古石 さん プロフィール

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古石さん: きらいだから溺れる
ハンドル名古石 さん
ブログタイトルきらいだから溺れる
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/g_sec/
サイト紹介文オリジナルの小説(短篇)を載せています。 グロテスクホラー、ミステリなど。幻想、絶望に浸りたい時に。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供16回 / 365日(平均0.3回/週) - 参加 2012/10/24 00:20

古石 さんのブログ記事

  • 『目的地まで』(短篇ホラー)
  • 目的地まで  ……こんばんは。AI car auto driving systemへようこそ。OSの起動を確認。エンジン、システムの正常を確認。ウインドウ、ドアをロックします。安全のため、マニュアルに基づいたトラブルを除き、目的地に着くまでロックの解除はできません。非常時は、OS起動ボタンの長押しで強制終了してください。猶、この操作は、走行中には行えません。信号での自動停止中に行うか、…………目的地を仰ってください。または、 [続きを読む]
  • ぼっこれ・る(ミステリ)-1
  • 1 〈京〉 微睡むような虫の鳴き声で、黒淵京は目を覚ました。縁側でゆっくりと体を起き上がらせると、いつの間にか辺りは夕闇に染まり切っているようである。晩秋とはいえ、体の下の床板はしっかりと冷え込み、まるで寒季のような冷気が頬を刺している。ころころとコオロギの声に耳を擽られながら、しばらくぼうっとしていると、ぼそぼそとすぐ隣の居間の中から声がしていることに気付いた。だらしなく座ったまま頭だけを傾ける [続きを読む]
  • ぼっこれ・る(ミステリ)-プロローグ
  • ”………徐々に意識が遠のいていくのがわかる。ひどく懐かしい、狂おしいほどの、芳芬に纏われ……”プロローグ、或いは地元警察官による口述と迷言 ……はじめに、これだけは申し上げておきますよ。私共の口述に、いかなる虚誕もないということを。 先月十七日未明、当県、耶麻郡茅部村の一部山中と複数の家屋から、六体もの男女の死体が見つかった件についてですが、目立った事件性はないという当局の見解は変わることはありま [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-26(最終話)
  • 26それから日を経ずして、環境庁主導のもと、幾つかの区間に分けて、速やかに除染と“悪魔の花”の撤去作業は執り行われた。町のスローガンでもあった「町の顔(^O^)♪ 朝顔」という表現は、たちまち、あちこちの媒体から姿を消し、また、一部の町営の施設や学校が、当面の休館となった。しかしそれ以外には、町内に特に目立った変化は見られない。昼夜問わず、変わらず外気は霧に満ちている。見た目には変わらぬ、いつもどおりの [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-25
  • 25 この日、朝起きてリビングへ行くと、母親が電気ケトルを手にテレビの前に立ち止まっていた。「……ねえ」 直季の方を見ずに、声が発された。「ニュースで、お父さんのこと、言ってる…」「……え?」 シャツのボタンを留めながら呆然と直季が答えると、「“自殺の街”の真相?だって……。ほら……」 囁くような声が、言った。 目を、テレビに遣っていた。 真剣な貌をしたアナウンサーが、隣に座るゲストスペシャリスト [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-24
  • 24  病室に入ると、酷く青白い顔をした阪上がベッドの上に横たわっていた。 躊躇いながら、直季が声を掛けると、その顔がわずかに声の方を見て、戻された。「……調子は……どう?」 ありきたりな言葉を力なく述べながら、直季はベッドに近づいて行った。 四人部屋の片隅。三つの無人のベッドに、いまはこの空間に、たったの二人しかいない。 窓から見えるどんよりした曇り空が、静かに病室を見下ろしている。「……誰か… [続きを読む]
  • 『渦』(短篇ホラー)
  • 待っていない方も、お待たせいたしました。笑なかなか執筆のタイミングが難しく、苦しんでおりますが、少しずつアップしていけたら、と思います。当小説は、久しぶりに、筆者が本腰を入れているホラー作品でもあります。←笑ホラー小説というものが大体どういうものなのかを把握し、読みたい方に限り、歓迎いたします。あとは責任取れません。笑どうぞ、お愉しみいただけることを、祈って。渦 出迎えてくれたのは、病的な程に眼球 [続きを読む]
  • 次回作の話
