asa さん プロフィール

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asaさん: 夕陽の回廊
ハンドル名asa さん
ブログタイトル夕陽の回廊
ブログURLhttp://yuuhikairou.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文今の世の中これでいいのか、と思いながら一言
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供72回 / 365日(平均1.4回/週) - 参加 2009/12/03 13:50

asa さんのブログ記事

  • 現代に生かすべき近代の教訓〜濫読日記
  • 現代に生かすべき近代の教訓〜濫読日記 「日本の近代とは何であったか―問題史的考察」(三谷太一郎著)  タイトルを見て日本近代の通史かと早合点し、読み始めたら違った。日本の近代について四つのクエスチョンを立て、それらをピンポイントで掘り下げていく構成。少し戸惑ったが、歴史の表面ではなく周辺を掘り下げていくという手法には、ある種の深さを感じた。その点、これまでにない体験ではあった。ただ、どこまで [続きを読む]
  • 家族の崩壊を虚無的に描く〜映画「ハッピーエンド」
  • 家族の崩壊を虚無的に描く〜映画「ハッピーエンド」  フランス・カレー地方に住む裕福な家族の崩壊を描く。その視線は虚無感に満ちている。  …と、ここまで書いて、このテーマ設定は小津安二郎に似ている、と思った。そしてこの作品では、スマホ画面が「勘どころ」といえるシーンで登場する。登場人物を録画する画面が、スクリーンに広がる。そこには既視感がある。小津が、ローアングルにカメラを置くことで日本家屋の柱や [続きを読む]
  • 無残だった兵士の「死」〜濫読日記
  • 無残だった兵士の「死」〜濫読日記 「日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実」(吉田裕著)  大岡昇平の「野火」はフィリピンで敗走する日本軍兵士の凄惨な実態を、実体験に基づいて描いた。戦場小説としては、世界有数のレベルの作品といえるだろう。フィリピンでは、投入された日本軍60万人のうち50万人近くが命を落とした。戦場別で見ればアジア・太平洋戦争で最多だ。大半は戦闘による名誉の戦死ではなく、病死や餓死 [続きを読む]
  • 安倍政権の末路と日本の行方〜社会時評
  • 安倍政権の末路と日本の行方〜社会時評 結局は自民内で政権たらい回し? A)いよいよ、安倍晋三政権がレームダック状態に入った。政権側が加計・森友疑惑を晴らすことができないまま1年が過ぎ、ここに至って公文書改ざん問題に続き、愛媛県職員メモというかたちで3年前の首相秘書官による「首相案件」発言が明るみに出た。このほかにも、森友学園への国有地払い下げをめぐって財務省による口裏合わせ要請、大阪航空局に対す [続きを読む]
  • 事件の「凍土」は融けたのか〜濫読日記
  • 事件の「凍土」は融けたのか〜濫読日記 「大逆事件 死と生の群像」(田中伸尚著)  明治憲法下、刑法第73条で天皇や皇太子に対して危害を加えるか加えようとすれば死刑に処すと規定されていた。大逆罪である。適用された事件は4件で未遂が2件、予備・陰謀が2件とされる。このうち1910年の幸徳秋水、菅野すがらを処刑した事件は、現在ではフレームアップだったと認識されている。しかし、事件で逮捕・起訴された26人( [続きを読む]
  • 「暴力と戦争の20世紀」の源流がここにある
  • 「暴力と戦争の20世紀」の源流がここにある 「第一次世界大戦」(木村靖二著)  「未完のファシズム 『持たざる国』日本の運命」(片山杜秀著、新潮選書)の冒頭、小川未明の小説が引用してある。  ――海のかなたで、大戦争があるといふが、(略)実は心の底でそれを疑ってゐるのだ。(略)「誰かがうまくたくらんだ作り話ぢゃなのか知らん。」と思ってゐるのだ。  「大戦争」とは、第一次大戦のことである。未明も述 [続きを読む]
