ヒルナギ さん プロフィール

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ヒルナギさん: 百夜百冊
ハンドル名ヒルナギ さん
ブログタイトル百夜百冊
ブログURLhttps://ameblo.jp/hirunagi0007/
サイト紹介文書評や小説、色々です。
自由文色々な文章を書いています。
よろしくお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供52回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2012/09/17 20:40

ヒルナギ さんのブログ記事

  • 虎よ、世界の終わりをみよ 039
  • 轟音と閃光が、鋼鉄の獣と少女たちを打つ。その後に、爆風が少女たちを揺さぶった。邪悪な悪霊たちが解き放たれたように、黒煙が廃墟を侵してゆく。紅蓮の炎が廃墟の建物を飲み込み、地獄の景色が出現する。黒煙が青い空を覆い隠し、灰が白い花びらとなり舞い散りはじめた。ある意味馴染みの光景となり、百妃は無意識のうちに口許へ笑みを浮かべる。ローズがそれをみて、少し眉をひそめる。炎と煙で赤と黒のマーブルに染められた景 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 038
  • 百妃は、うなずく。四方からくるのではなく、一方向からの攻撃なら十分対処できる。百妃は、叫んだ。「ティーガー、デコイを四機放出」ティーガーの後部に装着されている擲弾筒から、四つの筒が放出された。それらは、廃墟の向こうへと落下する。百妃からは見えないが、それらがバルーンを展開しティーガーと同じ姿を持つデコイを展開することを百妃は知っていた。百妃は、骨喰藤四郎を抜き空を仰ぐ。「到着まで、あと十秒」空には [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 037
  • 百妃の言葉にフリージアは頷き、手にした携帯端末を操作する。それは、彼女らを覆っている光学迷彩ドームを解除する操作であった。百妃は、頭上へと目をむける。灰色の空が割れ、青く輝く晴天が剥き出しになっていった。それはとても、荘厳な光景である。色を失っていた世界に、色彩と輝きがもどっていく。死と隣り合わせとなる状況へ突入していく行為でもあるのだが、少女たちは吐息を漏らしながら空を見上げていた。不思議なこと [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 036
  • 百妃は、ローズのほうを向く。そして、キューポラの上部のハッチへ手を差し込み、何かを取り出す。それは、輪胴型弾倉を装備した大きなグレネード・ランチャーだった。ローズは、それを見てすこし吐息をもらす。「ダネルMGLね。そんなものがあるなんて、驚いた」百妃は、頷くと銃口を自分の方へ向けストックをローズへ差し出す。ローズは、そのドラム缶をライフルに取り付けたようなグレネードランチャーを受けとる。弾倉部をス [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 035
  • 「ここから50キロほど先のところに、地下回廊への入り口がある。そこからシャイアン・マウンテンまでは繋がっている。地下回廊には呪がかけられているから、RBが入り込むことはできない。わたしたちはその地下回廊の入り口へ、辿り着く必要があるの」ここまでは、少女たちにも異論はなく黙って聞いている。百妃は少し頷くと、言葉を続けた。「けれど荒野に出てしまうと、遮蔽物がないので遠距離からミサイルで狙い撃たれる。近 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 034
  • 百妃は、少し眉をよせる。うまく説明できるような、気がしない。「ティーガーは戦車の九十九神で、わたしと主従の契約を結んでいるの。術者と主従契約を結んだ九十九神は、式神と呼ばれるわね」ローズは目をまるくし、くちをひらいて閉じる。そしてまた、ためらいがちにくちをひらいた。「九十九神って、なになのかしら」「激しい感情を受けたものが転じて、怪異となる。ひとの思念が累積して呪となりものにとり憑いたとき、ものは [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 033
  • 蒼ざめた光の柱が、幾本も廃墟へ立ち並んでいる。緑の蔦に覆われ垂直に聳える森となった建物の間に、光の柱が降りてきていた。相変わらず曇天の灰色をした光学迷彩ドームが、頭上を覆っている。しかし、百妃はその向こうに夜明けの空があることを知っていた。彼女はシャイアン・マウンテンに向けての脱出を、夜明けとともに行うことにしている。様々なセンサーをもちいて探査ができるマキーナ・トロープにとって、夜の闇は意味をも [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 032
