asa さん プロフィール

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asaさん: 夕陽の回廊
ハンドル名asa さん
ブログタイトル夕陽の回廊
ブログURLhttp://yuuhikairou.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文今の世の中これでいいのか、と思いながら一言
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供68回 / 365日(平均1.3回/週) - 参加 2009/12/03 13:50

asa さんのブログ記事

  • まぎれもなく佐藤泰志の世界〜映画「きみの鳥はうたえる」
  • まぎれもなく佐藤泰志の世界〜映画「きみの鳥はうたえる」  函館出身の作家佐藤泰志の同名小説を映画化した。この作品を含め、佐藤は5度にわたり芥川賞候補となった。しかし、芥川賞はとれないまま、1990年に41歳で自死した。「きみの―」を「文藝」誌上に発表したのは81年、32歳の時。題名はビートルズの曲名「And Your Bird Can Sing」からと思われるが、作者の意図は分からない。  原作は80年ごろの東京を舞台に、二人の [続きを読む]
  • 本当の主役は…〜映画「散り椿」
  • 本当の主役は…〜映画「散り椿」  原作は昨年末に亡くなった葉室麟。直木賞をとった「蜩ノ記」は映画化された。幽閉された男のもとに向かう若い藩士を岡田准一が演じた。「散り椿」ではその岡田准一が、ある事件で藩を追われ、流浪の末に藩に舞い戻る男を演じる。  葉室の小説を読んで(といってもそれほど多くの作品を読んではいないが)感じるのは、シーンを重ねてストーリーを展開させる手法である。吉田修一を読んだとき [続きを読む]
  • 優しさと孤独がにじむ一冊〜濫読日記
  • 優しさと孤独がにじむ一冊〜濫読日記 「『それでもなお』の文学」(川本三郎著)  冒頭、著者はこう書く。  ――文学とは、人が生きる悲しみ、はかなさを語るものではないか。それも大きな言葉ではなく小さな言葉を重ねることによって。  全体を貫くトーンが、表されている。そのうえで、三つの章に分かれる。第1章「痛みとともに歩む者」は、けっして時代の主流を歩むことのなかった人々へ向けられたまなざしが語られ [続きを読む]
  • 貴乃花は西郷隆盛か〜社会時評
  • 貴乃花は西郷隆盛か〜社会時評 内部告発の権利さえ無視する相撲協会 A)貴乃花が突然、各界から引退した。なぜこういう事態になったか、例によって貴乃花、相撲協会の主張がまったく違っている。貴乃花は、日馬富士暴行事件での協会の対応をめぐって内閣府に出した告発状が事実無根だったと認めるよう協会から圧力があったと主張、のめないので引退を選んだと。背景には7月の理事会で各部屋は必ず一門に入るよう申し合わせがあ [続きを読む]
  • 「正義」を揺るがす二人の過去〜映画「判決、ふたつの希望」
  • 「正義」を揺るがす二人の過去〜映画「判決、ふたつの希望」  ヨルダンの首都ベイルート。工事現場の監督ヤーセル・サラーメ(カメル・エル・バシャ)は、ささいなことから近くの住民トニー・ハンナ(アデル・カラム)とトラブルになり「このクズ野郎」とののしってしまう。建築会社の社長は問題がこじれるのを恐れ、ヤーセルに謝罪に行くよう促す。ところがその場でトニーは「シャロンに抹殺されればよかった」と悪態をつい [続きを読む]
  • 「集団我」の境地に陥らない冷静さこそ必要
  • 「集団我」の境地に陥らない冷静さこそ必要 「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」(鴻上尚史著)  アジア・太平洋戦争末期の戦艦「大和」の沖縄「特攻」出撃について、艦の名付け親である昭和天皇は戦後、側近に「作戦不一致、全く馬鹿馬鹿しい戦闘であった」と語ったという(注1)。戦場でのいわゆる特攻の始まりは、1944年10月25日の比島沖海戦での関行雄大尉の体当たり攻撃だとされている(注2)。このと [続きを読む]
