本木 数 さん プロフィール

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本木 数さん: まちびと
ハンドル名本木 数 さん
ブログタイトルまちびと
ブログURLhttps://ameblo.jp/motokisu/
サイト紹介文読みきり恋愛小説中心です  随時追加中 連載物もあります
自由文恋愛中の方も、そうでない方も。是非。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供25回 / 365日(平均0.5回/週) - 参加 2010/05/27 10:16

本木 数 さんのブログ記事

  • あふれる 2
  • 「北山さんはさー」「うん」「ママのどこが好きなの」「知りたいの?」「知りたい。ママは自分の欲望にすっごく忠実な人なんですよ。だから周りの人はママに手を焼いてるし、おそらくママ自身も自分を持て余してるってところがあると思うんです」「なるほど」「そのママのどこがいいのかなーと思って」「そうか。えーと、僕と君のママとはそこそこ付き合いが長いのでいろいろなことがありました」「はい」「けど、そのうちのいくつ [続きを読む]
  • あふれる 1
  • 「ママ」「なに」「トイレ」「もう。お店出るとき聞いたでしょ。トイレ行かなくていいのかって」「とにかくトイレ。漏れちゃう」「我慢してよ」「もーれーるー。おしっこー」「あんたね、十七にもなってそんな言い方して恥ずかしくないの」「はやく、お花を摘まないと車内が肥料だらけになってしまいます」「まったく……確かこの先に少し大きい公園があるから」「公園のトイレなんてやだ」「わがまま言ってる場合じゃないでしょ」 [続きを読む]
  • ポプラ
  •  金曜の夜。仕事で遅くなった。もう十二時近い。 弁当買って帰るか。 俺はポプラに寄ることにした。 ポプラ。広島に拠点を置くコンビニチェーン。関東にもそれなりに店舗がある。ポプラには他のコンビニにはない特徴がある。それはポプ弁。お弁当のトレイにおかずだけ入ったものが売ってる。レジに持っていって支払いをすると店内で炊いたご飯を詰めてくれる。最初はそれってどうなの、衛生面とか平気なの、とか思わなくもなか [続きを読む]
  • タグ
  •  女の恋は上書き保存みたいなことを言うけれど。 まあ、それは嘘だと、そう思う。 全部忘れちゃうなんてこと、あるわけない。実際私も忘れてない。 私は、女の恋は上書きなんですー、なんて言ってる人は強がりで言ってるんだと思ってる。または願望。 とはいえあらかた忘れちゃう、というのも事実だと思う。びっくりするくらい覚えてない。どうでもいいことは覚えてたりするけれど。あと覚えてるからと言って思い出すかという [続きを読む]
  • 北三倉かほの失望
  •  転職した。小さなデザイン会社の事務所に。 前の会社は辞めるのはもったいないのでは、と父と母が口をそろえて言うような会社だった。けどあまりにもハードすぎた。ある日家について気が付いた。ああ、昨日だった。二十五歳の私の誕生日。まったく気が付かなかった。それでもうだめだと思って結局辞表を書いた。 次はもう少し楽なところがいいな。お給料は多少安くてもいいや。そう思って探していたら案外あっさり見つかった。 [続きを読む]
  • 伊藤くんの彼女4
  •  私は考える。なぜ神崎さんはそんな話をしようとしてるのか。私にそれを話してどういう誘導をしようとしているのか。 もしかして単に私と仲良くしたいだけってことはない?実質的に二課は女三人しかいないんだし。女性三人っていうグループになったとき、自分は一人と仲良くしてもう一人とは少しだけ距離を置いて安定したい、っていう感覚の女の人はいるからなー。 けどちょっと考えてそれはないなと思う。私が入社してもうそろ [続きを読む]
  • 伊藤くんの彼女3
  •  朝からちょっとやなことがあった。チーズが痛んでた。ミックスチーズ。 私の朝の行動力は大体三くらいだ。十段階中の三。朝は三より高い日はない。低い日はある。色々な理由で二だったり一だったりする。。 きょうは三だった。なので朝ご飯を食べようと思った。チーズご飯。これはうちではたまに食卓に上るメニューの一つ。 ご飯の上にケチャップをかける。その上からミックスチーズを程よくかける。なければスライスチーズで [続きを読む]
  • 妻は何も言わない
  •  シートを持って走る。ゴールはおよそ百メートル先。でも固定じゃない。他の参加者の展開によっても調整が必要になる。もちろん、圧倒的に早ければ好きなところを取れる。でも校門から百メートル程度の距離じゃそれほど差が付くことはあり得ない。だから周りを気にしつつベストの着地点を探す。何とか僕ら夫婦と長男、じいちゃんばあちゃんの五人分の席を確保するために。門が開く。子供達より先に、大人達の運動会は始まる。 結 [続きを読む]