  • 白い灰が、真紅の血で染め上げられていった。老人は、少し笑ったように見える。どこか痴呆じみたその笑みに、ヴェルレーヌは激しい憎しみと苛立ちをおぼえた。彼の体内ではナノマシンがフル稼働を行って、斬られた首の修復を行っている。さすがに幾度か過負荷が発生するらしく、意識が瞬間途絶えることがあった。百鬼は、再び盃を傾け独り言のように呟く。「なぜと、わたしに聞きますか」ヴェルレーヌは、少しぞっとする。この老人 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 031
  • 百鬼は、サファイアの輝きを放つ瞳を曇らせたヴェルレーヌを少し見ると琥珀色の酒が注がれたグラスから一口のむ。そして、唐突に口をひらく。「ガランドックの隊が、全滅したようです」ヴェルレーヌは一瞬驚きで目を見開くと、眉間に皺を刻む。大隊を構成する4中隊のうちひとつの中隊が全滅したということは、戦力の25%を失ったということだ。紛れもなく由々しきことであるが、百鬼はひとごとのように酒をのんでいる。果たして [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 030
  • 広場は、降り積もった白い灰の下からところどころ墨色の石畳が見えていた。灰色の雲の向こうに暗黒の宇宙が見える空を、ヴェルレーヌは連想する。その斑となった広場を、金髪碧眼のマキーナ・トロープは灰を蹴立てながら歩いていった。ヴェルレーヌが向かう広場の片隅に、大きな木製のテーブルが置かれている。ひとりの老人が、そのテーブルに置いたボトルからグラスへ酒を注ぎ飲んでいた。その老人こそ、百鬼隊長である。時折、爆 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 029
  • 雪のように白い灰が、降り続けている。時間的には真昼であるはずの空は、分厚い岩盤と化した雲に覆い尽くされていた。真紅の光が血脈となってあちこちに走る鼠色の曇天は、地上への呪詛だとでもいうのか白い灰を降らしつづけている。古風な石造りの建築物が並ぶその街は、偽りの雪景色に埋め尽くされていた。しかし本物の雪と違い、死滅した街が吹き上げる白い灰は濃厚な死の匂いを放っている。黒いロングコートを纏ったおとこは、 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 028
  • 「でも、少し不思議なことがあるわね」百妃は、少し首を傾げる。紅い唇を笑みのように歪めた漆黒の髪をした少女は、眼差しを百妃にむけていた。「何かしら」「多分、RBにとってナノマシンに適合できなかった、不完全なマキーナ・トロープがドロップアウトすることはそれほど大きなリスクではないと思うの」「だから、わたしたちは逃げ出せた」人形のように整った顔をしたフリージアに、百妃は頷く。「そう思うのだけれど。でも、 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 027
  • フリージアは自身がいったとおりに、感情を感じさせない口調でたんたんと言葉をつむいでゆく。「わたしが目覚めたときに、感情というものは既に失われていた。でも、それが多分幸いしたのだと思う」百妃は、その言葉に頷く。「きっと、酷いところだったのでしょうね」フリージアは、少し唇を歪めた。紅い花びらのような唇が、すっと三日月の形になる。「多分、そこにはマキーナ・トロープになりそこなったひとびとを、収容していた [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 026
  • 「残念そうね」フリージアは、どこか皮肉な笑みをみせる。百妃は、大きく首をふった。「いえいえ、想定どおりのこと。それにしても、あなたたちってなんていうか。クールだよね」フリージアは、薔薇色の唇を歪めて笑う。「もっと率直な言い方していいよ、感情を感じないって」百妃は、顔を赤らめる。言葉を失ったように、口を開く。フリージアの笑みは、苦笑めいたものになった。「だって、わたしたちはマキーナ・トロープなのだか [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 025
  • フリージアは、豪奢なゴシック調の部屋によく似合う人形のように整った顔に少し笑みをうかべた。「待ちわびたわ、あなたたちが迎えにきてくれるのを」フリージアは、眼差しをローズのほうへ向ける。「百妃、あなたがローズを助け出してくれたのね」百妃は、無言で頷く。フリージアは、花が咲き開くように美しい笑みをうかべる。「ありがとう。ローズ、大丈夫なの? やつらに傷を負わされたりしていない?」ローズは、闇に溶け込む [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 024
  • 電気トーチを手にしたローズが先にたち、玄関ホールの奥にある階段を上っていった。その後ろに、百妃とティーガーが続き最後にマリィゴールドがM4カービンを手にしたままついてくる。百妃たちは、アパートの二階へのぼった。外装がゴシック調であるのと同じく、建物の中も古めかしく流麗な装飾がほどこされている。百妃は何世紀も昔の、ヨーロッパにある古城に入り込んだような気になった。けれど、廃墟であることは間違いなく荒 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 023
