hit4papa さん プロフィール

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hit4papaさん: 暇つぶし雑記
ハンドル名hit4papa さん
ブログタイトル暇つぶし雑記
ブログURLhttp://hit4papa.blog.fc2.com/
サイト紹介文ミステリ/純文学/SF/ビジネス/ノンフィクション国内外問わずなんでも読みます。
自由文ほぼ読書記録。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供126回 / 365日(平均2.4回/週) - 参加 2012/12/16 00:34

hit4papa さんのブログ記事

  • 【本】恩田陸『夜のピクニック』-あぁ、若いって素晴らしい!
  • 賢くてルックスも良い高校生たちが、八十キロに及ぶ歩行をしながら、愛や友情や憎しみや赦しといった感情がごちゃまぜになった時を過ごすというお話。この年代のコらの感情の著し方が上手い作家さん。仕草や視線で、登場人物たちの戸惑いや沸騰する怒り、深い哀しみが伝わってくる。このイベントを通し、複雑な家庭環境にいる男女二人の関係性を中心として、彼らを取り巻く人々の思いが徐々に明らかになっていく。感情的な揺れと身 [続きを読む]
  • 【本】麻耶雄嵩『メルカトルかく語りき』-これぞ、メルカトル鮎シリーズ
  • 希代の名探偵と誰にも言わしめるがその名探偵ぶりがさっぱりわからない、”銘”探偵メルカトル鮎が主役の短編集。5つの事件を不可能犯罪を一刀両断、サクサク解決といきたいところだが、ますます読者を迷いの森に誘ってしまう。事件解決よりも名声ファーストの潔さ。アンチミステリとしても、いままでお目にかかった事がないような結末を提示してくれる。「死人を起こす」で軽いめまいを感じ、「九州旅行」で一息つき、「収束」で [続きを読む]
  • 【本】加賀乙彦『死刑囚の記録』 -拘禁心理の研究成果
  • 東京拘置所の精神科医官として勤務した著者が、多くの死刑囚と接見し、彼らの拘禁心理を研究として著したものだ。いつ刑の執行されるか分からない状況下にあって、死刑囚の精神的な変化を示していく様が、事例をもとにパターン化しながら語られる。1950年代が中心だが、有名な(?)帝銀事件、三鷹事件の死刑囚とのやり取りも記録されていて資料として興味深く読むことができる。死刑が確定して以降の受刑者のその後を知り、人道的 [続きを読む]
  • 【本】川上未映子『乳と卵』-好みの饒舌文体
  • 主人公のもとを訪れてきた姉とその娘。姉は豊胸にご執心で、娘はそんな母との会話を拒否している。そんな二人を前になすすべなしの主人公の、夏の数日が饒舌文体にて軽快に描かれる。大きな出来事は起こらないが、日常の些細な一コマ一コマに、主人公の脳内を言葉が駆け巡る。読み進めると会話の捉え方、ものの見方に主人公のひととなりが表れてくるのだ。言葉の奔流に身をまかせると実に愉快な気持ちになる。ふふふ。収録作「あな [続きを読む]
  • 【本】遠藤周作『わたしが・棄てた・女』-愛のものがたり
  • 欲情のまま、女性の貞操を奪い、あっさりと棄てた男。惨い扱いをされながらも、男を忘れられない女。ひとの善意を信じ、ひとに尽くせざるを得ない性の女は、利他的なおこないが人生のすべて。薄幸の女性の献身は、キリスト教的な云々を度外視しても、美しさを感じる。男女二人に接点は永遠に訪れることはないが、男は女の事を意識の片隅に残し続ける。そこに普遍的なひととしての愛のかたちを見ることができる。純文学よりの印象が [続きを読む]
  • 【本】車谷長吉『赤目四十八滝心中未遂』-力のある私小説
