kururik さん プロフィール

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kururikさん: softparanoia
ハンドル名kururik さん
ブログタイトルsoftparanoia
ブログURLhttp://softparanoia.blog53.fc2.com/
サイト紹介文ボーイズラブと一般小説を公開しています。18禁もあります。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供92回 / 365日(平均1.8回/週) - 参加 2010/09/02 17:13

kururik さんのブログ記事

  • 恋花火7
  •  海岸からそう遠くないホテルに弘毅は部屋を取っていた。十一階のエレベーターからすぐ近くの部屋。ドアを開け先に入った弘毅の後に俺は続いた。戸惑いは覚えつつも。 空調が程よく効いている。寒すぎないぐらいのサラサラな風が顔に触れる。 背後でドアが閉まったとたん、弘毅が俺を振り返った。さっと縦に抱き上げられ、次の瞬間にはベッドに落とされていた。「弘毅、ちょっと待てよ」 部屋に入ってすぐこういうことになると [続きを読む]
  • 恋花火6
  •  二十時半過ぎに花火大会は終了した。潮が引いたみたいに、人で賑わっていた砂浜が無人になった。 俺は台船の機材を、他の従業員と共に撤去して、トラックに運ぶ作業を行った。一時間程度で全てを車に詰め込み、掃除も済ませたところで、叔父が大声で皆に声をかけた。「思ったより早く終わったから、飯でも行こう」 周りから「やったー」と喜びの声が上がった。今日は皆、昼抜きで作業を行っていた。俺もさっきから腹が減ってい [続きを読む]
  • 恋花火5
  •  玉置屋は親族とその関係者ぐらいしか社員を雇い入れていない。でもさすがに、花火大会や花火を使ったイベントが目白押しの七月、八月は正規従業員だけじゃ仕事が回らない。臨時スタッフを大量に追加して、夏を乗り切る。 七月の最終週に、地方に遠征して水中花火を打ち上げてきた。仕事場でほとんどの準備作業を終え、トラックで現場に移動し、本番を行う。花火大会が終ったら休む間もなく機材の撤去をし、宿泊せずに深夜の高速 [続きを読む]
  • 恋花火4
  •  深夜三時ちょうどにスマホのタイマーが鳴った。俺は急いでフローリングの床から起き上がった。俺の周りには小玉スイカ大の玉がごろごろ転がっている。自分が玉貼り――星を詰めた玉に少しずつ紙を貼っていく作業――をしたものだ。この最終工程が終わったら、あとは乾燥させるだけだ。 視界がちょっとぼやけている。寝起きのせいかと、目を擦ったら、指が濡れた。 あ、と俺は思い出した。さっきまで夢を見ていた。地元の花火大 [続きを読む]
  • 恋花火3
  •  食事を終えたあと事務所に行き、叔父の奥さんからTシャツを一枚買った。黒字に『玉置屋』の白抜文字が印字されたものだ。スタッフ全員が着ていてユニフォームみたいなものだ。すでに二枚持っていたが、痩せてサイズが合わなくなった。「とうとうSになっちゃった? ヤバいわよ、ちょっと」 叔母がバンバン背中を叩きながら言う。「この激務をどうにかしてくれればすぐ太れます」 俺が言い返すと、「何言ってんの。仕事大好き [続きを読む]
  • 恋花火2
  •  五時間寝たあと、また会社に向かった。俺が勤務する煙火製作所――玉置屋はアパートから自転車で五分の場所にある。けっこう田舎だから、車通勤する従業員も多い。 駐車場の隅に自転車を置いて、俺は仕事場を目指して走った。扱うものが危険物のため、工場の敷地はだだっ広い。持ち場まで走ると軽く汗ばむぐらいだ。ちらほら見かける先輩後輩に挨拶をしながら、ドアを取っ払った小屋に入った。そこには星掛け機が一台置いてある [続きを読む]
  • 恋花火1
  • ※短編です。原稿用紙換算で56枚の短編です。ちょっと切ないけど基本甘いお話。執着攻めと職人受け。体格差カップルです。ハピエンです。 十五時間勤務を終えて、やっと俺はアパートに帰って来た。深夜一時過ぎ。これでも早い方だ。午前様で帰ってくることなんて、ざらだ。夏は。 狭いフローリングを通って、ユニットバスに入る。軽くシャワ―を浴び、パンツだけを履いて万年床に寝っ転がった。パジャマを着る余力もない。疲れて [続きを読む]
  • 吉田と日下21(完結)
  •  翌朝、起床時刻ちょうどに三人は起きて、布団と毛布を片付けた。 まだ寝ている鈴木に声をかけると、毛布を被ったまま「今日は休む」と言ってきた。吉田たちが頼むまでもなく、昨日の深酒でダウンして欠勤してくれる。 三人はいつものように動いた。朝食はタイ米を大盛、味噌汁を少々、腐っていなさそうな惣菜を選び取って、適当に座る。「今日も堂本は休みだ。でも安心しろよ。新しい人員が夕方ここに来ることになった」 相変 [続きを読む]
