優祈 さん プロフィール

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優祈さん: BL的せつない恋のはなし
ハンドル名優祈 さん
ブログタイトルBL的せつない恋のはなし
ブログURLhttps://ameblo.jp/meimei403/
サイト紹介文せつない系BL小説(R18)・4こまマンガメイン(病弱受け)ドS上司と健気受け短編BL。コメディ系もアリ
自由文BL4コマ漫画更新してます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供61回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2011/08/18 06:20

優祈 さんのブログ記事

  • ぼくのまほうつかい #105
  • 「お前、変わったな」「別に変わってなどない」「いや、変わったよ。以前のお前なら、詩音の気持ちなんて考えることなく ただ、罪は罪として裁くべきだとか言い出してたはずだ」「……」「誰かの気持ちを考えて行動しようなんて。らしくねーな、三上せんせぇ」「……黙れ」「らしくないけど、俺は今の三上の方が数倍、いや、数百倍好きだよ」 ニヤリと笑った岩見に背中をバシンと叩かれた。 「大丈夫だ、安心しろ。事態がどう [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #104
  • 「まあ、お前の気持ちはわからんでもないがな。 あの話が全部本当なら 詩音の家族はとんでもない犯罪者だ。 このまま何もなかったまま放置できるようなことじゃない」確かにそうだ。障害があるからという理由で、自分たちの為に世間から隠す為というくだらない理由で詩音の存在をこの世から抹消した。許されるべきことではない。 決して許すべきではない。 「勿論、真実がどうかはきちんと裏を取ってからしか動くつもりはない [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #103
  • 「少し考える時間が欲しい。 詩音だっていきなり状況が変われば混乱する。 告発する前に詩音にも話すべきだと思う。理解できるかどうかは分からないが」 急展開に私自身が付いて行けていないのに、事を急いて進めてしまえば後で後悔することになるかもしれない。詩音にとっても、私にとっても。 「せめて誕生日が来るまで。15になるまで待って欲しい」 詩音の誕生日であるクリスマスイブまで2週間足らず。14歳の子供より、少し [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #102
  • 「しかし、こんな現実味のない話を準備もなく話したとしても まともに取り合ってくれるかどうか」 笠間愛子の言葉に岩見が難色を示す。 「すべてを証明出来るだけの証拠は、以前から揃えて保管しています。 それがあれば信じて貰えると思います」 「そうですか。ではその証拠を持参して貰えますか。 警察には私も同行しますよ。貴方一人で行くより弁護士が一緒の方が 警察も最初から真面目に取り合ってくれますからね」 「あ [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #101
  • 彼女の真面目な性格を表すように真っ直ぐに並ぶ二つの数字の列。その羅列を見て私は、ああ、詩音は今月には15歳になるのか。クリスマスイブが誕生日ということは、プレゼントは二つ用意すべきなのか?他にも沢山考えるべき事柄があるだろうに、頭の中にはそんな漠然とした思いしか浮かんでは来なかった。 しんとした空気の中、自分でも自分の反応を不可解に思いながらも整然と書かれた数字を見ていた。 「あの子をあの場所に置 [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #100
  • 笠間愛子からの聞き取りを終え、再び少し不自然な沈黙が狭い事務所に訪れる。さっきまで冷えていた事務所内は、空調が効きすぎてきたのか少し暑く感じるくらいで、乾燥した空気のせいか乾いた喉にすっかり冷え切ったコーヒーの残りを全部流し込んだ。 不条理さへの憤り。困惑。疑念。これから先への不安。 様々な感情が胸の中で渦巻いている。 知りたかった事実と知ってしまった事実。仮に笠間愛子の言っている事がすべて真実で [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #99
  • 「もしかして、笠間検事ですか……?」「はい。伯父は検事です」「詩音の父親があの、鉄仮面だって?!」 驚愕した様子の岩見が素っ頓狂な声を出す。 「てっか……?なんだ?」 隣で大きな声を出されて、キンとする耳を不快に感じながら問い掛けるが詩音の父親だという人物を知っていたのだろう岩見はかなり慌てた様子で愕然としている。 「あ、いや、その、か、笠間検事がまさか」 「笠間慶一郎を知っているのか、岩見」 「知って [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #98
