SET さん プロフィール

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SETさん: 降雨決行
ハンドル名SET さん
ブログタイトル降雨決行
ブログURLhttp://voice1985.blog109.fc2.com/
サイト紹介文サイト付属ブログ。小説の感想を中心に、音楽や映画や漫画などの感想も。ネタバレなしがほとんどです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供36回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2011/01/25 21:50

SET さんのブログ記事

  • 〔本感想〕 人類は衰退しました4 田中ロミオ
  • ◆ 体長10センチの人類・妖精さんとのあいだをとりもつ調停官の「わたし」。今回も騒動に巻き込まれる。妖精さんの、ひみつのこうじょう 「わたし」の仕事は、衰退した旧人類にかわって繁栄(?)している、体長十センチていどの人類「妖精さん」が巻き起こす様々な問題を、どうにかおさめること。 前巻の失態で責任を取らされ、自慢の長い髪をばっさりと切らされた「わたし」。 髪が伸びるまで家の中にずっと隠れていたいと思 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 障害者殺しの思想 横田弘
  • ◆ 障害者を、ではなく、「"私を"殺すな」。40年以上前に書かれた本の新装版だが内容は古びない。かびくさい社会進化論の亡霊は、現代にもしぶとく息づいている。 バニラエアの騒動で著者を知ってこの本を手に取った。 いまから40年以上前の優生保護法が闊歩していた時代、障害をもつ子を殺した親が無罪になったり減刑嘆願署名があったりした時代に、自分と同様の存在を殺害する論理へ、強い憎しみで立ち向かった男の主張が [続きを読む]
  • 〔本感想〕 エレファントトーク 藤崎ほつま
  • ◆ なぜか妹のスマートフォンとして「余生」を送ることになった四条ミカツグ。ひとつのジャンルにしばられず、読者を惹きこむアイディアが詰まった作品。 変身もののさきがけ・ザムザさんほどの衝撃はありませんが、死んだ主人公が妹のスマートフォンになるという設定だけでもう、序盤は確実に読まされてしまいますね。 設定だけ聞くと不条理コメディかと思われるかもしれません。しかし死ぬ直前など一部の記憶をぽっかり失って [続きを読む]
  • 〔本感想〕 ファンタジーのDNA 荻原規子
  •  小説を自発的に読み始めたのは高校1年生の終わりごろから。それまで「トムソーヤーの冒険」「ハックルベリーの冒険」「ロビンソンクルーソー」「ファーブル昆虫記」「シートン動物記」などなど、読んだ(読まされた)ものはことごとく何も響かず、途中で飽きて読み捨ててきています。 作家の読書遍歴のようなものを読むたび、自分がまったく楽しめなかったものを、すでに小学生の時に楽しみつくしていたことにぼんやりと嫉妬して [続きを読む]
  • 〔本感想〕 無意味の祝祭 ミラン・クンデラ
  •  前に紹介した『存在の耐えられない軽さ』では「キッチュ」について書かれていましたが、この本ではキッチュの類型のひとつともいえる「無意味さ」が取り上げられています。 無意味さの例のひとつとして挙げられているのは、子供たちが笑っている、公園の心温まる情景です。これは『存在の耐えられない軽さ』のほうでも、キッチュとして取り上げられていました。 クンデラはその情景を、「完璧であると同時に無益だ」と登場人物 [続きを読む]
  • 都市の起源 古代の先進地域 西アジアを掘る 小泉龍人
  • ◆ 情勢不安により考古学調査が困難となっている西アジア。その先史時代、都市化の動きについてまとめた一冊。 個人個人の副葬品に際立った差異の見られない都市化以前の社会と、明らかに社会的格差の生まれてくる都市化進展後の社会が、発掘された現物をもとに概観されています。 格差にまつわるさまざまな事例を見ていると、都市化以前の平等な社会のほうがいいじゃないか、なんで都市化なんてしたんだと思ってしまいますね。 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 64 横山秀夫
  • ◆ 日本のフィクションで、自分の容姿に悩みを抱える刑事はあまり見た覚えがない 昭和64年にD県で起きた未解決誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」が、時効の一年前になって、にわかに動き出します。 当時刑事として事件にかかわった三上は現在、D県警の広報官という役職についています。「自分は刑事」「2年で現場に戻る」と胸に秘めながら、ロクヨン事件との関わりを通し、刑事という皮を剥がされた自分と、広報官という役職 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 11人いる! 萩尾望都
  • ◆ 男子とも女子ともいえない未分化なヒロイン(?)の魅力が炸裂する、閉鎖空間SF漫画。 書評サイトの掲示板テーマ:本が好き! 漫画同好会でYasuhiroさんが名前を挙げられていた萩原望都の作品。 数十年前の漫画ともなるとさすがに今の感覚に合わない表現感覚があり、些細な違和感は頑張って無視して読むのがだいたいのパターンです。ただ、萩尾さんの作品は(まだ2作読んだだけですが)現代漫画を読みなれていてもほとんど違 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 移民の経済学 ベンジャミンパウエル他
  • ◆ 移民についてまわる感情的な言説の真偽を、データで検証しようと試行錯誤する。アメリカ経済学者たちの苦労が垣間見える一冊 現在の国際的な話題は移民、あるいは難民問題に集中しています。 感情的対立が激化する状況で、ひとつ数字に基づいた議論をしてみようじゃないかというのが本書のテーマだと思います。 ちなみに不法移民が1000万人を超えているアメリカについての話なので、他国にも通じる内容ではないことをは [続きを読む]
