asa さん プロフィール

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asaさん: 夕陽の回廊
ハンドル名asa さん
ブログタイトル夕陽の回廊
ブログURLhttp://yuuhikairou.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文今の世の中これでいいのか、と思いながら一言
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供67回 / 365日(平均1.3回/週) - 参加 2009/12/03 13:50

asa さんのブログ記事

  • 経済全能でない生き方〜映画「モリのいる場所」
  • 経済全能でない生き方〜映画「モリのいる場所」  画壇の仙人、超俗の画家と呼ばれた熊谷守一(1880〜1977)のある一日を映像化した。守一に山崎努、妻の秀子に樹木希林。このうえないコンビと思えるが、この作品で初共演という。驚きだ。  1974(昭和49)年、東京。画家としての名声を得た94歳のモリはこの30年間、自宅の庭から出たことがない。雑草と虫たちをながめ、インスピレーションを得て深夜、アトリエにこもる。秀子 [続きを読む]
  • この国はどこまで堕ちるのか〜社会時評
  • この国はどこまで堕ちるのか〜社会時評 A)サッカーW杯は、フランスの優勝で幕を閉じた。 B)クロアチアが優勝しないかとひそかに願っていたが…。 A)それはなぜ? B)ユーゴから独立し、長い内戦の時代をくぐり抜けてきた。第2次大戦下ではナチスの傀儡政権ができたり、セルビア人との不幸な紛争もあったりしたが、苦難を乗り越えてきた国だ。ここは優勝してほしかった。 C)世界にはかつての苦しい時代を乗り切って国際社会に [続きを読む]
  • 光州事件の真実はいまだ闇の中〜映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」
  • 光州事件の真実はいまだ闇の中〜映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」  1979年10月26日夜、朴正熙大統領が側近に暗殺され、18年に及ぶ軍事独裁政権が幕を閉じた。韓国内で民主化への期待が膨らむ一方、軍部の主導権争いも激化した。大統領暗殺から半年後の5月に起きたのが、光州事件である。このころ、韓国では学生を中心に民主化要求闘争が多発していた。光州も例外ではなく、軍部が投入した空挺部隊(北朝鮮との非正 [続きを読む]
  • 「永続敗戦」を近代史に位置づけ〜濫読日記
  • 「永続敗戦」を近代史に位置づけ〜濫読日記 「国体論 菊と星条旗」(白井聡著) 政治の崩壊と大衆のニヒリズム  昨今の政治を見て思うことが二つある。それは、「異様」といってもいい状況のことである。  一つは、あまりにもバカげた言説が国会を中心にまかり通ること。そして、そのことに世論がほとんど無反応であること。  例えば、愛媛県の報告書で、加計学園理事長が2015年2月に安倍晋三首相と面会、獣医学部新設 [続きを読む]
  • 人生は観覧車か回転木馬のよう〜映画「女と男の観覧車」
  • 人生は観覧車か回転木馬のよう〜映画「女と男の観覧車」 1950年代、ニューヨーク市ブルックリン区のコニーアイランド。名物観覧車が回る海岸沿いの遊園地、とくれば舞台装置は満点だ。繰り広げられるひと夏の女と男の物語。まるでそれは、観覧車か回転木馬を見るようだ。哀愁に満ちた音楽とともにとめどなく繰り返されていく物語。ウディ・アレン監督と実力派女優ケイト・ウィンスレット(「愛を読む人」)のタッグが見事だ。   [続きを読む]
  • まさに柄谷ワールド〜濫読日記
  • まさに柄谷ワールド〜濫読日記「坂口安吾論」(柄谷行人著) 柄谷行人を「文芸評論家」と形容するとき、何かしらの違和感を覚える。寸足らずの上着を着ているかのような違和感である。彼は、文芸評論家に収まらぬ、哲人、もしくは思想家としての存在に思える。その柄谷が「坂口安吾論」を書いた。果たしてこれは、文芸評論と呼ぶべきか。やはり、そうではないように思う。文芸評論をはるかに踏み越えたもののように思う [続きを読む]