  • 歴史はもっとブラック?〜映画「スターリンの葬送狂騒曲」
  • 歴史はもっとブラック?〜映画「スターリンの葬送狂騒曲」  グルジア(現在の一般的な呼び方はジョージア)の靴職人の息子で、「コーカサス山脈を越えてきた男」と呼ばれたジュガシヴィリは、やがてソ連邦の絶対的な権力者となり、鋼鉄の男(=スターリン)と呼ばれた。  20世紀は戦争の世紀と呼ばれたが、画期となったのが第一次大戦と第二次大戦だった。二つの大戦争は何を戦ったか。二つの総動員体制、即ちナチス型国民社 [続きを読む]
  • 戦後思想が避けてきたものは何か〜濫読日記
  • 戦後思想が避けてきたものは何か〜濫読日記 「丸山真男の憂鬱」(橋爪大三郎著)  タイトルに「丸山真男」の名前を入れたのはともかく、次に「の憂鬱」としたのはどうだったか。著者(橋爪)も若干その辺りが気にはなったようで、「あとがき」で少し触れている。この書を書き始める前から頭をめぐっていたタイトルだという。しかし、いささか文学的なタイトル(著者は「気分」の意味になる、という批判の声を紹介している [続きを読む]
  • 奥にひそむ映像・映画論〜映画「カメラを止めるな!」
  • 奥にひそむ映像・映画論〜映画「カメラを止めるな!」  いきなり37分ワンカットのゾンビ映画。これはこれでスピード感、緊張感あふれ息をつく暇もない。終わって「えっ、それでどうなるの?」と思ったら別のステージのストーリーが始まる。つまり、入れ子構造でできている。  最初の37分が一つの箱だとすれば、その外側にもう一つの箱がある。最初の箱は演技するゾンビと、それを襲う本物?のゾンビが登場する。現実と幻が交 [続きを読む]
  • 青写真が描けない日本〜社会時評
  • 青写真が描けない日本〜社会時評 A)近ごろの三大話は、西日本豪雨禍に続く北海道地震、体操協会まで揺るがしたスポーツ界の暴力体質問題、ちっとも盛り上がらない自民党総裁選。こんなところか。 B)北海道地震では、見渡す限りの山が震度7で崩落した厚真町の光景もショッキングだったが、全道一斉停電(ブラックアウト)という事態に驚いた。どんな制度設計をしていたのだろうか。全道300万??余りの需要に対して、苫東厚真 [続きを読む]
  • 魂を揺さぶる歌声〜映画「BUENA VISTA SOICIAL CLUB adios」
  • 魂を揺さぶる歌声〜映画「BUENA VISTA SOICIAL CLUB adios」 スペインの片田舎で見たフラメンコ。寒風すさぶ陸奥(みちのく)で聞いた津軽のじょんから。泥のついた大根のようでいて、しかし高い音楽性が魂を揺さぶる。キューバの「ソン」もそんな音楽だ。だが、ここにあるのはそれだけではない。キューバが歩んだ歴史の重みと哀しみが、込められている。その複雑な歴史は土着の民だけでなくアフリカ系、ヨーロッパ(スペイ [続きを読む]
  • スパイ小説の巨匠の虚と実〜濫読日記
  • スパイ小説の巨匠の虚と実〜濫読日記 「ジョン・ル・カレ伝」(アダム・シズマン著)  むかし、ドイツを訪れた際にベルリンの壁を見て、20?ぐらいだっただろうか、意外な薄さに驚いたことがある。東西冷戦下、こんな薄い壁が鉄のカーテンの象徴であったのか、といった驚きであった。逆に言えば、この程度の壁さえ越えることを困難にさせる冷戦の非情さを思い知らされた、ともいえた。この壁を舞台装置として取り入れ、書 [続きを読む]
  • 酷暑の夏のうんざりニュース〜社会時評
  • 酷暑の夏のうんざりニュース〜社会時評 A)今年の夏は異常な暑さだ。豪雨禍も通常ありえないレベルだったが、気温40度が何回も記録されるこの酷暑もありえないことだ。 B)首をかしげるのは、もはや災害といっていいこの酷暑に政府が何の手も打たないことだ。西日本豪雨災害に対しても反応が鈍すぎる。 C)それはどこから来ているか。近年の異常気象はまぎれもなく地球温暖化による「不都合な真実」として起きているにもかかわら [続きを読む]