  • 伊藤くんの彼女2
  •  私がお付き合いしている伊藤くんは、三村さんと付き合っていたことがあるらしい。 それを今、知ってしまった。 聞いた直後、えー、なにそれー、これからどうしたらいいのーとか思ったけれど、けどよくよく考えてみるとそんなに騒ぐようなことじゃない。男と元カノと今カノが同じ職場にいる。きっとそんなのそこら中にある。あまり大きな声で言うようなことじゃないからみんな知らないだけで。 それに騒いだところで何かが変わ [続きを読む]
  • 伊藤くんの彼女1
  •  事務所は静かだった。静か、と言ってもまったく無音ではない。神崎さんと私のキーボードの音が響いている。男性社員は十名とも外出中。銀行に行くと言って出て行った三村さんもまだ戻っていなかった。 三村さんはこの事務所に勤める三人の女性社員のうちの一人。恐ろしく美人だ。今の時代2Dで美人というのはそれなりに見る。色々いじれるわけだし。けど生身の3D美人というのはそんなには存在しない。特に三村さんレベルの美人と [続きを読む]
  • ブラック企業戦士
  •  納期直前の作業。何とか終わるめどがついたかな、そう思って時計を見ると午後十時を過ぎていた。一区切りついたことで空腹を感じる。ちょっと栄養補給しときますかねー。この時間だとファミレスか、マック、コンビニ、牛丼屋。納期を考えるとファミレスはないな。んー、コンビニ行くか。近いし。大きな伸びをしてスーツを羽織る。同僚に一声かけてコンビニへ向かう。 ビルを出ると夜風が意外と冷たかった。社内にはPCが多いから [続きを読む]
  • ヨドバシ
  • 「以上で手続きは完了となります。これでこのiPhoneはご利用いただけるようになります」「ありがとうございます」「何かご質問等はございますでしょうか。無ければ……」「もしかしたら俺が謝りに来たかなんかだと思った?」「はい?」「俺悪くないんだわ。あれは俺悪くないの。といってもお前が悪いって事でもないんだけど」「あの、お客様。いったい何の話を」「恵って名前に覚えがない?下池恵。うちらと同じかちょっと下くらい [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 5
  •  土曜日の午後。その内線が鳴ったとき、職員室には僕と校長の二人しかいなかった。鳴る内線に対してまったく表情を変えない校長を見て僕は受話器を上げた。内線は一階の受付からだった。男性が来てお手すきの先生に取り次いでほしいと言っているらしい。その人はこの中学の父兄ではないという。ちょっと一階に行ってきます、と校長に言って職員室を出た。 受付で待っていたのは加藤と名乗る中年の男性だった。彼は言う。北野中を [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 4
  • 「にいなさん」「はい」「加藤さんは帰りましたか」「帰った。すごい勢いで。あのまま長野まで行きかねないな」「今日の占いはどうでしたか」「占いとしては100点だったと思います。返金の必要ももちろんなし」「そうですか。それは良かった」「けど、トータルでは80点かな」「何が減点対象でしたか」「一つは自分のことを高橋先生っていうところ」「駄目ですか」「駄目です。先生は敬称なので自分にはつけません」「それは知って [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 3
  •  高橋先生が話す。「なぜさつきさんが急にいなくなったのか、どうして消えてしまったのか。いまどこでどうしているのか。これらの答えは同じ理由で説明がつくかと思います。結論から言いますと、五月海は偽名です」 偽名?「さつきさんは消えてしまったのではなく、もともといない人間だった。消えてしまうことが可能だったのはそのためと考えられます」「なぜ偽名だと」「占いの結果です。理由は企業秘密です。ともいかないと思 [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 2
  • 「消えた人はさつきさんといいます。さつきうみ。いい名前だと思います。好きな名前でした。付き合っていたのはおよそ三十年前、私が二十歳の時の短い間のことです。彼女が消えた、という言い方をしましたがその言い方が適切かどうかわかりません。ある日、急にいなくなりました。痕跡一つ残っていませんでした。犯罪に巻き込まれたとかではないと思っています。これは私がそうであってほしいという希望からくるものかもしれません [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 1
