葉菜 さん プロフィール

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葉菜さん: タイトルのないミステリー
ハンドル名葉菜 さん
ブログタイトルタイトルのないミステリー
ブログURLhttps://ameblo.jp/mio-r
サイト紹介文長編推理小説です。 犯人を想像しながらゆっくり読んで頂ければ嬉しいです。
自由文人間関係が複雑に絡み合って誰が犯人か分からない・・正直作者もまだ決めていない???
お楽しみ頂ければ幸いです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供207回 / 365日(平均4.0回/週) - 参加 2010/07/14 18:49

葉菜 さんのブログ記事

  • 参拾参
  •      二.  母が死んで和は叔母夫婦に引き取られ、そのまま子供のいなかった叔母夫婦の養女となった。養女になると名字も変わるけれど良いかと尋ねられた時、和は迷わず頷き佐藤和から深見和になった。そうなれば佐藤和に起こった事は全て消える様な気がした。そんな事ある筈がないと心の奥では分かっていたが佐藤和と深見和は別の人間、そう思うようにした。叔母の家はそこそこ裕福だった。母との生活が特に貧乏だったわけ [続きを読む]
  • 参拾弐
  • 叔母は和の言葉の意味が直ぐに理解出来ないようで暫く間をおいてから尋ねてきた。「今、何て言ったの?」「お母さんが…死んでる…」「死んでるって…ど、どういう事?」「学校から帰ってきたらお母さんが死んでいたの…部屋で首を吊って…」「首…ね、姉さんが?ま、まさか、そんな、嘘でしょう!」「嘘じゃない…今も、目の前に…」そう言いながら和はじっと母の姿を見る。何故だろう、悲しくない。母が死んだというのに、目の [続きを読む]
  • 参拾壱
  •  春休みが過ぎ中学校の入学式を迎えても和の声は出ないままだった。母親は最初のうちは和がわざと口を利かないでいるのだと思っていた。「ねえ、いつまでそうやって口を利かないでいるつもりなの?」和はそんな母の問いにただ黙って顔を見る。喋りたくないわけではない、でもどうしても声が出てこないのだ。「和がそんなだったらお母さん、どうして良いか分からないのよ」母親が何を言っても和は一向に口を開かない。宥めたりす [続きを読む]
  • 参拾
  • (こんな奴、死ねば良い…)和は振り上げた包丁を勢いよく振り下ろす、が、その瞬間に岳が目を開けた。自分に向かってくる包丁に慌てて身を翻す。包丁の先が岳の腕を掠めて着ていたシャツが破れ見る見る間に赤く滲んでいく。「何しやがるんだ、このガキ!」岳は自分の腕から流れ出す血を見て和を睨みつけながら怒鳴った。「死ね、お前なんか死んでしまえ!」和は怯む事無く再度包丁を自分の胸の前で両手で掴み直し岳に突進する。 [続きを読む]
  • 弐拾玖(二十九)
  •  それでも母は毎日嬉しそうであった。岳は母の前と和の前ではまるで態度が違っていた。母にはいつも気を使って済まなさそうな態度で接していて母はそれを信じ込んでいた。和は自分が我慢すれば母が毎日楽しく過ごせるのなら仕方ないと半ば諦めにも近い状態で過ごしていた。何より母の「私が死んでも良いの?」というあの言葉を聞かなくて済むだけでもましなのだと思った。それにしても毎日仕事もせず母からお小遣いを貰って酒を [続きを読む]
  • 弐重捌(二十八)
  •  後から聞いた話によると和の母が浩太の母と話すようになったのはトイレで顔を合わせた時に思い切って「子供達の差し入れってどうしています?」と和の母の方から尋ねた事にあるらしい。同じチームの母親達から少し浮いている事を感じ取っていた為、聞き難かったというのもあったが偶々子供達が浩太の母のお弁当がとても美味しいと話していたのを耳にしていた事があったからだ。他所のチームの親だから中々話す機会もなかったが [続きを読む]
  • 弐拾質
  •     第二部     一.  和の母親は彼女が中学入って間もなく死んだ。母親はいつも口癖のように「お母さんが死んでも良いの?」と言っていた。「死」という言葉を簡単に口にする母が本当に嫌だった。そんな事を聞かれても答えられない。幼い頃は「お母さん死んじゃ嫌だよ」と本気で言っていたがあまり日常的にそう言われ続けると段々とそんな事も言わなくなっていた。死ぬ前には「お母さんが死ねば良いのね」と言葉は変 [続きを読む]
  • 弐拾陸(二十六)
