◇ 「インフレなら利上げ」ではダメなのか? = 日銀はきょう19日に開く政策決定会合で、マイナス金利の解除を決定する。同時にイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を停止、またETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の買い入れも終了する。これまで17年も続けてきた金融の超緩和政策を、引き締めの方向へ転換するわけだ。だが、これで日銀が何を目指しているのか。説明がどうもすっきりとは呑み込めない...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ 「インフレなら利上げ」ではダメなのか? = 日銀はきょう19日に開く政策決定会合で、マイナス金利の解除を決定する。同時にイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を停止、またETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の買い入れも終了する。これまで17年も続けてきた金融の超緩和政策を、引き締めの方向へ転換するわけだ。だが、これで日銀が何を目指しているのか。説明がどうもすっきりとは呑み込めない...
◇ マイナス金利解除は織り込んだが・・・ = ダウ平均は先週わずか8ドルの値下がり。週の前半は先々週に下げた反動もあって反発。特に火曜日は注目のエヌビディアが7.2%も上昇、SP500が最高値を更新した。しかし後半はだらだらと下げている。2月の消費者物価が予想を上回って上昇、利下げが遠のいたという推測が強まって金利が上昇。株式市場は、これを嫌気した。ただ終り値は、3月23日に付けた最高値を400ドルしか下回ってい...
◇ 一時停止かUターンかは、この株しだい? = 日米の株価が大きく揺れ始めた。ダウ平均は2月23日に3万9132ドルの新高値を付けたあと、下げに転じた。日経平均も3月4日に4万円台乗せを達成したあと、11日にはことし最大の下げを記録している。これまで株価の大幅高を主導してきた半導体関連銘柄が、反落でも主役も演じた。そして、その半導体銘柄を先導したのがエヌビディアだ。市場では「エヌビディア・ショック」という言葉が...
◇ 大きな社会問題に発展する可能性 = 高齢化の進展で、福祉関係の費用が急激に増大している。たとえば、この20年間で医療費は6割、年金は5割も増えている。しかし介護費は別格、なんと4倍に跳ね上がった。00年の3兆3000億円が、23年には13兆5000億円に膨張している。この勢いは今後も衰えず、要介護者は00年の218万人から、40年度には2100万人に増大する見込みだ。当然、必要な介護職員の数も急増する。厚労省によると、21年度...
◇ 来年は32万人も不足する見込み = 「22年ショック」という言葉が、介護関係者の間で定着している。この年、介護職員を辞めた人が61万人に達し、新たに就職してきた人を6万3000人も上回った。職員の数が純減したのは初めてのことで、ショックが業界を駆け巡った。主な原因は、給与の伸び悩み。物価が大幅に上昇したため、生活が苦しくなってしまった。しかし介護職員の給与は、政府が決める“公定価格”。財源が厳しく、思うよ...
◇ 各種の金利はすでに上昇してきた = 日銀は来週18-19日に開く政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する可能性が大きい。植田総裁が2月29日に国会で「現状はデフレではなく、インフレの状態にある」と発言。内田副総裁も講演で「仮にマイナス金利を解除しても、緩和的な政策を維持して行くことになるだろう」と述べた。こうした日銀幹部の発言から、市場では解除の予想が急速に拡大した。実現すれば、なんと17年ぶりの金利...
◇ 日米ともに足取りは重い = ダウ平均は先週365ドルの値下がり。終り値は3万9000ドルを割り込んだ。高値圏で利益確定売りが出たことが、値下がりの主な原因。水曜日にはパウエルFRB議長が議会で証言。「利下げはそう遠くないうちに始めるのが適切」と述べたが、株価は小幅な上昇にとどまった。また金曜日には予想を上回る雇用者の増加が発表されたが、株価は小幅に下げただけ。方向感に乏しくなっている。日経平均は先週222...
◇ 少数民族になる白人の不安 = 11月の大統領選挙に向けた共和党の指名争いで、トランプ前大統領が圧勝した。世論調査では、バイデン現大統領よりも支持率が高い。トランプ氏はいま4つの刑事事件を抱え、計51の罪で起訴されている。決して‟清廉潔白の士”とは言えないだろう。それなのに、なんで圧勝するのか。その根本的な理由は、アメリカが直面している歴史的な流れのなかに求められる。米国勢調査局によると、白人がアメリカ...
◇ またもバラマキ、若者への配慮なし = 厚生労働省の発表によると、昨年の出生数は75万8631人で戦後最低。前年に比べて5.1%の減少、8年連続で前年を下回った。この減少率は想定を上回っており、少子化の進行が加速していることを示している。また昨年は婚姻数も48万9281組で、前年を5.9%下回った。岸田首相ならずとも、こうした現実には危機感を抱かざるをえない。そこで政府が打ち出した少子化対策。はたして効果があるのだ...
◇ 国民の負担は実質ゼロなのか = 政府は「こども未来戦略」に盛り込んだ少子化対策の実現に必要な関連法の改正案を国会に提出した。その最大の柱は、児童手当の思い切った拡充。所得制限を撤廃し、支給対象の上限を現行の中学生から高校生にまで拡大する。また第3子以降に対しては、月額3万円を支給することになった。法律が成立すれば、ことし12月から実施する。岸田首相は「スピード感を持って実行に移して行く」と言明した...
◇ バブルなのか、バブルでないのか = 「ついに」と言うべきか、それとも「やっと」と言うべきか。とにかく日経平均株価が4万円の大台に跳ね上がった。3万円台に乗せてから、ちょうど3年かかっている。だが、ことしの年初は3万3000円台、そこからは超特急で上り詰めた。2月22日には1989年12月に記録した史上最高値を更新、そこから7日間で4万円に到達したことになる。34年前には新高値のあとバブルが崩壊、株価は急落した。今回...
◇ 日経平均はついに4万円台へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。高値圏で利益確定売りが続出したが、なんとかこなして終り値は3万9000ドル台を死守した形。相変わらず半導体関連には買いが入り、IT関連銘柄の多いナスダックが木曜日、2年3か月ぶりに最高値を更新した。一方、債券市場では長期金利が上昇。このため外国為替市場ではドルが買われ、円安が進んでいる。日経平均は先週812円の値上がり。終り値は3万9911...
◇ 「インフレ」とは何なのか? = 植田日銀総裁は先週22日、衆院予算委員会で「消費者物価は昨年までと同じように右上がりの動きが続くと予想している」「いまはデフレではなく、インフレの状態にあると考えている」と発言した。野党議員から「現在はデフレなのか、インフレなのか」と質問され、答えたものだ。市場はこの発言を受けて「日銀は3月にもマイナス金利の解除に踏み切る」と了解している。だが日銀総裁のこの発言は、...
◇ 東京市場は自信満々だが・・・ = 「日経平均4万円は確実、その後の上昇も当たり前」--東京市場では、こんな強気がまかり通っている。じっさい予想される高値の水準について、大和証券は4万3000円、JPモルガン証券は4万2000円に上方修正した。こんな強気を生み出した大きな原因の一つが、史上最高値を付けた34年前との株価の比較。アメリカは14倍、英独仏などは3-5倍。これに対して日本は元に戻っただけ。つまり1倍でし...
◇ 絶好調NY市場のアキレス腱 = 日米欧の株式市場が、そろって史上最高値を更新中。その動きを主導したのは、やはりニューヨーク市場だった。いまウオール街は“怖いものなし”の状態。というのも景気がいいことを示す指標が出れば、素直に喜ぶ。景気が悪い指標が出たら、FRBによる利下げが早まると歓迎する。ダウ平均は4万ドルに向けて、まっしぐらだ。しかし、そんな絶好調のニューヨーク市場にも死角はある。ニューヨークの株...
◇ 世界中のカネを揺さぶったエヌビディア = 世界各国の株価が、一斉に上昇した。ダウ平均は連日のように史上最高値を更新して、ついに4万ドルを狙う勢い。日経平均は34年ぶりに史上最高値を更新、これまた4万円を目標にし始めた。ヨーロッパの株価も、たとえば代表的な指数のストックス600は2年ぶりに最高値を更新。さらに台湾の株価も高値を更新している。このところ下げていた上海総合指数でさえ、久しぶりに3000を回復した。...
◇ サクラ満開の日米株式市場 = ダウ平均は先週504ドルの値上がり。終り値は3万9132ドルで、またしても史上最高値を更新した。半導体大手のエヌビディアが11-1月期の決算を発表、純利益が前年比で8.7倍に増加。これを受けて、木曜日には半導体関連を中心に450ドル以上も値を上げたことが大きかった。このところ最高値の更新を続けているが、それでも年初来の上げ幅は1400ドルあまりと落ち着いた動き。ニューヨーク市場は花盛り...