  • 吉田と日下20
  • 二回目の射精を終えたとたん、日下の動きは機敏になった。萎えたものをさっさと吉田から抜いて布団から出る。精液がたっぷり入ったゴムの口を縛ってゴミ箱に投げ入れた。長袖TシャツとジーンズをVTRの早送りのような速さで身に着けていく。ぼんやりとそれを目で追っていると彼に怒られた。「おまえもさっさと着ろよ」吉田は尾を引いている快感を無理やり断ち切った。まだ緩んでいる後孔にティッシュをあてがい、ローションを拭 [続きを読む]
  • 吉田と日下19 R18
  •  日下の不機嫌は、現場でも続いた。一日の作業を終えてミニバンに乗り込むときも、あからさまに吉田を避けた。日下の定位置は吉田の隣――三列目の左側なのに、今日は違った。いつも助手席に座っている堂本が現場に来なくて空いていたので、そこに座ったのだ。 ――なにか狙いがあって助手席に座ったのかも。 吉田は悪く考えないようにした。でも昼休憩中、日下からは一切話しかけてこなかった。それが気になっていた。 飯場に [続きを読む]
  • 吉田と日下18
  •  十月十日。給料日当日の六時前。頭まで被せていた毛布をいきなり捲られ、胸倉を引っ張り上げられた。首ががくがく揺れたと思ったら、頬に熱い衝撃が走った。最初は右、間髪入れずに左にも。 吉田は意味がわからなかった。朝いきなり、ビンタされたのだ。心臓がドクドクと鳴った。恐怖で喉がカラカラになった。 恐る恐る顔を上げる。と、吉田の布団には、和倉が仁王立ちしていた。「――なんですか、いきなり」 無様にも声が震 [続きを読む]
  • 吉田と日下16
  •  外からは雨音が聞こえてくる。傾いたプレハブ小屋のなかまで湿気た空気が入り込んできている。 一睡もできずに毛布にくるまったまま天井を眺めていると、とつぜん小屋のドアが乱暴に開いた。「吉田、いるか?」 堂本の大きい声が室内に響いた。なんとなくこうなると予想はしていた。 吉田はむくりと起き上がり、「いますけど。なんですか?」と少し驚いた声を出した。 新聞紙の三和土に堂本が立っている。腕にはタロウを抱え [続きを読む]
  • 吉田と日下13
  •  その日の夕食後。使った皿を片して四人がプレハブ小屋から出ようとすると、吉田と日下だけ留まるように堂本に声をかけられた。 もう一度同じ席に座りなおした二人の向かい側に、和倉と堂本が並んで座る。彼らは友好的な顔を一切していない。 ――なにか俺ら、ポカでもしたか? 急に不安に襲われる。昨晩のセックスが脳裏に浮かぶ。もしやバレたのではと、首筋に嫌な汗が流れた。隣にいる日下は、無表情を通している。 和倉が [続きを読む]
  • 吉田と日下10
  •  午前十一時にミニバンで現場に向かい、基礎工事を行った。ひたすら人気(ひとけ)のない山道を掘って、石を埋めていく作業だ。これにより、道が崩れることを防ぐのだ。 九月に入り、過ごしやすい気候になっている。湿度も高くない。 スコップで土を掘る作業はそこまで辛くないのだが、さっき剃毛した場所がヒリヒリして集中できない。カミソリ負けしたようだ。 今日は欠勤者もおらず、和倉も堂本も作業に参加したおかげで、仕 [続きを読む]
  • 吉田と日下7 R18
  •  消灯時刻三十分前。小屋の中では鼾の二重奏がかかっている。吉田は自分の布団の上で、急いでTシャツとジーンズ、下着を脱ぎ捨てた。ナイロン製のボディタオルと普通のタオル、石鹸を持ってドアに向かう。三和土代わりの新聞紙には、すでに裸の日下が立っている。日下が先に外に出た。吉田も後に続こうとして、ふと、背後を振り返った。布団の上で大の字になって寝ている鈴木と菅井は、毛布も被らずに大口を開けて眠りこけている [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 五年後 初めての「最後まで」
  •  お盆休み二日目。遅く起きた朝。 向かい側の席で食後のほうじ茶を飲む雄太を、栄貴はぼんやり眺めていた。 昨日は雄太の部屋に泊った。今日の朝ごはんは和食だ。ほかほかの白飯に、豆腐入りの味噌汁、卵焼き、焼いたアジの開き。栄貴的にはかなり豪勢な朝ごはんだった。雄太が作ってくれた。 栄貴も食事を終え、箸を置いて「ごちそうさま」と言った。美味しかったので食が進んだ。なんとなくだが、いつものパン食よりエネルギ [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 エピローグ
  • 「えいき、えいき」 雄太の声で、栄貴は目を覚ました。エッチのあと、自分は眠ってしまったようだ。「そろそろ起きて。ご飯食べに行こう」「ん……」 気が付くと、栄貴は雄太の汗ばんだ背中にぎゅっと腕を回していた。絶対離れないというように。恥ずかしい。 栄貴はゆっくり雄太から体を離した。自分の体も汗ばんでいる。末端も冷えていない。「俺さあ、雄太の体温高いところ、かなり気に入ってる」 秋冬は湯たんぽ代わりにな [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 25 R18
