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2009/10/25

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  • 自分の創作小説のイラストを描いてみた

    洋館。ある屋敷の大きな応接間に案内された嵯響は事の一件を報告した。その部屋は蝋燭の光だけで照らされていてその場に何人、人が居るか嵯響は判断出来なかった。アンティークな椅子に座る齢90を越えた面持ちの老婆が一瞬ピクリと動いて言葉を発した。「暇に厭きた“白狐”が動き始めたか…。じきに他の者共も動き始めるであろうな…」「我ら“暗者”の役割は闇に潜む邪な能力の使い手共の均衡を保つべく居る。邪なる者共は人間を力の糧とする。弱者であれば支配される他ならず。故に能力を持ち“暗者”は邪なる者共の能力を奪い使役し張り合う他ならず。」「“黒蛇”を呼ぶのですか?」老婆の背後に全身を布で覆った女の姿が見え、初めて聞く“黒蛇(くろへび)”という言葉を発した。「いや…それは切り札だ、時を見定めねばならない」↑この文章は「誰が為に我は彷徨う...自分の創作小説のイラストを描いてみた

  • 【本編-20】

    「ひとまず村の周囲を囲う気配を散らすとしよう」気持ちを切り替えた緋早音は立ち上がると障子を開けようとした。が、緋早音の手を嘉早音が掴み動きを止める。「緋早音…これ以上私達の為に自然の摂理に逆らう事はないわ…」緋早音は目を見開き大声で嘉早音に怒る。「なんだ、その弱音はっ!!」緋早音の真っ直ぐな思いを直視する事が出来ない嘉早音は俯きながら力なく呟いた。「…人は死に逝くものだから…」緋早音は更に声を荒げた。「嘉早音は死を望んでいるのかっ?!」「そんな事はないわ。ただ、緋早音が私達の為に身を呈する事はないわ」俯いたままの嘉早音は首を横に振りながらそれでも緋早音の手を離そうとはしなかった。「緋早音は十分してくれたわ…ただ、これ以上この村に関われば今度は緋早音が暗者に殺されちゃうかもしれない…」暗者がいる状況を見越しての嘉...【本編-20】

  • 【本編-19】

    志波は嘉早音に顔を向ける。嘉早音は頷く。すると壱華は床に映りこむ自身の影に目を向けた。その場に座り込んで自身の影に手を伸ばす。影の中に手が入り込んでいくと何かを引き上げた。すると、そこには耶雲がいた。「いたたた…壱華乱暴するなって。あ、どうも、お邪魔します」にこにこと耶雲は嘉早音と志波に笑い掛けた。異様な出来事に茫然と立ち尽くす嘉早音と志波だった。「あ、僕は影を使う能力者でして、すみません」「影、ですか…」影を掴み相手の行動を制限する“影縛り”や影から影へ転移する事が出来る“影飛び”を説明していると壱華が鼻で笑って一蹴した。「余計な事イッテんじゃないよ」「あ、今不思議に思ったでしょう?僕と壱華の関係性」志波の表情を読み取り耶雲が無邪気に反応した。「ふふふ、それはですね、僕がこの壱華の大事なものを奪っているからで...【本編-19】

  • 【本編-18】

    ある者は言う。―「より強い力を獲んが為に」そしてある者は言う。―「更なる高みへ上らんが為に」またある者は言う。―「全ては守る為に」最後の者は言う。―「全ては壊す為に」阿鼻叫喚の世界を表現するならそれは今。村中で炎が上がり逃げ惑う人々。逃げても逃げても意味をなさず次々に人が発火する。血と炎に染まる一夜。そこに希望はない。ただあるのは絶望のみ。生ある者はただ奈落の底に落ちて行くのだ。死だけが自らに残された希望だという事を。「お前が裏切ったんだ!!」「助けてくれ」「あんた、死んでくれよ」―『神の子よ、お前はこの未来を変えられるというか?』―村人達の声の中に混ざり込む傲慢に問うその声に感情を備えているとは到底思えなかった。―『未来に抗ってみせよ、お前に残された一縷の望みであろう?』―「裏切り者」嘲る響きを込めてその声は...【本編-18】

  • 【本編-17】

    翌朝、祈祷を終えた志波が部屋から出てくると、嘉早音はほっと安堵した。「朝が来ましたね、いつもと変わらぬ朝が」笑い掛ける志波の顔にも少し疲れの色が見えた。嘉早音もまたにこりと笑い掛けた。「お努めご苦労様でした、ゆっくりお休みになられて下さい」「そうですね、お言葉に甘えて…嘉早音も少し眠ったほうがいいですよ」志波もまた嘉早音を労い、そして2人は本殿を別れて後にした。本殿を出ると、そこには耶雲の姿があった。誰を待っているというのはいうまでもなかった。「騒がしい夜でしたねぇ」その言葉から耶雲もまた昨日の異様さに気が付いていたようだった。「でしたら暗者としてお助けしていただいても良かったのではありませんか?」嘉早音の刺のある言葉に耶雲は苦笑いをした。「昨日のあの不気味さの正体が不確かではどうしようもないでしょう?」嘉早音...【本編-17】

