ヒルナギ さん プロフィール

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ヒルナギさん: 百夜百冊
ハンドル名ヒルナギ さん
ブログタイトル百夜百冊
ブログURLhttps://ameblo.jp/hirunagi0007/
サイト紹介文書評や小説、色々です。
自由文色々な文章を書いています。
よろしくお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供60回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2012/09/17 20:40

ヒルナギ さんのブログ記事

  • 百物語一回目
  • おれは、もともと霊感は皆無だ。霊の存在を感じることはない。けれども半世紀近く生きていると、奇妙と思える体験をすることもある。昨日の夜のことだ。元々、おれの中には様々な不安と恐怖がある。それは具体的な生活と繋がっている場合もあるが。そもそも生きることそれ自体によって生み出されてくるようなものもある。あたかも夜の森が湛える闇のようなものが。おれの中にはある。それは夢の中では虫の形をとった。いつも、不安 [続きを読む]
  • 皆殺しの歌 007
  • いつしかわたしは、彼の家によく遊びに行くようになってたの。なにしろ彼は、自宅にハイスペックのサーバーにネットワーク機器をいろいろ接続した電脳世界を構築していたから、ものすごく遊びがいがあった。彼の家にいくと、サイバー空間にころがる宝のやまにアクセスできたんだよね。そんな感じでわたしは彼の家でいつも時間を忘れてこどものように、遊んでいたんだけど。ある日、それを見つけてしまったの。それは、一見音楽デー [続きを読む]
  • 皆殺しの歌 006
  • 彼の名は、クリスマス。なぜそんな名前になったのかというと、彼はクリスマスの夜に死んだからだ。彼は泥酔するまで飲むくせがあって、ある雪が降り積もったクリスマスの夜に酔っぱらって自宅のマンションにある階段を踏み外して亡くなった。それでみんな「あのクリスマスの夜に死んだやつ」と言ってたけど、それが省略されて「クリスマス」って名前になったの。でも、これには異説があって、はげ具合がジェイソン・ステイサムなみ [続きを読む]
  • 皆殺しの歌 005
  • わたしは、立ち直れないほど深い虚脱感に陥ってしまう。わたしは再び、難破した状態になる。でも、さっきは見かけだけで、こころの中ではフルに活動してたんだけどね。今はむしろ、こころの中が停止してしまい気力がわいてこない状態だった。まあ、こんなブラック企業やめてしまえ、って話もあるんだけど。この会社はただの学生であるわたしをインターンシップで採用し、学費に生活できる部屋まで無償で提供してくれてるのだから。 [続きを読む]
  • 皆殺しの歌 004
  • わたしのありったけの怨念を込めた眼差しを、ボスは清々しいほど爽やかな笑みで受け流す。「マヤちんなら、二十四時間あれば楽勝だよね。だって君は僕のヒーローなんだから」わたしの顔から、完全に表情が消し飛ぶ。なんだろう、この最強のラスボス倒したら実はやつは四天王の中でも最弱みたいな展開。わたしは、少年ジャンプの連載に迷い込んだの?どうして、リボンやなかよしの連載じゃあないの?わたしは、泣きだしそうな表情に [続きを読む]
  • 皆殺しの歌 003
  • わたしは自分の中でテンションがマイナスまで急降下していくのを、感じていた。ニューロンの火が消えていくのを、感じ取れる気分だ。出来損ないのヘビメタミュージシャンみたいな金髪ををかきあげると、ボスは満面の笑みでわたしを讃える。「君のように有能な技術者を使うことができて、本当に誇りに思う。君はわたしのヒーローであり、救世主だ」わたしは背筋を寒気があがっていくのを感じつつ、ひきつった笑みを浮かべる。「いえ [続きを読む]
  • 皆殺しの歌 002
  • 脳内ディスプレイに、ソースコードが表示されてゆく。それは依存関係や継承関係、もしくはループの指示に基づいて現実のディスプレイにはないような階層化した表示になっている。黒の背景に、セルリアンブルーの文字が浮かび上がっている中で、何カ所かが赤字でブリンクしていた。わたしは、ブリンクしいてる赤字を脳内で拡大して、確認する。ぞくぞくするものが、背筋をそって頭に登っていくのが判った。なんだか、ほとんど官能的 [続きを読む]
  • 皆殺しの歌 001
  • 神話学者のミルチャ・エリアーデは、何日も寝ないで勉強していたら突然自分がだれでどこにいるのか判らなくなった、て自伝に書いていたんだけれど。ひとというものはやっぱり寝ないといけないようにできていて、2、3日眠らなかったらいろいろと不具合がでてくるのよね。わたしの聞いた話では、幻覚が見えるというのがだんとつに多いの。そうね、たとえば。パソコンのディスプレイから小人たちが出てきて、行列を作って行進するっ [続きを読む]
  • 第二百五十夜「沈黙 -サイレンス-」
