八重土竜 さん プロフィール

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八重土竜さん: 七人と透明な私
ハンドル名八重土竜 さん
ブログタイトル七人と透明な私
ブログURLhttp://yaemogura.blog.fc2.com/
サイト紹介文ガチで小説家目指して小説書いてます。幼女が大好きです。アドバイスとかしていただけると嬉しいです。
自由文小説家目指して小説書いてます。
小説は俺得小説しか書きません。基本気まぐれで勝手で、適当なやつです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供33回 / 365日(平均0.6回/週) - 参加 2012/12/08 01:22

八重土竜 さんのブログ記事

  • 水王 17
  • 「何が面白いの?」「落ちるなよ」「大丈夫」 彼の心配事にカーラが力強く頷いた。「カーラ、木登りは得意なんだ」 屋根を軋ませて突進してくる男に軽々と足払いをかけて、カーラがニッコリと走り出す。足音も聞こえないのではと思うほど、彼女の体は軽やかだ。 水のようなたおやかさはないが、力むことを知らず、自分の思うがままにすべてのことが進んでいるに違いなかった。 屋根から飛び降りて、空き家のバルコニーに着地す [続きを読む]
  • 水王 16
  • 「……ご、ごめんなさい」 小さく謝ると、男の横を走り去ろうと試みるが、大きな手がカーラの腕をしっかりと掴んだ。「待て……」「は、離して」「それ、その瓶の中身……」「これはただの水だよ」 大嘘をついたが、今は誰も咎めるものはいない。腕を振りほどこうと、カーラがもがく。 男の手がさらに強くカーラの腕をつかんだ時だった。「こら、離さないか。相手は子供だぞ」  と、マリウスののんきな声が聞こえる。それと同 [続きを読む]
  • 水王 15
  • 「カーラがそのお迎えを見に行ったら、マリウスが嘘ついていないって分かるのか」「私ははなから嘘はついてないのだがね……まぁ、カーラが信じていないなら、証明にはなるだろうな」 マリウスが瓶の中で唸り声をあげるので、カーラが思いついたように言う。「じゃあ、カーラがその森に連れて行ってあげるよ」 目には好奇心が溢れている。これが大人なら興味本位と呼べるのだが、生憎カーラはまだ小さな子供であり、それは道の体 [続きを読む]
  • 使うものとあること
  • 「アイシャ」 とかけられた声は珍しく焦ったような、少し力の入ったもののだった。 呼ばれた本人は何も感じ入ることはなくいつも通りのペースで男の方へ振り向いた。 アイシャ・ケープハートの隣に胎児のような体勢で座っていた人物もゆっくりと声の方に顔を向ける。 速足で迫ってきているのはくすんだ金髪の大男。バラン・ジャージーである。買い物の帰りなのか小脇には膨らんだナップザックが抱えられていた。「アイシャお前 [続きを読む]
  • 夏の影
  •  三年に一度人が死ぬ。 今年で二十四だ。この夏にまた人が死ぬに決まっている。 平成最後の夏は、残念なことに三の倍数だ。 中学校三年生の夏だった。ちょうど夏休みに入る前。あのソワソワとした時期に私の祖父は死んだ。そのために私は一週間も早く夏休みを迎えることになった。夏休みが終わった頃には誰もかれも私の祖父の死を忘れていた。 高校三年生の夏だった。夏休みに入る三日前。もう友人たちと最後の夏休みをどんな [続きを読む]
  • 2018年8月19日開催コミティア125頒布予定「桜広場」試し読み
  •  埃と、古い本の匂いがしていた。 夕方の校舎というのは、人が思うよりもずっと静かだ。それが今は使っていない旧校舎ともなると、さらに顕著である。 旧校舎のとある扉の前だった。 経年のせいか、随分と開けにくくなったその扉に手をかけるカップルの姿があった。扉の上には図書室と書かれたプレートがある。「ほんとに開けるの?」 女子生徒の方が緩く笑っている。男子生徒の方はゆっくりと頷いただけで、腕に更に力を込め [続きを読む]
  • 水王 14
  •  人波の音に慣れ始めたころ、カーラは行きかう人々の真似をしてまた飲み物に口をつけていた。 果物の果汁の中にはちみつと香辛料が少しだけ入っているらしく、すっきりとした後味は、驚きと戸惑いでからからに干からびていた喉に心地が良い。 視線を感じたような気がしてカーラがマリウスに欲しいのかと尋ねたが、彼にはすげなく断られた。 子供の気遣いなど彼はいらないらしい。 カーラが歩幅を狭め、足を運ぶスピードをあか [続きを読む]
  • 水王 13
