ミクラス さん プロフィール

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ミクラスさん: 未知なる心へ
ハンドル名ミクラス さん
ブログタイトル未知なる心へ
ブログURLhttps://ameblo.jp/nomimata/
サイト紹介文統一教会入信から脱会までの日々と、脱会後の真理探求。私小説とエッセイ集。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供122回 / 365日(平均2.3回/週) - 参加 2013/06/15 14:55

ミクラス さんのブログ記事

  • 愛しき人は遠くに在りて(9)
  • おれは退職を決めてから、最後のつもりで彼女に電話をかけた。だが、その時の反応も、つれないものだった。そこには彼女なりの優しさも込められていたのだろうが、慰留の言葉も、別れを惜しむ言葉もなく、おれは正直、拍子抜けした。彼女を想い続けたこの数年間は、いったい何だったんだろうと思った。いままで二人で交わしてきた無数の言葉と思い出が、急速に色褪せていくのを感じた。「結局、おれの独りよがりで、おれたちの間に [続きを読む]
  • 愛しき人は遠くにありて(8)
  • おれたちの仲は、その後もずっと平行線を辿っていた。 さっき、レールの例えをしたけれども、二本のレールは常に一定の距離を保っていて、永遠に交わることはないだろう? レールの幅がずれた瞬間、脱線事故が起こる。彼女はきっと、そのことを察知していたんだろう。だから、おれが近づこうとすれば遮って、ある一定の距離以上には、決して踏み込ませようとしなかった。だから、おれたちの関係を一言で表現すれば「仲の良い同僚」 [続きを読む]
  • 愛しき人は遠くに在りて(7)
  • その時の快感を、おれは忘れることができなかった。 人間ってのは、快感を覚えると、もう一度それを体験したいと思う生き物だろ? だからおれは、もう一度、いや何度でも、あの衝撃的な愛の体験を味わいたいと思った。 でも、それは叶わなかった。おれは彼女とのメールのやりとりを望んで、同じような時間にメールを送ったりしたけれど、だんだん、彼女のレスポンスが悪くなってきて・・・返信が翌日に来ることも多かった。 おれ [続きを読む]
  • 愛しき人は遠くに在りて(6)
  • ある晩のことだった。時間は9時頃だったと思う。おれの携帯に、彼女からのメールが届いた。退勤後にメールが来ることは珍しいので、おれは色めき立った。 最初は仕事に関係のある内容だったが、何度かやりとりするうちに、彼女が 「さっき、近くに消防車が来たよ」 と送ってきた。 「何かあったの?」「よく分からないけど、ぼやがあったみたい」「炎が見えた? 大丈夫なの?」「少し煙くさいけど、大丈夫」「そう、良かった」 [続きを読む]
  • 愛しき人は遠くにありて(5)
  • とにかく、おれたちの間には、あまりにも遠い距離が立ちはだかっていた。結果的には、それが良かったのだけれども…。 もし、彼女が県内とか、車で行ける範囲の隣県に住んでいたとしたら、おれは間違いなく会いに行っていただろう。別に彼女の了解を得なくても 「ちょっと近くまで来たから…」 と言えば不自然じゃないし。 でも、広島はあまりにも遠すぎる。彼女が会ってくれるのなら労力は惜しまないが、会えるかどうか未確定の状 [続きを読む]
  • 愛しき人は遠くに在りて(4)
  • ところで、太宰治の 「人間失格」 という小説の中に「女は引き寄せて、つっ放す」 という記述があるのを知ってるかい? おれは、彼女との関係を通して、この言葉を痛いほど思い知らされた。太宰治はすごいと思ったよ。だって、ほんの十文字足らずで、女性の本質を見事に表現してしまうのだから。 おれは彼女の携帯番号を知ることができて、これでもっと彼女と近くなれると思ったけど、そうは問屋が卸さなかったのさ。 おれの彼女へ [続きを読む]
  • 愛しき人は遠くに在りて(3)
  • おれは結婚していたけれど、不倫などという、後ろめたい気持ちはなかった。彼女に抱いていた想いは、恋愛感情といっても 「憧れ」 に近いものだったからだ。 よく、熟年の主婦がイケメン歌手に夢中になって、追っかけをしたりするけど、あれを 「夫がいるのに不謹慎だ。けしからん!」 なんて言う人いないだろ? おれも同じだって思ってた。 彼女は、おれなんかには手の届かない、神聖で崇高な、遠くから仰ぎ見るような存在だったんだ [続きを読む]
  • 愛しき人は遠くに在りて(2)