◇ 企業を向いた財政・金融政策 = 新聞各紙が「「日本のGDPが4位に転落」を大々的に報じた15日、その同じ紙面で「株価が3万8100円台に」の大見出しが踊っていた。GDPは昨年の話、株高は現在のニュースだから矛盾はないと説明できるかもしれない。だが昨年も株価は上昇していた。株高の原因は企業の業績が好調だったため。業績の好調は、主として円安と値上げが原因だった。一方、円安と値上げで物価が高騰。これで家計は節約志...
◇ 貧しくなった日本人の生活 = 内閣府は先週、昨年10-12月期と23年のGDP速報を発表した。それによると、昨年10-12月期のGDP実質成長率は年率換算でマイナス0.4%。民間の事前予測はプラスだったが、個人消費と公共支出の落ち込みが大きくマイナス成長となった。これでマイナス成長は2四半期連続。アメリカなら「景気後退に陥った」と判定される。ところが企業の業績は絶好調、株価は史上最高値に最接近。いったい、なぜ...
◇ その時価総額は日英加の総合計に匹敵 = ニューヨーク市場の株価が史上最高値を更新し続けている。ダウ平均は4万ドルを狙う勢いだし、銘柄数が最も多いSP500指数も5000を超えた。その起爆剤となっているのが、MAG7と呼ばれる大手IT7社。時価総額は昨年72%も増加、現在は12兆ドル(約1700兆円)にも達した。この金額は、日本・イギリス・カナダの株式市場に上場する全銘柄の時価総額に匹敵する。つい最近までニュー...
◇ 日経平均は史上最高値の更新へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。月曜日にはまた史上最高値を更新したが、その後は上下動しながら下げた。先々週は18ドルの値上がりだったから、2週連続できわめて小幅な値動きにとどまっている。これは1月の消費者物価が予想以上に上昇、小売り売上高は予想以上に伸び悩むなど、景気にとってはプラスとマイナスの材料が同時に飛び出したこと。それに最高値の更新が続き、さすがに利益...
◇ 家計調査の信ぴょう性にかかわる大問題 = ギョウザの購入額で、浜松市が3年ぶりに日本一の座を奪還。ラーメンなど中華そばは、山形市が3年連続で首位を確保。--こんなニュースが新聞やテレビで大々的に報じられた。市長さんまで登場してのお祭り騒ぎ、悔し涙を見せる市民たち。毎年2月に現われる光景だが、だんだん騒ぎ方が派手になってきた。多くの人には「ほほえましいニュース」だと受け取られている。しかし――。総務省...
◇ 使用者側の意識改革が最も重要 = 日本の人手不足は、今後もずっと続く。総務省の推計によると、30年の労働力人口は5880万人に。20年に比べると、524万人も減ってしまう。その不足を補う方法は女性や高齢者の活用、ロボットなど機械化の推進、それに外国人の招聘しかない。このうち女性と高齢者の活用は、しだいに限界に近付く。機械化には時間がかかる。だから本命は、やはり外国人の労働力だ。厚生労働省の集計によると、昨...
◇ ようやく‟人材確保”を前面に = 政府は先週9日の関係閣僚会議で、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」の創設を決めた。現行の技能実習制度は「発展途上国に技術を伝える国際貢献」を目的に、1993年に発足。昨年10月末時点で41万2000人が来日している。しかし実態は技術の移転ではなく、劣悪な環境で単純労働を強いられるケースが続出。22年には実習生9000人が失踪している。このため国際貢献といった仮面を脱ぎ...
◇ なぜ利上げの可能性まで否定したのか = 日銀副総裁の異常な発言が、市場を驚かせた。内田副総裁は先週8日、奈良県での講演で「 マイナス金利政策を解除したあと、どんどん利上げしてゆくような道筋は考えにくい」と言明。市場はこの発言を好感、その日の日経平均は700円以上も上昇した。しかし副総裁がこんな重要な発表をするのは、きわめて珍しい。しかも翌9日には、植田総裁が国会で全く同じ趣旨の発言をしている。なんだか...
◇ 潮目が変わってきたNY市場 = ダウ平均は先週17ドルの小幅な値上がり。それでも5週連続の上昇で、木曜日には3万8726ドルの史上最高値を付けた。SP500も5000の大台に乗せている。巨大IT5社が10-12月期の決算でそろって増益に。また1月の雇用統計で非農雇用者の増加数が35万3000人と、事前予測の2倍に達した。こうした景気の予想外な堅調ぶりに、市場は‟軟着陸”への期待を高めている。ただ最高値を更新し続けているために...
◇ 世界的に異次元の大変化が = ≪すべての輸入品に10%の関税を上乗せする≫ ≪中国製品には60%以上の関税をかける≫ ≪NATO(北大西洋条約機構)からの脱退を目指す≫ ≪ヨーロッパの安全保障には責任を持たない≫ ≪温暖化防止のためのパリ協定から離脱する≫ ≪油田開発に対する規制を撤廃する≫ ≪ドル安を推進、パウエルFRB議長は再指名しない≫ ≪移民の流入を厳しく規制する≫ ≪日本製鉄のUSスチール買収は絶対にさせない≫・・・。アメ...
◇ 可能性はゼロではないが = ことし“経済の好循環”が実現する可能性はあるのだろうか。そのためには所得が大幅に増加し、物価が安定しなければならない。まず賃上げはどうなるのか。岸田首相は「昨年を上回る賃上げを」と経済界にハッパをかけている。そこで、ことしの春闘では昨年の3.6%を上回る4%の賃上げが達成されたと仮定しよう。すると、パート労働者や年金生活者までを含めた全体の所得増加率は2%程度になるだろう。...
◇ 昨年の実質給与はマイナス2.5% = 厚生労働省は6日、昨年12月と23年の毎月勤労統計を発表した。まず12月の1人当たり現金給与総額は57万3313円で、前年同月比1.0%の増加だった。しかし物価が上昇したため、実質値では前年比1.9%の減少。これで実質給与のマイナスは、実に21か月連続となった。なお正社員の現金給与総額は79万3207円で、前年比1.4%の増加。パートは11万7784円で、2.5%の増加だった。この結果、23年の1人...
◇ その政策理念は全く異なる = FRBは1月30-31日に開いたFOMC(公開市場委員会)で、政策金利の現状維持を決めた。パウエル議長は記者会見で「物価が持続的に2%に向かうと自信を持てる証拠がもっと必要だ」「次回3月の会合までに確信できるレベルに達する可能性は低い」と説明している。要するに物価の下がり方がまだ不十分、3月になっても物価は十分に下がらないだろうと予測しているわけだ。逆に言えば「物価が十分に下がれ...
◇ それでも上げるニューヨーク株式 = ダウ平均は先週545ドルの値上がり。終り値は3万8654ドルで、またまた史上最高値を更新した。4週間の連騰となったが、この間の上げ幅は1200ドル弱。比較的ゆっくりと上げている。水曜日にはFRBが金融政策の現状維持を決定。パウエル議長の「2%の物価目標達成に向け、より強力な自信を得るまで利下げは適切でない」という発言に敬意を表して下げた。しかし金曜日の想像をはるかに上回る...
◇ 災害時の人的被害を減らすために = 能登半島地震から1か月。被害の大きさは、想定以上に大きかった。テレビでは痛ましい映像がたくさん流れたが、なかでもコンクリート製のビルが横倒しになった画面にはびっくり。こうしたなか日経新聞は12月31日付けの朝刊で「ビル倒壊 首都圏もリスク」という記事を載せた。たしかに首都直下型地震が起これば、いくつものビルがあのように横倒しとなりかねない。ただし、この記事はとても...
◇ 人手不足で上がりそうだが・・・ = 総務省は30日、昨年12月の労働力調査を発表した。それによると、就業者数は6754万人で前年比38万人の増加。これで増加は17か月間も続いている。コロナ規制の解除で仕事が増え、人手不足で賃金が上昇した結果だろう。失業者は156万人で、前年比2万人の減少。完全失業率は2.4%で、前月より0.1ポイント低下した。雇用面からみた経済の状態は、まずまず順調だと言っていい。雇用の変化を業種別...
◇ 岸田首相の公約は達成できるのか = 岸田首相は30日の施政方針演説で「ことし、物価高を上回る所得を実現して行きます」と公約した。春闘での賃上げ、6月に予定する所得税・住民税の減税、それに物価の沈静に賭けた約束だと言える。また岸田首相は「賃金の上がることが当たり前だという前向きな意識を、社会全体に定着させてまいります」とも力説した。たいへん結構な政治目標である。だが、その実現はかなり難しいことも確か...
◇ 日銀はまだマイナス金利に固執しているが = 日銀は先週23日に開いた政策決定会合で「大規模金融緩和政策の維持」を決めた。相変わらずの現状維持である。植田総裁は記者会見で「賃金上昇を伴う持続的、安定的な物価上昇を実現する見通しの確度は少しずつ高まっている」としながらも「どの程度高まったかの判断、定量的な把握は非常に難しい」と説明した。要するに年が明けても変化はなし。日銀は石橋を叩いても渡らない。とこ...