  •  それにしても舞奈もあの梗子を疑っているとは思わなかった。まだ幼かった舞奈にそんな考えが浮かぶなんて考えなかった。だが彼女もいつまでも幼いままでいるわけではないのだ。浩太が成長するのと同じように舞奈も成長しているのだ。自分の母親が殺された、何も思うなという方が土台無理な話だ。舞奈が部屋から出て行った後、梗子と依智伽はどんな親子だったのだろうと浩太は思った。今迄特に気にした事もなかった、と言うより [続きを読む]
  • 弐拾来伍(二十五)
  •  夕飯時、浩太は父親に依智伽の事を尋ねてみた。「ねえ、お父さん。依智伽ちゃんってどこに貰われていったのか知っている?」「さあ、それは聞いていないなあ。第一、そういう事は基本的に他人には話さないと思うよ」「そう、だよね」「何?なんで今頃そんな事気にしているの?」横から舞奈が口を挟む。「別に気にしているわけじゃないけど、ちょっとどうなのかなって思っただけだよ」「ふーん」「園長の話では子供のいないご夫 [続きを読む]
  • 弐拾肆(二十四)
  • 「人間って脆いから…上條君、深見さんの力になってあげてね」瑞樹は最後にそう言った。結局は何が言いたかったのか、よく分からない。でも不思議な気がした。あの三人の実の両親がみんな死んでいるという符合が。会うべくして会ったとそう言っていた。あの三人が放っている独特のオーラのようなものはそれと関係があるのだろうか。保っているとはどういう事なのだろう。 浩太は今迄、具体的に将来の事とかを考えた事はなかった [続きを読む]
  • 弐拾参
  •      四.  正月も過ぎ間もなく三学期を迎えようとしていた。浩太は祖父の使いで頼まれた買い物に出ていた。その買い物を済ませ帰ろうとしていた時に前から知った顔が近づいてくるのが見えた。浩太が「あっ」と思うのと同時に向こうも浩太に気が付いたようで声を掛けて来た。「上條君、だったよね」「はい」三年生の藍田瑞樹だ。何となく周りを見回す。いつもの二人がその辺にいるのではないかと思う。でも今日は一人のよう [続きを読む]
  • 弐拾弐
  • 「でもこれが実際同じ男だったとして、それってどういう事?」「つまり、深見さんがこの間言っていた通りすがりに絡まれただけの知らない男っていう事は嘘になる。自分が所属していたチームのコーチだよ」「いや、それは分かるけど。つまり、その男が殺されたって、どういう事?しかもあの深見さんと一緒にいたのを見た翌日にだよ」「それは…俺にも分からない」浩太の問いに朝陽は首を横に振る。「どうせ、聞いたって何も答えな [続きを読む]
  • 弐拾壱
  • 「浩太、深見さんの事だけど、」部屋に入るなり朝陽は口を開いた。さっきから何か話したそうにしているなとは感じていた。「何?」「この間、偶然小学校の同級生に会ったんだ。中学は違うから浩太は知らない奴だけど、その同級生、ずっとサッカーやってて話聞いていたら深見さんと同じチームだったんだって」「何て名前?」和と同じチームなら試合はしている筈だ、顔ぐらいは知っている可能性ある。「大谷、大谷優斗」「大谷?な [続きを読む]
  • 弐拾
  •  和の背を見送って浩太は舞奈を見た。「おまえ、彼女が女子だって知っていたの?」「うん、だって何度かおトイレで一緒になったもん。私も最初は男子だと思っていたから初めてトイレで会った時は吃驚したけどね」「そんな事全然言わなかったじゃないか」「だって、お姉ちゃんが皆には内緒だよって言っていたから」何だか自分だけ知らなかったみたいで取り残されたような気分になった。「でも、なんか、全然違う」「まあ、今は何 [続きを読む]
  • 壱拾玖(十九)
  •  翌日になって学校で朝陽に会うと、彼もそのテレビを見ていたようで直ぐにその話題になった。「昨日のニュース見た?」「見た、やっぱりあの時のあの男だよな」「俺もそう思った。殺されたって?」「そうみたいだな」警察の発表では昨日の未明に駅裏の路地で発見されたとの事だ。撲殺だったらしい。「まさか、深見さんが…」「まさか、それはいくら何でも。大人の男を女の子が殴り殺すなんて」朝陽の言葉を浩太はすぐに否定する [続きを読む]
  • 壱拾捌(十八)
  •  男が立ち去ったのを見て朝陽は浩太の傍に戻って来た。「何だったんだろうな、あの男。なんか、随分嫌な感じだ」朝陽の言葉に浩太は頷く。「でも、おまえは凄いな」「何が?」「どんな奴かも分からないのにあんな風に直ぐに行動に出る」「だって、からまれてたのクラスメイトじゃん」「そうだけど…もしかして何か凶器とか持っていたらただじゃ済まないぞ」「そんな事、咄嗟に考えている暇ないよ。だって深見さん困っていたみた [続きを読む]
  • 壱拾質(十七)