  • それで、おれはこれから、ある女性の思い出を語ろうと思うんだけど、誤解しないで欲しい。 その女性に未練はないし、思い出を懐かしむわけじゃない。ただ、彼女という存在を通して、おれは、人を愛するということを学んだような気がするから、お前に聞いて欲しいと思うんだ。 その彼女は会社の同僚だったが、おれは茨城で、彼女は広島の営業所の所属だった。 知ってると思うけど、茨城と広島ってのは、かなり離れている。特急と新 [続きを読む]
  • 愛しき人は遠くに在りて(1)
  • 恋愛論なんていうほど大層なものじゃないよ。これから話すのは、単なるおれの感想さ。 まあ、恋愛っていうと、恋人としてのお付き合いが始まった状態を指すことが多いのだろうけど、おれにとって恋愛ってのは、基本、片思いのことなんだ。 それは単純な話で、おれはもてなかったから、両思いの経験がほとんどない。相思相愛の恋愛関係ってのが、どんな感じなのかわからないんだ。 だから、片思いと両思いのどっちが幸せかなんて、 [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(9・最終章)
  • 彼は海を眺めながら、彼女のことを想い、色々と自分の気持ちを整理していたが、疲れをおぼえてきたので、車のシートを倒して横になった。徐々に日が昇り、輝く太陽の光が彼の顔を射した。彼はハンカチを顔に被せて休んでいたが、さっきから感じていた軽い頭痛が、横になっても収まらずに、徐々に強くなっていくのを不快に思った。すると今度は、急に胸のあたりがムカムカしてきた。 ムカつきは収まらず、我慢できなくなった彼は車 [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(8)
  • まだ車の少ない時間帯だったから、ほんの数分で車は海岸に着いた。 ここは海を見渡せる高台につくられたロードパークである。二十台ほどの車が止められる広さがあるが、いま停まっているのはトラックと乗用車がそれぞれ一台のみだった。 彼は海が真正面に見渡せる位置に車を停めると、さっき買ったコーヒーを飲みながらパンを食べ始めた。「よく 『広大な海を見ていると、自分の悩みなんてちっぽけに思えてくる』 なんていう人がい [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(7)
  • すみません、またまた話が飛躍してしまいました。 思わず「不倫」などという言葉が飛び出してしまいましたが、これもまた、私の行きすぎた妄想の産物で・・・そもそも、あなたが不倫の関係など決して望んでいないということは、私も十分に分かっているつもりなのです。だからこそ、私はこうして手紙を書きながら、お互いにとってどういった関係が一番幸せなのかをを考えているのです。 といっても、これも変な話です。なぜならこれ [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(6)
  • もっとも、小学生の頃は、異性を好きになるといっても、その着地点が分からないわけですから、その気持ちは漠然としたものです。 でも、そこにある感情は、まだ性行為を知らない状態の中で芽生えてきたものだけに、より純粋な「好き」という気持ちだと思うのですね。それは、邪な大人が持つであろういやらしい感情・・・つまり、体の関係が主な目的だということ・・・とは対極のものです。それは例えるならば、その人に一歩近づく [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(5)
  • と、ここまで書いてきて、私はふと立ち止まってしまいました。一体私は何が書きたかったんだろう?ここまで私は、ほとんど、自分の想いを一方的に述べてきただけでした。といっても、手紙というものは、元々が一方通行の通信手段なのだから仕方ないのですが、それにしても、私がここまで書いてきた内容は、あなたの気持ちをあまりにもないがしろにしてきたような気がいたします。だって、あなたは私のことなんて何とも思っていない [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(4)
  • すみません。こんなことを書くつもりはなかったのですが、自分の気持ちをつづっているうちに、話が思わぬ展開になってしまいました。私は、自分の気持ちにやましいところはない、ということを、この手紙で書こうと思っていたのですが、人間、嘘はつけないものですね。本当の気持ちを書いて行ったら、やっぱり、男のいやらしさに行きついてしまいました。はい。認めます。私は人一倍いやらしい男なのです。でも「いやらしさ」と、そ [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(3)
