本木 数 さん プロフィール

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本木 数さん: まちびと
ハンドル名本木 数 さん
ブログタイトルまちびと
ブログURLhttps://ameblo.jp/motokisu/
サイト紹介文読みきり恋愛小説中心です  随時追加中 連載物もあります
自由文恋愛中の方も、そうでない方も。是非。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供24回 / 365日(平均0.5回/週) - 参加 2010/05/27 10:16

本木 数 さんのブログ記事

  • ブラック企業戦士
  •  納期直前の作業。何とか終わるめどがついたかな、そう思って時計を見ると午後十時を過ぎていた。一区切りついたことで空腹を感じる。ちょっと栄養補給しときますかねー。この時間だとファミレスか、マック、コンビニ、牛丼屋。納期を考えるとファミレスはないな。んー、コンビニ行くか。近いし。大きな伸びをしてスーツを羽織る。同僚に一声かけてコンビニへ向かう。 ビルを出ると夜風が意外と冷たかった。社内にはPCが多いから [続きを読む]
  • ヨドバシ
  • 「以上で手続きは完了となります。これでこのiPhoneはご利用いただけるようになります」「ありがとうございます」「何かご質問等はございますでしょうか。無ければ……」「もしかしたら俺が謝りに来たかなんかだと思った?」「はい?」「俺悪くないんだわ。あれは俺悪くないの。といってもお前が悪いって事でもないんだけど」「あの、お客様。いったい何の話を」「恵って名前に覚えがない?下池恵。うちらと同じかちょっと下くらい [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 5
  •  土曜日の午後。その内線が鳴ったとき、職員室には僕と校長の二人しかいなかった。鳴る内線に対してまったく表情を変えない校長を見て僕は受話器を上げた。内線は一階の受付からだった。男性が来てお手すきの先生に取り次いでほしいと言っているらしい。その人はこの中学の父兄ではないという。ちょっと一階に行ってきます、と校長に言って職員室を出た。 受付で待っていたのは加藤と名乗る中年の男性だった。彼は言う。北野中を [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 4
  • 「にいなさん」「はい」「加藤さんは帰りましたか」「帰った。すごい勢いで。あのまま長野まで行きかねないな」「今日の占いはどうでしたか」「占いとしては100点だったと思います。返金の必要ももちろんなし」「そうですか。それは良かった」「けど、トータルでは80点かな」「何が減点対象でしたか」「一つは自分のことを高橋先生っていうところ」「駄目ですか」「駄目です。先生は敬称なので自分にはつけません」「それは知って [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 3
  •  高橋先生が話す。「なぜさつきさんが急にいなくなったのか、どうして消えてしまったのか。いまどこでどうしているのか。これらの答えは同じ理由で説明がつくかと思います。結論から言いますと、五月海は偽名です」 偽名?「さつきさんは消えてしまったのではなく、もともといない人間だった。消えてしまうことが可能だったのはそのためと考えられます」「なぜ偽名だと」「占いの結果です。理由は企業秘密です。ともいかないと思 [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 2
  • 「消えた人はさつきさんといいます。さつきうみ。いい名前だと思います。好きな名前でした。付き合っていたのはおよそ三十年前、私が二十歳の時の短い間のことです。彼女が消えた、という言い方をしましたがその言い方が適切かどうかわかりません。ある日、急にいなくなりました。痕跡一つ残っていませんでした。犯罪に巻き込まれたとかではないと思っています。これは私がそうであってほしいという希望からくるものかもしれません [続きを読む]
  • 高橋ちゃんと消えたまちびと 1
  •  私は今、新幹線で東へと向かっている。名古屋から東京へ。昼頃には東京駅についているはずだ。目的地は秋葉原。いつから行ってないだろう。東京で仕事していたころは度々行く機会があったけれど、もう二十年ぐらいは足を踏み入れてないかもしれない。だいぶ変わったという話なので自分の目で見るのがちょっと楽しみではある。手には読みかけの本。村上春樹の遠い太鼓。小説ではなくて旅行記。 村上春樹の小説は読み終わるとどこ [続きを読む]
