福元早夫 さん プロフィール

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福元早夫さん: 作家 福元早夫のブログ
ハンドル名福元早夫 さん
ブログタイトル作家 福元早夫のブログ
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/hayaofukumoto
サイト紹介文文学、小説、生きる事を追求しながら毎日書いています。
自由文         著書
1981年 「労働者文学作品集」 日本社会党刊
1985年 小説集 「工場」
1991年 小説集 「家」
1994年 小説集 「蒸気機関車を降りてから」
    (いずれも編集工房ノア刊)
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供327回 / 365日(平均6.3回/週) - 参加 2012/04/28 23:12

福元早夫 さんのブログ記事

  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1976年8月号掲載・東京 「自転車にゆられて」 連載第四回       (四)  工場の門にむかって自転車を走らせていくと、ちょっとした町工場のような、技能訓練生のころの実習教室がみえてきた。ここへ来るときまってあのころの、笛の音とハンマーでタガネをたたく甲高い金属音がよみがえってくる。 「ピー、ドスン。ピー [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1976年8月号掲載・東京 「自転車にゆられて」 連載第三回       (三) 「ドーン、ドーン、ドーン……」  朝の点呼のおわりを告げる和太鼓の大きな音が、寮の廊下のすみずみに高く鳴りひびいた。すると訓練生たちは別人になって、食堂にむかって子どものように走っていくのだった。誰も腹をすかしている。われ先にと、 [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1976年8月号掲載・東京 「自転車にゆられて」 連載第二回       (二) 「……起床、起床」と叫ぶ大声のあとに、ドーン、ドーン、ドーンと大きな和太鼓の音が、広大な寮のなかに鳴りひびいた。午前六時だった。技能訓練生のぼくたちは布団からとび起きて、すぐに上半身を裸にして、タオルをつかんで廊 [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1976年8月号掲載・東京 「自転車にゆられて」 連載第一回       (一)  午前六時。きのうと同じ時刻だった。自転車のペダルをぐいっぐいっと足で踏みつけながら忙しく風をきって、鉄をつくる工場へぼくはむかった。仕事が三交替の変則勤務だから、早朝、午後、真夜中と、まちまちな時間帯に工場へむかって急がなければ [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1977年3月号掲載・東京 「指定休日」 連載第二回       (二)  行く手に防潮堤の高いコンクリートの壁がみえてきた。海はすぐそこだった。自転車をとめ、息子をだきあげて地面におろすと、手をひいて階段をのぼっていった。防潮堤に立って海をながめると、太陽にむかってまぶしく光っていた。そこからは大阪湾をひと目で眺めることができた。左右の半月状の湾岸線は、巨大な阪神工業地 [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説工場模様「技能士の友」1977年3月号掲載・東京「指定休日」連載第一回     (一) 鉄をつくる工場ではたらくぼくたちの勤務の態様は、四組三交替制になっている。製鉄所は一年の365日を、昼に夜に徹夜にと休みなく生産活動をつづけている。それに主要な設備は、連続操業である。だから食事も休憩も、働くひとりひとりが交替でとらなくてはならない。 四組三交替制とは、ひとつの職場のメンバーを四つのグルー [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1977年1月号掲載・東京 「居酒屋」 連載第三回       (三) 「このまえの、夜勤帰りのことよ。この居酒屋でお前とふたりで飲んでかえったあの日のできごとよ」  ビールを手につかんで門田がぼくにいってきた。門田はぐっとひと息のんでから、仲間にきこえるように声を大きくしてつづけた。 「途中で赤信号につかまったんや。ちょうど交番の前やった。