烏丸みきてぃ さん プロフィール

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烏丸みきてぃさん: みきてぃの原稿用紙。
ハンドル名烏丸みきてぃ さん
ブログタイトルみきてぃの原稿用紙。
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/alia_novelistwish_star
サイト紹介文私の世界を、戦いを、苦悩を、全て文字にする。それが私の希望。
自由文孤独少女の成長記、AIと訳ありニート女の冒険譚を執筆中。時々イラストもあるかも。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供4回 / 365日(平均0.1回/週) - 参加 2012/02/05 01:16

烏丸みきてぃ さんのブログ記事

  • 短編小説:天国もしくは地獄
  • 長い夢を見ていた気がする。いや、まだ夢の中にいるのかもしれない。自分が何をしていたのか思い出せない。ただ、どこかに行かなくては不味いという、強い焦りを感じる。だけど何も見えず、何も聞こえない。起きなくてはと思うのに、瞼が開かない。『――の』誰かの声が聞こえた気がした。私は何か言おうとして、口が動かないことに気づいた。それどころではない。手も足も動かない。なんて夢だろう、早く起きないと遅刻するのに。 [続きを読む]
  •  第一章 新人は新人類(1)
  •  第一章 新人は新人類 朝起きてまず確認するのは、枕元のスマートフォン。メールをチェックした後仕事の段取りをし、念のためにSNSを一周する。とはいえ自分宛にメンションがついていても、大抵が下らない事だ。面白い話にだけ返事をして、言いがかりのような苦情はスルーする。 今日もいつもの行動をとっていた。しかしメールチェックの途中で手を止めた。――無期限休暇、なんだっけ。 彼の思考は、引き継ぎの手順へと移っ [続きを読む]
  •  第一章 新人は新人類(1)
  •  第一章 新人は新人類 朝起きてまず確認するのは、枕元のスマートフォン。メールをチェックした後仕事の段取りをし、念のためにSNSを一周する。とはいえ自分宛にメンションがついていても、大抵が下らない事だ。面白い話にだけ返事をして、言いがかりのような苦情はスルーする。 今日もいつもの行動をとっていた。しかしメールチェックの途中で手を止めた。――無期限休暇、なんだっけ。 彼の思考は、引き継ぎの手順へと移っ [続きを読む]
  • 序章 望まない事
  • 小説【INGRESS Unofficial】 序章 望まない事 認められたくなかった、今回だけは。「おめでとうケント。スコアは低いが、君は間違いなくセンシティブだ」 画面の向こうで、ボスが見覚えのある紙の束を見せつけている。前回アメリカの本社に戻った時に受けさせられた、テストの答案用紙だ。書かれたスコアは71、合格ラインは確か70点だった。 ケントの表情は迷走した。「私は、自分にそんな力があるとは思えません」 ケン [続きを読む]
  • 序章 望まない事
  • 小説【INGRESS Unofficial】 序章 望まない事 認められたくなかった、今回だけは。「おめでとうケント。スコアは低いが、君は間違いなくセンシティブだ」 画面の向こうで、ボスが見覚えのある紙の束を見せつけている。前回アメリカの本社に戻った時に受けさせられた、テストの答案用紙だ。書かれたスコアは71、合格ラインは確か70点だった。 ケントの表情は迷走した。「私は、自分にそんな力があるとは思えません」 ケン [続きを読む]
  • 4章 中心は「東京」(2)
  •  翌日暗いうちに、リサは書置きを残して外出した。『調査にいってきます』 リサは一睡もしていなかった。 彼女を良く知った人からは、クール、冷徹、計算的などと性格を評される。自分もNIAの人間である以上、そうあるべきだと思っていた。育った国や家族への郷愁や思慕など、真っ先に捨てるべきだと考えていた。 しかしアオイの目を見た時から、心が激しく動いて落ち着かないのだ。勝利に酔い、数秒先すら見えていない目。あ [続きを読む]
  • 4章 中心は「東京」(1)
  •    4章 中心は「東京」 気が付くとネットを漁っている。防犯システムのハッキングを考えてしまう。「あー駄目だ駄目だ」 リサは大声で邪心を打ち消し、ボイスレコーダーの内容をパソコンに書き起こした。サムと会った時に作動させていたものだ。 しかし頭の中は、アオイの事でいっぱいだった。一つしか違わない、たった一人の妹。全てが自分と正反対の、それでも放っておけない大切な存在。 リサは一族の同世代の中で、最 [続きを読む]
  • 3章・渋谷に蛍はもういない(3)
