キトロロ さん プロフィール

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キトロロさん: キトロロギストXの記録
ハンドル名キトロロ さん
ブログタイトルキトロロギストXの記録
ブログURLhttp://citrologist.blog94.fc2.com/
サイト紹介文一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白です
自由文キトロロギストとはシトラス(Citrus)+ロジスト(logist)の造語です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供53回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2008/09/26 14:04

キトロロ さんのブログ記事

  • みかんの花の解剖
  •  花は、植物の器官の中で、種類を見分けるのに最も頼りになる器官でしょう。リンネ(Linne, C.H.,1753.Species Plantarum )の植物二十四綱分類体系をみても、おしべやめしべの数や配列の違いが、分類の基本となりました。ところで、いろいろな内外の専門書や教科書をみますと、みかんの花については、不正確な記載に触れることが多いので、改めてみかんの花の特徴を記述してみました。(1) みかん花の組織の配列 みかんの花は [続きを読む]
  • 甘夏果実の油胞は語る
  •  甘夏は、1950年にレリーズされたナツダイダイの枝変わり突然変異品種で、低酸味と早生性で優れていますので人気があり、マーケットに最も多く出回ります。大分県津久見市の川野豊さん宅の生まれですが、熊本県、愛媛県、鹿児島県などが主な産地となっていて、4万トン程度が出荷されています。庭園木として優れていて東京でもみられ、実際の結実量は出荷量よりはるかに多いものと思われます。 甘夏の果皮の油胞と他の形質との相 [続きを読む]
  • カンキツ果実の維管束組織の品種間差異
  •  以前のブログ記事(18/01/23:カンキツ果実の維管束の組織学)で、カンキツ果実への養水分の通り道となっている①維管束の種類、②維管束の木部、篩部の配置、③各部の細胞の種類について、紹介しました。今回は、維管束組織が、ブンタンなどの大きな果実から、キンカンのような小さな果実まで種類の間で、どのような果実の維管束の違いをみせているか比較してみました。1) 維管束サークル直径の相違カンキツ果実は、成 [続きを読む]
  • レモン果実の油胞は語る
  •  レモンは酸っぱい果物の代表です。世界では1800万トンの生産を上げて、今なお増産中の果実です。日本はアメリカレモンのお得意さんで、毎年5万トンほど輸入しています。輸入先のアメリカでは、ほとんどがカリフォルニアで栽培され、南部沿岸地のヴェンチュラ地方が特産地となっています。加州特産のユーレカレモンは、果皮が平滑で、果皮色につやがある高品質の品種ですが、酸味の最大の緑果を早採りして出荷しています。色付け [続きを読む]
  • 果樹の茎頂の成長点の解剖
  •  植物の茎葉頂(shoot apex)には、分裂組織の成長点(生長点、growing point、apical meristem)があります。円錐形をした分裂組織は、外部から内部に向けて層状の細胞配列の構造をしています。古くから、この分裂組織が、どのようにして花や果実の器官を形成するのか、層状構造の役割とともに検討されてきました。 成長点の解説をふりかえりますと、戦後アメリカから齎された大量のバックナンバーとともに、アメリカ植物学雑誌 [続きを読む]
  • キンカン果実の油胞は語る
  • 最近のキンカンは、宮崎、鹿児島を中心に3600トン超の生産量を安定してあげています。ほとんどが酸味の少ない寧波金柑で、この品種は1826年に中国から導入された品種です。寧波金柑については、高い栽培技術で生産されたおいしい「たまたま」が、2月―-4月頃に、店頭に並んでいますので、お馴染みのことと思います。 キンカンの果皮の油胞をみて、果肉のどのようなことが言えるのか、検討してみました。1) 油胞密度油胞は1平方 [続きを読む]
  • カンキツの接木キメラのはなし
  •  キメラとは、頭がライオン、体がヒツジ、尻尾が竜という空想上の怪物ですが、植物界にはこのようなとんでもない奇形が現れています。ウインクラー(Winkler,H.,1907)が、はじめて2つ以上の種類から、個体ができている状態をキメラ植物と呼んで以来、植物界では多くの例が報告されました。中でも、イタリアで重要な作物であったシトロンに、1644年にサワーオレンジを接ぎ木して発生した奇妙な果実は、ビザリア(Bizzarria)と呼 [続きを読む]
  • デコポン果実の油胞は語る