◇ 史上最高値圏での綱引き = ダウ平均は先週246ドルの値上がり。3週間の連騰で、終り値は3万8109ドル。また史上最高値を更新した。月曜日にいきなり3万8000ドル台に乗せ、その後は反落したが週末に再び盛り返した。半導体・ハイテクから保険・製薬まで幅広い銘柄が買われている。昨年12月13日に3万7000ドル乗せだったから、40日間で1000ドル上げたことになる。だが過熱感はなく、利益確定売りをこなして着実に上げた。日経平均...
◇ 実質収入を下げていいのか = 厚生労働省は、24年度の公的年金支給額を「前年度比で2.7%引き上げる」と発表した。この引き上げ率は32年ぶりの大きさ。ただ本来なら3.1%の増額になるべきところが、マクロ経済スライドの適用によって0.4ポイント減額された。このため年金の増加率は物価の上昇率に及ばず、実質収入はマイナスになる。年金生活者の生活は、それだけ苦しくなるわけだ。マクロ経済スライドは、年金の増加率を物価...
◇ 車載電池が最後の決戦場 = 日本自動車工業会の集計によると、23年の新車販売台数は477万9080台。前年比14%の増加だった。このうちEVは8万8535台、前年比50%も伸びた。しかし全販売台数に占める割合はまだ2.22%に過ぎず、海外に比べると極端に低い。EVに関する限り、日本は後進国だ。トヨタの販売台数が昨年も世界一になるなど、日本のメーカーは不祥事を起こしたダイハツを除けば、好調を維持している。だが今後も伸び...
◇ 中国製EVに警戒強める欧米諸国 = 欧州自動車工業会の集計によると、ユーロ圏18か国の23年の新車販売台数は1284万台。前年比14%の増加だった。このうちEVは201万台、28%も増加している。脱炭素に厳しいEUだけに、EVの普及は順調。新車販売全体に占める比率はドイツが18%、イギリスとフランスは17%に上昇した。ここでも中国製EVの伸びが突出、価格の安さが強力な武器となっている。ところが、この価格の安さは中...
◇ 中国政府は「EVの世界制覇」を画策 = 中国自動車工業協会の発表によると、23年の新車販売台数は3009万4000台。前年比12%の増加だった。そのうちEVは668万5000台、前年比では24.6%も伸びている。ただ国内ではEVメーカーが乱立、競争が激しい。また不動産不況で景気は悪い。このため多くのEVメーカーが、本格的に海外市場の開拓に乗り出している。その一例がタイ。広州汽車集団など10社が、一挙に進出した。この結果...
◇ 輸出台数では中国に抜かれる = 中国自動車工業協会が発表した23年の自動車生産台数は3011万台、前年比11.6%の増加。販売台数は3009万台、12.0%の増加だった。中国はいま不動産不況で悩んでいるが、自動車産業だけは順調に発展している。また輸出台数も491万台、前年比57.9%と大きく伸びた。中国の自動車輸出は20年時点で100万台にすぎなかったが、この3年間で5倍近くに増大したわけである。日本自動車工業会が発表した23年...
◇ ダウもSP500も最高値を更新 = ダウ平均は先週271ドルの値上がり。終り値は3万7854ドルで、1月2日に付けた史上最高値を更新した。半導体関連株が値上がりを主導、SP500も2年ぶりに新高値を記録している。12月の小売り売上高や工業生産が予想以上に堅調だったところへ、FRBのウオラ―理事が「政策の修正を急ぐ必要はない」と発言。利下げが遠のくという観測から売り物も増えたが、それを乗り切っての株高だった。日経平均...
◇ 戦争なんかしている場合か! = 「昨年の気温は最も高かった」--世界中の気象研究機関が、いっせいに観測の結果を発表している。たとえばNOAA(米海洋大気局)は先週12日「23年は観測史上最も暑い年だった」と発表。20世紀の平均に比べ1.18度高く、これまでの最高だった16年の平均気温を0.15度上回ったと説明している。また水深2000メートルまでの海水温も史上最高。ことしも最高を更新する確率は3割強にのぼると予測...
◇ あまりにも座り心地のいい数字 = 中国の統計局は17日、23年のGDP速報を発表した。それによると、実質経済成長率は5.2%。習近平政権が目標として掲げた「5%前後」を達成した。ただ22年はゼロ・コロナ政策で都市閉鎖などが断行され、成長率は3.0%にまで落ち込んでいた。その反動で5%を超えたのだと、専門家は解説している。また名目成長率は4.6%で、22年の4.8%を下回った。これは物価が下落し、経済がデフレ状態に陥っ...
◇ 台湾では「一つの中国」を認めない頼氏が勝利 = 台湾の総統選挙では、いま政権を握っている民進党副総統の頼清徳氏が当選した。このため中国との関係については「一つの中国」を認めない現在の政策が踏襲されることになる。仮に野党の国民党候補が勝利すれば、中国との関係は接近したはず。この結果にアメリカ・日本・韓国などは、ほっと一息。中国の習近平主席は「期待外れ」と悔しがったに違いない。一方、アメリカでは早く...
◇ 消去法で買われてきたが = 日経平均株価は先週2200円も上昇した。年初からの上昇率は6.33%に達している。世界を見渡すと、年初からの上昇率がプラスだったのはアメリカのSP500ぐらいなもの。それも0.29%というわずかな上がり方である。あとはダウ平均が0.26%、ドイツが0.28%、中国が3.12%、韓国が4.90%と、いずれも下落している。まさに日本株の‟独り勝ち”だ。だが、こんな珍しい状態はいつまで続くのだろう。ダウ平...
◇ 東京市場はお祭り騒ぎ = ダウ平均は先週127ドルの値上がり。年初2日に付けた史上最高値を目指したが、少々及ばなかった。12月の消費者物価は予想を上回る上昇だったが、食料とエネルギーを除いたコア指数が下がったため悪材料とは見られなかった。ただ高値を警戒する利益確定売りは、着実に増えている。また週末に飛び込んできた米英軍によるイエメンのフーシ派拠点爆撃は、今週にも尾を引きそうな暗い材料となった。日経平均...
◇ なぜ全国の先行指標になるのか = 総務省は9日、東京都区部の12月の消費者物価を発表した。それによると、変動の大きい生鮮食品を除く指数は前年比で2.1%の上昇。前月の2.3%上昇より、伸び率がやや縮小した。また生鮮食品を含む総合指数は2.4%の上昇で、前月より0.3ポイント縮小した。この東京都区部の消費者物価は、中旬だけの速報値。全国の先行指標になるという理由で、総務省が特別に集計・発表している。東京23区の物...
◇ 長期停滞の危険性も = 中国政府も、景気対策を打ち出している。10月に開いた全国人民代表大会では、国債1兆元(約20.5兆円)の追加発行を承認。また12月中旬に開いた中央経済工作会議では「積極的な財政政策と柔軟な金融政策」の実施を確認した。しかし、その効果はまだ現われていない。対策の規模が不十分という批判も出ているが、すでに財政赤字のGDP比は3.8%に達しており、共産党が認める限度3%を大きく超えている。...
◇ ことしの成長率は4%台に低下? = 日経新聞が、中国経済を専門とする内外のエコノミスト25人に「中国のことしの成長見通し」を聞いた。その予測の平均値は4.6%、昨年の見込み5.2%を大きく下回る。またアメリカの調査会社ムーディーズは、4.0%まで落ち込むという予測を発表した。深刻な不動産不況が回復せず、住宅価格の下落に直面した個人が消費支出を抑制し始めたことが大きい。統計局が発表した11月の主要指標をみると...
◇ インフレは‟しぶとい”と知るべし = アメリカ労働省が5日に発表した12月の雇用統計。最も注目される非農業雇用者の増加数は21万6000人で、事前予想の17万人を大きく上回った。平均時給は前月比0.4%の上昇で、これも予想を上回る。また完全失業率は3.7%で、前月と変わりなし。雇用の状況はいぜん底堅く、これではFRBの利下げも遠のいてしまう。--投資家の半分近くはこう考えて、株式を売った。しかし残りの半分近くは、...
◇ 新年は慎重なすべり出し = ダウ平均は先週223ドルの値下がり。火曜日には小幅に上げて史上最高値を更新したが、水曜日には300ドル近く反落した。FRBが12月のFOMC会議の内容を公表、委員の間で「追加的な利上げの可能性」を肯定する意見が強かったことが判明したためである。またダウは昨年14%、ナスダックは43%も上昇したことの反動も大きかった。日経平均は先週87円の値下がり。ニューヨーク市場の軟調に加えて、能...