  •  私は今、新幹線で東へと向かっている。名古屋から東京へ。昼頃には東京駅についているはずだ。目的地は秋葉原。いつから行ってないだろう。東京で仕事していたころは度々行く機会があったけれど、もう二十年ぐらいは足を踏み入れてないかもしれない。だいぶ変わったという話なので自分の目で見るのがちょっと楽しみではある。手には読みかけの本。村上春樹の遠い太鼓。小説ではなくて旅行記。 村上春樹の小説は読み終わるとどこ [続きを読む]
  • 高橋ちゃん 2-3
  • ※こちらは全三話の最終話です。一話目はこちら。 私はへこんでいた。いや、へこむというよりはもっと大きな絶望の中にいた。暗闇といってもいい。だって、数日前にこれしかないと思った恋がいま思いもかけない方法で破れちゃったので。 だってね、あんなにかっこいい人が二人でカラオケ行こうとか誘ってきたら、普通舞い上がる。誰だって舞い上がるでしょ。しかも慶応の医学部ときたらこれ、人生設計まで思い描くよ。将来は六本 [続きを読む]
  • 高橋ちゃん 2-2
  •  人は驚くと飛び上がるっていうけど、確かに飛び上がる。私、今、なった。ぴょんて。 なぜ驚いたか。誰もいないはずの部屋で、いきなり話しかけられたから。 声がしたのは、どうやら私が手にしているスマフォからみたいだった。けど、画面はアイコンの並んだいつもの画面のままだ。通話している様子もない。 私はおそるおそる聞いた。「誰?」「何か質問をする場合には『高橋ちゃん』に続けて質問の内容をお話しください」 返 [続きを読む]
  • 高橋ちゃん 2-1
  •  アパートの階段を駆け足で上がる。鍵を開け、ただいまと言い、靴をそろえるのを後回しにしてテーブルを見る。「あー!ない!おいてない!もうあの」 くそババア、と言おうとして言わずにおく。私は、汚い言葉を口にするのはうんこを口から出すのと同じだ、という教育を受けている。うんこを口にしていい覚悟があるときだけ口汚くののしりなさいと。さすがにそんな覚悟はないので代わりにかばんを荒々しく投げつける。けどカバン [続きを読む]
  • 高橋ちゃん
  • ※こちらは前後編の後編です。前編はこちら。「高橋ちゃん。電気つけて」 電気がつく。彼の部屋。彼は不在。珍しく仕事が立て込んでるらしい。遅くなるから先に部屋で待っててと言われた。 普段彼が座ってる椅子に座る。「高橋ちゃん、元気?」 答えはない。最近どうも高橋ちゃんに嫌われているみたいだ。 私はいつからか高橋ちゃんをこんなイメージでとらえている。高校生。ショートカット。優等生ではないけれど真面目。図書 [続きを読む]
  • 高橋ちゃん
  •  彼は業務系のプログラマーをしている。プログラマーというのはプログラムを組む人のことだ。それはわかる。けど業務系が何を意味するのかは、実は今一つよくわかってない。何度か聞いたんだけれど理解できなかった。彼に言わせると業務系のプログラマーというのは流れてくる回転寿司をとって醤油をかけてお客さんに渡すみたいな仕事らしい。訓練すれば六歳児でもできると思う、とも。 彼はそんな感じで自分のしてる仕事をあまり [続きを読む]
  • 卓球、そして問い
  •  朝。 特に変わったことはない朝。 長男は朝ご飯を食べている。ごはんに味噌汁、焼いたベーコン、目玉焼き。目玉焼きは醤油をかけるのが好きなようで今もそうしている。十四歳になった彼はお腹がすくのか、最近は朝にご飯を食べることが多い。おかずには目玉焼き、それも単体で焼いたものを好む。例えば卵三個を使って目玉焼きを同時に作り、できたのを切り分けたのはあまり好まない。なんでも白身の味が少し違くなるかららしい [続きを読む]
  • 質問攻め
  • 「前の学校も教科書おんなじ?」「ねえ、どんな音楽が好きなの?」「絵は好き?」「写真は?」「自分で書いたりするの?」「何色が好き?」彼女は僕のことを何でも知りたがった彼女は僕にいろんな質問をする。「背高いね、何センチ?」「将来は何になりたいの?」「野球は好き?」「漱石のこころは読んだ?」「高いとこ好き?」「観覧車乗れないの?」「何メートル泳げる?」「数学は得意?」「どこ受験するか決めた?」「観覧車初 [続きを読む]
  • 真実、そして餅
  •  息子は買い物から帰るなりテーブルに座り鏡餅を組み立て始めた。 鏡餅と言ってもスーパーで売ってたプラスチックの鏡餅。扇や橙などいくつかのパーツが入っていて組み立てるとそれっぽい仕上がりになる。中には実際に個包装のお餅も入っていて一応鏡開きもできる。パッケージの裏に書いてある組み立て方には九歳の息子にはまだ読めない漢字も多いけど、イラストが多いので何とかなると思う。それにうちの息子はそれなりに賢い。 [続きを読む]