  • 「あの子の父親の名前は、笠間慶一郎。母親は玲子です」 ついに彼女の口から詩音の両親の名前が告げられた。 笠間慶一郎笠間玲子 それが詩音の実両親の名前。詩音の全てを否定し、拒絶し、生きていることすら無かったことにした人物の名前。 その名前を聞いた瞬間の私は、自分でも不思議なくらい冷静で落ち着いていた。詩音の生い立ち、私の元へ保護されるに至るまでの出来事や経緯を聞いている間に生まれた怒りの感情をぶつける [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #97
  • さっきまでとは違う緊張感が走る。それまで岩見が尋ねることすべて、躊躇することなく答えていた笠間愛子の唇が小さくきゅっと結ばれ、言葉を途切らせた。 両親の名前を言う。それはこれまで何年も一族で隠してきたことが全て明るみに出すということだ。覚悟を決めたとはいえ、彼女が躊躇する気持ちは理解できる。岩見も同じように感じているのだろう、決して答えを急かすようなことはせず彼女が自らの覚悟で答えるのを待っている [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #96
  • 予想していた内容よりもずっと、笠間愛子の独白で知った詩音の過去は壮絶なもので、彼女の話をただ黙って最後まで聞いていた私と岩見は暫く言葉が出なかった。 話している間ずっと、後悔と罪悪感を綯い交ぜにした複雑な表情を浮かべていた笠間愛子だったが、話を終えるとどこかすっきりとしたような、覚悟を決めたとわかる強い視線を私達に向けている。 空調の効いてきた事務所の、一旦止まってしまった空気を動かしたのは岩見だ [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #95
  •  それから彼女はある場所を目指して再び車を走らせた。そう、彼女が向かったのは私のクリニック。HPで三上クリニックの場所を確定したそうだ。詩音があの路地に放置されていたのは偶然ではなく、彼女が画策した必然のことだった。彼女と私は以前、出会っていたのだ。アメリカから帰国して暫く、彼女はほんの数週間ではあったが私が週一で非常勤をしている大学病院で研修を受けていたらしく、そこで私のことを見知ったという。 「 [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #94
  • その絵本を見たとき、彼女はある策を思いつく。詩音を伯父の元に帰すことなく治療を受けさせる方法を。 車内の明かりを点け、痛みに苦しむ詩音に彼女は絵本を見せた。そして話して聞かせた。絵本の中のまほうつかいが、怪我をして泣いている少年の傷を治しているページを見せながら、あんたの怪我も魔法使いが治してくれると。だから魔法使いを見つけなさいと。 魔法使いを見つけたら友達になるの。いい子にしてたら魔法使いはあ [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #93
  • 「その言葉を聞いたとき、間違ってないと思いました。 勿論父や伯父がしたこと、それを知っていながら黙っていたことは間違っています。 だけど、衝動的で計画性も何もなかったけど、あの子をあの家から連れ出した事だけは 間違ってないと思いました」 それから彼女は高速道路を降り、通りかかった知らない海岸沿い埠頭に車を停めこれからどうするかを必死に考えた。 自分の家に連れて行き、衰弱し傷を負ったこの子の治療をす [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #92
  • 危機感に押されるまま、突発的に伯母の家を出た後彼女は行くあてもないままに詩音を乗せた車を走らせた。 とにかく遠くへ。この子がどこかで見つかったとしてもあの両親の元に戻ることのないように。 そう願いながら1時間程高速道路を走った頃それまで意識を失っていた詩音が目を覚ます。一旦車を停め、後部座席に乗り換えて詩音の身体の傷の状態を確認しようとするが自分の状況が把握できない詩音は、彼女の問いかけになかなか答 [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #91
  • 転がり落ちたのだろう、階段の下にうつ伏せで倒れている詩音は数ヶ月前、最後に彼女が会った時と比べてやせ細っていた。冬にも関わらず1枚しか着ていない薄汚れた半袖のTシャツの袖から伸びる、白い足と両腕には明らかに今出来たものではないとわかる痣がたくさん見られ、一瞬にして彼女は詩音が酷い虐待を受け続けていたのだと察した。 この子が勝手に稜太の部屋に入った。そのせいで稜太が発作を起こした。主人はそれすら私の [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #90
  • 特発性拡張型心筋症。詩音の弟である、笠間稜太がこの病気を発症したのは9歳のとき。幼い頃から優秀だった笠間稜太に大きな期待を寄せていた伯父は落胆し、詩音に障害があることが発覚した時以上に伯母を酷く責めた。 そうした環境の中一人目の子供を諦め、二人目の子供を心の拠り所にしていた伯母の中で何かが壊れ始めた。元々精神的に弱いところがある伯母は、日に日に塞ぎ込むようになり詩音だけでなく、弟の稜太の世話すらま [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #89
