大吉 さん プロフィール

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大吉さん: 大吉堂 読書録
ハンドル名大吉 さん
ブログタイトル大吉堂 読書録
ブログURLhttp://daikichidou.blog56.fc2.com/
サイト紹介文読んだ本の感想雑記。ミステリ中心に乱読雑読。
自由文好きな作家は、有栖川有栖、森博嗣、宮部みゆき、田中芳樹、泡坂妻夫、江戸川乱歩、梨木香歩、いしいしんじ、殊能将之、東川篤哉、北村薫、藤野千夜、恩田陸、西澤保彦、などなど。気になりゃ何でも読みます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供68回 / 365日(平均1.3回/週) - 参加 2009/02/25 21:52

大吉 さんのブログ記事

  • 『ルーディーボール エピソード1シュタードの伯爵』(斉藤洋)
  • 顔は動物、体は人間というキャラクターたちが繰り広げる冒険活劇。閉ざされた村で盗賊家業をしている主人公ラックスたちは、ある時襲撃した馬車から大量の金貨を見付ける。その金貨を両替するために身分を偽り首都を目指すラックスたちは、ある陰謀に巻き込まれるのだった。もう無茶苦茶面白くてむさぼるように読みました。まずは主人公の三人組の素敵なこと。素直な猫顔のラックス、熱血漢の犬顔のインギースク、知恵者の兎顔のバ [続きを読む]
  • 『純喫茶「一服堂」の四季』(東川篤哉)
  • 毎度毎度東川篤哉にはやられてしまいます。どうしてもベタなギャグと軽い文章のため誤解されがちなのですが、東川作品はガチガチの本格ミステリなんですよね。使い古されたネタをこのように展開させるのか! と驚きと喜びに満ちた読後感なのでした。鎌倉にひっそりと佇む時間が止まったかのような喫茶店。そこの店主ヨリ子は極度の人見知りだが、猟奇事件の推理を始めた途端に態度が豹変する。この設定もあれこれの寄せ集めのよう [続きを読む]
  • 『飛ぶ教室』(エーリヒ・ケストナー、池内紀・訳)
  • 名作とは何度読んでも面白い作品である。しかも新訳となると、同じなのだけど違う味わいを楽しむことができるという喜びがあります。もちろん前の方がよかったということもあるでしょう。新しい方が味わいやすいということもあるでしょう。どちらもそれぞれの味わいを楽しむことができる。そんなものもあるでしょう。数多くある『飛ぶ教室』の中でも、読みやすさと味わい深さは随一かも知れません。新しいのだけれどクラシカルでも [続きを読む]
  • 『野川』(長野まゆみ)
  • 長野まゆみ式正統派青春小説といった感じでしょうか。両親の離婚と父の事業の失敗のために中学校を転校した主人公。その中学校の立地から付近の地形に興味を持ち、少し変わった先輩や先生に誘われて(騙されて?)新聞部の新たな部長となる。その新聞部では伝書鳩を飼育していた。地形や地学の用語がさらさらと出てきます。ああ「ブラタモリ」で説明していたなあと頭の中で地形を思い描くのですが、はたしてきちんと再現できている [続きを読む]
  • 『川の名前』(川端裕人)
  • 夏休みの自由研究に野生のペンギンの観察をする。それだけ聞くと荒唐無稽ですが、そこにリアリティという説得力を持って来るのがこの作者のすごいところでしょうか。夏と少年の物語。少年たちはそれぞれ家庭の事情があり、越えるべきものを抱えている。重苦しくなく軽やかに、それぞれの挫折と成長が書かれています。子どもだからできないこと、子どもだからこそできること。大人の関わりは干渉となり手助けとなり。はじめ小学5年 [続きを読む]
  • 「フシギ伝染』(板橋雅弘)
  • ある小学校のクラスメイト8人が遭遇するフシギ。ひとつひとつの話は短いので物足りなさというか言い足らない部分も感じたのですが、読み進めているうちにその語られない部分にフシギを膨らます部分もあるような気にもなってきました。魔法のヤカンが叶えてくれた望みとは? UFOに出逢った少年、空を飛べたらどこへ行く? スプーンを曲げる超能力、などなど子どもたちの日常のすぐ横に忍び寄るフシギ。怖くもあり楽しくもあるフ [続きを読む]
  • 『ふるさとは、夏』(芝田勝茂)
  • 夏休みを父親のふるさとでひとり過ごすことになったみち夫は村に馴染めずにいた。バンモチという伝統行事が行なわれた夜、みち夫と村の少女ヒスイの前に白羽の矢が突き刺さる。神社ごもりの介添えに指名されたみち夫は、白羽の矢を巡り村の神さまたちと出会うのだった。はじめ村社会に馴染めないみち夫の気持ちに同調し息苦しくなりました。村に馴染めないのはみち夫が馴染もうとしないからである。それはそうなのですが、東京から [続きを読む]