左足一本でオートバイをささえながら [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1977年1月号掲載・東京 「居酒屋」 連載第二回      (二)  倉村はぼくと同世代の、三十歳代のはじめだった。こいつの自転車の乗り方も、まだ堂にいっているとはいえない。どことなく競輪選手をまねているところがある。ギャンブルが好きで、競輪場へたびたび足を向けているせいかもしれない。  工場では倉村にかぎらず、娯楽にパチンコや競馬や競輪や競艇などの、ギャンブルにはしる [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1977年1月号掲載・東京 「居酒屋」 連載第一回      (一)  工場の門で守衛室の警備員に一礼してから、ほくらはならんで自転車置場へむかった。班長の永井のおっさんを先頭に、南野と倉村と門田と、それに益田のおっさんとぼくの、現場ではたらく六人のメンバーである。 「仕事の帰りに一杯やろう」といったのは、若い南野だった。ぼくは右手の指をОの字にまるめて、「行こう、行こう、 [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説工場模様「技能士の友」1977年1月号掲載・東京「現場の人々」連載第四回     (四)「こらっ、しずかにしろ。風呂場で騒ぐな」 湯舟のふちでふざけあっている二人の若者に、誰かが怒鳴った。だけど本心から怒っている声ではなかった。 怒鳴られたせん断の現場の若者のうち、背の高いパーマネント頭の男が、なにおっ、といったふうに目をむいてから、洗面器に湯をくみあげるとそいつを手に、湯舟のなかを川を渡る [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1977年1月号掲載・東京 「現場の人々」 連載第三回      (三)  湯舟から洗面器に湯をくんで、石鹸を手にぬってぼくは両手を丹念に洗いはじめた。それから顔を洗い、全身に湯をかぶってからほっとひと息つくと、周囲を見わたした。  湯舟をとりまくメンバーはいつも決まっている。こちらに圧延の現場の若者たちがいる。もう一方のこちらには、研磨の現場の連中である。  圧延の若者た [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1977年1月号掲載・東京 「現場の人々」 連載第二回      (二)  ぼくはマッちゃんや南野たちとならんで工場の中を急ぎ足であるき、階段を駆けあがって三階のロッカールームへとさらにいそいだ。  ロッカーにむかって番号合わせのカギをあけ、仕事着をぬぎ、下着をぬぎすてていく。朝、六時半にここへやってきたときと、まったく逆の動作をやるわけだった。  仕事着も下着も、汗をめい [続きを読む]
  • 連載小説 「工場模様」
  • 連作連載小説 工場模様 「技能士の友」1977年1月号掲載・東京 連載第一回 「現場の人々」      (一)  ぼくは足首にまいていたホック止めの脚胖をはずし、腕から手甲をぬきとった。それから、腰のベルトにはさみこんでいた軍手をぬきとり、それらをひとつにまとめて、作業用具専用の小型のロッカーにしまいこんだ。  午後三時五分まえである。間もなく終業のベルとサイレンが鳴りひびく。焼鈍炉のなかでステンレス鋼帯の継 [続きを読む]
  • 連載エッセイ
  • 連作エッセイ 「労働者作家の条件」 文芸誌「黄色い潜水艦」 1984年11月号掲載・大阪  製鉄所の冷間圧延工場の現場で働くぼくたちの仕事仲間であるNさんが、高血圧が原因で仕事中に倒れ、意識不明が長くつづいていた。そのあいだぼくたちは、Nさんが一日も早く元気になって、ふたたび一緒に仕事ができるようになるのを待った。  だがNさんは、一週間ちかく意識不明をつづけたまま、やがて永遠の眠りについてしまった。 [続きを読む]
  • 連載エッセイ
  • 連作エッセイ 「嵐は弱い木を倒す」 鉄鋼現場の人減らし 「学習のひろば」・1987年7月号掲載 労働者学習センター発行・東京 連載第二回 ゴミカゴの中の権利  メーデーのビラをつかんで、わたしは更衣室のある総合ハウスへむかって歩いていった。行くと、会社と労働組合の掲示板が、ひとつ屋根の下に仲良く並んでいる。その手前の大きなゴミカゴの中に、メーデーのビラが捨 [続きを読む]
  • 連載エッセイ
  • 連作エッセイ 「嵐は弱い木を倒す」 鉄鋼現場の人減らし 「学習のひろば」・1987年7月号掲載 労働者学習センター発行・東京 連載第一回 ベアなし 選挙最優先  四月末日の午後二時すぎのことである。工場の門のまえで、労働組合の役員であるK君がビラまきをしていた。製鉄所の圧延工場で [続きを読む]
  • 連載エッセイ
