とに さん プロフィール

  •  
とにさん: 短い歌の日記
ハンドル名とに さん
ブログタイトル短い歌の日記
ブログURLhttp://tankayfugue.seesaa.net/
サイト紹介文短歌結社「冬雷」の掲載歌を中心とした雑記。
自由文バンクーバーで短歌を作っています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供65回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2011/04/15 13:12

とに さんのブログ記事

  • 海へ!
  • わたの原漕ぎ出でて見れば久かたの雲ゐにまがふ沖つ白波法性寺入道前関白太政大臣「大海原に漕ぎ出してみると、雲と見まがうばかりに沖のほうには白波が立っていることよ」ようやく夏らしくなってきたある日の午後、私も海に出ました。波間を滑るように進む友人夫婦とは対照的に、ぎっくり腰中の夫と両手腱鞘炎の私のカヤックは呼吸が合わず、櫂がからんだりあわや岩礁にぶつかりそうになったりもたもたしては、小競り合い(海に出 [続きを読む]
  • 風よ 雲よ 陽光(ひかり)よ夢をはこぶ翼遥かなる空に描く「希望」という字をひとは夢み 
    旅していつか空を飛ぶ風よ 雲よ 陽光(ひかり)よ夢をはこぶ翼遥かなる空に描く「自由」と
    いう字をOh, wind, oh clouds, oh sunlight!You're the wings that carry my dreams,You write across a distant skyWords of insp
    iration.So did people once travel in.. [続きを読む]
  • ユリノキ開花
  • 朱色より若草色へのグラデーション魅惑にあふれるユリノキの花この季節自転車に乗り又来よう隣町のユリノキの花酒向陸江(冬雷 2017年7月号)ユリノキを見るために自転車で隣町まで出かけていく。そんな作者のはずむ気持ちが伝わってきます。季節ごとの小さな楽しみを持つのは素敵なこと。今年も作者はユリノキの花を見られたでしょうか。私の近所のユリノキもようやく開花しました。灯がともっているような不思議な花です。ここ [続きを読む]
  • ピアノ 言葉
  • いつもどうもありがとう。あなたがいなかったら歌えない。Hさんはそうおっしゃって、こんなに美しいチューリップをくださったのでした。シニアの人たちの歌う会で、ボランティアとしてピアノを弾いています。初回の参加者はたったの一人でした。需要がないのかもと途方にくれたこともありますが、回を追うごとに人数が増えました。続けてみるものですね。つたないけれど、ピアノも私の言葉だと思っています。人に出会う手助けをし [続きを読む]
  • 宇宙の塵が降り注ぐ
  • 眠りたる犬の鼻孔に吸われゆく宇宙の塵も混じる朝風(須藤紀子 冬雷2018年3月号)犬が穏やかに眠る朝。宇宙塵の降る朝。同じ作者の他の歌から、飼い犬が年老いていくつもの病気を抱えていることが読めます。きっと眠る時間も長くなっているのでしょう。地球が広大な宇宙とつながっていて、人間を含めた地球に住むあらゆる生き物の命は、気の遠くなるような長い長い宇宙の歴史の中にある…。そう考えるときかけがえのない小さな命 [続きを読む]
  • 桜の歌
  • 東京の桜はもう終わってしまったそうですが、私の町ではまだまだ。冬雷2017年7月号より桜のある優しい情景を詠んだ歌をご紹介します。駆け抜ける春をいとしむ桜花散りても道を埋めつくしゐる(三木一徳)散る花を追ひかけ遊ぶ園児らを見つむるマリアも花びらのなか(山口嵩)ふはふはと川面に乗るる桜花子犬の座るカヌーも下る(大野茜)あいにくとこちらは本日も雨です。"April Showers"という歌には「四月の雨は五月の花を連れて [続きを読む]
  • 私の川 あなたの川
  • Riverとはピアノの師にはドナウ川生徒のわれには隅田川なりこんな歌を作ったのはある日のレッスンの後でした。低音の和音群に差し掛かったときに、大河のように。堂々とした流れのように響かせて。こう言われました。ふうむ…。あの、やはり先生にとっての川というと?「もちろんブダペストを流れるドナウですよ。もう故郷を離れて60年たちますがね。」祖国をこよなく愛する先生ならではのお答えでした。しかし悲しいかな、私はド [続きを読む]
  • 大丈夫
