海つばめ さん プロフィール

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海つばめさん: わたしの小説新潮日記
ハンドル名海つばめ さん
ブログタイトルわたしの小説新潮日記
ブログURLhttp://greenlute.blog130.fc2.com/
サイト紹介文小説新潮の感想を中心としたブログです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供13回 / 365日(平均0.2回/週) - 参加 2010/11/11 21:31

海つばめ さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 清水裕貴「金色の小部屋」小説新潮2018年8月号
  •  本誌8月号は毎年、怪談の特集です。怪談には本当に怖い怪談とあまり怖くない怪談、哀しい怪談があるように思います。怖い怪談ばかり読んでいると本当に怖くなってしまいますが、適度に哀しい怪談も収録されていると緊張が解けます。この作品は哀しい怪談です。感想文を書くならこれくらいの怖さの怪談が私には合っています。 主人公の「あき(私)」は美術予備校の講師です。教え子の川上宇一(ういち)が線路に転落し亡くなっ [続きを読む]
  • 越谷オサム「やまびこ」小説新潮2018年6月号
  •  今月号で最も印象に残った作品です。「鉄道」特集のテーマを受けて、作者はやまびこ号での車中の出来事を主人公の過去と現在に絡めて、旅情たっぷりに描いています。 主人公は佐々木真人。40歳ぐらいの生命保険会社の支店長です。真人は父親の葬儀のために妻と一人息子を先に帰省させ、郷里の一関まで一人で帰省する設定です。 物語は、やまびこ号が東京駅を出発し、上野駅、大宮駅、宇都宮駅、郡山駅、仙台駅と北上するたび [続きを読む]
  • 町田その子「リセット」小説新潮2018年5月号
  •  今月号で最も心に残った作品です。物語は、主人公の萌子(もえこ)が恋人に捨てられ、恋人を待ち続ける決心を固めるまでを描いています。 妹の芽衣子と亡くなった“叔母”藤江(ふじえ)、恋人・安吾の「捨てる」行為をモチーフにしています。登場人物と構成が凝っています。 まず、妹の芽衣子です。芽衣子は社内不倫を清算するために2年前に会社を辞めて実家に帰っています。 芽衣子と親交があったのは亡くなった藤江です。 [続きを読む]
  • 木内昇「深山町の双六堂」小説新潮2018年4月号
  •  平穏こそが美徳としていた一家がありました。一家は夫と主人公の主婦・政子、姑と二人の息子の5人家族です。 長男が尋常小学校に通っているので時代設定は昭和初期頃のようです。(ただ、その必然性は特に感じられません) 政子は次第に平穏とは単に平凡のことではないのかと疑問を持つようになります。そこで政子は離れの小部屋で密かに自分の家と近所の家との優劣を考課表にまとめる作業に夢中になっていきます。このこと自 [続きを読む]
  • 楡周平「鉄の楽園」小説新潮2018年3月号
  •  この作品は、昨今話題の東南アジアでの日本と中国での高速鉄道の受注競争を扱っています。ご案内のとおり価格競争では中国に勝ち目がありません。そこで、日本の強みを生かした受注はいかにあるべきかをテーマにしています。 主な登場人物に触れておきます。経済産業省貿易経済協力局通商金融課(R国への高速鉄道受注の交渉窓口) 矢野 慎二(課長代理 41歳) 橋爪 智弘(課長 矢野の上司) 竹内美恵子(課員 キャリ [続きを読む]
  • 西きょうじ「そもそも」小説新潮2018年2月号
