KATARA さん プロフィール

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KATARAさん: Novel & Scenario (小説と脚本)
ハンドル名KATARA さん
ブログタイトルNovel & Scenario (小説と脚本)
ブログURLhttps://ameblo.jp/novel-scenario/
サイト紹介文ゲイとレズビアンの2組のカップル、その結婚はカムフラージュ…新作≪ 友情結婚 ≫全文公開中
自由文散り散りになった家族の春までの物語…小説≪ 明るい離婚計画(仮)≫など
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供422回 / 365日(平均8.1回/週) - 参加 2010/09/21 19:37

KATARA さんのブログ記事

  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −49−
  • 大きな荷物の運搬は引越業者に任せ、真歩と昇太が手伝ったのは荷造りと開封と家具類の微妙な配置。夏美の新居は3階建てアパートの3階でエレベーターはなく、荷物の運び込みは勿論普段の出入りも楽ではなかったが駅に近く料理教室もすぐだった。ベランダの陽当たりはよくひとり暮らしには余裕のある1LDK。健次郎は手伝うのも妙で荷物を運び出すあいだずっとリビングにいた。テレビをつけ3人が声をかけ合うのを遠く聞きなが [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −48−
  • 自分の席に戻るとスマートフォンが振動し夏美からLINEが来た。それについて真歩から電話があったのは夜。昼と同じようなコンビニ弁当の夕飯を食べていると電話があり、「はいもしもし」と昇太が出ると、「私。ママから連絡来た?」と真歩はすぐ話に入った。「ああ、今日の昼間LINE」「引越し?」「土曜に1日で済ますって」昨日アパートを契約し明日の祝日から出入りできること、夏美が休みを取ったのは土日でそれまでに [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −47−
  • 勤労感謝の日を前にした水曜日。昇太が昼休みに会社近くのコンビニで弁当を選んでいると「お疲れさまです」と声をかけられた。見ると高橋彩で、「おお、お疲れさま」と昇太はうなずく。高橋彩は去年入社した社員で社内向けのヘルプデスクに配属された24歳。オフィスが昇太のいるシステム管理部の隣りで、一度懇親会という名の飲み会があって知り合った。仕事で絡むことはないが同じフロアなのでたまに顔を合わせる。挨拶程度の [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −46−
  • 「してもダメな時ある」健次郎が首を振る。「めいっぱいした?」「そういう無理できるのは、気持ちあってでしょ」夏美が言い聞かす。「真歩には申し訳ないけど、昇太にも」目を伏せてうつむく。「ふたりは立派に自立したし、あとはもう自分のね、幸せだけ考えたいの」「――」「今まで幸せじゃなかったみたいだね」健次郎が目をそらして言う。「え?」夏美が見ると、「子供の犠牲になったような」真顔で首を振る。「そんなつもり [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −45−
  • 食事のあいだはなごやかで真歩は別居の話が間違いではないかと思えてくる。しかし気づくと両親が直接話すことはなく会話はすべて真歩を介して。なごやかさは演技で空々しく思え、それでも自ら切り出さないふたりに腹も立ってくる。すき焼きが残りわずかになって真歩はホットプレートのつまみを調整した。「昨日の釣りってどこ行った?」「ん?」健次郎が見る。「行ったんでしょ釣り。兄貴に聞いた。藤井のおじさんと?」「あぁ、 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −44−
  • 「ただいま」と真歩が実家の玄関を入ると、「いらっしゃい」健次郎はリビングから顔を出し「おかえり」と笑顔で迎えた。風呂のあとすっかり髪は乾かし髭まで剃ってこざっぱりしている。真歩と夏美はホットプレートにすき焼きを用意した。「いただきます」と3人が手を合わせ箸を伸ばしてすぐ、「そう言えばこのホットプレートずいぶん使ってるね」と真歩が言う。「20年ぐらい」夏美がうなずき、「福引だっけ?」「最初のパソコ [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −43−
  • 「どうだったかな」夏美は首をかしげる。「それよりなに食べたい? 食べるでしょ夕飯。どこにする?」「あぁでも、なんか買ってくんでもいい」と真歩は首を振る。「家?」「パパなんか買ってるかな? つくってる?」「どうだろ」と目をそらす夏美に構わず、「なに食べたいか聞いてみよっか」と真歩はスマートフォンを出す。電話をかける。健次郎は風呂に入っていた。夏美の帰宅前に済ませられる用は済ませておくのが習慣で、鳴 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −42−
