古石 さん プロフィール

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古石さん: きらいだから溺れる
ハンドル名古石 さん
ブログタイトルきらいだから溺れる
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/g_sec/
サイト紹介文オリジナルの小説(短篇)を載せています。 マニアック派ホラー、ミステリなど。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供36回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2012/10/24 00:20

古石 さんのブログ記事

  • 『空っぽの…』(短篇ホラー)-3
  • 空っぽの… -3「………に…行くわ」「ああ…。……えっ?」 休日の夕方だった。この日は昼過ぎから大降りの雨が降っていた。寝ぼけた頭のまま寝室を抜け、リビングで寛いでいると、妻がちょうどコートを羽織っているところだった。「…え?どこ行くの?」ソファに座りながら妻を見上げると、青白いような顔が、ゆっくりと向けられた。「だから、病院よ」「病院…?体調でも悪いのか?」「べつに、そういうわけじゃないけど」「じ [続きを読む]
  • 『空っぽの…』(短篇ホラー)-2
  • 空っぽの… -2 それから、わずか数日後のことだった。 どたん、と大きな音がして深夜に目を覚ますと、隣で眠っていた筈の妻の姿はなく、寝ぼけた足で物音のする方へと向かうと、すっかり冷え切った風呂場で下着姿の妻が背を丸めてタイルの床に屈んでいた。「な、何してるんだ、こんな夜中に……」「あら、起きて来たの?」酷く血色の悪そうな妻の顔が、長い髪の隙間から覗いた。「何でもない。ちょっと転んだだけよ」「こんな時 [続きを読む]
  • 『空っぽの…』(短篇ホラー/改稿版)
  • 空っぽの…  ………ええと、何から話していいものか。 あの頃……妻がまだ生きていた頃は、僕にとって天国だったのか、地獄だったのか。幸せだったような気もするし、そうでなかったような気もする。 確かに言えるのは、生前妻はとても美しい容姿の持ち主で、僕の前だけで見せるほんのちょっとヒステリックな一面もあったけれど、育ちや教養面においても、僕には勿体ないくらいの相手だったということ。………いや、ちょっと [続きを読む]
  • クズ家(59-63)
  • ちょっと猟奇的な一家と、その飼い猫の記録。葛湯(クズユ)一家、略してクズ家。僕   … 拾われてきた黒猫。日々逃亡のチャンスを狙っている。59  よそ見をして歩いていたら穴ぼこに落っこちたのです。なぜこんなところに。  何者かが僕を罠に嵌めようとしているのです。許せないのです。 60  ぐにょぐにょした何かに襲われる夢を見ました。  え。 誰ですか。僕にネッククーラーを巻き付けたのは。 虐めなのです [続きを読む]
  • 『Ivy』(短篇ホラー)-2
  • Ivy -2 気が付けば、纏わり付くような夜気がリビングを満たしていた。慌ててソファから跳ね起きると、反動で太腿の筋肉が引き攣った。痛い。しまった。一休みのつもりが、すっかり熟睡してしまっていた。夕食はまだ食べていない。夫は?娘は?なぜ誰も自分を起こしてくれなかったのか?しかしそれにしても暗い。一体いまは何時なのかしら?… どうにもよく眠気の去らぬ頭でふらふらとリビングを抜けると、暗がりのプレイルームへ [続きを読む]
  • 『Ivy』(短篇ホラー)
  • 閲覧いただきありがとうございます。グロテスクホラー作品になります。ご理解のある方のみ、閲覧下さるようお願い致します。Ivy  けたたましい叫喚でロンは目を覚ました。 休日の朝だというのに、一体何事だろうか?そんなことを思いながら、枕元に置いていた腕時計を手繰り寄せると、針は午前三時半を指していた。朝どころかまだ夜中じゃないか。この時間に何の騒ぎが起こり得るというのか?横を見ると、すぐ隣のベッドで寝 [続きを読む]
  • らくがき
  • こんにちは。たいしたことないボリュームですが、久しぶりに落書きでもアップしようと思います。 で原寸。スマホからでも大丈夫ですが、PCからの閲覧推奨です。 [続きを読む]
  • 雑記
