火消茶腕 さん プロフィール

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火消茶腕さん: なんとなくショートショート
ハンドル名火消茶腕 さん
ブログタイトルなんとなくショートショート
ブログURLhttp://hikesichawan.blog.fc2.com/
サイト紹介文創作ショートショート。主にSF、ファンタジー、ホラー風味。その他恋愛など。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供14回 / 365日(平均0.3回/週) - 参加 2011/07/29 16:00

火消茶腕 さんのブログ記事

  • 運命のいたずら
  • 「いやー、参っちゃったわ」 久々に会った友人がため息を付いた。「なに?どうしたの?」 めったに弱音を吐かない彼女が、珍しくそう言ったので、私は心配して尋ねた。「実はね」 目を落とし、眉にシワを寄せて彼女は言った。「この間、ある女に訴えられちゃってねえ」「訴えられた?!何で?!」 私は驚いて、つい大声を出した。「私がマンガ描いているのは知ってるでしょう?」 友人が聞いてきた。 私はすぐにうなずいた。 [続きを読む]
  • 続々・ガチョウと黄金の卵
  • 「ガチョウと黄金の卵の話は知っているわよね?」 私は彼に聞いた。「もちろん知ってるさ。君が続けてひどい目にあったこともね」 彼は私を心底同情した目で見た。 私は特別な腸内細菌を持っている。他人に移植すると、かなりの病気が治る、そんな細菌だ。 この菌は移植しても、数日で消えてしまうし、培養もできていない。なので、私から毎回採取するしかない。 その現状に業を煮やした元彼が、私の体の秘密を探ろうとして、 [続きを読む]
  • 続・ガチョウと黄金の卵
  • 「ガチョウと黄金の卵の話は知っているわよね?」 私は彼に聞いた。「もちろん知ってるさ。あの話の最後も、そして、君に起こったことも」 彼は優しく微笑んだ。 私は特異な腸内細菌をお腹に持っていた。私のそれを他の人に移植すると、結構な疾患が劇的に治るらしい。 けれどそれらは他の人には定着せず、培養も難しいようだった。 前の彼は、そのことに苦悩して、私の体の秘密を探るべく、承諾もなしに、無理やり、私のお腹 [続きを読む]
  • ガチョウと黄金の卵
  • 「ガチョウと黄金の卵の話は知ってるわよね?」 私は聞いた。「もちろん知ってるさ」 彼は微笑んだ。「それなら、愚かな飼い主が、毎日黄金の卵を生んでたガチョウを駄目にしてしまった、ってことも分かってるのよね」  私はやや語尾を荒げ、言った。「もちろん、それも分かってるよ」 彼は軽くうなずいた。顔はまだ笑っている。「じゃあ、どうして……」 私は悲しげに彼を見つめた。彼の愚かな行動を止めたかったのだ。しか [続きを読む]
  • 占いは信じるかい?
  •  「前からの悩み、やっと解決しそー」 会った途端、友達のユキコが嬉しそうにそう言ってきた。「悩みって、あの、誰と付き合うかっていうか、誰を本命にするかってやつ?」 私はやや呆れ気味の顔をして聞いた。こいつは可愛い顔をして三股しているのだ。私は彼氏いない歴=年齢だというのに。 「そう、それ」 彼女は少しも悪びれることなく答えた。「ずっと迷ってたけど、これでもう大丈夫だよー」 ずいぶんと自信有り気な様子 [続きを読む]
  • 腹の虫がおさまらない
  • 「○○さんどうぞ」 呼ばれて若い女が部屋に入ってきた。ここに来るのは初めてのようだ。すなわち、初診の患者だ。  紹介状を持ってきていたので、先にそれを読んでいたから、大体の病状は把握できていた。が、誰にでもするように、眼の前の椅子に女性が座ったところで、私は尋ねた。「どうされましたか?」  私の質問に、彼女は怯えたような目を向け、それからうつむいて、つぶやくように言った。「あのー……、実は……、そ [続きを読む]
  • 選べるのはふたつだけ
  • 「大体さー、品質、価格、アクセスという三つの中で、選べるのはふたつだけって決まっているもんなんだ。それを一般人はわかってないんだよ」 酒場で知り合った男が、臭い息を吐きながら、私に愚痴った。「何それ?どういうこと?」 やや、鬱陶しいと感じながらも、ちょっと興味も湧いたので、私は尋ねた。「ん〜、それはね」 しばし考えをまとめようと、空中を見た後、私の方を向いて言った。「こういうたとえ話なら分かりやす [続きを読む]
  • 補修
  •    木材の場合、まずは表面に紙やすりを丁寧にかけ、カビや汚れを落とす。 終わったら水拭きをし、細かいほこりなどもとる。 その後、紙やすりでは平らにならないような溝や傷を埋める。小さいものはとの粉を水で溶いたものでもいいが、大きな穴のようなものは木工用のパテを使う。  眼の前には大きな穴が多数ある。  パテを穴の中にヘラで押し込み、周りと同じ高さになるように穴を埋める。はみ出た余分な分は丁寧に除去す [続きを読む]
  • 勇者
  • 「今すぐ魔王城には向かうな、ということですか?」 やや驚きをもって、勇者が賢者に聞いた。賢者はうなずいた。「では、賢者様は、まだ我々では力不足だと思われているのですね?鍛え方が足りませんか?それとも、必ず揃えなければならないはずの装備が抜けたりしていますか?ぜひ、お教え下さい」  深々と頭を下げる勇者に、賢者は首を横に振った。「いえ決して、あなた様が魔王に劣っているとは思っていません。お見かけした [続きを読む]
  • 食卓にて
  • ”やっぱり!” 案の定、朝食のテーブルにはししとうの炒め物があった。自分の分として取り分けられた小皿にあるのは、見たところ5、6本か?”さて、今回はどれが当たりなのだろう” 私は油にくるまれ、緑色に輝く物体をじっと見た。 自分がこのししとうのからくりに気づいたのはだいぶ前のことだ。 食卓にししとうの炒め物が出た時、なぜか自分だけが必ず辛いししとうに当たり、妻にはそれが行かないのだ。最初はただの偶然だ [続きを読む]
  • 悪夢?
