清水長崎 さん プロフィール

  •  
清水長崎さん: しあわせはどこにある
ハンドル名清水長崎 さん
ブログタイトルしあわせはどこにある
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/simizunagasaki
サイト紹介文しあわせとかなしみをテーマにオリジナル小説を書いています。趣味でです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供37回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2012/12/06 17:28

清水長崎 さんのブログ記事

  • 15輪のひまわり
  •                  ☆ オランダのアムステルダムにある、ゴッホ美術館【Van Gogh Museum】所蔵の『15輪のひまわり』、わしの大好きな絵だ。有名な絵だけれど、わしは静物画ではないことに気づいた、“貧しくもがんばって生きろ”というメッセージを描いている。 同じ花で、開花から種ができるまでの形の違うものをいっしょに花瓶に生けることは、現実には不可能だろう。普通は数種類の花を生けるか、一種類の花( [続きを読む]
  • 呪文をとなえる
  •                プロローグ  おふくろが入院した、咳が続いたので診てもらったら重い病気にかかっていた。今まで病気という病気をしたことがなく、からだが丈夫なのが自慢だった。だから周りもだが、本人が一番とまどっていた、明るくふるまっているが、不安でたまらないのはわかっていた。 おれは何とかして、おふくろの不安を少しでもなくしてやりたいと思った。おれがかなしんでなんかしてられない、そのため [続きを読む]
  • 呪文をとなえる(つづき)
  •                 その三  おれは、おふくろから一番大切なことを教えてもらった。貧しくても強く生きるということを、おれに見せてくれた、いっぱいの愛情をおれにくれたんだ。                ☆ 親は子どもに自分の生き様を見せている、自分ががんばっている姿を見せて、がんばることを教えているんだ。おれもここぞというときには、子どもに見せてやるんだとがんばった、そう思えばがんば [続きを読む]
  • かわいいっ
  •                 その一  サチとコトは会社の女子社員寮で一緒で、同じ歳の仲のいい友だちだった。二人でよく、寮の管理人の部屋に遊びに行った。そこにはじいさんが一人いて、いつも快く迎えてくれた。おしゃべりをして過ごすのだが、二人が話してじいさんは聞き役だった。実は二人の一番のお目当ては、じいさんの手作りのパンだった。二人はおいしいと喜んで食べる、じいさんはそれで満足だった。       [続きを読む]
  • はね返ってくる
  •                   その一  会社の同僚のミコが急に辞表を出した。チヨは驚いたが、上司のミコへのいじめを知っていたから半分はしかたがないと思った。 二人は社宅でいっしょだった、そんなに仲のいい友だちでもなかったが、チヨは引っ越しの手伝いを申し出た。「ミコさん、よかったら引っ越しの手伝いをさせてください」「あら、いいのよ、そんなに荷物なんかないんだから、でもありがとう、チヨさん、やさ [続きを読む]
  • はね返ってくる(つづき)
  •                 その三  その日、チヨは持ってきた一冊の画集をミコに見せた。〈わたしが大好きな画家なの〉〈ゴッホ〉〈よく知られているんだけれど、そのメッセージはよく伝わっていないと思う。わたし、それがわかってどんなにうれしかったか〉〈そう、でも初めて見る絵が多いけれど、きれいね〉〈でしょう、この草木なんか、どうしてこんなに細かくていねいに描けるのか。わたし何度見ても驚いてしまう、 [続きを読む]
  • 問答
  •                 その一                       「たかが、宝くじじゃないか。どうせ、当たらないんだ」 中年の男は、吐き捨てるように言った。「なんだと、たかがとは何だ、お金をたかがと言うのか」 老年の男は、声を高くして言った。「すみません、たかがは悪かった」「まあ、いいけど、これでおまえとは縁を切るということだ」「だから、どうして? どうしてそうなるんか? おれが [続きを読む]
  • 問答(つづき)