  • 翌日の日曜に真歩はLINEを送り夏美の仕事が6時までと聞いて料理教室のあるビルに向かった。2階の廊下にはもうひとり男が立っていて真歩のことを見るような見ないような微妙な態度だったが真歩はスマートフォンを操作し無視した。6時5分に事務室横の更衣室から出てきた夏美は真歩に笑いかけたあと男に気づき「あら」と驚く。「お疲れさまです」と男は礼儀正しくお辞儀する。「どうされました?」「いえ、もしお時間あれば [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −41−
  • 「ていう話」昇太が締めくくると、「はぁ」真歩はため息をつく。食事の手はすっかりとまっていた。「いいんじゃね? ふたりがいいなら」と昇太は軽く言う。「兄貴は? いいの?」真歩が聞くと、「反対する理由ない」昇太は首を振る。「俺らがガキのうちはあれだけど、もう違うし。お互い別に暮らせるくらい稼いでて、一緒にいても楽しくないって言うんだ」「でも親でしょ」「うん――」「親が別れんだよ? 他人の親じゃなく私 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −40−
  • 「かもしれない」健次郎は自信なさげに言って行きかけ、「謝って」夏美はまた引きとめた。「ん?」「疑ったんだから謝って」「――」「なんでも自分でやるって言ったくせに」「これじゃあれだな」健次郎は抑えた口調で言った。「一緒にいても意味ないな」「――」「だろ。たまに話せばイラついて」「別れる?」夏美はそれ以外に言葉が見つからなかった。「そっちが望むなら」健次郎はうなずき、「そうね。特にいいことないし」「 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −39−
  • それは木曜の昼休みに夏美から聞いた話。10月半ばのある夜リビングでテレビを見ていると、「ちょっといい」健次郎が廊下から来て、「なに」夏美が返事すると、「冬物のコート知らない? 会社に着てくやつ」健次郎は離れたまま質問した。会話らしい会話はふた月ぶりで、「知らない」夏美が首を振ると、「いくら探してもないんだ」と健次郎はしつこく「そっちの部屋にないかな」「あるわけないでしょ」夏美はため息をついた。「 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −38−
  • 「そんなこともあんじゃん」昇太はなだめる口調。「いつも普通ってわけじゃない。普通じゃない時は変なリアクションする」「大人ぶって」「あんまツッコむなって」「お待たせしました」とさっきの店員が来た。「カルボナーラです」料理を置く。「ご注文は以上でおそろいでしょうか」「はい」昇太が返事すると、「ごゆっくりどうぞ。失礼いたします」伝票を置いて戻っていく。「理由はなに」真歩は料理に手をつけず「ショックなこ [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −37−
  • 「それでパパは? なんて?」「親父もそのつもりらしい」「別れる気?」「籍抜くのはすぐじゃない。俺らが結婚して片づいたあとって」「なにそれ」「体裁あるからと、相手の家族に」「結婚なんてそんな、いつになるかわかんないよ」「おめーもか」昇太は改めて真歩を見る。「なんだっての理由、原因」「うん――」昇太が言いよどむと、「いや言わないで」真歩は手で制する。「ちょっと待って」「ん?」「これ以上ショックなの立 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −36−
  • 「お待たせ」真歩が正面に座ると、「おお」はじめて気づいて顔を上げる。「料理頼んだの?」真歩がメニューをひらき、「頼んだ」昇太がうなずくと、「お待たせしました」と女の店員が料理を持ってきた。サラダとドリア。ドリアは先週圭吾が食べたのと同じもの。「あ、追加でカルボナーラとドリンクバー下さい」真歩が注文する。「はい、かしこまりました」「あと」テーブルに置かれたサラダを見て「これシェアしていい?」と昇太 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −35−
  • 真歩はその日午後になってスーパーに行き買い物したあと駅の逆側まで足を伸ばした。美容院「ウィズ」の前に来ると圭吾は店内にいてカット中の女性客と楽しそうに話していた。真歩は速度をゆるめ窺ったがこのまえのようには気づかれず、そのまま通過しアパートに帰宅。LINEのやり取りは先週ファミリーレストランで真歩がIDを知らせるのに折り返しただけだった。それ以上送るのは押しすぎな気がして真歩は控え、圭吾から来る [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −34−
  • 「母さんに会ったよ、木曜」昇太は切り出す。「品川で。料理教室休みって来て。一緒に昼飯って」「ふーん」「聞いたけど話、別れるって」「――そう」健次郎は目を伏せる。「マジなの?」昇太は淡々と聞く。「勿論マジだ」「いいの父さんは、それで」「いい?」「別れるんで」「そりゃいいさ。子供はもう自立したし、あとはお互い好きに、縛りたくも縛られたくもない」「ふーん」昇太は目を伏せる。「別れるったってしばらくは別 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −33−
