火消茶腕 さん プロフィール

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火消茶腕さん: なんとなくショートショート
ハンドル名火消茶腕 さん
ブログタイトルなんとなくショートショート
ブログURLhttp://hikesichawan.blog.fc2.com/
サイト紹介文創作ショートショート。主にSF、ファンタジー、ホラー風味。その他恋愛など。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供25回 / 365日(平均0.5回/週) - 参加 2011/07/29 16:00

火消茶腕 さんのブログ記事

  • 夢に周公を見ず
  • 「これを飲めば、思った通りの夢が見れるのね?」 私は期待に胸を膨らませて、渡された錠剤シートを見た。「いや、絶対というわけじゃないから。あくまで見やすくなる、ってだけで」と、薬をくれた友人のメイは水を差した。「自分が見たいと思う夢を見ることができるようになるには、まずは明晰夢を見る必要があるの。で、その薬を飲むと、必ず明晰夢が見られるようになるってわけ」と、言ってきた。「明晰夢?」 私は聞いた。「 [続きを読む]
  • イワナガヒメ
  • 「コノハナサクヤヒメの話って、ちょっとおかしいよね?」  富士の浅間大社がテレビに出てきたのを見て、相手が言った。 コノハナサクヤヒメは日本神話に出てくる女神で、富士山本宮浅間大社の主神である。 私は大学でそのあたりのことを勉強していたので、相手は話題にしてきたのだろう。「えっ?どこかおかしいですか?」 私は何の気なしに応えた。 「うん、とても腑に落ちないんだよね、私には。コノハナサクヤヒメの嫁入 [続きを読む]
  • 生前整理
  • 「今度から生前整理を始めるよ」 どこから聞いてきたのか、夫がそんなことを突然言い出した。 夫も私もともに五十代。息子も娘も既に社会人となり、家を出ているので、一戸建てに二人暮らしだ。さほど広くもない我が家ではあるが、二人が使い切る程に狭くはない。 そのため、余った部屋は徐々に乱雑とした物置と化していて、確かに、このまま放置しておくのは得策ではないかもしれない。 しかし、私は片付けは根本的に苦手だ。 [続きを読む]
  • 女房を質に入れてでも
  • 「えっ?一千万?一千万円も融資していただけるんですか?」 男が驚いて叫んだ。「まあ、モノがモノですから、そのくらいが相場になります」 裏の世界に通じているという噂のある、質屋が答えた。「一千万!それだけあれば……」 男は目を輝かせた。「ただし、流質期限は最短の三ヶ月です。しかも、利子の支払いによる、質の契約更新はできません」 質屋の言葉に、男は少し考え込んだ。「もしその気になられましたら、もちろん [続きを読む]
  • お触れ
  • 「どうしてトマスを連れてっちゃうの?何も悪いことをしてないのに。ねえ、どうして?」 幼い少女が母親にすがり、涙目で訴えていた。「それはね。今度、新しく変わった領主様から、そういう命令が来たからなんだよ」 母親は少し困った顔をして、娘に答えた。「すぐに帰ってくるんだよね?もう会えなくなることなんてないよね?」 母親は娘を抱きしめ、背中をさすった。「ああ、大丈夫。きっと大丈夫だよ」 そう言いながらも、 [続きを読む]
  • 喫茶去
  •  あれは私が中学一年生の時だった。  夜、居間でテレビを見ているとテーブルに置いてあった母の携帯が鳴った。メールが届いたようだった。 母はちょうどお風呂に入っていたので、私は何の気なしに、携帯を手に取り覗いてみると、父からのメールだった。 そこで私は、何の用事か、急ぎならドア越しにでも母に伝えようと思い、中身を見た。 すると、そこにはこう書かれていた。「紅茶を飲みませんか?」 は?なにこれ?紅茶? [続きを読む]
  • 名探偵の見解
  • 「君は本当のところ、どう思ってるんだい?」 探偵にその友人が尋ねた。「遠慮せずに、君の正直な考えを聞かせてくれないだろうか?」 それを聞き、探偵は軽くため息を付いた。「君がどうしても知りたいというのなら、僕が今回の件で考えていること話してもいいんだが……。本当に聞きたいかい?」「ぜひ、聞かせてくれ」 友人はうなずいた。 友人の決意を見て取り、探偵が言った。「今回、君はずっと原因を探していたね。どう [続きを読む]
  • 似た者同士
