瑞原唯子 さん プロフィール

  •  
瑞原唯子さん: 虚空碧海 - オリジナルファンタジー小説
ハンドル名瑞原唯子 さん
ブログタイトル虚空碧海 - オリジナルファンタジー小説
ブログURLhttp://yuikomizuhara.blog91.fc2.com/
サイト紹介文オリジナル恋愛ファンタジー小説を掲載しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供22回 / 365日(平均0.4回/週) - 参加 2011/03/05 15:54

瑞原唯子 さんのブログ記事

  • 第4話 もうひとりの王子様
  •  十月に入って衣替えもすみ、もうすっかり秋だ。 この一か月で東條は十分すぎるほどクラスに馴染んでしまった。自身のスペックの高さなどまるで意識していない様子で、誰とでも気さくに嫌味なく話をするので、男女問わずに好かれている。 それでいて品の良さも感じられるため、女子のあいだではひそかに「もうひとりの王子様」と呼ばれ始めていた。もちろん元祖王子様は翼だ。ふたりが一緒だと目の保養になると騒がれていたりす [続きを読む]
  • 第3話 王子様の想いびと
  • 「じゃあな、諫早くん」「ああ」 校内の案内を終えると、創真は帰る方向の違う東條と校門前で別れた。 信号を待ちながら、スクールバッグにしまってあったスマートフォンを手にとる。そこには先に帰ってもらった翼からメッセージが来ていた。 ――綾音ちゃんといつもの喫茶店にいる。 ――おまえも来い。 綾音というのは、創真と翼のもうひとりの幼なじみだ。同じ幼稚園でよく一緒に遊んでいた女の子で、小学校からは別々にな [続きを読む]
  • 第2話 帰国子女の編入生
  • 「おー、そこ席に着けー」 創真たちの担任がガラガラと扉を開けて教室に入ってきた。 後ろのほうに集まっていた男子生徒たちを注意しつつ教壇に立つが、教室は静かになるどころかいっそうざわめいていく。その視線は、担任が連れてきた見知らぬ男子生徒に注がれていた。 顔はきりりと端整で、背が高く、適度に筋肉がついており、全体的にしっかりと男らしさを感じられる。それでいてさっぱりと清潔感があり暑苦しくない。老若男 [続きを読む]
  • 第1話 オレの愛しい王子様
  • 「僕を待たせるとはいい度胸だな」 夏休みが終わり、二学期が始まるその日の朝。 諫早創真(いさはやそうま)がいつものように西園寺の邸宅へ迎えに行くと、すっかり準備を整えて待ち構えていた西園寺翼(さいおんじつばさ)が、うっすらと笑みを浮かべてそんなことを言った。 迎えの時間は決めてあるもののそう厳密なものではない。腕時計を見てみると、確かに二分ほど過ぎているがおおよそ時間どおりである。このくらいの遅れ [続きを読む]
  • 第0話 プロローグ
  • 「まだそんなズボンはいて僕とか言ってんのかよ」 創真がなかよしの翼をさそって園庭のすべり台に向かっていたところ、やんちゃな男子三人組がとおせんぼをするように立ちふさがり、いじわるな言葉をぶつけてきた。創真ではなくその後ろにいる翼に。 彼らはいつもそうやって翼をいじめるのだ。 しかしながら翼は何を言われても決して言い返そうとしない。いまも困ったような顔をしてただじっと下を向くだけである。代わりにとい [続きを読む]
  • オレの愛しい王子様
  • ずっと翼のそばにいて、翼を支える――。幼いころに創真はいじめられていたひとりの少女と約束を交わす。少女はいつしか王子様と言われるほど眉目秀麗な美少年となるが、それでも創真の気持ちは変わらなかった。▼ランキング [続きを読む]
  • ひとつ屋根の下
  • 橘財閥の御曹司である遥は、両親のせいで孤児となった少女を引き取った。純粋に責任を感じてのことだったが、いつしか彼女に惹かれていき――。第1話 今日からここで第2話 二人きりの朝第3話 偽装恋人第4話 彼女と暮らした男第5話 井の中の蛙第6話 クラスメイト第7話 自覚第8話 僕で試せばいい第9話 恋人らしいこと第10話 対峙第11話 本物と偽物第12話 墓参り第13話 高校受験第14話 卒業第15話 二度とないはずの第1 [続きを読む]
  • 番外編 いつか来るそのときまでは
  •  その日、七海は期末テストの初日だった。 それゆえ普段より下校が早く、昼下がりの強烈な白い日差しを浴びながらの帰宅となった。屋敷に足を踏み入れるなり適度な涼しさにほっと息をつき、軽快に階段を駆け上がって自室へ向かう。 その途中、廊下の向こうから知らない年配の女性と青年が歩いてくるのが見えた。客だろうかと思うものの橘の使用人はついていないようだし、そもそもここは基本的に身内しか通らないはずだ。 怪訝 [続きを読む]
  • 番外編 Can you celebrate?
