むらさき茜 さん プロフィール

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むらさき茜さん: あかねノベル
ハンドル名むらさき茜 さん
ブログタイトルあかねノベル
ブログURLhttps://ameblo.jp/akane-novel/
サイト紹介文小説を披露するブログ。かわいらしさと鋭さを兼ねそろえた小説を書きたいです!
自由文アドバイス、感想お待ちしています!
もちろん、褒めてほしいだけじゃなくって、誤字脱字の指摘でも、なんでも受け付けます!!
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供38回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2010/11/07 23:43

むらさき茜 さんのブログ記事

  • くさまくら 其の三十三(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは--------------------「ちょっと、志貴!」突然すみれが叫ぶように怒鳴った。「あんた1人で食べ過ぎ!赤人たちの分ないじゃない」「いいじゃん、どうせいないんだし」そう言いながら、最後のカステラを口の中に入れた。「もう、この小さい体のどこに入るのかしら」「普通! 赤人らがでっかいんだよ」すみれの愚痴に志貴が重ねるように言う。「小さい小さい。縁ちゃんとそんな [続きを読む]
  • くさまくら 其の三十二(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「すみれさんとうちのお母さんって友達だったんですか?」カステラを頬張りながら縁は尋ねる。「ええ。小学校からずっと一緒だったの。私ね、今じゃ信じてもらえないかもしれないけど、子供の頃は引っ込み思案でね。男の子たちにからかわれて泣いてるのを、ミヤちゃんによく助けてもらったなぁ」志貴が用意されたフォークを使わず、手掴みでカステラを頬張ると、すみ [続きを読む]
  • くさまくら 其の三十一(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------赤人は一時間経っても、二時間三時間過ぎても帰ってこなかった。「ねぇ、旅人さんってどんな人?」縁はタオルを畳みながら、何気なく聞いた。その隣では、志貴が同じことをしている。「バカだね」志貴は吐き捨てるように太い声で短く返した。「そうじゃなくて…というか、二人はどうしてケンカしてるの?」縁は小さくため息をついて聞き返す。志貴は手を止めて、物思 [続きを読む]
  • くさまくら 其の三十(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「縁ちゃん! 良かった、無事だったのね。急に居なくなるんだもの、心配したわよ」志貴と縁が民宿さざなみに着くと、すみれが心底ほっとした様子で出迎えた。 「あんたの息子と逢い引きしてたんだよ」志貴は赤人と縁の秘密の話に入れてもらえなかったのを引きずっていて、機嫌が悪い。「えっと、赤人の方ね? 旅人とは面識ないものね?」「そういや、あいつ、遅くね? [続きを読む]
  • くさまくら其の二十九(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「あ!」と、赤人がいきなり叫んだ。その声に縁と志貴も立ち止まり振り返る。「縁ちゃん、ちょっと」赤人は小さく手招きした。縁は隣の志貴を気にしながら、ゆっくり進み出す。「何? 俺に聞かれてまずい話?」志貴は言いながら縁の手を掴む。そして赤人を睨んだ。「い、いや。というか、怖いよ」赤人は情けない声で言うだけ。志貴は変わらず睨み続ける。しばらく沈黙 [続きを読む]
  • くさまくら 其の二十八(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「来たわね」赤人がフェリーターミナルに着くと、縁はにこりともせずに言った。「自分で来いって言ったのにそれはないよー。夜通し車走らせたのにぃ」赤人が不満をたれると、縁は近くの自販機で缶コーヒーを買い、黙って赤人に押し付けた。怒っているのではなく、これから聞かされる話を前に緊張しているのだと赤人は気が付いた。こんなとき志貴なら、縁の緊張を解く [続きを読む]
  • くさまくら 其の二十七(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「とりあえず、コーヒーでも飲む?あ、紅茶もあるよ」志貴は言いながら立ち上がる。その瞬間、縁がテーブルを叩いた。「いらないわ。それより教えて」そう志貴を睨み付けた。その瞳から一粒雫が流れ落ちる。志貴は黙ったまま、その雫を見つめていた。「何よ?」縁は喧嘩ごしに聞いた。でも志貴は何も言わずに、向きを変えた。そしてそのまま台所に行ってしまった。「 [続きを読む]
