葉菜 さん プロフィール

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葉菜さん: タイトルのないミステリー
ハンドル名葉菜 さん
ブログタイトルタイトルのないミステリー
ブログURLhttps://ameblo.jp/mio-r
サイト紹介文長編推理小説です。 犯人を想像しながらゆっくり読んで頂ければ嬉しいです。
自由文人間関係が複雑に絡み合って誰が犯人か分からない・・正直作者もまだ決めていない???
お楽しみ頂ければ幸いです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供216回 / 365日(平均4.1回/週) - 参加 2010/07/14 18:49

葉菜 さんのブログ記事

  • 魔魅ー1
  • 第二十話 「魔 魅(まみ)」     一.   仕事を終えてアパートに戻った由布子は今日の出来事を思い出して一人笑った。由布子はブテッィクに勤めている。秋田の奥深い田舎から出てきた由布子の事を店長はいつも馬鹿にしている。でも今日はちょっと良い事があった。  店の前で立ち止まってマネキンを見ていた若い女の子に声を掛けた。彼女は眩しそうにその服を見ていた。ファッションにあまり頓着していない様なそ [続きを読む]
  • 猜忌−32<最終回>
  • ただ、薫が辞めたと聞いた時、私はそれが私の放った言葉のせいだとはすぐには思わなかった。何故だろう、私は薫に何を言ったか翌日には忘れていたのだ。どうして急に辞めてしまったのだろうとさえ思った。私は自分が心のバランスを失っている事に気付いていなかった。真弓の事も無意識に記憶から消し去ろうとしていたのだ。それに気が付いたのは階段から転げ落ちて行く千凡を見た時だった。その姿が真弓と重なり、私は起こってい [続きを読む]
  • 猜忌−31
  • しかし、その目論見は上手く行かなかった。庭の岩も植木鉢も千凡を直撃する事は無かった。なんて運の強い子だろう、私は橋本に更にさめざめと苦しい胸の内を伝える。彼はどうしてそうなのかを聞く事も無い、彼にとって理由など必要なかったのであろう。私が泣いている、辛い状況である、その原因を取り除く事だけが彼の正義なのだ。私が何故そのように思っているか等は関係がないのだ。それは予想通りであった。そしてそれこそが [続きを読む]
  • 猜忌−30
  •  DNA鑑定で真弓と親子である事が証明されてしまった、逃れようのない現実、私はこれからどうすれば良いのだ。この先の人生を真弓の娘として生きていくのか、今迄水原家の娘として生きてきた私にとってそれは耐え難い事のように思えた。「何を言っているの、あなたは水原家のお嬢様よ。決まっているじゃない」狼狽える私に真弓は平然と言い放った。「で、でも…」「あなたはお嬢様になる為に生まれてきた子よ。だってどう見て [続きを読む]
  • 猜忌−29
  •         五. 階段を転げ落ちて行く千凡を私は見下ろしている。その姿があの女と重なる。奥に入った姉の梨佳子が飛び出してきて私を見上げる。そして千凡を突き飛ばした私の伸びた手を驚きの目で見ている。何もかも終わりだ。咄嗟に手が出てしまった。どうしてこんな事になってしまったのだろう。私が悪いわけじゃない、私はここに居る為にどれ程頑張って来た事か。どれ程、努力を重ねてきたか。ここで周りの人達の羨望の [続きを読む]
  • 猜忌−28
  • そうして一月が過ぎた。あれからおかしな事は何も起こらない、色々な事が立て続けに起こったからただの偶然をそうでない、誰かの仕業かのように思ってしまっただけなのかもしれない。そう思い始めた頃の事であった、お屋敷の家政婦の薫が突然訪ねてきた。「実は、あなたのお母様の事でお聞きしたい事があります」薫は私の顔を見るなりそう切り出した。「母の?」薫と母は面識がない筈だ。「あなたのお母様は私がこちらに来る前ま [続きを読む]
  • 猜忌−27
  • 「で、何を言ったの?」「橋本さんはいつも私の事を褒めてばかり下さるの、私には何でも揃っているとかそんな事、で、私、そんな事ないのよって。うちに住んでいる同じ歳の女の子は私に無いものを持っているの、だから羨ましいって思う事があるって」「羨ましい?」「何だかとても自由に生きているみたいで、近くで見ているとあんな風に生きられたら良いなって思うって」「それで?」「それだけよ」真莉愛の言葉に梨佳子は首を捻 [続きを読む]
  • 猜忌−26