  •    夜中、寝室で寝ていると、なにやら不審な声のようなものが聞こえ、目が覚めた。  それはムーとかウーとか、明瞭な言葉をなしておらず、最初は猫が鳴いたのかと思った。しかし、その声は我が家の2匹の飼い猫のどちらにも似ていない。 そこで、隣で寝ている妻と一緒になって、はやニ十年、その間、ただの一度もなかったことだが、これはもしかして妻の寝言なのではと考えた。 すぐに同じような声がし、確信をした。妻は寝言 [続きを読む]
  • 体質
  • 「 思えば、最初は、中学生の頃に見たサッカーワールドカップだと思うんだけど」 私の話を、モニター画面を見ながら聞いていた夫が、振り向いて言った。 「テレビ画面の中で繰り広げられる、選手たちのパフォーマンスにとても魅了されてねえ。毎日、夢中になって見たっけ」  夫は少し遠い目をした。「それからは国内や海外のサッカーの試合だけで飽き足らなくなって、野球、バスケット、バレー、マラソン、テニス…… 、放映され [続きを読む]
  • 誤解
  • 「君のお姉さんって A さんの彼女だったの?」 彼女から兄弟の話を聞き、俺は驚いて言った。「あっ、やっぱり知ってる? Aさん。同じ会社だから、そうじゃないかな、とは思ってたんだけど」 彼女が言った。「まあ、知っているといえば知っているけど、それほど親しいわけじゃないよ。部署が違うので、顔見知りって程度かな」 俺は答えた。「そうなんだ。でも、世の中って狭いよね」 彼女はごく普通に言った。  あまり辛そうに [続きを読む]
  • クリスマスプレゼント
  •  クリスマスツリーセットの箱を、何年かぶりに取り出した。 我が家から子供が居なくなって、ずっと物置にしまっておいたものだ。 もう使うこともないだろうし邪魔だなあ、と、それを見るたび気になってはいたのだが、いざ捨てるとなるとそれも億劫で、その内その内と忘れたふりをしていた。  けれども今年、病いを患い、自分に残された時間が無限にあるわけではないのを痛感して、考えを変えた。それからは努めて不要なものは [続きを読む]
  • 夢に周公を見ず
  • 「これを飲めば、思った通りの夢が見れるのね?」 私は期待に胸を膨らませて、渡された錠剤シートを見た。「いや、絶対というわけじゃないから。あくまで見やすくなる、ってだけで」と、薬をくれた友人のメイは水を差した。「自分が見たいと思う夢を見ることができるようになるには、まずは明晰夢を見る必要があるの。で、その薬を飲むと、必ず明晰夢が見られるようになるってわけ」と、言ってきた。「明晰夢?」 私は聞いた。「 [続きを読む]
  • イワナガヒメ
  • 「コノハナサクヤヒメの話って、ちょっとおかしいよね?」  富士の浅間大社がテレビに出てきたのを見て、相手が言った。 コノハナサクヤヒメは日本神話に出てくる女神で、富士山本宮浅間大社の主神である。 私は大学でそのあたりのことを勉強していたので、相手は話題にしてきたのだろう。「えっ?どこかおかしいですか?」 私は何の気なしに応えた。 「うん、とても腑に落ちないんだよね、私には。コノハナサクヤヒメの嫁入 [続きを読む]
  • 生前整理
  • 「今度から生前整理を始めるよ」 どこから聞いてきたのか、夫がそんなことを突然言い出した。 夫も私もともに五十代。息子も娘も既に社会人となり、家を出ているので、一戸建てに二人暮らしだ。さほど広くもない我が家ではあるが、二人が使い切る程に狭くはない。 そのため、余った部屋は徐々に乱雑とした物置と化していて、確かに、このまま放置しておくのは得策ではないかもしれない。 しかし、私は片付けは根本的に苦手だ。 [続きを読む]
  • 女房を質に入れてでも