  • アートを気取った駄作〜映画「Vision」
  • アートを気取った駄作〜映画「Vision」  河瀬直美監督の作品は、興味はあったが見たことがなかった。10作目という「Vision」の公開で、一度は見てみるか、という気分で鑑賞した。印象は最悪であった。いわゆる芸術的な作品の部類に入るのだろうが、画風にそうした意識が先走りすぎている。難解さの裏側に、何か不快なものを感じさせる。  仏人のエッセイスト、ジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は幻の植物ビジョンを求めて [続きを読む]
  • 「破れ目」の思想〜映画「万引き家族」
  • 「破れ目」の思想〜映画「万引き家族」  最近読んだ加藤典洋著「もうすぐやってくる尊王攘夷思想のために」に「破れ目」という言葉が出てくる。完ぺきに見える思想構築物の中に発見された論理的破綻とでもいうべきもの。加藤はこの言葉をルソーからドストエフスキーへ、という文脈の中で使っている。ルソーの社会契約説の中で説明しきれないもの、それをドストエフスキーが「地下室の手記」で著し、さらに「社会契約」の外側 [続きを読む]
  • 「明治維新後論」が必要だ〜濫読日記
  • 「明治維新後論」が必要だ〜濫読日記 「もうすぐやってくる尊王攘夷思想のために」(加藤典洋著)  「戦後思想」というやつはどうしてここまで薄っぺらで嘘くさいのか。  そう思うのは私だけではないらしい。「敗戦後論」や「戦後的思考」の加藤典洋が、その源流〜戦後思想の薄さと浅さの〜を探り、一つの手ごたえとして得たのが明治維新以後に見る「わけの分からなさ」であった。「わけの分からなさ」とは何か。それ [続きを読む]
  • つくり上げられた「独裁者」〜濫読日記
  • つくり上げられた「独裁者」〜濫読日記 「言論統制 情報官・鈴木庫三と教育の国防国家」(佐藤卓己著)  戦時中、出版界に籍を置いたものならだれ一人知らぬものはない将校がいた。「小型ヒムラー」と恐れられ「サーベルと日本精神を振り回しながら」「蛮勇をほしいままにした」(美作太郎「言論の敗北」)という。こうした証言に「時代劇の悪代官」のイメージを持った佐藤は、戦後ジャーナリズム史を研究するうえで避け [続きを読む]
  • 日大アメフト「事件」に思う〜社会時評
  • 日大アメフト「事件」に思う〜社会時評 A)5月6日に行われたアメフト日大―関学戦で日大選手が悪質タックルをしたとして大きな社会問題になった。 B)被害を受けた関学の選手が警察に被害届を出したため、悪質タックルは「問題」ではなく「事件」となった。 C)それにしても加害者である日大側の対応は理解に苦しむ。試合の最中か、遅くとも直後に一言声をかけていれば、これほどのことにはならなかった。 A)しかし、日大の内田 [続きを読む]
  • 60年安保で置き去りにしたものは〜濫読日記
  • 60年安保で置き去りにしたものは〜濫読日記 「評伝 島成郎」(佐藤幹夫著)  60年安保闘争。あの闘いはなんだったのだろう。6月18日、日本の政治史上空前の50万人が国会前に集結した闘いは、何を勝ち取ろうとしたのか。6月15日、国会突入デモで一人の女子学生が亡くなり(機動隊に虐殺されたといわれる)、その2日後の東京主要紙には、「7社共同宣言」が掲載された。「その事の依って来たる所以を別として」議会主義 [続きを読む]
  • アナーキーな描写が足りない〜「孤狼の血」
  • アナーキーな描写が足りない〜「孤狼の血」  かつての「仁義なき戦い」シリーズに警察小説を組み合わせたようなストーリー。しかし、「仁義なき戦い」が、戦後焼跡・闇市で勃興した暴力団の抗争をアナーキーに描いたのに比べ、この「孤狼の血」のなんとマイルドなことか(その暴力描写、エログロな画調にもかかわらず、だ)。これは主演を張った菅原文太と役所広司の「味」のちがいとともに、もっと奥深く、映像の裏側にある [続きを読む]
  • 棺を覆いて〜映画「blank13」