  • 「彼女と一緒になろうと決めたってことは、あれ使ったんだな?」 報告しに来た相手が母親と台所に行き、二人っきりになったのを見計らって、息子に父親が聞いた。「うん」 息子が言った。「悪いとは思ったんだけど、どうしても不安で」「分かる、父さんもそうだった」 父親はうなづいた。「自分に不相応な美人がパートナーになってくれると思うとな。何か裏があるんじゃないかと思って、どうしてもな」「このことは絶対、内緒に [続きを読む]
  • 裏切り
  • 「どうしたの?」 沈んだ顔をしている彼女に彼が聞いた。「実はクロが……」 うつむき、ボソリと答える。クロとは彼女が飼っている猫だ。「クロ?そういえば見当たらないけど……。まさか?ひょっとして……」 驚く彼に、彼女はかぶりを振った。「大丈夫、死んではいないわ。ただ……」「ただ?ただ、どうしたの?」 なかなか話さない彼女に、彼は多少苛立ちながら、またたずねた。 そこでやっと、決心したように彼女は事情を [続きを読む]
  • お食事会
  • 「どうかなさったんですか?課長」 昼休み、何度目かの深い溜め息をついた上司に対し、私はたずねた。「えっ?いや、別に?」 予想通りの答えが返ってきたが、私はひるまずに押した。「でも、今朝から何か、ご様子が変ですが?お休みに何かあったんですか?」 今は、特に差し迫った仕事も抱えてはおらず、課長が急に意気消沈した原因があるとすれば、週末、家庭で何か起こったとしか考えられない。「良かったら、お話ししてくだ [続きを読む]
  • 依頼人
  • 「この仕事で、最も印象に残ったやつかい?」 少し考える仕草をした後、博士は言った。「今までいろいろな人に会って、いろいろな依頼を受けたけど、そういえば、こんな人がいたよ」 おもむろに博士は語りだした。「その人から依頼された品は人を好きにさせる薬、いわゆる惚れ薬といういうやつだった。 まあ、それ自身はさほど珍しい願い事ではなかったけれど、こういうものを欲しがるのは、たいてい若い女性で、たまに若い男、 [続きを読む]
  • 疑問
  • 「一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」 無事婚礼の儀も終了し、やっと二人きりとなった寝室で、花嫁が王子に尋ねた。「何?」 どのような頑なな女性でも心を溶かしてしまいそうな微笑みを浮かべ、王子は言った。 その顔を見て、顔を赤らめて目を反らした花嫁は、床を見つめながらも言葉を続けた。「初めてお会いした時と違い、二度目にお会いした時の私は薄汚れ、みすぼらしい服を身にまとって、化粧一つしておりませんで [続きを読む]
  • 偶然
  • 「ごめん、やっぱりやめよう」 男が女を突き放した。  相手の意外な態度に女は驚いたが、すぐに気を取り直し、すがった。「どうして?なぜ?私の事好きだって、そう言ってくれたじゃない。あれは嘘だったの?」 女の泣きそうな表情を見て、男は顔を背けた。「いや、嘘じゃない。嘘じゃないんだけど……、駄目なんだ。君と付き合うわけにはいかないんだ。ごめん」 深々と頭を下げる男に、女が言った。「それは、あなたの過去の [続きを読む]
  • 物忘れ
  • 「はて?今日は何するんだっけかな?」 おじいさんが言いました。「確か浜辺に行って……」「浜辺?」 おばあさんがそれを遮りました。「それはとっくにやったでしょう。あなたの前妻はずっと昔にくにに帰りましたよ。羽衣を奪い返してね」「そうだっけか?」 おばあさんに言われ、おじいさんは困惑気味でしたが、「いや待て!」と、突如ひらめいたらしく、叫びました。「浜辺は浜辺でも、まだ、亀は助けてなかったんじゃないか [続きを読む]
  • 兄弟
  • 「ごめん、兄さん」 タクヤが言った。「何だ、突然?」 私はグラスを置いて弟の顔を見た。 するとタクヤは「実は今、カウンセラーのところに通っているんだよ」と、思ってもみないことを私に告げた。「そこで自分の過去をいろいろ考えてね。兄さんには随分心配かけたんだろうなあ、と気づいたんだ。でも、もう大丈夫。自分の問題がはっきりとわかったから」「問題?というと今までの女性関係のことか?」 私は聞いた。 弟は私 [続きを読む]
  • 告知
  •  突然目の前に天使が現れ、告げた。「驚かないでください。私は大天使ガブリエル……」「ガブリエル!?」 私は驚愕した。「ガブリエルって、聖母マリアの前に現れたあのガブリエル?」「そうです」 天使がうなずいた。「私はマリアに受胎告知をした、その大天使ガブリエルの部下です」 その一言で私は拍子抜けした。ああ、部下。 しかし、部下といえど天使には違いない。私はすぐにひざまづき、精一杯へりくだって聞いた。「 [続きを読む]
