清水長崎 さん プロフィール

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清水長崎さん: しあわせはどこにある
ハンドル名清水長崎 さん
ブログタイトルしあわせはどこにある
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/simizunagasaki
サイト紹介文しあわせとかなしみをテーマにオリジナル小説を書いています。趣味でです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供51回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2012/12/06 17:28

清水長崎 さんのブログ記事

  • がまんすること、がんばること
  •                     その一 じいさんが田んぼの畦道を、犬を連れて散歩していると、道端の土手にひとり少年が座っていた。じいさんはすぐに気づいた、最近じいさんの家の近くに、両親と男の子と女の子の四人家族が引っ越してきた。空き家になっている農家の古い家と畑を、無償で借りることができるという、市の施策だった。「どうした、元気がないようだな」 少年は頭を上げてじいさんを見て、小さくうなず [続きを読む]
  • がまんすること、がんばること(つづき)
  •                   その三 じいさんの家の部屋の壁には、あちこちに大きな絵のポスターが貼っている。「ジジは絵が好きか?」「ああ、絵といっても、ゴッホという人が描いた絵なんだがな」「きれいだな」「きれいだろう、だがな、きれいだけではない、語りかけているんじゃよ」「絵がか?」「そうじゃよ、おまえ、その声が聞こえないか?」「よせやい、おれは、そんな小さい子どもじゃないぞ」「そうじゃない、 [続きを読む]
  • がまんすること、がんばること(つづき)
  •                  その四  「がまんすること、がんばること、――どうして、このことをしなければならないのか?」「世界中に、がまんしている人がたくさんいるからだろう」「うぬ、そうじゃ。そしてな、わしは、努力しないで健康でいるよりは、努力して健康になる方がいいと思っている。そしてな、わしは努力しないで幸せになるより、努力して幸せになる方を選ぶよ。そうでないと、病気になった人たちに合わせ [続きを読む]
  • ホームにて
  •  『 ホームにて 』          中島みゆき 作詞作曲ふるさとへ 向かう最終に乗れる人は 急ぎなさいとやさしい やさしい声の 駅長が街なかに 叫ぶ振り向けば 空色の汽車はいま ドアが閉まりかけて灯りともる 窓の中では 帰りびとが笑う走りだせば 間に合うだろうかざり荷物を ふり捨てて街に 街に挨拶を振り向けば ドアは閉まる振り向けば 空色の汽車はいま ドアが閉まりかけて灯りともる 窓の中では  [続きを読む]
  • ホームにて(つづき)
  •                   その三「じいちゃん、ただいま」「おかえり、汽車は混まなかったか?」「混んでた、三日連休だからね、天気もいいし、行楽日和ね」「おまえもゆっくりできるな、一泊と二泊ではずいぶん違うからなあ」「うん、ゆっくりできる」「さあ、何のご馳走が出てくるか、楽しみにしてろ」「ありがとう、じいちゃん、そんなに高いものはいらないからね」「わかってる、まあ、任せてくれ」………………… [続きを読む]
  • ラスト
  •                 〈プロローグ〉“人生のラスト”は、いつからか? いつからにするか? 人それぞれだろう。おれは、いま“ラスト”だと思うようになった、何もきっかけとかはなく、スッとそう思った。 まだ腹はくくれていないが、これから準備しようと思う。死ぬことを考えるのは、ちょっとさびしくもあるが、もうそんな歳だからしかたがない。残りの日々を、自分で満足のいくようにしっかりと生きようと思 [続きを読む]
  • ラスト(つづき)
  •  カンヴァスの中で、しおれていくいくつもの段階のひまわりを、一つの花瓶に挿した。茎の曲がり方を、2ヶ所も曲がったのや、曲がって上を向くのをつくった。そして4輪だけ少し重ねて、11輪は全部の姿を見せた、つまり隣と空間をつくった。──これで、ひまわりの姿を借りて、人間を描いているというに気づくだろう。“貧しい人間”、イコール、“すばらしい人間”だ。 人間として描くと思ったら、花びらの形や向きがそんな感じ [続きを読む]