  • こんにちは。怖い話真っ盛りの季節…!ということでもないですが、現在新作ホラー短篇を執筆中です。まだすぐにはアップできそうにはないのですが、お楽しみに。---------------------------------『Ivy』(短篇ホラー)「……パパ。じゃあ、クマちゃんが生きている証拠を見せて……」 ロンにはアイビーという五歳になる愛娘がいる。父親として娘のすべてが愛おしく、甘やかしていたが、一つだけ大きな気掛かりがあった。それは、 [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-21
  • 21 昼休みの校舎で、ベランダに出てみると、すぐに目的の人物は見つかった。一人冷たい地べたに座って菓子パンを齧っている教師の横に、直季はそっと立つと、柵に寄り掛かった。「…寒く、ないんですか」「寒いよ」「……〈霧の中の悪魔〉って、一体何なんでしょうか?」「…唐突だな」「知っていますか?この町を取材していた、蔵影という記者が、亡くなったこと」「ふうん」「……恐らくですけど、蔵影さんは死の直前、霧の中 [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-20
  • 20  およそ三十分掛けて校舎から自宅に辿り着いた時には、すっかり日は暮れていた。 家の前の細い路地を抜けて玄関先まで来た時、少し離れた空き地の道路脇に、一台の灰色の乗用車が停まっているのが目に留まった。 不審に思っていると、車両のドアが開く音がして、運転席から白いワイシャツ姿の男が降りて来た。見知らぬ顔。ゆっくりと距離が迫る。口元だけに笑みを湛えながら、その男は真っ直ぐに直季の方へと足を進め、そ [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-19
  • 19 「………以降特別に屋上を開放するが、雨天決行、しかしこの天候じゃあまず見られないだろう。六時には施錠が入る。気の向く奴は行ってみるといい」 三黒が沈黙し、その目が己の腕時計を確認したところで、我に返った。 半ば上の空で話を聞いていたが、気付けば教室から教師は去り、朝礼は終わっていた。「……今の、何の話?」「花火の話」 椅子に座りながら隣に向けて訊くと、頭上から声が返って来た。「…明松さん」「 [続きを読む]
  • クズ家(56)
  • ちょっと猟奇的な一家と、その飼い猫の記録。葛湯(クズユ)一家、略してクズ家。僕   … 拾われてきた黒猫。日々逃亡のチャンスを狙っている。※21話、43話の続篇です。21話の閲覧には十分にご注意下さい。--------------------------------------------43  ……… 久しぶりにお父さんの書斎部屋に入りました。 相変わらず壁一面にひょっとこのお面が並んでいて不気味なのです。ふと、床に落ちている紙切れと目が合いまし [続きを読む]
  • シークレット・リンク3
  •  お久しぶりです。閲覧いただきありがとうございます。 〈目次〉ページ内に、 シークレット・リンク第三弾を設置致しました。 シークレットシリーズは、一旦これで締めくくりとなります。 終幕に相応しい闇を、用意致しました。  どうぞ、迷い込んでみてください。 [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-18
  • 18 部屋の窓から吹き付ける、降っているともわからぬ小雨に髪を湿らせながら、スマホを片手に、ぼうっとソファに沈み込んでいる。 時刻は昼時を示しているというのに、日差しはなく外は薄暗い。さらには、電気の付いていない部屋の中は、まるで夜のような暗さに満ちている。 午後二時半。平日の真昼間。退屈、ということもないけれど、特に何をする気も起らず、かれこれこうして数十分、ひょっとしたら数時間の間、直季はどう [続きを読む]
  • クズ家(53-55)
  • ちょっと猟奇的な一家と、その飼い猫の記録。葛湯(クズユ)一家、略してクズ家。僕   … 拾われてきた黒猫。日々逃亡のチャンスを狙っている。 53  ご飯の時間なので行ってみると、カップ麺が床の上に置かれていました。  お母さんめ。いやがらせなのです。 54  カップ麺の腹いせに、お母さんの鼻下を尻尾でもふもふしてやったのです。すると、 「……黒吉、ち [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-???