  • 「どれどれ。さっきまで生きてたからな」健次郎は一切れつまみ「うん、うまい。脂のってる」とうなずく。「いただきます」と昇太もひとくち食べる。「魚なんて普段食ってる?」健次郎は缶ビールをあけ、「食わないね」「だろうな。俺も若いうちはそうだった。魚より肉だし」とビールを飲む。「うん」「でも体にいいって勧められて。釣りするようになってからだな。ほんとに進んで食うようになったの」「母さんでしょ」と昇太はも [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −32−
  • 健次郎が帰ってきたのは夕方4時すぎ。朝から外房に行き釣りのポイントをいくつかまわって釣果はアジ、ヒラメ、キスなどが6匹。釣り具とクーラーボックスをかかえ家に入ると奥に明かり、そして玄関に見慣れない男の靴があって「昇太?」と気づく。「おお、来てたの」リビングに来るとソファーに昇太がいて「おかえり」とノートパソコンから顔を上げる。「どうした」「ちょっとね、持ってきたい本あって」昇太はクーラーボックス [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −31−
  • 昇太が実家に来たのは土曜日の午後。母の夏美が料理教室でいないのはわかっていた。いるとしたら父の健次郎だが連絡はしなかった。前もって「話したい」と伝えるのは照れくさく、他に用がないわけでもない。実家にある本を何冊か取りに行きたいと前から思っていた。なのでふらりと訪れたテイ。おととい夏美と会ってから思い立ったので夏美にも言ってない。玄関でインターホンのボタンを押しても反応なく、昇太は自分の鍵でドアを [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −30−
  • 「客観的に見るとどお? 客観的なんて無理かもしれないけど。至らないのはお互いさまとして」「うん――」「分が悪いなら謝っちゃうのも手。負けるが勝ち」「引きとめたいってほどのあれもない」「でも言い出したのは夏美さんでしょ。出てくって」「言い出したのはそうでもさ。自然だった、どちらともなく」「そう――」「どっちが悪いとかじゃなく、もう関係がね、ダメなんだ。お互いふたりでいると嫌なヤツになる。努力はした [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −29−
  • 「健ちゃんに変わりないか。なんか気にしてた」「そう――」「今週末は暇って言ってて――なんかあったの」「うん――」目を伏せている健次郎に、「夏美さんとバチバチ?」忠信は察する。「もうそんなのないね」健次郎は首を振る。「うまくいってる?」「別れたいと」「夏美さん?」「今月末には出てくらしい」「――そう」今度は忠信が目をそらす。「それにしちゃ息子も娘もなんも言ってこない。あいつはまだ言ってないらしい。 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −28−
  • 健次郎が居酒屋「ふじい」に寄ったのは金曜の夜。「お、いらっしゃい」と威勢よく迎える忠信に、「久しぶり」とボケをかまし、「いやいや、先週来たじゃん」とツッコまれたあと、「ヘヘヘ」とカウンターの奥、一番端に座る。あいてる時はいつもそこが指定席だった。ビールを頼み魚料理を注文し、忠信に翌日土曜の予定を聞くと、「ダメだな。トーナメントあって」と忠信は首を振る。「将棋?」「2日がかり」忠信はおととしから町 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −27−
  • 「うん――」知るわけないか、と昇太は思う。「言わなかったみたいだし、結局」「うん」真歩の言う通り両親に会話はないんだろう、バカなこと聞いた、と思い「でも実際恋人できたら、すぐでも別れたくなんじゃない?」と話を変える。いつになるかわからない自分の結婚を待たれるのは気が重かった。それはさて置いても「そんな思い通り行くかな」と疑問。首をかしげると、「その時はその時」夏美はうなずく。「また考える」「ふー [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −26−
  • 「そうでもないよ」夏美は首を振る。「いつ決めたの」「先月の中頃かな」「きっかけは」「きっかけ?」「いや、親父に誰かいたとか、逆とか」「そんなわかりやすいあれじゃない。だんだん」「だんだん?」「『もうよくない?』って。子供は自立したし協力することもうないし」「うん――」「そんな暗い顔しないで」夏美は苦笑する。「当事者はスッキリしてんの。どうして離婚を悪いことって思うかな」「いいことでもないっしょ」 [続きを読む]
  • 小説 【明るい離婚計画(仮) 】 −25−
  • 「ああ」「うん――」そのまま目を伏せる夏美に、「長い話なら巻きで言ってよ」昇太はテーブルに置いたスマートフォンを見る。「2時には戻らないとまずいんで」画面の時刻表示は1時40分。「打ち合わせある」「そう」「重い話?」「なんで?」「なんとなく。ここらまで来て、食べたあとって延ばして」お冷やを飲む。「重くはないの」と夏美は首を振る。「私らにはね」「私ら?」「ママとパパ、別れるの」「――そう」「すぐっ [続きを読む]