尾道貴志 さん プロフィール

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尾道貴志さん: 掌の小説
ハンドル名尾道貴志 さん
ブログタイトル掌の小説
ブログURLhttp://garakutakan2012.blog.fc2.com/
サイト紹介文掌に乗るほどの短編小説です。
自由文文豪 川端康成の「掌の小説」 現代版です。
不定期更新。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供12回 / 365日(平均0.2回/週) - 参加 2011/07/20 18:05

尾道貴志 さんのブログ記事

  • 「遠大」な計画
  •  冬休みを利用して僕ら3人は修二の家に泊まりに行くことになった。 中学に入り初めて友達の家に泊まりに行く、それだけでも心弾むのに、修二の家は町から電車で一時間あまりの郊外にあるという。両親の都合で転校してきたが長期の休みや週末には実家に帰るのだそうだ。 1時間の小さな旅に僕らの胸はさらにときめいた。 クリスマスの夜、僕らは小高い丘の上にある修二の家の庭にいた。 「寒いね」 「ああ、寒いな」 「でも [続きを読む]
  • 杜子春の糸
  •  大都会の片隅の小さな公園に男はいた。 夕焼け小焼けのメロディーが茜空に滲み込んでいく中でブランコに腰かけてあてもなく空を眺めていた。 ベンチャー企業を立ち上げたのは10年前、まだ二十歳をわずかに過ぎたばかりの頃だった。IT技術を駆使した株価の予測と売買は新手の証券会社として一世を風靡し時代の寵児としてマスコミにもてはやされもした。 わずかの期間で億という金を自在に操るようになると男の心は変わって [続きを読む]
  • 「杜子春の糸」
  •  大都会の片隅の小さな公園に男はいた。 夕焼け小焼けのメロディーが茜空に滲み込んでいく中でブランコに腰かけてあてもなく空を眺めていた。 ベンチャー企業を立ち上げたのは10年前、まだ二十歳をわずかに過ぎたばかりの頃だった。IT技術を駆使した株価の予測と売買は新手の証券会社として一世を風靡し時代の寵児としてマスコミにもてはやされもした。 わずかの期間で億という金を自在に操るようになると男の心は変わって [続きを読む]
  • 「TOSHISHUN NO ITO」
  •  大都会の片隅の小さな公園に男はいた。 夕焼け小焼けのメロディーが茜空に滲み込んでいく中でブランコに腰かけてあてもなく空を眺めていた。 ベンチャー企業を立ち上げたのは10年前、まだ二十歳をわずかに過ぎたばかりの頃だった。IT技術を駆使した株価の予測と売買は新手の証券会社として一世を風靡し時代の寵児としてマスコミにもてはやされもした。 わずかの期間で億という金を自在に操るようになると男の心は変わって [続きを読む]
  • 宿泊
  •  気がついた時には見知らぬ駅にいた。 金曜の夜の解放感に誘われて深酒しすぎたようだ。 今までも何度か電車で乗り過ごしたことはあったが、折り返しの電車がまだある駅か、悪くてもタクシーで帰れる範囲だった。 しかし、今回はどうやら相当先まで来てしまったようだ。近年のベッドタウンの郊外化に伴い、最近の通勤電車は驚くほど遠方まで走っている。 改札はひっそりとしていて人影もない。 時計を見ると日付は翌日になっ [続きを読む]
  • 「Yちゃん」の宅急便
  •   春の湿った風とともに新学期が幕を上げる。   僕は新任の先生としてとある中学校に赴任した。 自宅で飼っていた熱帯魚と三毛猫に後ろ髪をひかれつつ一人暮らしも始まった。  (動物のいない生活は物心ついてから初めてだな・・・)  クラスの中に一人物静かな女の子がいた。Yちゃんと言い、やせていて、背も小さく、同じクラスには一人だけ話せる女の子がいた。その子以外とは、学校でほとんど口をきくのを見たことが [続きを読む]
  • Yちゃんの宅急便
