summilux ASPH, LEICA M (Typ 240) 気がついたら年末。半年もブログ更新ができていない*1。その上、最近、色々な場で人に色々聞かれるたびに思うことが随分と多い。澱(おり)のようにためておくのもどうかと思われ、色々書き出すモメンタムになればと少し書けたらと思う。-毎週何回か登壇、取材が続いているが、このところ、繰り返し聞かれることがいくつかある。 LLMによって仕事はなくなるんですか? 今後AIでどんな仕事がなくなるんでしょうか? OpenAI & Microsoft、Google/DeepMi…

  • 原点から考える

    Leica M(typ240), 1.5/50 C-Sonnar, RAW 日本人だったら誰でも知っているが、ちゃんと原文で読んだことのある人がもしかしたら専門家ぐらいしかいない本の話をしたい。『古事記』だ。まだカナやカタカナのない時代の作品であり、この本は元々、漢字だけで書かれている。それも漢文というより、漢文に万葉仮名のような当て字が大量に混ざって使われており、長らく読むこと自体ができなくなっていた。古事記自体の冒頭にも、適切な表現ができず、相当に苦労して書いたと書いてある。普通の意味の現代語訳されていない「原文」は、この研究で国文学者として名を成した本居宣長(1730-1801)が一生を…

  • A Personal note on Digital Currencies

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW Four years ago (2019), on June 18, there was a bit of a historic event.Facebook founder Mark Zuckerberg announced the launch of a digital currency system alongside state-issued currencies. The concept is not to launch the system as a single company, but as a lar…

  • デジタル通貨について思う

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW4年前(2019年)の6月18日、、ちょっとした歴史的なイベントがあった。Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏が国の発行する通貨と並ぶ、デジタル通貨システムの立ち上げを発表したのだ。一企業として立ち上げるというのではなく、VISA、Masterやvodafone, paypal, ebay, spotify, liftなども含む大掛かりなコンソーシアムによって立ち上げるというコンセプトで、世界のどこにもリアルタイムで、これまで銀行口座を持てなかった方々も含めて、低廉に価値を届けるという構想だった。その名はLi…

  • We saw Buddha in AI.

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW (@Boston, MA, March 2023)Last fall, I had the great honor of having Mr. Yasutoshi Kita, one of the leading biographers of our time, visit my seminar and give us a variety of passionate and profoundly meaningful lectures. He talked about happiness and encounters,…

  • AIにブッダを観た

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW (@Boston, MA, March 2023)昨年の秋、現代を代表する評伝作家の北康利先生が、僕のゼミにお越し頂き、様々に熱く、そして味わい深い薫陶を頂く有り難い機会があった。日本人として福澤諭吉先生には多大な感謝をしており、その御恩返しとしてやってきたと、幸せと出会い、福澤先生と現代、など多岐にわたる味わい深いお話を頂いたのだが、その中で内村鑑三『代表的日本人』について触れられることがあった。代表的日本人 (岩波文庫)作者:内村 鑑三,鈴木 範久岩波書店Amazonたしか高校時代の乱読の中で読んだことがあり、その…

  • Considering the issue of declining birthrate

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW A national discussion will be held on "countermeasures to the declining birthrate in another dimension”. I thought it would be a good idea to organize the discussion once when I started writing this blog a little over a decade ago, but I lost the opportunity and…

  • 少子化問題を考える

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW 「異次元の少子化対策」について国をあげての検討が行われるという。本ブログを書き始めた十年あまり前に一度議論を整理したほうがいいのではと思ったのだが、機を逸してしまい、今に至ってしまった。ただ、拙著『シン・ニホン』(NewsPicks 2020) を読まれた方であれば、僕がそこで、相当に踏み込んだ議論を行ったことを覚えている方もいるだろう。シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング)作者:安宅和人ニューズピックスAmazonこのテーマの議論は次の3段の問について考える必…

  • AI is a transcript of our world

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAWI often hear problematic discussions about the results of machine learning based AI.When we look at something: Extremely biased against men Extremely biased against people of European descent It is extremely liberal (left-wing in the English-speaking sense of the…

  • AIは世界の写し絵

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW機械学習ベースのAIの生み出す結果について問題提起的な議論を聞くことが多い。〇〇についてしらべると 極端に男性に偏っている 極端にヨーロッパ系の人たちに偏っている 極端にリベラル(英語圏の意味の左派)よりである 豊かな人達に向けた議論があまりにも多い 体型や容姿に恵まれた人への極端な偏りを感じる などなどだ。 気持ちは大いにわかるが、機械学習というものの特質を考えると致し方ないところは多い。機械学習ベースのAIは7-8年前にHarvard Business Reviewで整理したとおり、相当の計算環境に、テキスト処理や機…

  • Analogical Capacity of Diffusion Models

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAWMidjourney and ChatGPT, two powerful applications, have emerged in rapid succession, and so-called Generative AI based on the Diffusion Model is a hot topic around here and there. Midjourney, which attracted a lot of attention for its ability to generate more and…

  • 拡散モデルのアナロジー力

    1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAWMidjourney、ChatGPTと立て続けに強烈なアプリケーションが出てきて、Diffusion model(拡散モデル)に基づくいわゆるGenerative AI(生成系AI)がそこらで話題だ。ガンガン画像を生み出すことで一気に注目を集めたMidjourneyはクリエーター寄りだけれど、11月末、対話型で答えを返してくれるChatGPT*1が出てきたときに*2、あまりの回答力にDS協会*3のスキル定義委員会でもひとしきり話題になり、僕も自分の研究会の学生たちに「君ら、深く考えずにまずは使い倒したほうがいいよ」と早々…