  •  ハルナと再会したその日の夕方――。 空が薄暗くなりそろそろ夜の帳が降りようかというころ、千尋はナビに彼女の住所を入れてレンタカーを走らせていた。彼女は助手席でおとなしく座っているものの、ひどく不満そうな顔をしている。「本当にあのひとたちと会うつもりですか?」「一応、挨拶くらいはしておかないとな」 それは千尋なりの筋の通し方だった。彼女から聞いたところ話が通じる相手とは思えないが、直接会って報告だ [続きを読む]
  • 第12話 七回目の桜のころ(最終話)
  •  死ねないのなら、生きたくなくても生きるしかない――。 仕事をして、金を稼ぎ、生命を維持するだけの日々。 ハルナと出会うまえの自分に戻っただけといえば、そうかもしれない。ただ、あのときはそれをよしとしていたが、いまは虚しさが心に巣くっている。しかしどうしても死を選ぶことはできずにいた。 ハルナがいなくなってから七回目の春が巡ってきた。 ローカルニュースによればそろそろ桜が満開になるらしい。実際、ベ [続きを読む]
  • 第11話 ただ生きていてくれるだけで
  •  静かな書斎に、カタカタとキーボードを叩く音だけが響く。 千尋はもう何時間もそうやってパソコンに向かっていた。ひとり黙々とコードを書き、走らせ、修正し、組み上げていく。遅れているわけではなく、可能なかぎり前倒しで進めるのが千尋の流儀なのだ。 ふう――。 一段落すると、椅子にもたれながら大きく伸びをした。 そのときあくびが出たことで眠気を自覚して、コーヒーを飲もうと傍らのマグカップを手に取るが、すで [続きを読む]
  • 第10話 離ればなれになっても
  • 「ハルナ……榛名希さんを、親元に帰さないでください」 聴取のために連れてこられた薄汚れた取調室で、千尋は最初にそう告げた。 向かいに座ろうとしていた男性刑事が動きを止めるが、すぐに胡乱な目になり、粗末なパイプ椅子を軋ませながらどっかりと腰を下ろす。「おまえなぁ、そんなことを言える立場じゃないだろう」 いかにも面倒くさそうに顔をしかめてそう言うと、ガシガシと頭をかいた。 当然である。誘拐犯がいきなり [続きを読む]
  • 第9話 世界でたったひとりの味方
  • 「なんだかんだ炎天下を歩いたよな……」 空が茜色に染まり、暑さもだいぶやわらいできたころ。最寄り駅から自宅マンションへ向かう道すがら、ふと昼間の強い日差しを思い出してそうぼやくと、隣を歩いているハルナはふふっと愉快そうに笑った。 今日はのんびりと涼しく過ごすつもりで美術館に出かけた。千尋もハルナも絵画に特別興味があるわけではなかったが、それでもひそひそと話したり笑ったりしながら、楽しく鑑賞した。  [続きを読む]
  • 第8話 紙切れ一枚のおまもり
  •  翌日からも、毎日ハルナと遊びに出かけた。 地元民には名の知られたテーマパーク、コアラとゴリラで有名な動物園、世界最大規模のプラネタリウムがある科学館、野外開催のフードフェスティバル、そこそこ規模の大きな花火大会など――。 どれもハルナは楽しんでくれたし、千尋も楽しんだ。 これまでにもそういうところに行ったことは何度かある。しかし、いずれも千尋自身が望んでのことではなかったため、まったく楽しめなか [続きを読む]
  • 第7話 初めてのデート
  • 「なあ、水族館でも行くか」 休日の朝、千尋はマグカップをテーブルに置いてそう切り出した。 正面のハルナは声もなくぽかんとして固まっている。食べかけのピザトーストを両手で持ち、パンくずのついた小さな唇を半開きにしたままで。そんな彼女に、千尋はうっすらと意味ありげな笑みを浮かべてみせた。「公開捜査されてるのに信じられない」 ハルナは助手席に座ってシートベルトを締めながら、口をとがらせる。 千尋はくすり [続きを読む]
  • 第6話 眠れぬ夜に
  • 「ハルナ、起きてるか?」 ベッドに入ってからゆうに三十分は過ぎているはずだが、一向に寝付けず、ふと隣で背を向けている彼女にそう問いかけてみる。「はい……眠れなくて……」 すぐにひそやかな声が返ってきた。 淡いオレンジ色の常夜灯のみのともる薄暗い中で、彼女は身じろぎしながらこちらに顔を向けて、困ったように眉を下げる。そのとき、こころなしか互いの息がふれあったように感じた。 だったら、このままでいいか [続きを読む]
  • 第5話 公開捜査
  •  とうとう、このときが来たか――。 千尋はだんだんと鼓動が速くなっていくのを自覚しつつ、口を引きむすぶ。 昼休み、職場の自席で冷たいコンビニおにぎりにかぶりつきながら、いつものようにニュースサイトをチェックしていたら、女子中学生が行方不明になっているという記事を見つけたのだ。 榛名 希(はるな・のぞみ) 中学二年生 十三歳。 掲載されている顔写真はうつりが悪くてよくわからないが、年齢や状況からいっ [続きを読む]