◇ 実に重大な官民予測の相違 = 政府は昨年末の閣議で「24年度の経済見通し」を了承した。それによると実質GDPは568兆円となり、18年度の555兆円を抜いて過去最大になる。実質成長率はプラス1.3%で、23年度の見込みプラス1.1%を上回る見通し。賃上げと減税の効果によって個人消費が1.2%増加、企業の設備投資も3.3%増加する。一方、消費者物価は前年度比2.5%の上昇になると予測している。日経センターは昨年末、民間エコノミ...
◇ 理念に欠ける政府の原発政策 = ウクライナ戦争がきっかけとなって、原油など燃料の国際価格が高騰した。このため日本の輸入価格も急騰、たとえば22年の鉱物性燃料の輸入額は33兆5000億円となっている。電気やガス、ガソリンの値段が上がり、個人や企業の負担が増大した。また貿易赤字が20兆円にのぼり、円安が進行。これも物価を押し上げ、個人や企業を苦しめている。輸入燃料費の増加は、それだけ日本人の購買力が海外に流出...
◇ 柏崎刈羽原発6-7号機の運転禁止解除 = 原子力規制委員会は年末27日、東京電力の柏崎刈羽原発に対する運転禁止命令を2年8か月ぶりに解除した。この原発は17年12月に6-7号機が安全審査に合格したが、その後IDカードの不正使用や侵入検知に関するトラブルが続発。規制委員会が核燃料の移動を禁止するという形で、事実上の運転禁止命令を出していた。東電側が対策を講じ、今回ようやく運転できることになった。だが実際に原発...
◇ 自然災害から紛争・戦争まで = 人間は未来を推測することは出来るが、完全に予知することは出来ない。だから常に予測不能の事象に脅かされているのだが、それにしても2024年は不明なことが多すぎる。そんななかで経済問題に限れば、まだある程度の推測が可能だ。たとえばFRBはことし何回か利下げし、アメリカ経済は不況に落ち込むことなくインフレの克服に成功する。その確率は5割を超えるかな--というように。また日銀...
◇ 原動力はやっぱり‟カネ余り” = 日経平均株価は3万3464円で、大納会を終了した。この1年間の上げ幅は7369円。なんと年間としては、史上3番目の上昇幅である。1月4日の大発会は2万5717円、その時点でこんな好成績を予想した人は少なかったに違いない。そこから年の前半はコロナ規制の解除、円安の進行による企業の利益増大、それに著名投資家ウォーレン・パフェット氏の日本株買い入れなどがあって、株価は上昇。後半は上げ足を...
◇ 来年度も35兆円を新規に発行 = 政府が編成した24年度の予算案。一般会計の総額は112兆0717億円で、23年度の当初予算より約2兆円縮小している。これはコロナ関連の予備費を4兆円削減したため。内容を見ていちばん気になったのは、社会保障費と国債費が増大したこと。どちらも自然に増加してしまう費目で、いずれも過去最大に。両方を合わせると64兆7000億円と、歳出全体の57.8%を占めている。いわば6割近くが固定費であり、...
◇ 史上最高値でも利下げは可能なのか? = ニューヨーク市場では先行き安心感が広がり、株価は史上最高値の水準に達している。FRBが政策金利を据え置いたことから「利上げ局面は終わった。来年は利下げの年になる」という確信が急激に強まったためだ。ダウ平均は年内にも3万8000ドルを超えてもおかしくない。そんな高揚感のなかで、市場では「こんなにすんなりと上げてもいいのだろうか」という何とも贅沢な疑問さえ生じてい...
◇ 年末相場に期待する株式市場 = ダウ平均は先週81ドルの値上がり。火曜日の終り値3万7558ドルまで、5日連続で史上最高値を更新し続けた。あとはさすがにやや反落したが、11月から8週連続の上昇。4年10か月ぶりの記録も作っている。最大の原因は、FRBによる政策金利の据え置き決定。これで来年は利下げが始まるという観測が拡大、市場の空気が一挙に明るくなった。日経平均は先週199円の値上がり。日銀がマイナス金利政策の...
◇ 日銀はどこを向いてるんだ = 日銀は19日に開いた政策決定会合で「現行の超金融緩和政策を維持する」ことを決めた。植田総裁は記者会見で「もう少し賃金と物価の状況を見極めたい」と語ったが、そうすると緩和政策の修正は来春の春闘後ということになりそうだ。この決定を受けて円安が進み、株価は大幅に上昇した。だが日銀はいったい何を恐れて、金融政策の正常化に踏み出せないのだろうか。仮に、日銀が「マイナス金利政策の...
◇ 芳しくない日本の評判 = COP28の会場で、日本の評判はあまりよくない。口先ばかりで実行が伴わない国、という評価である。たとえば岸田首相は演説で「日本はCO₂排出対策を講じていない石炭火力発電所の新設はしない」と力説した。だが、いま稼働している石炭火力発電所を削減するのかどうかについては、全く触れていない。また「再生可能エネルギーを30年までに3倍に拡大する」ことに賛同したが、日本政府の計画だと2...
◇ やっとのことで曖昧すぎる合意 = 地球の温暖化を食い止めようと、世界の国々がUAE(アラブ首長国連邦)の首都ドバイに集まった。COP28と呼ばれる第28回国連気候変動枠組み締結国会議である。だが、そこでまとまった成果文書をみると「およそ10年間で、化石燃料からの脱却を加速する」「再生可能エネルギーを30年までに、現状の3倍に拡大する」という合意だけ。「脱却を加速する」とは、なんと曖昧な表現だろう。再生...
◇ 賃上げが物価高を超えるのは難しい = 日銀が発表した12月の短観(企業短期経済観測調査)は、明るく輝いてみえた。大企業・製造業の業況判断指数は3期連続の上昇でプラス12。大企業・非製造業はプラス30で、なんと32年ぶりの高さ。これまでマイナスに沈んでいた中小企業・製造業もプラス1となり、ようやく水面上に顔を出した。要するに、企業の景気は非常によろしい。一方、厚生労働省が発表した10月の毎月勤労統計は、うす...
◇ ダウ平均は史上最高値を更新中 = ダウ平均は先週1057ドルの大幅な値上がり。先々週から7日間の連騰で、終り値は3万7305ドル。水曜日からは3日続けて史上最高値を更新した。FRBが政策金利の据え置きを決定、来年には利下げが始まることがほぼ確実に。にもかかわらず、小売り売上高などが予想以上に堅調。この調子なら、いわゆる‟軟着陸”の可能性が高まった。市場には安心感が広がっている。日経平均は先週663円の値上がり。...
◇ マイナス金利政策を止められるのか = アメリカの中央銀行であるFRBは12-13日、FOMC(公開市場委員会)を開いて「政策金利を5.25%のまま据え置く」ことを決めた。またFOMC参加者による金利の見通しでは「24年は少なくとも3回の利下げ」が見込まれることも公表。さらにパウエル議長は会見で「政策金利はピークに近い可能性がある」と言明した。こうしたことから、市場は「引き締め時代は終わり。来年は5-6回の利...
◇ 140円を超える円高は企業に打撃 = 円相場を決める最大の要因は、日米間の金利差。その金利差は、両国の金融政策で決まる。たとえばアメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は13日、政策金利の据え置きを決定した。その結果、市場では「来年3月の利下げ」観測が有力となり、金利水準には下げ圧力が加わっている。一方、日銀は18-19日に政策決定会合を開く。仮にそこでゼロ金利政策からの離脱を決めれば、日米間...
◇ 突然の円高で、株価は大幅安 = 円相場の動きが、相当に荒っぽい。11月半ばには1ドル=151円台にまで下落したが、今月7日には141円台に急上昇。株価は大幅に下落した。その後はまた145-146円台に値を下げ、株価も反発。だがFRBが13日、金利据え置きの決定をしたことで、142円台に上昇した。円相場は企業の業績を左右するし、輸入物価を変動させる。これから円相場は上がるのか下がるのか。非常に気になるところだが、専門...
◇ リクルート事件と重なる政権崩壊の構図 = 自民党5派閥によるパーティー券収入の不正処理事件。岸田首相は自らが派閥を離脱、また派閥によるパーティーの開催を禁止するなど、防戦に必死となっている。しかし1000万円以上の裏金を作ったといわれる松野官房長官と高木国会対策委員長の更迭は避けられない情勢。政治資金規正法の違反者は10人以上にのぼるとみられ、自民党内では国会終了後に検察が誰に対して事情聴取を行うかに...
◇ 円高と政局不安で大幅安の日経平均 = ダウ平均は先週2ドルの小幅な値上がり。前半は下げたが、後半は上げて‟行って来い”の形となった。それでも終り値はことしの最高値を更新している。市場はこれまでFRBの利上げが遠のくという理由で、景気の減速を歓迎してきた。ところが景気の下降で企業の業績が悪化する心配も、しだいに強まってきている。先週の株価は、そのせめぎ合いなのかもしれない。日経平均は先週1124円の大幅...
