アル さん プロフィール

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アルさん: 夜のお伽噺
ハンドル名アル さん
ブログタイトル夜のお伽噺
ブログURLhttp://nighttale.blog97.fc2.com/
サイト紹介文同性愛のオリジナル小説を公開しています。内容には性的描写が含まれております。※R18
自由文眠れぬ夜にお伽噺を語ります。
不定期連載「音楽夜話」もご笑読いただければ、嬉しい限りです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供14回 / 365日(平均0.3回/週) - 参加 2011/10/30 17:38

アル さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • ひと夏の経験 9
  • まいった。俺の交渉スキルの無さが、二人を納得させられないばかりか、怒らせてしまった。行き場のない思いを持て余して、空を仰ぎました。新宿の夜空には月はおろか星さえも見当たりません。でも、どれだけ優秀な営業マンが誠意を尽くして説明しても、見えないもの、ましてや幽霊のことを、二人に納得させられることができるのだろうか……責任逃れのようなことを考えてもみましたが、小早川さんの無念さを思うと、やはり自分の至 [続きを読む]
  • ひと夏の経験 8
  • 俺の話を信じたのか、それとも匙を投げたのか、雅子ママは疲れたと、ソファーにぐったり寄りかかりました。「遠山さん、アナタの話は分かったわ」「ユミちゃんが大変なことになっていることは調べれば分かること、信じましょう」「――でもね、ユミちゃんの幽霊がお店にいるとはどういうことなの?」「ユミちゃん、死んじゃったってこと?」「いえ、小早川さんは亡くなっていません。いませんが、意識が戻らないそうです」「そうで [続きを読む]
  • ひと夏の経験 7
  • それは一瞬のことでした。まさしく電光石火の如くノリ子さんの前腕が俺の胸に食い込み、身体を壁に押さえつけられました。グルシイ〜ノリ子さんは嘘つきです。自分からは絶対に手を出さないと言っておきながら、このありさまです。それにしてもなんて力でしょう、女性とは思えません。ノリ子さんの怒鳴り声で店内が静まり返ります。なにごとが起きたのか、誰もがこのテーブルを注目しています。鬼の形相を瞬時に一転させた雅子ママ [続きを読む]
  • ひと夏の経験 6
  • 話の流れが、どうにも腑に落ちないとばかりに、雅子ママは気味悪そうにノリ子さんに顔を向けました。「そうだった。ママ、ユミはあれから笹塚に移ったんだわ」「ねえ、なんなの。笹塚繋がりのことばかりで……」雅子ママが首を傾げるのも無理ありません。すべての発端は、笹塚にある俺の部屋からはじまっているのです。「ねえ遠山さん、あなたもお仲間なのは分かったわ。あなたを信用しないわけじゃないのよ、でもあの子に彼氏がい [続きを読む]
  • ひと夏の経験 5
  • 俺と小早川さんを招き入れた女性のあとから、落ち着いた明かりの店内を進む。真直ぐ伸びた長い脚、モデルのように優雅に歩く後姿、それに引き換え俺の膝は緊張でカクカクと音を立てている。スターウォーズに登場する金色のロボットのように、ぎこちなく歩く俺に向ける物珍しそうな客たちの視線が痛い。テーブル席は大方が埋まっていた。俺は壁際で女性と談笑していた中年紳士の席に案内されます。「ターさん、ごめんなさい。悪いん [続きを読む]
  • ひと夏の経験 4
  • マンション前で流しのタクシーが拾え、幸先のいいスタートに俺の気持ちは弾んだ。小早川さんを先に乗せ、初老の運転手に、新宿までお願いします、と行き先を告げ乗り込んだ。「新宿はどのへんですか?」振り向く運転手に尋ねられ、俺は小早川さんに顔を向け伺う。「新宿通りを四谷方面に向かうように言ってください」この運転手には小早川さんは見えないようだ。俺は小早川さんに言われた方向を告げた。甲州街道に出たタクシーはス [続きを読む]
  • ひと夏の経験 3