  • 沈黙 −サイレンス−原作:遠藤周作監督:マーティン・スコセッシ おれは、いつも夢想している。足元にある、「あの方」の似姿を踏みつけにするとき。きっと、空は地上へと堕ち。大地は引き裂かれ、全てが崩れてゆき。海が泡立って押し寄せ、何もかもを飲み込むだろうと。天の御使いが、鉢から災厄を大地へ零すことで、ひとも獣もひとしく罰せられ滅せられる。そうなるはずだという期待が、おれのこころを鷲掴みにするんだ。そし [続きを読む]
  • 第二百四十九夜「屋根裏の地下室」
  • 屋根裏の地下室ヤマジカズヒデ そうね、彼女のはなしをしましょうか。彼女は、そう。眠っている。いつも、いつも。眠っている。わたしのアパートの一部屋を占領しているクイーンサイズのベッドで、彼女はいつも眠っているの。え、わたしはどこで眠っているのかって?そこは、まあ、ねえ。察しなさいよ。わたしが部屋に帰ったときに、わたしは彼女を見おろしている。いつまでも飽きずに、ずっと彼女を見おろしているの。なぜって、 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 070
  • 「少し話をしようか、百妃」もう、フリージアは笑っていない。百妃は、胸の奥で少しだけ痛みを感じる。「話は、もうない」「百妃、さっき質問したよね。どこに世界をひきだせる呪力があるのかって」百妃は、今すぐフリージアを斬るべきだと一瞬思う。でも、先にしかけるのは危険でもあった。「RBは、歴史上最大級の人類虐殺をおこなった」フリージアは、落ち着いた口調でゆっくり語る。「それは、地球という大きな部屋で、蠱毒を [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 069
  • 武骨な刀が、夜のなかに冷酷な輝きを放つ。ツバキは、ふわりと地上に降りた。そして、叫ぶ。「我が前に顕現せよ、ティーガー」ティーガーは、ツバキの召喚に応じて百妃の前に立つ。黒革のコートを死神のように翻し、巨大なアハト・アハトの砲口を百妃に向けた。百妃は、胸に深い空洞ができたような気持ちでティーガーを見る。こうなることは、こころのどこかで理解していた。もう、百妃にはティーガーをフルスペックで操れるだけの [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 068
  • 百妃はあらためて、司令室を見渡す。照明は死んでいるが部屋が闇に閉ざされないのは、計器類のパネルが光を放っているせいだ。ここのシステムは、動いている。人類の文明が崩壊する前から、ここのシステムは停止され放棄されていたはずだ。なぜならここの反応兵器は世界を何度も終わらせるだけの力を、持っていたから。ひとはその力を恐れ、封印した。でも今はその力を解き放つべく、動いている。多分ここの機械を操作すればシステ [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 067
  • 百妃は、おもわずかけよろうとした。「こないで」マリィゴールドが、鋭い声で制止する。百妃は、足をとめる。よく見れば、その身体には銃痕があり深く傷ついていた。マリィゴールドの、半ば獣と化した口から言葉がこぼれる。「わたしはもうだめ、けれども。お願い」マキーナ・トロープの少女は血を吐くように呟く。「フリージアを止めて」そういい終えた直後に、マリィゴールドの姿が消える。百妃は反射的に同田貫を抜き放ち、心の [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 066
  • 目覚めは、いきなりやってきた。百妃は、白い天井を見上げながらここはどこだろうと一瞬考える。すぐにそこが、シャイアンマウンテンであることに気がついた。寝かされていたベッドから、無理に身体をおこす。くらくらと、目眩がする。サイドボードに置かれていたガラス瓶を手にとると、コルク栓を歯で咥えて抜き中身の水を飲む。おいしい、と思った。染み込んで、いくようだ。どのくらいここで、眠っていたのだろうかと思う。一日 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 065
  • バクヤはバカ笑いをやめて、百妃をみる。「いや、あほなことしてる場合やない」バクヤは、膝だちになっている百妃に寄り添い背中に手をあてると横たえた。「ごめんね、わたしが来るのが遅かったばっかりに、ひどい目にあわせてしまった」なんとなく上から目線に感じるのは、自分のこころが弱ってるせいと百妃は思い、すなおに礼をいう。「いいえ、あなたのおかげで生き延びた。ありがとう、バクヤ」バクヤは、百妃の服をはだけさせ [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 064
