佐倉愛斗 さん プロフィール

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佐倉愛斗さん: 渇き
ハンドル名佐倉愛斗 さん
ブログタイトル渇き
ブログURLhttp://loveandautumn.blog.fc2.com/
サイト紹介文愛と恋と性を主題に細々と書いています。様々な性の人がいます。短編多数掲載。
自由文毎週火曜21時更新『青嵐吹くときに君は微笑む』現代|恋愛|LGBT|高校生×大学生
不定週木曜21時更新『佐久間姉弟の事情』現代|恋愛|近親相姦|弟×姉|R18
その他短編を気まぐれに更新中
Twitter→ https://twitter.com/abnormalize111
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参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供63回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2012/09/21 15:08

佐倉愛斗 さんのブログ記事

  • その手で 16 ナイと教室
  •  六時限目、教室に入るなりモナに「どこ行ってたの?」と問い詰められた。弱々しい声ではあるものの「私は頑張って教室にいたのに」と言わんばかりの剣幕だった。何故私が責められなくてはいけないのか分からないし、休みたいならモナも休めばいいのに、としか思わなかった。 無視してうろ覚えの自席に着くと、モナが私の机に顎を乗せた。「モナたち、友達だよね?」 モナは自分のことを〈モナ〉と呼んだ。「分からない」と素直 [続きを読む]
  • その手で 15 イクと体育館
  • 「へー、水嶋がそんなこと」 昼休みに忘れ去られた場所にやってきたナイが国語準備室での話を俺にした。「で、そいつの名前は?」「モナ」「……名字は?」 ナイは俺の膝に頭を乗せて「忘れた」と伸びをした。「ナイはもう少し他人に興味を持てよ」 ナイは頬を膝に乗せたまま「イクは嫌じゃないの?」と聞いた。「嫌も何も、友達が増えるのは悪いことじゃないだろ」「昼ご飯をここで食べれなくなっても?」 俺は少し考えて「そ [続きを読む]
  • その手で 14 ナイと国語準備室
  •  夏休みの一件は、おにいさんが叔父さんに叱られて、私が叔母さんに怒られて幕を閉じた。〈岩崎屋〉に行くと、大将さんが「本当に悪いことをしちまった」とラーメンを奢ってくれた。初めての塩ラーメンは黄金色のつやつやしたスープが華やかな香りでとても美味しかったが、やはりまだすすることはできなくてイクに笑われた。 そして新学期、私は水嶋先生に国語準備室まで呼び出された。「会わせたい人がいるんだ」と水嶋先生は言 [続きを読む]
  • その手で 13 ナイと夜明け
  •  私には何もない。家族も、友達も、取り柄も、居場所も、何もない。私と一緒にいてくれる人ができたのだと錯覚していた。でも結局私はそれほど大切な人ではなかったららしい。思い上がっていた私に吐き気がした。何かを得るということはいつか何かを失うということだ。私はまた失った。失う痛みが身を引き裂いて、四肢をもがれて身動きが取れないかのようだ。 私は燃え尽きた河川敷の花火の跡を見ていた。 なんで私は死ななかっ [続きを読む]
  • その手で 12 イクと花火大会
  •  校門前からも花火は見えた。明るくて、美しい。一瞬だけの炎の華。今夜はこの街中の人々が空を見上げているだろう。 ナイも、見上げているだろうか。 ナイが来ないまま三時間が経っていた。もうすぐ花火も終わる。ナイのおにいさんがちゃんと伝えてくれなかったのだろうか。悔しくて口の中が苦かった。 そろそろ帰るか、と俺は神社前の公園に向かう。ナイは今頃家で火薬での死に方でも考えているだろう。 屋台の片付けだけは [続きを読む]