  • 人生に影響を与えたコンテンツ2

    Summilux-M 1:1.4/50 ASPH, Leica M10P, RAW @Hakuba, Nagano, Japan 全く終わっている感じがしないので昨日の続きをもう少しつづけられればと思う。kaz-ataka.hatenablog.com-そうこう彷徨っているうちに、出会ったのが現代生物学だった。40年近い前の当時の僕の理解では、ウイルス、細菌、培養細胞を用いた研究により、セントラルドグマや異端児としての逆転写酵素など分子生物学的な骨格的課題の検討が概ね終わり、人間の生命の理解は大きく次のフェーズに入ろうとしているように思えた。利根川進先生達による免疫の多様性の解明、ホメオボック…

  • 人生に影響を与えたコンテンツ

    Summilux-M 1:1.4/50 ASPH, Leica M10P, RAW @Hakuba, Nagano, Japan 先日、人生に影響を与えたコンテンツ、特に本や映画、について取材を受けた。クローズドな場に向けたものであったため、そこで話した内容を少しご紹介できたらと思う。-ここまでの半世紀をざっくりと振り返ると、もともとは分子生物学を学び、脳神経科学の分野に進み学位をとったが、ポスドクの最中に911があり、断腸の思いで帰国。また約30年前からストラテジー、マーケティング分野で飲料、小売、商社、ヘルスケア、クルマ、ハイテク機器、ペイメント、半導体、検索、メディア、広告、国の産業戦略…

  • First Love

    1.4/50mm Summilux, Leica M10P, Ebisu, Tokyo 6日ほど前、思わず以下のようにTweetしてしまった。Netflix、、#FirstLove初恋すごい作品でした。#満島ひかり さん天才。大竹しのぶを継ぐのは彼女かもしれない。#佐藤健 さんの佇まいの揺らぎで伝える姿は神々しさすら感じた。エンドロールを見る限り8話で一旦完結。9話はとても贅沢なエピローグhttps://t.co/WiaAh7JzFP— Kaz Ataka / 安宅和人 (@kaz_ataka) 2022年12月16日 若い姿を演じた八木莉可子さんと木戸大聖さんの輝きはまばゆく、濱田岳さんの作…

  • 空気に飲み込まれたくない中学生、高校生のみなさんへ

    Chinkokuji-temple, Munakata, Fukuoka, Japan Leica M10P, 1.4/50 Summilux, RAW (これは10/30のエントリ「この国ではファクトや論理より空気のほうが重い」からの抜粋です) データや情報はメディアに頼らず自分で元ソースから見て考えることが大切です。それも一つだけではなく、ここで行ったように何重にも複数の情報を横断的に比較しないと意味がわからないことはたくさんあります。これらの読み解きや確認すべきポイントはどこかにまとまっているわけではありません。その領域についてのある程度の基礎知識を持った上で、全体感を把握しつつ、狙いを…

  • この国ではファクトや論理より空気のほうが重い

    Chinkokuji-temple, Munakata, Fukuoka, Japan Leica M10P, 1.4/50 Summilux, RAW 先日、富山県の県立高校の先生、約2,000人の前でお話す機会があった*1。年に一度の合同研修の日ということだった。高校では入学早々中退を考え、校内暴力時代の中学ではほぼ毎日のように職員室に呼び出されていた僕のような人間が、先生方の前で話して欲しい、と頼まれる日が来るとはとかなりオドロキだったが、旧知の教育委員会の先生に1年も前からご依頼され、お受けせざるを得なかった案件でもあった。自分が高校生だったら、先生方に何をわかっていてほしいだろうかと…

  • "Bukkon-Densai" - Material spirit with Cyber wisdom

    For a long time I have been talking about the coming era of the third force.It all started in 2015, when I was invited to a meeting of the New Industrial Structure Subcommittee of the Industrial Structure Council (ISC) of the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) to understand the implicati…

  • 電魂物才ではなく物魂電才

    長らく第三勢力の時代が来ると話をしてきた。きっかけは2015年、経済産業省(経産省)の産業構造審議会(産構審)新産業構造部会、この今、来ようとしている時代についての意味合いを理解し、国として必要な取り組みや対応を考えるという場に呼ばれたことだった。審議会の面々はかなり錚錚たるもので、その後、経団連の会長になられる日立中西さん、副会長になられるDeNA南場さん、フューチャー金丸さん、IGPIの冨山和彦さん、みずほFG佐藤さん、DLの驚異をいち早くアラートを出してきた東大 松尾豊さん、慶應経済 土居丈朗さん、CANVAS 石戸奈々子さんなどなど。今から考えれば恐ろしく濃い面々の会議だった。座長は東…

  • 健全な懐疑心

    #健全な懐疑心 #Healthy_Skepticism、、これを持つ目と判断力を育てること、それを可能にする一定の教養、また権威にやられない心の強さと勇気を育てることがあらゆる教育(特に高等教育)の究極の目的の一つだと思う。これを言うと難癖をつける能力と勘違いされがちだが、それは単に教養の低さや文脈、背景の無理解、複合的な構造を理解できる力の低さ、analyticalに考える力の欠落を示すものであり、全く異なるというところが実に難しい。#Healthy_Skepticism, I think one of the ultimate goals of any education (especia…

