冬木水奈 さん プロフィール

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冬木水奈さん: 君が見つける物語
ハンドル名冬木水奈 さん
ブログタイトル君が見つける物語
ブログURLhttp://fuyumizu56677.blog13.fc2.com/
サイト紹介文GLオリジナル小説サイト。 高校野球(女子)を扱ったGL長編小説あります。一部18禁。
自由文無理矢理・悲恋傾向あり。心理描写重視。

<CP傾向>同級生x同級生 先輩x後輩 後輩x先輩 
俺様投手x温和で完璧人間の捕手 ワンコな後輩x包容力のある先輩 正義感溢れるヒーローx自尊心低めで誠実な幼馴染み マイペースな帰国子女x病弱

「栄徳高校女子野球部!」本編(一部15禁)完結しました。スピンオフ(一部18禁)連載中。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供37回 / 210日(平均1.2回/週) - 参加 2010/02/09 01:48

冬木水奈 さんのブログ記事

  • 20.変わらないひと
  • 石神京香は、肩を叩かれて振り返った。そして、驚愕し、暫時目を見開いた。頬を紅潮させて息を切らしているのは、ついさっき、満場の観客の期待に応えて決勝点を入れた澤一樹だった。彼女は、久しぶり、と言った。そして、石神が何か言う前に、ついてくるよう目くばせをして、足早に歩き始めた。石神は、その不審な行動のわけを間もなく理解した。試合が終わって球場から出てきた観客たちが、今先タイムリーを打った彼女を目敏く見 [続きを読む]
  • 18.光当たらぬ場所
  • 駿河紫音(するが・しおん)はさほど能力の高い選手ではなかった。野球を始めたのも周りより遅かったし、また、経験が無いのに始めた途端に爆発的な才能が開花する、といったミラクルも起きなかった。学校の体育の成績も中の下くらいだったから、決して運動神経がある方ではなかった。中学時代は、学区の学校の女子野球部が弱小で、かつ部員数の少ないチームだったため、結局、背番号をもらうことはできた。でも、レギュラーにはな [続きを読む]
  • 15.大輪の花1
  • 漆黒の夜空に、今夜――というか今年初めて煌く火花が散る。その瞬間、露店を流していた人々が一斉に動きを止め、空を見上げた。それにつられるようにして榛名が空を仰ぐと、緑とピンクの点が交互に配列された大輪の花が空いっぱいに咲いた。性別も年齢も様々な人々の歓声を聞きつつ、榛名は過去に思いを馳せた。毎年互いの家族と一緒に行った近所の神社の石のご神体や社、こじんまりした寺内に鬱蒼と生い茂った木々や、それが発す [続きを読む]
  • お知らせ
  • 過去の作品を倉庫に移しました。改めて読んでみると未熟さが……(汗加筆修正したいと思いつつできないまま時は過ぎ……話の内容を忘れました。いくつかはいずれ下ろすと思います。 [続きを読む]
  • 17.隣にいたひと
  • 暖炉の火が音をたてて燃えている。それを見るともなく眺めながら、石神京香は眠気と闘っていた。日中、目いっぱい体を動かしたおかげで、九時を回ったばかりなのに上の瞼と下の瞼が仲良くなっている。必死に目を手元の漫画本に注いでみても、余計に眠くなるばかりだった。耐えきれずに目をつぶると、とたんに意識が遠くなって首が傾いだ。その衝撃で目を開けたとき、隣で人が笑う気配がした。そちらに目を向けると、友人がこちらを [続きを読む]
  • 11.強奪 ※R15
  • 横川和也は、高校でワンフロアを借り切った、甲子園球場にほど近いホテルの一室のユニットバスの出入り口付近に立って、こちらに背を向けてベッドに座る相手を見た。うつむきがちにじっとしている彼女――澤一樹――のようすに、やはり落ち込んでいるのだろうか、と思い、声をかけようとしたとき、その手元に本があるのに気が付いた。横川は気抜けして、まだ少し湿っている頭をガリガリと掻いた。 澤は今日、甲子園という大舞台で [続きを読む]
  • 5.投手の器3
  • 最初から、球を投げるのは大して好きではなかった。ただ速さとコントロールだけを求めて延々投球練習をするのには正直辟易した。周りの投手たちは、球速を一キロでも上げたい、とかいうようなことをよく話していたが、澤一樹は彼らに大して共感できなかった。唯一、球種を色々試してみるのだけは面白みを感じることができたが、それもそのうち飽きてしまった。一番イヤだったのは、マウンドに立った時に背負わされるものの多さだっ [続きを読む]
  • 4.投手の器2
