asa さん プロフィール

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asaさん: 夕陽の回廊
ハンドル名asa さん
ブログタイトル夕陽の回廊
ブログURLhttp://yuuhikairou.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文今の世の中これでいいのか、と思いながら一言
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供72回 / 365日(平均1.4回/週) - 参加 2009/12/03 13:50

asa さんのブログ記事

  • 旅して、いくつもの人生を生きて〜濫読日記
  • 旅して、いくつもの人生を生きて〜濫読日記 「銀河を渡る」(沢木耕太郎著)  沢木耕太郎。彼のノンフィクションを初めて読んだ時の衝撃は今でも鮮明に憶えている。「敗れざる者たち」だった。中でも「さらばダイヤモンド」(ノンフィクション全集では「さらば宝石」と改題された)は、不世出で、かつ悲運の天才バッターを描いた傑作だった。取り上げたスポーツ選手は、ひとしく他にはない才能を持ちながら「敗れて」いっ [続きを読む]
  • 「斬る」という行為の向こうに何が見える〜映画「斬」
  • 「斬る」という行為の向こうに何が見える〜映画「斬」  時は幕末。舞台は江戸近郊。といっても、これらは特に意味をなさない。幕末期でなくても、江戸から遠く離れた地でもよかった。銭湯の書き割りのように淡景として存在するだけだ。  都築杢之進(池松荘亮)は何者かにならんとして、農家に居候している。時折、村の若者市助(前田隆成)に剣術を教えていた。市助の姉ゆう(蒼井優)はそれを見守っている。そこへ剣の達人 [続きを読む]
  • 科学と倫理の間の荒野を描く〜映画「人魚の眠る家」
  • 科学と倫理の間の荒野を描く〜映画「人魚の眠る家」  新聞報道によると、中国の科学者がゲノム編集によって遺伝子を改変した受精卵の双子を誕生させ、国際団体が批判声明を出したという。いわゆる神と人間の領域の問題は、そこまで来たのである。かつては「天命」とも呼ばれた自然界の大きな力によってきた人間の生と死の行方を、科学の力で恣意的に変えることが、そのつもりになれば可能になった。  「人魚の眠る家」は、脳 [続きを読む]
  • 手続き法といえど、ほってはおけない〜濫読日記
  • 手続き法といえど、ほってはおけない〜濫読日記 「憲法改正とは何だろうか」(高見勝利著)  まずは、「憲法」についての私の基本スタンス。門外漢であり、おそらくはありきたりであることは断るまでもない。  ――現行憲法について一字一句修正まかりならん、とは思わない。必要であれば変えればよい。ただ、現在世の中に出ている(つまりは議論されている))自民党憲法改正草案、および安倍晋三首相が言う憲法9条改正 [続きを読む]
  • ネットの海に揺らぐレガシー・メディア〜濫読日記
  • ネットの海に揺らぐレガシー・メディア〜濫読日記 「歪んだ波紋」(塩田武士著)  年々、広がりと厚みを増すネット社会。ひたひたと押し寄せるその波に、のみ込まれそうになる新聞、テレビ、出版。それらは批判と皮肉を込めて「レガシー・メディア」と呼ばれる。果たして、ネットという海はこれからの社会の主流になるのか。新聞、テレビは没落するしかないのか。メディアを取り巻く今日的状況を、五つの短編でオムニバス [続きを読む]
  • 「戦場体験」を持つ作家が見た「戦争」と「戦後」〜濫読日記
  • 「戦場体験」を持つ作家が見た「戦争」と「戦後」〜濫読日記 「証言その時々」(大岡昇平著)  「野火」や「俘虜記」、そして「レイテ戦記」と、世界的に見ても優れた戦場文学を残した大岡昇平が戦後、折々にメディアに書き残した文章を集めた。時期は1937年、満州事変が起きる前から88年に没する直前の86年まで半世紀。大岡昇平が亡くなった年は昭和でいえば63年、つまり昭和の最後の年に当たる。昭和の戦禍を、身をもっ [続きを読む]
  • 70年の熱気と覚悟が伝わる〜映画「止められるか、俺たちを」