  •  この連載エッセイは毎回、人間の社会的な行動や生理的な反応を脳科学などの自然科学の分野から、あるいは異分野と思えるような学際的な視点からわかりやすく説明していて、いつも興味深く拝見しています。今月号のテーマは「幸福」についてです。 「幸福とはどういう状態かを考えている時点で幸福とは言えない状態にあるかもしれない。そもそも幸福感の中にいるならば、『幸福とは?』などという問いは出てこないだろう。」とい [続きを読む]
  • 小説新潮2018年1月号「刑事弁護人」(第11回)(薬丸岳)
  • 「刑事弁護人」 薬丸岳 この作品は、1回あたりの掲載分量が多くないので、各回に小さな山場を持ってきて臨場感を持たせるような設定ではありません。しかし、単行本で通読できるようになれば、よくできた作品になる気がします。徐々に事件の全容が明らかになっていきますので、推理小説の王道を行く作品といえると思います。 事件はホストクラブ通いをしていた埼玉県警の現職警察官・垂水小枝子(31歳)がホストの加納怜治の [続きを読む]
  • 小説新潮2017年11月号「あなたの惑星」(田中兆子)
  • 「あなたの惑星」 田中兆子 今月号の特集は「ネオ・エロティシズムの誘惑」と題して7作が収録されていました。わかりやすく言ってしまえばエロ小説の特集です。本誌は総合小説雑誌なので、ひととおりのジャンルの小説を収録しています。ですから、2、3年に一度はエロ小説の特集もありますね。 かつてエロ小説が官能小説といわれた時代がありました。時代とともに大衆の感性も、当然、私の感性も変わるので、一概に言えません [続きを読む]
  • 小説新潮2017年10月号「杉山検校」(第15回)(乾緑郎)
  • 「杉山検校(すぎやまけんぎょう)」 乾緑郎 この作品は、2016年8月号から連載され、今月号で第15回目です。まだまだストーリー展開は予想がつきません。 「検校(けんぎょう)」とは、中世・近世日本の盲官(盲人の役職)の最高位の名称です。また「杉山和一検校」は江戸元禄期に実在する盲人で、管鍼(かんしん)法という鍼(はり)治療法を確立した人物です。 ただし、本作品では杉山和一は描写も憚れるくらいの唾棄 [続きを読む]
  • 小説新潮2017年9月号「土産話」(藤田宜永)
  • 「土産話」 藤田宜永 藤田氏は老年期を迎えた男性の本人や身内に起こる愛や恋に係る作品を本誌に連作しています。「恋物語」(2016年5月号)、「見えない再会」(2017年1月号)、「白いシャクナゲ」(2017年7月号)と続き、今回の作品となりました。 いずれの主人公も作者と同年代の男性で、妻と離別や死別で独り身の設定です。これまでの作品同様、今回の作品も構成、展開とも藤田氏の洗練された作風が如何なく [続きを読む]
  • 小説新潮2017年8月号「棲月 隠蔽捜査7」(最終回)(今野敏)
  • 「棲月(せいげつ) 隠蔽捜査7」 今野敏 久々に隠蔽捜査シリーズを取り上げます。今回のシリーズも例によって、事件を中心に竜崎の私事が同時並行ですすんでいきます。 今回の事件は、サイバーテロとリンチ殺人事件です。同時並行ですすむ私事は、主人公である大森警察署長・竜崎伸也自身の人事異動と長男・邦彦のポーランド留学です。 物語は、はじめに大森署管内を通っている私鉄の運行システムがダウンしたことから始まり [続きを読む]
  • 小説新潮2017年5月号「月と林檎」(伊藤万記)
  • 「月と林檎」 伊藤万記 この作品は、今年度の「第16回女による女のためのR−18文学賞」で友近賞を受賞した作品です。R−18文学賞は、第10回までは「女性が書く、性をテーマにした小説」でしたが、第11回からは「女性ならではの感性を生かした小説」と主旨を変更しています。 また、友近賞というのは、芸人の友近さんが選考委員に加わり、同氏が推した作品に贈られたようです。たぶん特別賞のようなもので常設の賞で [続きを読む]
  • 小説新潮2017年4月号「つはものの女」(永井紗耶子)