  •                 その三  お互い安アパートの一人暮らしだった、中年は仕事をしていたが、老年は年金暮しだった。老年は、夏と冬は市立図書館や駅の待合室に、そして春と秋は公園や競技場にいた。中年はその場所を聞いて、休みの日はそこに行った。そうしたらよく会うことができた、そして二人ゆっくりと話して過ごした。〈(例の居酒屋に飲みに行くのは)兄貴はふた月に一回ぐらいで、おれはひと月に一回ぐらい [続きを読む]
  • 駅長さん
  •                 その一      わたしは、“ふるさと行きの汽車”の始発駅の駅長をしています。――どうして、この駅長をしているのか? その答えは言えません、平にご勘弁ください。 わたしの仕事は、日々、“ふるさと行きの最終便”のアナウンスをすることです。黄昏どきに、街中に向かって呼びかけます。「本日の、“ふるさと行き”の最終便です、乗れる人は急いでくださーい」 なるだけ、なるべく、 [続きを読む]
  • 駅長さん(つづき)
  •                その三  わたしは何人も何人も、そう数え切れない数の、“ふるさと行きの汽車”に乗るキップを切ってきました。わたしはキップをわたすとき、(よくがんばりましたね)と心の中で言葉をかけて、会釈をします。その人たちは何とも言えないいい顔をして、会釈を返します。それまでに、何度もやって来ては乗れなくて、わたしとかなしい顔で見合っただろう、そうしてこの日になったのです。 そう [続きを読む]
  • ふるさと
  •               その一   あたしは子ども4人の一番上だった、家が貧しかったから、あたしは高校を卒業したら、都会に出て働いた。そしてできるだけ送金して、家計の足しにしてもらった。 そうして10年が経って、末っ子が高校を卒業した、あたしと十才年の差があった。両親から、一度顔を見せに帰ってこないかと手紙があった。10年間本当に助けてもらった、おまえの送金のおかげでやってこれた、お礼の言葉もな [続きを読む]
  • がまんすること、がんばること
  •                     その一 じいさんが田んぼの畦道を、犬を連れて散歩していると、道端の土手にひとり少年が座っていた。じいさんはすぐに気づいた、最近じいさんの家の近くに、両親と男の子と女の子の四人家族が引っ越してきた。空き家になっている農家の古い家と畑を、無償で借りることができるという、市の施策だった。「どうした、元気がないようだな」 少年は頭を上げてじいさんを見て、小さくうなず [続きを読む]
  • がまんすること、がんばること(つづき)
  •                   その三 じいさんの家の部屋の壁には、あちこちに大きな絵のポスターが貼っている。「ジジは絵が好きか?」「ああ、絵といっても、ゴッホという人が描いた絵なんだがな」「きれいだな」「きれいだろう、だがな、きれいだけではない、語りかけているんじゃよ」「絵がか?」「そうじゃよ、おまえ、その声が聞こえないか?」「よせやい、おれは、そんな小さい子どもじゃないぞ」「そうじゃない、 [続きを読む]
  • がまんすること、がんばること(つづき)
  •                  その四  「がまんすること、がんばること、――どうして、このことをしなければならないのか?」「世界中に、がまんしている人がたくさんいるからだろう」「うぬ、そうじゃ。そしてな、わしは、努力しないで健康でいるよりは、努力して健康になる方がいいと思っている。そしてな、わしは努力しないで幸せになるより、努力して幸せになる方を選ぶよ。そうでないと、病気になった人たちに合わせ [続きを読む]
  • ホームにて
  •  『 ホームにて 』          中島みゆき 作詞作曲ふるさとへ 向かう最終に乗れる人は 急ぎなさいとやさしい やさしい声の 駅長が街なかに 叫ぶ振り向けば 空色の汽車はいま ドアが閉まりかけて灯りともる 窓の中では 帰りびとが笑う走りだせば 間に合うだろうかざり荷物を ふり捨てて街に 街に挨拶を振り向けば ドアは閉まる振り向けば 空色の汽車はいま ドアが閉まりかけて灯りともる 窓の中では  [続きを読む]
  • ホームにて(つづき)
  •                   その三「じいちゃん、ただいま」「おかえり、汽車は混まなかったか?」「混んでた、三日連休だからね、天気もいいし、行楽日和ね」「おまえもゆっくりできるな、一泊と二泊ではずいぶん違うからなあ」「うん、ゆっくりできる」「さあ、何のご馳走が出てくるか、楽しみにしてろ」「ありがとう、じいちゃん、そんなに高いものはいらないからね」「わかってる、まあ、任せてくれ」………………… [続きを読む]
  • ラスト