  • 「でも、やっぱり苦しくない方がいいと思うよ」「おや、難しい話でもするつもりかな?」「そうじゃないよ」 と、茶化されたカーラが両手を振った。 井戸の横を通り過ぎようとしている。猫がやはり瓶の中を見ていた。 マリウスが猫を睨み返す。「もし、私の苦しみを癒せるとしたら、君はどうする?」 その言葉に彼女が足を止めた。瓶がカーラの薄い胸に当たる。「苦しいの? カーラに何かできる?」「素直だなぁ、君」「やだ、 [続きを読む]
  • 水王 12
  •  瓶の中でマリウスが自分の口元に手を添えて笑う。その仕草は彼のしゃべり口にぴったりだった。 今までちぐはぐだったものが、カーラの中でようやく嵌めあわされた。「じゃあ、生き物に必要な三つの物って知ってる?」「うーん、水と、光と、空気? かな?」「それは植物に必要な者だろうに、森人種」「植物はもっと複雑だよ。土とか、気温とか。あと、全部多すぎてもいけないし……」「森人種の植物の話は随分長そうだな」「長 [続きを読む]
  • 水王 11
  •  割れた酒瓶の破片を踏み抜きそうになって、少女がよろけるように横に避けた。小さな声で危ないところだったと呟いているが、ごく近くにいるマリウスにはすべて聞こえていた。 両手で小瓶を握りしめると中身をじっとのぞき込む仕草をする。 前を見ないとぶつかるぞ、と言いたかったが、少女のその黄色い瞳からは何も言うなとでも言うかのような気迫が伝わってくる。 歩いているのはカーラだけだ。 路地の多い煩雑な街で助かる [続きを読む]
  • 水王 10
  • 「それじゃあ、マリウスは妖精で、妖精の中の王様ってこと?」「だから、同じことを何度も言っただろう……」「マリウスの言葉は難しくって分かりにくいんだもん。クンリンとかギョクザとか、食べ物の名前かと思ったよ」「森人種と言うのは聡明な者が多いと聞いたが、どうやらその限りでもないらしいな」「……? ソウメイ? また食べ物の名前?」 首を傾げるカーラに恐れをなしたのか、マリウスが瓶の中でちゃぷちゃぷと揺れた [続きを読む]
  • 水王 9
  • 「うーん……ヒスイはね、いつも剣だけど、身長が高くってかっこいいよ。あ、あと仮面をつけてるかなぁ」「ふむ……私も瓶の中から出たら人の形なのだがな」「ああ、そうか。ヒスイの剣がマリウスの水なのか。じゃあ、マリウスが妖精でも変なことはないね」「あ? ……うん?」 と、マリウスがとうとう不思議そうな声を上げた。 彼の理解はどこにも追い付いていないようだった。 一人で納得していたカーラが気を取り直すように [続きを読む]
  • 水王 8
  •  時間は正午に差し掛かっていた。昼食を求める人波はほんの少しだけ後ろめたいものを抱えるカーラには居心地が良い。歩いていく人たちはきっと水の入った瓶を持つ森人種には全く興味を示さない。 目の前を煌びやかな衣装を着て日傘をさした女性が通り過ぎた。カーラがそれを目で追いかける。 その人が人ごみに消えたころ、瓶を太陽の光に透かした。水のなかにぷかぷか浮かんだ幾つかの目が彼女の目を追いかける。 「魔物かなぁ [続きを読む]
  • 水王 7
  •  人の気配がないのを覗って、カーラがテントの間から抜け出す。 街中に抜ければいいだけだと自分に言い聞かせて走り出すと、曲がり角から体の大きな男が姿を現した。 カーラの姿を認めると、怪訝そうに眉をしかめる。「お前、何だ? どこから入った?」「あ、えっと……」 うまい言葉はもちろん見つからない。嘘をつけるほど器用でもないのだ。 男がのしのしと迫ってくるので、後ずさりすれば後ろからも人の気配が近づいてく [続きを読む]
  • 水王 6
  •  瓶に浮いているその丸い粒をよくよく見つめると、その粒と確実に目が合った。 大きさは爪の先にも満たないようなものだが、カーラと似ている黄色い虹彩がきらりと彼女を見つめていた。「目だ!!」「こんなことで驚くのは早いぞ」 と、声が笑いをかみ殺すように言った。 その声は確かに瓶から聞こえているようである。「私はマリウスだ。マリウス・ロドロ・アレクシアウス」 瓶の中の何者かが淀みなく自己紹介を始める。カー [続きを読む]
  • 水王 5
  • 「お願いだ! 助けてほしいんだ! ここから逃げ出したい。私には帰らなければいけない場所があるんだ!」 切羽詰まった声が、悲鳴のように響いた。こんなに大きな声を出しては見つかるのではと思い、カーラがあたりの気配を探るが、人の息遣いはなかった。 きっとどうしようもないくらいに困っているのにがいない。色梟がカーラの顔を見つめたが、ふいっと視線をそらしてしまった。まだ子供だが、大きく膨らんだ胸の羽が成鳥に [続きを読む]
  • 水王 4
