水本爽涼 さん プロフィール

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水本爽涼さん: 水本爽涼 歳時記
ハンドル名水本爽涼 さん
ブログタイトル水本爽涼 歳時記
ブログURLhttp://s-mizumoto.cocolog-nifty.com/blog/
サイト紹介文日本の四季をベースに中・短編小説、脚本、エッセイなどを綴った小部屋
自由文一応は、作家ですか? ^o^ (そこは、「か」は、いらない)
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供367回 / 365日(平均7.0回/週) - 参加 2009/08/19 10:31

水本爽涼 さんのブログ記事

  • 思わず笑える短編集−79− 最適化
  •  パソコンのハードディスクが重くなるように、人も長く生きていると、つまらないことをクヨクヨと思い込み、重くなることがある。パソコンの場合の処方箋(しょほうせん)は最適化だが、人の場合はどうすればいいんだろう? と、つまらないことをクヨクヨと考える男がいた。臨床心理学者の海鳥である。海鳥はいろいろとシミュレーションを試みた。「あなたは、いつ頃からクヨクヨと考えるようになったんですか?」「先生、いつ頃 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−78− 玄武坂慕情
  •  江戸は中頃の話だ。山城屋に奉公する手代の誠之助と女中のお里が深い仲になって、はや半年が経とうとしていたと思いなよ。この時代、そんな身勝手が許されるはずもなく、お店(たな)に漏れでもすれば、これはもう偉(えら)いことになる・・とは二人にも分かっていたから、逢瀬(おうせ)を重ねるにも人目を憚(はばか)る他はなかった。山城屋から少しばかり離れた玄武坂の袂(たもと)にある柳の木が二人の逢瀬の仲持ち役とな [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−77− 空降(からぶ)り
  •  空降(からぶ)りということがある。これはなにも、空振りするなどという野球話ではない。ザァ〜ザァ〜と雨が降っているのに、実は晴れている・・という、いわば逆転現象なのだ。「元川さん、その後はどうなりました?」「それがですね、実は…ここだけの話なんですけどね」 元川は池沼の耳へ近づくと、辺りを窺(うかが)い、声を潜(ひそ)めた。「ええ…」 池沼は興味津々(きょうみしんしん)で、耳を欹(そばだ)てた。「 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−76− かくかくしかじか…
  •  会話は、人と人を繋(つな)ぐ重要な情報交換の手段となる。ただ、この情報交換が早くスムースに出来るか出来ないかは、人それぞれに備(そな)わった性分(しょうぶん)によって変化をする。実際(じっさい)、同じ内容の伝達でもA→BとB→Cへ伝わった速度は、30分以上も違った。B→Cは遅れたのである。この情報交換に介在(かいざい)したのがBとCの間で交(か)わされた、かくかくしかじか…の話だった。「Aさんか [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−75− お邪魔虫
  •  本人は邪魔になっているとは気づかないのに、かなり邪魔になっている人がいる。こういう人に住みついているのが、お邪魔虫と呼ばれる見えない虫である。この虫は、そう悪さをするという虫ではない。だから、寄生虫ではない。ならば益虫なのか? といえば、そうでもないのだ。しかし、無神経なのがこの虫の特徴だから、住みついてもらえば、社会でのアレコレで一喜一憂することもなく、神経をすり減らすこともないから、至って便 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−74− ゲーム症
  •  早川秀也は小じんまりと机に向かいゲームに明け暮れていた。いや、正直なところ、そんな悠長(ゆうちょう)な状況ではなく、もはやゲーム依存症とでも言えそうな病的状態だった。学校でも、密かに隠れて先生に見つからないようにやっていた。もちろん、そのゲームには小型電子機器が使用されたが、秀也の病状は重く、かなりの影響を他の生徒にも与える伝染性のものだった。「これは…今、流行(はや)りのゲーム症ですな。早く隔 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−73− 反逆者
  •  世の歴史には必ず、反逆者が登場する。ここにそれらの人々の名を列挙(れっきょ)するつもりはないが、これらの悪者と呼ばれる人々にも一理がない訳でもない。その時代時代が生み出す一種独特の時代背景がそれらの人々を反逆者へと仕立て上げるのである。この風潮は、現代社会においても当然、生じている。 牛毛(うしげ)食品の肉挽(にくびき)は朝から落ち着きがなかった。というのも、豚足(とんそく)食品が密かに進めてい [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−72− 接遇(せつぐう)
