河野真樹 さん プロフィール

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河野真樹さん: 河野真樹の弁護士観察日記
ハンドル名河野真樹 さん
ブログタイトル河野真樹の弁護士観察日記
ブログURLhttp://kounomaki.blog84.fc2.com/
サイト紹介文専門紙記者・編集長として約30年活動してきた法曹界ウォッチャーがつづる弁護士の付き合い方、生態、裏話
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供61回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2011/01/03 10:37

河野真樹 さんのブログ記事

  • 新法曹養成制度の高いハードルの意味
  •  法曹養成制度をめぐる「改革」の失敗を考えるうえで、見過ごせない特徴の一つは、その設定された目標のハードルの高さです。2010年ころに新司法試験合格者の年間3000人、法科大学院修了者の7、8割程度の司法試験合格、未修コース原則化と3年という設定など、「改革」が自ら設定した高いハードルを、ほぼことごとくクリアできない現実を私たちは目の当たりにしています。 単に認識が甘かったと括ることはできるかもしれませんし [続きを読む]
  • 見切られた側の「自覚」という問題
  •  いうまでもなく、法曹志望者減という現象は、あくまで彼らが「価値」を見切った結果と考えなければなりません。見切られているのは、要するに弁護士資格と法科大学院です。何度も書いているように、「改革」の増員政策が、弁護士資格の経済的「価値」を下げ、そのリターンを期待できない資格に対する、なおかつ司法試験合格も危うい制度に、時間とおカネを先行投資する「価値」が見出せなくなった、ということです。 そして、そ [続きを読む]
  • 法科大学院在学中受験「容認」という末期症状
  •  法科大学院の在学中に司法試験の受験を認める方向が、ここに来て、にわかに現実味を帯びてきたことが、業界内で話題になっています。法務省は法科大学院の最終学年に在籍する生徒が受験できるようにする制度改正へ、早ければ秋の臨時国会に司法試験法改正案等を提出し、新制度を2023年の司法試験から適用する方向。また、司法修習修習のスタート時期を毎年11月から4月に変更することを検討していると報じられています(10月5日付 [続きを読む]
  • 志望者の現実的選択と失われた「魅力」の関係
  •  弁護士という仕事について、もっと夢や魅力を発信せよ、という意見が相変わらず業界内にあります。「改革」の増員政策が失敗であったと位置付けない立場の方からは、現実を直視し、そこから将来を見通し、懸念する論調に対して、「ネガティブ・キャンペーンはやめろ」という言葉が浴びせられることもあります。 増員政策によって、弁護士に経済的な異変があっても、まだ弁護士という仕事には開拓分野を含め可能性があり、現にそ [続きを読む]
  • 巧妙で曖昧な増員「ぺースダウン」論
  •  弁護士の増員政策について、日弁連はある時期から現在に至るまで、「増員のペースダウン」必要論を維持してきました。具体的にいえば、公には2008年に会長に就任した宮?誠弁護士が、その選挙期間に唱え、就任後、緊急提言として発表して以来、ということになります。弁護士を増やしても、需要はそれに比して顕在せず、新人を事務所が採用できず、結果、新人のOJTに影響するといったことへの危機感が背景にありました。 しかし [続きを読む]
  • 前提なき増員弁護士社会のイメージ
  •  市民の身近に、その需要にこたえてくる弁護士が沢山いて、市民がこれまで以上に彼らを利用できる社会――。これは、司法改革が弁護士の増員政策、あるいはそれを支える法科大学院を中核とする新法曹養成制度の向こうにイメージ化し、同時に、この「改革」推進を肯定的にイメージ化したものでもありました。 一方、「改革」の増員必要論には、こうした需要論からのアプローチの手前に、これまでの弁護士の業態批判を置くもの、つ [続きを読む]
  • 司法試験の本当の不安点
  •  かつてから法曹人口の政策的な「調整」を、資格試験という立場から否定的にみる論調があります。要は、司法試験は資格試験なのだから、一定の能力がある人は、極端な話、何人でも合格させればいいじゃないか、という話です。ここは、ある意味、適正な法曹人口という論点を認めるか認めないかで、延々と平行線をだどる、あるいはたどってきた議論であるといえます。 適正な法曹人口論は、当然、この国の需要予測によって、意見が [続きを読む]
  • 弁護士自治存続をめぐる現実的視点