  • ある教育の未来に関する投げ込み

    @Manazuru, Kanagawa (Leica M10P, 50/1.4 Summilux ASPH, RAW)全然ブログ的ではないのですが、今ほど終わったとある国の教育系会議*1でずいぶん多くのことを投げ込んだので、例外的ではあるのですが、ちょっと備忘録的に残しておこうと思う。以前、中高生にお話した時以来かな。(手を上げるたびに6度も発言の機会を頂いた座長の清家先生に深謝。) 貧困層divide問題、、大学の奨学金もいいが、中高の進学校に入るかどうかの段階で、恵まれない環境にいるだけで多くの才能が実際には弾かれてしまう。都市部であれば中学受験、それ以外であれば高校受験。塾費のサポート、…

  • Thinking from the Manabe's climate model

    Summilux 1.4/50 ASPH, Leica M10P @Chinkokuji Temple, Munakata Last weekend, I participated in the 8th Munakata International Environmental Conference in Munakata City, east of Hakata.The venue of the conference, Munakata Taisha Shrine, is a special shrine with one of the longest histories in Japan a…

  • 真鍋モデルから考える

    Summilux 1.4/50 ASPH, Leica M10P @Chinkokuji Temple, Munakata 先週末、博多の東、宗像市にて第8回 宗像国際環境会議に参加した。会場の宗像大社は古事記、日本書紀にも記される日本でも屈指の歴史を誇る特別な神社。全島が神域であり神官以外立ち入りできない沖津宮、大島の中津宮、九州本土の辺津宮という直線上にならぶ三宮が一つの巨大な神の領域である。なお宗像大社は近代日本の存続をかけた日露戦争の際に、連合艦隊司令長官 東郷平八郎提督が必勝祈願をした場所であり、大同元年(806年)10月、唐より戻った空海(のちの弘法大師)がまず身を寄せた場所でもあ…

  • ニッチはマスであり、Diversity対応は宝の山である

    Summilux 1.4/50 ASPH, Leica M10P, RAW @Towada lake, Aomori, Japan 福祉にVRをかけ合わせている登嶋健太さん、多様性視点で様々なファッションの改革を行っている金森香さん、そして落合陽一さんと色々語り合う機会があった。パラリンピックが終わったところでもあり、良いタイミングだったと思う。そこでの大きな話題は、視覚、聴覚、手や足など多様な障害を抱える方々に向けて行う取り組みはどうやって、一過性の国や自治体などの公的な資金ではなく、ちゃんとビジネスとしてお金が回るようになるのか、という話だった。 そこで僕が思い、発言したのは、そのニッチと…

  • 第五の波

    Leica M (typ240), 1.4/50 Summilux @Onomichi, Hiroshima (Summer 2020) 昨年3月頭のWeekly Ochiaiにて落合陽一氏と予想したとおり、"Withコロナ"状態が今も国内、国外ともに続いている。 "手なり"で考える限り、来年オリンピックが当初期待していた形でできる可能性は低い。(略)早ければ年始にはなにか(ワクチンが)生まれてくるだろう。ワクチンは当然のことながら社会の免疫獲得*1を劇的に加速する。とは言え、これが10億単位で量産され、世界中の人が打ち終えるのには少くとも数年はかかるだろう。経済的な主要国の50%までをターゲ…

  • 手詰まらないこと

    Leica M10P, 50/1.4 Summilux, RAW @尾道(これはおそらく時限的なポスティングです。)昨日、自分の社内対象だが、かなり大きなレクチャーと対話のセッションを行った。少なくとも、3,500名ぐらいは参加申込みがあったらしい。そこで、僕に与えられたのは「未来がますます不確実になっているなかでどう行動すべきか」「"残すに値する未来"をつくるために何が必要か」という重たい二つのお題だった。まず、僕が話したのは、手詰まらないことの大切さだった。不確実性の高い状況において、生き延びることが出来る企業やそうじゃない企業の違いは、マッキンゼーで相当に研究され、半ば結論が出ている。目…

  • 政治はなぜ僕らから遠いのか

    Tokyo from the sky: Covid発生前に東京上空より著者撮影 本日、永田町で行われたとある勉強会に講師として参加した。自分が教員を務める大学*1のある先生からの紹介案件だった。てっきり"シンニホン"案件だと思って行ったのだが、最初に幹事的な国会議員の先生方との前打ち合わせ的な話し合いがあり、そこでお聞きした問題意識は全くとは言わないが、かなり異なる話だった。曰く、 政治不信が蔓延し、政治と市民が分断、、、投票率が低い一方でのポピュリズムはその一つ。これに打つ手はあるのか? このまま行けば社会保障費用のために必ずそれほど遠くない将来、財政が破綻するが*2、全く理解が得られず、正…

  • ウィズコロナ、開疎化と博物館の未来

    Leica M7, 1.4/20 Summilux, RDPIII, @Tuscany, Italy昭和3年(1928)創刊という大変長い歴史を持つ博物館学の専門誌「博物館研究(MUSEUM STUDIES)」の今月号は「新型コロナウイルス感染症パンデミック下の博物館」特集。そのKeynoteというべき巻頭エッセイの執筆という貴重な機会をいただきました。北海道、東北、沖縄でCovidの第三波が始まりつつあると、某有力関係筋からお聞きしています。やはり、本質的にこの機に空間や社会の仕組みを刷新する事が望ましく、その検討の一助になれば幸いです。記事のオンライン化はされていないということで、転載の許…