  • 羨望
  • 「こんばんは」 私は玄関の戸を開け、奥に向かってあいさつをした。 その声を聞きつけて出てきた彼女は、案の定、私を見て、何の用?という顔をした。「この度は、うちの人のせいで、そちらの旦那様が大変な目に会われた、と聞きまして」 私は深々と頭を下げた。「それでお詫びと言っては何ですけど、せめてもの償いとして、つまらないものですが、これをどうぞ」 と言って、私は菓子包みを差し出した。「あ〜ら、わざわざ、ま [続きを読む]
  • 朗報
  •  トイレ掃除でお困りの奥様に朗報! そんな宣伝文句に目を留め、私はある商品の記事を読んだ。 なるほど!これなら、トイレ掃除も楽になるかもしれない。 私は早速その薬品を注文した。 使ってみると効果てきめん。あれ程言ってもするのを拒んでたのに、今では必ず夫は座ってする。 夫に毎回盛っている薬は、小をしようとすると、大も出てしまう様になる薬なのだ。 おかげで、便座の周りはいつもきれいで、爽快。 最初の内 [続きを読む]
  • 鑑定
  • 「実は、ショウタのDNA鑑定をしたんだ」 出し抜けに夫がそう言った。 私は突然のことに固まってしまい、ただ驚いた顔で彼の顔を見つめた。「そうしたら、ショウタは俺の子で間違いなかった。疑ってすまない」 深々と頭を下げた。 私は驚いた声で言った。「えっ!」 それを聞き、直ぐに夫は顔を上げた。面白いほど動揺している。「えっ、てなんだよ?えっ、て」 私に詰め寄ってきた。 私は否定した。「えっ、て言ったんじゃ [続きを読む]
  • 降霊
  • 「それで、お望みの人と、お話することができたでしょうか?」 霊媒師を務める私は、降霊を終え、客である女に聞いた。「はい」 女は青ざめた顔で言った。「やはり、彼は、私が交際を断ったのが原因で命を断ったと。事故ではなかった……」 女はハンカチを目に当て、涙ぐんだ。 しかし、その瞳の奥に浮かぶ優越感を私は見逃しはしなかった。  やはり、あの受け答えで良かったか。  この商売は、事前の調査と、相手の心理の [続きを読む]
  • 教訓
  •  早朝、私は旦那様を起こさないように、そっとベッドを抜け出し、朝食の準備をする。  最初にお味噌汁の準備にかかる。私、特製の出汁が入ったペットボトルを冷蔵庫から取り出す。 だいぶ、減ってきた。また足さなくちゃ。旦那様は、この出汁を使ったお味噌汁が大好物なのだ。  もちろん、ご先祖様の教訓に従い、これを補充するのは、旦那様が家にいない時だ。見られたら、きっと私も旦那様に捨てられてしまうに違いないから [続きを読む]
  • 命令
  • 「それでは何なりとご命令ください」 彼女がそう彼に言った。さんざん苦労し、ようやく手に入れた、高性能の美少女型アンドロイドだった。   彼は言った。「何なりとご命令ください」   高性能アンドロイドは即座に意を汲み取り、片足を上げた。「靴を舐めなさい」   男は歓喜の内にひざまずいた。終わり [続きを読む]
  • サンタが街にやってくる
  • 「えっ?!サンタってお母さんだったの?!」 私は目一杯驚いた声で叫んだ。「だめだよ〜、そんなんじゃ」 お友達のマイカちゃんが言った。「わざとらしすぎ〜。知ってたことがバレバレ。声はもっと抑えて、びっくりした顔しなくっちゃ」「そう?さっきみたいのじゃ駄目?」「だめだめ。いくら大人たちが、私たちはなんにも知らないと考えてたとしても、そろそろバレる頃かなあ、とは内心思ってるんだから。”あれ?もう知ってた [続きを読む]
  • そういうこともある
  • 「自殺した者は、本来の寿命が来るまでの期間、我々悪魔の奴隷とならなければならない。昔からそう言い伝えられていただろう?」 自ら命を絶った女に悪魔が言った。 悪魔の言葉に女は驚いた。「何だ、信じていなかったのか?まあ、お前のような年齢の女は奴隷ではなく、我々悪魔の花嫁になるのだがな。さて、お前と俺の婚礼だ。もう既に準備はできている」 ニタニタと笑う悪魔に女は尋ねた。「もう準備ができているというのなら [続きを読む]
  • 試される時
  • 「君は自制心が強いから大丈夫だよね」 介護の苦労を見かね、その薬をくれた友人の言葉が頭に響いた。 それはそれは香ばしいカレーの匂いが、投薬後の彼女のおむつから漂っている。 私はそれを取り替えるのを、前以上にためらった。終わり  [続きを読む]