youjikjp さん プロフィール

  •  
youjikjpさん: 弁護士Kの極私的文学館
ハンドル名youjikjp さん
ブログタイトル弁護士Kの極私的文学館
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/youjikjp/
サイト紹介文これまでの読書歴を振り返り、感動した小説、作家についてのよしなしごとを書きつくるなり。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供4回 / 365日(平均0.1回/週) - 参加 2011/12/14 08:37

youjikjp さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 洪水はわが魂に及び
  •  最初に自分で買った本は、創元推理文庫の『水晶の栓』だった。小学校の図書館にあったジュブナイル版で知ったアルセーヌ・ルパンを、オリジナルな形で読みたいと思って、隣町の書店で買ったのだ。買ったことははっきり憶えているのに、読んだ印象が残っていない。おそらく小学校4年生の頃であり、背伸びして買ってはみたものの、読み始めたら意外に手強かった、というようなことだったのかもしれない。 中学生の頃には、森村桂 [続きを読む]
  • みずから我が涙をぬぐいたまう日
  •  このあいだ、みるともなしにテレビを眺めていたら、猪瀬直樹が田中裕二やカズ・レーザーを相手に三島由紀夫のことを語っていた。どうやら敬愛する人物について熱く語るという番組のようなのだが、例の自決計画に生じた幾多の誤算についての語りがやたらと面白く、残った印象は、リスペクトしているのやらディスっているのやら、というものだった。 猪瀬の意図がどういうものであったにせよ、こういったつくりの番組で三島文学の [続きを読む]
  • 万延元年のフットボール
  •  夜明け前の暗闇に目ざめながら、熱い「期待」の感覚をもとめて、辛い夢の気分の残っている意識を手さぐりする。内臓を燃えあがらせて嚥下されるウイスキーの存在感のように、熱い「期待」の感覚が確実に躰の内奥に回復してきているのを、おちつかぬ気持でのぞんでいる手さぐりは、いつまでも空しいままだ。力をうしなった指を閉じる。そして躰のあらゆる場所で、肉と骨のそれぞれの重みが区別して自覚され、しかもその自覚が鈍い [続きを読む]
  • 砕かれた四月
  •  4月に『死の棘』のレビューを書いて以来、半年近くが過ぎてしまった。 忙しかったといえば忙しかった。しかし、本を読む暇がなかったというほどではない。数えてみれば、この間に100冊以上の本を読んではいるのだ。その多くは、東野圭吾、伊坂幸太郎、宮部みゆきといった作家たちの小説であり、出張の往路で1冊、復路でまた1冊といったペースの読書であったにせよ。 もちろん、面白かったのである。面白かったからこそ、 [続きを読む]
  • 死の棘
  •  長い間、「私小説」というものに対する偏見に囚われてきたような気がする。もちろん、「私小説」に積極的な関心を持ったことがないので、その定義もよく知らない。自分が読んだ小説のどれが「私小説」でどれがそうでないのかも区別できない。だから、どこまでいっても、「そんな気がする」というレベルの漠然とした話でしかないのだけれども。 これまで『死の棘』を読まずにいたのは、それが「私小説」だからではない。端的に、 [続きを読む]
  • 銀の匙
  •  年末年始の休みに読もうと思って、図書館から、池澤夏樹選の河出書房新社世界文学全集を2冊借りていたのだけれど、ほとんど読めないままだった。昨年秋以降の漱石マイブームが未だ終わらず、翻訳小説や現代小説になかなか入り込めない状況が続いている。 そんな中、そうだ、こういう機会にこそ読み返すべき作家がいるではないかと思いついたのが、中勘助である。 田舎の自宅を離れて県庁所在地の高校に進学した2歳上の兄が、 [続きを読む]
  • 續明暗
  •  今年の12月9日は漱石没後100年ということらしく、各地でいろいろな企画が催されたり、漱石をテーマとしたドラマが放映されたりしている。まことに迂闊なことに、前回の記事をアップした時には、まったく意識していなかった。 先日は、やはり没後100年企画の一つなのか、夏目漱石のアンドロイド、というものが公開された。このアンドロイドを受け手がどう感じるかを分析し、漱石像が社会にどう受け止められているのかを [続きを読む]
  • 明暗
  •  ひさしぶりに、漱石を集中的に読んでいる。 きっかけのひとつは、大学2年生の息子から、友人の書いた小説を読ませてもらったことだ。東京の大学に合格した若者が北陸新幹線で上京する場面から始まるその小説は、『三四郎』で広田先生が語る夢の少女の話や、『行人』の「道徳に加勢するものは一時の勝利者には違いないが、永久の敗北者だ。自然に従うものは、一時の敗北者だけれども永久の勝利者だ…」という言葉が引用されるだ [続きを読む]
  • 一粒の麦
  •  ノーベル文学賞をめぐる話題は、ボブ・ディラン受賞の驚きから、それに対するディランの反応に移った観がある。ディランは、受賞についていまだに何のコメントも発表していないし、一時期公式サイトにあった「ノーベル文学賞受賞者」の表記も削除されたらしい。サルトル以来の受賞辞退どころか、何らの意思表示もせず完全に黙殺する可能性もありそうだ。こういったディランの態度について選考委員が傲慢だと非難したとのニュース [続きを読む]
  • アシェンデン
  •  このブログで何度か言及したモームの『世界の十大小説』は、原題を『Ten Novels and Their Authors』といい、1954年に出版されたものである。もともと、アメリカの雑誌から世界の十大小説のリストアップを依頼され、また別の出版社からその十大小説の要約と解説を依頼され、その文章に手を入れて一冊にまとめたものが、1948年に『Great Novelists and Their Novels』として上梓され、それにまた改訂を加えて、この形にな [続きを読む]
  • ノーサンガー・アビー
  •  ぼくは、このブログとは別に、読書ログというコミュニティーサイトにときどき簡単な読書レビューを書き、また他の会員のレビューにコメントしたりしている。自分がレビューするより他の人のレビューにコメントする方がずっと多いのだが、このやりとりが、とても愉しい。 個性的なレビュアーがたくさんいて、ずいぶん教えられることが多い。このサイトのレビューを機に再読して、新しい魅力を発見した作品もある。 昨年、このサ [続きを読む]
  • 嵐が丘
  •  このところしばらく、高橋源一郎と水村美苗を中心として読書生活が廻っている。 12歳で移住したアメリカに馴染めず、日本近代文学に描かれた日本に憧れ、そこへの帰還を夢み続けた水村美苗と、大学紛争に関わって凶器準備集合罪で逮捕されたのをきっかけに失語症となり、それを克服して作家になった高橋源一郎とでは、同じ1951年生まれの日本人でも、その経験してきた歴史はまったく異なるものであり、作家としての作風も [続きを読む]
  • 愛のゆくえ
  •  これは完全に調和した、みずみずしくも、アメリカそのものの、美しい図書館である。今は真夜中で、図書館は夢みる子供のようにこのページの暗黒のなかにたっぷりと引きこまれている。図書館は「閉館」してはいるが、ここがわたしの住処で、それも何年か前からのことだった。ここに住めれば家に帰るまでもなかったし、それにここは二十四時間つめていなければならなかった。それがわたしの勤めの一部なのである。小役人のようない [続きを読む]
  • 過去の記事 …