  •  国民的人気のあるデコポン(不知火)が、生産量5万トン近くまで伸びてきました。値段が1果150円から2000円を超えるくらいまで大きな開きがあり、品質的にも大きな違いがみられるようになりました。単価の異なる果実が得られましたので、これまで確かめてきた「油胞の分化数はベシクルの分化数と相関している」という仮説を、検討することにしました。(1)油胞数  果実の赤道面の1cm2に含まれる油胞の数、つまり油胞密度を測 [続きを読む]
  • カンキツ果実の袋数を比較すると
  •   カンキツの果肉は,数個の袋(じょうのう:segment)で成り立っています。袋には維管束がなく、周りの維管束から養水分を受けて成長します。1個の袋は、腹側維管束、背側維管束、隔膜維管束の3大幹線の維管束と接していますので、袋数が増えると維管束数が多くなると思われます。 そして、袋数は、カンキツの種類によって大きく異なり、また、種類ごとに袋数の変異がみられます。カンキツの花は5を基本数としていますが、袋数 [続きを読む]
  • イヨカン果実の油胞は語る
  •  愛媛県特産のイヨカンは、1887年に山口県阿武郡東分村の中村正路宅の園地でみいだされた品種です。1980年から2000年頃までは、20万トン前後の大量出荷の実績を持っていますが、現在はその5分の1程に低下しました。年々、育成品種に転換しつつあります。イヨカンの果皮油胞について、測定してみました。(1) 油胞数とベシクル数の相関関係 油胞は果皮赤道面cm2当たりに71個ありました。ポンカンの120個(ミカン62個)にくらべ [続きを読む]
  • 晩白柚の果実と果柄の維管束連絡
  •  世の中で、木にぶら下がって成熟する最も大きな果実は、ジャックフルーツでしょう。かつて、マレーシア大学で、90キログラムもある果実を初めて見たとき、びっくりさせられました。ジャックフルーツはところによって呼称が異なりますが(パラミツ、ナンカなどあり、品種も多数ありました)、熱帯には広くみられる救荒果実の一つです。果実は幹から直接出た幹生枝に成り、しっかりした果柄に着生していました。 カンキツで最も大 [続きを読む]
  • ミネオラの油胞は語る
  •  ミネオラは、アメリカ農務省が世界に先駆けて開始したカンキツ交雑育種(1897年開始)の選抜品種です。1911年にダンカングレープフルーツ×ダンシータンゼリンの組み合わせで、1931年に新品種(タンゼロ;オーランド、セミノールと姉妹)としてレリーズされました。フロリダ州のミネオラの地名をもらいました。100年経た今日でも、フロリダ中心に1000ヘクタール以上のミネオラの植栽があり、輸入品がこのところの日本の春先のカ [続きを読む]
  • みかんの果実と果柄の維管束連絡
  •   当然でしょうが、果実は果柄にぶら下がった状態で生育をとげます。そしてその間、水や栄養素が果柄の維管束を通って、果実に供給されます。果実の維管束は、散在した筋状の管になっていますが、果柄の維管束は2次肥大を遂げていて、シリンダー状の茎の2次維管束となっています。いったい、両者の維管束のつなぎは、どうなっているのでしょう。みかんで調べてみました。(1)2次維管束から1次維管束への変化 八朔のヘタ落ちし [続きを読む]
  • カンキツ葉の精油成分による化学分類
  •  カンキツの大きな特性として、油胞を葉、花、果実、茎などに分化し、なかに精油を分泌することがあげられます。そして、カンキツ精油の成分には300以上の種類のあることが、ガスクロマトグラフィー分析法の進歩で詳細になっています。さらに、カンキツの精油は、今や食料、香料、薬用産業になくてはならない、天然物質として重宝されえています。ここでは、カンキツの葉の精油成分が、化学分類に貢献できるかどうか検討しました [続きを読む]
  • ペイジ果実の油胞は語る
  •  ページはミネオラ(ダンカングレープフルーツ×ダンシータンゼリン)とクレメンチンマンダリンの交雑品種です。育成地のフロリダで1963年に普及に移されました。フロリダでは普及しませんでしたが、カリフォルニアに産地を得た品種です。温州ミカンのSサイズの小玉ですが、赤橙の美しい果皮色と多汁さで人気があり、現地では、マンダリン中で最高のフレーバだと評価されています。1月中旬に、57円の輸入果について油胞数とベシク [続きを読む]
  • カンキツ果皮の精油リモネンと分類
  •  カンキツの精油成分のリモネンは、精油産業に大きな貢献を果たしています(既報を参照ください:精油産業とカンキツ; 17/11/21 )。また、カンキツの種類ごとに、リモネンの含有量の違いがみられ、とくに、果皮には0.5〜3.0%ほどの違いがみられます。そして、その多寡をみて、カンキツの種類の鑑定や、化学分類(ケモタクソノミー)に利用してきました。21世紀に入って、分析機器のガスクロマトグラフィーが世界的に広まり、 [続きを読む]
  • ハッサク果実の油胞は語る