◇ マネー経済圏の急膨張がすべて ・病室の天井を見つめながら、こう考えた。最近の世界経済で、最も大きな変化を遂げた事象は何だっただろうか。戦争の勃発が招いた物価の高騰、ゼロ金利から金融引き締めへ、AI(人工知能)の発展、米中の経済摩擦、宇宙開発競争・・・。いろいろあるが、極め付きは「マネー経済圏の急膨張」だったのではないか。・モノやサービスを産み出すことで形成される実体経済。その裏には必ず金融経済が...
◇ 追い詰められる日銀 = ニューヨーク株式市場の空気が一変した。つい最近までは「年内にもう1回、最後の利上げ」という予想が圧倒的だったが、先週はこれが一挙に「来年3月には利下げ」へと変わった。このため金利は急低下、株価は急上昇。ダウ平均は年内にも、史上最高値を更新する勢いをみせている。きっかけはウォラーFRB理事の‟利下げの可能性”を示唆した発言。この人が引き締めを主張するタカ派であるだけに、そのイン...
◇ 先週は「NY上げても、東京は下げ」でした = ダウ平均は先週855ドルの値上がり。終り値は3万6246ドルで、ことしの最高値を更新した。3万6000ドル台を回復したのは、1年11か月ぶりのこと。11月中は2898ドルの上昇だったが、市場では強気ムードがなお支配的。年末にかけて史上最高値の更新を目指す勢いだ。日経平均は先週194円の値下がり。終り値は3万3500円を割り込んだ。一貫して高値警戒感が強く、たとえばダウが500ドル上...
◇ 説得力に乏しい‟好循環”の実現性・病室の天井を見つめながら、こう考えた。岸田内閣の支持率は危険水域にまで低下したが、どうしてだろう。物価高対策として補助金の大判振る舞い、加えて減税まで実施する。だが先行きには防衛費の増額や少子化対策が控えていて、増税が必要らしい。一般の国民には、この減税と増税の関係がよく理解できない。岸田首相の説明に、説得力がないからである。・いま国民が最も心配しているのは、将来...
◇ 引き締め効果が表われてきた = アメリカでは先週24日から、恒例の年末商戦が始まった。しかし、すべり出しはやや低調。昨年ほどの活気はない。全米小売業協会は「年末商戦の売上高は前年比3-4%の増加」と予測しているが、これだと物価高を勘案すれば「ほぼ横ばい」ということになる。旅行やレジャーなどへの予約も低調。ガソリンも買い控えの傾向が強く、需要期なのに価格が上がらない。理由はいろいろ。コロナ対策としての...
◇ NYは下げても、東京は上げる? = ダウ平均は先週443ドルの値上がり。4週間の続伸で、終り値は3万5390ドル。3か月ぶりに3万5000ドル台を回復した。10月の消費者物価と小売り売上高が、ともに予想を下回る伸び率だったことが原因。これで「年内の利上げはなくなった」という見方が大勢を占め、さらに「利上げはもう終了、次は利下げ」の観測も広まった。長期金利も下落している。日経平均は先週41円の小幅な値上がり。ニュー...
◇ 人類が直面している最大の問題は? ・病室の天井を眺めながら、こう考えた。いま人類はたくさんの問題を抱え込んでいるが、最も重要な案件は何だろう。戦争、覇権争い、感染症の世界的流行、人口問題、食料不足、資源・エネルギーの高騰、インフレ、貧富の格差、AI技術の管理・・・。数え上げればキリがない。・だが、これらの問題は改善される可能性もなくはない。戦争は10年も続かないだろう。技術の進歩で、感染症や食料...
・3時間半を超える難手術、14日間に及ぶ入院。先ほど何とか帰宅しました。体力・精神力・情報分析力はがた落ち、これからリハビリに励みます。この2週間で気温は10度以上も低下、岸田内閣の支持率も急降下しました。GDP成長率はまたまたマイナスなのに、株価は高い。病み上がりには、捉えにくい経済の状態です。・リハビリに成功すれば、経済ブログを復活したいと考えています。その節はまた、ご支援・ご協力をお願いします...
◇ 定期預金の利息が100倍に = 大手銀行が続々と定期預金の金利を引き上げる。たとえば三菱UFJ銀行は、今週から10年定期預金の金利を年0.2%に引き上げた。これまでの金利は0.002%だったから、100倍になる計算だ。三井住友信託銀行も、7年定期預金の金利を0.1%に引き上げた。今後も多くの銀行が同調するとみられている。きっかけは日銀が長期金利政策を修正、10年もの国債の利回りが1%を超えることを容認したこと。預金者...
◇ 「金利据え置き」で秋晴れのNY市場 = ダウ平均は先週1644ドルの大幅な値上がり。昨年10月以来の上げ幅で、終り値は3万4000ドルを回復した。FRBが31日に決定した「政策金利の据え置き」が、株高の主たる原因。週初から「据え置くだろう」の予想で上げ、実際に「据え置いた」ことでさらに値を上げた。週末には予想を下回る雇用統計が発表されて、市場の空気は爽やかな秋晴れとなっている。日経平均も先週は958円の値上がり...
◇ 大きい対外資産で、かろうじて‟経済大国” = IMF(国際通貨基金)が発表した最新の推計によると、ことしの日本の名目GDPは633兆円。ドル換算では4兆2308億ドルとなる見込み。ドイツは4兆4298億ドルとなり、日本はドイツに抜かれ世界第4位に転落する。第1位はアメリカで20兆9496億ドル、第2位は中国で17兆7009億ドル。名目GDPをドル換算すると、円安や物価高の影響で日本は小さく出やすい。たとえば物価上昇率はドイツ...
◇ 減税の評判が悪いのは、なぜ? = マスコミ各社の世論調査で、岸田内閣の支持率がガタ落ちとなった。トップを切った日経新聞の調査では、支持率が33%で政権発足以来の最低。またNHKの調査では36%だったが、テレビ朝日の調査では26.9%にまで落ち込んでいる。与党内では「これでは解散はムリ」の声も出始める始末。岸田首相は「減税までやるというのに、どうしてなんだろう」と、頭を抱えているに違いない。調査によると、...
◇ 次の焦点はゼロ金利の解除 = 日銀は31日に開いた金融政策決定会合で「長期金利が1%を超えて上昇すること」を容認した。これまでは上限としてきた1%をメドに改め、一定限度なら超えてもいいというように修正している。ただ短期金利をゼロに抑える政策やETF(上場投資信託)の買い入れなど、金融緩和の姿勢は崩さない。このように形としては政策のわずかな修正に過ぎないが、これが金融引き締め政策への第1歩となる可能性...
◇ 量的引き締めはまだ1兆ドル = パウエルFRB議長が「経済は金利の影響を受けにくくなっているのかもしれない」と嘆き節。珍しいことである。FRBは昨年3月からインフレ退治のために金融政策を引き締めに転換、政策金利をゼロから5.25%まで引き上げた。しかしアメリカ経済は堅調を維持し、物価はなかなか下がらない。パウエル議長の嘆きは、まだまだ続きそうである。金利がこれだけ上昇すると、ふつう経済には強いブレー...
◇ あさって1日のパウエル会見待ち = ダウ平均は先週710ドルの値下がり。2週間の続落で、この間の下げ幅は1200ドルを超えた。長期金利の上昇、中東情勢の緊迫、それに長引く自動車ストなど、株式市場には次々と逆風が吹き込む。7-9月期の実質GDP成長率が4.9%と予想をはるかに上回ったことも、金融引き締めを止められない原因になるという理由で悪材料視された。いまはあさって1日に行なわれる、パウエルFRB議長の記者会...
◇ 高利回りにはリスクが伴う = アメリカの長期金利が16年ぶりの高さに上昇している。10年もの国債の利回りは先週5%台に乗せた。雇用や物価などが予想以上に堅調で、FRBの引き締め政策が長続きするという見方。政府の財政支出増加で、国債発行額が急増。そして議会が空転し予算成立のメドが立たないことが、長期金利を引き上げる原因となっている。最も信用度が高い国債でさえ、年5%の金利が付かないと売れない。その他の公...
◇ 日本はこの50年間なにをやったのか = ちょうど50年前の1973年10月6日、エジプトとシリアが共謀してイスラエルを奇襲。いわゆる第4次中東戦争が始まった。結果はイスラエルの勝利に終わったが、OPEC(石油輸出国機構)はイスラエル寄りの先進国を牽制するため、突如として原油の輸出価格を4倍に引き上げた。これが石油ショック。各国の物価は急騰、景気は下降を余儀なくされた。日本でもトイレット・ペーパーの買い占め騒...