  •  入ったテントはがらんとしている。大人が十人は入れそうな広さはあるが、それだけだった。テントの端の方に丸められた紙ごみがまとめられている。カーラの目の前に左手のない木製のデッサン人形が転がされていた。 自分を呼んだ人は誰だったのだろう、あたりをぐるりと見まわすと、テントの端からまた土気色の手だけが付きだす。先ほどと同じようにぎこちない動きでカーラのことを手招きした。「こっち」 と声が招く。 後ろに [続きを読む]
  • 水王 3
  •  テントは人の話し声で揺れているようであった。大変興味深い見世物が終わって、ほとんどの人々がテントの出口へと足を向けていた。 カーラがもう一度ステージの方をうかがう。もう何もいなかったが、心のどこかでは引っかかるものがあった。 フードをかぶりなおした森人種(エルフ)が人波の中に紛れる。帰る人とすれ違うように歩いていく目をらんらんとさせた人たちをカーラは見ていた。きっと夜の部もあるのだろう。ほとんど [続きを読む]
  • 水王 2
  •  ステージに上げられたのはかごいっぱいに詰められた色とりどりの鳥たちだった。どの鳥もきらめく宝石を付けられている。 観客がどよめいた。あの輝く宝石たちを見てのことだろう。かごに詰められているどの鳥たちも決して珍しいものではなかった。 カーラがかごの中を一通り見るが、その中に彼女の探しているフクロウの姿はない。 狭いところに閉じ込められた彼らの口がパカッと空いた。「オハヨウゴザイマス!」 甲高い声が [続きを読む]
  • 水王 1
  •  小さなかごに魔物が詰め込まれている。さも珍しいもののように並べてあるが、それのどれもこれもカーラ・アルバストの目には新しいものではなかった。 自分よりも少し年上に思える女の子たちが虹色の蝙蝠の入ったかごをしげしげと見つめていた。 蝙蝠の暗い色の目がカーラをじっと見つめたが、黄色い瞳はそれに答えなかった。 きっとこの箱に入っているどれもこれもがこの強固な門と高い壁に囲まれたこの町では珍しいものなの [続きを読む]
  • 5月6月のお知らせ
  • ご無沙汰しております。八重土竜です。5月も中旬に入り気温がぐっと上がりましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。私はバナナとイチゴのアレルギーに苦しんでおります。人生初と言っても過言ではない食物のアレルギーでして、戸惑いが隠せません。好きなものが食べられないって辛いですね。長々と放置してしまっていたこのサイトですが、今月から再び更新していこうかしらと思っております。片手間になってしまうことも多いかと [続きを読む]
  • 新年のご挨拶
  • あけましておめでとうございます、八重土竜です。皆様いかがお過ごしでしょうか。昨年イベントや私生活でお世話になった方々、またこのサイトを見に足を運んでくださる方々、この場を借りてお礼申し上げます。今年も何卒よろしくお願いいたします。私はルーンファクトリー4にドはまりしております。寝る間も惜しんでやってます。(白目)推しはジョーンズ夫妻です。夫のジョーンズさんがちょっと病んでてかわいい。(作文)新年早 [続きを読む]
  • 有効活用
  •  まただ、と思うしかない。男の心はこれをどう処分し、かつ有効に活用するべきなのかという思案に満たされていた。どうにも都合とタイミングが悪かった。「盾だね」「盾だぞ」「おっさんが使うの?」「カーラ使いたいか?」「大きくてカーラには持てないと思うよ」「傘とかにならなるんじゃないか?」「ならないよ。変なこと言わないで」「だよな」 男バラン・ジャージーと森人種(エルフ)の少女カーラ・アルバストの会話は軽や [続きを読む]
  • 再利用
  •  大人一人と子供四人の旅には色々困ったことがある。 一つ一つを挙げると切りがないが、まず解決すべきは彼らが今直面している不便だった。 旅をする中で武器というものは絶対に必要になる。それは大男と同じくらいの大きな剣であったり、妖精が成り代わった緑色の剣であったり、よくしなる弓であったり、鋭い短剣であったり、形のない魔法であったり。 それぞれがそれぞれの特性を生かして、最も使いやすいものを使うのだが、 [続きを読む]
  • 味知 2
  • 「ちょっとぉ!!」「アイシャが悪い」 と、手についた水を払い落とす。そのまま流れるように手はポケットに差し込まれた。小さなポケットから二つの飴玉を引きずり出して一つは自分の口の中に放り込む「。残りの一つは少し迷ってからアイシャの口の中に突っ込まれた。 口をもごもごと動かす二人が湖畔に座って、波の音を聞く。 クシャクシャになってしまったハンカチはフィアの手によって一生懸命に伸ばされてから折りたたまれ [続きを読む]