  • 未来が欲しいなら名刺で生きるな、somebodyになるべし

    Leica M10P, Summilux 1.4/50 ASPH, DNG @Lake Nozori, Gunma 先日、Venture for Japan (VFJ)代表の小松洋介さんに受けたインタビューですが、めったに語らない内容であり、若い人たちに向けて僕もかなり丁寧に手を入れて作った原稿だということもあり、許可を得て転載します。小松さんありがとうございます。-読書と研究とアルバイトに明け暮れた学生時代――『シン・ニホン』を読んで、安宅さんに憧れる学生や若手社会人は多いと思います。そもそも安宅さんはどんな学生だったのか教えてください。僕はいわゆるバブル世代ですが、バブルとは全く縁のない学…

  • つなぐ道とつながる道、逆土木

    Onomichi, Hiroshima, Japan Leica M(typ240), Summilux 1.4/50 ASPH, RAW先日、国交省/日本みち研究所の松田和香さんに受けたインタビューの後編です。本日 9/15付の「日刊建設工業新聞」(日本中の土木のプロが読まれる専門新聞)での特別提言記事を許諾の上、転載させて頂いています。前編については以下をご参照。kaz-ataka.hatenablog.com-(松田) 著書『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』では、「風の谷を創る」プロジェクトの話の中で道の話が出てきます。道についてはどのような思いがおありですか…

  • Pandemic-readyな社会に

    Shelburne Farm, VT, USA LeicaM(typ240), 1.4/50 Summilux, RAW 先日、国交省/日本みち研究所の松田和香さんに受けたインタビューを、昨日、土木系のプロの方々が読まれる「日刊建設工業新聞」に特別提言記事として載せて頂きました。なんと寛大なことに転載許可をいただきましたので、共有させて頂ければと思います。(松田さん、素敵な記事とご手配ありがとうございました。)来週、後編が出る予定です。-(松田) 著書「シン・ニホン-AI×データ時代における日本の再生と人材育成」では、様々な観点の分析結果から日本の現状への危機感が述べられています。この本はコロ…

  • スキル以前にサバイバル

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII, @London, UK とある直接知らない学生さんから「数理な考え方、英語能力、伝える力などが私には備わっておらず、どの程度の基礎力が必要なのかもよく分からない」との質問を受けた。それは何を目指すかで変わりますよね、、。MD*1/JD*2のような訓練資格、professional degree*3ならともかく、スキルを身に着けたら何かになれるわけではないわけで。*4-Quick answerとしては、自分がどういうヤバい人間になりたいのかをまず考え、そこから逆算的にスキルを考え、逆算的に経験を積むべき。要は国や組織に頼らずに…

  • DXとは何か?

    Summilux 50/1.4, RDPIII, Leica M7 @Lake District, UK 月曜日の夜、データサイエンティスト協会(以下DS協会)スキル定義委員会で「DXって何?」という話が出た。DS協会スキル定義委員会は、これまでもデータサイエンティストのミッション、定義、求められる3つのスキルの整理(2014)に始まり、この類のものとしては恐らく世界初と思われるデータサイエンティストにもとめられるスキル要件を洗い出したスキルチェックリスト(2015 ver.1/2017 ver.2/2019 ver.3)、IPAと共同でのタスクリスト(2017 ver.1/2019 ver.…

  • 開疎化がもたらす未来

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII, Somewhere in AZ, USA「開疎化」という言葉を世に出してから二週間たった。3/11のWeeklyOchiaiで落合陽一氏と話した「Withコロナ」からはもう一ヶ月以上だ。Withコロナというのは解決策が必ずしもない新型コロナ(SARS-CoV-2)や様々な病原体とともに生きなければいけない状況、環境のことを言う。世の中の期待と異なり、状況の収束にはSARS-CoV-2対応に絞ったとしても、現実的な楽観シナリオでも1-2年はかかる、更に様々な病原体がこれから現れる可能性は相当に高く、これが終わりなわけではない、…

  • そろそろ全体を見た話が聞きたい2

    2010年の年末に『イシューからはじめよ』を出版した何ヶ月か後、歴史的な大地震(いわゆる311)が来た。大津波の死者・行方不明者は無数、フクシマは爆発する、東京は計画停電が始まるしで、何がなんだか訳のわからない不安と混乱が世の中を覆い尽くしていた。随分目先のしかも全体観のない議論ばかりが行われていて不毛だと感じ、10日あまり経ったところで課題の全体観を俯瞰したブログエントリを書いた。kaz-ataka.hatenablog.com今見てもそれほど大きな違和感がない。初動、その後の対応の残念さ、せっかくの刷新にもうまく繋げられたとは言い難かったことも明らかになっているのだが、それは一旦おいておこ…

  • 一冊の本をまとめました、、『シン・ニホン』

    2015年春ごろから、急に国の仕事に巻き込まれるようになった。現在、大学と会社*1の仕事が表向きメインではあるが、データサイエンティスト(DS)協会のスキル定義委員会、理事会らの活動に加え、かれこれ10ほどの公的なロールがある。毎週のように講演や取材対応もある*2。その記事確認も結構重い。恥ずかしながら、実は今もいくつも溜まっている。国関連では、その時折で重い仕事があるが、今は高等教育を受ける人全部にデータ×AIリテラシーを、という話をインプリするための仕事が特に重い*3。こんな生活なのであなたは何が本職なのかと聞かれることも多いが、本職というのはどういう意味なのだろうか、というのが僕がいつも…

