井上智公 さん プロフィール

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井上智公さん: 泣きながら一気に書きました
ハンドル名井上智公 さん
ブログタイトル泣きながら一気に書きました
ブログURLhttp://tmykinoue.hatenablog.com/
サイト紹介文妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟
自由文文筆業。
基本的に嘘泣きです。
よろしくお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供47回 / 365日(平均0.9回/週) - 参加 2008/12/16 15:32

井上智公 さんのブログ記事

  • 風邪の歌を聴け
  • 考えてみれば、その日は朝起きた瞬間から妙な浮遊感があった。週の初めに風邪の症状を自覚してから五日目となる木曜の朝、六時過ぎにふと目が覚めた。前日の夜、すっかり風邪のピークは過ぎて、あとは時間の経過とともに自然治癒していくはず、という確信があった。といっても、その程度の経験則が確信と呼べるレベルのものであるはずがなかった。なぜなら人は、風邪のひきかたも治しかたも、毎度見事に忘れるからである。それは母 [続きを読む]
  • 噛むガム Is Coming!
  • 数年に一度、ガムブームが来る。「来る」といっても自分の中に来るというだけの話である。ちなみに「噛む」という日本語動詞と「ガム」という英単語の親和性はどういうわけか。そして噛むべきガムのブームがCOME(来る)。そういえば世の中的に、いつガムブームが来ていつ去っているのかをまったく知らない。スーパーやコンビニの店頭を見る限り、ずっと来ているようでも、ずっと来ていないようでもある。それを「定着」と呼ぶのか [続きを読む]
  • デヴィッド・リンチ/『アートライフ』
  • デヴィッド・リンチ:アートライフ [DVD]出版社/メーカー: TCエンタテインメント発売日: 2018/07/04メディア: DVDこの商品を含むブログを見る現世にデヴィッド・リンチほど「奇才」という呼び名がふさわしい人間はいないと思うが、どんな奇才にもルーツはある、ということが少しだけわかる一作。むろんどんな開示のされ方をしようと、その不可解な才能の全貌などわかるはずもない。しかし「わからなさ」の多い彼のフィクションに比 [続きを読む]
  • ビラ配ラーとの攻防
  • 受験や就活に限らず、この世のあらゆる場面では冷酷無比な「セレクション」が行われている。それは路上においても例外ではない。といってもナンパや勧誘の類ではなく、いやある意味勧誘の一種ではあるのだが、ビラ配りの話である。駅前の路上なんかを歩いていると、ビラ配りの人つまりビラ配ラーが、あちらこちらビラを撒いている。その多くはティッシュや試供品がついていたりもするし、割引券として使えるものもある。あれをもら [続きを読む]
  • 純眠欲
  • 本が好きだが本を読むと眠くなってしまう。本をあまり読まない人は、本を読むと眠くなるのは本がたいして好きじゃないからだと思っているかもしれないが、そんなことはまったくない。本には自らのことを愛する者をも眠らせる圧倒的な力がある。となるとこれはもう、催眠術に分類したほうが良いのかもしれない。よく寝る前に、数学や哲学などの難解な本を読むと眠れるという人がいる。内容がわかりにくかったり退屈であったりすると [続きを読む]
  • 文体実験型短篇小説「順接ブレイクダウン」
  •  喉が渇いたからといって水を飲みにいくとは限らない。 就活生の何故彦は面接の出来がさんざんだったので、帰りにコンビニへ寄って牛乳を買った。もしも面接で充分な手応えを感じられていたならば、彼はきっとミネラルウォーターを買っていただろう。どちらが好きだからというわけではない。ただ理由と結果だけが、それぞれ孤独に存在している。その間のつながりなど、誰も知らない。 コンビニを出た何故彦は、買った牛乳を一気 [続きを読む]
  • 無理比喩短篇小説「因果オーライ」
