火消茶腕 さん プロフィール

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火消茶腕さん: なんとなくショートショート
ハンドル名火消茶腕 さん
ブログタイトルなんとなくショートショート
ブログURLhttp://hikesichawan.blog.fc2.com/
サイト紹介文創作ショートショート。主にSF、ファンタジー、ホラー風味。その他恋愛など。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供15回 / 365日(平均0.3回/週) - 参加 2011/07/29 16:00

火消茶腕 さんのブログ記事

  • 占いは信じるかい?
  •  「前からの悩み、やっと解決しそー」 会った途端、友達のユキコが嬉しそうにそう言ってきた。「悩みって、あの、誰と付き合うかっていうか、誰を本命にするかってやつ?」 私はやや呆れ気味の顔をして聞いた。こいつは可愛い顔をして三股しているのだ。私は彼氏いない歴=年齢だというのに。 「そう、それ」 彼女は少しも悪びれることなく答えた。「ずっと迷ってたけど、これでもう大丈夫だよー」 ずいぶんと自信有り気な様子 [続きを読む]
  • 腹の虫がおさまらない
  • 「○○さんどうぞ」 呼ばれて若い女が部屋に入ってきた。ここに来るのは初めてのようだ。すなわち、初診の患者だ。  紹介状を持ってきていたので、先にそれを読んでいたから、大体の病状は把握できていた。が、誰にでもするように、眼の前の椅子に女性が座ったところで、私は尋ねた。「どうされましたか?」  私の質問に、彼女は怯えたような目を向け、それからうつむいて、つぶやくように言った。「あのー……、実は……、そ [続きを読む]
  • 選べるのはふたつだけ
  • 「大体さー、品質、価格、アクセスという三つの中で、選べるのはふたつだけって決まっているもんなんだ。それを一般人はわかってないんだよ」 酒場で知り合った男が、臭い息を吐きながら、私に愚痴った。「何それ?どういうこと?」 やや、鬱陶しいと感じながらも、ちょっと興味も湧いたので、私は尋ねた。「ん〜、それはね」 しばし考えをまとめようと、空中を見た後、私の方を向いて言った。「こういうたとえ話なら分かりやす [続きを読む]
  • 補修
  •    木材の場合、まずは表面に紙やすりを丁寧にかけ、カビや汚れを落とす。 終わったら水拭きをし、細かいほこりなどもとる。 その後、紙やすりでは平らにならないような溝や傷を埋める。小さいものはとの粉を水で溶いたものでもいいが、大きな穴のようなものは木工用のパテを使う。  眼の前には大きな穴が多数ある。  パテを穴の中にヘラで押し込み、周りと同じ高さになるように穴を埋める。はみ出た余分な分は丁寧に除去す [続きを読む]
  • 勇者
  • 「今すぐ魔王城には向かうな、ということですか?」 やや驚きをもって、勇者が賢者に聞いた。賢者はうなずいた。「では、賢者様は、まだ我々では力不足だと思われているのですね?鍛え方が足りませんか?それとも、必ず揃えなければならないはずの装備が抜けたりしていますか?ぜひ、お教え下さい」  深々と頭を下げる勇者に、賢者は首を横に振った。「いえ決して、あなた様が魔王に劣っているとは思っていません。お見かけした [続きを読む]
  • 食卓にて
  • ”やっぱり!” 案の定、朝食のテーブルにはししとうの炒め物があった。自分の分として取り分けられた小皿にあるのは、見たところ5、6本か?”さて、今回はどれが当たりなのだろう” 私は油にくるまれ、緑色に輝く物体をじっと見た。 自分がこのししとうのからくりに気づいたのはだいぶ前のことだ。 食卓にししとうの炒め物が出た時、なぜか自分だけが必ず辛いししとうに当たり、妻にはそれが行かないのだ。最初はただの偶然だ [続きを読む]
  • 悪夢?
