國乃礎 さん プロフィール

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國乃礎さん: いしずえ
ハンドル名國乃礎 さん
ブログタイトルいしずえ
ブログURLhttp://kuninoishizue.blog.fc2.com/
サイト紹介文天地万物一体仁の心◎かんながらは世界の心◎人類の母◎地球の故郷
自由文國家は◎国本が守られて◎国体が固められ◎国業が栄えて◎国運が開けて行く

「陽明学勉強会」 参加希望の方は kuninoishizuehonbu@yahoo.co.jp まで御連絡ください
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更新頻度(1年)情報提供358回 / 365日(平均6.9回/週) - 参加 2012/04/26 09:36

國乃礎 さんのブログ記事

  • 第三巻激流の巻
  •  退却という軍の不名誉を糊塗するために、水上少将の如き有能な将官を、むざむざと玉砕せしめ、軍の体面のぎせいたらしめたり、未練にひかれて撤退を躊躇し、金光少佐や太田大尉の如き若く忠勇なる将兵を決死線に散らしめたり体面、形式にとらわれるの余り、むざむざと人間生命をぎせいにしていたのである。 無意味に作業に、兵を牛馬の如く駆使する参謀の麻痺した頭脳も、制度の虫となった下士官の挙動も、ともに内面の貧困によ [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  一まい皮を剥せば、そこには戦功と出世の利害打算にとらわれた自我が生々しく息づいていた。天皇と忠君愛国は、そうした醜我の群団を美しくつつんだ表皮であったといえよう。 インパールの悲惨な敗退を招いた統帥の不統一も、ミートキーナ、拉孟、勝越の無惨な玉砕も、これと無関係なものではなかった。 忠君愛国という表皮をささえる人間個々の内面の貧困は、戦運が傾くにつれて、いっそう生命と人間性を無視する方向へと傾い [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  • 「天皇のために……」と叫びながら、実は自己の立身出世のために、無意識に天皇を利用しているに過ぎない場合が多かったのである。 自己の出世や自己の立場や体面を保持するために「皇国のために」「天皇のために」という言葉がいかにおくめんもなく利用されたことか。   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  インパールは破れた、北辺も崩れた……と口々に慌てたように騒いでいるが、自分がこの戦いの責任をとっていかねばならないと考えている者はいったい幾人いるであろうか。こんなことでは、これから先が思いやられるよ」   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  こういう状況で、一体戦争に勝ち抜いていけるものであろうか。 戦争に敗れる前に、軍の基本が崩れているように思われて仕方がない。   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  • 「いやはや、もう、この頃は将校も兵隊もみんなおかしくなっているよ。戦争に来ていることを忘れたように、私物をこつこつためている奴が多いからねえ。日本にかえる時の土産にするつもりなんだ。空襲ともなれば、そいつを抱えて逃げまわるだけだ。ビルマまで何をしに来ているつもりかねえ。 部下に大和魂をおしつけて、部隊の名前をあげようとする将校もおれば、馬鹿の一つ覚えのように行季ばかり背負ってあるいて、天皇のために [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  戸松は高井軍曹に、なおも言葉はげしく語り続けた。「軍隊の制度と伝統的慣習が、人間性を麻痺させてしまったんだ。だから、命よりも武器や記録を大切にし、兵の苦しみや犠牲よりも、部隊のメンツや体裁を重んずるようになるのだ」 高井軍曹は深く肯きながら聴いていたが、彼も慨嘆の吐息をもらしながら云った。   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  中隊長にしても、かの下士官にしても、組織の中の一部に硬化してしまって、人間としての自己を見失ってしまっているのではないか……。中隊長のあの狼狽の色は、はっと自己に立ち帰った戸惑いだったいに違いない。 中隊長にとっては、上官の命令は、批判も懐疑もゆるさない絶対の権威だったのだ。それは天皇の権威に直結するものであると、彼らは叩きこまれ、また信じてきたのである。 この階級的権威に対する信従ならしめ、考 [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  • 「全く、お前の云うとおりだ。俺もそう思う。しかしこれは上官の命令だ。野戦鉄道司令部参謀の命令なんだ」「上官の命令でも腑に落ちないことは、どしどし意見を述べたらいいではありませんか」 戸松の前歴を知っている中隊長はぐっと喉を詰らせたようであったがすぐに、卑屈なほど素直に云った。「お前が中隊長だったら堂々とやっただろう。お前ならやるだろうが……」 戸松はそれ以上切り込んでいくことは出来なかった。 彼は [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  中隊長の表情には、しだいに横柄さは消え失せていた。彼は無言のままうなずきながらきいていた。そして、声をおとしていった。   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  「それと同じですよ。鉄筋と木材ではどっちの方が丈夫かは、考えなくてもわかることです。鉄筋のビーア(橋ゲタ)のまわりに、木製の電柱や枕木で囲いをしたところで、爆破を防ぐことが出来るわけのものでもありません。かえって修理が面倒になるばかりです。こんな無駄なことにかける金と時間の余裕があるんなら、兵隊に甘いものでも食わせて、ゆっくり休ませるべきだと思います。兵を休め、養うことも戦術の一つではないかと考 [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  中隊長はけろりとした表情でいった。自分の命じていることに、少しも疑問を感じていない顔だ。戸松は可笑しさが込上げてきた。しかし、彼は真面目な口調でいった。「それはまるで、弾丸にあたらない前に腕に繃帯をしておくようなものじゃありませんか。繃帯をまいたぐらいで弾丸が防げるものではありますまい」「……」 中隊長は顔を歪め、不興の色を露骨に示した。戸松は怯まなかった。   