  •   春の湿った風とともに新学期が幕を上げる。   僕は新任の先生としてとある中学校に赴任した。 自宅で飼っていた熱帯魚と三毛猫に後ろ髪をひかれつつ一人暮らしも始まった。  (動物のいない生活は物心ついてから初めてだな・・・)  クラスの中に一人物静かな女の子がいた。Yちゃんと言い、やせていて、背も小さく、同じクラスには一人だけ話せる女の子がいた。その子以外とは、学校でほとんど口をきくのを見たことが [続きを読む]
  • 出発
  •  「ねえ、パパ、地球って丸いの?」 「そうだよ、ユタ、地球は丸いんだ」 「ふーん」 「どうしてだい?」 「うん、これ!」 「なるほど・・地球儀か」 「でも、この下にいる人たちは落っこちちゃうよ」 「はは、大丈夫、地球には引力っていうのがあって、落ちたりすることはないんだよ、それに地球には『上』も『下』もないのさ」 「ふーん」 その時・・晴れた空で「カチッ」という大きな音が響いた 次の瞬間・・ 日本 [続きを読む]
  • 終演
  • 真冬の夜澄んだ空には満天の星人々は新年へそれぞれの想いを胸に空を見上げていた。その時夜空に輝くオリオン座が静かに姿を消した・・青く光るシリウスも静かに姿を消した・・北極星も天の川も静かに姿を消した・・夜空を彩るすべての星々が静かに姿を消した・・・そして・・空は今までに見たことがないくらいの明るい光に包まれた・・・人々は何が起こったか分からず顔を見合わせた。やがて・・・空から世界中に響き渡るような大 [続きを読む]
  • エール
  •    凍えて澄み切った夜空に冴えた満月が煌々と輝いていた。 残業を終え、青年はやるせない想いを持て余しながら空を見上げる。 (あーあ 最低の一日だったなぁ・・・) 一日を振り返ればそれは朝の不運から始まった、彼の乗っていた通勤電車は人身事故のためにストップ、乗客は満員の車内で一時間近く缶詰めになった。肉体的な苦痛に加え、青年はこの日携帯電話を忘れていた。  ようやく会社に着くも連絡なしの遅刻だ・・ [続きを読む]
  • イニシエーション
  •  小学校4年生の頃、僕らの楽しみの一つに銭湯があった。 町に五時のサイレンが鳴り響くと遊びに夢中だった僕らは一度解散をする。 「じゃあ、スポットな」 雄ちゃんがいつもの時間を指定する。 「OK!」 僕と達也は親指を立てる。 「オレ、少し遅れるかも」 勝っちゃんが言った。 「どうした?」 「いや、ちょっとね」 僕らはその表情から悟った、勝っちゃんは今日やる気なのだ・・ 「待ってるぜ」 雄ちゃんが目 [続きを読む]
  • 小さな「イニシエーション」
  •  小学校4年生の頃、僕らの楽しみの一つに銭湯があった。 町に五時のサイレンが鳴り響くと遊びに夢中だった僕らは一度解散をする。 「じゃあ、スポットな」 雄ちゃんがいつもの時間を指定する。 「OK!」 僕と達也は親指を立てる。 「オレ、少し遅れるかも」 勝っちゃんが言った。 「どうした?」 「いや、ちょっとね」 僕らはその表情から悟った、勝っちゃんは今日やる気なのだ・・ 「待ってるぜ」 雄ちゃんが目 [続きを読む]
  • 「秋の童話」
  • 最悪の一日・・・目覚まし時計が壊れて寝坊した。全力で駅まで走ったけど目の前でドアは閉まった。そうそう、お弁当も見事に忘れたし、ついでに今日が締め切りの宿題も。夜中の二時までかけてやったのに・・・あっ、それが悪かったのか。返された英語のテストは史上最低の点数だった。体育は大の苦手の水泳、しかも記録会。よりによって男子も一緒なんて・・・わたしは果たして泳いでるのかそれとも溺れてるのか。憧れのタカシ君に [続きを読む]
  • 「童話」
  • 最悪の一日・・・目覚まし時計が壊れて寝坊した。全力で駅まで走ったけど目の前でドアは閉まった。そうそう、お弁当も見事に忘れたし、ついでに今日が締め切りの宿題も。夜中の二時までかけてやったのに・・・あっ、それが悪かったのか。返された英語のテストは史上最低の点数だった。体育は大の苦手の水泳、しかも記録会。よりによって男子も一緒なんて・・・わたしは果たして泳いでるのかそれとも溺れてるのか。憧れのタカシ君に [続きを読む]
  • 僕たちの挑戦!