  • * オレンジ色の天井のライトが、ぼんやりと周囲を照らしている。かしゃかしゃかしゃ、と軽快な音が響き渡っている。直季が視線を向けた先に、男がうれしそうに、しかしどこか疲れたように、ボウルの中で生クリームを掻き混ぜている。手動の泡だて器が、アルミ製のボウルに擦れる音……。かしゃかしゃかしゃ。軽快な音が続いている。時折、固まりかけた生クリームが、泡だて器の隙間からとろりと顔を覗かせ [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-17
  • 17  すっかり人気の減った校舎前の校門で、直季は一人立ち竦んでいた。 周囲には、夕闇が満ち始めている。霧に纏われ付かれながら、微かな焦りのようなものを、直季は感じていた。(………遅いな……。) 放課後になって、門の所で待っていて欲しいと、言い出したのは阪上の方だった。しかし、それから何やら言い淀み、やっぱり先に帰っていて欲しいと、この友人は言い直したのだ。 訊くと理由は、職員室に少し用 [続きを読む]
  • 『グルーミー・マム』-2(短篇ホラー)
  • グルーミー・マム -2「……クソ。そもそも、なんで、入って来れたんだよ…」「……え…?」 どことなく切羽詰まったような、蒼白な貌が、こちらに向けられた。 ……ぴちょん。「ここはいつだって閉ざされてる。出られないし、入れない。入れないんだ、誰だって。それなのに――」「な、何言ってるんだ…?多分、鍵が…」「見てみろよ。鍵なんか、最初から掛かってない」 …ぴちょん。 闇の中を、振り返っていた。 近くで、音 [続きを読む]
  • 『グルーミー・マム』(短篇ホラー)
  • グルーミー・マム  夕闇の中に、その古びたマンションはぼんやりと浮かび上がっていた。周囲には、ひんやりとした空気が漂っている。四階建てのこの建物の中に、エレベーターはどこにも見当たらない。代わりに、赤錆に塗れた鉄階段を踏みしめると、奇妙に歪んだ表面が、体重を掛ける反動に合わせて、軋んだような音を立てた。 しばらく上って行くと、暗闇に包まれた廊下が姿を現した。見上げると、天井に [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-16
  • 16「……きみが、碑石直季くん?」 声を掛けられた、と思うと同時に、直季は立ち止まった。 見ると、見知らぬ男が、こちらに向かって笑みを浮かべていた。「その貌。ヒドイなあ。顔を合わせたことがあるかもしれない仲なのに」まるで心の中を見透かすかのような言葉が、放たれた。「倉持センセイの葬式で…」「…は?」 葬式、というワードに、一瞬何かが思い出されそうな気がした。しかし少し考えてみても、自らのどの記憶の [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-15
  • 15 静寂が、辺りを包んでいる。 呻るようなヒーターの低い可動音が、途切れることなく、この冷ややかな空間に充満しているが、誰も気にする者はいない。無造作に扉が開かれると、冷気とともに、数人の男が部屋の中に入って来た。彼らが淡々と用意された壇上に付くと、わずかに喧噪が生まれたが、それもまた到底、この纏わり付くような静寂を乱すほどのものではない。 壇上には、四人。その中の一人が、小声で彼の仲間に何かを [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-14
  • 14  夢を見ていた。 辺り一面に、真っ白な霧が漂っている。背後から抱き締めてくる黒い腕。分厚いコートに遮られて、互いの体温など通さぬ筈なのに、自らの体は異様な温かさに包まれている。 生温いものが、耳朶に触れた。 振り返らずとも、それが人の唇だとわかり、何とも言えぬ感慨に思わず身を捩ってしまう。 いつから二人でここに立ち竦んでいるのか、まったく記憶にない。しかしすでに足は棒のようで、思わぬ疲労 [続きを読む]