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 B [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  ここでの作業というのは、橋ゲタのまわりを電柱や枕木の用材できっちりと囲み、太い針金でがっしり縛りあげる仕事であった。 戸松には全く無意味な作業におもわれた。彼は中隊長に近付いてきいてみた。「壊れてもいない橋に、どういう訳でこんなことをするのですか」「敵の空襲をうけた時の用意をしておくのだ」   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  戸松も力のこもった声でいった。彼らはともに三十を幾つか過ぎて応召されたせいもあって、社会の実相をみる眼が開いていた。それに彼らの頭脳は、極端に統制された軍隊生活のなかにあっても、麻痺することなく、瑞々しい態度を失わないでいた。 つい四、五日前のことであった。戸松らの中隊は、その日、モールメンに近い橋の構築を命じられた。 現場に行ってみると、鉄橋は川面に高く伸び伸びとかかり、爆破のあとは全然なかっ [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  • 「たしかにそうだ。軍隊は人間の真実を無理矢理に歪めている。確実にするつもりで形式や法規で人間を縛り上げかえって人間性そのものを歪めているのだ。その為に機能がいよいよ動脈硬化していくのがわからないのだ。 中央から野戦の果まで、日本軍の動脈は老化して鬱血しているよ。つまり、立身出世という病気、精神にとりつかれているのだ」   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  高井軍曹はその広い額を曇らせ、暗いかげを帯びた声でいった。「あの男は、戦友の生死よりも、戦功記録の方が大切なんだ。戦友の命よりも、彼がどんな働きをしたかという記録の方が大切なんだ。 彼は記録の忠僕なんだ、ただそれだけのことなんだ。それだけが、彼の国に報ずる道なんだよ。日本軍の形式主義は、あらゆる点で動脈硬化しているねえ。兵隊よりも、制度や記録や武器や馬の方が大切なんだよ。 人間以上に大切なものが [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  たしかに、戦攻記録を戦火の中にまもり通すことは、彼自身の功績となるに違いなかったが爆撃の野にさらされ、生と死の境を彷徨っているような日々の中にあっては、その異状なとらわれ方は、非人間的なものとうつったのである。「あの男には驚いたよ。彼は部隊が玉砕しても、一人行季をせおって逃げていくだろうな」 或る日、戸松は戦友の高井軍曹に語った。高井は早大出のインテリ―であった。(戦後京都駅長)インテリ―軍人と [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  職務に忠実な男だ……ちらりと一瞥をくれながら、戸松は思った。 この時の印象が、この男をいっそう意識させるようになったものであろうか、その後も度々敵襲下でこの男の姿が眼についた。彼はいつも、行季や私物を背負いこんで、無我夢中で逃げまわっていた。 戦友が眼の前で爆死しようが、戦傷者が足元で呻いていようが、彼には全く関係ないもののようであった。彼の命すら、記憶の貴重さにはかえられないと考えているに違い [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  戸松は、やっと心を静めて立ちどまった。そのとき、彼の瞳に、何人かの人影と一緒に、行季を背負って、喘ぎ喘ぎ走ってくる兵隊の姿がうつった。戦功記録がかりの下士官であった。 戸松が立ちどまって、悠然と後方をながめているのをみると、その下士官もよろめくようにして立ちどまった。 彼も、もう大丈夫だ……と、思ったのであろうか。小銃や私物袋や行季などを、どっと地面に投げおろして、苦しそうな息をつづけさまに吐い [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  とにかく逃げることだ……夜間の集中爆撃では一刻もはやく、目標物から遠退くことだ……それは度重なる空襲の体験によってえた知恵であった。 四、五百メートルも走ったと思われるころ、戸松は走りながら振りかえってみた。落雷のような音とともに、林の黒い梢の向こうを、敵機がゆうゆうと飛び去っていくのがわかった。 敵はどうやら、照明弾を投下して、逃げさる日本兵を皆殺しにしようとする程の執拗さはなさそうだ。何機づ [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  • 「大分ひどくやられるぞ」と、彼は直感した。そして運を天にまかせるより仕方がないと思った。 間も無く、後ろの方からはげしい爆破の大音響が響いてきた。だーん、だーん、だーん、大地の底まで割れるような響きであった。それは人間の心を恐怖と焦燥にかり立てずにはいなかった。抵抗するすべもない巨大な魔物に追いつめられているような、生の一線に必死にかじり付いている逼迫感が、全身をしめ付けてきた。   (43 43' 23 [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  戸松は舌うちとともに、がばっと起き上った。敵の爆音が命の終りを予告するように、無気味におさえつけるように響いてくる。間近い音だ。「敵襲……」「退避……」 緊張した声があっちでもこっちでも、一せいに響き渡る。 兵隊達は言葉にならない驚愕の声を発しながら、林の奥へと、くもの子を散らすように逃げていく。 戸松は立ち止って敵機の爆音に耳を澄ませた。二十機、いや三十機ぐらいの爆撃機かも知れない。   (43 [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  ともあれ、他国の支配をうけていた原住民に、民族的節操を期待する方が迂闊であったというべきかも知れない。彼らは妾のように、自己中心的で、弱者の護身法ともいうべき保護色を使分ける術にたけていたのである。「空襲……」「空襲……」 テントの外に響き渡る喚き声に、戸松ははっと眼がさめた。「また密告か……」   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]
  • 第三巻激流の巻
  •  僅か二年たらずの間に反転していったビルマ人の態度には、たんに日本軍の政策にたいする抵抗という一言だけでは、割切れないものがあった。 自らに自信をもてない弱小民族は、本能的に強者をかぎわけ扈従せずにはいられないのかも知れない。ミートキーナの飛行場を敵に奇襲占拠されたときも、親日的にみせかけた原住民が、英国軍に内通し、敵の着陸をたすけたからであった。   (43 43' 23)にほんブログ村FC2 Blog Ranking [続きを読む]