  • 第4話 この手で彼女を
  • 「おにいさん……私、やっぱりそんなこと……」 ハルナは床に座ったまま、困惑を露わにしておずおずと千尋を見上げた。 だが、そんな目を向けられたところで引くつもりはない。シャキンと鋭く軽快にはさみを鳴らすと、その刃先を天に向けたまま片膝をつき、真正面から彼女に迫る。「おまえはオレに誘拐監禁された身だ。オレの好きにさせてもらう」「はい……」 もう何を言っても無駄だと悟ったのだろう。彼女はあきらめたように [続きを読む]
  • 第3話 手探りで始まる監禁生活
  •  ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ。 寝ぼけ眼のまま、千尋は腕を伸ばして手探りで目覚まし時計を止めた。あまり疲れがとれていないように感じて溜息をついたそのとき、いつもはないはずの気配を感じてビクリとする。 そうだ、誘拐してきたんだった――。 すやすやと隣で眠っているハルナを見て、深く息をつく。 ひとり暮らしゆえベッドはこれひとつしかなく、来客用の布団もないため、ここで一緒に寝てもらうことにしたの [続きを読む]
  • 第2話 不慣れな優しさは毒のように
  • 「まあ、上がれよ」 少女を連れてきたのは、購入したばかりの自宅マンションだった。 3LDKという単身者には余裕のある間取りだが、結婚の予定はない。あくまで自分ひとりが快適に暮らすためである。他にこれといって金をかけることもないので、住まいくらいはと思ったのだ。 子供のころ窮屈なところにいた反動もあるかもしれない。あのころは常に他の誰かと一緒で、ひとりになれる場所などどこにもなかった。それゆえ自分だけの [続きを読む]
  • 第1話 誘拐犯になった日
  •  つまらない人生だな――。 梅雨が明け、もう一週間もカンカン照りの猛暑日が続いていた。 インクをそのまま流し込んだかのような鮮やかな青空に、まぶしいくらい真っ白な入道雲。アスファルトの上には陽炎がゆらりと揺らめき、アブラゼミもここぞとばかりに大合唱している。 そんな中、客先での打ち合わせを終えた遠野千尋(とおのちひろ)は、ビジネスリュックを背負い、スーツの上着を片手に掛けて、さほど車通りの多くない [続きを読む]
  • 自殺志願少女と誘拐犯
  • オレに誘拐されてみないか――。ある夏の日、千尋は暴走車に飛び込もうとした少女を助けると、そう言って彼女のまえに手を差し出した第1話 誘拐犯になった日第2話 不慣れな優しさは毒のように第3話 手探りで始まる監禁生活第4話 この手で彼女を第5話 公開捜査第6話 眠れぬ夜に第7話 初めてのデート第8話 紙切れ一枚のおまもり第9話 世界でたったひとりの味方第10話 離ればなれになっても第11話 ただ生きていてくれるだ [続きを読む]
  • 番外編 忘れられないひと
  • 「えーと、山田圭吾さま宛てですが、間違いないですか?」 配達に来た男性の郵便局員にそう確認されて、圭吾は頷き、サインをして白い洋形の封筒を受け取った。しかし心当たりがない。後ろ手で鍵をかけながらその封筒を裏返し、差出人を確かめる。 同窓会事務局――? ドキリとして、その場に立ったまま封を開けた。 案の定、中に入っていたのは出身高校の同窓会を知らせる案内状だった。それもクラスでなく学年全体で行うもの [続きを読む]
  • 番外編 こじらせ片思い
  • 「はい、おみやげ」 坂崎は待ち合わせていた学食前に来るなり、笑顔で紙袋を差し出してきた。 サンキュ、と二階堂は平然とした素振りで受け取る。ちらりと中を見ると、温泉まんじゅうと書かれた平たい箱が入っていた。無難なものだが、好きなひとからもらえるのなら何だって嬉しい。それが新婚旅行のおみやげであったとしても――。 坂崎七海を初めて見たのは、中学の入学式だった。 そのときから彼女のことが気になっていた。 [続きを読む]
  • 番外編 かつて彼女と暮らした男
  • 『すみませんが、いまからこちらに来てもらえますか』 真壁拓海は、南野誠一にそう電話で呼び出された。 張り込みの任務中だが、交代のタイミングを見計らってのことだろう。ちょうど引き継ぎをすませたところである。気は進まないが断ることはできない。すぐに向かいますと答え、携帯電話をスーツの内ポケットに戻して歩き出した。 南野誠一は、拓海の上司ということになっている。 もともとは刑事だが、十年ほど前に警視庁捜 [続きを読む]