  • その手で 11 ナイと花火大会
  •  夏祭りの踊りをテレビ中継で見ていた。叔父さんと素麺を食べて、意味の分からないことしか書いてない夏休みの宿題とにらめっこして、何度か電話ボックスまで行こうかと悩んでやめた。 イクは夏祭りに行くのだろうか。と気付いたときには今年の踊りの優勝チームが発表されていて、眠気と暑さが混ざった思考が止まろうとしていた。 叔母さんとおにいさんが一緒に帰ってきて、お土産の綿菓子を少しだけもらった。そのとき、おにい [続きを読む]
  • その手で 10 イクと夏祭り
  •  ナイは夏祭りに行ったことがあるのだろうか。 岩崎屋で皿洗いをしていると夏祭りのポスターと目が合った。丁度来週末、土曜が踊りで日曜が花火大会だった。 夏休みに入ってからナイと会ったのは補習日のゲーセンだけで、あとはたまに電話がかかってきてなんでもない話をするだけだった。この前は美術館に行って子供を食べる人の絵を見てきたらしい。ナイの趣味はよく分からないが、ナイは死と共に生きているのだと分かり始めて [続きを読む]
  • シークレット・カラー わすれもの 03(完)
  •  夏休みが終わり、十月の中間テスト。私に転機が訪れた。 最悪なことに、テスト当日と生理が被ってしまった。 鉄球の振り子が子宮を規則的に殴るような痛みだった。脂汗が滲み、頭もキリキリする。そして、全身が絞られるように胃の不快感もあった。 なんとか頑張って一限の数学の試験は受けた。手汗でシャープペンシルが何度も滑り落ちた。間違っていてもいい。とにかく赤点だけ回避できたらいい。――誰か、誰か助けて。 そ [続きを読む]
  • シークレット・カラー わすれもの 02
  •  二年生の頃だ。クラスに森本絵音という生徒がいた。 彼女はどこか身体が悪いようで、一年で同じクラスだった京本さまにクラスが離れてもいつも気遣われていた。「森本、なんかムカツクよね」 言い出したのはあたしだった。「トロいし、すぐ教室から出て行くし。きっと京本さまに甘えに行ってるんだ。『あたし可哀想でしょ』って」 あたしの仲間たちはすぐに同意した。 そして、攻撃が始まった。 内容なんて酷いものだ。物を [続きを読む]
  • シークレット・カラー わすれもの 01
  •  桜舞う、良き日。あたしたちは卒業式を迎えた。 あたしの高校にはちょっとしたジンクスがある。『セーラー服の胸当ての真ん中にある十字架を交換すると一生の関係になれる』 少女たちはそれを信じ、友人同士(あるいはそれ以上の関係もあるかもしれない)で三年分の思い出が記憶された十字架を交換する。『学園の天使』京本麗水さま。『学園の女王』ジェシカ・ポールマンさま。 彼女たちは特別だった。彼女たちの十字架を誰も [続きを読む]
  • シークレット・カラー 天使の秘密 03(完)
  • 「美咲さん、おはよう」 翌朝、教室で話しかけると、美咲さんは豆鉄砲を食らったような顔をしていた。あるいはまだ夢から醒めていないのかという夢遊病者のようにも見える。「おはよ、京本さん」 彼女が友人たちに向ける悪意めいた好意を含まない、純粋な喜びと戸惑いの声で返事をした。それだけで教室の空気が少しだけ異質なものになる。私はそれに気付かないほど鈍感ではなかったが、気付かないふりができるほど余裕があった。 [続きを読む]
  • シークレット・カラー 天使の秘密 02