  • これが事件の真相…本当に?〜映画「アイ、トーニャ」
  • これが事件の真相…本当に?〜映画「アイ、トーニャ」  1994リレハンメル冬季五輪の選考会で知人を使ってライバルのナンシー・ケリガンを襲撃、負傷させたトーニャ・ハーディングの事件は、センセーショナルに報じられたのを覚えている。91年にトーニャは米国女子選手として初のトリプルアクセルを成功させており、「なぜ?」という疑問符も飛び交った。フィギュアスケートの世界の事件として構図を描けば「なぜ?」なのだが [続きを読む]
  • 経済全能でない生き方〜映画「モリのいる場所」
  • 経済全能でない生き方〜映画「モリのいる場所」  画壇の仙人、超俗の画家と呼ばれた熊谷守一(1880〜1977)のある一日を映像化した。守一に山崎努、妻の秀子に樹木希林。このうえないコンビと思えるが、この作品で初共演という。驚きだ。  1974(昭和49)年、東京。画家としての名声を得た94歳のモリはこの30年間、自宅の庭から出たことがない。雑草と虫たちをながめ、インスピレーションを得て深夜、アトリエにこもる。秀子 [続きを読む]
  • この国はどこまで堕ちるのか〜社会時評
  • この国はどこまで堕ちるのか〜社会時評 A)サッカーW杯は、フランスの優勝で幕を閉じた。 B)クロアチアが優勝しないかとひそかに願っていたが…。 A)それはなぜ? B)ユーゴから独立し、長い内戦の時代をくぐり抜けてきた。第2次大戦下ではナチスの傀儡政権ができたり、セルビア人との不幸な紛争もあったりしたが、苦難を乗り越えてきた国だ。ここは優勝してほしかった。 C)世界にはかつての苦しい時代を乗り切って国際社会に [続きを読む]
  • 光州事件の真実はいまだ闇の中〜映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」
  • 光州事件の真実はいまだ闇の中〜映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」  1979年10月26日夜、朴正熙大統領が側近に暗殺され、18年に及ぶ軍事独裁政権が幕を閉じた。韓国内で民主化への期待が膨らむ一方、軍部の主導権争いも激化した。大統領暗殺から半年後の5月に起きたのが、光州事件である。このころ、韓国では学生を中心に民主化要求闘争が多発していた。光州も例外ではなく、軍部が投入した空挺部隊(北朝鮮との非正 [続きを読む]
  • 「永続敗戦」を近代史に位置づけ〜濫読日記
  • 「永続敗戦」を近代史に位置づけ〜濫読日記 「国体論 菊と星条旗」(白井聡著) 政治の崩壊と大衆のニヒリズム  昨今の政治を見て思うことが二つある。それは、「異様」といってもいい状況のことである。  一つは、あまりにもバカげた言説が国会を中心にまかり通ること。そして、そのことに世論がほとんど無反応であること。  例えば、愛媛県の報告書で、加計学園理事長が2015年2月に安倍晋三首相と面会、獣医学部新設 [続きを読む]
  • 人生は観覧車か回転木馬のよう〜映画「女と男の観覧車」
  • 人生は観覧車か回転木馬のよう〜映画「女と男の観覧車」 1950年代、ニューヨーク市ブルックリン区のコニーアイランド。名物観覧車が回る海岸沿いの遊園地、とくれば舞台装置は満点だ。繰り広げられるひと夏の女と男の物語。まるでそれは、観覧車か回転木馬を見るようだ。哀愁に満ちた音楽とともにとめどなく繰り返されていく物語。ウディ・アレン監督と実力派女優ケイト・ウィンスレット(「愛を読む人」)のタッグが見事だ。   [続きを読む]
  • まさに柄谷ワールド〜濫読日記
  • まさに柄谷ワールド〜濫読日記「坂口安吾論」(柄谷行人著) 柄谷行人を「文芸評論家」と形容するとき、何かしらの違和感を覚える。寸足らずの上着を着ているかのような違和感である。彼は、文芸評論家に収まらぬ、哲人、もしくは思想家としての存在に思える。その柄谷が「坂口安吾論」を書いた。果たしてこれは、文芸評論と呼ぶべきか。やはり、そうではないように思う。文芸評論をはるかに踏み越えたもののように思う [続きを読む]