  • 翌日、寝不足でミスを繰り返した俺は先輩に怒られ、散々な一日だった。花の金曜日とはいえ特別な用事もなく、ひとり夕飯を外で済ませ部屋に戻ると、幽霊の小早川さんがベッドに腰かけていて、ぎょっとした。「お邪魔してま〜す!」心配事が無くなったのか、なんとも明るい声である。「昨夜はありがとうございます」なんと返事をしていいのやら迷いながらも、いえいえ、どういたしまして、と愛想笑いする俺は、すっかり営業職が身に [続きを読む]
  • ひと夏の経験 2
  • 「サッシはいつも鍵を掛けてないから」10階建のマンションの高層階とはいえ、普段から鍵を掛けないとは、不用心ではないか。世の中信じられない手口で空き巣をはたらく輩がいるのだ……とは言っても今さら幽霊に注意しても無意味なことだな。俺はとりあえず状況を判断するつもりでベランダに出た。熱帯夜の暑気を帯びた空気が肌にへばりつく。向かいのマンションの通路には人影はなく、下の幹線道路を走る車もなかった。エアコン [続きを読む]
  • ひと夏の経験 1
  • 今年の夏は異常な豪雨で、各地で災害が相次いでいますが、空梅雨だった東京はうだるような猛暑が続いています。昨年の夏はどうだったか思い返してみましたが、社会人一年目の俺は仕事に忙殺され、曖昧な記憶しか残っていません。それでもちょうど一年前の夏、自分の身に起きたことは忘れることはありません。奇怪な経験は生涯忘れることはないでしょう。昨年の春、ある医療機具の商社に入社した俺は、資料の詰まった分厚いビジネス [続きを読む]
  • ゴジラ病
  • 誰にも記憶があると思うが、小学生の頃の一日は長いものだった。学校が昼で終わる日などは、夕方までたっぷりと時間がある。両親が離婚してからは、看護婦の母は昼も夜も家にいないことが普通だった。一人っ子の鍵っ子だったこともあり、一人遊びのほうが気楽で落ち着けた。一人で留守番をする私を不憫がる母は、近所にあるレンタルビデオ屋に私を連れて行き、ビデオを好きなだけ借りてくれた。はじめはアニメのビデオを借りていた [続きを読む]
  • あの頃
  • スタンドの明かりを消す。真っ暗になった部屋が湿気を含んだ夜に呑み込まれ、濃密な夢想が押し寄せる。水が全身を包む。さらさらとした水ではなく、ねっとりとまとわりつくオイルのような感じだ。裸の僕は、しきりに両腕で水を掻き、水面に出ようともがいているが、もがけばもがくほど水は圧迫を加え、僕にすき間なくまとわりついてくる。でもその感じは嫌でなく、むしろ気持ちがいい。裸で皮膚と皮膚をくっつけ合って男に抱かれる [続きを読む]
  • Twitterはじめました
  • 今さらながら、Twitterはじめました。140文字のミニストーリー「Bedtime story」に挑戦しています。お暇なときにでも覗きにいらしてください。あんくるアルリンクの一覧からもどうぞ。 [続きを読む]
  • 彼の笑顔は僕の心に花を咲かせ、彼の声は僕に安らぎ与え、彼の柔らかな手は僕を孤独な夜から救ってくれる手でした。ほっそりと長い器用な指。あの指が僕の肌を撫で、その悩ましい感触が消えることはない。いえ、消えないばかりか日増しに濃くなっていく。些細な行き違いから逢わなくなって二か月が過ぎた。今夜もベッドに潜り込んで目を瞑り、彼の指が触れた場所をたどってしまう。首、胸、乳首、下腹、太腿……彼の指を思い浮かべ [続きを読む]
  • 夜の訪問者 後編
  • こちらのアルバムは時が下りまして1991年撮影とございます。恩師から独立を許され個人事務所を立ち上げた二年後です。この間にもコレクションがございますが、それはまたの機会とご了承下さい。このミユキさんと申す方――まあご覧いただければお分かりと思いますが、どなた様が見ても男性だとはお気付きにならないでしょう。写真月刊誌に発表したフュージョン性の融合と題した私の作品にご興味を持った、遠方にお住いのミユキ [続きを読む]
  • 夜の訪問者 前編