  • 「一体全体どういうことなのか話してもらおうか?おれが納得いく説明ができるまで帰さないからな」 練習終わりのグラウンドで、榛名玲は幼馴染み兼、チームメイトを詰問していた。すでにチームメイトのほとんどは引き上げており、校庭には榛名、澤一樹、それに中峰ゆきひ(なかみね・ゆきひ)という二年生の投手しかいなかった。季節はすでに秋へと向かっていたが、まだまだ残暑厳しい晩夏の夜のことだった。 中峰は、怒り心頭の [続きを読む]
  • 3.投手の器1
  • 白球が音を立ててミットに収まる――榛名玲は、いつでもそのときの音が好きだったが、地鳴りのような歓声の中で聞こえるはずのないその音――幼馴染が投げ込む音――の幻聴が聞こえてくるのは、あまり愉快な体験とはいえなかった。マウンド上では友人が顔色も変えずに次々球を放っている。いつものように、まだランナーは一人も出ていなかった。 今日は中総体の宮城県大会二回戦だった。榛名が在籍する市立春日中学校は、塩釜地区 [続きを読む]
  • 終章 特別
  • 大切な人の大切な人がいなくなってから三年余りがたった、ある暖かな日の昼下がりのことだった。吹き付ける風の冷たさが一気に和らぎ、春を目前にした気配があちこちに漂って、新芽が今にも土を突き破って姿を現しそうなその日――女子プロ野球の球団、宮城シーライトの投手である丹波ミサキは、かつて野球人生の多くを共にした相手である澤一樹が一人住む家を訪ねていた。整頓の行き届いた室内には、丹波の私物が多くあり、彼女が [続きを読む]
  • 第56章 解放
  • 澤一樹は、目を細めて芝生の上を走りまわる子供たちを見た。晴れ渡った春の日の昼下がりのことだった。開け放した窓から吹き込む穏やかな風に吹かれながら、目の前に座る友人――榛名玲に視線を戻すと、目が合った。その深い瞳に吸い込まれそうになりながら、澤は乾いた唇をなめた。切り出すなら今しかない。彼女は意を決して、口を開いた。「玲さん、おれ、実はずっと聞きたかったことがあるんだけど……」「なに?」「あの……? [続きを読む]
  • 第55章 取り引き2
  • その日も、いつもと同じように筆が進まなかった。?正しい?フレーズを導き出せなくて、机のわきに置いたプロットや人物像表とのにらめっこが続いていた。そろそろ一休みしようか、と席を立ちかけたとき、不意に彼女の携帯電話が鳴った。知らない番号からだったため、出るかどうか迷ったが、彼女は結局電話に出た。「はい?」 間違い電話だろうがなんだろうが、煮詰まった状況からいっときでも抜けださせてくれるものなら歓迎だっ [続きを読む]
  • 第51章 小笠原龍7 背負わされたもの
  • 小笠原龍は、同居人兼、庇護者である宮崎伊織が作ってくれた味噌汁を啜りながら、隣室の物音に身体をこわばらせた。途端に足が燃えるように痛んで、思わず息をつめる。話している相手はさいわい、彼女の顔色の変化に気付いていなかった。小笠原は焼けつくような痛みに耐えつつ、音への過敏性について考えを巡らせた。 はじめに?音が痛い?と感じたのは高校三年生の冬頃だった。?音が痛い?なんて、自分で経験するまではあり得な [続きを読む]
  • 第50章 小笠原龍6 再会2
  • 買い出しを終えた宮崎伊織は、帰宅して簡単な食事を作って、友人――小笠原龍――に食べさせた。やがて、それまで紙のようだった彼女の頬に赤みが差してくる。トイレに行くのを手伝ってから、ある程度ゴミを片付け終えると、宮崎は布団に横たわる小笠原に聞いた。「可燃ごみの日って、何曜日?」 とにかく、悪臭を放つ生ゴミ類を早く撤去したかったのだ。小笠原は、少し考えたのちに答えた。「……えーと、普通ごみは多分、月・木 [続きを読む]
  • 第49章 小笠原龍5 再会1
  • 宮崎伊織は家路を急いでいた。既に日はとっぷり暮れ、差すような冷気が剥き出しの頬に当たる。一月中旬だった。この頃では業務を終えて定刻で会社を出ても、家に帰りつく頃、辺りは真っ暗だった。大通りからそれ、街灯でぽつぽつと照らされる住宅街の路地を通って、その一角に佇む中層マンションにたどり着く。そして、一階の外廊下を通り、最奥から二番目の部屋の鍵穴に鍵を差し込んだ。彼女は、サムターン回しがやすやす出来そう [続きを読む]
  • 第48章 飛翔
  • 腹の底から響いてくるような振動音を感じながら、澤六佳は窓の外に目を向けた。入り組んだ滑走路は、地平のかなたまで続いている。 晴天だった。 身を切るような張りつめた冬の空気が空を割っているのが、分厚い窓越しにもわかる。 六佳は浮遊する雲を見ながら、やはりその空の下にいるであろう相手――横川和也――に思いを馳せた。空港まで見送りに来てくれた、今をときめくエリア東京の投手が見せた、申し訳なさそうな、しか [続きを読む]
  • 第42章 決心