  •                 〈プロローグ〉“人生のラスト”は、いつからか? いつからにするか? 人それぞれだろう。おれは、いま“ラスト”だと思うようになった、何もきっかけとかはなく、スッとそう思った。 まだ腹はくくれていないが、これから準備しようと思う。死ぬことを考えるのは、ちょっとさびしくもあるが、もうそんな歳だからしかたがない。残りの日々を、自分で満足のいくようにしっかりと生きようと思 [続きを読む]
  • ラスト(つづき)
  •  カンヴァスの中で、しおれていくいくつもの段階のひまわりを、一つの花瓶に挿した。茎の曲がり方を、2ヶ所も曲がったのや、曲がって上を向くのをつくった。そして4輪だけ少し重ねて、11輪は全部の姿を見せた、つまり隣と空間をつくった。──これで、ひまわりの姿を借りて、人間を描いているというに気づくだろう。“貧しい人間”、イコール、“すばらしい人間”だ。 人間として描くと思ったら、花びらの形や向きがそんな感じ [続きを読む]
  • 沈黙
  •                   その一   青年は階段を上って、二階のフロアに立った。その一角には、全面ガラス窓の前に小さいテーブルを挟んで2つのイスが並んであった。右側のイスに男の人が座っていて、左側のイスは空いている、青年はその横に立って、あいさつをした。「清水さん、初めまして、よろしいでしょうか?」 老年は振り向いて、ニッコリと笑った。「どうぞ、おかけください」 青年は、手に持っていたホ [続きを読む]
  • 沈黙(つづき)
  •                 その三 「わしは、遠藤周作の『沈黙』という映画を見たんだが」「おれも見ました」「そうか、重いテーマだった、わしはなんとも理解できなくて、ずっと頭から離れなかった、今、それがわかってきたんだよ」「聞かせてください、おれももやもやしているんです、よくわからないんです」「そうか」※島原の乱が収束して間もないころ、イエズス会の司祭で高名な神学者であるクリストヴァン・フェレイ [続きを読む]
  • 沈黙(つづき)
  •                   その四 「こんにちは」 きょうは青年が先に来ていた。「おう、早かったね、どうだい、元気してるかな」「はい、元気です。清水さんも、お元気そうで」「ああ、毎日からだを動かしているよ、いくらかの負荷をかけないと衰える一方だからな、止めることはできないが、わずかでも踏んばっているよ」「本当に、元気そうです」「サンクス」 いつものように、二人は目の前の景色を眺めながら、コ [続きを読む]
  • 矛(ほこ)と盾(たて)と
  •                《昔、中国の楚の国で、矛と盾とを売っていた者が、「この矛はどんなかたい盾をも突き通すことができ、この盾はどんな矛でも突き通すことができない」と誇ったが、「それではお前の矛で、お前の盾を突けばどうなるか」と尋ねられて、答えることができなかったという》                  その一  街の外れに喫茶店がある、二階建てのビルの貸店舗で、一階と二階が階段でつながっ [続きを読む]
  • 矛と盾と(つづき)
  •                  その二 “聞き手”を申し込んだ人は、店主と面談をする。面接ではなく、名前や略歴、自己紹介を書いてもらい、その後話をするのである。飲み物もタダではなく、ちゃんと料金をいただく。もちろん何回も来店すると、それなりに店主と話もし、それなりに交友を深める。“来訪者”は、“聞き手”と話をしに来るのだが、別に話をしなくても、目の前に広がる風景を見ているだけでもよかった。聞き手 [続きを読む]
  • 矛と盾と(つづき)
  •                   ◇「貧しい人たちは、がまんするだけですか?」「いや、何も文句を言わない、このことがすごいと思う、わしにはわからないことだ。『マッチ売りの女の子』はまだ十歳ぐらいだから、あのとき尋ねることはしなかった、疑問ももたなかった。――聞いていいんだ、訴えていいんだ、なぜ誰もわたしを助けてくれないの? どうして両親はわたしを捜しに来ないの? とな」「そうですね」「ただ、わし [続きを読む]
  • 逆算
  •                その一 喫茶店で、二人は小さいテーブルを挟んでイスに座り、目の前の景色を見ていた。少しの間をおいて、ハナが言った。「あなた、笑顔がないわね」「あるわけないじゃん」「そんなだったら、つらいわねえ」 ユリの目がキッとなった。「つらいを通り越して、投げ捨てているよ」 ハナは全く表情を変えない、ポーカーフェイスである。「助けてあげたいんだけど、わたしの話なんか聞きたくもないで [続きを読む]