  •  一年生の時、同じクラスに森本絵音という子がいた。彼女には障害があってよく体調をくずしていた。過呼吸と震えが主な症状で、疲れると熱を出すこともあった。 そんな彼女を二年生でクラスが離れても甲斐甲斐しく世話をした。廊下ですれ違えば声をかけ、倒れたと聞けば駆けつけた。彼女の乱れた息はとてもセクシーで、涙の滲んだ顔はとても可愛らしい。小さな身体を抱きしめて苦しむ彼女を見るのが私の楽しみでもあった。 しか [続きを読む]
  • シークレット・カラー 天使の秘密 01
  • 当作品には性的描写があります。苦手な方はご注意ください。「松村さん、松村さん」 私、京本麗水は保健委員だった。役目はいろいろあるが、主な役目は体調不良の生徒を保健室に連れて行くこと。今日は同じクラスの松村さんが風邪を引いているみたいだ。授業中ずっと突っ伏しているし、呼吸が苦しそうに胸が上下している。 私の声に気付いた松村さんが「ひゃい!」なんて声を上げる。私はいつもこんな扱いなのだ。誰かが呼んだ、 [続きを読む]
  • シークレット・カラー 胸当ての奥に 04(完)
  •  保健室に行くと、ベンチに一人の少女が座って高地先生と話していた。「……田中さん」「チッ、森本。お前そうやってまた『可哀想ごっこ』してるのかよ」 絵音は憮然として視線を逸らした。「優雅にお姫様だっこで登場ですか。いい迷惑だよなぁ?」 ちょっと田中さん、と高地先生が間に入る。 言わなきゃ、何か言わなきゃ。でも、言葉が出ない。怖い。「レズごっこもいい加減にしな。気色悪い」 気持ち悪いもの見ちゃった、と [続きを読む]
  • シークレット・カラー 胸当ての奥に 03
  •  啓示を受けて妄信的に絵音のことを大切にしていた私だが、私にも絵音の嫌いなところはあった。「絵音、なんで授業出てないのにテストの点いいの?」「教科書読めば授業なんていらない」 絵音が言うには授業は教科書を教師のペースで読む時間で、自分のペースで読むならその半分の時間でいいという。一日のうち半分はサボる絵音だったが、五月の中間テストは上の中。私は下の上くらいの成績だった。もっとも、絵音のせいで点数が [続きを読む]
  • シークレット・カラー 胸当ての奥に 01
  •  これは死活問題だった。 この場に居たらきっと私は死んでしまう。身が滅びなくても比喩的な意味で死んでしまうだろう。激しい苦痛――正体は認めたくない――が私の血管に熱を持った棘となって流れる。内側から破られるような痛みに苛まれるのだ。 もうすぐ授業が終わるチャイムが鳴る。スピーカーからの電子音ではなく、学園の外にある金属製のチャイム。そびえ立つ白亜の塔に備え付けられた鐘の音がもうすぐ鳴ると思うと私の [続きを読む]
  • 【R18G】楽園の神様 07(完)
  • 「樹の面倒を見ているのも、花純にこきつかわれてるのも全部自分のためだろ? 樹を花純から奪いたい。樹とセックスしたい。そんな劣情だけでお前は動いてる」「そんなこと、そんなことない」 かぶりを振る私の顎を掴んで、父はにやりと黄色い歯を見せた。「早苗、舌を出しなさい」 えぇ、と舌を伸ばすと、父は私の舌を強く吸い上げた。父の味がする。誰のものでもない、父の味だ。すると父は伸ばされた私の舌を割り箸で挟んだ。 [続きを読む]
  • クリエイターズリンク&セーラー服名古屋襟展に参加します
  • こんにちは、佐倉愛斗です。「楽園の神様」楽しんでいただいていますでしょうか?コメントもたくさんいただけて嬉しい限りです。全部読んでいますよ。ありがとうございます。どうぞ気分悪くなってください。美しい監禁なんてないんです。そんな「楽園の神様」も今夜で最終話です。最後までお楽しみください。さて、いくつかお知らせを。セーラー服名古屋襟展特殊書店BiblioManiaにて9/8から17まで開催される展示会です。テーマは名 [続きを読む]
  • シークレット・カラー 胸当ての奥に 02
