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2011/12/14

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  • 枕草子

    春は、曙。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこし明りて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。夏は、夜。月のころはさらなり。闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。(第一段 春はあけぼの)

  • コレクションズ

    バラク・オバマ元大統領は、読書家として知られており、しばしばSNSに推薦図書をリストアップしている。政治家だから、社会科学的なものや歴史・哲学系のものが中心かと思えばさにあらず、そのほとんどは文学書である。残念ながらその多くは未訳なのだが、この年末にア

  • 少年が来る

    前回のエントリーに、次の機会はゴールデンウイークになりそうだと書いた時、もちろん2019年のそれを想定していたのだけれども、あっという間に時が過ぎ、2020年のゴールデンウイークが近づきつつある。そしてそれは、1年前のゴールデンウイークとはうって変わっ

  • 同時代ゲーム

    あけましておめでとうございます。 昨年2月に、『万延元年のフットボール』の記事をアップした時から、この『同時代ゲーム』の記事まで書いて大江健三郎シリーズに一区切りつけることを予定していたのだが、まさか越年するとは思っていなかった。この正月休みに書いてお

  • ピンチランナー調書

    他人の言葉に違いなく、それを他人が発した情況も覚えているのに、あれこそは自分の魂の深奥から出た言葉だと感じられる言葉。もっとも言葉がふたりの人間の関係の場に成立する以上、自分の存在こそ、他人の言葉の真の源泉たることを主張しえぬはずはない。ある時、原子力

  • 洪水はわが魂に及び

    最初に自分で買った本は、創元推理文庫の『水晶の栓』だった。小学校の図書館にあったジュブナイル版で知ったアルセーヌ・ルパンを、オリジナルな形で読みたいと思って、隣町の書店で買ったのだ。買ったことははっきり憶えているのに、読んだ印象が残っていない。おそらく

  • みずから我が涙をぬぐいたまう日

    このあいだ、みるともなしにテレビを眺めていたら、猪瀬直樹が田中裕二やカズ・レーザーを相手に三島由紀夫のことを語っていた。どうやら敬愛する人物について熱く語るという番組のようなのだが、例の自決計画に生じた幾多の誤算についての語りがやたらと面白く、残った印

  • 万延元年のフットボール

    夜明け前の暗闇に目ざめながら、熱い「期待」の感覚をもとめて、辛い夢の気分の残っている意識を手さぐりする。内臓を燃えあがらせて嚥下されるウイスキーの存在感のように、熱い「期待」の感覚が確実に躰の内奥に回復してきているのを、おちつかぬ気持でのぞんでいる手さ

  • 砕かれた四月

    4月に『死の棘』のレビューを書いて以来、半年近くが過ぎてしまった。 忙しかったといえば忙しかった。しかし、本を読む暇がなかったというほどではない。数えてみれば、この間に100冊以上の本を読んではいるのだ。その多くは、東野圭吾、伊坂幸太郎、宮部みゆきとい

  • 死の棘

    長い間、「私小説」というものに対する偏見に囚われてきたような気がする。もちろん、「私小説」に積極的な関心を持ったことがないので、その定義もよく知らない。自分が読んだ小説のどれが「私小説」でどれがそうでないのかも区別できない。だから、どこまでいっても、「

  • 銀の匙

    年末年始の休みに読もうと思って、図書館から、池澤夏樹選の河出書房新社世界文学全集を2冊借りていたのだけれど、ほとんど読めないままだった。昨年秋以降の漱石マイブームが未だ終わらず、翻訳小説や現代小説になかなか入り込めない状況が続いている。 そんな中、そう

  • 續明暗

    今年の12月9日は漱石没後100年ということらしく、各地でいろいろな企画が催されたり、漱石をテーマとしたドラマが放映されたりしている。まことに迂闊なことに、前回の記事をアップした時には、まったく意識していなかった。 先日は、やはり没後100年企画の一つ

  • 明暗

    ひさしぶりに、漱石を集中的に読んでいる。 きっかけのひとつは、大学2年生の息子から、友人の書いた小説を読ませてもらったことだ。東京の大学に合格した若者が北陸新幹線で上京する場面から始まるその小説は、『三四郎』で広田先生が語る夢の少女の話や、『行人』の「

  • 一粒の麦

    ノーベル文学賞をめぐる話題は、ボブ・ディラン受賞の驚きから、それに対するディランの反応に移った観がある。ディランは、受賞についていまだに何のコメントも発表していないし、一時期公式サイトにあった「ノーベル文学賞受賞者」の表記も削除されたらしい。サルトル以

  • アシェンデン

    このブログで何度か言及したモームの『世界の十大小説』は、原題を『Ten Novels and Their Authors』といい、1954年に出版されたものである。もともと、アメリカの雑誌から世界の十大小説のリストアップを依頼され、また別の出版社からその十大小説の要約と解説を依頼

  • ノーサンガー・アビー

    ぼくは、このブログとは別に、読書ログというコミュニティーサイトにときどき簡単な読書レビューを書き、また他の会員のレビューにコメントしたりしている。自分がレビューするより他の人のレビューにコメントする方がずっと多いのだが、このやりとりが、とても愉しい。

  • 嵐が丘

    このところしばらく、高橋源一郎と水村美苗を中心として読書生活が廻っている。 12歳で移住したアメリカに馴染めず、日本近代文学に描かれた日本に憧れ、そこへの帰還を夢み続けた水村美苗と、大学紛争に関わって凶器準備集合罪で逮捕されたのをきっかけに失語症となり