  • 日本の近代化に科学技術は何をしたか
  • 日本の近代化に科学技術は何をしたか 「近代日本一五〇年 科学技術総力戦体制の破綻」(山本義隆著)  著者はかつて東大闘争で全共闘代表を務めた。その後、獄中生活を経て予備校教師となり、「磁力と重力の発見」(全3巻、みすず書房、2003年)など、物理学者としての業績を残すとともに、「私の1960年代」(金曜日、2015年)など、闘争の日々を振り返った書も残した。「私の1960年代」の中で、山本はこう指摘する。   [続きを読む]
  • 「戦後」を文脈化するために〜濫読日記
  • 「戦後」を文脈化するために〜濫読日記 「加藤周一を記憶する」(成田龍一著)  近現代日本史をフィールドとする成田龍一の研究テーマの一つに「『戦後』の問い方を問う」がある。「加藤周一を記憶する」も「戦後」の問い直し方を基本テーマとしつつ、加藤という一人の戦後知識人の膨大な著作を腑分けしながら、一つの思想地図に落とし込んでいった労作である。「戦後思想」をとらえ直すテキストであり、同時に加藤の文学 [続きを読む]
  • 排除される「異物」たち〜映画「羊の木」
  • 排除される「異物」たち〜映画「羊の木」  刑務所を仮釈放された6人の男女が、国家の秘密プロジェクトによって過疎に悩む漁業の町・魚深に送りこまれる。10年間の居住義務がある6人は、いずれも殺人を犯すという過去を持っていた。このプロジェクトは、過疎の町の再生策になるのか…。  受け入れに当たって、6人の過去は町民に伏せられている。6人相互にもしらされていない。こうして、のどかな町に拠点を移した6人は、 [続きを読む]
  • 耽美的映像の果てに戦争の愚かさを描く〜映画「花筐」
  • 耽美的映像の果てに戦争の愚かさを描く〜映画「花筐」  がんで余命を告げられた大林宜彦監督の作品。壇一雄の短編を映画化した。軍靴の足音が迫る時代の若者群像を描き、めくるめく168分に仕上げた。耽美的な映像に抵抗のある向きもあるかもしれないが、私自身はかつての鈴木清順や林静一「紅犯花」の遠い記憶を蘇らせるようで懐かしい思いがした。  1941年、太平洋戦争が始まる直前の佐賀県唐津市の予備校が舞台。親元を離 [続きを読む]
  • あくまでも「あの時代」の飢餓感〜映画「あゝ、荒野」前・後編
  • あくまでも「あの時代」の飢餓感〜映画「あゝ、荒野」前・後編  寺山修司の原作を50年ぶりに映画化した。新宿を舞台に、プロボクサーとしてもがく二人の若者の荒涼とした飢餓感を描いた。原作の初版が1967年。この年の秋、第一次羽田闘争で京大生・山崎博昭が死亡、翌年には日大、東大闘争をはじめ全国に大学闘争が燎原の火のように広がった。このとき、若者の心中に何があったか、いまだに明快な解はない。こんな時代に、寺 [続きを読む]
  • 今なお続く米国の病根〜映画「デトロイト」
  • 今なお続く米国の病根〜映画「デトロイト」  今から半世紀前、世界は「1968」で揺れた。フランス、米国、そして日本。あれは何だったか。さまざまな総括がなされる中で、一定の共通項として認められているのは反権力・反権威の新世代(ニューウエーブ)の台頭、ベトナム戦争への反発、テレビの出現(メディア革命)による情報の世界同時的共有、そして公民権運動の広がり(世界的に見ればこれが一番大きい)だった。  映画「 [続きを読む]
  • 都会の若者の心象風景〜映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」