  • 「風の谷」という希望

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII @Lake District, UK2017年の秋、とある知人の誘いで鎌倉にある建長寺 *1に合宿討議に行った。コクリ!プロジェクトという集まりだ。コクリと言っても子供の頃やったコックリさんとかとは全く関係がない。Co-creationの略で、「100年後に語られる一歩を創ろう」と様々な社会変革を働きかける人たちが集まり、その働きかけそのものについて語り合うのではなく、心の底に降りていって、そして自分の中にあるものを見つめ合う、そんな集まりだった。誘ってくれたのは、そのコクリの運動論のfounderである三田愛さんと、中心的に…

  • 2018年の活動を振り返る

    Sabah, Borneo Island, Malaysia Leica M (typ240), Summilux 1.4/50, RAW 気がついたらあっという間に年の暮れですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?年末だということもあり、自分の振り返りも兼ねて、web上でpublicになっている主たるアウトプット的なものをまとめてみました。★が付いているのが個人的に重要かなと思っているものです。ー1. 財務省 財務総研のイノベーションを通じた生産性向上に関する研究会★ www.mof.go.jp https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/00re…

  • 未来は目指すものであり創るもの

    Fujisawa, Kanagawa, Japan Leica M (typ240), 1.4/50 Summilux, RAW 昨日のエントリでも引用した昨年春、情報処理学会誌の冒頭で書いた記事をここにも転載しておこうと思う。情報処理 Vol.58 No.6 June 2017*1-3年前は講演で呼ばれるとビッグデータばかりだった。いまはAI(人工知能)とシゴトの未来、そして世の中の未来一色だ。国の審議会、委員会でも、未来についてばかり議論している。シゴトの未来、産業の未来、必要になるスキルの未来、AIの未来、などなどだ。しかし僕らの多くは知っている。数秒後とかならともかく、未来の本当の姿な…

  • 手なりの未来を受け入れるな

    Mt Fuji from Fujisawa, Kanagawa, Japan Leica M (typ240), 1.4/50 Summilux, RAW今年はなんと一本しかブログエントリを書いていないことに先程、気がついた。はてな内のPF*1移行で少々手馴染みがなくなってしまったこともあるが、毎日facebookとかtwitterみたいなものに気軽に書いていたり、ほとんど毎日のようにどこかで人前で話したりしていると、ついこういう状態になるので危険だな。。ということでなにかちょっと書いてみたいと思う。-ブログ読者の方々には全く報告できていなかったが、実は2016年の春から、慶応SFCでデータ×…

  • 未来にかけられる社会にしたい

    Leica M (typ240), Summilux 1.4/50 ASPH, RAW @St Paul de Vance, France僕は政治家でもなければ官僚でもない。さらに言えば、つい数年前まで、長らく国とかそういうものとは距離をおいてきた人間だ。国には頼らない、必要な変化は自分で起こす、というのがいままでの生き方だった。心のスタンスとしては今もそれは変わらないのだが、昨今は、やたら多くのデータとかAI関連の仕事に巻き込まれている。曰く、人工知能技術戦略会議、人間中心のAI社会原則検討会、経団連のAI原則タスクフォースなどだ。少しでもまともな未来に繋がる可能性があるのであればと、なけな…

  • 星座をつくろう

    Leica M (typ240), 1.4/50 Summilux ASPH @Gordes, Provence, France先日、とある高校の学祭に立ち寄る機会があり、そこの出し物の一つで久しぶりにポーカーをした。ポーカーというのは親が配る五枚の札で役作りを行い、その組み合わせの強さで、幾ばくかの賭けをし、もっとも強い人が掛け金を得るというシンプルなゲームだ。手持ちの札が悪ければ何枚でも交換できる。ロイヤルストレートフラッシュという言葉があるが、これはポーカーから来た言葉だ。*1そこで一緒のテーブルに付いていたある青年が手持ちのコインのすべてをいきなりベットする(掛け金として出した)ことが…

  • Places in the Heart

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII, Tuscany, Italyもう30年近い昔の話だ。当時ほんとうに言葉などなくても分かり合えた友人が何人かいた。みんな本当にいいやつだった。ある日、その一人と、なんだかもう何もしたくなくなって、名画座に映画を見に行った。"Places in the Heart"という映画だった。*1-アメリカの南部の多分20世紀はじめの頃の話だ。ある日、突然、家族と幸せに生きていた婦人が突如未亡人になるところから話が始まる。彼女の夫は、町でとても信頼されていた保安官だったが、酒を飲んで気持ちよくくだを巻いていた黒人に注意すると、暴発的に玉が…

  • 今日、何人かの中学生たちに送った言葉

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII 本日午後、とある奨学財団の率いる長野の中学生の皆さん、約15人と約3時間語り合った。はじめに僕の年齢を聞いて、彼らの親とさして変わらないので、ほとんどの彼らが驚いていた。どうも10才は若く見られたようだ。人は好きなこと、自分が意味があると思うことを追求していれば歳をとらないんだと伝えることから始まった。笑頂いた質問表を踏まえ「これからの未来をどう考えどう生きていくか?」をテーマに、簡単な自己紹介、なんでこんな人生になったのかから始まり、頂いたお題に応えるべく、1時間あまりやり取りをしつつお話しをした。その後さらに幅広くこってり…

