汎武 さん プロフィール

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汎武さん: はなし汎武ん
ハンドル名汎武 さん
ブログタイトルはなし汎武ん
ブログURLhttp://hanbu-y.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文日常のあれこれ、本の事、誰彼の事、合気道の事等々、諸事への思いを整列させることもなく書いております。
自由文写真やイラストなど殆どない、文字だけの地味なブログです。全体のトーンはエッセイ風でありましょうか。ま、ちょっと創作ものも入っていますし、批評めいたものも煩わしくない範囲で書いております。よろしければ覘いてみてください。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供154回 / 365日(平均3.0回/週) - 参加 2009/02/10 14:27

汎武 さんのブログ記事

  • あなたのとりこ 232
  • 「袁満さんの出張日数を減らすのも経費削減策ではあるけど、出雲君のこれまでの出張との兼ね合いでひょっとしたら、返って袁満さんは日数が増える可能性もあるんじゃないのかな。二人の日数の合計が少しでも減れば、それは経費削減策としては成立するし」 均目さんも袁満さんの見解に懐疑的な事をものすのでありました。「出雲さんの方はどう思っているのかな?」 来見尾氏が出雲さんの方に目を向けるのでありました。「俺っスか [続きを読む]
  • あなたのとりこ 231
  • 「片久那制作部長と一緒に飲む機会も全く無いし、余計な話しは控えろって無言のオーラが片久那制作部長の全身から何時も出ているし、うっかり軽口も云えない雰囲気だし」 均目さんが続くのでありました。「ほら、確かあの陰鬱な話しが出た初出社の日に、山尾主任と片久那制作部長が終わってから二人だけで居酒屋に飲みに行った事がありましたよね」 袁満さんが少しの疑いを秘めた目で那間裕子女史を見るのでありました。「あれは [続きを読む]
  • あなたのとりこ 230
  •  外部の三人も交えたその席では一応山尾主任の営業部への異動、それに袁満さんと出雲さんの仕事内容の変更も話題に上るのでありました。「組合結成を準備している事が上にバレたんじゃないだろうな」 派江貫氏がそんな懸念を表するのでありました。「その妨害工作として、そんな人事の変更や仕事の変更を向うは画策したとは考えられないかね」「でもバレるとしたら、当該の五人か私等三人からと云うことになるでしょう」 木見尾 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 229
  • 「その役目は制作部の人間じゃない自分で良いのですか?」「那間君も均目君も今、急ぎの仕事に掛かっているものだから唐目君に行って貰う事にしたんだよ。車でさっと行って用を済ませた方が早いし」 つまり頑治さんが制作に関わる仕事を熟す上に於いても、片久那制作部長に大いに信頼されていると云う事になるでありますか。それに那間裕子女史も均目さんも運転免許を持っていないから、行くとしても電車と徒歩と云う事になって非 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 228
  •  突然内線電話のブザー音が鳴るのでありました。袁満さんがそのブザー音に大袈裟に驚いてビクンと体を震わせるのは、先程頑治さんに漏らした、ちょっと息抜きに倉庫に下りて来たと云う言葉を、どう云う具合か、若しかして内線電話の受話器が外れているかして、上の事務所の土師尾営業部長に漏れ聞こえて仕舞ったのかも知れないと考えてたじろいだ故でありますか。まさかそんな事は無いでありましょうが、秘かに心疚しい事柄がある [続きを読む]
  • あなたのとりこ 227
  •  出雲さんの不機嫌と溜息は、未だ当分解消しそうにない模様でありますか。 そんな出雲さんとの話しの途中で袁満さんが倉庫に顔を見せるのでありました。「出雲君、日比さんが営業から帰って来たから、上の事務所に上がれってよ。土師尾営業部長と日比さんと三人で、新しい仕事に関してこれから打ち合わせだそうだ」 袁満さんにそう声を掛けられた出雲さんはまた溜息を吐くのでありました。察するところ打ち合わせと云われても、 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 226
  • 「何、これ以上あたしには話したくないって素振りね」 那間裕子女史は頑治さんの反応にいちゃもんを付けるのでありました。「ま、いいや。あんまり話したくないなら、それはそれで」 那間裕子女史はテーブルの上のあら方空いた皿を見渡して箸を置くのでありました。 頑治さんが倉庫で梱包作業をしていると出雲さんが上の事務所から下りて来るのでありました。出雲さんは当初の予定では二月迄出張は無いのでありましたが、二月か [続きを読む]
  • あなたのとりこ 225