  • 愛のゆくえ

    これは完全に調和した、みずみずしくも、アメリカそのものの、美しい図書館である。今は真夜中で、図書館は夢みる子供のようにこのページの暗黒のなかにたっぷりと引きこまれている。図書館は「閉館」してはいるが、ここがわたしの住処で、それも何年か前からのことだった

  • 神への長い道

    熊本、大分の被災地の皆さまには、こころよりお見舞もうしあげます。 今回の地震は、気象庁が1949年に震度7を最大とする階級を設定して以降、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災に続いて4回目の震度7。だんだん間隔が短くなっているのが気になる。

  • 死の島

    若い頃に読んだ本を再読して、あの頃は全然わかっていなかった! とため息をつくことは珍しくない。 最近でいえばクンデラの「冗談」がそうだったのだけれど、「死の島」には、それ以上に驚かされた。これほどまでに小説の方法に意識的で、しかも小説らしいロマネスクさ

  • マシアス・ギリの失脚

    池澤夏樹のコラム集「終わりと始まり」に、こんな村上春樹評がある。 ………村上春樹という作家の成功の理由は物語がなくなった先の物語を構築したことだ。「やれやれ」の退屈な日々に外からのゲーム的な異化のエージェントを放り込む。課題の提示とその先に広がる冒

  • スティル・ライフ

    先月24日は歴史的寒波の襲来で、日本中に雪が降った。奄美で雪が降るのはなんと115年ぶりとやら。ぼくの街にも一日中雪が降りしきり、終日、布団の中で河出書房新社日本文学全集第17巻(堀辰雄・福永武彦・中村真一郎)を読んで過ごした。 雪の日に思い出す、い

  • Self−Reference ENGINE

    全ての可能な文字列。全ての本はその中に含まれている。 しかしとても残念なことながら、あなたの望む本がその中にみつかるという保証は全くのところ存在しない。これがあなたの望んだ本です、という活字の並びは存在しうる。今こうして存在しているように。そして勿論、

  • 存在の耐えられない軽さ

    とはいえ、やはり気になったので、なんとか入手して読んでみた……………と、前回のエントリーから続く。「生は彼方に」の新訳である。結局1995年版は手に入らなかったのだが、それをさらに改訂した2001年版がハヤカワepi文庫にあった。 すぐに気がつくのは、旧

  • 生は彼方に

    ラドブロークスの予想はどのような根拠に基づいているのか、ノーベル文学賞については、かなり的中率が高いように思われる。受賞者の直前予想の順位を振り返ると、今年のスヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチが1位、昨年のパトリック・モディアノが4位、2013年のア

  • わたしの名は赤

    今年のノーベル賞文学賞は、ブックメーカーのラドブロークスの予想がズバリと的中し、ベラルーシのスベトラーナ・アレクシエーヴィッチが受賞した。それに次ぐオッズだった村上春樹は、今年も受賞を逃した。村上が2006年にフランツ・カフカ賞を受賞して以来、毎年10

  • ジョニーは戦場へ行った

    ここのところ、何をやっていても安保法制のことが頭から離れない。ことあるごとに、なんともいえない苦々しさが胸にこみあげてくる。 最終的には数の力で押し切られることを覚悟していた。法案成立という結果はともかく、その過程で若者を中心とした多くの国民が反対の意

  • 侍女の物語

    ディストピア小説を、もうひとつ。 わたしに似た人影、顔を白い翼で囲った人影、買い物かごを下げて赤い服を着たこれと言って特徴のない女性が、煉瓦の歩道をこちらに向かってやって来る。彼女がそばに来ると、わたしたちは顔を囲む白い布のトンネルの両端から、お互い

  • 一九八四年

    ジョージ・オーウェルの「一九八四年」は、オセアニア、ユーラシア、イースタシアという三つの超大国に分割支配された地球を描いたディストピア小説である。 そのひとつであるオセアニアでは、〈イングソック〉思想を信奉する「党」の一党独裁体制が敷かれている。街や建

  • チャタレイ夫人の恋人

    伊藤整訳「チャタレイ夫人の恋人」は、1950年4月に小山書店より出版された。同年9月、東京地方検察庁は、伊藤整と小山書店社長小山久二郎を猥褻文書販売の罪で起訴、東京地裁一審判決は、小山のみ罰金刑に処し、伊藤を無罪とするものだったが、二審東京高裁は伊藤も

  • 長距離走者の孤独

    高校時代に読んだ新潮文庫の「長距離走者の孤独」を次男にあげてしまったので、二冊目を書店で買った。やや活字が大きくなったものの、昔のままのカバーデザインで棚に並んでいた。他の作品は軒並み絶版となり、特に再評価の声も聞こえてこないなか、この短篇集だけは相変

  • 悲しみよこんにちは

    書棚の整理をしたおかげで、このところ、懐かしい本を開く機会が多い。 サガンも、友人の姉の書棚から借りたのが最初だった。小学校6年生の頃だ。「悲しみよこんにちは」と「熱い恋」の2冊だったと思う。内容よりも、ビュッフェのリトグラフをデザインしたカバーに心

  • アルキメデスは手を汚さない

    今年に入って、これまで気になりつつも読んでいなかった作家を少しずつ読んでいる。なにかひとつ、題名に聞き覚えのあるものを読んでみるという方針で、これまでに40人ほど読んだ。その中から、継続的に読むことにしたのは、若手で円城塔、ベテランで宮本輝、物故作家で

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