Writer さん プロフィール

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Writerさん: きみの靴の中の砂
ハンドル名Writer さん
ブログタイトルきみの靴の中の砂
ブログURLhttps://air.ap.teacup.com/writer/
サイト紹介文『それは言わない約束』のようなもの。
自由文Writer / Blogger
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供127回 / 365日(平均2.4回/週) - 参加 2009/09/13 08:00

Writer さんのブログ記事

  • すぐに思い出せない幸せ
  • [画像] 今までで、人生最悪のいち日って、いつだったろう。 すぐに思い出せない幸せ。【The Divine Comedy / Make It Easy On Yourself】  [続きを読む]
  • アリススプリングスの公設市場にて
  • [画像] 日に何度か車列を連ねて旅人達を乗せたバスが来ると、アリススプリングスの公設市場にある店はにわかに活気付く。 アポリジニー達が土産物屋を出していて、どういう工程を採るかは詳らかではないが、剥いだ厚い樹木の皮を一枚板に伸ばし、それをキャンバス代わりに彩色した風景画を並べて売っている。 先程レンタカーから下りてきた娘たちが、その店先で始めた品定め。 ある娘は、赤い砂漠の夜に黄色い月が上った絵が気 [続きを読む]
  • そうして夜が更ける頃
  • [画像] 空腹を感じたら、それを満たすだけの、なるたけ少量の粗食を摂り、陽の高いうちに眠くなれば、しばし居眠りをする。 目覚めていれば、こぢんまりした一文をどこからか見つけてきて、幾度か声に出して読み、そうして夜が更ける頃、きみのために新たな一行を記す。【Tony Rivers & The Castaways / Girl Don't Tell Me】  [続きを読む]
  • 苦笑
  • [画像] パリの東のはずれ ----- 深夜に小腹を空かせた雑多な職種の男女が淀み、沈殿する、一軒の終夜営業の飯屋でのことだ。 表通りはすっかり人通りも絶え、その店のある街角だけが凍てつく夜の暖炉の熾火のように明るい。 わたしはグラスワインを飲みながら、隅の席の観劇帰りと見える学生達が、声高に論争するのを聞くともなく耳にしていた。「きみ達は、芸術に圧倒される瞬間を、ただひと言、『感動』で片付けるのか...」  [続きを読む]
  • 砂糖飽和状態のラム酒
  • [画像] キリンビールやサッポロビールなどの白文字が刷り込まれた、居酒屋用宣伝コップ程の大きさのコップにラム酒をドボドボっと入れ、あろう事か、そこにカレーライスのスプーンで山盛り一杯の白砂糖を投入(二杯入れる輩もいないことはないらしい)、多少はかき混ぜるが、確実に飽和状態だから底に大層な沈殿ができる。そういうものを何十年にもわたって飲み続けるから、カリブ海の島々の酒飲みは、虫歯で、中高年までにはほとん [続きを読む]
  • 砂糖飽和状態のラム酒
  • [画像] キリンビールやサッポロビールなどの白文字が刷り込まれた、居酒屋用宣伝コップ程の大きさのコップにラム酒をドボドボっと入れ、あろう事か、そこにカレーライスのスプーンで山盛り一杯の白砂糖を投入(二杯入れる輩もいないことはないらしい)、多少はかき混ぜるが、確実に飽和状態だから底に大層な沈殿ができる。そういうものを何十年にもわたって飲み続けるから、カリブ海の島々の酒飲みは、虫歯で、中高年までにはほとん [続きを読む]
  • 小壜
  • [画像] ホテルの朝。 客を迎え入れ始めたばかりの食堂でひとり、早々と朝餉を済ます ----- このところ、めっきり洋食に手が出なくなった。 テーブルの上に調味料の小壜がふたつ。 近からず、遠からず ----- 先週までのふたりの距離感が、目の前のこのふたつの小壜のようだったら...。 でも、もう今はなにもかもがもとへは戻らない、冬の朝六時半。 今朝は寒そうと言いながら、見知らぬ次のふたり連れが食卓を選び始めている [続きを読む]
  • ついこの間のことだとばかり思っていた
  • [画像]「とうとう、三十になっちゃった」ときみが苦笑したのは、ついこの間のことだとばかり思っていた。 ところが今日、久し振りに出会ったきみが「もう三十八よ」とささやく。 今を生きる人の時間感覚って、こんなものなんだろうか。【Harmony Grass / Teach Me How】  [続きを読む]
  • 高間筆子
  • [画像]【窪島誠一郎(著)『高間筆子幻景―大正を駆けぬけた夭折の画家』カバーより】 かつて、京王線明大前駅から歩いてすぐのところに、とある私設美術館があった。資金の都合からか、今は、もう無い。間口が狭く、見過ごしてしまう人も多かったに違いない。 さて、そこは、もはやこの世にいない、ある女流画家の『絵のない美術館』 ----- なぜ絵がないかというと、関東大震災で、そのすべてが焼けてしまったから...。 彼女の画 [続きを読む]
  • 『死霊』、もしくは一瞬の存在理由
  • [画像] 『作家のインデックス(1998)』----- 大倉舜二が写真撮影を担当した、作家の身辺記録。通読するというよりは、その日その日、気の向いた頁を開くというのが正しい。                    * 埴谷雄高(はにや・ゆたか 1909 - 1997)の晩年は、外出しない限り、浴衣の上に丹前を着て過ごした。「こうしてりゃ、すぐに寝られるからね」 仕事机は赤外線炬燵。季節によって電源が入るかどうかの違いが [続きを読む]