  •  翌日、朝陽と顔を合わすと彼もやはり調べたようでそれらしき事件のような物は何もなかったと言った。浩太もヒットしなかった事を告げる。「お前も探したんだ」朝陽はやっぱりと言いたげな顔で浩太を見る。「うん、なんか、気になっちゃって。でもなんか悪い事した気分だ」「でも、別にそれで何か出たからってどうこうするわけじゃないんだし、あんまり気にしなくても良いんじゃない」「そりゃ、まあ、そうだけど」「第一これ、 [続きを読む]
  • 壱拾陸(十六)
  •      三. 学園祭は盛況のうちに終わった。やはり高校の文化祭は中学の時とは雲泥の差だ、この学園がこういう行事に特に力を入れているという事もあるのであろうが規模も人も比較にならないと感じた。生徒も観覧に来た人も大いに盛り上がった。演劇では教師も生徒と一緒に舞台に立つ、それも教師が指導するのではなく生徒の演出の下でキャスティングされる。教師と言えどその配役に異議を唱える事は出来ない。選ばれた役に [続きを読む]
  • 壱拾伍(十五)
  • 「そんな、いつまでもキツネにつままれたような顔していないでよ」浩太が呆然としていると和は無表情のままそう言った。「あ、否。でも、驚いた」それは浩太の正直な感想だ。「それならそうともっと早くに教えてくれれば良いのに」「何度か言おうと思ったのだけれど上條君、全然気が付かないから」「そうだけど…」「それにそれが分かったからって別に何がどうなるわけでもないし」「そうかも知れないけど」向こうだけが知ってい [続きを読む]
  • 壱拾肆(十四)
  • 和は眼鏡を外して浩太をじっと見る。まただ、と浩太は思う。この行為にはやはり何か意味があるのだろうか。「思い出さないって、何を?」浩太がそう尋ね返すと和は肩を落とす。「私、入試の時、あなたの隣の席にいたのよ」「え、あ、そ、そうだった?」思い出さないというのはその事なのか、否、そもそも入試で隣が誰だったかなんて普通覚えているものなのだろうか。「で、でもあの時は試験の事で頭がいっぱいだったから。隣の席 [続きを読む]
  • 壱拾参(十三)
  •  そうして翌日のホームルームが終わるとクラスのムードは学園祭の準備にすっかり様変わりする。学園祭は十一月の初旬、三日間行われる。あと一ヶ月もない、しかしその前に中間テストがある。学園祭の準備をしながら勉強もしなければいけない、クラブ活動をしている者はクラブでの出し物が優先になるがクラスの出し物を全く放置して良いというわけでもない。高校の行事がこんなに大変だとは思わなかった。この学校だけというわけ [続きを読む]
  • 壱拾弐(十二)
  •  久しぶりの朝陽の家での夕飯は楽しかった。何の陰りもないこの家の雰囲気にはいつも癒される。咲琴の話は相変わらずあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりで目まぐるしいがそれも楽しい。朝陽の家族はみんな浩太の家の事情を知っている。それでも何一つ変わらない。こんな大人もいるのだと思ったくらいだ。朝陽の父親は浩太の父より少し年上のようだ。極々普通のサリーマンである。会社の名前は以前聞いたが全く覚えていない。母親 [続きを読む]
  • 壱拾壱(十一)
  • 和の言葉に一瞬、その場の空気の流れが止まったかのような感じがした。「殺されたって…?」「そう、そしてある事件の加害者でもあったの。だから上條君に興味があったの。似ていると思ったのよ」「事件って?」朝陽が尋ねると和は視線を逸らした。「それは…言いたくない」「でも、深見さんは浩太のお母さんの事件知っているのだろう、自分の事は話さないって不公平じゃない」和の言葉に朝陽が反論する。「い、良いよ、朝陽。誰 [続きを読む]
  •  十月に入ると学校のムードは体育祭一色になる。進学校であるにも拘わらず、この学校はこういった行事にも力を入れている。人と人との和を成すという事はこういう行事で互いが協力し合うという事も大きな学びの一つだという事らしい「競技であるから勝つ者もいれば負ける者もいる。勝つ為に努力をする事、負ける者の気持ちを知る事、全てが己の為である。昨今、何事にも平等を唱える風潮があるが人生はすべからず平等ではない、 [続きを読む]
  • タイトル決定
  • 皆様、こんばんは。ここ最近、やたらと来客があり、なかなか筆をすすめられませんm(_ _ )m でも、今書いている新作の題名がやっと決まりました。タイトル「深層の滓」(しんそうのおり)です。そして今進行中の第一章のサブタイトルが「錯綜」です。 サブタイトルにつきましては仮題となりますのでもしかしたら変更もあるかもです。 明日にはまた更新できるよう頑張ります。 今後とも宜しくお願いします。 [続きを読む]