  •  朝の通勤電車はコンビーフの缶詰のように混んでいた。中段をぐるぐる巻き取るあの独自の構造は切腹を思わせるが、満員電車に乗っているサラリーマンたちの会社への忠誠心も実質的な切腹を前提としている。 列車がテーブルの上に置いて三秒後の生卵のように揺れると、比村喩吉は朝礼で校長先生の話を三十分聴かされた貧血児童の如くよろめいた。どうやらこの日の運転手は産まれたての子鹿あるいは子牛くらい初心者であるらしく、 [続きを読む]
  • 非四字熟語読解問題
  • 人は様々なメッセージを身に纏って歩いているものだ。たとえばTシャツのプリント文字。そこに何らかの主義主張を込める者と、何も考えずなんとなく着ている者の二派に分かれるが、いずれにしろ結果的に何かしらのメッセージを発信していることに違いはない。あるいはそれが無地であったとしても。公園を、歩いていた。歩くのは速いほうなのだが、その日は珍しく自分の脇をすり抜けていく人影があった。特に悔しいやけではないが、 [続きを読む]
  • ディスクレビュー『PREQUELLE』/GHOST
  • PREQUELLE (DELUXE EDITION) [CD] (LENTICULAR ALBUM COVER INSERT, 2 BONUS TRACKS, LIMITED)アーティスト: GHOST出版社/メーカー: LOMA VISTA発売日: 2018/06/01メディア: CDこの商品を含むブログを見るもはや全世界的に「メタル」というジャンルそのものを背負うまでに成長したGHOSTの新作。昨今はすっかりラップまみれでメロディを見失いつつある全米チャート第3位は、快挙と言っていい。メタルの世界基準はいまここにある。前 [続きを読む]
  • 森羅万象ドラクエ化Ⅱ〜悪霊の神々〜
  • この世のあらゆる物事は、すべて『ドラゴンクエスト』の世界観に取り込むことができる、つまりドラクエナイズ(ドラクエ化)可能であるということを証明する第二弾。勇者の伝説が再びよみがえる。◆笑わせ師「まつきやすたろう」が習得する呪文「かいせつ」。パーティー全体にパルプンテの効果。◆火山地帯の砂漠で倒れている「まつしまトモこ」を助けると、お礼に「むぎちゃ」がもらえる。使うとHP小回復の効果。このイベントは二 [続きを読む]
  • 森羅万象ドラクエ化
  • この世のあらゆる物事は、すべて『ドラゴンクエスト』の世界観に取り込むことができる、つまりドラクエナイズ(ドラクエ化)可能であるということをこれから証明してみたいと思ふ。ぜひ『ドラクエ』の攻略サイトと間違えて読んでいただければ幸いである。◆「ハズキルーペ」を天にかざすと、パーティー全体にスクルトの効果。さすが日本製。◆僧侶「ケント・デリカット」のメガネを天に放り投げるとルーラの効果(ただし行き先はユ [続きを読む]
  • 性格の不一致、対話のスイッチ
  • 夫婦の離婚原因第一位は「性格の不一致」と言われるが、果たして本当にそうなのかどうか。むしろ完全に一致してしまったら1×1=1にしかならないという考え方もあるし、すべてわかりきっている相手に興味が持てないという可能性もある。そもそも「性格の完全一致」なんて、「DNAの完全一致」と同等の奇跡なんじゃあないか。こういう場合は単に言葉が感情に追いついていないだけの場合が多くて、たぶん不和に陥った夫婦が抱く互いへ [続きを読む]
  • 男とアンテナと異邦人
  • 先日、昼過ぎに公園を歩いていると、池の縁に立っている初老の男を見かけた。とはいえ人が死ねるほどの深さを持つ池ではないから、自殺志願の心配はない。佇むといった陰鬱な雰囲気はなく、むしろ仁王立ちの誇らしさで背中を反らせ気味に立っている。後ろから見ると、その姿は立ち小便をしているように見えなくもない。だが足を肩幅に開いて立つ男性の後ろ姿がそう見えてしまうのは良くあることで、実際には釣りをしていた、という [続きを読む]
  • 短篇小説「ラジカセの木」
  •  男は庭の畑でラジカセの苗を育てていた。 苗とはいっても、水を遣るわけにはいかない。なぜならばラジカセは、電化製品だからである。庭にはビニールの屋根がついていた。音を聴かせて育てるしかない。それも正確な育て方かどうかはわからない。そんなこと、誰にもわからないのだ。 それでもラジカセの苗はすくすくと育つ。周囲の音を勝手に吸収して成長するという説もあるし、日光や二酸化炭素のおかげであるとする説もある。 [続きを読む]