  • 「つはものの女」 永井紗耶子 今月号で最も好ましく感じたのがこの作品です。この作品は2016年10月号に掲載された「いろなぐさの女」の連作となりました。前作にも惹かれるところがありましたのでシリーズ化はうれしい限りです。 はじめに、作品の理解を助けるために、登場する大奥での役職について簡単に触れておきます。御年寄(おとしより)大奥の万事を取り仕切る事務方のトップ。幕府の老中に相当。国でいえば内閣官 [続きを読む]
  • 小説新潮2017年3月号「硝子のコルセット」(第6回)(千早茜)
  • 「硝子のコルセット」 千早茜 「西洋の女性がコルセットをしなくなったのは1920年代。・・・それまでの千年近く、コルセットは当たり前のものとして着られていた」「セクシャリティによって色などが決まってくるのは19世紀からです。それまではファッションを享受できる階層の装いは男女共に華美」等々、この作品は青柳服飾美術館を舞台に、西洋の服飾の知見がふんだんに散りばめられ、私には全くの未知の世界です。一気に [続きを読む]
  • 小説新潮2017年1月号「見えない再会」(藤田宜永)
  • 「見えない再会」 藤田宜永 この作品は前作(「恋物語」小説新潮2016年5月号)の連作となったようです。作者と同年齢男性の過去の恋をモチーフにして、老齢期に入った男性のこれからの生き方を描く作品群になるように思います。 今回の作品は本誌1月号の巻頭小説でした。主人公の平間聡介は、大卒後製糸会社に就職し総務副部長を最後に定年退職し、再雇用の子会社も昨年65歳で退職している設定です。部長や取締役には昇進し [続きを読む]
  • 小説新潮2016年12月号「白馬の王子」(長崎尚志)
  • 「白馬の王子」 長崎尚志 今月号でもっともハラハラドキドキさせられた作品です。 倉持彩子(あやこ)が危うく轢き殺されそうになったところから物語は始まります。間一髪、通りすがりの青年が突き飛ばしてくれたおかげで彩子は命拾いをします。青年は“わざと轢こうとしたみたいでした”と警察に行くことを勧めます。 彩子は55歳。応対した2人の巡査が色めき立つほどの美人です。半信半疑の巡査ですが一応目撃者の青年に話 [続きを読む]
  • レビューと感想
  •  いつも拙い文章にお付き合いくださる皆さんにお礼いたします。 このブログは毎月の小説新潮の中で印象に残った作品を気の向くままに感想を書いています。月刊誌で毎月30作近い小説を読んでいきますので、1か月のブランクがある間にストーリーがあやふやになるのを防ぐために備忘録程度にあらすじを書きとどめている場合がほとんどです。 私の中ではレビューと感想は多少意味合いが違います。自分の価値観を元にコメントを発 [続きを読む]
  • 小説新潮2016年10月号「男と女」(桜木紫乃)
  • 「男と女」 桜木紫乃 この作品はシリーズの6回目となっています。シリーズは主人公で看護師の平原紗弓(さゆみ)と、ほとんど紗弓の“扶養家族”状態となっている夫の信好(のぶよし)が北海道の地方都市で慎ましい生活をしている日常を描いたものです。 今回の作品は当直アルバイトに転職して間もない紗弓が老人病棟で出会った入院患者の七重(ななえ)ハマ子から頼まれた口述筆記の手紙を主題としたものです。 紗弓は初めて [続きを読む]
  • 小説新潮2016年9月号「円環世界」(澤村伊智)
  • 「円環世界」 澤村伊智 今月号の特集は「謎とサスペンスの迷宮」と題し、本作品は特集の一作品として収録されていました。今回この作品を取り上げるのは、読後のやり切れなさが一番印象に残ったからです。 ミステリーやサスペンス小説ではハッピーエンドは少なく、割り切れなさを残し読者にどうあるべきだったかを考えさせる結末が多いものです。この作品はその典型だと思います。 主人公は吉川理人(りひと)。高校を3か月で [続きを読む]
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