  • 連作エッセイ 「減産・操短」 鉄鋼労働者の配転不安 「学習のひろば」・1978年7月号掲載 労働者学習センター発行・東京 連載第二回 万事がコストダウン 「社外研修」というカッコいい名目で、かれらが、会社の人件費減らしの苦肉の策として出してきたこの派遣作戦にのせられ、将棋のコマのように水平移動させられていってしまうと、工場では、いよいよ七〇パーセント操業の減産体制がとられはじめ、ぼくらはかつて経験したことの [続きを読む]
  • 連載エッセイ
  • 連作エッセイ 減産・操短 鉄鋼労働者の配転不安 「学習のひろば」・1978年7月号掲載 労働者学習センター発行・東京 連載第一回 情けない胴上げ・バンザイ!  阪神間のぼくたちの製鉄工場から、「いすず自動車」の神奈川県藤沢工場へ派遣していかなければならない、という話がもちあがってきたとき、ぼくはとてもおったまげて、目の玉が自分の足もとにとびだしていってしまいそうになったのを、いまでもはっきりとおぼえている。 [続きを読む]
  • 連載小説「野良犬」
  • 連載小説 野良犬 文芸誌「斜光」 1977年5月創刊号掲載・大阪 連載第五回・最終回      (五)  鉄パイプを手にした作業長が、また犬を突いた。ウォーッと犬は吠え、顔に不信の表情をつくって涙をうかべた。作業長だって、いつもは弁当の残飯を投げてくれるのである。それが工場長をはじめに、幹部たちのまえで野生の獣のようにひょう変している。 「ニンゲンは信用できない」と犬は悟ったようだった。こんど本気になってウォ [続きを読む]
  • 連載小説「野良犬」
  • 連載小説 野良犬 文芸誌「斜光」 1977年5月創刊号掲載・大阪 連載第四回      (四)  猫が工場にまぎれこんでくるくらいだから、野良犬がやってきても不思議ではないと思うかもしれない。だけど工場の周囲は、コンクリートの塀で高く囲まれている。人やトラックなどが出入りする工場の門は、守衛が二十四時間を見張っている。猫は小さいから、そのスキをねらって忍びこむかもしれない。だけど犬はそれができないはずてある [続きを読む]
  • 連載小説「野良犬」
  • 連載小説 野良犬 文芸誌「斜光」 1977年5月創刊号掲載・大阪 連載第三回      (三)  工場長を先頭にした幹部たちの職場診断のなかから、そのときちょっとしたどよめきがおこった。だれか一人が、「おおうっ」とすっとん狂な叫び声をあげたからだった。それは驚きと非難がこめられていて、やがていくつか重なりあってふくれあがっていった。  ベルトコンベアーの猛スピードにのってむかってくる製品と製品の十秒の間隙をぬ [続きを読む]
  • 連載小説「野良犬」
  • 連載小説 野良犬 文芸誌「斜光」 1977年5月創刊号掲載・大阪 連載第二回      (二)  ベルトコンベアーはとめどもなく製品をはこんでくる。一定の寸法に裁断されたステンレス鋼板が、かけ足でやってくる。 「よいしょ、こらしょ」  機械になったつもりでぼくらは、鋼板を受けとめつづける。ふたつのぼくらの手は、ベアリング仕掛けのように製品をさばく。ぼくらの意思とは無関係に、しごとをしているみたいだった。 身体が [続きを読む]
  • 連載小説「野良犬」
  •                        連載小説野良犬文芸誌「斜光」1977年5月創刊号掲載・大阪連載第一回      (一) 鉄をつくる工場のなかで、工場長を先頭に、総務部長、製造部長、管理部長と、工場の幹部たちが安全通路を歩いてくる。Ⅰメートルの幅に白線で仕切られた、陸上競技のセパレートコースのような通路である。ペンキが塗りかえられて白くかがやいている。 幹部たちは長い列をつくって、周囲に目を光 [続きを読む]
  • ;連載小説「カチューシャの歌」
  • 連載小説カチューシャの歌文芸誌『樹林』掲載1989年(昭和64)9月号・大阪連載第四回・最終回      (四)「……要するに、生きかたの問題だよな。いまにして思うのだけど、誰のためにでもない、自分のために生きるんだ。たった一回きりの人生なんだ。だから、まっすぐに生きなきゃだめなんだよな。大きなことをいうようだけどね。人生に対する態度の問題なんだよな」 機械の騒音を打ち消すようなよくひびく声で、島野さ [続きを読む]
  • 連載小説「カチューシャの歌」
  • 連載小説 カチューシャの歌 文芸誌『樹林』掲載 1989年(昭和64)9月号・大阪 連載第三回      (三) 「……いまさら妙な話ですが、いえね、いちどおききしておきたいと思っていたものですから。島野さんはどうして、労働組合の活動家になられたんですか」  ぼくはきいた。こうやって、島野さんとむきあって語り合う機会は、もう二度とこないかもしれない。  労使協調路線上を歩く組合の役員たちのなかで、島野さんだ [続きを読む]