  • 【本編-16】

    ある程度の距離を置いて壱華は耶雲に話し掛けた。「あの女、後ロに地知人ガイルのかもしれないナ」「そうだな、もしくはこれから起こるであろう何かを巫女として視ての言霊か…」壱華はその言葉に反応して無言で耶雲を見ていた。「僕は女性に今回は嫌われてしまったようだ」不抜けた耶雲の発言に壱華は姿を消した。その場の空間に「お前ワ阿呆ダ」と壱華の声が響き渡った。夜半、嘉早音の集落を囲う周辺の森は騒々しくなり始める。夜の帳に包まれた森の奥からは声が聞こえる。“力の気配だ”“喰ってしまおう”“新たな力を得る為に”壱華の気配を感じ取ったあらゆる物の怪が蠢き始める。緋早音が最も避けたかった方向へと―その夜はやけに静かでそしてとても静かだった。それがいつもの静けさとは違うと気付いていたのは巫女である嘉早音とそして祈祷師の志波だけだった。村...【本編-16】

  • 【本編-15】

    「少しお話よろしいですか?」嘉早音が本殿で祈りを捧げ終わった直後、背後から声が掛かる。振り向くと耶雲だった。少し驚いた表情をする嘉早音の反応は人間そのものだ。「はい。あ…少しお待ちいただいても構いませんか?」嘉早音ははっと思い出したように頬を少し赤らめて耶雲に笑い掛けた。実に少女らしい反応だった。「ええ、勿論」嘉早音の反応は耶雲が知る周囲の反応の範疇のものだった。耶雲の外見は男性の美しさを兼ね備えている。耶雲は女性達のその振る舞いを見て心地良さすら感じていた。今自分が疑っている少女もまたそれと同じである事でふいに疑念が和らぎそうになる。そんな自分自身の感情に気付き、ふっと微笑が漏れる。「お待たせしました…あの、どうかされました?」急いで本殿の奥から正装から着替えた嘉早音が耶雲の目の前に現れると同時に不安げに声が...【本編-15】

  • 【本編-14】

    翌朝、靄の掛かった村の外周を耶雲はゆっくりとした足取りで回る。家の中からは好奇の視線が仰がれる。誰も耶雲に声を掛けようとする物好きはいない。ただ、耶雲という存在に物珍しさを持っていて遠目から眺めているのみである。脳裏に声が響く。『人間ッて目敏イ…』声の質から考えてその口調は想像も付かない程大人びている。耶雲はその正体と声音を比較する度に違和感を持つ。その為かくすりと笑みが零れてしまう。『…ドウした?』「…別に…」『お前はワタシが知る限リで一番目敏イ人間だと思ウ』「それはむしろ僕にとっては最高の賛辞だね」その声の主は言葉少なめだが、耶雲には何が言いたいかを理解していた。つまり、こそこそと隠れながらもこちらの様子を見ている、監視しているかの様なこの集落の人間達の態度は不快だと言いたいのだ。人間は群れとなって陰湿な行...【本編-14】

  • 【本編-13】

    「嘉早音、それはいけないよ…私は本当なら関わるべき存在ではないんだ…最期は私なんかじゃなく良い人を見付けて」遮る様に嘉早音がこれだけは譲れないと付け加えた。「私の唯一の身内なんだもの、それくらいちゃんと覚えておいてね」にこにこと笑う嘉早音に対して緋早音は遺言を聞いた様な錯覚となり無言になる。一瞬何かを発しようと僅かに口が開くが言葉を発する事なく立ち上がる緋早音。障子の外に歩き出す。「暗者が嘉早音から私の気配を少しでも感付き動いたら私は動く。この村を平和で留まらせたいなら嘉早音もそのつもりで」緋早音の気配は跡形もなくなっていた。「緋早音…」緋早音の人間の感覚は薄れつつあるのを嘉早音もまた気付いていた。いつからだろう。緋早音は人間に執着を失っていた。人間である自分の存在が辛うじて緋早音を人間の世界へと繋げている。彼...【本編-13】

  • 【本編-12】

    布団から起き上がろうとする嘉早音を優雅な指が静止して白髪の赤目の物の怪は嘉早音の傍に座り込んだ。両足を折り曲げ体を丸くする様に座り込むその姿は人間染みた印象を受ける。「緋早音こそ、大丈夫?」「あの程度の力の人間に私が馬鹿を踏む事はない」自信に満ちたその声に偽りはない。嘉早音もまた気付いている。緋早音は物の怪の中でも別格の位置にいるであろう存在だと。彼女がこの村から離れた直後、いや、再び嘉早音の前に現れた直後のあたりまではそうは思わなかった。だが、今や会う度にますます嘉早音と緋早音の距離は大きく開くばかりである。彼女が物の怪で、自分が人間だという変わりようのない違いを思い知らされる。「神様みたいね、緋早音は」思ったままを口にした嘉早音はくすりと笑った。奇妙な人間と物の怪の繋がり。蜘蛛の糸の様に危ない綱渡りをし続け...【本編-12】

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