◇ ガザ戦争で高まる危険性 = 原油の国際価格は、いま高止まりしている。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、このところ1バレル=90ドルを前に足踏み状態。しかしイスラエルのガザ地上作戦が、本格的に始まったらどうなるか。ごく短期で決着すればともかく、もし長引いてレバノンやイランなどの近隣アラブ諸国が巻き込まれれば、価格は確実に100ドルを突破するに違いない。それが世界経済に及ぼす悪影響は...
◇ 国民の知りたい点をすっぽかした = 「経済、経済、経済」と連呼した岸田首相の所信表明演説。経済を‟一丁目一番地”にしようという意欲は、よく伝わった。だが結論から言うと、残念ながら落第点を付けるしかない。というのも、その結果として日本経済はどんな姿になるのか。国民の生活は、どうなるのか。みんなが知りたいと考えている点に全く触れなかったからである。だから演説は空回り、岸田首相の独りよがりになってしまっ...
◇ 期限付き減税の危うさ = 岸田首相は20日、自民・公明党の幹部に対して「所得税の期限付き減税と低所得者への給付金支給」を検討するよう指示した。これを受けて政府・与党は、政策懇談会を26日に開いて議論を始める。税制改正法案を通常国会に提出、年度内の成立を図る方針だ。減税については与党内からも疑問の声が出ているが、岸田首相は所信表明演説でも明言。強行突破する姿勢を見せている。減税の規模はまだ不明だが、5...
◇ 長期金利の上昇が波乱要因に = ダウ平均は先週543ドルの値下がり。週の前半は9月の雇用・消費者物価・小売り売上高がそろって予想を上回ったにもかかわらず、株価は上昇。ところが水曜日になると、長期金利が4.9%にまで上昇し株式市場には警戒感が走った。そこへパウエルFRB議長が講演で「さらなる引き締めが正当化されることもありうる」と言明、木曜日には金利が5%と16年ぶりの水準に到達した。イスラエル情勢なども悪...
◇ 現状判断では「きわめて微妙」 = 中国統計局の発表によると、7-9月期の実質成長率は前年同期比の年率で4.9%だった。前4-6月期の6.3%から大きく減速。不動産不況に改善の兆しが見られず、個人消費や輸出も伸び悩んだ。地方政府は財源難で景気対策を打ち出せず、北京政府はもっぱら金融緩和で需要を喚起しようとしている。だが今後の見通しは厳しく、習近平政権が目標としている「23年の5%成長」を達成できるかどうか。微...
◇ 政府は鈍感すぎる = 機械化・ロボット化・AI化、女性と高齢者の活用、外国人の招聘、それに生産性の向上。--人手不足を解消するための方策は、これしかない。だから政府・自治体・企業・個人は、これらが進展するように地道な努力を重ねるしかない。たとえばロボット・AI化減税、リスキリング、年収のカベの撤廃、外国人労働者に対する優遇策、週休3日制の推進・・・。しかし、こうした努力を重ねたとしても、今後に予...
◇ 「働き方改革」で働く時間が減少 = 「人口が減っているのだから、人手不足はやむをえない」と考える人が多い。だが、これは間違い。たしかに日本の人口は減り始めたが、働く人は増えている。つまり遊んでいる人が少なくなったわけだ。たとえば労働力調査で就業者数をみると、13年には平均6311万人だったのが直近の4-6月期には6747万人に増えている。実に430万人以上も増加した。この10年間、日本のGDPはあまり大きくなっ...
◇ 35年には最大1190万人が不足 = これまで運輸・建設・介護・サービス業について人手不足の実情をみてきたが、他の多くの業種も人手が集まらずに苦しんでいる。たとえば医師・看護師、学校の先生や技師、消防士から官僚に至るまで。人が余っているのは、一部の事務系の職場と国会議員ぐらいなものではないか。しかも今後の見通しも、非常に厳しい。三菱UFGコンサル&リサーチ社の推計。少子・高齢化の進行で、労働力人口は...
◇ ユダヤ的な視点が強いNY市場 = イスラエル地上部隊のガザ進攻は、どんな結果をもたらすのだろうか。一般的な見方は、3つの可能性に集約できるだろう。①イスラエル軍は短期決戦に成功。1か月以内にハマスを完全排除する②ハマスがゲリラ戦で抵抗、レバノンのイスラム教シーア派ヒズボラが参戦して長期化する③イラクやイランが参戦、第5次中東戦争になる--このうち①の可能性が大きく、②もありうる。③は可能性が小さい。と...
◇ 東京市場ははしゃぎ過ぎ? = ダウ平均は先週263ドルの値上がり。4週間ぶりの上昇となった。雇用や物価が予想より強く、イスラエルの緊迫も加わって金利が上昇。環境は芳しくなかったが、FRBが発表した9月のFOMC議事録で「利上げに慎重な意見が多かったこと」が判明。市場はこれを頼りに買い進んだ。その根底には、過去3週間で1200ドル下げたことへの反動がある。押し目買いの力は、まだまだ強い。日経平均は先週1321円...
◇ 倒産に直結してしまう業種 = サービス業は基本的に、人手がなければ成り立たない業種だ。だから人手不足は命取り。倒産してしまう企業も多い。なかでも人手不足に苦しんでいるのは、飲食業と宿泊業。コロナ規制で離れて行った従業員が帰ってこない。高齢化が進む一方で、新規参入が少ない。この業種は季節や時間で繁忙期が異なるから、バイトやパートなどの非正規従業員は必要不可欠。その人たちも集まりにくくなっている。総...
◇ 要介護者の増加に追い付かない = 介護保険制度は2000年に発足した。当時の介護職員は55万人。それが現在は230万人に増えている。常に不足気味だが、なんとか伸びてきた。ところが、これからが大変。25年には団塊の世代が、全員75歳以上に達する。このため厚労省によると、介護職員は32万人も不足する。これが介護の「2025年問題」だ。さらに40年には69万人が不足する見通しだが、それが埋まる見込みはほとんどない。労働条件...
◇ 大阪万博は象徴的な出来事 = 建設業界の人手不足も深刻だ。総務省によると、建設業の従業員数は22年で479万人。ピークだった97年に比べると、3割以上も減少した。人手が足りないと、工期が遅れる。人手を増やせば、人件費が増える。どっちにしてもコストは上がってしまう。そこへ来年4月からは、残業時間が年720時間に制限される。いま大阪万博の建築契約が進まず問題となっているが、この傾向は全国に広がり始めている。昔は...
「ブログリーダー」を活用して、経済なんでも研究会さんをフォローしませんか?
◇ 「インフレなら利上げ」ではダメなのか? = 日銀はきょう19日に開く政策決定会合で、マイナス金利の解除を決定する。同時にイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を停止、またETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の買い入れも終了する。これまで17年も続けてきた金融の超緩和政策を、引き締めの方向へ転換するわけだ。だが、これで日銀が何を目指しているのか。説明がどうもすっきりとは呑み込めない...
◇ マイナス金利解除は織り込んだが・・・ = ダウ平均は先週わずか8ドルの値下がり。週の前半は先々週に下げた反動もあって反発。特に火曜日は注目のエヌビディアが7.2%も上昇、SP500が最高値を更新した。しかし後半はだらだらと下げている。2月の消費者物価が予想を上回って上昇、利下げが遠のいたという推測が強まって金利が上昇。株式市場は、これを嫌気した。ただ終り値は、3月23日に付けた最高値を400ドルしか下回ってい...
◇ 一時停止かUターンかは、この株しだい? = 日米の株価が大きく揺れ始めた。ダウ平均は2月23日に3万9132ドルの新高値を付けたあと、下げに転じた。日経平均も3月4日に4万円台乗せを達成したあと、11日にはことし最大の下げを記録している。これまで株価の大幅高を主導してきた半導体関連銘柄が、反落でも主役も演じた。そして、その半導体銘柄を先導したのがエヌビディアだ。市場では「エヌビディア・ショック」という言葉が...
◇ 大きな社会問題に発展する可能性 = 高齢化の進展で、福祉関係の費用が急激に増大している。たとえば、この20年間で医療費は6割、年金は5割も増えている。しかし介護費は別格、なんと4倍に跳ね上がった。00年の3兆3000億円が、23年には13兆5000億円に膨張している。この勢いは今後も衰えず、要介護者は00年の218万人から、40年度には2100万人に増大する見込みだ。当然、必要な介護職員の数も急増する。厚労省によると、21年度...
◇ 来年は32万人も不足する見込み = 「22年ショック」という言葉が、介護関係者の間で定着している。この年、介護職員を辞めた人が61万人に達し、新たに就職してきた人を6万3000人も上回った。職員の数が純減したのは初めてのことで、ショックが業界を駆け巡った。主な原因は、給与の伸び悩み。物価が大幅に上昇したため、生活が苦しくなってしまった。しかし介護職員の給与は、政府が決める“公定価格”。財源が厳しく、思うよ...