  • 『飛び跳ねる教室』(千葉聡)
  • 「ちばさと」こと歌人の千葉聡さんは30歳を過ぎてから中学校の国語教師として新たなスタートを切る。新人教師に待っていたのは過酷な毎日だった。しかしその過酷さの向こうには温かい笑いに満ちたものも待っていた。教師としての毎日や子どもたちとの交流が、短歌を交えて語られます。この短歌を交えてというのがこの本の一番の特徴でしょうか。いや、短歌エッセイと銘打たれているのだから当然なのですが。中学校というのは大変 [続きを読む]
  • 『みんなの少年探偵団』(アンソロジー)
  • あの江戸川乱歩の少年探偵団シリーズをテーマにした新作アンソロジー。様々な作家が少年探偵団を書くというのは面白い試みでワクワクするのですが、対象やら原作との関係性が各作品でバラバラなので、一冊の本としてまとまりのない印象になってしまっています。万城目学「永遠」や小路幸也「東京の探偵」はかつて少年探偵団を読んだ人に対して、新たな世界を提供するもので面白いのですが、この本では浮いた印象も強いです。湊かな [続きを読む]
  • 『もうひとつのワンダー』(R.J.パラシオ、中井はるの・訳)
  • 『ワンダー』を読んだ時はその前向きさに心が奮えました。親切には勇気を伴うことがある。でもその少しの勇気があれば相手も自分も前へと進むことができる。そのことが実に真っ直ぐに書かれていたのです。オギーは普通の男の子。顔以外は。そんなオギーとオギーを取り巻く人たちの語りで構成されていた『ワンダー』。そこでは語り手とならなかった三人が今作では語り手となります。オギーをいじめたジュリアン、幼なじみのクリスト [続きを読む]
  • 『ぼくのしょうらいのゆめ』(アンソロジー)
  • 少年時代の思い出を語りながら、今の仕事に携わるきっかけを述べる。執筆者は、市川準、内田裕也、大竹伸朗、関野吉晴、祖父江慎、高橋悠治、田中泯、谷川俊太郎、野口聡一、船越桂、吉本隆明、和田誠。その職業になりたくてなりたくてなった人。職業としてではなく、ただやりたいことをやり続けていた人。いつの間にか何故かなっていた人。それしかなかった人。「将来の夢」とタイトルにありますが、現在の仕事に対する想いは人そ [続きを読む]
  • 『藍の空、雪の島』(謝孝浩)
  • ある日ワンディの住む街に戦車に乗ってやってきた黒服の男たち。彼らはワンディたち街に住む人たちを追い出し、とある村に監禁するのだった。故郷を追われた少年とその家族の物語。黒い服を来た人たちに故郷を追われ労働を強いられる。黒い服の人たちが別の緑の服の人たちに攻撃されている隙に逃げ出す。隣の国に行き、そこでの暮らしが落ち着くかに見えた時また逃げ出さねばならなくなる。途中家族離ればなれとなり、川賊にさらわ [続きを読む]
  • 「羽根をなくした妖精』(ユリヨ・コッコ、渡部翠・訳)
  • 「必読系!ヤングアダルト」と銘打ったシリーズの一冊。そりゃ読まなきゃと手に取ったのです。フィンランドの作家によるファンタジー。虹の世界から地上へとやって来た妖精のイルージアは、森のトロールのペシと出会う。オニグモの奸計によって羽根を奪われたイルージアは、ペシとともに地上で暮らすようになる。フィンランドの森(自然)の様子が美しく描かれています。鳥たちは春になるとやって来て卵を産み育てる。樹々や花々は [続きを読む]
  • 『サーカス放浪記』(宇根元由紀)
  • 昭和53年冬、初めてサーカスの舞台に立った著者によるサーカスの思い出。女性ピエロ(クラウン)としての日々、サーカスに集う人々の姿。昭和50年代世の中ではまだサーカスのイメージは怪しい見世物小屋的なものもあったでしょう。そこに大学出の女性が飛び込む。実際に著者が入ったサーカスはその時既に株式会社化しており、前代的なものとは全く違っています。しかしサーカスにはサーカス独特の世界がやはりあり、その中で悲 [続きを読む]
  • 『江ノ島西浦写真館』(三上延)
  • 江ノ島にある写真館そこの女店主が亡くなり店を閉めることとなり、孫娘の繭は整理のために久し振りに写真館を訪れる。写真家を目指していた繭はとある出来事が元で、写真からは身を離していた。整理を始めると「未渡し写真」と貼紙のある缶が出てきた。そこにあった写真が秘めたものとは。「ビブリア古書堂」でお仕事ミステリのブームを生み出した作者による作品。閉ざされた古い写真館を舞台に、過去と現在が繋がります。写真とい [続きを読む]