  • こんにちは。ホラー短篇「露」、お読みくださった方、ありがとうございます。次回からは、中短篇ホラー「渦」の連載を考えています。大筋のシナリオは固まっているので(多分)、本文執筆に入っていきたいと思います。グロテスク描写/狂気×狂気/非倫理/実験第一話より、書き上がり次第、投稿予定です。どうぞ、お楽しみに。-------------------------あらすじ「狂気と正気の境界線に於ける研究と考察」という気になる投稿文が、新 [続きを読む]
  • 『露』(短篇ホラー)-2
  • 露 -2「……記憶の中の……景色は、どうですか…?」「記憶の…中の……?」「苦しく、昏い感情を伴う景色。喜びや幸福感に満ち足りた景色。どんな、情景でもいいです。胸が弾む程に、どきどきしたこと。呼吸ができなくなる程に、胸が苦しくなったこと……」「………記憶の中……では」 僕は少し考えてから、口を開いた。「………雨が降っています。ずっと……」 喜怒哀楽。どれだけ想起しても、幾つかのシチュエーションに重な [続きを読む]
  • 『露』(短篇ホラー)
  • 露  止まない雨はないと確かあの人は言ったが、その全身が酷くびしょ濡れだったことには、いまだに失当の笑みを隠せない。 「……統合失調症…の一種だとは思います」 ……多分。 顰められた眉。自分のものではない、溜息。白い透明感に溢れた小さな部屋の片隅で、酷く小さな声で語尾に付け加えられた「多分」という言葉を、僕は聞き逃さなかった。「……やはり特徴的なのは、現実が現実でなくなるという幻覚…。雨が降り止 [続きを読む]
  • 近況
  • こんにちは。暑いですね。日々、お腹が弱いのについ冷たいものを食べ過ぎてしまいます。一応筆者は20代なのですが、昔から腸が弱いです。そしてよりにもよって、電車の中でぐるぐると鳴ります。笑あとクーラーの当たり過ぎで喉が痛いです。本題ですね…。現在、いろいろ執筆しているのですが、新作ミステリ「ぼっこれ・る」を、只今カクヨムで公開中です。ちょっと事情があり(たいしたものじゃないですが)、「ぼっこれ・る」に限 [続きを読む]
  • クズ家(64-68)
  • ちょっと猟奇的な一家と、その飼い猫の記録。葛湯(クズユ)一家、略してクズ家。僕   … 拾われてきた黒猫。日々逃亡のチャンスを狙っている。64  昨夜の出来事です。 僕は夜道を一人歩いていました。 街中から外れたこの辺りにはネオンや街灯もなく、まったくの暗闇です。この時季にしては風が冷たく、雨が止んだばかりのアスファルトは酷くじめじめとしていました。 じゃり。と、音が鳴りました。視線をその方へ向け [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-23
  • 23 夜の中にいた。恐らくここは外だろうと、勝手に直季は想像していたが、真実のところはわからない。単にどこからか風が吹き付けているために、何となくそう信じ込んでいるだけに過ぎない。見上げてみるが、空と思われる頭上は暗くて、そこらに漂泊しているであろう雲の形どころか、一つの星すらも、何も見えない。冷たい地面からは、黒土のようなさらさらとした、しかしどこか湿ったような感覚が、裸足の足裏に伝わってきてい [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-22
  • 22 「……娘が〈冷酷非道〉になったのは、間違いなく、三黒先生の影響ですよね。……今すぐに、あの子の担任から外れてください。そうでなければ、この学校の教師であることを辞めてください。いずれかの対応がないなら、教育委員会に訴えます」 先立つ教頭に続いて職員室に入ると、挨拶もお座なりに、三黒は捲し立てられた。 明松さんのお母さんが見えています。そう事前に教頭から耳打ちされたことを思い出しながら、三黒は [続きを読む]
  • 『幻想映画館 2』(短篇ホラー)
  • ...just, for your despair(耐えきれない、絶望に)幻想映画館 -2  生温い、弱い風が吹いている。 暗い空には霞掛かった丸い月がぽっかりと浮かんでいる。雨粒で濡れた冷たい芝の上を裸足で歩いていると、ふと、いまはどのくらいの時刻なのだろうかと、不安になってくる。 自分のおよそ数メートル先を弾んだ足取りで歩いていた少女が、足を止めることなく振り向いた。 想像よりも白く幼い顔が、愉快そうにこちらを見た。「パパ [続きを読む]
  • ぼっこれ(ミステリ)-5
  • 5  苦い貌をしながら、慎は塵と埃で覆われた書斎の中を、片っ端から引っ繰り返していた。 昼間だと言うのに部屋の中は暗く、陰鬱である。天井の灯りは、スイッチによる反応をまったく見せない。単に電球の寿命切れというよりは、そもそも回路自体が意図的に切断されているのではないか……失笑にもならぬ、そんな想像が、なぜか頭に浮かんで消えた。仕方なく、デスクの上のランプのコンセントを繋ぎ、灯されたぼんやりした薄明 [続きを読む]