  •  昼前になっていた。立山は家の前の歩道を掃除し、その落ち葉やゴミなどを燃やしていた。「こんにちは…」 一人の学校帰りの子供が、礼儀正しい無邪気な小声で通り過ぎていった。立山は、『ピカピカの一年生か…』と、すがすがしい気分になり、「はい…」と、思わず声を返していた。 しばらくすると、また子供が不満げに通り過ぎた。立山はその子に少し邪気を感じた。だがまあ、腹立たしくなる・・というほどのことはなかった。 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−71− 弁当
  •  今年、勤め始めた川岡は、出勤前の朝から腹が減っていた。朝食はしっかり食べたのに、である。若いから・・ということもあったが、それにしても…と自分でも感心、いや驚愕(きょうがく)するほどの空(す)きっぷりだった。両親とも、「あんたは、よく食べるわね」とか、「お前、よく食うなぁ。食い過ぎなんじゃないかっ?」と言って呆(あき)れていた。当然ながら昼の弁当は3個分、常備された。母親の美也子としては、3つも [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−70− あれこれ
  •  勤務休みの朝、長足は応接椅子に座りながら、さて、今日はどうするか…と、あれこれ考えていた。「お父さん、お豆腐と油揚げ、多川さんとこで買ってきて下さらないっ」 妻の美登里がキッチンから出さなくてもいいのに顔を出し、そう言った。長足は、コレ! といった予定はまだ考えていなかったから断る理由がなかった。「ああ、いいよ…」 まあ、散歩がわりに行くか…くらいの気分で長足は軽く応諾(おうだく)した。多川豆腐 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−69− お告げ
  •  新堀(にいぼり)は、これから先の進路で迷っていた。このまま今の職に踏みとどまるべきか否(いな)か・・で、である。だが、そういつまでも迷っている訳にはいかなかった。というのも、誘いを受けた企業への返事が二日後に迫っていたからである。このままでは埒(らち)が明かない…と思えた新堀は、占ってもらうことにした。「どれどれ… … ほう! ほうほう! なるほど!」「分かりますか?」「むろんじゃ。ただちに、お [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−68− 自信作
  •  個人的な偏見(へんけん)が間違いを犯すことがある。自分では自信作だと思っていても、他人から見ればそれほどでもなく、むしろ愚作と思えるような場合だ。どうですっ! 見て下さいっ! 聴いて下さいっ! と展示した絵画や、自信作の曲が、今一、多くの人の目や耳に馴染(なじ)まないのが、その具体例だ。作り手は受け手の感性を重んじねばならないのだが、時として偏見が間違いを起こさせる。受け手を重んじることは、作る [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−67− 愚(おろ)か
  •  人は自分を中心に考える。当然、もっともその人物に近しい人が次にその中心となる。家族がその具体例だが、場合によっては親友とか、対象外の人物がその近しい人となる場合もある。人が愚か・・というのはその点だと煩悩では解かれている。だが、どうしても世俗で生きていると欲に流され、人はそうなる。人が神でも仏でもない証(あか)しだ。 ここは、とある市役所である。「ははは…用無(ようなし)君、君はどうしてそういつ [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−66− 花見
  •  気候も暖かくなり、寒気が遠慮するように、『ご迷惑をおかけいたしました…』と言うではなく楚々(そそ)と去ると、いよいよ春爛漫(はるらんまん)となる。「馬糞(まぐそ)君、場所は取れたろうねっ!」 馬糞は課長の飼葉(かいば)に諄(くど)く念を押された。「はっ! それはもう…」 馬糞は萎(しお)れた小声で返した。「君は毎年、それだけでいいんだから…」 飼葉が買い出しを任せないのは馬糞だからだ。馬糞の何が [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−65− 老化
  •  機械が摩耗するように、人間も少しずつ老化する。老人性の痴呆症、骨粗鬆症、白内障、健忘症、脱毛症・・など、枚挙に暇(いとま)がない。 今年で80を迎えた高崎は、最近になって、どうも動きが衰えた…と思うようになっていた。手足の筋肉は日頃から鍛(きた)えていて、そう不自由は感じなかったが、どうも俊敏(しゅんびん)な動きが萎(な)えてきている…と感じられたのだ。思考の俊敏さに身体が付いていかなくなってい [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−64− 真剣勝負
  •  今では、人間社会で使われなくなった刀(かたな)や剣(つるぎ)だが、真剣勝負という言葉だけは生きていて、現代でもよく使われている。 [株]波川物産の応接室である。嘘川(うそかわ)と水根(みずね)は契約を巡り、丁々発止(ちょうちょうはっし)の駆け引きを展開していた。どちらも会社の命運を握っており、まさに真剣勝負だった。嘘川は波川物産の、水根は土穴(どあな)総商の代表で、どちらも会社のエースとして、契 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−63− 模様