  • 『にじ色の本棚 LGBTブックガイド』(原ミナ汰、土肥いつき編著)
  • LGBTブックガイドとあり、LGBTを扱った小説(物語)が紹介されているのかと思いきや、それだけに留まらずLGBTの歴史や制度改革の運動などの本が紹介されていました。しかも単なる本の紹介ではなく内容の要点が記されているので、この本を読むだけでも過去から現在に至るLGBTの流れ、そしてそこにある問題点が見えてきます。マイノリティの問題を扱う時に、マジョリティと同じにすればいいという訳ではなく、マイノリティがマイノリ [続きを読む]
  • 『ワンダー Wonder』(R.J.パラシオ、中井はるの・訳)
  • オーガストはふつうの男の子。ただし、顔以外は。このキャッチコピーが全てを表わしています。オーガストの顔を見た人はまずは驚き、次にそっと目をそらし敢えて何もないかのように振る舞う。もしくはそっとその場を離れる。もしくはおぞましい言葉を投げ掛ける。オーガスト自身自分の外見については嫌というほどわかっており、「きみがどう想像したって、きっとそれよりひどい」と述べている。幼い頃から手術の繰り返しのため学校 [続きを読む]
  • 『宇宙からきたかんづめ』(佐藤さとる)
  • スーパーで手にしたパイナップルのかんづめ。ばかに軽くてふってみたら「ふってはいかん!」とかんづめから声が聞こえた。地球を調査に来た宇宙人が中にいるかんづめ。そのかんづめの宇宙人が語る不思議な物語。SF童話と称された物語の面白さ。本来SFならばどのような理屈という部分が不可欠であるが、ここでは科学的現象の結果の部分だけを抽出して物語に乗せています。なので、タイムマシンやものを小さくする光線やものを考える [続きを読む]
  • 『Arknoah 2 ドラゴンファイア』(乙一)
  • 『アークノア』という絵本の中に入り込んだアールとグレイの兄弟は、そこで自らの心が生んだ怪物と相対することになる。そんな前作では弟グレイの怪物を退治して、グレイのみが現実世界へ帰還するところで終わる。そして第2巻となる今作では新たにマリナという少女がアークノアにやって来ることから始まる。現実世界でその歯並びの悪さからいじめられていたマリアの心が生んだ怪物は歯並びの悪い竜だった。前作ではアールが自らの [続きを読む]
  • 『旅のスケッチ』(トーベ・ヤンソン、冨原眞弓・訳)
  • トーベ・ヤンソンによるムーミン以前の短編小説集。どの作品に出てくる人たちもどこか役割を演じているような、背景すらも書割りであるような雰囲気がありながらも、そこに確然といるという存在感も示しています。そしてそこに出てくる人物たちは、他の人物をまたはその場所自体に役割を与えそこに自分を投影させようとします。謂わば勝手に相手の理想像を作り上げ勝手に失望もし勝手に諦めるのです。若い女性は芸術家に、老いた男 [続きを読む]
  • 『狩人の悪夢』(有栖川有栖)
  • 人気ホラー作家白布施に誘われ、そこで眠ると必ず悪夢を見るという部屋のある「夢守荘」に泊まることとなったアリス。その翌日、白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」で右手首が切断された女性の死体が発見されるのだった。作中で探偵役の火村がこの事件のことを「散らかっている」と称するように、様々な要素が次々と出てきます。突飛な凶器、壁に残された血糊の手形、被害者につきまとうストーカー、被害者と繋がりのあ [続きを読む]
  • 『孤島の冒険』(N.ヴヌーコフ、島原落穂・訳)
  • 海洋調査船のデッキから大波にさらわれた14歳の少年サーシャ。彼が泳ぎついた先は無人島だった。実話を元にした無人島での冒険譚。14歳の少年が何もないところで必死に生きようとした47日間の記録。物語上の孤島の冒険とは違い、沈没した船が近くに漂流して道具や食料を運び込むことができた訳でもなく、以前に人が暮らしていた跡がある訳でもなし、原住民がいる訳でもなし。本当に何もないところで、今まで得た知識と勇気を [続きを読む]
  • 『過ぎ去りし王国の城』(宮部みゆき)
  • 宮部みゆきは逃げません。世に満ちる悪意から暴力から、人の持つ厭な部分から、どうしようもない悲劇から。だから読むとしんどい思いもします。ああ、その箱を開けるのか、その思いを開陳するのかと。しかしただ露悪的に悪意を書き綴っているのではありません。打ちのめされるけれど、それがこの作品の目的ではありません。芯の部分には優しさがあります。だからつらいだけではない読後感があります。どうしようもないつらさの向こ [続きを読む]