  • 70年の熱気と覚悟が伝わる〜映画「止められるか、俺たちを」  1970年前後の東京・原宿を舞台に若松孝二以下、映画作りにアナーキーな情熱を燃やした集団がいた。その活動ぶり、というより疾走ぶりを描いた。当時の東京の街頭の「熱気」を少しは知るものとして、ある種の懐かしさと既視感が心地よく胸に迫った。  1969年3月。何者かになりたい、と思い詰めた吉積めぐみ(門脇麦)が若松プロの門をたたく。とりあえずは助監督 [続きを読む]
  • 転形期の思想に立ち戻ってみよう〜濫読日記
  • 転形期の思想に立ち戻ってみよう〜濫読日記 「一九五〇年代、批評の政治学」(佐藤泉著)  1950年代に発言した3人の思想家を取り上げた。なぜ1950年代か。著者の答えは明確である。  ――この時代が、戦後史の落丁のページとなっているように感じられる。  ――戦後という大まかな物語が「平和と民主主義」「日米関係」「経済成長」「経済大国化」「バブル経済」「失われた二〇年」といった言葉を小見出しにして語ら [続きを読む]
  • 韓国の民衆が勝ちとったもの〜映画「1987、ある闘いの真実」
  • 韓国の民衆が勝ちとったもの〜映画「1987、ある闘いの真実」  1987年、日本と韓国の社会は対照的な表情を見せていた。日本は平成バブル景気へと突入したが、軍事独裁政権下の韓国は重苦しい空気が漂っていた。1980年の光州事件で民主化を求めた地方の反乱は徹底的に抑え込まれ、辣腕を振るった全斗煥はその後、大統領に就任。統一主体国民会議2525人中2524人が支持するという官製選挙だった。憲法は改正され、大統領は選挙人 [続きを読む]
  • まぎれもなく佐藤泰志の世界〜映画「きみの鳥はうたえる」
  • まぎれもなく佐藤泰志の世界〜映画「きみの鳥はうたえる」  函館出身の作家佐藤泰志の同名小説を映画化した。この作品を含め、佐藤は5度にわたり芥川賞候補となった。しかし、芥川賞はとれないまま、1990年に41歳で自死した。「きみの―」を「文藝」誌上に発表したのは81年、32歳の時。題名はビートルズの曲名「And Your Bird Can Sing」からと思われるが、作者の意図は分からない。  原作は80年ごろの東京を舞台に、二人の [続きを読む]
  • 本当の主役は…〜映画「散り椿」
  • 本当の主役は…〜映画「散り椿」  原作は昨年末に亡くなった葉室麟。直木賞をとった「蜩ノ記」は映画化された。幽閉された男のもとに向かう若い藩士を岡田准一が演じた。「散り椿」ではその岡田准一が、ある事件で藩を追われ、流浪の末に藩に舞い戻る男を演じる。  葉室の小説を読んで(といってもそれほど多くの作品を読んではいないが)感じるのは、シーンを重ねてストーリーを展開させる手法である。吉田修一を読んだとき [続きを読む]
  • 優しさと孤独がにじむ一冊〜濫読日記
  • 優しさと孤独がにじむ一冊〜濫読日記 「『それでもなお』の文学」(川本三郎著)  冒頭、著者はこう書く。  ――文学とは、人が生きる悲しみ、はかなさを語るものではないか。それも大きな言葉ではなく小さな言葉を重ねることによって。  全体を貫くトーンが、表されている。そのうえで、三つの章に分かれる。第1章「痛みとともに歩む者」は、けっして時代の主流を歩むことのなかった人々へ向けられたまなざしが語られ [続きを読む]
  • 貴乃花は西郷隆盛か〜社会時評
  • 貴乃花は西郷隆盛か〜社会時評 内部告発の権利さえ無視する相撲協会 A)貴乃花が突然、各界から引退した。なぜこういう事態になったか、例によって貴乃花、相撲協会の主張がまったく違っている。貴乃花は、日馬富士暴行事件での協会の対応をめぐって内閣府に出した告発状が事実無根だったと認めるよう協会から圧力があったと主張、のめないので引退を選んだと。背景には7月の理事会で各部屋は必ず一門に入るよう申し合わせがあ [続きを読む]
  • 「正義」を揺るがす二人の過去〜映画「判決、ふたつの希望」
  • 「正義」を揺るがす二人の過去〜映画「判決、ふたつの希望」  ヨルダンの首都ベイルート。工事現場の監督ヤーセル・サラーメ(カメル・エル・バシャ)は、ささいなことから近くの住民トニー・ハンナ(アデル・カラム)とトラブルになり「このクズ野郎」とののしってしまう。建築会社の社長は問題がこじれるのを恐れ、ヤーセルに謝罪に行くよう促す。ところがその場でトニーは「シャロンに抹殺されればよかった」と悪態をつい [続きを読む]