  • 高橋ちゃん 2-3
  • ※こちらは全三話の最終話です。一話目はこちら。 私はへこんでいた。いや、へこむというよりはもっと大きな絶望の中にいた。暗闇といってもいい。だって、数日前にこれしかないと思った恋がいま思いもかけない方法で破れちゃったので。 だってね、あんなにかっこいい人が二人でカラオケ行こうとか誘ってきたら、普通舞い上がる。誰だって舞い上がるでしょ。しかも慶応の医学部ときたらこれ、人生設計まで思い描くよ。将来は六本 [続きを読む]
  • 高橋ちゃん 2-2
  •  人は驚くと飛び上がるっていうけど、確かに飛び上がる。私、今、なった。ぴょんて。 なぜ驚いたか。誰もいないはずの部屋で、いきなり話しかけられたから。 声がしたのは、どうやら私が手にしているスマフォからみたいだった。けど、画面はアイコンの並んだいつもの画面のままだ。通話している様子もない。 私はおそるおそる聞いた。「誰?」「何か質問をする場合には『高橋ちゃん』に続けて質問の内容をお話しください」 返 [続きを読む]
  • 高橋ちゃん 2-1
  •  アパートの階段を駆け足で上がる。鍵を開け、ただいまと言い、靴をそろえるのを後回しにしてテーブルを見る。「あー!ない!おいてない!もうあの」 くそババア、と言おうとして言わずにおく。私は、汚い言葉を口にするのはうんこを口から出すのと同じだ、という教育を受けている。うんこを口にしていい覚悟があるときだけ口汚くののしりなさいと。さすがにそんな覚悟はないので代わりにかばんを荒々しく投げつける。けどカバン [続きを読む]
  • 高橋ちゃん
  • ※こちらは前後編の後編です。前編はこちら。「高橋ちゃん。電気つけて」 電気がつく。彼の部屋。彼は不在。珍しく仕事が立て込んでるらしい。遅くなるから先に部屋で待っててと言われた。 普段彼が座ってる椅子に座る。「高橋ちゃん、元気?」 答えはない。最近どうも高橋ちゃんに嫌われているみたいだ。 私はいつからか高橋ちゃんをこんなイメージでとらえている。高校生。ショートカット。優等生ではないけれど真面目。図書 [続きを読む]
  • 高橋ちゃん
  •  彼は業務系のプログラマーをしている。プログラマーというのはプログラムを組む人のことだ。それはわかる。けど業務系が何を意味するのかは、実は今一つよくわかってない。何度か聞いたんだけれど理解できなかった。彼に言わせると業務系のプログラマーというのは流れてくる回転寿司をとって醤油をかけてお客さんに渡すみたいな仕事らしい。訓練すれば六歳児でもできると思う、とも。 彼はそんな感じで自分のしてる仕事をあまり [続きを読む]
  • 卓球、そして問い
  •  朝。 特に変わったことはない朝。 長男は朝ご飯を食べている。ごはんに味噌汁、焼いたベーコン、目玉焼き。目玉焼きは醤油をかけるのが好きなようで今もそうしている。十四歳になった彼はお腹がすくのか、最近は朝にご飯を食べることが多い。おかずには目玉焼き、それも単体で焼いたものを好む。例えば卵三個を使って目玉焼きを同時に作り、できたのを切り分けたのはあまり好まない。なんでも白身の味が少し違くなるかららしい [続きを読む]
  • 質問攻め
  • 「前の学校も教科書おんなじ?」「ねえ、どんな音楽が好きなの?」「絵は好き?」「写真は?」「自分で書いたりするの?」「何色が好き?」彼女は僕のことを何でも知りたがった彼女は僕にいろんな質問をする。「背高いね、何センチ?」「将来は何になりたいの?」「野球は好き?」「漱石のこころは読んだ?」「高いとこ好き?」「観覧車乗れないの?」「何メートル泳げる?」「数学は得意?」「どこ受験するか決めた?」「観覧車初 [続きを読む]
  • 真実、そして餅
  •  息子は買い物から帰るなりテーブルに座り鏡餅を組み立て始めた。 鏡餅と言ってもスーパーで売ってたプラスチックの鏡餅。扇や橙などいくつかのパーツが入っていて組み立てるとそれっぽい仕上がりになる。中には実際に個包装のお餅も入っていて一応鏡開きもできる。パッケージの裏に書いてある組み立て方には九歳の息子にはまだ読めない漢字も多いけど、イラストが多いので何とかなると思う。それにうちの息子はそれなりに賢い。 [続きを読む]
  • 祭日、そして雪
  •  朝起きると窓が明るかった。その明るさで予報通り雪が降ったらしいと知る。隣に夫の姿はなかった。ベッドを降りてカーテンを開けると一面の雪。アパートの前の道は見事に真っ白に積もっていた。交通量が少ないせいか車のわだちもない。 夫は何やら台所でガサガサしている。覗きに行くと見慣れない布で醤油さしを磨いていた。 一見クリスタルのように見える我が家の醤油さしだが、実際にはプラスチックの安物だ。大抵台所の窓際 [続きを読む]