  • ケメ子とメム美のジャンガジャンガ未遂
  • あらかじめ断っておくが、何が面白いのかわからない話かもしれない。先日カッフェで本を読んでいると、ミルクティーとチーズケーキのあいだから女子高生らしき二人の会話が聞こえてきた。願わくば消し忘れた煙草と中国茶(チャイニーズティー)のあいだからであってほしかったが、残念ながら僕は館ひろしではなく、店内に泣いている女もいないのだった(館ひろし「泣かないで」歌詞参照)。それにしても彼女らの声はよく通る。聞き [続きを読む]
  • 短篇小説「ハズキルーペがハズかない」
  • 「今日も私は精一杯、力の限りハズけていたのだろうか? あるいは楽をして、中途半端に七割方ハズいたあたりで、満足してしまっていやしないだろうか?」 近ごろ私は、仕事を終えた帰りの電車内で、毎日そう考えている。それはもちろん、私が最近ハズキルーペを購入したからである。 しかしハズキルーペを所持しているからといって、何事をもハズけるとは限らない。無論ハズける確率はいくらか上がるのだが、やはり努力なしに何 [続きを読む]
  • やばたにえん無闇応用型短篇小説「えぶりたにえん」
  •  後楽園と豊島園の中間地点にある高校に合格した谷園子は、入学初日に世紀の朝寝坊をしてしまい非常にやばたにえんであった。「ちょっとお母さん、なんでおこたにえんしてくれなかったの! お蔭で初日から大ちこたにえんじゃない!」 顔をあらたにえんする暇もなく、一張羅の制服をあわてて身につけたにえんした園子に、安穏と朝食をとりたにえんする時間はない。自室を出てリビングを駆けぬけたにえんしつつ、朝食を準備してい [続きを読む]
  • 越えられない壁
  • 「努力は必ず報われる」などという甘言に騙されてはならない。この世には、誰が何をどう頑張っても絶対に「越えられない壁」というものがある。エコバッグ<プラダのバッグ<エルメスのバッグ<<<<<(越えられない壁)<<<<<クワマンのセカンドバッグ貧乏神<死神<トイレの神様<<<<<(越えられない壁)<<<<<ロマンスの神様もう恋なんてしない<MajiでKoiする5秒前<もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対<< [続きを読む]
  • 短篇小説『無効フラグ放題』
  •  よく風の鳴る嵐の夜だった。マンションの一室の床にひとりの男がうつ伏せに倒れている。男を取り囲むように、火のついた百八本のロウソクが配置されている。いつから燃えているのかはわからない。 男の頭上にある窓ガラスが風を受けてビリビリと頻回に震えているのは、意中の人に会いたくて震える乙女心の表れではなくガラスに小さからぬヒビが入っているからだ。窓の外に見えるベランダの手すりには無数のカラスがたむろしてい [続きを読む]
  • アレクサにお願いしたいけどできない7つのこと
  • 「アレクサ、ちょっとセカンドバッグ見張ってて!」→どんな守護神でも、クワマンのセカンドバッグだけは守れない。その上、クワマンに窃盗の疑いまでかけられたアレクサがひと言、「それでもボクはやってない!」「アレクサ、新築のカラオケボックスにカラオケ機材入れといて!」→狭すぎる入口に何度も体当たりを試みるアレクサ。主人の荒井注から「なんだバカヤロー!」と罵られながら。「こんなはずは、こんなはずは……!」と [続きを読む]
  • 短篇小説「割引人間クーポンマン」
  •  たった一枚の紙切れが、ひとりの人生をすっかり変えてしまうことは珍しくない。たとえば、戦時下における召集令状。第一志望校からの合格通知。あるいは、勇気を振りしぼって書かれた一通のラブレター。紙切れの持つ意味あいこそ違えど、場合によってはそれが人生を変え得る力を持っていることに変わりはない。 ここにまたひとり、一枚の紙切れによって人生を大きく変えられた男がいる。男の名を、久本券太郎という。 久本十八 [続きを読む]