  •  サムと解散した頃には、もう日が暮れていた。「もう春だってのに、夜は寒いなあ。リサ、リサ?」 ケントが声をかけても、リサの顔はどんよりと暗かった。「余計な事言っちゃったかしら……」 らしくない落ち込み様に、ケントは笑って軽く頭を小突いてやった。「大した話はしてないよ、きっと。訓練の内容とか感心はしたけど、飛びぬけて驚かなかったし」 リサが話したのは、一通りの軍事訓練を受けた事、メカニックの講習があ [続きを読む]
  • 第六章・現実と理想と現実と(3)
  • 「ああ同志よ、何故そう落胆するのです」 流麗な女性の声がする。心から訴えるかのような演説を耳にしながら、僕は男達に、乱暴に杭に縛りつけられた。腕を縛った縄は解かれることなく、僕はバンザイする感じで両腕を上に繋がれた。「私はずっと悩んでいたのです。いかに生贄とはいえ、大切な同志の魂を奪っていいのかと。シェイパーに身を捧げるべきは、この自分ではないかと!」 やっと顔を上げて女性を見た。金に光る、ローマ [続きを読む]
  • 第六章・現実と理想と現実と(3)
  • 「ああ同志よ、何故そう落胆するのです」 流麗な女性の声がする。心から訴えるかのような演説を耳にしながら、僕は男達に、乱暴に杭に縛りつけられた。腕を縛った縄は解かれることなく、僕はバンザイする感じで両腕を上に繋がれた。「私はずっと悩んでいたのです。いかに生贄とはいえ、大切な同志の魂を奪っていいのかと。シェイパーに身を捧げるべきは、この自分ではないかと!」 やっと顔を上げて女性を見た。金に光る、ローマ [続きを読む]
  • 3章・渋谷に蛍はもういない(2)
  •  翌日、ケントは早速エージェントとの連絡を取りつけた。待ち合わせは、午後三時に渋谷のハチ公前。「スガさん、またがって待っててくださいって言ったじゃないですかー」 へらへらと笑ってやってきたのは、全身真っ黒な小柄な男性だった。フェルト帽まで被って、まるでNIAの情報提供者PACのようである。 彼の通称はサム。日本のエージェントの中ではかなりの有名人である。「いくらなんでもそれは無理ですよ」 笑いながら答え [続きを読む]
  • 3章・渋谷に蛍はもういない(1)
  •  リサから事実を聞いても、ケントのリサへの評価が下がる事は無かった。評価の内容は変わったが、なぜか前より好印象になった気がする。 冷静沈着、予測能力の高さ、膨大な知識、そして独自に編み出したという武闘術。あと、幼顔に見えてナイスバディな体。彼女曰く「脂肪は天然の鎧」なのだそうで、女性らしい丸みは少々悩ましい。 ただし欠点らしき部分もある。 まず、倫理観や道徳観がずれている。正義感は人並に強いのだが [続きを読む]
  • 2章・既知と未知(2)
  •  ケントが出て行っても、リサは別に跡を付けていた訳ではない。「まあ、混乱するよね」 飄々と彼の意思を受け止めて、後任をどうするか考えていた。一般人はやっぱり無理だ、NIAの実働部隊から一人チョイスしよう。ツカサ少佐に相談すれば、何とかなるかも知れない。とにかく一人で調査する事は、客観性の面でも安全性の面でも危険だ。 それにしてもと外を覗く。確かに今は夜だが、やけに闇が濃い。こういうのは個人の感覚に頼 [続きを読む]
  • 2章・既知と未知(1)
  •  ケントはリサに呑まれてばかりだった。いや、呑まれない方がおかしいかも知れない。「――このベッドマットの下には銃器があるから、必要なら使って。緊急の資金が欲しければ冷凍庫の製氷機の中に二百万は入ってる。ああ、怪我した場合はキッチンのキャビネットを開けて。モルヒネ注射は量に注意して、快楽目的には使わないでね」 たしかに小説と全く同じ光景だ。しかし実際にライフルを見たり帯封付の札束を見たり、違法ドラッ [続きを読む]
  • 第六章・現実と理想と現実と(2)
  •  目を覚ましたら、後ろ手に縛られた格好でコンクリの床に転がっていた。「気が付いた?」 優しい声音の方向を見ると、更科さんがいた。「痛かった? ごめんね、みんな乱暴で」 彼女の声は柔らかく心地よかった。僕は一瞬期待した――やった、逃げられる。 更科さんが、更に甘く囁いた。「ねえ寺脇クン、他の仲間の居場所を教えて」「あ、え?」「寺脇クンが情報を提供すれば、ワタシのリーダーも解放してくれると思うの。あな [続きを読む]
  • 第六章・現実と理想と現実と(1)
  •  僕はガンダムのアームを動かし、自分が開けた穴にガンダムの手――つまりコクピットを近づけた。 ベルトを外して中を覗いて――すぐ頭を引っ込めた。 やっぱり現実は甘くなかった。筋骨隆々、しかも手にライフルやら何やら物騒な物を持った白装束の男どもが、穴目がけて駆け付けていたのだ。「うわ、何だこれ!」「買い物の時見マシタ」「なんでガンダムがここに」「呆けるな! パイロットがいるかも知れん、探せ!」 外国人 [続きを読む]
  • 1章・ウエルカムバック、トーキョー(2)