  •  司法改革の一環として、弁護士増員政策を受け入れた当時の弁護士会関係者のなかで、その結果が、弁護士自治を内部から揺るがすものになるかもしれないと見抜き、本気で危機感を持った人間は、ほとんどいなかったといっていいと思います。そもそも、増員の影響を楽観視し、ここまで経済的な打撃を受けることが予想できなかったことを考えれば、まさか会員の会費負担感が、自治不要論の引き金になるなど想像ができなくても不思議で [続きを読む]
  • 変化しつつある弁護士引退の意識と事情
  •  弁護士の引退の決断は、意外と難しいと言われてきました。体力が求められるといっても知的な頭脳労働で、高齢者になっても、頭を使うからボケになることも少ないなどとされ、かつては「生涯現役」というのが当たり前のように言われており、当の本人たちにも「老後がない世界」という認識が強かったからです。それだけに、誰から勧告されるわけでもない、その気になれば、どこまでも「現役」という環境の中で、ピリオドを打つべき [続きを読む]
  • 法科大学院の数と制度「失敗」の本質
  •  法科大学院制度の失敗の主因を、当初の74校の乱立とみる見方は、以前も書いたように、現在まで制度擁護派が口をそろえ、公式見解のごとく指摘するところですが(「制度存続が自己目的化した『現実論』」)、主因というよりも、消極的な意味でこの見方をとらえている人は、制度に批判的な人たちにも多く見かけます。要するに参入する法科大学院の数を初めから2、30校に絞っていたならば、少なくともここまで制度がこの時点で「失敗 [続きを読む]
  • 弁護士増員論が明確に伝えなかった「前提」
  •  規制緩和型司法改革の弁護士増員政策は、現在の結果からみて、それが成立する条件として、事実上、「潜在的」に二つの弁護士利用者の存在を想定していたとみることができます。一つは、増員弁護士におカネを投入する用意がある利用者(依頼者)の存在。弁護士の活動領域の飛躍的拡大が前提的に語られ、「社会の隅々」への進出の必要性が、偏在解消論と結び付いたアクセス容易化の「要請」とともに強調されたわけですが、いうまでも [続きを読む]
  • 資格の価値と「改革」の描き方
  •  資格の価値というと、この社会では、とかく取得する側のメリットばかりが注目されます。もちろん、取得の難易度、資格の経済的安定性に取得しようとする側が注目することは当然ですし、資格ビジネスの発想としても、そこが注目されるのは当然なのかもしれません。しかし、社会的な価値、存在意義として、より強調されなければいけないのは、いうまでもなく、利用者にとってのメリットです。 資格による一定の能力保証とその社会 [続きを読む]
  • 制度存続が自己目的化した「現実論」
  •  作ってしまった制度、実施してしまった政策を前提にするのが、現実論であるとする人たちがいます。しかし、それでも問われなければならないのは、その制度、政策の目的です。当初、それはどういう目的で作られ、また実施されたのか、そしてそれはどうなったのか。言うまでもなく、そこにこだわらなければ、その論調は自己目的化してしまう。制度や政策を維持するための、そこから逆算した「現実論」ということになってしまいます [続きを読む]
  • 対価性と需要をめぐる誤解と無理
  •  「サービスに対する適正な対価」という言葉が、かつてよりも弁護士の口から聞かれるようになりました。報酬に対する依頼者の不満に対して、弁護士がその「適正さ」を弁明する場面が、もちろんこれまでにもなかったわけではありませんが、最近、それとは明らかに違う文脈で登場しています。その違いとは、弁護士全体への処遇に対する危機感を背景に語られている点です。 「改革」の増員政策は、弁護士の競争による低廉化、つまり [続きを読む]
  • 「谷間世代」救済と志望者処遇の視点
  •  給費制の廃止から、新たな給付制の導入までの6年間に、無給での司法修習を余儀なくされた、いわゆる「谷間世代」(新65期〜70期、対象人員約1万1000人)への対応で、弁護士会内がずっとざわめいています。日弁連は5月の定期総会で、新たな給付制度について、最高裁判所、法務省等の関係諸機関と協力して支えるとともに、谷間世代について、経済的負担や不平等感によって法曹としての活動に支障が生ずることのないよう、引き続き国 [続きを読む]
  • 弁護士「需要」と処遇をめぐる疑問
  •  これまでも書いてきたことですが、弁護士増員政策の失敗は、ある意味需要論へのアプローチの当然の結果ではありました。「改革」論議の中で度々括られてきた弁護士の「需要はある」とヨミは、細かくその採算性を踏まえたもの、つまり有償性・無償性を区別したものではなく、まして増員弁護士を経済的に支え切れるのか、ということまで念頭に入れたものではなかった。要するに、それは、顕在化するだろう「需要」が、支えてくれる [続きを読む]
  • 弁護士「コミュ力」から見える不吉な未来
