atsumae5 さん プロフィール

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atsumae5さん: 日記ではなし
ハンドル名atsumae5 さん
ブログタイトル日記ではなし
ブログURLhttp://atsumae5.blog82.fc2.com/
サイト紹介文ファンタジー的なBLを書いています。 一部暴力的・猟奇的表現を含みます。
自由文H重視にしようと思ったらなかなか辿り着かず(汗)いまだ予定は未定の迷走中
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供8回 / 365日(平均0.2回/週) - 参加 2013/09/03 20:16

atsumae5 さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 異邦人 − 117
  •  イリヤを抱えたマイルは無事宿舎として使っている建物の前に着地した。ドージェなら建物の中に降りるくらいのことはしたが、それは実は曲芸並みに難しいことだった。着地点に何があるか、マイルや通常の能力者には細かく認知することができないのだ。最悪壁の中に直接『着地』してしまうことがあるのだ。勿論そこから見える位置に跳躍すればいいのだから普段は構わないが、番人を抱えたままそんなことは出来ない。 やれやれと見 [続きを読む]
  • 異邦人 − 116
  • 「いいから、戻れ」「でもっ!」 イリヤが噛み付くように男に反発する。間もなく夕刻となるため、とっとと泉へ戻れと男は云うのだ。しかし青褪め、一人で立っている事も出来ない男をこのままにしておけるはずがない。「傍にいろって云ったのに!!」 今にも震えそうな語尾を、イリヤは噛み締めるようにして告げた。 あの時────。 凍りつく男は、確かにイリヤを必要としていたのだ。 それほどまでに傷ついた男を、放っていく [続きを読む]
  • 異邦人 − 115
  •  目も開けていられないような暴風雨の中、マイルとガンツは地に這い、砂を噛むような思いで空を仰ぎ見た。すべてをドージェ一人に押し付け、這い蹲るしか自分達には出来ないのだ。地界軍とて同じ思いだっただろう。 ドージェの作り出した黒い球体が空間の裂け目に呑み込まれるところを、息を殺して見つめるしかできなかった─────。「ウリエル様っ!」「大丈夫…私はね…。それよりドージェは?」 ついに膝をついたウリエル [続きを読む]
  • 異邦人 − 114
  • 「ドージェ…ドージェ」 幼子が親を呼ぶような声が漏れ聞こえていた。胸を衝くようなその声に男はなすすべもなく、ただ聞き入った。不死身と怖れられた自分を、どうしてこんなにも心配するのか、男には判らなかった。(ああ、そうか、俺の記憶がないんだったな………) ちゃんと伝えた方がいいかと、不意に思ったが勿論口が動くはずもなく、男はもどかしい思いで目を伏せた。 心配など要らないのだ、自分には。 どうせ死んだと [続きを読む]
  • 異邦人 − 113
  •  躯の中から凍りつくような寒さに襲われていた男にとって、その温もりはあまりにも甘美なものだった。泣きじゃくり、必死にしがみついてくる仔猫のような番人に、言葉も何もかもが奪われた────。「ドージェ……ドージェ! もう止めて……死んじゃう……っ」 引き離さねばならないのに、傷つけたくはないのに、直接胸の中に響くような懇願に、男は堪らずイリヤを強く抱きこんだ。凍りついた心に注ぎ込まれた想いは熱く、凍り [続きを読む]
  • 異邦人 − 112
  • 「ドージェ!!」 イリヤが声を限りにその名を叫んだ。 それが聞こえたのか、ドージェがイリヤのいる崖を目指してシンを駆った。 天翔けるその軌跡は黒と金────。 ひとつに纏めた長い豊かな髪を翻し、男はただイリヤだけを見つめていた。「ドージェ!」 イリヤ達がいる崖に降り立った時、シンは大きくバランスを崩した。何度も嘶き、地面を不安げに蹴っている。ひらりとシンから飛び降りたドージェは手綱を絞り、安全な位置 [続きを読む]
  • 異邦人 − 111
  • 「なんだあれは」 ウリエルが良く見ようと目を凝らした。黒い膜に見える物は徐々に硬質な光りを放ち始めたのだ。「……まさか…あれ、黒耀石…?」「…グール避けの守り石?」 オリヴィエの指摘にイリヤもまた唖然と返した。ありとあらゆる物を溶解して取り込んでしまうグールだが、何故か黒耀石だけは溶かすことがない。怖れている様子でもないのだが、何故か避けて通るのだ。ゆえに街の周りや墓所の周りには砕いた黒耀石を撒き [続きを読む]
  • 異邦人 − 110
  • 「動いた! ウリエル様」「ああ、どうやらしんがりに誰かがいたようだな、ドージェに伝えたんだろう。これで安心だ」 ウリエルはほっと息をついたが、身を乗り出して戦場を見守っていたイリヤは微動だにしなかった。何か怖ろしい予感に苛まれ、動くことが出来なくなっていたのだ。「イリヤ?」 オリヴィエがそんなイリヤの様子を不安げに気遣う。この年若い同胞は、今までの同胞とは少しばかり違うのだ。 絶対のバランス感を持 [続きを読む]
  • 異邦人 − 109