  •    夜中、寝室で寝ていると、なにやら不審な声のようなものが聞こえ、目が覚めた。  それはムーとかウーとか、明瞭な言葉をなしておらず、最初は猫が鳴いたのかと思った。しかし、その声は我が家の2匹の飼い猫のどちらにも似ていない。 そこで、隣で寝ている妻と一緒になって、はやニ十年、その間、ただの一度もなかったことだが、これはもしかして妻の寝言なのではと考えた。 すぐに同じような声がし、確信をした。妻は寝言 [続きを読む]
  • 体質
  • 「 思えば、最初は、中学生の頃に見たサッカーワールドカップだと思うんだけど」 私の話を、モニター画面を見ながら聞いていた夫が、振り向いて言った。 「テレビ画面の中で繰り広げられる、選手たちのパフォーマンスにとても魅了されてねえ。毎日、夢中になって見たっけ」  夫は少し遠い目をした。「それからは国内や海外のサッカーの試合だけで飽き足らなくなって、野球、バスケット、バレー、マラソン、テニス…… 、放映され [続きを読む]
  • 誤解
  • 「君のお姉さんって A さんの彼女だったの?」 彼女から兄弟の話を聞き、俺は驚いて言った。「あっ、やっぱり知ってる? Aさん。同じ会社だから、そうじゃないかな、とは思ってたんだけど」 彼女が言った。「まあ、知っているといえば知っているけど、それほど親しいわけじゃないよ。部署が違うので、顔見知りって程度かな」 俺は答えた。「そうなんだ。でも、世の中って狭いよね」 彼女はごく普通に言った。  あまり辛そうに [続きを読む]
  • クリスマスプレゼント
  •  クリスマスツリーセットの箱を、何年かぶりに取り出した。 我が家から子供が居なくなって、ずっと物置にしまっておいたものだ。 もう使うこともないだろうし邪魔だなあ、と、それを見るたび気になってはいたのだが、いざ捨てるとなるとそれも億劫で、その内その内と忘れたふりをしていた。  けれども今年、病いを患い、自分に残された時間が無限にあるわけではないのを痛感して、考えを変えた。それからは努めて不要なものは [続きを読む]
  • 夢に周公を見ず
  • 「これを飲めば、思った通りの夢が見れるのね?」 私は期待に胸を膨らませて、渡された錠剤シートを見た。「いや、絶対というわけじゃないから。あくまで見やすくなる、ってだけで」と、薬をくれた友人のメイは水を差した。「自分が見たいと思う夢を見ることができるようになるには、まずは明晰夢を見る必要があるの。で、その薬を飲むと、必ず明晰夢が見られるようになるってわけ」と、言ってきた。「明晰夢?」 私は聞いた。「 [続きを読む]
  • イワナガヒメ
  • 「コノハナサクヤヒメの話って、ちょっとおかしいよね?」  富士の浅間大社がテレビに出てきたのを見て、相手が言った。 コノハナサクヤヒメは日本神話に出てくる女神で、富士山本宮浅間大社の主神である。 私は大学でそのあたりのことを勉強していたので、相手は話題にしてきたのだろう。「えっ?どこかおかしいですか?」 私は何の気なしに応えた。 「うん、とても腑に落ちないんだよね、私には。コノハナサクヤヒメの嫁入 [続きを読む]
  • 生前整理
  • 「今度から生前整理を始めるよ」 どこから聞いてきたのか、夫がそんなことを突然言い出した。 夫も私もともに五十代。息子も娘も既に社会人となり、家を出ているので、一戸建てに二人暮らしだ。さほど広くもない我が家ではあるが、二人が使い切る程に狭くはない。 そのため、余った部屋は徐々に乱雑とした物置と化していて、確かに、このまま放置しておくのは得策ではないかもしれない。 しかし、私は片付けは根本的に苦手だ。 [続きを読む]
  • 女房を質に入れてでも
  • 「えっ?一千万?一千万円も融資していただけるんですか?」 男が驚いて叫んだ。「まあ、モノがモノですから、そのくらいが相場になります」 裏の世界に通じているという噂のある、質屋が答えた。「一千万!それだけあれば……」 男は目を輝かせた。「ただし、流質期限は最短の三ヶ月です。しかも、利子の支払いによる、質の契約更新はできません」 質屋の言葉に、男は少し考え込んだ。「もしその気になられましたら、もちろん [続きを読む]
  • お触れ
  • 「どうしてトマスを連れてっちゃうの?何も悪いことをしてないのに。ねえ、どうして?」 幼い少女が母親にすがり、涙目で訴えていた。「それはね。今度、新しく変わった領主様から、そういう命令が来たからなんだよ」 母親は少し困った顔をして、娘に答えた。「すぐに帰ってくるんだよね?もう会えなくなることなんてないよね?」 母親は娘を抱きしめ、背中をさすった。「ああ、大丈夫。きっと大丈夫だよ」 そう言いながらも、 [続きを読む]
  • 喫茶去
  •  あれは私が中学一年生の時だった。  夜、居間でテレビを見ているとテーブルに置いてあった母の携帯が鳴った。メールが届いたようだった。 母はちょうどお風呂に入っていたので、私は何の気なしに、携帯を手に取り覗いてみると、父からのメールだった。 そこで私は、何の用事か、急ぎならドア越しにでも母に伝えようと思い、中身を見た。 すると、そこにはこう書かれていた。「紅茶を飲みませんか?」 は?なにこれ?紅茶? [続きを読む]