  •  最近、弁護士に求められるものとして、業界内でかつてよりも強調されるようになったものに、「コミュ力」(コミュニケーション能力)があります。こう書けば、いや、もともと弁護士は、依頼者とのコミュ力が求められる仕事だという人もいるでしょうし、当然、それを意識してきたという人もいるはずですが、最近のこうした傾向は、「改革」以前は求められなくてもなんとか成立してきたこの仕事が、増員政策によるビジネス化、いわば [続きを読む]
  • オウム死刑執行への抗議と日弁連の存在意義
  •  オウム真理教の教団元幹部らへの異例の大量死刑執行の報が流れた直後から、ネット空間を中心に弁護士の間では、あることが話題となり、ざわつきはじめました。「日弁連はどうするか」「日弁連はどうせやるんだろうな」と。日弁連会長が、この執行に対して抗議声明を出すということ。それを当然と受けとめられない、あるいはその影響を気にする声が溢れ始めたのです。 そんな異論、懸念をよそに、予想通り、菊地裕太郎会長は執行 [続きを読む]
  • 「改革」に被せられた経済界の思惑
  •  弁護士の経済的価値の下落による志望者減という、法曹養成の根幹を脅かすような負の影響をもたらしてしまったことが、もはや明らかになっている弁護士激増政策にあって、最も利を得たのは経済界ではないか、という指摘が、業界内には根強く存在します。端的にいえば、社会全体として、そのメリットをそれほど実感できないなかで、彼らは「改革」によって確実に弁護士について、より「使い勝手」が良い環境を手にしつつあるのでは [続きを読む]
  • 司法試験合格判定への不安の本質
  •  2015年6月の、政府の法曹養成制度改革推進会議の方針決定に従い、事実上の「最低死守ライン」となっている司法試験合格者「1500人」への懸念が、弁護士会から示されています。法曹志望者の急減に歯止めがかからないなか、このラインを死守するために、合格ラインが引き下げられると、合格者の質が担保されなくなる恐れがある、だから、この「死守ライン」を優先させず、厳正な合格判定をせよ――。こうした趣旨の会長声明が、昨 [続きを読む]
  • 増員政策に乗っかった法科大学院制度必要のロジック
  •  法曹人口大量増員の実現と、法科大学院制度の必要性を、「質の確保」ということでつなげる、司法改革のロジックがありました。要は、旧司法試験体制では、司法試験合格者を増やし、大量の法曹を輩出するうえで、質が維持できなくなる、だから、法科大学院のような、新たな養成機関が必要なのだ、というものです。 司法制度改革審議会の最終意見書は、「受験者の受験技術優先の傾向が顕著となってきたこと、大幅な合格者数増をそ [続きを読む]
  • 作られた「改革」イメージと救済対象
  •  1999年12月8日、司法制度改革審議会第8回会合で行われた、法曹三者に対するヒアリングのなかで、泉徳治・最高裁事務総長(当時)は、司法の現状に関わる次のような発言をしています。 「我が国の司法制度が以上のような課題を抱えていることにつきましては、ほぼ異論のないところかと思いますが、一部には更に進んで、我が国の司法は機能不全に陥っているのではないか、さらには、法的紛争の大きな部分が暴力団等の不健全な形態で [続きを読む]
  • 弁護士増員論のバイアス
  •  他の改革、変革でも同様ですが、司法改革においても、さまざまな「あるべき論」が語られてきました。改革にあって、理想やビジョンが語られるのは当然であり、必要なことですが、常に戒められるべきは、現状認識の在り様です。いうまでもなく、現実を正しく認識していなければ、ゴールにどうつなげるのか、という解が導き出せないからです。 結論から言ってしまうと、司法改革の法曹人口増員をめぐる現状認識には、二つのバイア [続きを読む]
  • 弁護士数と需要の非現実的な発想
  •  増やせば増える――。弁護士の数と需要をめぐり、こうしたことが「改革」推進派の中からいわれてきました。もともと「二割司法」などという言い方を含め、「改革」はすぐそこに眠る、潜在需要を連想させましたが、増員しても顕在化しないことが分かると、逆に前記論調は強まった。つまり、それは弁護士の努力不足(あるいは意識変革不足)と、その時点で増員をセーブしようとする弁護士らを批判するものとしてでした。 この話を講 [続きを読む]
  • 新法曹養成「時短化」をめぐる思惑と現実
  •  法科大学院制度を擁護する方々の論調のなかで、時々、時間的負担軽減の重視は、最短で法曹になるメリットを強調する、志望者への「誤ったメッセージ」になるという懸念論が異口同音に言われるのを目にしてきました。中教審の部会でも委員から、そんな意見が出されています。 しかし、こうした捉え方に接する度に、奇妙な気持ちになります。いうまでもなく、最短で法曹になる途を選択することは、ある意味、志望者としては当然の [続きを読む]