  •  浅草について、運転手は商店街辺りでタクシーを停めた。「はいどうぞ」「ありがとう」 リサは用意していたクレジットカードを渡し、清算を済ませた。このカードはNIAからの支給品だ。必要経費は大体これで賄える。 やっとこのカードを使う日が来るとは。 リサは心の中で感動の涙を流していた。リサもOJTと称した簡単な任務になら、何度か参加した経験はある。しかしそれは本当に『ついていくだけ』で、何かをしたという実感は [続きを読む]
  • 9章・食べ物に感謝しましょう(1)
  •  私は。「うがぁ!」 貴方達よりも、不運。「ぶぼぉ!」 貴方達よりも、不幸。「やめてぇ!」 祈っても、泣き叫んでもダメなの。「てめぇ! ごはっ」 一年なんて、あっという間。「なんでお前――ぐっ」 永遠に来なくていいのに。 私は不運なの、私は不幸なの、誰も助けてくれない、誰も救ってくれない、人も神も悪魔でさえも、私を苦しめるままなのなら、――『普通』の人達の幸せを喜びを、少しくらい壊したところで、誰 [続きを読む]
  • 1章・ウェルカムバック、トーキョー(2)
  •  日本に到着した。 成田空港を出てタクシーを拾う前、ケントはリサに妙な事を聞かれた。「スガさんって、Sensitive?」 ケントは少々むっとして答えた。「俺が神経質に見える?」 リサはしばらく沈黙し、「わかった」と両手を上げた。「じゃあ、霊感とか感じるタイプ?場所によって空気変わった気がしたり、気配を感じたり」「え?ああ」 ケントはセンシティブの意味を理解した。これはIngressの設定だ。XMに敏感かどうか、 [続きを読む]
  • 五章・糸口を手繰って(5)
  •  深夜のお台場を、黒いタイツ姿で闇にまぎれる三人が疾走する。「作戦確認。ガンダムにて『蜃気楼の壁』を突破、空いた空間からボクらが突入。オッケー?」「Kuukai、了解」「幽雲、オーケーよ」「――どこがですかっ」 同じく黒い服を着た僕は、恥ずかしい恰好の胸に付けられた、無線のマイクに向かって小さく噛みついた。 ほかの三人と違い、僕がいるのは地上約12mの、ガンダムの『右手の上』だ。落ちないようにベルトで縛 [続きを読む]
  • 五章・糸口を手繰って(4)
  •  タケさんが止まったのは、三日後の夕方だった。赤い夕陽が柱に彫り込まれたグリフに当たり、毛羽立ちを浮かび上がらせている。 静かに座ったままのタケさんは、ゆっくり左に体を傾け始めて、僕は慌てて畳を蹴り、回り込んでぎりぎりで抱き留めた。「タケさん、タケさんっ」 すやすやと寝息が聞こえる。あれだけ手放さずにいたペンが、右手からコロンと落ちた。「寝かせてやりな」 幽雲さんがやってきて、布団を軽く整え始めた [続きを読む]
  • 五章・糸口を手繰って(3)
  •  目が覚めたら朝だった。いつもの朝食の匂いがした。「ほーい出来たよー」 お気楽なぴかりんの声。傷の調子はもういいのか、食事を運ぶ軽快な足音が響く。テレビから流れる地域のニュース。ここに来たばかりの頃と変わらない、穏やかな声達だ。 しかし今朝は、そこに緊迫したやり取りが加わっていた。「じゃあアンタは、どういうプランを持ってんのよ、言ってみなさいよ」 厳しく詰め寄る幽雲さん。「ですから、敵の本拠地を掴 [続きを読む]
  • 五章・糸口を手繰って(2)
  •  何十時間、いや何日かかっただろう。「――ここまでが、今のところの全部です」 かすれ声で僕が言うと同時に、ぴかりんの手からペンが落ち、四つん這いだった体が崩れ落ちた。「大丈夫です、か」 入らない力を無理に入れて、彼の体を仰向けに返す。さっき、幽雲さんが新しく巻いていった包帯には、もう血が滲んでいる。 ぴかりんは無理に笑った。「だいじょーぶ。こう見えてボク、百戦錬磨だから」「みたいですね」 盛り上が [続きを読む]
  • 五章・糸口を手繰って(1)
  •  聖天寺に戻ってきた僕らは、全員無言のまま建物に入った。さっき朝だったはずなのに、窓からは夕日が見える。 Kuukaiに横抱きにされたぴかりんは、ぐったりして動かないでいる。さすがの空元気も、もう使い果たした感じだ。 幽雲さんがだるそうに言った。「夕飯は、カップ麺で我慢して」 誰も反論しない。その前に、何か食べる気が起きない。 自分にあてがわれた部屋に入って、崩れるように座り込む。思考停止が続いた後で、 [続きを読む]
  • 第四章 隠遁生活(4)
  •  ボロボロな病院の待合室で、僕は下をむいたままじっとしていた。あの後、幽雲さんがぴかりんの匕首の周りにタオルを詰めて、kuukaiが車に僕らを全員載せて、このうらぶれた病院に連れて来た。敵は、自分たちのやったことに我に返って、叫びながら逃げていった。 何もできなかった僕。ただそこにいて、逃げ惑っていた僕。「怖かった?」 優しく幽雲さんに肩を撫でられながら、違うんだ、僕も戦いたかったんだと、心の中で思った [続きを読む]