  • 「ところで唐目君、大学院に通っている彼女とお付き合いしているんだって?」 那間裕子女史が突然話題を変えるのでありました。頑治さんは直前に口に入れた海老のチリソースを拭き出しそうになるのでありましたが、それはかろうじて堪えて上目で那間裕子女史の顔を窺うのでありました。那間裕子女史は頑治さんが見せた少しのたじろぎを面白がるように、悪戯っぽい目付きをして見せるのでありました。「それは、均目君から聞いたの [続きを読む]
  • あなたのとりこ 224
  • 「土師尾営業部長の発案ではないんですか?」 頑治さんは箸の動きを止めて那間裕子女史の顔を見るのでありました。「土師尾さんと山尾さんはお互い相手を心根の内では小馬鹿にしていて、息も合わないし馬も合わない同士なのに、それを敢えて自分の部署にコンバートなんかすると思う」「息も馬も合わないけれど仕事の上で有効であればするかもしれないじゃないですか」「土師尾さんにそんな器量とかクールさとか、したたかさとか、 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 223
  •  頑治さんは元々、給料とか待遇は特に高望みはしないけれど、その日の内にその日の課業が完結するような小難しくない仕事で、格式張った服装をしなくて済む比較的社風ののんびりした、冗談や洒落の判る上司の居る、あんまりこの先発展しそうにないながらもしかし、なかなか堅実に続いて行きそうな会社、と云う希望を以て就職先を探したのでありました。その希望と現状は何やらかなりズレてきていると云うのに、この先これ迄以上に [続きを読む]
  • あなたのとりこ 222
  •  山尾主任は旅行から帰ったら那間裕子女史と均目さんへのこれまでの仕事の引き渡し、新しい営業部仕事の日比課長からの引継ぎ、それに労働組合結成のための準備と大忙しになるでありましょう。先行きの不安で一杯と云った有り様でありましょうから、とても新婚気分を謳歌、とはいかないのは気の毒であると頑治さんは同情するのでありました。全く間の悪い巡り合わせでありますが、何とか切り抜けて貰いたいものであります。「山尾 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 221
  •  まあ、何を今更そんな遠慮は無意味と云えば無意味でありましょうけれど、しかし頑治さんには自分なりの規矩があるのでありました。紳士たる者、関係に狎れてどんどんと相手への配慮を喪失していくのは厳に慎むべき態度であると。 何処でどのような経緯でこのような倫紀を創り上げたのか自分でも良くは判らないのでありましたが、頑治さんには昔から一方に妙に堅物の横顔があるのでありました。それを一種の可愛気と取る向きもあ [続きを読む]
  • あなたのとりこ 220
  • 「何が入っているんだい?」 頑治さんは旅行カバンの方を差し上げてそれに目を凝らすのでありました。そうしたからと云って別に中が見える訳ではないのでありますが。「カバンの方はあたしの衣類とか色々。紙袋の方にはこっちで配るお土産とか、向こうで預かって来た親戚に届ける物とかが入っているの。駅に見送りに来て、その場で誰彼に渡してくれって急に頼まれるから正直困るのよね」「紙袋の重さからすると、大勢に盛大に見送 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 219
  •  均目さんが冗談抜きの真顔で頑治さんを持ち上げるのでありました。「まあ、前任者がちゃらんぽらんで相当にひどかったからと云う理由もあるけど」 そうですね、と云うのも何となく不謹慎のようで憚られて、頑治さんは曖昧な笑いを浮かべて均目さんの言には頷かないのでありました。「まあしかし、今度の配置転換とか業態の変更は、春闘時に予定している労働組合結成の件との兼ね合いで、どう云う風な経緯を辿るんだろうかねえ」 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 218
  • 「と云う事は、那間さんと均目さんは労働量強化になるけど、片久那制作部長は労働量軽減と云う事になるんですかね、その目論見に依れば」 頑治さんは均目さんの真似ではないけれど、顎を手指で撫でるのでありました。「まあ、そんな風にも云えるかもね」 那間裕子女史が成程と云った面持ちをして頷くのでありました。「でも確かに、これ迄は片久那さんに他の社員全員がすっかり頼り切りでいたのは事実ね。片久那さんとしてはもう [続きを読む]
  • あなたのとりこ 217
  •  しかし片久那制作部長の方も、何時も陰鬱な顔をしていて気難し屋で、こちらもかなりの頑固者で、頭の回転が早いから云う事為す事万事が目から鼻に抜けるような人で、そうであるから他人の言動がまどろっこしくて、屡人を置いてきぼりにして自分だけが随分前に突出して仕舞って、それを意にも留めない一種の情義の薄い一面も見られるのでありました。それからこれは美点でもあるのでありましょうが自分に厳しい分人にも厳しくて、 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 216