  • だから私にとって、あなたへプレゼントを送るこの季節は、わくわくと胸躍る季節です。私はプレゼントを買った帰り道、それが届いた時の、あなたの反応を想像します。そして、あなたからかかってくるであろうお礼の電話に、どんな返答をしようかと想像を巡らします。その想像の中の私は、とても雄弁で、明るくはきはきと話します。そして、ここに書いたような(恥ずかしい)内容を、堂々とあなたに伝えるのです。でも、なぜか私は、 [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(2)
  • ご存じのとおり私は既婚者で、二人の息子もいます。 私は世事に疎いので、一般的な感覚があまり分からないのですが、既婚男性が未婚の女性にプレゼントを贈るような行為は、あまり褒められたものではないようです。中には 「気持ち悪い」 と感じる人もいるようですし、もし逆の立場で、私の妻が他の男性にプレゼントを贈ったとしたら、私だって面白くはないでしょう。しかし、私があなたにプレゼントを贈るには、それ相応の理由が [続きを読む]
  • 誕生プレゼント(1)
  • (この記事は2015年8月〜9月に掲載し、その後アメンバー限定記事としていたものに、若干の訂正を加えて再掲載したものです) 今日はあなたのお誕生日でした。心よりお祝い申し上げます。去年に引き続き、あなたにささやかなプレゼントを贈りましたが、さきほどは丁寧なお礼の電話を頂き、ありがとうございました。あなたは喜んでくれていました。でも、正直、私は照れくささと恥ずかしさと、後ろめたさと申し訳なさとでいっ [続きを読む]
  • ”あの仕事を続けていたら良かったかな?と後悔しても仕方がない”
  • この 「がんばれ熊さん」 というブログ、四コマ漫画形式で読みやすく、面白くてためになるので、いつも愛読しています。 今回は 「自分の居場所」 について、興味深い記述がありましたので、リブログさせて頂きました。 人生を振り返る時、「あのままあの世界にいてたら私は・・・・」 と思いをはせることがある。 しかし、あの世界というものに、見切りをつけたのは過去の自分である。 その過去の自分の選択はおそらく正しい [続きを読む]
  • メイルさんの話(6・最終章)
  • 「どうして・・・どうして、何も言わずに行ってしまうんだ!」 行ってしまうTお姉さんもそうだが、それを黙認した学舎長や兄弟たち。そして、何も言えなかった自分自身に対しても、腹が立っていた。 さっき、Tお姉さんが出発したと思われる時間から、10分以上は経っている。いや、15分以上かもしれない。 名古屋駅までの距離は10km弱。名古屋は東京や大阪と比べると、道路が広く車線が多いので、渋滞にはまる率は低い。 それでも [続きを読む]
  • メイルさんの話(5)
  • 原研の寮(学舎)では、毎朝、礼拝室という一番広い部屋で祈祷会が行われる。 礼拝室は、男性の寝室も兼ねていた。カーペットの床の上に、ズラッと布団を敷き詰めて寝るのである。 そして起床と同時に布団を片付け、洗面を済ますと、再び礼拝室へ集合する。そして全員で20〜40分程の祈りを捧げた後、その日の予定の確認を行うのだ。 今日は、いよいよTお姉さんが東京へ旅立つ日である。 しかし、朝の祈祷会でも特別なことはなく、 [続きを読む]
  • メイルさんの話(4)
  • 「Tお姉さんが、いなくなる・・・」 僕は絶句した。胸がギュッと締め付けられるような感じがした。 僕にとって、Tお姉さんの存在は、学舎生活の一部と化していた。人体を形成する、脳や心臓などのパーツと同じように、Tお姉さんの存在は、学舎生活の主要な一部分を占めていた。 その存在がいなくなってしまうということが、俄かには信じられなかったし、信じたくなかった。 もちろん、献身者に人事異動があることは知っていた [続きを読む]
  • メイルさんの話(3)
  • その、40トレの途中で、僕は結局、入教した。 毎日、ホームに通うことで、雰囲気に慣れてきたとはいっても、やっぱり、寮に入るということは、大きな決断を強いられるものだった。 でも、最後に背中を押してくれたのは、Tお姉さんの存在だったと思う。 もし、入教後に様々な問題や悩みにぶつかったとしても、Tお姉さんがいれば、きっと解決に導いてくれるだろうと思ったのだ。 僕は、Tお姉さんを好きだったけど、それは、恋愛 [続きを読む]