  • 澤一樹は、フェンスに指をかけて微動だにせずに、眼下に広がるマウンドを見つめていた。よく晴れた日だった。まだ肌寒さが残る三月、大学野球の春季リーグ戦が開幕して間もないその日――昨シーズン、リーグ二位と好成績を収めた将元大学は、福島県との県境付近に位置する白川大学を相手に初戦を迎えていた。ここ二年好調で、?万年最下位の白川?という汚名を返上した白川大の先発は、かつて澤が栄徳高校時代にバッテリーを組んで [続きを読む]
  • 第41章 亀裂
  • 既に日が暮れ、帰途につく人々が道を急ぐ街路には明かりがともっていた。横川和也は、試合で酷使した肩の筋肉を揉みこみつつ、車から降りた。エリア東京の本拠地から電車で三十分のベッドタウン、神奈川県川崎市に、横川が暮らす築二十五年のアパートがあった。駅前の通りから少しわき道にそれた路地に沿って並んだ家々の中に建つ、四世帯のファミリー向けの小ぢんまりしたアパートの外階段を上がり、手前の部屋の扉の前に立つ。す [続きを読む]
  • 第40章 善なる魂※
  • ※注※暴力表現有。R15。右近飛鳥はこぶしを握り締め、チームを見渡せる位置でミットを構える新入りをねめつけた。先発した変化球投手・吉川泉の?落ちる?球がそこに吸いこまれる。どんなに捕逸しろと願っても、ホームに座るその人物――澤一樹――は、球をとり落とさなかった。どころか、ワイルドピッチも軽々捕る始末。いったいどういう体のつくりをしているのか皆目見当もつかなかった。 この、販促じみた身体能力を持つ彼 [続きを読む]
  • 第39章 獲物 ※R15
  • ※注※暴力表現有。R15.バシャリ、とマンガの擬音語みたいな音がして、足元に倒れ伏す人物が頭から水をかぶる。隣で倉田清加――同期で、そもそものキッカケを作った人物――がとがめるような声をあげたが、右近飛鳥はかまわずもう一度水をかけた。しかし、相手は地面につっぷしたまま、わずかに身じろぎをしただけだった。季節は夏だった。自主練と称して居残った二人は、しかしその実、普段からイヤがらせをしている後輩―― [続きを読む]
  • 第38章 因果2
  • 倉田清加はその日の練習を終えて帰ろうとしたところで、ふと忘れものを思い出した。携帯電話をロッカーに置きっぱなしだったのだ。彼女は舌打ちをしてきた道を引き返した。関係者出入り口から球場内部に入り、人のまばらな通路を歩く。道半ばで帰る途中のチームメイト、引地と挨拶を交わし、足を速めた。磨き上げられた廊下をうつむきがちに歩きながら、彼女は昼間の出来事を思い出していた。丹波ミサキという、今年はいったばかり [続きを読む]
  • 第37章 因果1
  • 今日の試合は散々だった、と広末茉莉はいらだち紛れに汗を吸ったユニフォームを脱いだ。先発が炎上して後続も打たれまくった。失点を重ねるチームの援護射撃をしてやりたかったのに、全く塁に出られなかった。ほとんど失投のない相手投手にいいようにやり込められて、クリーンナップとしての責務を果たせなかった自分がふがいなかった。 彼女は、試合後の反省会が終わっても帰らずに、一人室内練習場の照明をつけてバットを振って [続きを読む]
  • 第36章 好きな先輩!2
  • 丹波ミサキは、わずかにいらだちを感じながら球を投げ込んだ。彼女がサンライズ神奈川に入団してから半年あまり。宮城よりも早く梅雨入りした相模原は、今日も朝から雨が続いていた。丹波の心も暗い空に比例して浮かなかった。彼女は、入団当初から同郷の先輩キャッチャー――澤一樹――に球を受けてほしい、と懇願し続けていた。それが最近、念願かなって付き合ってもらえるようになったのは良かったのだが、今度は予想だにしなか [続きを読む]
  • 第35章 小笠原龍3 孤独
  • 季節は春だった。あらゆる植物が陽光の祝福を浴びて芽吹き、花開くとき――。冬を耐え忍んだあらゆる動物たちが温かな風に体の力を抜くそのとき――。小笠原龍はひとり苦痛に顔をゆがめ、地獄の中を一歩一歩、のろのろと進んでいた。街を彩るモクレンも、新芽麗しき木々も、野畑につつましやかに咲いた雑草の花々も、彼女には関係がなかった。まるで切片のように舞う桜吹雪でさえも、一ミリたりとも彼女の心を動かすことはできなか [続きを読む]
  • 第30章 三回戦
  • 栄徳高校は、夏大の宮城大会三回戦を迎えていた。将元大付属高校――長年、栄徳とライバル関係にある甲子園常連校――はおととしに続いて昨年の大会で実績を残せず、シードを外れて、再び栄徳と三回戦でぶつかることになった。甲子園行きを競うような上位校同士のつぶしあいは、ほかのチームにとっては願ってもない幸運だったが、当人たちにとっては不運だった。栄徳は先発に丹波を起用し、将元大付属は、ここ一年成長著しかった三 [続きを読む]