  •  那間裕子女史は云った後で頑治さんの方に瞳を流して笑むのでありました。これで良かったかしら、と云った頑治さんへの確認の心算でありましょうか。 この成句は実は、ずっと前に上野の鈴本演芸場で志ん朝師匠の『三枚起請』と云う落語を聴いて覚えたものでありました。その噺の中の花魁の科白に「親切の国から親切を広めに来たような人」と云うのがあって、どう云う訳だか何となく気に入って、親切、をあれこれ違う言葉に云い換 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 215
  • 「那間さんはちっとも、山尾主任の結婚を祝福していないみたいだね」 均目さんが皮肉るような云い様をするのでありました。「そんな事もないけど、でもとても嬉しく思っているかと云うと、それもそうでもないけどね。まあ、どうでも良いと云うのか無関心と云うのか」「そう云えば山尾主任が片久那制作部長に、今度結婚することになったからと報告して、それに付いては一月十九日からの新婚旅行休暇をと切り出した時に、片久那制作 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 214
  • 「山尾さんは処遇変更を受け入れると思う?」「片久那制作部長にこれから縷々説得されて、結局受け入れるんじゃないかな。それに結婚と云う大切な私事をすぐ目の前に控えているから、ここで色々微妙な立場に追い込まれたり、最悪の場合会社を辞めたりはしたくないだろうしなあ。まあ、実は既に、営業部への配置転換を受け入れる心算になって居酒屋に同行したのかも知れないし」「何となく気の毒な気がするなあ」 頑治さんは山尾主 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 213
  •  頑治さんのその云い方が如何にも気楽そうな感じなので、片久那制作部長と那間裕子女史、それに均目さんは笑いを漏らすのでありましたが、山尾主任は陰気そうな表情を変えないのでありました。自分のこれから先の境遇の変更に対する不安で頭が一杯で、頑治さんの呑気な物腰になんかには気持ちが回らないのでありましょう。「三人に云う事は、今日はそれくらいだ」 片久那制作部長は今度は山尾主任に目を向けるのでありました。「 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 212
  • 「何となく、もう山尾さんが営業に移る事が決定した云い方ですよね、それって」 那間裕子女史が抑々のところに拘るのでありました。「まあ聞け」 片久那制作部長は那間裕子女史の言葉を掌で制するのでありました。「地図なんかの修正作業は地域が新しくなるだけで要領は何時もやっているのと変わらないが、材料類の管理とか発注に関しては少し面倒臭い。商品在庫が多いと資産になって課税対象になるからなるべく在庫としては置い [続きを読む]
  • あなたのとりこ 211
  •  すぐさま反発の言葉を発しようとしていた山尾主任が、思わずその言葉を飲み込むのでありました。山尾主任だけではなく土師尾営業部長も驚いて身震いするのでありました。他の全員も急に呼吸を忘れるのでありました。「さっきから好い加減止めろと云っているだろうが」 片久那制作部長はドスの利いた声で、これははっきりと土師尾営業部長に向かってぞんざいな口調で云うのでありました。土師尾営業部長はオドオドと畏まるのであ [続きを読む]
  • あなたのとりこ 210
  • 「勿論それは当然の言葉だ」 片久那制作部長は山尾主任に向けていた視線を下に落とすのでありました。「営業部長の仕事振りに関しても色々改善すべきところはあるし、この自分の仕事に関しても反省点はある。しかし今日は再三云っているように人事の件が主題だ。その話しをし出すととても時間が足りなくなるから、今日のところは勘弁してくれるか」 自分の仕事振りに改善すべきところがあると云われた時に、土師尾営業部長が眉間 [続きを読む]
  • あなたのとりこ 209
  •  土師尾営業部長は声を一オクターブ程上げて荒げて見せるのでありました。紛う事無く見事に喧嘩腰になっていると頑治さんは秘かに笑うのでありました。 片久那制作部長が背凭れから上体を起こして横の土師尾営業部長の方に視線を向けるのでありました。片久那制作部長の挙動の一々を終始過剰に気にしていたのであろう土師尾営業部長は、その自分に向けられた視線に思わずおどおどと狼狽えるのでありました。「もういい加減にして [続きを読む]
  • あなたのとりこ 208
  •  土師尾営業部長が今度は袁満さんの方に険しい視線を向けるのでありました。「ああそうですか」 袁満さんは少しふてた語調でそう云ってその後は口を噤むのでありました。「確かに袁満君一人で全国を出張でカバーするのは難しい事になる。だから勿論、一部の地域は暫くの間は出張を継続して貰う事になるだろうけど、後は漸次電話を駆使するとかあれこれ、他の適切な遣り方を袁満君自身で考えて貰いたいと思っている」「後の事は俺 [続きを読む]