  • 大丈夫きっと元気になりますよ何があってもこの世のことです谷田律子(冬雷 2018年3月号)同じ作者の別の歌から読めるように、これは大切な人を亡くした友人を慰める言葉なのでしょう。語りかける調子がそのまま柔らかい歌になりました。がんばってと言われるより、大丈夫、きっと大丈夫よ、と静かに言われたい。そんなときがあります。週末。最近亡くなった友人の奥さんから電話があり、一緒に食事に出かけました。夫君の長い闘 [続きを読む]
  • 蜂の集う庭を目指す
  • ようやく仕事も一段落。何週間も昼夜逆転の引きこもり生活を続けた後では、外の世界のなんとまぶしいこと。まだまだ寒くて雨も多いけれど、バンクーバーの春もすでに始まっていました。一匹の働き蜂が死ぬまでに集むる蜜はスプーン一杯の量(かさ)ひたぶるに花蜜を集め五十日の命を終ふる蜜蜂哀れ水谷慶一朗「都市養蜂」(冬雷2017年10月号)ビル街の屋上に巣箱を置いた都市養蜂についての一連の歌を興味深く読んだ後、決めました [続きを読む]
  • 恐竜の子孫
  • 恐竜の時代はとうに過ぎ去れど小さき子孫は今日も空ゆく2年前の今頃に作った歌。恐竜は鳥類に進化して生き延びたという説があります。この歌を読んでくださった方から、きっとカナダにはさぞや珍しい鳥がいるのでしょうね、と言われましたが、いえ…実は私が出会った「恐竜の子孫」とはカラスなのでした。飛行中のカラスの姿にプテラノドンを思い出したのです。飛べないヒナを保護して以来、カラスは身近な存在になりました。その [続きを読む]
  • 春のお別れ
  • 去年から悲しい、寂しいことが続きます。先週、ひとりの友人が亡くなりました。今日はお葬式でした。友人は私より少し年上。リタイヤしたらあれもしたい、これもしたい。何より時間に追われずに一日を過ごしたい。そんな夢をよく話してくれたけれど、ひとつもかなえないうちにあっという間にこの世を去ってしまいました。ただひとつだけ、「モルヒネも効かない」という耐えがたい長い苦痛ともう友人が戦わなくてよいことが救いです [続きを読む]
  • 卑しい鳥
  • 土の上ころがしころがし黄の色の濃き金柑を突く鵯黄色濃くなりたる実より啄みゆく鵯よおしまい金柑を捥ぐ青木初子(冬雷 2017年5月号)作者が大事にしているであろう金柑。それを狙う鵯(ヒヨドリ)が「熟したものから食べてしまう」のに作者は苦笑しつつも、「ころがしころがし」つつく姿に憎めないものを感じて、「さあもう十分食べたでしょう。これでおしまいよ」と語りかけています。何かほのぼのとしたものを感じます。とこ [続きを読む]
  • 服を着た犬
  • 雪残る歩道を胴着の犬が来る真面目な面に引かれて来たる赤羽佳年(冬雷 2016年5月号)「来る」「来たる」と繰り返して服を着た犬が歩いてくるさまを描写しつつ、「真面目な面」というところで飼い主のことを推測しているのでしょうか。(ああ犬も寒かろうと服を着せたのだな、犬に服とはなんだかおかしいが、と)。ユーモラスな調子の良さも手伝って、一度読むと頭から離れなくなる歌のひとつです。うちの猫は服とは無縁です。自 [続きを読む]
  • 音は疲れる
  • こんなニュースを読みました。http://www.standby-media.jp/case-file/172686なんだかとても疲れそうです。ドビュッシーだろうがショパンだろうが「ヒーリング音楽」だろうが、自分が主体的に聞きたい場面以外で音楽を流される。それは私には苦痛でしかありません。店内、駅構内、どこでだって嫌だけど、特に電車なんて逃げ場所がないでしょう。もちろん、これがたとえ敬愛するかの大バッハの「ゴルトベルク変奏曲」(グールド晩年 [続きを読む]
  • 南の枝の
  • 桜木の下を通れば心なしか南の枝のほのぼのとして永田つぎ(冬雷 2015年6月号)この歌が詠まれた頃はまだきっと冬。でも桜の木の南にあるほうの枝が少し違う。そのことに気が付いて、思わず作者は立ち止まる。枝が「ほのぼのとして」いるのは芽ぶきの兆候でしょう。そして作者の心もほのぼのと温まったのでしょう。優しい言葉遣いに春を待つ心が現れています。バンクーバーも週末は雪でした。でも強い西風が厚い雲を吹き飛ばし、 [続きを読む]
  • 福寿草とクロッカス
  • やはらかな黄のいろ持てる福寿草ひと群だちのその暖かさ倉浪ゆみ(冬雷2015年4月号)福寿草の黄色は太陽の光だと思います。色彩の乏しいこの季節。鮮やかに咲く花を見つけた喜びを「暖かさ」と表現されているのがいいですね。春を待つ心が感じられます。福寿草は、私の実家でも冬の終わりを告げてくれる花です。今年は寒い、福寿草もまだ咲かない。今月のはじめにそんなメールをよこした父ですが、先週末に突然体調を崩して再び入 [続きを読む]
  • スノードロップ