◇ 各種の金利はすでに上昇してきた = 日銀は来週18-19日に開く政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する可能性が大きい。植田総裁が2月29日に国会で「現状はデフレではなく、インフレの状態にある」と発言。内田副総裁も講演で「仮にマイナス金利を解除しても、緩和的な政策を維持して行くことになるだろう」と述べた。こうした日銀幹部の発言から、市場では解除の予想が急速に拡大した。実現すれば、なんと17年ぶりの金利...
◇ 日米ともに足取りは重い = ダウ平均は先週365ドルの値下がり。終り値は3万9000ドルを割り込んだ。高値圏で利益確定売りが出たことが、値下がりの主な原因。水曜日にはパウエルFRB議長が議会で証言。「利下げはそう遠くないうちに始めるのが適切」と述べたが、株価は小幅な上昇にとどまった。また金曜日には予想を上回る雇用者の増加が発表されたが、株価は小幅に下げただけ。方向感に乏しくなっている。日経平均は先週222...
◇ 少数民族になる白人の不安 = 11月の大統領選挙に向けた共和党の指名争いで、トランプ前大統領が圧勝した。世論調査では、バイデン現大統領よりも支持率が高い。トランプ氏はいま4つの刑事事件を抱え、計51の罪で起訴されている。決して‟清廉潔白の士”とは言えないだろう。それなのに、なんで圧勝するのか。その根本的な理由は、アメリカが直面している歴史的な流れのなかに求められる。米国勢調査局によると、白人がアメリカ...
◇ またもバラマキ、若者への配慮なし = 厚生労働省の発表によると、昨年の出生数は75万8631人で戦後最低。前年に比べて5.1%の減少、8年連続で前年を下回った。この減少率は想定を上回っており、少子化の進行が加速していることを示している。また昨年は婚姻数も48万9281組で、前年を5.9%下回った。岸田首相ならずとも、こうした現実には危機感を抱かざるをえない。そこで政府が打ち出した少子化対策。はたして効果があるのだ...
◇ 国民の負担は実質ゼロなのか = 政府は「こども未来戦略」に盛り込んだ少子化対策の実現に必要な関連法の改正案を国会に提出した。その最大の柱は、児童手当の思い切った拡充。所得制限を撤廃し、支給対象の上限を現行の中学生から高校生にまで拡大する。また第3子以降に対しては、月額3万円を支給することになった。法律が成立すれば、ことし12月から実施する。岸田首相は「スピード感を持って実行に移して行く」と言明した...
◇ バブルなのか、バブルでないのか = 「ついに」と言うべきか、それとも「やっと」と言うべきか。とにかく日経平均株価が4万円の大台に跳ね上がった。3万円台に乗せてから、ちょうど3年かかっている。だが、ことしの年初は3万3000円台、そこからは超特急で上り詰めた。2月22日には1989年12月に記録した史上最高値を更新、そこから7日間で4万円に到達したことになる。34年前には新高値のあとバブルが崩壊、株価は急落した。今回...
◇ 日経平均はついに4万円台へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。高値圏で利益確定売りが続出したが、なんとかこなして終り値は3万9000ドル台を死守した形。相変わらず半導体関連には買いが入り、IT関連銘柄の多いナスダックが木曜日、2年3か月ぶりに最高値を更新した。一方、債券市場では長期金利が上昇。このため外国為替市場ではドルが買われ、円安が進んでいる。日経平均は先週812円の値上がり。終り値は3万9911...
◇ 「インフレ」とは何なのか? = 植田日銀総裁は先週22日、衆院予算委員会で「消費者物価は昨年までと同じように右上がりの動きが続くと予想している」「いまはデフレではなく、インフレの状態にあると考えている」と発言した。野党議員から「現在はデフレなのか、インフレなのか」と質問され、答えたものだ。市場はこの発言を受けて「日銀は3月にもマイナス金利の解除に踏み切る」と了解している。だが日銀総裁のこの発言は、...
◇ 東京市場は自信満々だが・・・ = 「日経平均4万円は確実、その後の上昇も当たり前」--東京市場では、こんな強気がまかり通っている。じっさい予想される高値の水準について、大和証券は4万3000円、JPモルガン証券は4万2000円に上方修正した。こんな強気を生み出した大きな原因の一つが、史上最高値を付けた34年前との株価の比較。アメリカは14倍、英独仏などは3-5倍。これに対して日本は元に戻っただけ。つまり1倍でし...
◇ 絶好調NY市場のアキレス腱 = 日米欧の株式市場が、そろって史上最高値を更新中。その動きを主導したのは、やはりニューヨーク市場だった。いまウオール街は“怖いものなし”の状態。というのも景気がいいことを示す指標が出れば、素直に喜ぶ。景気が悪い指標が出たら、FRBによる利下げが早まると歓迎する。ダウ平均は4万ドルに向けて、まっしぐらだ。しかし、そんな絶好調のニューヨーク市場にも死角はある。ニューヨークの株...
◇ 世界中のカネを揺さぶったエヌビディア = 世界各国の株価が、一斉に上昇した。ダウ平均は連日のように史上最高値を更新して、ついに4万ドルを狙う勢い。日経平均は34年ぶりに史上最高値を更新、これまた4万円を目標にし始めた。ヨーロッパの株価も、たとえば代表的な指数のストックス600は2年ぶりに最高値を更新。さらに台湾の株価も高値を更新している。このところ下げていた上海総合指数でさえ、久しぶりに3000を回復した。...
◇ サクラ満開の日米株式市場 = ダウ平均は先週504ドルの値上がり。終り値は3万9132ドルで、またしても史上最高値を更新した。半導体大手のエヌビディアが11-1月期の決算を発表、純利益が前年比で8.7倍に増加。これを受けて、木曜日には半導体関連を中心に450ドル以上も値を上げたことが大きかった。このところ最高値の更新を続けているが、それでも年初来の上げ幅は1400ドルあまりと落ち着いた動き。ニューヨーク市場は花盛り...
◇ 企業を向いた財政・金融政策 = 新聞各紙が「「日本のGDPが4位に転落」を大々的に報じた15日、その同じ紙面で「株価が3万8100円台に」の大見出しが踊っていた。GDPは昨年の話、株高は現在のニュースだから矛盾はないと説明できるかもしれない。だが昨年も株価は上昇していた。株高の原因は企業の業績が好調だったため。業績の好調は、主として円安と値上げが原因だった。一方、円安と値上げで物価が高騰。これで家計は節約志...
◇ 貧しくなった日本人の生活 = 内閣府は先週、昨年10-12月期と23年のGDP速報を発表した。それによると、昨年10-12月期のGDP実質成長率は年率換算でマイナス0.4%。民間の事前予測はプラスだったが、個人消費と公共支出の落ち込みが大きくマイナス成長となった。これでマイナス成長は2四半期連続。アメリカなら「景気後退に陥った」と判定される。ところが企業の業績は絶好調、株価は史上最高値に最接近。いったい、なぜ...
◇ その時価総額は日英加の総合計に匹敵 = ニューヨーク市場の株価が史上最高値を更新し続けている。ダウ平均は4万ドルを狙う勢いだし、銘柄数が最も多いSP500指数も5000を超えた。その起爆剤となっているのが、MAG7と呼ばれる大手IT7社。時価総額は昨年72%も増加、現在は12兆ドル(約1700兆円)にも達した。この金額は、日本・イギリス・カナダの株式市場に上場する全銘柄の時価総額に匹敵する。つい最近までニュー...
◇ 人手不足でサービス低下の恐れ = 観光局の発表によると、ことし2月の訪日外国人客数は147万5300人だった。コロナ前の19年2月に比べると56.6%にまで回復している。1月の水準とほぼ同じだが、日数が少なかった分だけ増加したと考えていい。3月は中国人に対する水際対策も解除されたので、150万人を超えることは確実だろう。この調子なら、23年は2000万人に達するという予測も出ている。いちばん多かったのは韓国人で56万8000人...
◇ 雨は止んだが雲はまだ厚い = 中国統計局は15日、ことし1-2月の主要な経済統計を発表した。それによると、小売り売上高は前年比3.5%の増加。昨年10-12月のマイナスからプラスに改善した。ゼロ・コロナ政策を終了、移動制限のない春節(旧正月)を迎えたことが大きい。飲食業の売り上げは9.2%も増加した。しかし耐久消費財の売れ行きは不振で、自動車は9.4%の減少にとどまっている。鉱工業生産は前年比2.4%の増加。昨年12...
◇ FRBは金利を上げられるのか? = アメリカでは中堅の銀行が相次いで倒産、金融不安の影が色濃くなった。まず10日に倒産したのはカリフォルニア州のシリコン・バレー銀行。保有資産の総額は28兆円ほどで、全米16番目の規模。次いでニューヨーク州のシグネチャー銀行が12日に倒産。こちらの総資産は約15兆円、全米29位だった。財務省とFRBは直ちに「すべての預金を保護する」と発表、いまのところ金融危機とか信用不安といった雰...