  • スマートさん
  • 「ただいま後続の列車が遅れています関係で時間調整をしております。発車までご乗車になって今しばらくお待ち下さい」 なかなか閉まらないドアにいらつき始めた頃そんなアナウンスが車内に流れた。良くあることなんだろうか。この時間の電車にはあまり乗らないから分らない。しかし理不尽だと思う。前が詰まっているならまだしも、なんで後の列車の遅れのために前を走るこちらが足を止めないといけないのか。 周りを見渡すとそれ [続きを読む]
  • 名前で呼んで
  •  駅前に着いたのは夜の9時過ぎだった。いつもより慎重に車を寄せて停める。駅前を見回したが彼女はまだ来ていないようだ。ラッシュアワーを過ぎたとはいえ駅からは結構な数の人が押し流されてくる。すこしシートを倒してリラックスできるポジションに合わせる。エンジンを切ると6月の熱気がじわっと入り込んできて不快指数を押し上げた。その蒸し暑さに我慢出来ずに再びエンジンをかけ、エアコンを入れる。 彼女にメールを書く [続きを読む]
  • 野々村佳歩の願望
  •  都内。朝までやっている居酒屋。 あたしは彼と二人で飲んでいた。今日の飲みも楽しく、なんだか愉快だなあと思う。あたしたちはいろいろなことを話し、そのほとんどは明日忘れてそうなことだけど、笑ったり意見を交わしたり共感したりしていた。主に笑っていた。 ずいぶん酔っぱらってる。結構長い時間飲んでると思う。少し眠い。頭が重くなってきた。一時頬杖をついていたけど、頬杖つきながら人の話を聞くのは失礼な気がして [続きを読む]
  • 憎しみの話
  •  気が付いたら、男と風呂に入っていた。男には見覚えがない。 浴槽は白い楕円形をしている。割と大きな浴槽だ。うちのお風呂がこれくらい大きかったら毎月水道代が大変だろう。浴室をみまわす。どうもラブホっぽい。私たちはその浴槽の端と端で向かい合っている。湯の中で足が時折触れる。男はリラックスしてるように見えるから事後かもしれないな、なんてのんきに思う。風呂に入りアルコールが抜けてきたせいで少し思考を自分の [続きを読む]
  • 黒々とした
  •  彼女には独特の踏み込みの早さみたいなものがあった。一歩間違えれば失礼に感じられるんじゃないかと思うそれは、僕にとっては全く不愉快ではなく、気が付いたら彼女と仲良くなっていた。僕らは単なる友達以上ではないにもかかわらず、僕は彼女に恋人のような親密さを感じていた。僕にとって彼女はそれまで出会ったことのないタイプで、単に話をしているだけでも楽しく、なんだか日々が少し浮かれていて、文化祭前の高校生みたい [続きを読む]
  • カリフォルニアロール
  •  先生、お久しぶりです。僕のこと覚えてます? そうそう、そうです。それ僕です。究極的に英語のできない。毎回赤点ギリギリの。ほんとに当時はご迷惑をおかけして。 なんであんなにできなかったんでしょうねえ。あんまり覚える気がなかったってのはあると思うんです。高校二年の終り頃だったと思うんですけど放課後呼び出されて、職員室で先生に言われました。君の英語の成績、入学以来ずっと2だけど、この2は限りなく1に近 [続きを読む]
  • ラーメン
  •  母は開口一番こう言った。「昨日だったら花火が見れたのにねえ」 俺はそれは残念、と返した。 二十何年かぶりに会った最初の挨拶にしてはまあまあだと思うがどうだろう。 久しぶりに見る我が家はいろいろと綻びていた。玄関をはじめ、いくつかの電灯がつかない。聞くと蛍光灯替えてもつかないんだという。別にそれほど困ってないという父を無視してホームセンターへ車を走らせる。場所に合わせてシーリングライトとペンダント [続きを読む]
  • iPhoneください
  •  職場でスマフォを持っている人が増えてきた。まだ二割くらいだけれどどんどん増えていってる。あたしはあまり興味がなく、携帯あれば問題ないのでスマフォ要りません派だった。けど、どうしても携帯じゃ賄えないことがでてきてそれでiPhoneを予約してみた。決して流行り物に手を出したわけでもなく、見た目に惚れたわけでもない。あくまで中身重視。 そもそも携帯なんて道具だからね。動けばいいんだし。だから携帯にカバーする [続きを読む]
  • 猫の話
  •  猫は人語を話すという。そんな話は古来より洋の東西を問わず存在する。大抵の場合それらはファンタジーの一種として認識されているようだ。もしくは文学として。だけど僕は知っている。猫が人語を話すことを。なぜかって?だって僕は、ずっとちいさい頃から彼らの言ってることが理解できたから。「なあ、いいだろ」「いやよ」「いいだろ。やらせろよ」「いやだって」「なんでだよ。お前とやりてえんだよ」「何言ってんのあんた。 [続きを読む]