  • 棺を覆いて〜映画「blank13」  中国の言葉に「棺を覆いて事定まる」というのがある。文芸評論家小林秀雄なども引いていた。生きている人間にはしがらみや感情がまとわり、なかなか本当の姿は見えないものだが、死んでしまえばそうした一切が消え、その人間の本当の価値が分かるという。 「blank13」も、そうした感慨がわく作品だった。もっとも、小林の場合は歴史上の人物を分析する上でのマクラに使ったが、この映画に登場す [続きを読む]
  • 「吉本」を再体験する〜濫読日記
  • 「吉本」を再体験する〜濫読日記 「[新版]吉本隆明1968」(鹿島茂著)  吉本隆明〈論〉というものがあるが、「[新版]吉本隆明1968」はそこに分類されるものではない。吉本との出会いの体験記、とでもいうべきものである。タイトルにもそうした含意がある。著者が吉本と遭遇したのが1968であることから、時代状況と切り離せない吉本〈体験〉を振り返る、というほどの意味が、ここには込められている。  私事をいうと、著者 [続きを読む]
  • 現代に生かすべき近代の教訓〜濫読日記
  • 現代に生かすべき近代の教訓〜濫読日記 「日本の近代とは何であったか―問題史的考察」(三谷太一郎著)  タイトルを見て日本近代の通史かと早合点し、読み始めたら違った。日本の近代について四つのクエスチョンを立て、それらをピンポイントで掘り下げていく構成。少し戸惑ったが、歴史の表面ではなく周辺を掘り下げていくという手法には、ある種の深さを感じた。その点、これまでにない体験ではあった。ただ、どこまで [続きを読む]
  • 家族の崩壊を虚無的に描く〜映画「ハッピーエンド」
  • 家族の崩壊を虚無的に描く〜映画「ハッピーエンド」  フランス・カレー地方に住む裕福な家族の崩壊を描く。その視線は虚無感に満ちている。  …と、ここまで書いて、このテーマ設定は小津安二郎に似ている、と思った。そしてこの作品では、スマホ画面が「勘どころ」といえるシーンで登場する。登場人物を録画する画面が、スクリーンに広がる。そこには既視感がある。小津が、ローアングルにカメラを置くことで日本家屋の柱や [続きを読む]
  • 無残だった兵士の「死」〜濫読日記
  • 無残だった兵士の「死」〜濫読日記 「日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実」(吉田裕著)  大岡昇平の「野火」はフィリピンで敗走する日本軍兵士の凄惨な実態を、実体験に基づいて描いた。戦場小説としては、世界有数のレベルの作品といえるだろう。フィリピンでは、投入された日本軍60万人のうち50万人近くが命を落とした。戦場別で見ればアジア・太平洋戦争で最多だ。大半は戦闘による名誉の戦死ではなく、病死や餓死 [続きを読む]
  • 安倍政権の末路と日本の行方〜社会時評
  • 安倍政権の末路と日本の行方〜社会時評 結局は自民内で政権たらい回し? A)いよいよ、安倍晋三政権がレームダック状態に入った。政権側が加計・森友疑惑を晴らすことができないまま1年が過ぎ、ここに至って公文書改ざん問題に続き、愛媛県職員メモというかたちで3年前の首相秘書官による「首相案件」発言が明るみに出た。このほかにも、森友学園への国有地払い下げをめぐって財務省による口裏合わせ要請、大阪航空局に対す [続きを読む]
  • 事件の「凍土」は融けたのか〜濫読日記
  • 事件の「凍土」は融けたのか〜濫読日記 「大逆事件 死と生の群像」(田中伸尚著)  明治憲法下、刑法第73条で天皇や皇太子に対して危害を加えるか加えようとすれば死刑に処すと規定されていた。大逆罪である。適用された事件は4件で未遂が2件、予備・陰謀が2件とされる。このうち1910年の幸徳秋水、菅野すがらを処刑した事件は、現在ではフレームアップだったと認識されている。しかし、事件で逮捕・起訴された26人( [続きを読む]
  • 「暴力と戦争の20世紀」の源流がここにある
  • 「暴力と戦争の20世紀」の源流がここにある 「第一次世界大戦」(木村靖二著)  「未完のファシズム 『持たざる国』日本の運命」(片山杜秀著、新潮選書)の冒頭、小川未明の小説が引用してある。  ――海のかなたで、大戦争があるといふが、(略)実は心の底でそれを疑ってゐるのだ。(略)「誰かがうまくたくらんだ作り話ぢゃなのか知らん。」と思ってゐるのだ。  「大戦争」とは、第一次大戦のことである。未明も述 [続きを読む]