  •   ハッサクは、広島県豊田郡田熊村の恵日山浄土寺で誕生した実生で、明治のころは八朔ザボンとして知られていました。昭和のころに市場性をえて、夏橙とともに雑柑の代表品種として普及してきました。特産地の和歌山の八朔が手に入りましたので、これまで手掛けてきた「油胞数はベシクル数と相関している」という仮説が、八朔でもいえるか調査してみました。 (1) 油胞数とベシクル数の相関関係  油胞密度として、油胞は果 [続きを読む]
  • カンキツ果実の維管束の組織学
  •  植物の維管束(vascular bundle)は、水や栄養分などの通導組織で、植物の形態上で最も変化に富んだ組織とされています。また、維管束は、水の通導を担う木部(材部、tracheal portion)と、栄養分の通導を担う篩部(sieve portion)からなる複合組織となっています。そして、木部は、導管、仮道管、木部繊維、木部柔細胞からなり、篩部は、篩管、伴細胞、篩部繊維、篩柔細胞からなるとされていますが、必ずしも全種類がセットして [続きを読む]
  • はれひめの油胞は語る
  •  はれひめは、2002年に公表された農林水産省果樹研究所の育成したカンキツの交雑品種です。現在、愛媛県を中心に140ヘクタールほどに栽培されています。この品種の育成経過をみますとかなり複雑で、4代目に当たっています。 12月までに成熟し、温州蜜柑を凌駕する品質の早生品種として選抜されましたので、宮川早生に戻し交雑がなされ、さらに、アメリカ育成の早生品種のオセオラも交配親として、関与しています。オセオラはフロ [続きを読む]
  • ポンカンの油胞は語る
  •  カンキツの油胞は、形や数量、さらに精油の成分の違いから、カンキツの種類の鑑定や分類に用いられてきました。例えば、同一面積当たりの油胞密度をみますと、オレンジ類では極めて高く、ミカンなどのマンダリンは中庸です。これまで、油胞の数が、果肉のベシクルの数と相関しているという知見を得ましたので、マンダリンとしては油胞の多いポンカンでも、この関係が成立するか確かめました。(1) 1次油胞数と2次油胞数  鹿 [続きを読む]
  • みかんの袋と維管束のはなし
  •  みかんを手にして、皮をむかないで袋の数を言い当てる遊びは、古くからなされてきました。それは、果柄の切り口や果実の頂部をみると、分離した維管束がみられ、その数が袋数に対応していることに、理由があります。へた落ちのするポンカンなどでは、維管束分離跡がよりはっきりとみられます。しかし、多くの果実に接しますと、このことを正確に言い当てることが、至難の業であることに気づきます。そこで、みかんの維管束(vascu [続きを読む]
  • ヒートショックによるみかんの貯蔵延長
  •  ヒートショック処理とは、生鮮食品の場合、熱水、熱風、氷水などで短時間試料を処理し、生理に変調を与え、その結果として品質の維持、改善を目的とした方法を呼んでいます。21世紀に入って、いろいろな果実で、熱水処理、熱風処理などが実施されてきました。 みかんの貯蔵では、乾燥予措といって、貯蔵前に果実を10日程前後室内で重量の3−4%乾かしてから、入庫する方法をとってきました。ヒートショック処理は、この長 [続きを読む]
  • 紅まどんなの油胞は語る
  •     平成16年頃から市場にお目見えした愛媛県産の紅まどんなが、今年も普通温州の2倍以上の高値で陳列棚をにぎわしています。温州みかんに比べて大玉の紅まどんなについて、果皮の油胞(oil dots)と他の果実形質との相関関係を調べてみました。(1) 油胞数とベシクル数の相関関係  果実の赤道面の1cm2に含まれる油胞の数つまり油胞密度は、普通温州62個と同等で、紅まどんなは59個ありました。ほとんどが1次油胞でした。 [続きを読む]
  • アフォーラマンダリンの油胞は語る
  •   カンキツの油胞には、花の発達過程で分化する1次油胞と、その後の幼果の発達過程で分化する2次油胞があります。そして、果皮に占める油胞の面積は極めて大きく、また、よく見ると、それらの密度には果実ごとに大きな違いが認められます。例えば、普通温州では、7000個ほどの油胞があり、1?2当たりに62個の油胞密度がありました。 さらに、みかんでは、油胞密度が高いと果肉のベシクル数が多いというプラスの相関関係があり [続きを読む]
  • ミカンの油胞は語る
  •  みかんの果皮のアルベドに広く分布する油胞(oil dots)は、揮発性の精油のタンクであり、ヒトにとっては製油産業に貢献します。それでは、みかんにとっては、どのような役割を持つのでしょうか。精油の微生物や昆虫などとの関り方を考えると、果実の防護、誘因、忌避などの機能のために、表皮細胞層の直下に分化したと思われます。また、ポストハーベストの過程で、精油は揮発して、空胞になっていますので、揮発で太陽光の潜熱 [続きを読む]