  • 「えっ?一千万?一千万円も融資していただけるんですか?」 男が驚いて叫んだ。「まあ、モノがモノですから、そのくらいが相場になります」 裏の世界に通じているという噂のある、質屋が答えた。「一千万!それだけあれば……」 男は目を輝かせた。「ただし、流質期限は最短の三ヶ月です。しかも、利子の支払いによる、質の契約更新はできません」 質屋の言葉に、男は少し考え込んだ。「もしその気になられましたら、もちろん [続きを読む]
  • お触れ
  • 「どうしてトマスを連れてっちゃうの?何も悪いことをしてないのに。ねえ、どうして?」 幼い少女が母親にすがり、涙目で訴えていた。「それはね。今度、新しく変わった領主様から、そういう命令が来たからなんだよ」 母親は少し困った顔をして、娘に答えた。「すぐに帰ってくるんだよね?もう会えなくなることなんてないよね?」 母親は娘を抱きしめ、背中をさすった。「ああ、大丈夫。きっと大丈夫だよ」 そう言いながらも、 [続きを読む]
  • 喫茶去
  •  あれは私が中学一年生の時だった。  夜、居間でテレビを見ているとテーブルに置いてあった母の携帯が鳴った。メールが届いたようだった。 母はちょうどお風呂に入っていたので、私は何の気なしに、携帯を手に取り覗いてみると、父からのメールだった。 そこで私は、何の用事か、急ぎならドア越しにでも母に伝えようと思い、中身を見た。 すると、そこにはこう書かれていた。「紅茶を飲みませんか?」 は?なにこれ?紅茶? [続きを読む]
  • 名探偵の見解
  • 「君は本当のところ、どう思ってるんだい?」 探偵にその友人が尋ねた。「遠慮せずに、君の正直な考えを聞かせてくれないだろうか?」 それを聞き、探偵は軽くため息を付いた。「君がどうしても知りたいというのなら、僕が今回の件で考えていること話してもいいんだが……。本当に聞きたいかい?」「ぜひ、聞かせてくれ」 友人はうなずいた。 友人の決意を見て取り、探偵が言った。「今回、君はずっと原因を探していたね。どう [続きを読む]
  • 似た者同士
  • 「彼女と一緒になろうと決めたってことは、あれ使ったんだな?」 報告しに来た相手が母親と台所に行き、二人っきりになったのを見計らって、息子に父親が聞いた。「うん」 息子が言った。「悪いとは思ったんだけど、どうしても不安で」「分かる、父さんもそうだった」 父親はうなづいた。「自分に不相応な美人がパートナーになってくれると思うとな。何か裏があるんじゃないかと思って、どうしてもな」「このことは絶対、内緒に [続きを読む]
  • 裏切り
  • 「どうしたの?」 沈んだ顔をしている彼女に彼が聞いた。「実はクロが……」 うつむき、ボソリと答える。クロとは彼女が飼っている猫だ。「クロ?そういえば見当たらないけど……。まさか?ひょっとして……」 驚く彼に、彼女はかぶりを振った。「大丈夫、死んではいないわ。ただ……」「ただ?ただ、どうしたの?」 なかなか話さない彼女に、彼は多少苛立ちながら、またたずねた。 そこでやっと、決心したように彼女は事情を [続きを読む]
  • お食事会
  • 「どうかなさったんですか?課長」 昼休み、何度目かの深い溜め息をついた上司に対し、私はたずねた。「えっ?いや、別に?」 予想通りの答えが返ってきたが、私はひるまずに押した。「でも、今朝から何か、ご様子が変ですが?お休みに何かあったんですか?」 今は、特に差し迫った仕事も抱えてはおらず、課長が急に意気消沈した原因があるとすれば、週末、家庭で何か起こったとしか考えられない。「良かったら、お話ししてくだ [続きを読む]
  • 依頼人
  • 「この仕事で、最も印象に残ったやつかい?」 少し考える仕草をした後、博士は言った。「今までいろいろな人に会って、いろいろな依頼を受けたけど、そういえば、こんな人がいたよ」 おもむろに博士は語りだした。「その人から依頼された品は人を好きにさせる薬、いわゆる惚れ薬といういうやつだった。 まあ、それ自身はさほど珍しい願い事ではなかったけれど、こういうものを欲しがるのは、たいてい若い女性で、たまに若い男、 [続きを読む]