  • くさまくら 其の二十六(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------民宿の仕事が一段落した午後10時前、赤人と縁は電話をしていた。「……と言うわけだからさ、志貴が兄貴からなにを取ったのか探ってよ」赤人は電話の向こうの縁に頼んだ。ところが縁は、「嫌よ。私ばっかりあなたに協力するのはフェアじゃないわ」と切り捨てた。「確かに……じゃあどうしたらいいの?」素直と言うか情けないと言うか、草食系というか。縁はため息をつ [続きを読む]
  • くさまくら 其の二十五(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------その日の夜遅く、時計の針が丑三つ時をさす頃。山奥にある志貴の小屋は静まり返り、聞こえるのは赤人の寝息のみ。と、いきなり一つのメロディが鳴り響く。いや、メロディという言葉は相応しくない。それは一つの言葉を繰り返す発する声。不気味な声は薄暗い部屋の中に響き渡る。だが、赤人は起きることはない。ただ眠っていても、聞こえるのか、うなされていた。そし [続きを読む]
  • くさまくら 其の二十三(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「じゃあ、心理テストでもする?」志貴が明るく聞いた。縁は深くため息をついて、アイスコーヒーを飲んだ。「嵐の日あなたが車を走らせていると」「それより、志貴さん、仕事はいいの?」志貴の言葉を遮って縁は言った。「仕事? いいのいいの、仕事なんかしてるより、女の子相手してた方が百倍価値あるし」志貴の余りの軽さに、縁は思わず顔をしかめる。「のんきね [続きを読む]
  • くさまくら 其の二十二(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「なぁ、ケーキ食おうってば」縁は志貴の声にはっとした。こんなやつのことを真剣に考えなくても良いではないか。自分のことを考えねば。結局志貴に押しきられ、連れてこられた店でケーキを食べている間も縁は考える。この町から増田が消えた理由はなんなのだろう、などと。「なあ、せっかくのケーキ、そんな怖い顔して食うなよ」「うるさいわね。そういや、志貴さん [続きを読む]
  • くさまくら其の二十一(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「…業(なり)を為(し)まさに」「え?」物思いにふけっていた縁は、志貴の言葉を聞いてなかった。「ひさかたの天道(あまぢ)は遠しなほなほに家に帰りて業を為まさに」一つため息をついてから、ゆっくりと歌を詠む。「それって、万葉集?確か山上億良だっけ?」「そうそう。意味は天へ行くにも道のりは遠い。素直に家に帰って、自分の仕事をしなさいって意味」「それが [続きを読む]
  • くさまくら 其の二十(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------その日の午後、縁と志貴は連れ立って民宿を出た。「さぁて、どこから案内しようか」海風を気持ち良さそうに吸い込みながら、志貴がのんびりと言う。「船出町1‐3、そこに連れてって」縁は対照的にせっかちに言い放つ。「は?」志貴は首を傾げる。「私が住んでたとこ。簡単な住所だから、子供の私でも覚えられた。いままでずっと覚えてた。今もそこにお父さんとお兄ち [続きを読む]
  • くさまくら 其の十九(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「このくらいがっついてる方が今は流行るの」口の中をいっぱいにしたまま志貴は反論した。「何それ?あんたもしかしてがつがつ食べるから肉食だと思ってるの?」すみれの言葉に志貴は思わず箸を止める。「バカね、肉食というのは立派な筋肉のついた人を言うのよ」嘲るように言われ、志貴は顔をしかめた。「は? それが何で肉食になるんだよ?」「さあ? でもみんな [続きを読む]
  • くさまくら 其の十八(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「志貴! 起きなさい!」居間のソファで寝ていた志貴にすみれの声がとんだ。志貴が目をあけると、食卓には朝食がならんでおり、すみれがいざ食べんというところだった。「あんたのむっさい姿を見ながら私にご飯食べろって言うわけ? あら、縁ちゃん、こんなに早く起きなくて良かったのに。待ってね、いまお味噌汁とご飯よそうわね」「あ、いえ、自分で」「もう遠慮し [続きを読む]