  • 電気トーチが床に転がり、闇が部分的においやられる。淡い光の中に、ポンチョを纏った少女が姿をあらわした。手にはレーザーサイトを銃身の下につけたM4カービンを持ち、ヘルメットの下にスターライトスコープを装備している。少女は、スターライトスコープを額のほうへ押し上げ、サファイアの色をした瞳をみせた。少女はじっと百妃をみつめていたが、唐突に納得したらしく、M4カービンの銃口をさげ赤い唇に笑みを浮かべる。「 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 022
  • BMW・R75は、光学迷彩の裂け目をとおって廃墟の中へと入っていく。光学迷彩のドームが頭上を覆っているため、空は見えず曇天のような灰色に塗りつぶされている。しかし、ところどころに裂け目があるらしく黄昏時の暗さとなった廃墟に幾本かの光の柱が降りていた。それは、大聖堂を連想させられる荘厳な景色でもある。廃墟を構成する朽ちた建物は、鉄筋コンクリートの建物だと思われるが、その表面は植物に覆われ自然の岩山と [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 021
  • 百妃は、ハウンド・クラスの残骸を踏み越え、ローズのもとへとむかう。ローズは、少し不安そうな笑みを百妃に向けた。「人類解放戦線のひとなの?」百妃はローズの問いに、頷いた。「そう、あなたが、その、亡命を希望しているマキーナ・トロープなの?」ローズは、頷いた。「わたしと、あと三人いるの」ローズは、戸惑ったような笑みを浮かべる。「正直、自分がマキーナ・トロープであるのか、よく判らないのだけれど」百妃は、ロ [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 020
  • 百妃は、手に提げた剣を抜き放った。真冬の星が放つ光を宿し、骨喰藤四郎が荒野の風を斬る。パウリ・エフェクトが発動され、金属の猟犬ハウンド・クラスは戸惑ったように動きをとめた。百妃は、冷酷な笑みをうかべ叫ぶ。「ティーガー、マウザー・ヴェルケMG34」ティーガーの右手が、7.92mm口径の機関銃に姿を変える。機関銃は、金色のカートリッジを撒き散らしながら皆殺しの咆哮を荒野へ轟かせた。仮借なき銃弾が、ハウンド・クラ [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 019
  • 砂塵を巻き上げながら、一台のバイクが近づいてくるのが見えた。マキーナ・トロープは、眉間に皺をよせ唸り声をあげる。やがて砂塵を風のマントように靡かせた、サイドカー付きのオートバイBMW・R75がマキーナ・トロープの前に止まった。ハウンド・クラスたちは、一斉に立ち上がり5.56ミリカービンをオートバイへ向ける。マキーナ・トロープは金属の猟犬たちを付き従え、憎しみのこもった目でオートバイの運転席にいるおとこ [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 018
  • マキーナ・トロープの笑い声は、荒野の風に乗って飛び去ってゆく。「少し話を、しようじゃないか」ローズと呼ばれた少女は、苦笑をうかべる。「話すことなんて、何もないわ」マキーナ・トロープは、大きな犬歯を剥き出しにして口を歪める。「つれなくするなよ。お前の仲間が、どこにいるか言え。そうしたら、楽にしてやろう」ローズは、驚きで目を丸くし嘲るような笑みを浮かべた。「言うわけないじゃない」マキーナ・トロープは、 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 017
  • 蒼灰色に輝く空のした、灰色の荒野がひろがっている。熾烈さ、過酷さを神が表現するためにつくったとでもいうかのような荒れた大地に、一本の鉄骨が野晒しにされていた。その鉄骨はゴルゴダの丘にたてられた十字架を、思わせる。しかし、鉄骨に吊るされているのは、救世主ではなく少女であった。少女のまとうセーラー服はあちこちが裂け、切れ目から夜の色に染まった肌がのぞいている。少女は、黒い肌の手を頑丈な鎖で縛られ、鉄骨 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 016
  • 再びBMW・R75は、金属の咆哮をあげながら荒野を走っていた。ハンドルを握っているのは、相変わらずティーガーである。「主よ、あなたは父親を憎んでいるのか?」百妃は、腕をくみ考える。「いやあ、憎んでいるっていうか、関わりたくないというか。何しろ変態だからね」ティーガーは、片方の眉をあげる。「変態とはなんだ?」「うーん」百妃は、眉間にシワをよせて考える。「ビザールっていうか、普通じゃないっていうか。何 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 015
  • 「ちょっと、やめてよ。あんな変態は、生きてるときから父親って思っていなかったから」(いいチャンスではあるよね、そのあなたのいうところの変態を存在そのものから消滅させることが、できるんだから)百妃は、うーんと唸る。できれば関わりたくはないが、関わるのであれば完膚なまでにその存在を消し去ってやりたいと思う。(あともうひとつ、今回はソロモン柱神団が動いてるらしいのよ)百妃は、さらに表情を曇らせる。ソロモ [続きを読む]