  •  雄太は白のワゴンを運転してS区まで来ていた。栄貴は車に乗せてもらい、経堂まで戻った。アパートの前に横付けしてもらって車から降りると、雄太もエンジンを切って外に出てきた。時刻は午後七時を過ぎている。「なに? ついてくんの? お前」 栄貴が突っ込むと、雄太が慌てたように「玄関までだから」と言う。そういうことならと狭い廊下を二人ならんで自室の前まで歩く。玄関ドアを開け栄貴が中に入ると、雄太が外から名残 [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 24
  •  栄貴が雄太とさようならをして五日が経った、十一月二十二日、木曜日。 夜の八時、ミーティングルームで栄貴が休憩していると、隣の席に誰かが座った。「お疲れ様です」 だいぶ笑顔が明るくなった真壁が、コーヒーを渡してくる。礼を言って、栄貴は一口飲んだ。「明日、皆で紅葉を観に行こうって話が出てますけど、相原さんは行かないんですか」「行かない。明日、用事があるから」 栄貴は目の前に広がるパノラマの夜景を眺め [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 23
  •  三人はソファセットに場所を変えて、コーヒーを飲みながら話をした。 泣き止んだ真壁は、この三年間のことを怒涛のごとく話し出した。相当うっ憤が溜まっていたようだ。「一回電車で漏らして、それがトラウマになったんだ。また漏らすんじゃないかって不安になって、漏らしたときの周りの冷たい目を思い出して」 涙の跡を指で擦りながら、真壁はコーヒーを啜った。「漏らしたのは、浮気でひどい目に遭った日の二日三日あとだか [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 22
  •  土曜日の午後。栄貴は雄太に誘われて、三軒茶屋のパブリックシアターで、劇を観賞した。二十年の歴史がある劇団の公演だった。タイトルは『ブラックフィールド』。ストーリーは、「起きたら知らない場所だった」系。性格の悪い男が、真っ暗な部屋でここがどこなのか推理する、シチュエーションスリラーだった。観終わったあと、ふたりは劇場を出た所で、立ったまま感想を述べあった。「けっこう怖かったな。ずっとドキドキしてた [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 20
  •  栄貴が自分のアパートに着いたのは十九時半過ぎだった。玄関のドアを閉めて、ふうっと息を吐く。もう苛立ちは残ってない。あるのは後悔だ。 ――まずいよな、あの態度は。 上司の長山を無視して、異動願いをプリントアウトし、必要事項をボールペンで記入した。印鑑を忘れたので、家に持ち帰ったが。 明日出す? 出さない? と自問する。でも出すって言ってしまった。 それにしても誰も栄貴のことを必要だと言ってくれなか [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 19
  •  皆の前で真壁が栄貴に「酷い冗談」を言ったことを詫びてくれたが、焼け石に水だ。職場の一人には、さっきの栄貴の怒り方が不自然だと不審な目で見られ、ある一人にはこれだけ面が良ければ隠し子の二人や二人いてもおかしくないと囃し立てられた。 ――仕事しづらい。 席に戻って三十分経っても、まだ栄貴の隠し子ネタを口にする人がちらほらいた。「相原、子供いま何歳? 男? 女?」 遠くの席からわざわざ、意地の悪い声で [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 17
  •  十一月七日、水曜日。二十時五十分。 締め切り十分前に、栄貴はコンペの応募作品を所定のアドレスにアップロードした。完了のメッセージを確認し、安堵のため息が出る。同じチームのメンバーも僅差で応募作を次々と上げている。 ――けっこう参加数多いな。 参加を明言せずに、こっそり作品を制作していた人もいる。締め切り二週間ぐらい前から、リモート勤務をするメンバーが増えたのだ。 通勤派の栄貴は貧乏くじを引く結果 [続きを読む]
  • 秋のサナギ2 15
  •  翌日から、栄貴はいつも以上に仕事に励むようになった。仕事中、ぼんやりする暇を自分に与えたくなかった。コードを打ち、本リリース間近のサイトの最終チェックをし、隙間時間が出来たらマニュアルを作成し、外線がかかってきたら率先して受話器を取った。頑張った甲斐があって、ぼんやり物思いにふけることはなかった。でもトイレで用を足して手を洗っているときに、心が緩んだ。雄太の顔が瞼の裏に浮かんでしまう。抱きしめら [続きを読む]