  • 名探偵の見解
  • 「君は本当のところ、どう思ってるんだい?」 探偵にその友人が尋ねた。「遠慮せずに、君の正直な考えを聞かせてくれないだろうか?」 それを聞き、探偵は軽くため息を付いた。「君がどうしても知りたいというのなら、僕が今回の件で考えていること話してもいいんだが……。本当に聞きたいかい?」「ぜひ、聞かせてくれ」 友人はうなずいた。 友人の決意を見て取り、探偵が言った。「今回、君はずっと原因を探していたね。どう [続きを読む]
  • 似た者同士
  • 「彼女と一緒になろうと決めたってことは、あれ使ったんだな?」 報告しに来た相手が母親と台所に行き、二人っきりになったのを見計らって、息子に父親が聞いた。「うん」 息子が言った。「悪いとは思ったんだけど、どうしても不安で」「分かる、父さんもそうだった」 父親はうなづいた。「自分に不相応な美人がパートナーになってくれると思うとな。何か裏があるんじゃないかと思って、どうしてもな」「このことは絶対、内緒に [続きを読む]
  • 裏切り
  • 「どうしたの?」 沈んだ顔をしている彼女に彼が聞いた。「実はクロが……」 うつむき、ボソリと答える。クロとは彼女が飼っている猫だ。「クロ?そういえば見当たらないけど……。まさか?ひょっとして……」 驚く彼に、彼女はかぶりを振った。「大丈夫、死んではいないわ。ただ……」「ただ?ただ、どうしたの?」 なかなか話さない彼女に、彼は多少苛立ちながら、またたずねた。 そこでやっと、決心したように彼女は事情を [続きを読む]
  • お食事会
  • 「どうかなさったんですか?課長」 昼休み、何度目かの深い溜め息をついた上司に対し、私はたずねた。「えっ?いや、別に?」 予想通りの答えが返ってきたが、私はひるまずに押した。「でも、今朝から何か、ご様子が変ですが?お休みに何かあったんですか?」 今は、特に差し迫った仕事も抱えてはおらず、課長が急に意気消沈した原因があるとすれば、週末、家庭で何か起こったとしか考えられない。「良かったら、お話ししてくだ [続きを読む]
  • 依頼人
  • 「この仕事で、最も印象に残ったやつかい?」 少し考える仕草をした後、博士は言った。「今までいろいろな人に会って、いろいろな依頼を受けたけど、そういえば、こんな人がいたよ」 おもむろに博士は語りだした。「その人から依頼された品は人を好きにさせる薬、いわゆる惚れ薬といういうやつだった。 まあ、それ自身はさほど珍しい願い事ではなかったけれど、こういうものを欲しがるのは、たいてい若い女性で、たまに若い男、 [続きを読む]
  • 疑問
  • 「一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」 無事婚礼の儀も終了し、やっと二人きりとなった寝室で、花嫁が王子に尋ねた。「何?」 どのような頑なな女性でも心を溶かしてしまいそうな微笑みを浮かべ、王子は言った。 その顔を見て、顔を赤らめて目を反らした花嫁は、床を見つめながらも言葉を続けた。「初めてお会いした時と違い、二度目にお会いした時の私は薄汚れ、みすぼらしい服を身にまとって、化粧一つしておりませんで [続きを読む]
  • 偶然
  • 「ごめん、やっぱりやめよう」 男が女を突き放した。  相手の意外な態度に女は驚いたが、すぐに気を取り直し、すがった。「どうして?なぜ?私の事好きだって、そう言ってくれたじゃない。あれは嘘だったの?」 女の泣きそうな表情を見て、男は顔を背けた。「いや、嘘じゃない。嘘じゃないんだけど……、駄目なんだ。君と付き合うわけにはいかないんだ。ごめん」 深々と頭を下げる男に、女が言った。「それは、あなたの過去の [続きを読む]
  • 物忘れ
  • 「はて?今日は何するんだっけかな?」 おじいさんが言いました。「確か浜辺に行って……」「浜辺?」 おばあさんがそれを遮りました。「それはとっくにやったでしょう。あなたの前妻はずっと昔にくにに帰りましたよ。羽衣を奪い返してね」「そうだっけか?」 おばあさんに言われ、おじいさんは困惑気味でしたが、「いや待て!」と、突如ひらめいたらしく、叫びました。「浜辺は浜辺でも、まだ、亀は助けてなかったんじゃないか [続きを読む]
  • 兄弟
  • 「ごめん、兄さん」 タクヤが言った。「何だ、突然?」 私はグラスを置いて弟の顔を見た。 するとタクヤは「実は今、カウンセラーのところに通っているんだよ」と、思ってもみないことを私に告げた。「そこで自分の過去をいろいろ考えてね。兄さんには随分心配かけたんだろうなあ、と気づいたんだ。でも、もう大丈夫。自分の問題がはっきりとわかったから」「問題?というと今までの女性関係のことか?」 私は聞いた。 弟は私 [続きを読む]