  • シゴトの未来

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII @Shelburne museum, VT, USAさすがに人生の半分ぐらいまできたと思われるkaz_atakaです。表題のテーマでもうこの3年ぐらい食傷するぐらいの数のインタビューや取材を受けてきました。正直、僕の周りでは完全にdone issue(ケリが付いた話)なのですが、今キャズムを超えたと思われる一般メディアから急に色んな話が来るようになっています。以下は、これでこの話題についてはもう打ち止めにしようと思って受けたリクルートワークス研究所のインタビュー記事です。これほどシゴトというものに正面から向かい合った議論をした…

  • 『第六の波』、、、大量絶滅からの回復はどの程度時間がかかるのか?

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII, VT, USA皆さんお元気ですか?だんだんと春めいてきましたね。現在、知覚と知性についてのとあるまとまった論考を書いているのですが(まとまったところでまたお知らせします)、そのからみで古いメールをひっくり返していると、まだアメリカで研究していた当時(17年前)のサイエンス・ニュースが出てきて、これはこれで面白く今もrelevantだと思うので再掲したいと思います。ブログのなかった当時、こうやってメールで友人、知人に数百名程度、発信していました。なつかしいなぁ。また何かいまでも面白いもの、価値のありそうなものを発見したら載せま…

  • (書評)『真理の探究 - 仏教と宇宙物理学の対話』

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII @Flagstaff, AZ これ以上、ディープなテーマの本を探すのは困難だろうと思われる一冊。世界的な理論物理学者である大栗博司先生と、仏教学の泰斗である佐々木閑(しずか)先生の対話。年末ぐらいから少しずつ読んできて、途中で全く関係のない『サピエンス全史』とか再度読み始めてしまったり*1、全く別のことにハマってしまったりしたためにようやく読了。『真理の探求』というタイトルがやばすぎて、机の上をふらっと見た人に「遂にその道に、、、(絶句)」的な反応を示されることが多い本でもありました*2。そういう意味で魔除け的な効果があるのが…

  • 棺(かん)を蓋(おお)いて事定まる

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII, Manchester Village, VT, U.S.A.人の功績は死んだあとに初めて正しく判断される、人の本当の価値は死んだあとにはっきりする、との意。先程、この数週間、たまった新聞をざっとみていたのだが、2016.11.29の日経「春秋」欄で久しぶりにこの言葉を見て本当に心に染みた。キューバのカストロ議長の死を受けたコラム記事だった。この1〜2年、突然、国だとか、大学、学会などのパブリックな仕事が増えて、本当にこれが価値がある時間の使い方なのか、このまま生きつづけることが自分にとって正しい人生といえるのか、をこれまで以…

  • AIはイデアである

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII @Putney,VT, USAほとんど毎日のようにAIに関する委員会であるとか講演であるとか討論会に出て、繰り返しAIと呼ばれているものの実態について議論してきたがなかなかうまく多くの人に落ちない。なぜだろうと思ってきたが遂にわかった気がする。AIなんて具体的に確定したものはないんだ、AIはイデアなんだ、ということが多くの人に理解されていないのだ。AIは「ルビー」と言うような石であるとか、「東京」のようなわかりやすい確定的な実体を伴う概念とは違う。人の心の中にしかない概念だ。技術革新でAI的に実現しようとしてきたものの多くが急…

  • 知らず知らず僕らのエゴと気配りがこの国をbehindにしている

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII Shelburne Museum, VT, U.S.A.アメリカやヨーロッパの街に旅行にいくたびに思うことがある。それは彼の国々の街の多くは美しく、東京や日本の地方の街の多くは見苦しいか、味気がなく、乱雑ということだ。以前話題になった「世界の都市を東京ぽくしたら、、」も引きつりそうな黄色い笑いを生むようなところがあった。今日はそこの深因の一つが、我々の未来にも影響をもたらしているのではないかという話。-先日、ドローンだとか自動走行についてのブレストを知り合いの某中央省庁の方々としている時にちょっとした気付きがあった。これらの時…

  • 不屈の棋士

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII Putney, VTこの二年ほど、年中同じ問題について手を変え足を変え尋ねられる。「AIがこれ以上進化してきたら我々の仕事はどうなるのか?」、、と。これについての僕の答えは常に一貫していて、そんなに心配する必要はない。AIは我々の仕事をまるごと置き換えることは、かなり未来まで当面無い。AIなりデータは我々を劇的にアシストするようになる。これから本当に起きるのはAIと人間の戦いではない。データとアルゴリズム、そしてコンピューティングパワー*1を活用する人と活用しない人の戦いになる。使わなければ、使っている人(あるいは企業)の圧倒…

  • 第二回データサイエンティスト協会シンポジウムのお知らせ

    Leica M7, F1.4, 50mm Summilux, RDPIII @Oxford, UK来月13日(金)にデータサイエンティスト協会、年に一度の第二回シンポジウムが行われます。事務局に聞いてみたところ、こちら、なんとまだ枠があるようなので、驚きつつ、ご案内させていただいている次第です。 http://www.datascientist.or.jp/symp/2015/基調講演では情報処理学会会長、NII(国立情報学研究所)所長の喜連川先生にお話いただくことに加え、今、話題の人工知能の第一人者、松尾豊先生にもお話いただきます。加えて、データサイエンティストのスキル要件をデータサイエンス…