  • ぼっこれ(ミステリ)-4
  • 4 耶麻郡が発足されたのは、明治初期を幾何か過ぎてからのことであった。 幕末期には陸奥国に属していたもので、明治元年の会津戦争の後、岩代国の支配下となった。その後、正式に福島県の管轄となったのは明治九年のことであり、さらに二百以上あった村の数が二町三十四村にまで統合されたのは、市制、町村制が施行された二十二年以後になってからのことである。 一説には、当時、北山村と磐梯村の間に茅部村は存在するとされ [続きを読む]
  • ぼっこれ(ミステリ)-3
  • 3 目的の家屋に着くと、中は薄暗かった。 インターホンを押してみるが反応はなく、しかし戸に手を掛けると簡単に開いた。 石畳の玄関先には、薄闇に紛れて、なぜか男物の靴が一足だけ揃えて置かれてあった。 手探りで壁の電灯スイッチを見つけ指を当ててみるが、切れているのか、なぜか灯りは点かなかった。靴を脱ぎ棄て、几帳面に敷かれた褪せた色の絨毯を踏みしめると、その下の床張りが、ぎいぎいと厭な音を立てた。それに [続きを読む]
  • ぼっこれ(ミステリ)-2
  • 2 目的の駅に着いた頃には、すでに辺りは夕闇に包まれていた。纏わり付くような浅い夜気が冷たい空気となって、髪を吹き付けては去ってゆく。「……いい貌してるねえ、お兄さん……。ご旅行ですか…?」 駅舎を出ようとする時、不躾に駅員は慎にそう訊ねた。 慎が黙っていると、男は続けた。「お兄さん、もしオマネキチョウが目的なら、ここじゃないよ。ここは笊籬屋敷。名前は似てるけどね。アレは屋敷。屋敷駅。ここからだと [続きを読む]
  • ぼっこれ(ミステリ)
  • 1  ちらちらと頭上を雪が舞っている。頬を、鼻頭を、凍えるような冷気が突き刺している。 無機質なアナウンスが、電車の到着を告げた。 人波に続いて乗り込むと、すでに中は混み合っていた。到底疲れてはいなかったが、ぐずぐずと座りたい欲求が燻っていた。いつしか目の前の列は散り、この列車の中をふらふら彷徨っているのは自分だけのようである。幾つもの車両を渡り歩いた処で、ようやく二人掛けシートの窓際の空席を見 [続きを読む]
  • 『空っぽの…』(短篇ホラー)-3
  • 空っぽの… -3「………に…行くわ」「ああ…。……えっ?」 休日の夕方だった。この日は昼過ぎから大降りの雨が降っていた。寝ぼけた頭のまま寝室を抜け、リビングで寛いでいると、妻がちょうどコートを羽織っているところだった。「…え?どこ行くの?」ソファに座りながら妻を見上げると、青白いような顔が、ゆっくりと向けられた。「だから、病院よ」「病院…?体調でも悪いのか?」「べつに、そういうわけじゃないけど」「じ [続きを読む]
  • 『空っぽの…』(短篇ホラー)-2
  • 空っぽの… -2 それから、わずか数日後のことだった。 どたん、と大きな音がして深夜に目を覚ますと、隣で眠っていた筈の妻の姿はなく、寝ぼけた足で物音のする方へと向かうと、すっかり冷え切った風呂場で下着姿の妻が背を丸めてタイルの床に屈んでいた。「な、何してるんだ、こんな夜中に……」「あら、起きて来たの?」酷く血色の悪そうな妻の顔が、長い髪の隙間から覗いた。「何でもない。ちょっと転んだだけよ」「こんな時 [続きを読む]
  • 『空っぽの…』(短篇ホラー/改稿版)
  • 空っぽの…  ………ええと、何から話していいものか。 あの頃……妻がまだ生きていた頃は、僕にとって天国だったのか、地獄だったのか。幸せだったような気もするし、そうでなかったような気もする。 確かに言えるのは、生前妻はとても美しい容姿の持ち主で、僕の前だけで見せるほんのちょっとヒステリックな一面もあったけれど、育ちや教養面においても、僕には勿体ないくらいの相手だったということ。………いや、ちょっと [続きを読む]
  • クズ家(59-63)
  • ちょっと猟奇的な一家と、その飼い猫の記録。葛湯(クズユ)一家、略してクズ家。僕   … 拾われてきた黒猫。日々逃亡のチャンスを狙っている。59  よそ見をして歩いていたら穴ぼこに落っこちたのです。なぜこんなところに。  何者かが僕を罠に嵌めようとしているのです。許せないのです。 60  ぐにょぐにょした何かに襲われる夢を見ました。  え。 誰ですか。僕にネッククーラーを巻き付けたのは。 虐めなのです [続きを読む]
  • 『Ivy』(短篇ホラー)-2
  • Ivy -2 気が付けば、纏わり付くような夜気がリビングを満たしていた。慌ててソファから跳ね起きると、反動で太腿の筋肉が引き攣った。痛い。しまった。一休みのつもりが、すっかり熟睡してしまっていた。夕食はまだ食べていない。夫は?娘は?なぜ誰も自分を起こしてくれなかったのか?しかしそれにしても暗い。一体いまは何時なのかしら?… どうにもよく眠気の去らぬ頭でふらふらとリビングを抜けると、暗がりのプレイルームへ [続きを読む]