  • 何もできないままに彼女は再びアメリカへと渡った。父親の病院を継ぐべく医師を目指し、忙しい大学での日々を送りながらも年に数回無理をして帰国した。それは、隠されたあの子に会う為。誰に知られる事もなく、誰に相手をして貰うこともないあの子に自分だけでも寄り添うために。 「それはあの子の為、とは言い切れません。 全てを知りながら、傍観することしかできない自分を少しでも肯定する為だったのかもしれません」 せめ [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #88
  • 詩音は実の両親に殺されていた。 殺されたという表現には語弊があるかも知れないが、役所には既に死亡届が提出されており、戸籍上この世に既に存在しない者となっていた。 生きているのに。存在しているのに。 戸籍を持たないあの子は、学校に行くことも、それどころか外を歩く事すらできないで一生を終えるかもしれなかった。その事実を知った彼女は憤慨し、当然その事を公にしようと一度は決心した。だがしかし、笠間稜太の死亡 [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #87
  • 笠間愛子が初めて従姉弟――――伯父の家の長男と会ったのは12年前。その子が2歳の頃だったという。当時高校生だった彼女は、留学先のアメリカから帰国した際久しぶりに訪れた伯父の家で母親に抱かれる従姉弟と対面した。名前は『稜太(リョウタ)』。結婚してから長らく子宝に恵まれず、後継を期待されていた伯父夫婦、特に伯母はその子を溺愛している様子だったという。母親に愛され、天使のような可愛い従姉弟の可愛い笑顔を今 [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #86
  • ソファーに並んで座る笠間愛子と詩音。相変わらず詩音は何か話しかけたそうな素振りを見せているが、笠間愛子の表情から見て取れる緊張感を察してか、声を掛けるまでには至らないようだ。そんな微妙な空気感の二人の中に入るのは気が引けて、岩見が給湯室から出てくるのをパーテーションの前で待っていると 「あ、あの」不意にパーテーションの向こうから私の方へと戻ってきた笠間愛子が何か言いづらそうに声を掛けてきた。 「何か [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #85
  • さっきまでよりも重く感じる足取りで、先に3人が入っているだろう事務所へと入る。いつ来ても書類や書籍で雑然としている岩見法律事務所の室内の空気は、外と同じくひんやりとしていて、急いで付けたのだろうエアコンの音が妙に大きく響いているのがやけに耳についた。 「みかみせんせぇ、きました」 後ろ手にドアを閉めた私を見るなり、壁際に立っていた大きな声で詩音が嬉しそうに言う。 「ああ、三上。皆ソファーに適当に座っ [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #84
  • 4人で乗り込んだ車内は暖房を入れて時間が経ってもいつまでもひんやりとした空気が温まる感じがしない。それはきっと、車の中にずっと流れる緊張感のせいだろう。笠間愛子は自分が詩音を狭い路地に放置して逃げた事を告白した後詩音に関する自分の知り得る全てを私に話すと約束した。彼女が話すであろう、話の全ては僅かでも他人の耳に入れる訳にもいかずまして話の内容からしても彼女対私と岩見、そして詩音を交えて話すには彼女 [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #83
  • 「私の隣にいた男の子だ。 君があの子供について知っている事を教えて欲しい」 何としても聞き出さなくては。その思いに押されるように問い掛ける。 「何も知りませんってば!離して下さい」 明らかな動揺を見せながらも、頑なな態度を変えようとはしない。だからといってこちらもすんなりと引き下がる訳には行かない。 「知らないのなら、何故そんなに動揺しているのか説明して貰おう」「知りませんったら。離して下さいッ」「 [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #82
  • 小さな悲鳴。ぶつかった男は酒に酔っているのだろう、転んだ女に一瞬視線を落としただけで助ける様子もないままにおぼつかない足取りで道を先に歩いて行く。小道に取り残された感じで一瞬座り込んだ彼女だったが、不意にこちらに振り向くと私が迫って来ている事に気付いたようで、慌てて立ち上がり立ち去ろうとした。 だがしかし、立ち上がる際に肩から下げていた大きめのトート型のバックが傾き勢いよく中に入れていたものが道に [続きを読む]
  • ぼくのまほうつかい #81
  • あいちゃん。 その名前はこれまで何度か詩音が不意に口にした名前だ。自分のことも家族の事も、頑なに話そうとしなかった詩音が不本意だろうが自分と関わりがあるであろう人物の名前。 「詩音、あの人は」 知り合いなのか?『あいちゃん』なのか? そう問いかけようとした瞬間、視線の端に映るその女性がはっとしたように踵を返し、人混みの中へと去ろうとしたのが見えた。 「岩見、詩音を頼む」 咄嗟に詩音を岩見に託し、車が来 [続きを読む]