  • ヨーロッパは旧世界ではなく新世界だった

    Leica M7, F1.4, 50mm Summilux, RDPIII @Lake District, England, UK昨夜、パラパラと見ているとNature発の目を疑うようなニュースが飛び込んできた。"The earliest unequivocally modern humans in southern China" Nature (2015) doi:10.1038/nature15696ヨーロッパには現生人類(ホモ・サピエンス、クロマニヨン人)は4万5千年年前までいなかったことが知られているが、アジア(今の中国南部)には少なくとも8万年前、もしかすると12万年前にすでに疑いよ…

  • AIはproblem solvingマシンではない

    Leica M7, 50mm/F1.4 Summilux, RDPIII @UC Berkeleyこの夏の研究のように書いていたDiamondハーバードビジネスレビュー(DHBR)2015年 11 月号への寄稿論文がようやく昨日発売になった。「人工知能はビジネスをどう変えるか」というタイトルだ。-NewsPicksのコメント欄*1にも書いたが、この論文のきっかけは7月末のバケーション前日に編集長の岩佐氏が突然相談があると言っていらしたことから始まっている。「いまディープラーニングなどAI周りで起こっている本当のこと、そしてそのビジネスとマネジメントについての意味合いについてまとめてもらえないか…

  • 人間が特異点を感じる時、、、『her/世界で一つの彼女』

    Leica M7, 50mm F1.4 Summilux, RDPIII, @Roma, Italy何もかも見たいときに見れる、なんて便利でいい時代だ。知りたいことも、本も映画も全て一瞬で手に入る。この快適さに埋没しながらも、生きている実感が逆に薄くなってしまう、そういう感覚に襲われてしまう。僕らはやっぱり実態を持つ存在だ。それがわれわれの生きる実感を与えてくれている。そういうことを、『her/世界で一つの彼女』を今頃になって見て、しみじみ感じた。her/世界でひとつの彼女 [Blu-ray]出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント発売日: 2015/07/08メディ…

  • 少子化が日本のアセットになる時代が来る(?)

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII, @Route66, Amboy, CA少子化が我が国の大問題だという話がまことしやかに語られるようになって久しい。なぜそれが問題なのか、と聞けば、 ただでさえ老人が増える時に、働く若い人が少ないんじゃ支えられない 警察、消防、国防とかは誰がやるの?お店も中高年ばかりが売り子じゃつらい 国が元気じゃなくなる、、実際、若者たちが都市に行くので、多くの田舎は活力がない という辺りが普通に聞く大半の答えだ。なんだか凄そうな論説も、結局のところ上のどれかということが大半だ。これ本当にそうなのだろうか?-少子化自体は、3年以上前にちきり…

  • 玩物喪志、、、それとも玩物立志?

    α7, 1.5/50 C-Sonnar, RAW年末ということで、ほぼ日手帳を買いに行った。すると、ウィークリー版の欲しいのが売り切れ。困ったナと思ったが、店頭で調べたところ、ウェブで購入できホッとした。いい時代だ。ほぼ日 手帳 2016 WEEKS ホワイトライン・ブラック(1月始まり) ウィークリー出版社/メーカー: 東京糸井重里事務所発売日: 2015/09/01メディア: オフィス用品この商品を含むブログを見るで、そのまま店を出たかといえば、生活的には要らないのに、目の前にあった毎日版もなぜかカゴに入れてしまった。その日の気付きを書こう、なんて自分に言い訳をして。笑モノがとにかく良いと…

  • ビッグデータの本質はデータの大きさではない

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDP III @Griffith Observatory, Los Angels, CA残念なことに、全く忘れていて風呂に入っていたのだが、期せずして先日取材を受けたNHKスペシャルの「医療ビッグデータ」に、先ほど何秒か登場していたようだ。それでそのリアルタイム検索結果*1を見ていたのだが、そこで扱われていたデータがビッグデータかどうかというツイートが結構な量であることに驚いた。ビッグデータの特徴として3V(Volume, Variety, and Velocity)と言った言葉が広まってしまっているせいもあるだろう。(自分も時たま使って…

  • では、僕らは何をしていくんだろう?、、、第二のMachine Age(2)

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDP III @Griffith Observatory, Los Angels, CA前回書いたようなことを言うと、「ではこれからは、どうやって飯を食っていったらいいんだ?」的なことを多くの人に聞かれる。アカデミアやデータプロフェッショナルといえる人の集まりですらそうだ。これについての僕の答えは、まあ自分で考えてよ、としか言いようがない。笑。とはいうものの、これではあまりにも不親切だと思うので、少し一緒に考えてみよう。―産業革命(第一のMachine Age到来)のときだって、馬や牛や人間の肉体労働がどんどんいらなくなることは、少なくと…

  • 第二のMachine Age

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII @Route66, AZ 最近、僕らの社会がどこに向かっているのかということを考えさせられる機会が増えている。そもそも、大手ネット企業のストラテジストとして世の中の未来を考えるベースロードがあるのだが、それに加えて、理事でもあるデータサイエンティスト協会のスキル定義委員会(実は委員長、、。orz)では、新しいデータ社会に向けて必要となるデータプロフェッショナル人材のスキル要件についてこの5ヶ月ぐらい検討し続けている。数週間前には、少々驚くべきことにOECDに日本が加盟して50周年記念というイベントの一つで、日本側のパネリストの…