  • 沈黙
  •                   その一   青年は階段を上って、二階のフロアに立った。その一角には、全面ガラス窓の前に小さいテーブルを挟んで2つのイスが並んであった。右側のイスに男の人が座っていて、左側のイスは空いている、青年はその横に立って、あいさつをした。「清水さん、初めまして、よろしいでしょうか?」 老年は振り向いて、ニッコリと笑った。「どうぞ、おかけください」 青年は、手に持っていたホ [続きを読む]
  • 沈黙(つづき)
  •                 その三 「わしは、遠藤周作の『沈黙』という映画を見たんだが」「おれも見ました」「そうか、重いテーマだった、わしはなんとも理解できなくて、ずっと頭から離れなかった、今、それがわかってきたんだよ」「聞かせてください、おれももやもやしているんです、よくわからないんです」「そうか」※島原の乱が収束して間もないころ、イエズス会の司祭で高名な神学者であるクリストヴァン・フェレイ [続きを読む]
  • 沈黙(つづき)
  •                   その四 「こんにちは」 きょうは青年が先に来ていた。「おう、早かったね、どうだい、元気してるかな」「はい、元気です。清水さんも、お元気そうで」「ああ、毎日からだを動かしているよ、いくらかの負荷をかけないと衰える一方だからな、止めることはできないが、わずかでも踏んばっているよ」「本当に、元気そうです」「サンクス」 いつものように、二人は目の前の景色を眺めながら、コ [続きを読む]
  • 矛(ほこ)と盾(たて)と
  •                《昔、中国の楚の国で、矛と盾とを売っていた者が、「この矛はどんなかたい盾をも突き通すことができ、この盾はどんな矛でも突き通すことができない」と誇ったが、「それではお前の矛で、お前の盾を突けばどうなるか」と尋ねられて、答えることができなかったという》                  その一  街の外れに喫茶店がある、二階建てのビルの貸店舗で、一階と二階が階段でつながっ [続きを読む]
  • 矛と盾と(つづき)
  •                  その二 “聞き手”を申し込んだ人は、店主と面談をする。面接ではなく、名前や略歴、自己紹介を書いてもらい、その後話をするのである。飲み物もタダではなく、ちゃんと料金をいただく。もちろん何回も来店すると、それなりに店主と話もし、それなりに交友を深める。“来訪者”は、“聞き手”と話をしに来るのだが、別に話をしなくても、目の前に広がる風景を見ているだけでもよかった。聞き手 [続きを読む]
  • 矛と盾と(つづき)
  •                   ◇「貧しい人たちは、がまんするだけですか?」「いや、何も文句を言わない、このことがすごいと思う、わしにはわからないことだ。『マッチ売りの女の子』はまだ十歳ぐらいだから、あのとき尋ねることはしなかった、疑問ももたなかった。――聞いていいんだ、訴えていいんだ、なぜ誰もわたしを助けてくれないの? どうして両親はわたしを捜しに来ないの? とな」「そうですね」「ただ、わし [続きを読む]
  • 逆算
  •                その一 喫茶店で、二人は小さいテーブルを挟んでイスに座り、目の前の景色を見ていた。少しの間をおいて、ハナが言った。「あなた、笑顔がないわね」「あるわけないじゃん」「そんなだったら、つらいわねえ」 ユリの目がキッとなった。「つらいを通り越して、投げ捨てているよ」 ハナは全く表情を変えない、ポーカーフェイスである。「助けてあげたいんだけど、わたしの話なんか聞きたくもないで [続きを読む]
  • 逆算(つづき)
  •                その三 「何もかもうまくいっている人は、何も考えないんでしょうね」「何もって?」「逆算することよ」「やっぱりそれかあ」「逆算できる人と、できない人がいる、これは大きな違いよ」「そんなに違うこと?」「死ぬとき、正しく生きた人は、手持ちのお金は“ゼロ”よ。そうしたら、わかるでしょう。逆算すると、お金はどんなにしたらいいか、ということ」 ユリは首を振った。「えっ、わからない [続きを読む]
  • えっ変?