  • 昨年末からかかりきりだった大仕事がようやく一段落ついたので、脱引きこもりです。まだまだ寒い外気に一歩。もう道端にスノードロップがたくさん咲いていました。この花を見かける時期になると、私はチャイコフスキーの「松雪草」を弾くことにしています。この曲、ロシア語ではподснежник、英語訳はsnowdrop。でもちょっと待って。本当にこのスノードロップのことでいいのかな?そう思ったのは、この曲のもとになったマ [続きを読む]
  • シューベルト流して
  • しとしとと雨降る夜に難民への生理帯を縫ふシューベルト流して 田端五百子(冬雷 2018年1月号 p.17)雨が降っている。縫物をしている。シューベルトを聞いている。三つの具体的な状況が組み合わさり、静かな抒情を生んでいます。ここでは難民への生理帯という現実的な言葉が物語に深みを、シューベルトの音楽が柔らかさを与えているのでしょう。ちょうど、何年も内戦が続く南スーダンで避難生活を余儀なくされている人たちの記 [続きを読む]
  • 如何に速く動くよ
  • 寺田寅彦は「俳句と地球物理」を読みました。その中で、英訳された俳句を「俳句の事を何も知らない日本の英学者のつもりになって、もう一遍日本語にしかもなるべく英語に忠実に翻訳」したあとに、「滑稽を感じると同時に」「いくらか肩の軽くなるのを覚えた」と述べています。寺田寅彦の日本語訳はこうです。如何に速く動くよ、六月の雨は、寄せ集められて、最上川にそう、あの松尾芭蕉ですね。五月雨を集めて早し最上川もとになっ [続きを読む]
  • ハッピー・トーク
  • 大昔に見た「南太平洋」。この歌がいっぺんに好きになって、英語を知らない子供だった私が一生懸命覚えたものでした。夢を持たなきゃだめ。持たなきゃ夢はかなわない…これまた私の大好きなエラ・フィッツジェラルドの滑らかなボイスで、雨の夜も滑らかに。Ella Fitzgerald - Happy TalkHappy talk, keep talkin' happy talk,Talk about things you'd like to do.You got to have a drea.. [続きを読む]
  • 美しいもの捜し
  • 野村灑子歌集「美しいもの捜し」(短歌研究社)は、しみじみと心に響く言葉が収められた歌集でした。私が特に好きな歌の(ほんの)一部を挙げてみます。深夜便のラジオのアナウンサー朝五時に挨拶をして場を離れゆく姿見えねどあの声は四十雀だ庭の木にチチチチと二羽が鳴き交はしゐて吾が縫ひし夫のコートをはおりをれば抱かるる如く背中にぬくし友にかくる電話むかうに「お母さん」と呼べるを羨しむ吾に子のなくそのものの生命全 [続きを読む]
  • はずみをつける
  • 生きるとは音立てること朝より葱刻みをり汁に添へむと天野克彦(冬雷 2017年4月号)上句は真理。下句の「葱刻みをり汁に添へむと」の具体性に納得させられます。まな板にあたる包丁の音はお囃子だなと、私は思っています。何かこう人をしゃきっとさせる力を持っているからです。私もこの週末の朝食には(久しぶりに)味噌汁を作りましょう。実家の母が作った味噌と、私の猫の額ほどの菜園に育っている分葱。そうそう、韓国人の店 [続きを読む]
  • 気分上々
  • 君のため初めて作る春巻きよ気分上々また作るよね大沢幸子(冬雷 2017年11月号)彼のために春巻きに挑戦して、それが思いのほかおいしくできて、彼も喜んでくれて、もう最高の気分でしょう。「きぶんじょうじょう」の軽やかな響きが生きていると思います。読むほうも楽しい、さわやかな歌。結婚前に私が初めて作った料理は何だったのかはもう覚えていませんが、一度ナスのしぎ焼きを作ったことがあって、それが見事な生焼け状態で [続きを読む]
  • 星の輝く夜
  • ドビュッシーの「星の輝く夜」を歌ってくれる人が見つかりました。この楽譜を手に入れてかれこれ8年がたちますが、なかなか出遭えなかったのです。ソプラノで、フランス語の発音が出来て、そしてなによりも私のピアノ伴奏で歌ってもいいよ、と言ってくれる人に。「星の輝く夜」はメロディも歌詞もドビュッシーの音楽にしてはシンプルかもしれません(ドビュッシー18歳の作品だそう)。でももう戻らない過去の美しい星の夜を夢見て [続きを読む]
  • マルに似た子猫が沢山生まれたる夢を見ている明け方のこと三村芙美代(冬雷2017年12月号)マルにそっくりの子猫がたくさんいる賑やかな楽しい時間。でもそれは、愛する者の不在を悲しむ心が見せた、ひとときの安らぎでした。そう、作者がずっとかわいがっていた猫はもう死んでしまったのです。淡々と詠われているところがかえって胸に迫ります。reproduction。繁殖、再生。regeneration。再生、復活。そんな言葉が浮かびます。命の [続きを読む]