  • 百妃は、あたりを蹂躙する爆風に身をまかせながら、地面に倒れこもうとする。誰かが、彼女の身体をささえた。見あげると、影につつまれ朧ではあるが、間違いなくティーガーの顔がある。百妃は、息をのむ。おそらく、完全に量子的ユニタリティが回復したのではないが、部分的に実体化させれるところまでは復旧したのだろう。その本体はディラックの海にあるが、手のひらだけは局所実在化しているようだ。百妃は、長いため息をつく。 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 063
  • マキーナ・トロープたちは半径5メートルほどの円で百妃を囲っている。狼たちは、霧の中に潜む薄暗い影のようだ。鬼火が浮かぶように、その瞳だけが輝きを放っている。百妃は、左手ごと骨喰藤四郎を持ち虚の構えをとっていた。どのくらいパウリ・エフェクトを発動できるか、心の一方を使うことができるかぼんやり考える。二、三体と刺し違えることができたら上出来というところか。せめてフリージアが逃げ出すための、時間稼ぎとな [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 062
  • 百妃は全身を氷に浸けられたような恐怖を、感じる。百妃は夢中で老人から身を遠ざけようとしたが、身体を村正で貫かれているので簡単にはいかない。ワイヤーソウが舞い、真紅の血が灰色の世界を赤く染める。百妃は、左手を失った痛みに悲鳴をあげながら村正から身体を引き剥がす。ひゅうと音をたてて、赤い血がしぶく。百鬼は骨喰藤四郎に左目を貫かれた状態で、立っている。骨喰藤四郎には、切断された百妃の左手がぶらさがってい [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 061
  • ふうと、百妃はため息をつく。所詮、人工知能に過ぎないRBの作った式神もどきは、こんなものだろう。術者と式神の関係を、本質的なところで理解できていない。次の瞬間に百妃のとった行動は、純粋に反射だけによるものだった。背後から吹く死の風をよけられたのは、奇跡に近い。ユキカゼの足元に身を投げ出した百妃の頭上を、ワイヤーソウが通り抜けていく。百妃の髪の毛が、一ふさ刈り取られていった。百妃は身を捩って、立ち上 [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 060
  • 百妃はほとんど固形物としか思えない空気の壁を切り裂きながら、落ちていく。パラシュートを開くべきポイントは、とっくに過ぎておりこのままでは地上に激突して死ぬことになる。けれど、百妃は死ぬつもりは全くなかった。彼女の視界の先には、白いおんながいる。その瞳には、百妃の姿が映っているはずだ。百妃は注意深く白い魔神に向かって、呪の糸を垂らしていく。九十九神に対して行うように、魔神と量子リンクを確立していった [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 059
  • 巨大な魚が身を翻すように、ヤクⅠは機首を下方に向け霧の海へとダイブする。ローズのとなりで、黒い翼で蒼白の空気を裂きマリィゴールドがその後に続く。ローズもその後を追って、乳灰色の海へと飛び込んだ。急降下すると、空気が固体化したようになる。本物の海にダイブし、深海をさらに潜ろうとしているような気分になった。ローズの背中で金属の翼が、軋み音をたてながら震える。地上から雪風の撃ちあげる25ミリ機銃弾が赤い [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 058
  • ダネルMGLを手にしたマリィゴールドは、翼の下面を輝かしながら宙に浮く。M4カービンを手にとって後に続こうとするローズに、フリージアが声をかける。「これを、持っていきなさい」フリージアは、ペイロード・ライフルを、ローズに向かって放り投げた。ローズは全長が1.5メートル近くある長大なアンチマテリアル・ライフルを軽々と受け止める。マキーナ・フェノメノンをとれば筋力が飛躍的に強化されるため、14キロほどは [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 057
  • 百妃は、ツバキのほうへ眼差しを向けた。「あなたの式神を、貸してもらえないかしら」ツバキは少し、フリージアのほうを見る。フリージアは、無言で頷きツバキは矢を取り出すと前方に向けて投げた。BMW・R75をこえて道路の前方へと飛んでいく矢にむかって、百妃は叫ぶ。「ヤクⅠ、我が前に顕現せよ」黒い光が現れ、オリーブドラブの翼を持つレシプロ戦闘機が姿を現す。百妃は笑みを浮かべると、ローズたちに手をふる。「ここ [続きを読む]
  • 虎よ、世界の終わりをみよ 056
  • 再び、爆音と閃光が霧を貫き、ローズたちの身体を揺さぶる。今度の爆煙が上がっている位置は、先程より10メートルほど近づいたように見えた。「まだ、ね。わたしたちの位置が把握されるのは、時間の問題じゃあないの」フリージアはとても落ち着いた口調で、悲観的な見通しを語る。百妃は、素直にうなずいた。「もって10分程度かな。その間に、反撃をするわよ」ローズは、目を丸くして問いかける。「ねえ、そもそも魔神てなんな [続きを読む]