  •                 その一 仕事がなく、従ってお金を稼ぐことができず、生活するのに必要なお金がない人たちがいる。ヒサとナオは同じ歳で、友だちだった。二人ともオンボロの服を着て、穴の空いた靴をはいている。「ナオ、おまえ、いつも明るいな、嫌なことでも平気な顔をしている、どうしてだ?」「そう見えるか?」「おれはうらやましくなった、前はそうじゃなかった、みんなと同じだった。どうしてか? 教えて [続きを読む]
  • 大きい小さい
  •                     その一                   「姉ちゃん、わたし、生きてく力がなくなった、嫌なことに押しつぶされちゃった」「そんなにひどいの?」「うん、嫌なことが大きくて、どうすることもできない」「そう、一つ教えるね、わたしが思いついた処世術だけど、まあ話だけ聞いて、どう思うかはあなたの自由だからね。あのね、嫌なことに“大きい小さいはない”の」「まあ」「嫌なこ [続きを読む]
  • 大きい小さい(つづき)
  •                   その三  「悪い人は、お金をもうけるためだったら何でもやる、嘘もつくし、芝居もする、平気でできる。どうしてそうできるのか? わたしにはわからない、そんなことわからなくてもいい、考えもしない。だから、こっちは負けないの、何を言われても、どんな態度をされても、嘘だと、芝居だと思うのよ」「どうして嫌がることをするのか? ずっとわからなかった、お金のためなのね。わかった [続きを読む]
  • 俯瞰する
  •                  その一  土曜日の午後、おれは喫茶店に入った。一階でホットコーヒーを買って、二階に上った。広い部屋の道路側は足元までガラス張りをしている、その横にあるイスに座った。両方に肘掛けがある一人掛けのソファで、座り心地がとてもいい。 右を向けば、ガラス越しに外の景色が大きく広がる。歩道があり、片側三車線の道路がある。その先にスクランブルの交差点があり、渡った歩道のうしろ [続きを読む]
  • 俯瞰する(つづき)
  •                  その三   人間が“動く”のを嫌がってどうする? 健全なからだとこころを頂いている人は、ということだ。からだを動かすこと、そして暑さや寒さをがまんすること、おいしいもの(贅沢なもの)を食べないこと、欲しい物(贅沢な物)を買わないこと。そうすることが、どれだけ大きな喜びをもつことか。がまんとがんばりが、喜びと比例するんだ。安易に手に入れたら、喜びだけでなく、“夢” [続きを読む]
  • ハリーとメリー
  •                 その一 夜が更けて、街じゅうが静まりかえっている。ビジネスホテルのフロントの後ろにある控え室で、ベンとルトの二人がくつろいでいる。夜勤のシフトで二人がいっしょになるのは週に一度ぐらいの割合である。 この二人の組み合わせのときは、テレビもラジオもつけずにいるのが常だった。そして二人とも一番相性がいいと思っている、つまり気兼ねがいらないということである。ルトがベンの様子 [続きを読む]
  • ハリーとメリー(つづき)
  •                  その三 いつもの話は、毎回ベンの方から話し始める。ルトはそれを待っている、そしてその話が出なくても、がっかりすることはない、次の機会を楽しみにすることができる。「例えば、こうだ。仕事で数時間後に嫌なことをしなければならない、それまでの時間をずっと嫌だなあと思っている。これ、これをなくすんだ。それまでの時間を、“メリー”にするんだ。そしてその嫌な仕事が始まったら、嫌 [続きを読む]
  • 前倒し2(強い人)
  •                     その一  ばあさんが寝込んだ、からだの具合が悪いと一人で離れの家にいる。隣の母屋には長男の家族が住んでいて、世話をしにやってくる。 ばあさんは、じいさんが死んでから頑固になった。  次男の次男であるケンが、都会から一泊の日程で帰ってきた。布団に寝ているばあさんの、すぐそばの縁側に座った。「ばあちゃん、元気がないって聞いて、心配で来たよ」「おお、すまんのう、わ [続きを読む]
  • 前倒し2(強い人) (つづき)
  •              その三 「もう一つあるんだ、ゴッホが最後に語ったことなんだが、つまり遺言だ」「ほう、何じゃ? 聞きたいもんじゃ」「また少し、ゴッホのその後を話さないといけないんだが」「うぬ、いいぞ」「『15本のひまわり』を描いた後、ゴッホは精神を患ったんだ、それで病院に入院した、ちょうど一年間だ。このときに描いた絵がすばらしいんだが、それは置いといて、退院してからオヴェールという村に行っ [続きを読む]
  • 前倒し
  •                    一 シュウがあきれた顔をしてサトを見ながら、あきれたような調子で言った。「どうした? おまえ何か変わったな、明るくなった、何かあったのか?」「いや、別に。そんなに見えるか?」「なんていうか、自信があるというか、胸を張っているよ。悪い意味じゃない、いい感じだ」「まあ、それはどうかわからないが、実はおれの中でいいことがあったんだ、長年のつっかえがなくなってきている [続きを読む]