  • 私は真莉愛にその事を聞いてみたいと思った。だけどもし何も聞いていなかったら、下手な事は言えない。私は今更私の出生の秘密を暴いて水原家に波風を立てたいとは微塵も思っていない。しかもあの話が真実かどうかも定かではない。考えてみたら母と旦那様がそんな関係にあったという事も想像し難い。旦那様が奥様をとても大切に思っている事は見ていて分かる。大旦那様もそう言っていた。だから母と浮気をするなんて考えられない [続きを読む]
  • 猜忌−25
  • 「見知っているとは?」刑事の質問に梨佳子は少し間をおいて口を開いた。「真莉愛の…真莉愛の出ているコンサートとかによく来ていた人です」「コンサート?」「あ、ええ。真莉愛はピアノやバイオリンとかのミニコンサートの様なものを時々開いています。どなたかに招待されて一曲、奏じたりという事もありますので。そういったところでよく見かけていました」「つまりあの男は妹さん、マリアさんのファンであったという事ですか [続きを読む]
  • 猜忌−24
  •         四. 「何かお心当たりでも?」あの男が言っているのが真莉愛の事だとは限らない、マリア様と言うのは何かの、誰かの象徴である事もありうる。ここで真莉愛の名前を出したりすると私が疑っていると思われるのではないかと思ったが言わなくてもどうせ分かるに違いない、どうしようかと迷っていたら奥田が先に口を開いた。「水原家の娘に真莉愛と言う子がいますね」「水原家?」「あ、ええ、私が依頼を受けた家です [続きを読む]
  • 猜忌−23
  • 「危ない!」雑踏の中に叫び声が響く、その瞬間、私は誰かの手によって歩道に引きずり戻された。危うく轢かれる寸前だった私は激しく波打つ心臓を抑える様にして顔を上げた。周囲の人が私を見下ろしている。そして私は私を車道から戻してくれた手の主を見る、見知らぬ男性だ。三十代半ばと言ったところだろうか、ジャケットにジーパンというラフなスタイルで少し日焼けした屈強な感じの男性だ。「このままここで待っていて下さい [続きを読む]
  • 猜忌−22
  • 大旦那様の「おまえは私に似ている」という言葉が胸に残った。私も時々そんな風に感じる事があったからだ。その日の夜の事だった、不意に真莉愛が訪れた。前に来て以来ずっと来ていなかったが元々来た事が無かったので姿を見なくても別段気にも留めていなかった。「千凡ちゃん、久しぶり」「あ、うん。そうだね」何をしに来たのだろう。梨佳子が来てもそう思うのだが真莉愛に対する気持ちとはどこか少し違う。やはり私は真莉愛に [続きを読む]
  • 猜忌−21
  • 「結婚前にはそう思った女性もいるよ、でも会社を継ぐ事になって諦めた」結婚前という事は何年前だ?梨佳子と真莉愛の父である旦那様は確か四十代半ばくらいだ、という事はそれより前という事になる。それは母とは関係ない、母はまだその頃赤ん坊か否、多分生まれる前だ。「どうして諦めたのですか?好きだったのじゃないのですか」母とは関係無いとは分かってもなんだか聞いてみたくなった。「まあ、その時はそう思っていたがお [続きを読む]
  • 猜忌−20
  • 「何故、そう思う?」「それは…」屋敷の中で起こった事は言い難い、それは暗に屋敷の人間が疑わしいと言っているようなものだから。「最近、階段や駅のホームで転んだのですけどその時、誰かに押された様な…」そう言った時、大段様の表情が少し厳しいものになった。もしかして的を突き過ぎたのかとも思ってしまう。「誰かにそういう事をされる覚えはあるのか?」「あ、えっと、それは、特に…でも私に何もなくても相手がどう思 [続きを読む]
  • 猜忌−19
  • こんな事が立て続けに二度も起こったりするだろうか。誰かが故意に仕掛けている。それは私の命を狙っているという事なのだろうか、でもどう考えても人に命を狙われるような覚えはない。それとも自分でも気が付かないうちに人の恨みを買うような事をしてしまっていたのだろうか。そうは思っても元々人とそれ程深く関わったりもしていない。特別仲の良い友人もいない、恨みや妬みを買うほど誰かと親密になった事など無い。やはり気 [続きを読む]
  • 猜忌−18
  • 三. 夏が過ぎ私も大学生活に大分と慣れてきた。大旦那様はあれから時々私のところを訪れるようになった。絵画道具を買い込んできて時間のある時にあの家で絵を描いて過ごしたりするようになった。私もその時は一緒に描いたりする。何を喋るわけでもない。ただ、時がゆっくりと過ぎていく、そんな感じだった。それは私にとって案外心地よい時間だった。でもその事を知っているのは梨佳子だけであった。絵を描いている [続きを読む]
  • 猜忌−17