  • 「集団我」の境地に陥らない冷静さこそ必要
  • 「集団我」の境地に陥らない冷静さこそ必要 「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」(鴻上尚史著)  アジア・太平洋戦争末期の戦艦「大和」の沖縄「特攻」出撃について、艦の名付け親である昭和天皇は戦後、側近に「作戦不一致、全く馬鹿馬鹿しい戦闘であった」と語ったという(注1)。戦場でのいわゆる特攻の始まりは、1944年10月25日の比島沖海戦での関行雄大尉の体当たり攻撃だとされている(注2)。このと [続きを読む]
  • 歴史はもっとブラック?〜映画「スターリンの葬送狂騒曲」
  • 歴史はもっとブラック?〜映画「スターリンの葬送狂騒曲」  グルジア(現在の一般的な呼び方はジョージア)の靴職人の息子で、「コーカサス山脈を越えてきた男」と呼ばれたジュガシヴィリは、やがてソ連邦の絶対的な権力者となり、鋼鉄の男(=スターリン)と呼ばれた。  20世紀は戦争の世紀と呼ばれたが、画期となったのが第一次大戦と第二次大戦だった。二つの大戦争は何を戦ったか。二つの総動員体制、即ちナチス型国民社 [続きを読む]
  • 戦後思想が避けてきたものは何か〜濫読日記
  • 戦後思想が避けてきたものは何か〜濫読日記 「丸山真男の憂鬱」(橋爪大三郎著)  タイトルに「丸山真男」の名前を入れたのはともかく、次に「の憂鬱」としたのはどうだったか。著者(橋爪)も若干その辺りが気にはなったようで、「あとがき」で少し触れている。この書を書き始める前から頭をめぐっていたタイトルだという。しかし、いささか文学的なタイトル(著者は「気分」の意味になる、という批判の声を紹介している [続きを読む]
  • 奥にひそむ映像・映画論〜映画「カメラを止めるな!」
  • 奥にひそむ映像・映画論〜映画「カメラを止めるな!」  いきなり37分ワンカットのゾンビ映画。これはこれでスピード感、緊張感あふれ息をつく暇もない。終わって「えっ、それでどうなるの?」と思ったら別のステージのストーリーが始まる。つまり、入れ子構造でできている。  最初の37分が一つの箱だとすれば、その外側にもう一つの箱がある。最初の箱は演技するゾンビと、それを襲う本物?のゾンビが登場する。現実と幻が交 [続きを読む]
  • 青写真が描けない日本〜社会時評
  • 青写真が描けない日本〜社会時評 A)近ごろの三大話は、西日本豪雨禍に続く北海道地震、体操協会まで揺るがしたスポーツ界の暴力体質問題、ちっとも盛り上がらない自民党総裁選。こんなところか。 B)北海道地震では、見渡す限りの山が震度7で崩落した厚真町の光景もショッキングだったが、全道一斉停電(ブラックアウト)という事態に驚いた。どんな制度設計をしていたのだろうか。全道300万??余りの需要に対して、苫東厚真 [続きを読む]
  • 魂を揺さぶる歌声〜映画「BUENA VISTA SOICIAL CLUB adios」
  • 魂を揺さぶる歌声〜映画「BUENA VISTA SOICIAL CLUB adios」 スペインの片田舎で見たフラメンコ。寒風すさぶ陸奥(みちのく)で聞いた津軽のじょんから。泥のついた大根のようでいて、しかし高い音楽性が魂を揺さぶる。キューバの「ソン」もそんな音楽だ。だが、ここにあるのはそれだけではない。キューバが歩んだ歴史の重みと哀しみが、込められている。その複雑な歴史は土着の民だけでなくアフリカ系、ヨーロッパ(スペイ [続きを読む]
  • スパイ小説の巨匠の虚と実〜濫読日記
  • スパイ小説の巨匠の虚と実〜濫読日記 「ジョン・ル・カレ伝」(アダム・シズマン著)  むかし、ドイツを訪れた際にベルリンの壁を見て、20?ぐらいだっただろうか、意外な薄さに驚いたことがある。東西冷戦下、こんな薄い壁が鉄のカーテンの象徴であったのか、といった驚きであった。逆に言えば、この程度の壁さえ越えることを困難にさせる冷戦の非情さを思い知らされた、ともいえた。この壁を舞台装置として取り入れ、書 [続きを読む]