  • 昭和の尼崎が舞台の私小説。人生をドロップアウトして流れ着いた町。そこで主人公は、部屋の中でひたすら肉の解体作業をおこない、糊口をしのぐ。怪しげな人々に囲まれ、出口を見いだせない鬱勃とした日々。底辺感がとても辛気臭くて読み進めながら気が滅入る。それだけ作品に力があるということなのだろう。そんな中のワケありの美女との交情は、ダメ人間の生活に潤いをもたらすとともに、奈落の底を予感させる。ラストはちょっと [続きを読む]
  • 【本】ドン・ウィンズロウ『紳士の黙約』-ぐっとくるラスト!
  • サーファー、時々、探偵 ブーン・ダニエルズが主役のミステリ第二弾。主人公が受けた依頼は、ドーン・パトロールの仲間たち、そしてその街の人々を敵に回すことになってしまう。心が折れそうになりながらも、自分の信念を貫こうと孤軍奮闘する姿が痛々しい。前作よりも主人公のタフさとナイーブさが際立つ作品になっている。一見別々の事件がひとつに収斂していくのは、ご都合主義的ではあるものの、爽快感を得ることができた。仲 [続きを読む]
  • 【本】町田康『きれぎれ』-この饒舌文体は
  • 「きれぎれ」は、人間的にも社会的にも底辺を彷徨する主人公の、脳内活動が縷々つづられた作品。男の嫉妬が露骨に描かれており、捩じれた感情が迸しる鬱屈した物語になっている。ジャンルとしては不条理文学に入るのだろうか。虚構と現実の交差するが、饒舌文体のなせる技か違和感はない。ただ、この饒舌文体は、リズムがあわないのか眠気を誘われる。例えば、舞城王太郎、川上未映子ならば、ススっと入ってくるのだが、著者の場合 [続きを読む]
  • 【本】宮本輝『蛍川・泥の河』-純文学の力強さ
  • 北陸は富山を舞台に、複雑な家庭で育った少年のひと時を切り取った作品。少年とその母、級友らとの関わりは、中学生にしては幼いのだが、その目には残酷な現実が映っており、ゆえに深い感銘を与える。それは本書に同時収録されている、廓舟に住まう姉弟と少年の交流を描いた『泥の河』にもみらる。母と級友とを連れ立っての蛍狩りが本作品のクライマックス。蛍が舞い踊る妖しくも美麗な圧巻のシーンは、純文学の力強さを感じる。本 [続きを読む]
  • 【本】ボストン・テラン『神は銃弾』-サスペンスフルな展開
  • 元妻とその再婚相手がカルト集団に惨殺され、娘が連れ去られた刑事。捜査が行き詰まりをみせるなか、刑事は元女性信者の助けを借りて娘の足跡を追いかける。本作品は、ジャンキーの元女性信者と真面目一筋の刑事のバディもので、ロードノベルでもありる。バディものの定番である、そりの合わない二人の心を通わてせいく様が見所のひとつだ。心の襞に分け入るような深淵さを持ち合わせつつ、サスペンスフルな展開を見せてくれる。た [続きを読む]
  • 【本】石田衣良『4TEEN』-本作品集の力強さの源は
  • 4人の少年のビルドゥングスロマンというとステーヴン・キング『スタンド・バイ・ミー』をすぐに思い起こすが、本連作短編集はその日本版ということになるだろうか(オマージュ?)。キャラクターもなんとなくあの4人にダブりますし、その点ではオリジナリティを感じない。生と死、性、暴力、軋轢と和解は、青春小説の王道であり、本作品集もそのフォーマット通りと言えるだろう。ただ、本作品集では、きわめて現代的な残酷さをは [続きを読む]
  • 【本】浅田次郎『鉄道員』-ならではの珠玉の作品集
  • 「鉄道員」、「角筈にて」、「うらぼんえ」は、しっとりとしたトーンの心温まる奇跡の物語。対して、「伽羅」、「悪魔」は人間の醜さが如実に描かれており、「ラブ・レター」、「ろくでなしのサンタ」は落伍者が善行にふと目覚めてしまうという人情話だ。夫婦の再生を予感させる「オリオン座からの招待状」を含め、バリエーションの豊かさと著者の巧な話の運びを堪能できる作品集となっている。読み手のその時々の状況によりお気に [続きを読む]