  • くさまくら 其の十七(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------志貴はしばらく首を傾げていたが、「ま、いいや」と思い直し、玄関へ歩き出した。夜道を1人歩きながら志貴はぶつぶつと呟く。「さてはて、旅人はどこに行ったのか…まあ、殺される心配もなくてすんだけどというか、旅人あんま気にしてなかったりして…そうだよな、あんなこと、人を殺すほどじゃないよな」やがて、志貴は自分のアパートの部屋に着いた。そして電気を [続きを読む]
  • くさまくら 其の十六(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------(だいたいなんなのよ、モテるために和歌って)縁はため息をついた。(男ってみんなそんなに馬鹿なの?それとも志貴さんたちが特別馬鹿なのかしら?)縁はひとりにもかかわらず、その場で首を傾げる。(でも和歌って、もともと男女が気持ちを伝え合うためのものでもあるわよね)縁や志貴が好きな万葉集では、恋の歌は個人的思いを表す歌である相聞歌(そうもんか)に [続きを読む]
  • くさまくら 其の十五(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------「ねぇ、お兄さんの残した歌だけど、本当にかっこつけただけなのかなあ?」縁は呟くように聞いた。《だと思うけど?縁ちゃんは違うと思うの?》赤人が聞き返す。「だって、あの歌は大事な人が死んだのを悼んで詠んだ歌なのよ。かっこつけた以外に、あの歌を選んだ理由があると思うの」《どんな?》「だから、誰か大事な人が最近亡くなったとか?」《うーむ、心当たり [続きを読む]
  • くさまくら 其の十四(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------またしても電話は切れてしまった。どうも電波状況が悪いらしい。赤人はかけ直そうとボタンを押している途中であることに気がついた。施錠された小屋の中に旅人のケータイがあったことの不可解さに。まず明らかなのは、旅人が姿を消してから今までの間に、旅人はこの小屋へ来たと言うこと。それからもうひとつ。その時、あるいはそのあとで志貴に会ったと言うこと。そ [続きを読む]
  • くさまくら 其の十三(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは----------その日の夜。民宿の受付に置かれた電話が鳴った。番を頼まれていた志貴は、電話に表示された名前に、腰を抜かすほど驚いた。表示された名前は旅人(たびと)。それは赤人の兄であり、志貴の幼なじみであった。そして今志貴が一番会いたくない人だ。旅人は俺がここにいることを知っている?いや、ここは旅人の家だ。俺がいようといまいとかけてきてもおかしくはない。 [続きを読む]
  • くさまくら 其の十二(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは「よろしくお願いします」縁は頭をさげる。「もちろん志貴も手伝ってくれるのよね? じゃふたりとも、少し休んだら降りてきてね」すみれは返事も待たずに部屋を後にした。「いいの?」縁が志貴に尋ねる。「何が?」「逃げなくて」「ああ。仕方ないから縁ちゃんには言うか。俺が顔合わせたくないのは、赤人の兄貴なんだ。で、縁ちゃんが睨んだ通り、あいつは小屋になんか居ないと [続きを読む]
  • くさまくら 其の十一(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとはバタンとドアが閉まり、赤人が階段を降りて行く音が聞こえなくなったのを確認して、縁は口を開いた。「志貴さん。あなた本当に赤人さんのお兄さんがその小屋にいると思ってるの?」真剣な顔で志貴を見据える。「思ってないでしょ? 人手不足の民宿ほっぽり出して、あんな書き置きしたあげくの行き先がそんな簡単に行ける場所な筈ないわよね?」縁の眼光が、笑って誤魔化そうとす [続きを読む]
  • くさまくら 其の十(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは「二上山(ふたかみやま)に兄貴が行った?」「はい、二上山は奈良県北葛城にある二上山(にじょうざん)ではないかという説があります。処刑された大津皇子が葬られた場所と言われてます。だから、奈良に…って、何で笑ってるんですか?」見ると真剣に話す縁をはさんで、二人は笑いを堪えていた。「だってありえないんだもん」二人は声をそろえて笑いながら答えた。「何でですか [続きを読む]
  • くさまくら 其の九(再公開)
  • 「くさまくら」をはじめて読む方へ:くさまくらとは赤人が家族で営む民宿はターミナルからは20分くらいの場所ということで、三人は歩いて向かうことにした。なぜ赤人には志貴の居場所がわかったのかしら?それに、志貴はどうして逃げようとしたのかしら?縁は腑に落ちないことがたくさんあったが、ふたりは赤人の兄のことを話しながら先を行くので、黙って後をついていった。民宿に着くと、赤人が予約状況を確認した。「今日は満 [続きを読む]