◇ 先行き見通しは期待と不安が混在 = 内閣府と財務省は13日、1-3月期の法人企業景気予測調査の結果を発表した。それによると、大企業の景況判断指数はマイナス3.0で、3四半期ぶりにマイナスを記録。このうち世界経済の停滞を懸念した製造業はマイナス10.5、コロナ規制の解除を好感した非製造業はプラス0.6となっている。中小企業はマイナス17.4だった。法人企業景気予測調査は、内閣府と財務省が約1万1000社を対象に共同で実施...
◇ 金融政策が行き詰まる恐れ = ついに金融機関の倒産が発生した。経営が行き詰まったのは、カリフォルニア州のシリコン・バレー銀行。総資産は約28兆円で、全米16位の規模。保有している国債などの値下がりで巨大な損失を被り、取り付け騒ぎにあって10日に倒産した。FRBの利上げで国債など債券の価格が急落、それが引き金となったのだから、金融引き締め政策の大きな副作用が出たことに間違いはない。それより少し前の7日、パウ...
◇ 2度の衝撃で大幅安 = ダウ平均は先週1481ドルの値下がり。ことし最大の下落で、終り値は3万2000ドルを割り込んだ。週初と週末に大きなショックに見舞われたことが原因。最初は7日、パウエルFRB議長が議会で「利上げペースを加速する用意がある」と発言したこと。あとは10日に、SVBフィナンシャル・グループが巨額の損失を発表。さらにシリコン・バレー銀行が倒産したというニュースだった。日経平均は先週217円の値上がり。...
◇ パンデミックは終息の可能性も? = 世界の感染者は累計6億7688万人、この1週間で79万人増加した。この週間増加数は過去最少。死亡者は680万4503人で、週間6233人の増加だった。増加数は8週連続で縮小している。最近のピークだった1月上旬に比べると、ほぼ3分の1になった。この数字からみる限り、コロナのパンデミック(世界的大流行)は確実に終息へと向かっている。国別の死亡者数をみると、アメリカは累計112万3299人。この...
◇ 1月の実質賃金は記録的な減少 = 実質賃金の減少率が、歴史的な水準にまで拡大した。厚生労働省が発表した1月の毎月勤労統計によると、1人当たりの現金給与総額は27万6857円で前年比0.8%の増加だった。しかし物価が5.1%も上昇したため、実質賃金は4.1%の減少となった。この減少率は14年5月と09年12月に、ほぼ並ぶ。14年は消費税の引き上げ、09年はリーマン・ショックの直後だった。現金給与総額というのは名目賃金、つまり...
◇ ドイツとインドに抜かれ世界第5位に転落? = 主要国の22年のGDP統計が出揃った。ベスト5を並べてみると、①アメリカ 25兆3468億ドル②中国 19兆9116億ドル③日本 4兆9121億ドル④ドイツ 4兆2565億ドル⑤インド 3兆5347億ドル--となる。これをマラソンに例えると、トップのアメリカは順調な走り。ドイツとインドが猛烈に追い上げ。そして中国は遅れ気味、日本は顔が上がって苦しそう。と言ったところ。ここからも判るように...
◇ 米中のGDP逆転はなくなった = 中国では5日に北京で開幕した全国人民代表大会の冒頭、李克強首相が「23年の経済成長目標を5%前後とする」と発表した。22年は「5.5%前後」を目標に掲げたが、ゼロ・コロナ政策の影響で景気が低迷、3.0%の成長に終わった。このため23年は確実に達成できるよう、目標を引き下げたものと思われる。どうやら中国も高度成長の時期を過ぎて、‟中成長国”の仲間入りをしたらしい。国家統計局が2月末に...
◇ 金融バブルの残り火 = 先週末のダウ平均株価は3万3391ドル、年初に比べると244ドルの値上がりだった。同様に日経平均の終り値は2万7927円、年初来1832円の値上がりだった。ことしに入ってダウ平均は3万2500ドルと3万5000ドルの間を行ったり来たり。日経平均も2万5500円ー2万8000円のボックス圏から抜け出せなかった。それでも日米の株価は、ともに値下がりはしていない。ところが企業の業績は、この間に大きく悪化している。...
◇ 業績との乖離が進む株価 = ダウ平均は先週574ドルの値上がり。終り値は3万3000ドル台を回復した。前半はPCE(個人消費支出物価)の上昇が加速したり、イエレン財務長官が「インフレは一直線に鈍化しない」と発言。株価を押し下げた。しかし木金の2日間で730ドルも反発。目立った材料は出なかったが、長期金利が下落したことだけを頼りに上昇している。日経平均は先週474円の値上がり。終り値は2万8000円に接近した。ニューヨ...
◇ 世界一の大富豪が‟日本消滅”を危惧 = 厚労省は22年の死亡者数も発表した。それによると、年間の死亡者は前年より8.9%増えて158万2033人。戦後では最多を記録した。コロナでは3万9000人が亡くなっている。昨年80万人を割り込んだ出生数から、この死亡者数を差し引いた数字が人口の自然減。昨年は78万2305人で過去最多。ほぼ山梨県と同じ人数が、1年間で減少した。日本の総人口は、2008年の1億2808万人がピークだった。それか...
◇ おカネだけでは止められない少子化 = 厚生労働省は28日、昨年の外国人を含む出生数が79万9728人に落ち込んだと発表した。統計を取り始めた1899年以来、初めて80万人を割っている。コロナの影響もあって前年比は5.1%の減少、21年の3.4%減少から加速した。岸田首相は「危機的な状況だと認識している」と述べ、政府は3月中に総合的な少子化対策をまとめる方針。出生数の長期的な推移をみると、最大だったのは第1次ベビーブーム...
◇ エネルギー計画も作らない杜撰さ = いま日本は年間およそ1兆㌔㍗時の電力を生産し、消費している。その電力をどんなエネルギー源で生産するかを決めるのが、エネルギー計画の中核となる電源構成。21年度の実績は、再生可能エネルギー20.3%、原子力6.9%、火力72.9%となっている。このうち火力発電に使う原油・石炭・天然ガスなどの輸入価格が暴騰した。だから「原発を最大限活用する」という考え方は、必ずしも間違いではな...
◇ 60年を超える運転を可能に = 政府は28日の閣議で、原発の運転を60年を超えても可能にする改正法案の国会提出を決定した。現行は原子炉等規制法で「原則40年、最長60年」と決められているが、この条項を電気事業法に移管。さらに「安全審査や裁判所による停止命令で運転を停止した期間」を稼働日数から差し引く条項を加えることによって、実質的に60年以上の運転が可能になるようにする。これに先立ち政府は2月10日の閣議で、...
◇ 「サプライズになることも」と予告? = 植田和男・次期日銀総裁は先週24日、国会で所信を表明した。そのなかで植田氏は「いま日銀が行っている金融政策は適切だ」「金融緩和政策は継続する」などと発言。また質問に答えて「物価2%上昇を目標とする政府との共同声明を見直す必要はない」と言明した。要するに現在の路線をそのまま継承するという内容。市場はこれに安心して、日経平均はこの日350円の上昇となった。だが植田氏...
◇ 業績の悪化だけは無視できない = ダウ平均は先週1010ドルの値下がり。終り値は3万3000ドルを割り込んだ。特に21日は700ドル近くの大幅な下げ。サービス業の業況指数が8か月ぶりに50を上回ったことで、FRBの金融引き締めが長引くという見方が強まった。さらに昨年10-12月期の決算で、企業業績が9四半期ぶりに減益となることが判明。反発力も失われた。日経平均は先週60円の値下がり。終り値では2万7500円を割り込んだ。相変わ...
◇ なぜコロナはひとりでに増減するのだろう? = 世界の感染者は累計6億7513万人、この1週間で90万人増加した。増加数は4週連続で過去最少を更新している。死亡者は679万1377人、週間7245人の増加だった。この増加数は昨年10月中旬の7711人を下回り、過去最少。感染者、死亡者ともに、増加数が過去最少になったのは初めてのこと。パンデミックは明かに勢いを失いつつある。国別の死亡者数をみると、アメリカは累計111万8763人。...
◇ 昨年4-12月期の上場企業 = 日経新聞は決算発表を終えた上場1158社について、昨年4-12月期の売り上げと利益を集計した。それによると、売上高は前年比19%の増加だったが、純利益は7.3%の減少となっている。値上げなどで売り上げは伸びたものの、燃料や原材料の高騰で利益は減少してしまった。31業種のうち19業種が減益または赤字に陥っている。業種別にみると、製造業は売り上げが17.7%増加したのに、純利益は5.8%の減...