  •  歓喜に猛り立つ軍団がさらに色めきたった。「将軍だ! 猛将がおいでだぞ!!」 黒き天馬を駆る猛将ドージェが兵たちの波を割り、まるで矢のように駆け抜ける。遅れて彎曲刀を背負ったガンツがその後を追っている。小山のような大柄なガンツがドージェの後ろに付き従う姿は、戦場では知られた光景だった。「ドージェ! 一体何事ですか?」 ヨシュアはむっとした表情でドージェを迎えた。かの英雄が自分の勝利を讃えに来たとは思 [続きを読む]
  • 異邦人 − 108
  •  布陣を後方から見つめていたドージェが僅かに目を眇めた。「ドージェ、大人しくしててくださいよ」 マイルが釘を刺しに馬を近づけてきた。本来後方から作戦指示を出す将軍が、最前線へ踊りだしてくることはできれば避けたいマイルだった。「まー、士気は上がるけどな」「ガンツ! 余計なこと云わないのっ! ったく、どこの世界に実戦部隊を差し置いてしゃしゃり出てくる指揮官がいるのさ」「ここ」 あっさりと切り返し、ガン [続きを読む]
  • 異邦人 − 107
  • 「イリヤ」「オリヴィエ、どーしたの?」 突如泉を通って訪れた眠りの泉の番人に、イリヤはきょとんと目を瞠った。ずっと相談したいことを胸の裡に抱えていたイリヤは、不思議そうな表情でオリヴィエを見上げた。 まだ太陽が昇りきらない時間のため、僅かなりとも過ごしやすい時間だった。朝の雑事を手早く片付け、イリヤは木陰でお茶でも呑もうかと思っていたところだった。 ドージェのお陰で冷たいハーブティーの作り方を教え [続きを読む]
  • 異邦人 − 106
  • 「…ありがとうございました」 いつもながらあっという間の到着に、イリヤは肩を落とした。もっと一緒にいたかったが、男はこれから戦場に向かわなければならないのだ。自分の我儘でこれ以上将軍を引き止めるわけにはいかなかった。 しかし、つくづく痛感してしまう。 軍人であるドージェにとって戦場に戻ることは義務であり、しかも急務であったはずだ。それなのに僅かな時間とはいえ番人をこうして泉へと送り届けてくれるのだ [続きを読む]
  • 異邦人 − 105
  • 「番人様、おはようございます」「随分お早いようですが、もうお帰りですか? ……あ」 壮大な城門に近づくと、門番達が口々にイリヤに声をかけてくる。しかしその後ろに守り神のように存在しているドージェを見つけると慌てて居住まいを正した。そんな彼らにドージェは無言で両腕を差し出す。「はっ…失礼いたします」「ドージェ、それって重くないの? 腕輪自身も大きいけど、石もおっきいよね」「…………」 覗きこんできた [続きを読む]
  • 異邦人 − 104
  •  ドージェが寝室に戻ってきた時、イリヤはすでに支度を終えていた。陽の昇りきらない時間だったが、しっかりと目が覚めているようだった。てっきりまだ寝入っていると思っていた男は拍子抜けしたかのような表情を浮かべたが、イリヤは気づくこともなく熱心に壊れた指輪を見つめていた。「あっ…お、おはようございます」「おはよう」 後ろから覗き込んでいる男に漸く気づくと慌てた様子で顔を上げた。その頬は健康的な薔薇色に色 [続きを読む]
  • 異邦人 − 103
  • 「ふかふか〜」 ぽふっと枕に顔を埋め、イリヤは歓声を上げた。 男の心配を全く理解しない番人に、ついに英雄が根を上げた。「…お前な、いい加減に寝ろ」「だって…ふかふか」 満面の笑みに魅了され、イリヤはすっかり目が冴えてしまっていた。染まった頬を見られたくなくてごろごろとベッドの上を転がっていた。そんな番人の小さな頭を見下ろし、男は盛大な溜息をついた。「ただでさえ体重も落ちてるんだ、きちんと休め」「え [続きを読む]
  • 異邦人 − 102
  •  一向に泣き止むことが出来ないイリヤが夕食を終えたのは、日付が変わる頃だった。もっとも夜会の賑わいはまだまだ続いていたが、イリヤは睡眠を必要とする身だった。ましてや子供の身体である以上、男は早く休ませたかった。 結局、痺れを切らした男の膝の上であやされながらの食事となってしまい、イリヤは自分の幼さをつくづく痛感してしまった。 風呂を使わせてもらい、ドージェの大きなバスローブを引きずりながら出て来た [続きを読む]
  • 異邦人 − 101
  •  怒りに震える身体を自分で抱きしめるようにしたイリヤは、さらに血を吐くような痛みを吐き出した。「アイシャは…ドージェの記憶だけを僕に伝えなかった…」「────!」「記憶がないから、だから気になって気になって仕方がなかった。わざとドージェのことが気になるように仕向けたんだ…」 ドージェが愕然と目を瞠った。 男自身不思議でならなかったのだ。 何故3人の番人が自分にこうまで接点を持ちたがるのか───。各 [続きを読む]
  • 異邦人 − 100
  •  モーガンが退出すると、男は無言でソファを顎で指し、イリヤを座らせた。番人のためだけに用意された食事を前に、イリヤはおずおずとドージェを見上げた。「とっとと喰え」「あの…ドージェ…は?」「いいから喰え」「………」 しゅんとイリヤは肩を落とした。イリヤは普段ほとんどの食事を一人で摂っているのだ。いままではそれが普通で、寂しいと思ったことなどなかったのだが、先日ドージェ達と囲んだ食卓の暖かさが、知らな [続きを読む]
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