  • 書評「静かなる革命へのブループリント」

    α7, 1.5/50 C-Sonnar, RAW 我々の未来は、我々の意思が作り、我々の意思は感性、すなわち我々の現実の感じ方が生み出すことを改めて思い起こさせてくれる一冊。献本をいただき、目を通したが、久しぶりにワクワク感を感じ、自分の深いところにあるものづくり、商品づくりの欲求がメラメラした。実は僕は長い間、新商品開発をやってきた、かなりコテコテの商品開発野郎だ。身近な飲み物からハイテク商品までずいぶん幅広く関わってきた。その多くが幸い成功したが、随分力を入れたはずの商品が失敗する姿もかなりの数、これまで見てきた。それってなんだろう、と思ってきたことへの答えの一部がここにあると思った。優れ…

  • 味を失わず世界で生きるとは何か

    安西洋之さんの新刊。一見月並みのことにどれほどの深さがあるかを感じられるかを突きつけられるような本です。*1安西さんは拙著を読んで、僕に最初にコンタクトされた方の一人。ローカライゼーションマップを提唱され、日経ビジネスオンラインでも連載されていたので*2、ご覧になった方も多いのでは?(実はこの絡みで対談をさせて頂いたこともあります、、。*3)この本、いかにもありそうですが、誰も思いつかなかった取り組みです。ちょっとヨーロッパを取材旅行してきましたみたいな人ではなく、イタリアに腰を据えた生活の中で長年感じられてきた感性の上に、ファーストハンドで集められた得難い生の声、情報に満ちています。安西さん…

  • ただやりたいことをやろうとするのが本当に幸せか?

    Leica M7, 50mm Summilux F1.4, RDPIII Cambridge, UK僕は何だか色々な相談を受けることが多い。よくある相談の一つが、本当はこういうことをやりたいんだけれど、その辺をやったことがないので踏み込むべきかどうか分からない、というものだ。これが大学出るかどうかぐらいの人だったら、「まあ深く考えずにやってみたらどうか?」という話になるわけだが、結構ないい歳になっていて、労働人生の何割かを過ぎてしまったような人の場合、これがむずかしい。なぜだか、こういう相談をしてくる人に限って、そこまでの人生でそれが本当にやりたかったらそういう人生を送って来ていないだろう、と…

  • 巨人サンガー逝去

    Leica M7, 50mm Summilux F1.4, RDPIII Cambridge, UKタンパク質のアミノ酸配列を世界で初めて決定し、DNAの配列決定法を発明、更にRNAの配列決定法も産み出したフレデリック・サンガー(Frederick Sanger)。ノーベル化学賞を二度受賞した唯一の人物。サイエンスをはじめた頃からずっと僕のヒーローの一人だった。その彼が19日火曜、イギリスのケンブリッジで亡くなった。享年95歳。―彼がケンブリッジのラボの片隅で、テクニシャンとたった二人で10年間こつこつと仕事を行い、人類が世界で初めてタンパク質の配列を決定した仕事は現代の伝説であり、サイエンテ…

  • 富士の世界遺産内定に思う

    GXR, Nokton Classic 35/1.4 (上空から見た富士) 富士山が世界文化遺産に内定したそうだ。>「富士山」世界遺産に登録へ NHKニュース http://cro.st/mc5jニュースをご覧になった方も多いだろう。実にめでたい話のはずなのだが、なぜか初めてこれを聞いた時、僕は全くうれしくなかった。尽力されて来た方々には、本当に申し訳ないが、正直、なぜだか失礼な話だとすら思ったのだ。それはほとんど生理的な反応だった。概ねこの国の何かが称えられることについてはうれしいというのがいつものことなのに、だ。なぜなんだろう?―以下、自分なりに考察してみる。まずそもそも、「富士」は、古(…

  • 仕事が進まないときの話

    Leica M7, Summilux 50/1.4, RDPIII @ Pienza, Tuscany, Italy仕事が全然進まない時、というのがたまにある。実は今もそれで、連休中なのに仕事を持ち帰って来てしまっている。頭の調子が悪いと言うか、うまくかちっとはまらない。人によると思うが、僕の場合、難しいというより、過度に精神的な負荷が高い仕事が重なると、こうなることがある。過度に精神的な負荷が高い仕事というのは、なんというか入り組んだ、関係する受け手だとか文脈のことをかなりああだこうだと読み切って、それに合わせて、精妙に組み込まないといけない組み込み細工のような仕事のことだ。単に疲れているだ…

  • 中年ってなんだろうと思ったときのこと

    Leica M7, Summilux 50/1.4, RDPIII @Montepulciano, Tuscany, Italy 中年ってなんだろうってことをちょっと前まで思っていた。自分が中学や高校生の頃は、30過ぎの大人は全て中年だと思っていたが、いざ自分が社会人になってみると、その時は既に20代も半ばで、30になった時は、Ph.D. studentという、生活費と学費を支給される身分とはいえ、学生だった。周りが若かったせいもあるが、明らかに中年にはほど遠く、完全に他人事(ひとごと)だった。2001年にテロがあり、日本に30をとうに過ぎて戻って来たとき、どう考えても自分の感覚としてはただの…

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