  • あとがき 僕が小学生の頃、まだまだ子供の楽しみは限られていました。今と違ってゲーム機もパソコンもありませんでしたし、テレビも一家に一台、チャンネル権は大人が握り、見たい番組もなかなか見ることが出来ません。でも、そうした時、子供は必死になって自分で楽しみを見つけていきます。  僕の父はなぜだか野球嫌いで、僕は小学校六年生になるまで生の試合観戦はもちろんテレビ中継でさえ一度も見たことがありませんでした [続きを読む]
  • 「僕たちの挑戦」 あとがき
  • あとがき 僕が小学生の頃、まだまだ子供の楽しみは限られていました。今と違ってゲーム機もパソコンもありませんでしたし、テレビも一家に一台、チャンネル権は大人が握り、見たい番組もなかなか見ることが出来ません。でも、そうした時、子供は必死になって自分で楽しみを見つけていきます。  僕の父はなぜだか野球嫌いで、僕は小学校六年生になるまで生の試合観戦はもちろんテレビ中継でさえ一度も見たことがありませんでした [続きを読む]
  • 「僕たちの挑戦」
  • あとがき 僕が小学生の頃、まだまだ子供の楽しみは限られていました。今と違ってゲーム機もパソコンもありませんでしたし、テレビも一家に一台、チャンネル権は大人が握り、見たい番組もなかなか見ることが出来ません。でも、そうした時、子供は必死になって自分で楽しみを見つけていきます。  僕の父はなぜだか野球嫌いで、僕は小学校六年生になるまで生の試合観戦はもちろんテレビ中継でさえ一度も見たことがありませんでした [続きを読む]
  • 約束(再掲)
  •  君とは旅先で出会った。 大学二年の夏。 静かなペンションの読書ルームで君は本を読んでいた。 僕は何とはなしに声をかけた。「天気がいいのに出掛けないんですか?」 君は少し驚いたように答えた。「ええ」 君は心臓の病気を抱えていると言った。 僕は驚いた、なぜって・・僕も同じ病気を抱えていたからさ。「名前は?」「まひろ、あなたは?」「僕は優一」 僕らは意気投合した。 ペンションのテラスで、パラソルの中、 [続きを読む]
  • サービス
  • 駅前の商店街を抜けると景色は一変し閑静な住宅街に・・その先の桜並木が続くなだらかな坂を登りきった所に「聖海学園中学校」がある。誰もが知る名門の進学校だ。校門に向け足を進める数知れぬ受験生たち・・すでに合格発表の掲示はされている時間だ、風に乗り微かに歓声らしき声が聞こえてくる。「ママ、何でそんなに心配そうな顔してるの?」「何でって、心配なのは当たり前でしょ・・」「僕が落ちるわけないじゅない、模試でも [続きを読む]
  • 静かな贈り物
  • 某国 国防省「どうだ、交渉の進捗は?」「予断を許さぬ状況です」「開戦もやむなしか・・」「そんな生易しいものじゃありません!」「どういうことだ?」「核ミサイルの発射を仄めかしています」「世界が終わるぞ!」「やつは本気です・・言わば世界を巻き込んでの自爆テロかと・・・」「手はないのか?」「大統領がホットラインで対峙するとのことです、それが最後の・・」日本 とある病院の一室「先生、息子の状態は?」「残念 [続きを読む]