  •  四月。受験生となった私たちは新入生とは違う緊張を抱えて新学期を迎えた。 絵音はあの日から学校に行く日と行かない日を繰り返していた。話を聞くに家から出ようとすると震えて嘔吐してしまうことが多かったらしい。来ても進級に必要最低限の出席点を得るために午後だけの出席だったり、その後の補講だけだった。 私たちは白亜の塔の下の階段でたまに会った。それ以外はLINEのやりとり(といっても絵音からの返信はまれだ [続きを読む]
  • シークレット・カラー
  • 大きな襟、深い胸元、それを覆う胸当て。少女たちはセーラー服の中に秘密を隠している。名古屋のどこかにあるかもしれない女子高で起こったひとつの事件を5人の少女たちを中心に描く。少女×秘密をテーマとしたオムニバス小説。本編胸当ての奥に松村こずえ、17歳。胸当ての奥にある1つとして同じ形も大きさもない少女の秘密が怖い女子高生。私はきっとどこか間違っている。しかし偶然保健室で出会った少女、森本絵音は言い切っ [続きを読む]
  • 【R18G】楽園の神様 06
  •  翌朝、母の怒号で目を覚ました。「早苗、早く学校行きなさい。休みなんて許しません」 いっくんの腕の中で眠る私の腕を掴んで引き剥がす。身が二つに引き裂かれるほど痛かった。 いっくんはまだ寝ぼけたまま宙を眺めていた。彼を救う存在になりたい。自由にしてあげたい。家族という檻から。 それでも――性を奪ってしまった罪は重い。 シャワーを頭から浴びながら私は静かに泣いた。触れてしまった。汚してしまった。私の性 [続きを読む]
  • 【R18G】楽園の神様 05
  •  ひとしきり暴れて疲れたいっくんを車椅子に座らせて集合住宅に戻る。エレベーターの中で私は考えていた。私がいっくんのためにできることはあまりに少なくて、今日の散歩も結局は私の自己満足でしかなかったのではないか、と。 エレベーターをおりて部屋のスチールドアを開けると、髪が乱れた母の姿があった。「早苗! どういうことなのか説明しなさい!」 迂闊だった。いっくんが落ち着くまでに時間がかかりすぎた。「こんな [続きを読む]
  • 【R18G】楽園の神様 04
  • 「さあちゃん、さあちゃん?」 気付いたら私の嗚咽は笑いに変わっていた。「あは、ごめんねいっくん。ごはん美味しかった?」「おいしかった」 汚れたままの口にキスをして、雲脂で濡れた髪を撫でる。「ねえいっくん、今晩私もこの部屋で寝てもいいかな」 いっくんの表情が固まる。「だめ、だよ」「なんで? お姉ちゃんと寝るの嫌?」「よるは、かみさまがくるから」「神様?」「うん。ひとりで、いいこ」 いっくんには私には [続きを読む]
  • 短歌 041〜050
  • 041 どこが好き? もう分からないな君だって中身のないことばかり言ってる042 「しゅきだよ(?´ω`?)」と顔文字付きで送られて一瞬にして寒気を覚えた043 アルコールの雨が降りて身体中傷に滲みたり涙も酒か044 ウォッカの「カ」は「かわいこちゃん」と訳すのだと聞いてもやはりかわいくはない045 巧みなり心地よさは感じれど真の巧みは視線を奪う046 広島が怖いと震える名古屋人青龍でなくアオダイショウかも047 本開 [続きを読む]
  • 【R18G】楽園の神様 03
  •  部屋のすぐ横。電気のついたダイニングには、帰宅した母がいた。ビジネスカジュアルに似つかわしくない安い缶チューハイを飲みながら、赤い唇で煙草を吸っている。銘柄は詳しくないが、鼻を刺すような苦い香りが母の臭いだった。「またあのバケモノのところにいたの?」 母はいっくんのことを――実の息子のことをバケモノと呼ぶ。私はそのたびに体の中心にナイフを刺された気分になる。しかしもう、何を反論しても無駄だった。 [続きを読む]