  • 「それはそうと、何か良い匂いがしているな」大旦那様は部屋の中を見回して何かの臭いを嗅ぐような仕草をした。「あ!カップラーメン!」私は思わず大きな声を出した。「大変、きっともう伸びちゃっているよ」私が何処にあるのだろうとキョロキョロと見回しながら梨佳子の顔を見ると梨佳子は少し困ったような表情になる。「カップラーメン?」大旦那様が何だそれは?とでも言いたげな顔をして私を見る。それと同時に梨佳子はバツ [続きを読む]
  • 猜忌−16
  • 「どうして鍵をかけていない?」いきなりそう言われて私は少し面食らった。屋敷の敷地内にあるので出掛けて留守にするとき以外は今まで鍵など一度も掛けた事は無い。斎藤も母も掛けてはいなかった。「え…あの、だってお屋敷の敷地の中ですし…」「女の子が一人で寝泊まりしているんだぞ。何かあったらどうする」そんな事は全く考えた事が無かった。屋敷の周りには防犯カメラも取り付けてあるし、第一あのお屋敷なら兎も角、その [続きを読む]
  • 猜忌−15
  • 自分の住まいに戻った私は居間に着くと力が抜ける様に座り込んだ。(はーっ!)「疲れたぁ〜」大きな息を吐いて私はテーブルに顔をうずめる様にして思わずそう言葉を発した。料理は殆ど食べた事も無いような贅沢な品揃えであったが全く味を噛みしめる余裕もなかった。あんな生活を毎日普通に送っている梨佳子の事を改めて尊敬に値するとまで思ってしまった。私には到底出来そうもない。やはり人は分相応のところに生まれてくるよ [続きを読む]
  • 猜忌−14
  • ふと、視線を感じて私は顔を上げた。みんながこっちを見ている。そんなにみっともない食べ方をしていたのだろうかと思った。「絵を続けているか?」大旦那様が私を見てそう言った。(え…?)何の事かすぐには分からなかったがこの間スケッチを見せた事を思い出した。「あ、気が向いた時には…」「そうか。実は私は若い頃画家を目指した事がある」「あら、そうなんですか?お義父様のそんなお話初めて聞きました。あなたは知って [続きを読む]
  • 猜忌−13
  • 奥様は私の真っ赤に染まった右手を見て屋敷の中に向かって叫んだ。「誰か!誰か来てちょうだい!」その声に家政婦が顔を出す。「薬箱を持ってきてちょうだい!」「あ、あの、大丈夫です…」「大丈夫じゃないわ、こんなに血が出て、ああ、どうしましょう」まるで自分の事のように狼狽えている奥様に私はちょっと不思議な感覚になる。でもそれが何なのかは分からない。「何の騒ぎ?」声を聞きつけた大奥様が顔を見せた。「千凡ちゃ [続きを読む]
  • 猜忌−12
  • 「ねえ、お嬢様って大変?」私がそう聞くと梨佳子は笑った。「何、それ?」「初めてここに来たときは、正直羨ましかったんだ。綺麗な服着て美味しい物いっぱい食べられて、私、あの頃いつもお腹空かしていたから。お腹いっぱいものを食べるなんて夢の中だけだったもの。でも、ずっとここに居る様になってあなた達を見ていたらなんか大変だなあって」「どうなんだろう、こっちも生まれた時からここに居るからこれが普通だもん」「 [続きを読む]
  • 猜忌−11
  • 母は私に内緒でこのような鑑定をしていたのか。一緒に暮らしているのだから私のDNAなど手に入れるのは簡単だ。だけどそうまでしてこんな分かりきっている事を今更証明する必要が何故あったのだろう。万一私が水原家の誰かの子だとしたら証明するのは母と私の親子関係ではなく父に当たる人間と私との親子関係を証明するべきなのではないかと思う、なのに、何故母だったのだろう。胸の中で疑問が渦を巻く。私は疑問を抱えたまま [続きを読む]
  • 猜忌−10
  • 「で、でも私がもっと注意していたら…」「そんな事、今更言ってもどうしようもないじゃない。あの時こうしたらって、過去を振り返ったって何も変わらないし、戻ってくるものもないでしょう」私の言葉に真莉愛は不思議な物でも見る様に目を大きく見開いて私をじっと見た。「…私を恨んでいないの?」「恨む理由なんてないもの」「恨む…理由が、ない?どうして?私は千凡ちゃんのお母さんを…」「不可抗力だった、そうでしょう。 [続きを読む]
  • 猜忌−9
  • 二. 母が死んで一週間が過ぎた。何が起こったのか、理解する間もなくただ日々が過ぎて行ったという感じだった。葬儀は全て水原の家で手配をしてくれた。私は何をすれば良いのかも分からず言われるがままに動いていた。特に知り合いもいなかった母の葬儀に訪れる人もなく、水原の家の者やその使用人達だけでの静かな葬式であった。真莉愛はその葬儀の間中泣いていた。ずっと真莉愛の世話をしていた母は私より真莉 [続きを読む]