  • 何からお話しすればよろしいやら……。爺の辛気臭い昔話など若い貴方様にとっては迷惑なことだと承知しております。私のコレクションでございますか、いいいえコレクションなどと大それたものではございません。何処の誰から聞き及んだのか存じませぬが、今夜わざわざお越しくださった貴方様にご覧頂くのも何かのご縁でございましょう。そう畏まらずお寛ぎ頂きますようお願い申します。そもそもそうゆうことに目覚めたのは十代の頃 [続きを読む]
  • 音楽夜話 最終回
  • こんばんは アルです。歌は世につれ世は歌につれ、星の数ほどある名曲の数々、その名曲の中に登場する主人公が歌ったり聞いていた曲をあれこれ推理するプログラム『夜の名曲探索』のお時間がやってまいりました。お相手はこの方!「ウィース!みなさん、こんばんは。2年ぶりの登場、都内某高校に通う、花なら蕾永遠の17歳佐々木好和どえース」好和ちゃんお久しぶり、どう調子は?「ボチボチでんな。それにしてもアルさん更新に [続きを読む]
  • チコ 15
  • その晩夕食を済ませた公彦はファッション雑誌を広げた。女性誌など一度も買ったことはない公彦が衝動的に買ってしまったは、微笑む黒田知永子を一目見て、なぜか惹かれるものを感じてしまったからだ。それは美人に目がいくといった普通の成人男子の目線に他ならないと自覚しはていたが……。黒田知永子はこの雑誌の専属モデルのようで、彼女のスタイル画が巻頭から多くのページを占めていた。ページを捲っては食い入るように見つめ [続きを読む]
  • チコ 14
  • 芳村を助手席に乗せ深夜の湾岸線を不慣れなクルマで飛ばしたあの夜、チコは何気ない素振りを装い世話になった妙子の店を手伝う許しを芳村に求めた。やましい気持ちがあったわけではなかったが、車中を選んだのは芳村の顔を正面から見なくて済むと思ったからだ。チコは妙子から店にいてほしいような意味合いの言葉を度々聞いていた。妙子の役に立つならと、チコの気持ちは固まってはいたが、芳村の許可を得ないことには、いくら妙子 [続きを読む]
  • チコ 13
  • 冬の陽はすでにかげり、この時期でも緑の多い神宮の森に黒い陰が広がっていた。チコを引き留める妙子の物言いは、客に断る隙を与えぬ水商売の常套句かもしれない。ひとりで寂しいと甘えられれば、ほとんどの客は浮かせた腰を下ろしてしまう。チコも例外ではなかった。それでも妙子から寂しいという言葉を聞いたのは、はじめての気がした。チコの知る限り妙子は店ではもちろん、プライベートでも聞いた覚えはなかった。妙子の世話に [続きを読む]
  • チコ 12
  • 手土産のたい焼きから、予期せぬ話が展開するとはチコは思ってもいなかったが、芳村はたい焼きを見た妙子が昔話を語ることは当然予想していただろう。それを承知の上で芳村は、たい焼きを持たせたのだとチコは薄々感じ始めていた。今まで知ることのなかった芳村と妙子の二人の関係のいきさつを妙子に語らせること。芳村の思惑は何なのだろう。今日妙子の自宅を訪問した真の目的、妙子に封筒を届けること。郵送ではなく直接届けるこ [続きを読む]
  • チコ 11
  • このところ芳村の様子がおかしいとチコは感じていた。新年から多忙なスケジュールをこなし、賀詞交歓会にもすべて出席し、チコの知る限りではビジネス上の問題は無いように思えたが、デスクに座り腕を組み、宙を見つめ何事か思案する様子を度々目にしていた。さらにチコの心配に拍車を掛けたのは、ホテルドクターの羽生医師の診療室に足蹴に通うことだった。思い余ってチコは芳村の健康を心配し尋ねたが、曖昧な返答を繰り返す芳村 [続きを読む]
  • アクセス御礼
  • 準特急が滑りこんでくると、混雑したホームには殺気のようなものが溢れる。止まりもしないうちから誰もがドアへと詰め寄り、開くと同時に我先にと乗り込み席を探す。私はそんな光景を横目に、向かいに止まっている各駅停車に乗り込む。わざわざ各駅停車に揺られて帰る小一時間が、私には至福の時間だ。すいている座席に腰を下ろし、文庫本をひろげたり、目を閉じ妄想の世界に身を浸している。自分なりのSM話を書いてみたいという欲 [続きを読む]
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