  • 〔本感想〕 イギリス東インド会社 軍隊・官僚・総督 浜渦哲雄
  • ◆ 株式会社がなぜインドを統治していたのか? 1600年に特許状を得てから、インドの大反乱(第一次独立戦争)が致命傷となり1874年に解散するまで。 いまの株式会社に親しんでいる身からすれば、株式会社が独自に宣戦を布告する権限を持ち、政府に植民地統治を委任されている状態というのは、まったく想像しにくいものでした。これまであまり上手く理解できていたとは言えません。 しかしこの本はそんな状態の人間が読ん [続きを読む]
  • 〔本感想〕 皇帝のかぎ煙草入れ【新訳版】 ジョン・ディクスン・カー
  • ◆ 状況証拠がそろった状態から、殺人犯に仕立てられた人間を救い出すことはできるのか。 夫ネッドの浮気が原因で離婚したあと、近くに住むトビイと親しくなり、ついには婚約したイヴ。 けれどある夜、婚約者トビイの父が撲殺されます。おり悪くその夜は、まだイヴとの復縁をあきらめきれないネッドが、合鍵を使って部屋に侵入していたところでした。 恐怖と不安に押しつぶされ声を出せずにいたイヴは、結果的に、「寝室に前夫 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 太宰治の辞書 北村薫
  • ◆ 大学生だった「私」も、中学生の母親に。『六の宮の姫君』『朝霧』では文学談義のあおりを受け、隅へ追いやられていた「私」が、きちんと帰ってきていて嬉しい。 17年ぶりに出たという、『円紫さんと「私」』シリーズの最新刊。このシリーズは大学生の「私」の生活と、「私」が生活の中で出会った謎について、落語家の円紫さんが解き明かす、というものでした。シリーズを追うごとに「私」の学年が上がっていき、就職し、こ [続きを読む]
  • 〔本感想〕 朝霧 北村薫
  • ◆ 文学議論で主人公の「私」の反論が弱々しいのがとても残念 「私」が日常に落ちている疑問点を拾い上げ、知り合いの落語家・円紫さんが解決。その結末を受けて変化していく「私」を描いたシリーズ5作目です。 これまでは「私」の生活の延長線上に文学や落語があったのですが、この巻では「私」が、文学・落語の雑談をするための存在になってしまいました。「私」より文学が先に立つ、それはあるていど仕方ありません。彼女は [続きを読む]
  • 〔本感想〕 ソラリス スタニスワフ・レム
  • ◆ 人知を超越した存在とのSF邂逅譚。前半はホラー風味。SFホラーな前半 異変が起きた惑星ソラリスのステーションへ、送り込まれた心理学者・ケルヴィン。 ステーションで待ち受けていたのは生きている人間の歓待ではなく、機械音声のみ。気味の悪いステーション内部をおそるおそる探索したケルヴィンは、生き残り・スナウトと出会う。スナウトもなにやら尋常ではない様子で……。 と、こんな具合なので、話の導入部を読め [続きを読む]
  • 〔本感想〕 六の宮の姫君 北村薫
  • ◆ 芥川龍之介と菊池寛の友情 大学生の「私」が持ち込んだ謎を落語家・春桜亭円紫が解決するシリーズ4作目。 今回は趣向が変わり、文学部の「私」が設定した卒論のテーマ、芥川龍之介にまつわるあれこれがメインになります。 突然ですが、好きなウェブ小説にこんな一節があります。私の書くものは、そのものでは何の価値もない。私は、島田仁、という偉大な作家の物語の材料に過ぎないのだ。みな、父の人生を読み解くために、 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 マヤ・アステカの神々 土方美雄
  • ◆ 生け贄をささげることによって「第五の太陽」を維持しようとしたアステカの人々血を求めるマヤ・アステカ文明圏の神々 アステカ帝国の中心都市テノチティトランは、コンスタンティノープルやローマといった各都市に滞在したスペイン軍の兵士たちから見ても、比類のないほどすぐれた都市だったようです。いっぽうでアステカは大量のいけにえを必要とする祭祀を行い、スペイン人はその祭祀に接して「邪教徒」として攻撃します。 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 秋の花 北村薫
  • ◆ ラストシーンから始まる 大学生の「私」と落語家の円紫さんが謎を解決していく、シリーズ3作目。今回は短編集ではなくひとつの長編です。 今までは人が死なない話でしたが、この『秋の花』では「私」の近所に住んでいる高校三年生が、学校の屋上から転落して亡くなってしまいます。事故とも自殺ともいえない状況。大学生活も残すところあと一年と少しとなった「私」の前に、少しずつ謎をとく鍵がそろってきます。 円紫さん [続きを読む]
  • 〔本感想〕 夜の蝉 北村薫
  • ◆ 三十になっても、五十になっても、「おねえちゃん」。 人は死なないけれど、悪意はずっしりと重たい。「私」が持ち込むそんな謎に対するのは落語家・春桜亭円紫。論理はすっきりと、明かされた結末に言いようのない後味の悪さを残して、謎を解決します。 表題作『夜の蝉』はその典型で、「私」の姉が誤解の連鎖によってさんざんな目に遭ってしまうお話です。 この話では、円紫による解決前に「つるつる」という落語が披露さ [続きを読む]
  • 〔本感想〕 脱貧困の経済学 飯田泰之、雨宮処凛
  • ◆ ぼんやりした議論もあるけれど、具体的にひとつひとつの提言を検討していく部分は面白く読める。 経済学者の飯田さんと反貧困活動家の雨宮さんの対談本。2009年出版。 対談なのでどうしてもお互いに気遣いあった議論になってしまい、特に中盤はインターネットで拾い読みできる程度の話です。ありがちな世代間対立の再生産・当事者たちの思いを雑然と斟酌する話になってしまっていて、焦点がぼやけています。 ただ、反貧 [続きを読む]