  •  蛸川(たこかわ)は、天気模様よりも葉模様を気にする・・という盆栽マニアを自負する初老の男だ。今朝も早くから盆栽棚に置かれた盆栽の観察に余念がない。そろそろ春ともなり、植物は一斉(いっせい)に活気を帯び出し、蛸川としては芽吹き出した葉模様が気になるところだった。今日の天気は下り気味か…などと気にする普通人とは一線を画(かく)した。「花が咲いてきたな…」 花芽が出る前の1〜2月に二度の消毒をしていた [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−62− 串カツ
  •  濃厚なタレにつけて食べる熱々(あつあつ)の串カツが、時代とともに世の中の盛衰を語ることがある。「すみませんねぇ〜。昨日からツケは二度までとお願いしてますんで…」 串カツ屋の親父は、よく寄る常連客のサラリーマンにそう言って謝(あやま)った。ツケが二度までとは、串カツを濃厚なソースだれに浸ける回数が二度までということだ。過去、この回数は数度、引き下げられている。それはやはり、仕入れ値の原材料費の高騰 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−61− 見せる
  •  女子は見せる・・という行為に拘(こだわ)る。男子の場合を考えると、拘る者もいるにはいるが、概(がい)して無頓着(むとんちゃく)な人物が多い。同じ衣類を洗濯しながら数年に渡り傷(いた)むまで着続ける・・という剛(ごう)の者も結構いるのだ。まあこれには、衣類とか化粧品に余り金をかけたがらない・・という男子独特の習性のようなものがあるのかも知れないのだが…。「これなんかどうかしら?」「そうですねぇ〜。 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−60− 想い出話
  •  暮らしにくくなったり辛(つら)いいことが多くなってくると、人は過去のそうでなかったいい時代を懐(なつ)かしみ、想い出話を語りたくなる。「いやぁ〜あの頃はよかったですよ、あの頃はっ!」「そうそう、あの頃はねぇ〜!」 過田(かだ)と今畑(いまはた)の二人が過去を懐かしんで語り合っている。だが、二人の想いは違っていて、少しずれていた。過田の想いは金利がよかった頃の、利子で物が買えた平成初期の時代であり [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−59− 場合によっては
  •  上手(うま)い言い回しに、場合によっては…というのがある。この言い回しが使われる場合は、場合によっては刺し違える・・とか、場合によっては…する・・といった風に、少し威圧的に恐怖感を臭(にお)わせる場合が多い。「皹皮(ひびかわ)君、誠に言いづらいんだが、場合によっては今月までということになるかも知れん。そこのとこ、よろしく頼むよ」 人事課から回った書類を見ながら、課長の魚乃目(うおのめ)は派遣社員 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−58− 烏賊墨(いかすみ)定食
  •  烏賊墨(いかすみ)定食とは文字どおり烏賊を使った定食・・と思いきや、実はそうではなく、店主のアイデアにより、客に挑戦を叩(たた)きつけるような蛸(たこ)のフルコース定食だった。分かりやすく言えば、客がこの定食を食べ終わったあと、店主が顔を好きなように烏賊墨で塗り書き、二人の記念写真を撮(と)らせれば、無料で食べられる・・という異色の定食である。いわば、平安末期の弁慶が京の五条大橋で集めた刀のよう [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−57− ヒーロー
  •  こうも世の中が複雑になると、ヒーローは出づらくなる。というのも、マスコミによる情報が流れる速さにより、すぐ目立つからだ。2日後の週刊誌に写真入りでヒーロー登場となれば、これはもういただけない。恵まれない人々に愛の手を・・と、タイガーマスクから義援金数百万円が警察署の前に・・といった活躍が関の山の時代である。ヒーローが悪人どもだけでなく、マスコミの取材にもビクビクする・・などといった昨今の構図は、 [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−56− 少しの違い
  •  人の言葉は、そのときの感情の持ちようで少しの違いを生む。それは、いい場合もあれば悪い場合もあり、送り手と受け手の双方に言える。「ははは…まあ、いいじゃないですか」 ある人Aは、にこやかな顔でそう慰(なぐさ)めた。「いいじゃないかっ!」 またある人Bは少し怒り口調で窘(たしな)めた。 二人は同じ場所に存在してはいたが、同じ日時ではなかった。Aが存在した日は前日で、Bは翌日、その場所に存在したのであ [続きを読む]
  • 思わず笑える短編集−55− 鞭(むち)ばかり
  •  日長な一日、鞭(むち)を打たれるように営業に精を出していた平社員の魚節(うおぶし)は、これといった契約も取れないまま帰社した。魚節は帰って早々、課長の塩焼(しおやき)に呼び出された。「やはりダメだったか…。まあ、余り期待はしてなかったがね」「はい、まあ…」 その言いようはないだろ! と少し怒れた魚節だったが、塩焼の言ったとおり、今までコレといった契約をとれていないのも事実だったから、妙なところで [続きを読む]