  • 避けて通れないこと
  • [画像] さて、晩秋のいち日、ぼくとイチ子は喧嘩をしながら街を歩いていた ----- インディアン・サマーの午前中のことだ。そんな日和のせいもあってか、ぼくは、アーウィン・ショーの『二月にしては暖かい、五番街の日曜の朝の物語』を思い出していた。 物語の中で、新婚の妻は夫に自分だけを見ていて欲しいと言う ----- 夫は、暖かい風に吹かれながら、舗道を行く夏服を着た女たちに振り向いてばかり...。しかし、夫の心の中で [続きを読む]
  • スープストック
  • [画像] 朝 ----- たいして時間もないのにピーナッツバターとジャムのサンドウィッチを作っていたら、人と会う約束に遅れそうになった。 遅い昼 ----- トマトピューレでナポリタンを作ろうとして、割れた卵があったのを思い出し、寸前でカルボナーラにスイッチ。割れたときに白身が流れて黄身の割合が多くなり、多少変わったカルボナーラになった。フレンチのように生クリームを入れてもよかったかもしれない。 ところできみは、 [続きを読む]
  • 波白く砕けるなか
  • [画像] 古い画布を整理していたときのことだ。 恐らく白い絵の具が汚れるのを嫌ったのだろう、油紙にくるんだ、小さなスクエア3号のカンバスに気付いた。包みをほどくと、何年か前の「クイックシルバー・ イン・メモリー・オブ・エディ・アイカウ」を見にノースショアのワイメア・ベイに行ったときの印象を描いたものだった。 穏やかな日和なのに、日本の二百十日頃のような波がひっきりなしに寄せてくる。日頃からこんなノー [続きを読む]
  • ラジオは丸二日聴いていない
  • [画像] ランチに、サンドウィッチふた切れと林檎のパイをひと切れ食べた。                   *** 気圧が下がりつつある。まるで、曇天のドームの中にいるよう。 ラジオは丸二日聴いていない。「嵐が来るよ。干潮なのに海が近いから...」と水口イチ子。 部屋に帰って、熱いお茶を飲もう。 うまくすれば、気の利いた文章を一行か二行書けるかもしれない。【Ai Ninomiya with Kitchen Orchestra / JODY】 [続きを読む]
  • 自分のために書く言葉
  • [画像] Why are the words we write for ourselves, always so much better than those we write for others ? ----- William Forrester 誰か他の人のために書く文章より、自分のために書くそれの方が、いつも遙かに巧く書けるのはなぜだろう? ----- ウィリアム・フォレスター【Finding Forrester / How to write】  [続きを読む]
  • 終わらない終わり
  • [画像] いつも終わりを考えているのですかと聞かれれば、それはそのとおりですと答えます。でも、「終わらない終わりを考えることもあります」と言いたくなるときがあります。ちょうど、今のように。【The Rolling Stones / Let's Spend The Night Together】  [続きを読む]
  • 無花果
  • [画像] 秋の夕暮れ。 イチ子さんが、庭の無花果の、まだ小さな実を摘まんで間引いていた。 いつもの年のように鳥に悪戯される前に、鳥たちに意地悪でもしようとしているのかと思いながら見ていた。                   *** その摘まれた若い実は、一晩中、イチ子さんに砂糖で煮られ、翌日、デザートとなって、ぼく達のささやかな夕餉の食卓にのぼった。【Harmony Grass / Teach Me How】  [続きを読む]
  • 嘘つきミートパイ
  • [画像] 男子生徒の間で、あの娘がいつ頃から陰でミートパイと呼ばれていたかは判明しない。本町交差点角の洋菓子屋の娘だとは誰かから聞いたことがあった。 出席番号が離れていたこともあって、ぼくとミートパイがクラスで席が近くになったことはなく、教室で会話する機会もほとんどなかった。しかし、たまたま部室が隣り合わせだったこともあって、放課後に限って、顔を合わせば話をするようになった。 ある日の部活帰りに、な [続きを読む]
  • 丹波栗
  • [画像] 丹波から栗が届いたとイチ子さんが笊にあけて見せた。「今年も大きいね(ぼくのこの感想は些か違ったようで、去年のものよりは幾分小振りらしい)」 さて、どうやって食べよう ----- ふたりで笊を間に挟んで、しばし沈黙。 フランスには栗料理のレシピが、あれこれ迷うほどあるけど、日本の『自然に近いままに食べる』という調理法に多様性はない。 今年の丹波栗は甘味が濃いという噂もあるから、とりあえず茹でて、そ [続きを読む]
  • 本棚の片隅で
  • [画像] 『夏』の後ろ姿もすっかり見えなくなった、神無月最初の朝を迎える頃、村の至る所で金木犀の蕾が一斉にほころぶ。                   *** 昔、調香を仕事としていた友が、その花の香りを香水にしてくれたことがあった。その透明な滴壜に詰められた香りは、淡い想い出とともにいつの間にか揮発してしまったけれど、時折、本棚の片隅で埃をかぶるその空き壜に目が留まると、あの眠りを誘うような香り [続きを読む]