(1)「幕府」に何の問題もない「幕府」は日本人の言語文化に深く定着している。むしろ、この言葉を明治の日本史学者が日本史歴史用語と決めてくれたことに、我々日本人は感謝しなければならない。その根拠はすでに書いているので、くり返さないが、専門の日本史学者だけでなく、小説、テレビ、漫画などすべてのジャンルで、日常、ごく普通に使われている。「幕藩体制」「幕臣」「幕閣」「幕府洋式歩兵隊」「幕長戦争」、また「幕府が招聘したフランス軍事顧問団」などなど、上げればきりがない。また、言語上も語感(言葉の響き)も良い。この「幕府」という歴史用語に問題があると、日本史の学会で論争が起きているのを知ったのは7年前の読売新聞の記事が初めてであった。その時「え!なんで?」と思ったのが私の偽らざる心境であった。その時代に「鎌倉幕府」「室...「幕府」と「天下」の最終章ー日本の言語文化の破壊ー