  • 都会の若者の心象風景〜映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」  最果タヒの詩集をモチーフに映像化した。  だから、作中でこんな詩が流れる。    都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。  塗った爪の色を、きみの体の内側に探したって見つかりやしない。  夜空はいつでも最高密度の青色だ。  美花(石橋静河、原田美枝子の娘)は看護師。女子寮に住んでいる。仕事が終わると自転車でもう一つの職場に駆 [続きを読む]
  • 「批評」の再構築へ向けて〜濫読日記
  • 「批評」の再構築へ向けて〜濫読日記 「批評メディア論 戦前期日本の論壇と文壇」(大澤聡著)  テーマは「批評とは何か」である。そのことを追究するため、テクストを1930年前後に求めた。なぜこの時代なのか。文壇に対する論壇が形成され始めたころだからだ。この時代、文壇に対峙して論壇が成立する(ただし、論壇は文壇ほど自明的な存在ではなかった)とともに、アカデミズムとジャーナリズムの相互浸食が始まる。「 [続きを読む]
  • 出自が生む原罪感と共犯意識〜映画「光」
  • 出自が生む原罪感と共犯意識〜映画「光」  この映画は、何を語りたかったのだろうか。人間の皮膚の下に潜む悪魔性。そうした解釈が頭をよぎるが、そう語ってしまうと違っている気もする。人間には、各々の出自に対する複雑な感情がある。どんなに飾り立て、気取ったところで、その出生地に行けばただの「餓鬼」に過ぎないのだ。キリストも結局は、人々の記憶の中では馬小屋で生まれた平凡な子どもに過ぎないのである。  ふと [続きを読む]
  • 親鸞思想はなぜ戦時ファシズムと結合したか〜濫読日記
  • 親鸞思想はなぜ戦時ファシズムと結合したか〜濫読日記「親鸞と日本主義」(中島岳志著) 近代日本政治思想に深い洞察を重ねる著者には、これまで「血盟団事件」や「朝日平吾の鬱屈」といった著作がある。「血盟団事件」は、一人の煩悶青年が日蓮主義に心動かされ、一人一殺という究極の行動主義へとのめりこむ過程を描いた。「朝日平吾…」は、安田善次郎暗殺に走った男の思想に、血盟団の思想の源流をみる。中島の著作をもう [続きを読む]
  • 戦時下、映画に情熱を燃やした人たち〜映画「人生はシネマティック!」
  • 戦時下、映画に情熱を燃やした人たち〜映画「人生はシネマティック!」  1940年のロンドン。ドイツによる戦略爆撃によって街は荒れ果てていた。CBSのヨーロッパ総局長だったエド・マーロウが「こちら、ロンドン」とラジオで戦況をアメリカ本土に伝えていた時代だ。こうした時代にも、英国で映画作りに情熱を燃やす人たちがいた。そうした人々の物語である。  コピーライターの秘書をしていたカトリン・コール(ジェマ・アー [続きを読む]
  • 「不安定の弧」を生み出したのはアメリカ自身だ〜濫読日記
  • 「不安定の弧」を生み出したのはアメリカ自身だ〜濫読日記 「アメリカ 暴力の世紀 第二次大戦以降の戦争とテロ」(ジョン・W・ダワー著)  第二次大戦から米ソ冷戦を経て、米国一強の時代が出現した。いわゆるパックス・アメリカーナ(アメリカの平和)である。いうまでもなくラテン語のPAXはPEACEの元となった言葉で、PEACEはpacificate(武力で平定する)から来た。これらのことから、もともと英語のPEACEは武力平定 [続きを読む]
  • ヨーロッパ統合の先行事例を読み解く〜濫読日記
  • ヨーロッパ統合の先行事例を読み解く〜濫読日記「ハプスブルグ帝国」(岩?周一著) カタルーニャで、スペインからの独立の機運が高まっている。スペインではかつてバスク独立運動があったが、一定の自治権を認めたことで運動は沈静化しているようだ。ヨーロッパではこのほか、バルカン半島などでも民族と国家の不一致による軋轢が生じているし、スコットランド独立をめぐる住民投票で独立反対派が辛うじて勝利したのは記憶に [続きを読む]